ミツバチ科学
(
2
0
0
0
)
21
(
2
):91
-9
4
第
36
回 ア ピモ ンデ ィア,
バ ンクーバ ー大会 に参加 して
高橋 匡,藤本琢憲,松香光夫
カナダ ・アメ リカ西海岸旅 日記 昨年 のネパ ールでのAAA大会 に参加 して以 莱, また玉川大学 の企画 された第36回国際養 蜂会議 に参加す ることがで き,本当に有意義 な 経験をす ることがで きた.私 自身,養蜂 に関係 して30余年 の経験 はある ものの,今 までは, 自己流で手探 りの-チ飼 いであ った.毎年, ミ ツバチ科学研究施設での研究会 に参加 し,それ なりに勉強 し,役立たせていただいて きた. ア ピモ ンデ ィアの会議 は初 めてで,私 ごときが理 解で きるのか どうか,不安 と大 きな期待を持 っ て参加 した.参加 の もう一つの理 由は,今回の スケ ジュールの中にサ ンフランシスコとフレズ ノが含 まれて いた こと もあ る.それ とい うの も,35
年 はど前 フ レズノの近 くに一年 ほど遊 学 した ことがあ り,当時 ホームステイでお世話 にな った ご主人が,昨年 の1
2
月 にな くな られ たので,お悔やみの ご挨拶 に行 く機会 と, また 当時の友人が,バ ンクーバ ーとサ ンフランシス コの近郊 にいるので是非会 いたいと思 ったか ら である.9
月1
2
日1
5
時 に成 田 を出発 し時差 の関係 で,その夕方 に会場 に着 いたが,港のそばの素 晴 らしいところで,外洋航路の客船が停泊 して お り,35
年前,Pr
e
s
i
de
ntWi
l
l
s
o
n
号でサ ンフ ランシスコの港 についた ときの感激を思 い出 し た.会場 の中は,世界各国の人々で賑わい圧倒 された. あ とか ら聞 くところによれば50
数か 国 か らの総 参加 人 員 は,3,
000
人 以上 との こ と.歓迎の集 い (レセプ ション) はカナダ色豊 かな催 し物が繰 り広 げ られEg際会議 な らではの ものであ った.1
2
日を2
日分過 ご したよ うな 図1 展示さjlるものはピンからキリまで.格調高い 家具調の観察巣箱と「本物のアフリカ蜂化 ミツ バチ」入りのヨーヨー 感覚で長 い一 日となった. 13日か ら各 シンポ ジウムに分かれての講演, 活発 な質疑応答が行われ,私 も理解で きないな が らも関心のあるシンポジウムに参加 しEg際会 議 の雰歯気 を,肌 を通 して十二分 に体得 で き た.時間のある限 り,各社 の展示 ブースを見て 回 り,多 くの珍 しい器具 にふれ参考 になった. その中で も特 に興味をひいたのは,格調高 い家 具調 のガラスケースのなかに ミツパテを入れ, 熱帯魚や小鳥 を鑑賞す るように室内に置 き,多 分 アロマテラピー効果を期待 してるのかなと思 った器具である.1
5
日の, テ クニカル ツアーは養蜂場 とマル ハナバチによる トマ トの栽培農家の見学で,規 模の大 きいのはもちろんの こと, カナダの養蜂 の一端 を見学 で きた ことは非常 に参考 にな っ た.会議の合間を利用 して,
別 のツアーに参加 し初秋のバ ンクーバー近郊 を十分堪能す ること もで きた. 閉会式 は, 多 くの人 たちが2001
年の南 アフ リカ大会での再会を約 して盛大に,名残惜 しく 幕を下 ろ した.6日間の会議 に参加 して感 じる ことは,今 まで何気 な く ミツバチを飼 い,接 し て きたが,古 くか ら関わ りを持 ち神秘な昆虫 と して多 くの人たちを魅了 して きた ミツパテが, 今後 ますます研究 され, ただ蜜を採 るだけでな く人類 に深 く各分野 に関わ って くるということ だ った. 翌 18日サ ンフランシス コ郊外のサ ンアンセ92 図 2 カリフォルニア州フレズノ郊外にあるデーダ ント社の前で ルモにア ピセラピス トで養蜂家のマイケル ・プ ロフマ ン氏を訪ねた.地元 の養蜂家 たちがパ ー テ ィーを開いて下 さり,時間を忘れて交歓す る 楽 しい一時を過 ごす こともで きた.そんなわけ で ヨセ ミテには,真夜中の到着 になったが,翌 朝 は,小鳥のさえず りと,大 自然の素晴 らしさ に圧倒 され,寝不足 もいっぺんに覚めて しまっ た.一 日ヨセ ミテの大 自然 を満喫 し, フレズノ に到着,一行 と別れてホームステイ した家を訪 問 し, ご主人 の御霊前 にお参 りす ることもで き,私的な目的 も果たす ことがで きて感謝 して いる. 20日養蜂器具会社 のデー ダン ト社 を見学 し た.
7-8
年前 に人工授精装置を購入 しに訪 れ たときと比べ,場所 も移 り,新 しく大 きくな っ てお り, カ リフォルニアで も養蜂業が盛んにな っているとの説明 もあ った.サ ンフランシスコ -の帰路, セ ン トラルバ リーを走 るといっ もな が ら,広大な大地 に広が るアメ リカ農業の大 き さには驚 く. カ リフォルニア農業 も来 るたびに 変わ っている.セ ン トラルバ リーはカ リフォル ニアの農業の申 し、地帯で野菜 ・ブ ドウ ・柑橘 ・ 畜産 ・穀物等農産物の生産 は高 いが,今では, 個人での農業経営 は難 しく,特 に日系農場 は, 世代交代期で,農地 は大 きな会社 に貸 し出 した り,売 り渡 した りしているとの こと,後継者問 題 は 日本 と同 じよ う.大 型化 ・機械化 す る中 で,今 なおアメ リカ農業 は, メキ シコ人労働者 に依存 しなければな らない問題 を抱えていると の ことであ った. 最後の 日は,一行 と別 れ,友人の迎えでプラ イベー ト飛行機で彼の農場 を訪れた.35-6年 で アメ リカ ン ドリームを達成 し, ポ ッ トマム ・ カーネーションではカ リフォルニア一番の農家 にな り,2-3年後 には,ラン栽培で個人農家 と しては世界一 の農場 にな ると語 る姿をみて,今 なお彼の中に鶴 るパ イオニア精神 には敬意の念 に打 たれ,成功 を心か ら祈 った.帰路空か ら見 るサ ンフランシスコの夜景 は, この世の ものと は思えないほどの素晴 らしい眺めであった.期 待以上 の多 くの収穫 と,素晴 らしい思 い出を胸 に,サ ンフランシスコを後 に した. 今回の企画をされた玉川大学 の関係者 に深 く 感謝す るとともに,楽 しく御一緒 させていただ き,公私 ともにご面倒お掛 け した諸姉諸兄 には 心 よ り御礼 申 し上 げる. またいつか,御一緒で きる日を楽 しみに している. ttミツパテと ともに過 ごせ し 我が半生 花を求めて 余生楽 しむ''(高橋 匡) プロポ リスとア ピモンデ ィア アピモ ンディア (世界養蜂協会連合)が主催 す る第36回 国 際養 蜂 会 議 が 1999年 9月12 日 (日)∼17日 (金)にカナダ ・バ ンクーバ ー 市で開催 され, これに初めて出席 した. 現地空港 に到着 したのが午前11時,開会式 が午後7時なので,それまでの間,観光バスで 市内観光 と昼食を摂 って,滞在中の宿舎ルネ ッ サ ンス ・バ ンクーバ ーホテルに入 る. ここか ら 会場 のバ ンクーバ ー貿易会議場 まで は歩 いて 10分の距離であった. 開会式会場 ホール A は 3000名近 くの出席 図3 会議場外観.左には外国航路の大型客船が停泊者で満席であ った. まずバ グパイプの行進が場 内を一周 し,郷土芸能で盛 り上 げて開幕.開会 の挨拶 に続 いて ア ピモ ンデ ィア7つの分科会 の各委員長がそれぞれ基調講演を して, またバ グパイプの行進で閉会解散. 翌 13日 (月)よ り朝8時半か ら全体講演会, シンポ ジウム,一般講演, ワークショップ, ポ スター発表の各形式で開催 された. ア ピセラピーに関連す る部門の会場 に出席 し た. ニュー ジーラン ドの演者 による生産物の市 場報告では, プロポ リスの値段が 日本で高 いこ とをやんわ りと非難 し,科学的証明の付加価値 をっけて安 く提供で きるといっていた. プ ロポ リス に関す る 日本 か らの発表 は計3 題である. まず一般講演の部では,富山医科薬 科大学和漢薬研究施設 グループのプ ロポ リスの 薬理作用があった.要 旨はブラジル産 プ ロポ リ ス原塊 を水, メタノール, クロロホルムで順次 抽出 してそれぞれの抽出エキスについて肝細胞 保護作用,フ リーラジカル消去作用,抗菌作用, さ らに腫癌細胞 に対する細胞毒性 と抗侵入活性 を試験 した.水抽出エキスには強い肝細胞保護 作用 と活性酸素阻害作用があ り, このエキスか らカフェオイルキナ酸誘導体が単離 され, それ らの構造 も合成 により確認 されいずれ も肝細胞 保護作用を示 した. メタノール抽 出エキスは腫 癌細胞増殖活性を示 した. このメタノール抽出 エキスを分画 して, ラブダン型 ジテルペ ン, ク ロマ ン誘導体, フラボノイ ド等23種 の化合物 を単離 し,構造 も決定 して,それぞれの活性 も 調べた. クロロホルム抽 出エキスに も抗侵入活 性 が示 され た.1つ の演題 と して は盛 り沢 山 で, もったいない感 じを受 けた. ポスターの部では2題 で,まず 1つは岡山大 学薬学部 と ミコーダループの共同発表で, ラッ トにおける D一ガラク トサ ミン誘発肝障害 に対 す るプロポ リス抽 出エキスの効果 と題 して
,D
-ガラク トサ ミン誘発肝機能障害 に対す るプ ロ ポ リス抽出エキスの保護効果 を ラッ トを用 いて 検討 し,プロポ リス抽出エキスが肝機能障害 に 対 して改善効果を現す ことを示 していた.他 の ひとつ は玉川大学 ミツパテ科学研究施設か らの 93 HPLCとU
V吸収 スペ ク トル によ るプ ロポ リ スの比較である.要 旨は, プロポ リスは日本で は広 く利用 されてお り,1988年 に設立 された 日本 プ ロポ リス協議会が定めた品質基準 には特 定の波長 におけるU
V吸収率が含 まれ る.具体 的には,プ ロポ リスのエタノール抽出物(EEP) は270-310nmの問で ピークスペク トラムを 示す こととな っている. しか し生産地 によりス ペク トル ・パ ター ンに違 いが見 られ ることがわ か って きた.世界各国各地で生産 されたプ ロポ リス原塊 を集 め,エタノールで抽出 し,各EEP の スペ ク トルを分光光度計 で調 べ,同 じEEP をHPLCで分析 した結果 と照合 した.ス タ ン ダー ドとなるフラボノイ ド頬 も同様 に処理 し, そのスペク トルはデ ジタルに記録 した. これは フラボノイ ド頬を望 ま しい成分組成で別途調合 す る際に比較 しやす くす るためである,云 々. ポスター会場では.発表を取 りやめたのか展 示場所の空 白が 目立 った. 15日 (水)は地域視察 テクニカルツアーはい くつかのコースがあ ったが,私 たちは養蜂場 と マルハナバチによる トマ ト栽培農家およびワイ ナ リ-を見学 した.開会式場 の数倍 はあろうか と思われる広 さのハ ウスである. 1株が 8m に 成長 す る トマ トの授粉 にマル- ナバ チを利用 し, 果実が220gになって収穫す るという. 1 家族 で作業 して いる とい うが 1株 ずつ水耕式 に栽培 しているのでたいへんな労力であろう. 16日 (木)はオプ ショナルツアーに参加 して キ ャビラノ吊 り橋公園観光 とブラウス山頂展望 台 に行 く.山上 は生憎の雲がかか っていて眺望 は零であ った. また来て下 さいと云 うことか ? 図 4 キャンセルの目立つポスター会場9.1 ア ピェクスポ開場の各国製品展示 は興味深 く 楽 しか った. プ ロポ リス商 品 を数種類購入 し た.初 めて参加 した国際養蜂会議であるが,火 傷や切 り傷 に-チ ミツで治療 した こと,ハチ毒 でパ ーキ ンソン病や神経痛 などを治療す る等, ア ピセ ラピーが治療学 と して認知 され る日もそ んなに遠 くないと感 じた. (藤本琢憲) アメ リカ的なア ピモ ンデ ィア運営 今回のア ピモ ンデ ィア大会 には,玉川大学 に 事務局のあるアジア養蜂研究協会の主催 (プ ロ ポ リス研究者協会協賛)で23名の ツアーのほ か, 日本養蜂 はちみつ協会,兵庫県養蜂組合 な どの団体, その他個人参加 など, 恐 らく80名 以上の 日本人が参加 した と思われ,総参加者数 3000人 を越 え る大会 とな った. ア ピェクスポ の展示 に も大阪の東養蜂場 のエ ン トリーがあ っ た. 日本か らの発表 は シンポジウムに 4題 (玉 川大2,筑波大 2),一般講演 に2題 とポスター 発表2題であ った.玉川大学か らの シンポ ジウ ム発表 は, マルハナバチに関す る小野助教授 の もの と, ア ジアの養蜂雑誌 をまとめた中村講師 が請われての ものであ った. ア ピセラピー部門 の3題 は,いずれ もプ ロポ リスに関す る研究成 果であ った (藤本報告参照). ア ピセ ラピーに関連す る部門 は,今 までにな く充実 した構成で,全体講演会,シンポ ジウム, 一般講演, ワークショップ, ポスター発表の各 形式で開催 された. これは同分科会の シェル ブ リエ委員長 の采配 によ る ところが大 きいよ う で, ア ピセラピーの科学的基礎 を固めよ うとす る一方で,実践へ も広 げてゆ く努力の現れのよ うに感 じられた. 大会初 日の開会式の模様 は別途 の報告 による が,夕刻 に行われた非公開のア ピモ ンデ ィアの 総会で,会長 の交代 (フランスのボルネ ック氏 か らデ ンマークの ヨルゲ ンセ ン氏へ)屯ど重要 事項が決定 された.その中で, ア ビモ ンデ ィア の7つの分科会の委員長,委員の構成 について も審議があ ったようで, 日本か ら養蜂経済の渡 辺英男委員長が留任, ア ピセ ラピー分科会委員 に松香が加え られた. 図5 EXPOに日本から唯一出展 した大阪の棄民の 展示ブースで 内情 に詳 しい渡辺氏 によれば,今回の大会運 営 にはア ピモ ンディアに加入 していない米Egの 意向が強 く反映 した もので,合理的な反面,か な り商業主義的な色彩の強い ものであ った.そ う言われ ると,言語が英語 のみに限 られ る強引 さ (本来 ア ピモ ンデ ィアで は5か国語が公用で ある) に加 えて,全体講演や シンポジウムなど では主催者 の路線が明 らかで,それだけにキ ャ ンセルの少 ない効率 的 な運営 が な されていた が,一般 講演 や ポス ターが隅 に追 われ た感 じ で,欧米圏外の人 たちには参加 しに くい部分が あったよ うに も感 じられた. 玉川大学 は,バ ンクーバ ー市の対岸バ ンクー バー島に校地を持 ってお り,大会期間中に農学 部の学生が実習中であったので,関係者で訪問 しようという計画 もあったのだが,大会を優先 させたほど,充実 した会議 だ ったともいえる. 会議終了後 ツアー一行 は米国に入 り,サ ンフ ランシスコ郊外マ リン郡 の養蜂組合 と交流 を し た り,フレズノ市 にデーダン ト社 を訪 ね,また, カ リフォルニア大学 デイ ビス校 の ミツパテ生物 学研究所 を訪ねた.同校 のペ ン教授 は台湾出身 で,お りしもその朝 に起 きた台湾での大地震 に 縁者 の安否を尋ねてまん じりともしない時であ ったの に,懇切 な ご案 内 を いただ いて恐縮 し た. その帰途 に同大学の もう一つの代表校,バ ーク リーに寄 ったのを機会 に皆 さん と別れ,私 自身が