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幼児の手洗い技術に関する研究

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Academic year: 2021

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幼児の手洗 い技術 に関する研究

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幼児,手洗い,小児保健 日常生活習慣 の中で感染症予防と して期待 され る手洗いを,幼児期 に焦点を当てて研究 した。 その結果,幼児期の手 洗いは,「あ らか じめ手 を湿 らさない

「手掌 と手背を集中的に洗 う

「石鹸手洗い しても洗 い残 しがある

などの傾向 がみ られた。衛生的 な手洗い方法で洗 うことがな く,洗い残 しは年齢 と相関な く過半数あ った。 これ らの ことか ら,辛 洗いはマナーと しては定着 している可能性はあるが,感染症予防の衛生的意味か ら評価できる技 術とはいえないことが わか った。 これをふ まえて,手洗いに関す る指導では指先,指間,栂指 などを洗 うことが課題 と考える。 また,特に清 潔が必要 とされ る手洗いの時は,保育者がそばで見守 った り適切 な言葉かけを行わ なければ,衛 生的な効果を上げ るこ とができないことが示唆 された。

1

.描

仁コ 日本人の生活 において 「手洗い」は,極めて頻回に繰 り返 され る行為である。それは,単に爽快感 を味わ うた めだけではな く,食中毒やイ ンフルエンザなどの感染症 か ら身を守 る保健衛生的な目的に由来 している。 しか し, ただ単に手を洗いさえすれば衛生的なのではなく,そ こ には適切 なタイ ミングと技術が存在 しなければならない。 私の記憶では,物心ついた頃には 「外出後 ・食事前 ・ 排便後 というタイ ミングで,石鹸を使 って手首か ら先を くまなく洗 うこと」を繰 り返 し教え られていたように思 う。 近年の保育関係 の文献でも, 2歳を過 ぎた頃を 目安 と して手洗いの しつけを行い,先述のような習慣 をつけ るまでを 目標 と している。 しか し, このような しつけが行われた結果,幼児が ど のような洗い方を しているのか,それによる洗い残 しは あるのかないのかなど,幼児の手洗い技術のエ ビデ ンス に関す る知見は十分なものとはいえない。 このことは, 手洗いの しつけ方を検討す る上で, しつけの効果を判断 す ることは困難 と考える。そ こで,本研究では,今後の 基礎的資料 となる 「幼児期の手洗 い技術の実態を明 らか にす ること」を 目的 とす る。

2.

1

)期間 :

2

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0

4

3

2

-4

2

)場所 :岡山市

F

保育園,手洗 い用の流 し台が設置さ れている保育室 3)対象 :F保育園に通園す る3歳児 ・4歳児 ・5歳児・ 6歳児

4

)データ収集方法 :研究の趣旨を園長に説明 し,了解 を得た。園児 (以下 「被験者」と称す)を一人ずっ入室 させ,研究の趣 旨を理解できる範 囲で伝えた。了解の得 られた者には,

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Bag;

東和 医療器

KN-

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2

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(図

1)

(2)

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;東和医療器KN-2020 専用の蛍光 ローシ ョンを1プ ッシ ュ分,両手に満遍 な く 塗布 した

。Gl

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のブラ ックライ ト下 にて,完全 に塗布で きてい ることを確認 した上で,「いっ ものよう な洗い方で石鹸 を使 った手洗いをす る」 よう依頼 した。 原則 と して,手洗いに要す る時間は研究者が誘導 した り 規制 した りせず,被験者の意志を重視 した。手洗 いが終 了 した段階で,研究者がペーパー タオルを手渡 し 「水分 を除去す る」 よう依頼 した。その後,研究者が被験者の 利 き手の洗 い残 し部位 を

Gl

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t

e

rBag

のブラ ックライ ト 下で確認 し,スケ ッチ した ものをデー タと した。 洗い残 しとは, ブラ ックライ ト下 にてわずかで も蛍光 ク リームが確認 された ものと した。 なお,本研究では洗 い残 し部位を,既存 の研究

(

LJ.

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or

lなど) を参考 と して

9

種類32分割 した。 「洗 い残 しあ り :1点

「洗 い残 しな し :0点」 と して計算 した (表1)。 また,手洗 い方法は

VTR

に記録 してデー タと した。 手洗い時間は,以下の 3段階 に区分 した上で計算 した。 1段階 「手を湿 らせ る

:石鹸 をつける前 に流水で手を ぬ らす段階 2段階 「石鹸手洗い

:石鹸を手 に刷 り込む段階 (ただ し,水道水 をかけなが ら刷 り込 む場合 を除 く) 3段階 「洗い流 し」 :流水で石鹸分を洗い流す段階 そ して,2期 「石鹸手洗い」で擦 った部位 を,手掌 ・手 背 ・指先 ・手首 ・指間 ・栂指 に分け,「擦 った :1点」 表1.洗い残 し得点 部 位 得点範囲 手背側 爪 0--5 描 (ただ し爪よ り下) 0′--5 手背 (3領域)◆

0

-3 手首 0--1 手掌側 指先 (第1関節 まで) 0.- 5 描 (ただ し第1関節 よ り下) 0--5 手掌 (3領域) 0.- 3 手首 0′- 1 指 間 0--4 「擦 らない :

0

点」でポイ ン ト化 した。

5

)倫理的配慮 :園児への個別説明によ り,了解が得 ら れた場合のみ データを収集 した。園児の皮膚 に損傷やア レルギー症状がある場合は,対象か ら除外 した。デー タ は研究以外の 目的には使用 しない。 また,発表 の際は園 児が特定 され る方法を回避す る。 6)分析方法 :洗 った時間 と部位,洗 い残 し得点を単純 集計 し全体 的傾 向を分析 した。

VTR

デー タか ら洗 い方 の特徴 を分析 した。

3.

被験者は合計56名, 内訳は 3歳児 9名, 4歳児25名, 5歳児14名, 6歳児 8名であ った (表2)。最年少が 3 歳2ヶ月,最年長が6才10ヶ月であ った。 表2,被験者 の年齢分布 年 齢 人 数 (人 ) 3歳 9 4歳 25 5歳 14 1)洗 い残 しの部位 洗い残 しの全体的な傾 向は図2の黒 い部分であるが, 洗い残 しが最 も少ない 「手掌」でも56.5% と過半数あ り,

(3)

99 幼 児の手洗 い技 術 に関す る研究 その他の部位は 「手背」77.3%,「指先」78.4%,「指間」 71.7%,「栂指」82.0%となっていた。 図2.洗い残 しの部位別割合 手掌側 と手背側 を比較す ると (図3),手背側 の方 の ポイ ン トが高か った。 図

3.

洗い残 しポイン ト 手掌側 と手背側の比較 洗い残 しは,い くっかのパ ター ンに区分できた (図

4

)。 手を手掌 ・手背 ・指に大別 した際,パ ター ン

A

はすべ て が洗い残 しであ った。パ ター ン

B

は手掌にはほぼ洗い残 しがなく,手背はすべて洗い残 されているものであ った。 パ ター ンCは手掌 ・手背共 に部分的に洗い残 しがあるも のであ った。パ ター ンDは手掌 ・手背には洗い残 しが な いが,指 には洗い残 しが多いものであ った。 これ らは, 年齢 に関係 な く見 られ てお り, 5歳児 ・6歳児であ って も全 く洗い落 とせ ていないパ ター ンAもあ った。 パ ター ンA (事例13 6歳6ヶ月 男児) パター ンB (事例5 3歳 2ヶ月 女児) パ ター ンC (事例30 3歳9ヶ月 男児) パ ター ンD (事例14 5歳9ヶ月 女児) 図

4.

洗い残 しの

4

パター ン

(4)

表3.洗い残 し年齢別平均値 手 掌. 側 手 背 側 指 間 手掌(3領域) 指 先 描 手 首 手背(3領域) 爪 描 手 首 3歳児 1.33 1.67 1.67 1 2.33 4 4.67 1 2て78 4歳児 3 6.43 3.64 1.6 4.64 6.96 7.58 1.54 5.63 5歳児 1.79 1.93 4.36 0.71 2.36 3 ・2.5 0.86 1.25 図5.「手 を湿 らせる」時間 図6.「石鹸手洗い」の時間 図

7.

「洗い流す」時間 2)洗い方 手洗いにかける時間は,平均54.5秒 (min13秒,max 4分10秒)であ った。その内訳は,第1段階 「手を湿 ら せ る」時間が,平均3.4秒 (min0秒,max22秒)であ っ た。 第2段 階 「石鹸 手 洗 い」 の時 間 が, 平均23.8秒 (min0秒,max3分30秒)であ った。第3段階 「洗い 流 し」の時間が,平均49.7秒 (min2秒,max45秒)で あ った (図5・6・7参照)。 成人の場合は石鹸をつける前に手を湿 らせ るのに対 し, いきなり液体石鹸を手にとる被験者の割合は50%にも上 っ た。形式的に一瞬 (1秒間)でやめるものを含めると, 過草数 (53.6%)の者が手を十分湿 らせ るという手順を ふ まなか った。 第2段階の 「石鹸手洗い」については,石鹸手洗いの 原則である 「泡立て」を した者はいなか った。その様子 は,石鹸を皮膚の表面 に軽 く 「まぶす型」か,力を込め て 「擦 りこむ型」の 2つに大別できた。 なかには,特例 と して液体石鹸を一瞬だけ手掌に乗せて,そのまま何 も せず洗い流 した者 もあ った。石鹸を 「まぶす型」か 「擦 りこむ型」のいずれ も,それを行 う部位は,手掌が圧倒 的に多 く (98.2%),ついで手背 (76.8%)であ った。 指間は37.5%と少なく,4箇所すべてを洗 う場合 と一部 分 しか洗わ ない場合があ った。年齢別に見 ると (図 7), 6歳児の中に,指先 ・手首 ・栂指 を洗 った者が1- 2人 (3.6%未満)いたのみであ った。 年齢別 にみ ると (図

8)

,

3

歳児 と

6

歳児の一部が指 間を洗 うという手順をふんでいた。 第3段階の 「洗い流す」については,流水下で合掌 し拝 むように したまま動かない 「拝み型」,水をかけているだ けで手を擦 らない 「滝うたれ型」などが特徴的であ った。 石鹸分をすべて落 とす ことが原則であるのに,大半は

(5)

101 幼 児の手洗 い技 術 に関す る研究 石鹸分のぬめ りを認識 したまま終了 していた。中には, 石鹸 の油分で手が光 っているような状態 (事例17・40・ 45)もあ った。ペーパータオルで水分をふき取 る際,その 石鹸分のぬめ りをこそぎ落 とそうとす る動作が見 られた。 図8.石鹸手洗いで洗 う部位別割合 一方,それ とは対照的に,少量た りとも石鹸分が残 ら ない よ う40秒 以 上 もか け て洗 い流 した り (事 例6), 「(石鹸分が)とれ ない」 と辛そうに訴えなが ら,水量 を 増や した り (事例

2

6

)

,蛇 口の石鹸分 を完全 に落 とす よ う注意 をは らう場面 (事例

1

8)

もあ った。

4.

手の汚れ は,泥遊 びの泥や食べ物 など目に見えるもの と,常在菌や付着菌 など目で見 ることができないものに 大別 され る。今回は,手洗いの前後では汚れ をブラ ック ライ ト下で視覚的に捉えるプロセスを組み込んだものの , 手洗 い時には, 目に見える汚れはなか った。つ まり,幼 児の手洗いは,泥や絵の具 とは異 なり付着 した汚れを確 認す ることがで きない場合,それ を洗い落 とす技術は未 熟であるといえ る。幼児期の石鹸手洗いは,マナー と し ての意味はあるか も しれ ないが,衛生的 な意味 は期待で きないと思われ る。 成人の洗 い残 し部位 と比較す ると,指先 ・指間に多 い ことは共通 している。 しか し,成人のように爪の溝や生 命線 な どの深い しわ に ピンポイ ン トな残 り方 をす るので な く,広範囲にわた りかた まって残 ることが特徴 と言え る。 この理 由については,石鹸を泡立て られたか どうか , 手 をこす り合わせ るか どうか,その時の負荷が適度 に強 いか どうか,流水で石鹸分 をすべ て洗い落 とすか どうか など,ひとつずっを細か く検証 していか なければな らな い。 3歳か ら6歳児を対象 と した研究であ ることか ら,辛 の巧撤性 との関係が大前提 と して存在す る。洗い方 と し て,手掌 と手背 しか洗わ ない場合 も多か った ことは,辛 洗 い-手を擦 り合わせ るという意識があ ることは確認で きた。 今回の結果は,保育所では積極的な手洗い指導を行 う 前であ り,家庭での しつけとの関連性が高いと推察す る。 その意味で,今後の保育に どのように反映 させ るかを検 討す る資料 と して重要 な位置づけ になると思われ る。

0-157の集団発生以来,保 育所で は,有害 な病原体が園児 の体 内に侵入す ることを防 ぐ目的で,消毒薬 を使用 して いる。本研究では,幼児の石鹸手洗いの技術が未熟だ と いう結果が得 られたが,だか ら消毒薬 を使用す ることが 必要 と,安易に判断 され ることを私は懸念す る。幼児期 の皮膚 は敏感で,薬品による肌荒れや ア レルギー症状 な どリスクも考え られ るため,使用は必要最小限にとどめ るべ きだと考えている。 石鹸手洗 いは,水道設備があるところで手軽 に行えて 経済的でもあ り,最 も手軽 な感染予防策 と言えるだろう。 つ まり,幼児の手洗 い技術 に不足 してい る手順,指先 ・ 指間 ・栂指を満遍 な く洗 うことを指導す るべ きであろう。 さ らに,食事前 ・外遊びの直後 ・排便後 というタイ ミン グの手洗いは,幼児のそばで手洗いを観察 して適切 な習 慣づけを促す きめ細か な関わ りが鍵となると考える。 人間形成の基盤をなす幼児期 に関わ る専門職 と して, こう したエ ビデ ンスをもとに意味ある関わ りを実践 して いきたいと考える。

5.

今 後 の 課 題

これ まで成人を対象 とす ることが主流であ った手洗い 技術 を,幼児期 に着眼 して調査 したことに本研究の意義 がある。 しか し,被験者が56人 と少 ない上,年齢間のば らつ き もあ り,結果を一般化す ることには限界がある。今後は,

(6)

データを蓄積 してい くことが課題のひとつである。 また , 衛生学的見地か らは,皮膚の付着菌が手洗いの前後で ど のように変化 したのかということが,重要 な課題 と思わ れ る。今後は, この 2点 を解決すべ く継続的な研究 を行 いたいと考えている。

研究に協力 していただきま した富山保育園の皆様に感 謝いた します。 なお,本研究は,平成13年度中国短期大学特別研究助 成を受けて行 ったものである。

1)Taylor,L.♂.:Anevaluationofhandwashing techniques-1,NURSINGTIMESJANUARY.12:5 4-55,1978. 2)林みつ る,岡田淳子,宇野恵子,原田真澄 :手浴に おける手指汚染除去効果 一教育的始点か ら看護学生 の手浴実習を検証す る-,川崎医療短期大学紀要 vol.22:3ト37,2002. 3)土井英史 :看護学生を対象 と した手洗い教育に関す る研究,INFECTIONCONTROL.(8):98--101, 1999. 4)西田博 :手洗いのバイブル :1997,株式会社光琳 . 5)広瀬幸美 ・矢野久子 ・馬場重好 ・小玉香津子 ・木村 哲 :衛生学的手洗い実習における看護学生への教育 効果 一手指汚染を視覚的に即時に確認できる装置を 使用 して-,環境汚染 .vol.14,no2:123-126,1999.

図 1.Gl i t t erBag ;東和医療器KN‑ 2 02 0 専用の蛍光 ローシ ョンを 1 プ ッシ ュ分,両手に満遍 な く 塗布 した 。Gl i t t e rBag のブラ ックライ ト下 にて,完全 に塗布で きてい ることを確認 した上で,「いっ ものよう な洗い方で石鹸 を使 った手洗いをす る」 よう依頼 した。 原則 と して,手洗いに要す る時間は研究者が誘導 した り 規制 した りせず,被験者の意志を重視 した。手洗 いが終 了 した段階で,研究者がペーパー タオルを手渡
表 3. 洗い残 し年齢別平均値 手 掌 . 側 手 背 側 指 間 手掌( 3 領域) 指 先 描 手 首 手背( 3 領域) 爪 描 手 首 3 歳児 1. 3 3 1

参照

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