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九州支部:熊本のバイオテクノロジーの過去,現在,未来

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Academic year: 2021

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226 生物工学 第96巻 第4号(2018) 著者紹介 崇城大学生物生命学部応用微生物工学科(教授) (PDLO\XML#ELRVRMRXDFMS

熊本のバイオテクノロジーの過去,現

在,未来

寺本 祐司

1.熊本のアルコール飲料と発酵食品 九州の中央に位置する熊本には焼酎のイメージをもつ 方が多いと思われる.確かに,人吉ではコメを原料に地 名を冠したユニークな酒,球磨焼酎がつくられている. 球磨地方に30社近くの焼酎蔵が存在しており,ウイス キーの産地スコットランドやワインの銘醸地ボルドーに よくたとえられる. 一方,熊本の清酒も評価が高い.熊本で分離されたこ とが知られている「きょうかい9号酵母」は全国で吟醸 酒用酵母として使用されている.また今日,限られた地 域でのみつくられている灰持酒(あくもちしゅ)である 赤酒(あかざけ)も熊本に現存し,正月のお屠蘇や料理 酒としてなくてはならない酒として愛されている.この 酒は,もろみに木灰を加える特殊な方法でつくられる. 木灰がアルカリ性で,糖とアミノ酸がアミノカルボニー ル反応により酒色が褐色に発色するため赤酒の名前がつ いている. さらに,熊本には歴史ある味噌や醤油の醸造元も多い. それら醸造元の多くが製造している食用の醤油もろみも 古くから食卓で愛されている.熊本は糸引き納豆も有名 で全国の納豆鑑評会でもたびたび好成績を残し,消費量 も多い.伝統的な乾燥納豆も商品として流通している. その他の発酵食品としては,高菜漬け,豆腐の味噌漬け, 魚醤油,漬けあみ(オキアミ塩漬け)など数多い. 2.崇城大学生物生命学部応用微生物工学科 熊本では古くから醸造や発酵食品製造などいわゆるバ イオテクノロジーが盛んである.この地にバイオテクノ ロジーの教育研究の拠点として,熊本工業大学(2000 年より改名し崇城大学)応用微生物工学科が1976年に 発足した.現在,食品,医薬品,医療,化成品,農業, 環境,エネルギーなど微生物やいろいろな生物に関連す る7研究室で構成されている.2004年度には日本初の -$%((認定の生物工学系学科となり,2012年度より食 品衛生管理者および食品衛生監視員の養成施設となっ た.その他多くの資格支援も行っている.多くの卒業生 は熊本や九州を中心とした醸造や食品その他バイオテク ノロジーの分野に進み,製造や研究開発部門などで活躍 している. 3.バイオテクノロジー研究推進会 バイオテクノロジー研究推進会は,バイオテクノロ ジーの進歩発展に寄与することを目的に1982年に全国 に先駆けて設立された. 初代会長の故本江元吉先生が中心となり,熊本地域の 企業,大学,行政などのバイオ関係者が発起人となって 創立された任意団体である. 本会は,①研究助成,②技術の錬磨,③知識の普及, ④人材育成の四本柱を中心とした事業を実施している. 基礎研究および地域に根ざした伝統的技術や応用研究に も着目し,産・学・行政が一丸となって,バイオテクノ ロジーに関する研究を推進するための連携の機会と交流 の場を提供している. 人材育成事業としては,高校生によるバイオ研究発表 会「バイオ甲子園」を毎年熊本市国際交流会館などの会 場で開催している(写真).関東から沖縄まで全国の高 校から応募があり2018年には27回目の開催となる.そ の他,研究助成金制度による若手研究者の奨励育成, 33回目を迎える市民公開講座による知識の普及,技術 講習会や工場見学による技術の錬磨など,発足以来36 年間にわたり地域のバイオテクノロジー産業,研究,教 育の支援を行っている. 4.熊本地震と復旧復興 2016年4月の熊本地震は,熊本の産業や研究機関や 大学など教育の場にも甚大な被害をもたらした.特に醸 造元や食品工場など歴史ある建物や蔵などが大きな被害 を受けた.上述の赤酒は近年全国的にも徐々に知名度を 増している.県外の飲食店や食品関連企業との取引も増 えていると聞いている.この地震により赤酒を含む酒類, 発酵食品などが大きな被害を受けたが,蔵元や工場の 方々の努力により復旧復興が進んでいる.店頭に沢山の 赤酒がならべば正月を迎えられたことに感謝の念がわ き,寒い時期に新酒がならべば,楽しみな季節がやって きたことに喜びを感じる. 阿蘇や天草の広大な自然と豊富な農林水産畜産資源, ユニークな酒類や発酵食品の歴史をもつ熊本の地は LOHASなバイオテクノロジーのふるさとといえる.

九州支部

2017年12月2日に開催されたバイオテクノロジー研究推進会主 催の第26回バイオ甲子園の様子(会場は熊本市国際交流会館). バイオテクノロジー分野の若手人材育成を目的としている.

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