• 検索結果がありません。

人の肌の数値生体モデルの構築と光反射特性の解析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "人の肌の数値生体モデルの構築と光反射特性の解析"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

長野大学紀要 第37巻第2号 25―26頁(51―52頁)2015 - 25 - 研究実績の概要 本年度は人間の肌の数値生体モデルの試作を行っ た。本研究では肌の反射特性を定量化するだけでな く、計測データから容易にモデルパラメータが推定 できるモデルの開発を目指している。本年度は特に 人間の皮膚の内部構造や構成要素、さらにそれらの 光学特性から、数値モデルのデータ構造と処理アル ゴリズムを設計し、数値生体モデルの試作を行った。 次に試作した数値モデルに対してフォトン(光子) の動きをモンテカルロ法で計算し、光反射の様子を シミュレートして光反射解析を行うため手法を開発 した。試作したアルゴリズムは、FreeBSD上のソフ トウェアとして実装した。この結果、皮膚内部の生 体シミュレーションを行うためのプラットフォーム のうち光反射に関する部分が構築され、ここに実際 の皮膚の物理的な材質や材質分布を設定することで さまざまな皮膚内の光反射のプロセスがシミュレー トできるようになった。 そしてこれまで申請者らが肌計測用に開発した光 反射計測系を本申請の研究内容に適するように改良 した。ここでの改良点は、光反射計測系の照明方向 や観測方向のキャリブレーション部分の精度を向上 させ、数値計算のために必要なモデルパラメータを 直接獲得できるようにしている。このことから提案 手法の計算結果と実際の被験者の肌表面で発生する 光反射特性を比較実験し、その結果をフィードバッ クしながら、モデルの精度を高めることができた。 このとき試作した光反射計測系に対して、ミクロな 領域にも適用できるように光源システムと画像計測 部分の改良を行った。そして本申請で計上した分光 光度計で計測機器のキャリブレーションを行い、ど の程度の精度で肌の反射光強度や色が計測できてい るかを検証した。この計測系では人の顔などを対象 に短時間に照明条件を変化させた多数の顔画像を計 測できるように連続的に照明方向を変化させ、それ を無圧縮の動画像として計測できるようにした。こ の計測データから人の反射特性としてモデルパラ メータを推定した。このような成果は、当初予定し ていなかったが、新たな研究成果として人間の肌の 反射特性計測の簡便性が向上した。 また、肌の反射特性計測の簡便性が向上したこと により、当初の予定に加えて、試作モデルの一部を 人の顔のCG再現手法に試験的に適用し、肌の色に加 えて陰影、光沢などの肌の状態を計測した。人の顔 部分は複雑な形状をしているうえ、人の肌は半透明 な生体組織の集まりなので複雑な反射特性を持つこ とから、この肌の反射特性の定量化に貢献できる知 見を得ることができたと考えられる。本研究の成果 によって複雑な照明環境下でも人の肌のCG再現が ある程度可能となった。特にシーンの照明環境は物 体を見る上で重要な役割を持つ。たとえば、人の肌 の色の見え方は周囲の照明環境に依存する。たとえ ば、暖炉の前やコンサートホールといったところで は、同じ人でもその印象が変わってしまう。このよ うに人間の肌の反射特性を精密に記述するためには、 その人の肌だけでなく周囲のシーン照明環境の情報 も必要となる。特に複雑なシーン照明環境下では、 *企業情報学部教授

(基礎研究)

人の肌の数値生体モデルの構築と光反射特性の解析

田 中 法 博*

Norihiro TANAKA

(2)

長野大学紀要 第37巻第2号 2015 52 - 26 - 全方位のいたるところから照明されるため、肌の反 射のプロセスのモデル化にはそのシーン内の光源の 空間分布を知る必要がある。こういった実際のシー ン照明環境の情報を扱うためにはDebevecらが提案 しているImage Based Lighting (IBL)という手法があ る。この方法は鏡面球や魚眼レンズを用いて全方位 のシーン照明の空間分布を画像情報として計測し、 その画像情報を光反射計算時の光源情報として用い る。本研究ではこの知見を活かして、実際のシーン 照明に近い環境下での肌の光反射プロセスのシミュ レーションを行った。ここでは光の計算は分光ベー スの計算に基づいて行っている。特に光源の分光分 布や物体表面の分光反射率はそれぞれの光源や物体 固有の物理情報であるため、カメラなどの計測系の 特性に依存しないという利点があるため、モデルに 画像情報を組み込むためには重要となる。 構築したモデルと計測データに基づいて実際の人 間をCG再現して、その再現精度を視覚的に確認した。 この検証実験のため本助成金で4K解像度のディス プレイを導入し、人間のCGの再現精度を検証した。 この結果、周囲の照明環境に応じて肌表面の陰影表 現など視覚的なレベルでは適切に再現できるように なった。 以上のように本年度は、数値生体モデルとしての 光反射モデルの試作を行ったことでいくつかの重要 な成果が得られた。しかしながら、現時点でのモデ ルは実際の人間(個人)の皮膚内部の物理的な要素 とは直接対応しておらず、多くの部分で統計的な仮 定に基づいた設計となっている。次年度は実際の人 間の皮膚内部の物理的に詳細な要素をモデルに組み 込んでいく予定である。 本年度の研究成果の一部は、日本色彩学会コスメ ティクスと肌研究会で学会発表し、また、国際会議 (AIC2015)でも発表した。本年度の研究成果は現 在、学会誌学術論文にまとめている段階である。 研究発表 学会発表

1.S. Hong, N. Tanaka and K-Mochizuki : A Spectral Reflectance Measurement System for Human Skin by Using Smartphone、国際色彩 学会(AIC 2015)、2015年5月20日、Sola city conference center, TOKYO

2.祢津明澄、田中法博、望月宏祐:肌のCG再現の ための照明環境計測、日本色彩学会 コスメティ クスと肌・顔研究会、2014年10月3日、産業技術 総合研究所 臨海副都心センター 3.北澤紗英、田中法博、望月宏祐:人の顔部分の光 反射特性計測に関する一手法、日本色彩学会 コ スメティクスと肌・顔研究会、2014年10月3日、 産業技術総合研究所 臨海副都心センター

参照

関連したドキュメント

この説明から,数学的活動の二つの特徴が留意される.一つは,数学の世界と現実の

仏像に対する知識は、これまでの学校教育では必

び3の光学活`性体を合成したところ,2は光学異`性体間でほとんど活'性差が認め

第 98 条の6及び第 98 条の7、第 114 条の 65 から第 114 条の 67 まで又は第 137 条の 63

しかし , 特性関数 を使った証明には複素解析や Fourier 解析の知識が多少必要となってくるため , ここではより初等的な道 具のみで証明を実行できる Stein の方法

が多いところがございますが、これが昭和45年から49年のお生まれの方の第二

光を完全に吸収する理論上の黒が 明度0,光を完全に反射する理論上の 白を 10

・条例第 37 条・第 62 条において、軽微なものなど規則で定める変更については、届出が不要とされ、その具 体的な要件が規則に定められている(規則第