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共同研究プロジェクト
「リバイビング・ニュータウン
-住民主体のコミュニティ再活性化にむけた研究-
」
活動報告
小林 大祐・杉本 星子
本研究は、2006年度より3年間にわたって実 施した共同研究「ニュータウンのある『まち』 -地域における大学の役割に関する実践的研 究」の成果を基盤とし、本学に隣接する向島ニ ュータウン・槇島グリーンタウンや宇治地域の 団地住民との連携活動をとおして地域コミュニ ティの再活性化に寄与する実践的な研究を行う ことを目的としている。 1960年代より日本各地に建設がすすめられた ニュータウンもすでにオールドタウンといわれ るようになって久しい。近年、長引く経済不況 のなかで社会格差が拡大し、小さな政府をめざ す政策転換によって福祉行政が大きく後退する なかで、今や少子高齢化と多文化化の先進地域 となったニュータウンには、現代社会が抱える さまざまな問題が集約されて現れている。そう したなかで、住民が老朽化した住宅の再建や治 安の悪化といった諸問題に否応なく向きあい、 地域コミュニティの再生に向けて改めて主体的 に取り組もうとする動きが起きている。本共同 研究は、こうしたニュータウンの現状を踏まえ た上で、具体的には①大学もまた地域社会の担 い手と位置づけ、隣接する向島ニュータウン・ 槇島グリーンタウンにおける地域コミュニティ の再生に住民や学生とともに参画しながらニュ ータウン研究を推進し、②先行の人間学研究所 共同研究プロジェクトを通して蓄積したニュー タウン研究を発展させて、ニュータウンの比較 研究を進め、③その総合的な研究成果を社会に 還元することを目指している。 初年度の2010年は、共同研究のメンバーがそ れぞれ個人テーマについて研究を実施するのと 平行して、以下のような共同の研究活動を実施 した。 第一回研究会(2010年6月8日)では、共同 研究の全体計画について協議した後、『住まい の個人史』という視点から研究をおこなってい る西川祐子が、ニュータウン研究の最前線につ いて報告した。それを受けて、共同研究メンバ ー間で各地のニュータウンにおける住民活動の 動向について情報交換し、知識の共有につとめ た。 また春学期には、本学の池畔の茶室において 「蓮見の会」(7月10日)を実施し、共同研究 のメンバーと向島ニュータウンの住民、ニュー タウンに居住する中国帰国者との交流を深め、 高齢化とともに多文化化が進むニュータウンの 現状について理解を深めた。 秋学期には、向島駅前公園において実施され た「向島ニュータウン秋の祭典」(11月14日) に参加し、西川祐子と杉本星子が聴き取り調査 を行ってきた向島ニュータウンの文庫活動に関 する資料の一部を使って、「向島ニュータウン &『ふうせん文庫』の歩み関連年表の展示」と 「ニュータウン絵はがきの展示」を行った。 第2回研究会(12月11日)は、恵光館におい て共同研究会メンバー、学生、地元住民、京都 南部中国帰国者の会のメンバーの合同で実施し た。 第3回共同研究会(3月16日)は、「向島ニ ュータウンの30年」と題し、ワークショップお よび公開シンポジウムを実施した。シンポジウ ムの講師に西村一朗氏(奈良女子大学名誉教 授)をお招きし、講師と地域住民、共同研究メ142 ンバーが一緒に団地を歩きながらニュータウン の歴史を語り合った。その後、本学指月ホール において、西村氏の講演「向島ニュータウンの 来し方行く末を考える─元住民を思い出しつゝ ─」とパネルディスカッションが行われた。パ ネルディスカッションでは、西村氏、向島駅前 まちづくり協議会会長の福井義定氏、向島ニュ ータウンセンター商店会会長西澤弘泰氏をパネ ラーにお迎えし、小林大祐が司会を務めて向島 ニュータウンの30年史を振り返り、ニュータウ ンが抱える諸問題について議論した。 また、「障害をもつ人から見たニュータウ ン」を研究テーマとする吉村夕里は、向島ニュ ータウンにおいて発達障がいの子どもたちのお 母さんたちと研究会(12月28日)をもち、発達 障がいの児童のサポートを含む実践的研究を進 めた。 「ニュータウンと隣接地域」という二つの空 間を包括する地域コミュニティの構築について 研究を進めている杉本星子は、地元住民からの 提案を受けて、実践人類学実習の受講生やその 他の有志学生とともに「巨椋わくわく朝市」 (2011年2月26日、3月26日)を実施した。第一 回朝市は、向島ニュータウンセンター商店会の 空き店舗を利用して実施し、ニュータウン住民 と地域の農家、さらに商店会の人びとが集う機 会をつくった。第二回朝市は、京都市向島図書 館20周年記念行事の一環として、図書館と共同 開催した。その際、ニュータウンに隣接する広 大な農地である巨椋池干拓地で活動する巨椋池 環境保全ワークショップの協力を得て巨椋池干 拓地動植物写真展を併設して、ニュータウンと それを取り巻く農業地域を繋げる企画とした。 「ニュータウンにおけるアソシエーション活 動」をテーマとする山田香織は、本学と京都市 向島図書館の連携をもう一歩進め、図書館のロ ービーで「ニュータウンの思い出絵はがき展」 (3月5日~3月31日)を共同企画した。その際、 図書館利用者である地域住民に呼びかけてニュ ータウンの写真を集め、それにまつわる歴史情 報を収集することによって、地域の歴史研究を 深めた。 他にも、三林真弓の「ニュータウンの子育て サポート」や奈倉京子の「ともに地域をつく る:平盛地区の取り組みから中国人と日本人の 共生について考える」など、今年度は共同研究 メンバーによる実践的な研究が積極的に進めら れた。 「ニュータウンの思い出絵はがき展」の様子 「向島ニュータウンの30年」シンポジウムの様子