109 今年度本研究会は、メンバーそれぞれが独自 の研究課題を持って活動した。 まず高石は、大学院生、修了生らと共に「ロ ボット研究会」を立ち上げ、話題となったアニ メ『攻殻機動隊2ndGIG』を一話ずつ見ながら、 そこで取り上げられた近未来の人とロボットの 共存社会のあり方を毎回討議するミーティング を行った。各回で取り上げられたテーマは高石 の個別報告「攻殻機動隊をめぐる冒険」に添付 の資料の通りである。 次に永澤は、研究出張:2012年6月16日~6月 18日(東京+福島)によって、以下の成果を得 ている。 ①ロボット倫理の現状について、田野尻哲郎氏 (東京大学大学院、科学史・科学哲学)から 情報収集するとともに、討議した。以下の点 について、意見の一致を見た。 ・2008年以降、ロボット倫理の研究に、大きな 進展は見られない。 ・ポスト3.11の時代において、過酷環境における 人間の労働力の代理物としてのロボットの重 要性が、あらためて浮上しつつある。 ・ロボット技術と省電力、省エネルギー技術の 結合が重要になるだろう。 ・生物・環境のシミレーションによる進化プロ セスの研究とロボット研究がどのようにリン クするか、今後の研究の重要な論点となるだ ろう。 ②ロボット技術の背景にある第六次エネルギー 体系(原子力+コンピューター)の今後につ いて、福島において現地調査をおこなった(調 査協力者、福島県庁 M 氏、田中徳雲師、K 医 師)。以下の認識、理解を得た。 ・第六次エネルギー体系の維持は、大きな困難 を抱えており、次世代型のエネルギー体系へ の移行が急務である。 ・この移行において、生活様式の変化―エネル ギー消費の半減―は不可避である。 ・近未来の第七次エネルギー体系は、リスク管 理の観点から、分散型のものとなる。第七次 エネルギー体系への移行は、市場経済を社会 の中にあらためて埋め込む新しい社会システ ムへの移行と並行して起こるだろう。そのよ うな状況の中で、ロボット技術がどのような 役割を担うのか、不透明である。社会のテク ノロジー化には、歯止めがかかるかもしれない。 最後に客員研究員の野村竜也(龍谷大学)は、 文献研究を行うと共に、唯一工学領域で本研究 会に参画するメンバーとして貴重な意見交換を 行うべく、年度末に報告会を企画している。 個別の研究課題を深めるということが、初年 度の主な取り組みであった。その成果は今のと ころ、メンバー各自の報告という形で上梓され ている。とりわけ大学院生、修了生たちとの討 論を通して、院生や修了生が研究会報告として まとめた小論は、玉石混交だとしてもかなりの 水準に到達しているものと考えられる。今後、 年度末の報告会を通じて、さらにそれらが有機 的に展開し、新たな研究課題へと発展すること を期待している。 なお次年度には、本年度の各自の研究関係者 のどなたかにシンポジストとして参画して頂き、 公開討論会を開催することも考えている。さら にそうした成果を、3年目に集約することがで きればと思っている。
ロボット・人間学研究:情報工学と人間学の接点を探る 活動報告
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