千葉県のパートタイマー2008
―アンケート調査報告(2008年 6 月∼ 7 月)―
星
真 実
はじめに
本論文は、第 3 回「パートで働くみなさんへのアンケート」1 ) 調査(隔 年実施)の結果報告である。2008〈平成20〉年 6 月 7 日から 7 月18日の約 1 ヵ月半に亘り、過年度調査同様、千葉県内各駅周辺2 ) で街頭調査を実施し た3 ) 。地域調査の一環として、調査対象者は千葉県内に限定しつつ、労働 移動の観点から居住地・勤務地(=パート先)の一方が東京都・他県であ っても、もう一方が千葉県内である場合は有効とした。 「パートタイマー」の定義は「短時間労働者」であること以外極めて曖 昧であり、若年パートタイマーと「フリーター」との境界は、女性では未 婚か既婚か−いわゆる「主婦パート」−という判断基準もあるが、男性で は35歳以上(いわゆる「フリーター」から「中高年パート」へ)という年 齢制限の他には線引きし難い。そこで本論文では、職場での身分的呼称と 相違があるかも知れないが、自称「パートタイマー」であることを第一義 とした。附言すれば、雇用者視点では人件費を抑えること−正社員の代替 として、どの場所に、何時間、何人配置するか−が重要であって、「パー ト」か「アルバイト」かの身分的呼称差など二の次であろうから。 以上の観点から、有効回答334枚(内訳は、女性293人、男性41人)4 ) に ついて、可能な限り2004年度、2006年度調査との比較を交えながら、その 集計・分析結果を報告したい5 ) 。1.基礎データ
1-1.年齢階層別分布 5 歳毎の年齢階層別に見ると(有効回答334人)、平均年齢は37.8歳(女 性38.9歳)だが、「35∼39」歳層は実数下位で、「20∼24」歳と「45∼49」 歳の 2 つを頂点とし、働く日本女性の労働力化率を描く典型的線形−「M 字型」−となった。 1-2.居住地域と勤務地域 居住地域別30市町、勤務地域別22市町、千葉県内延べ32市町に跨ってア ンケートを回収することが出来た。地域別回収数(有効回答334人)では、 千葉市が居住地域(105人)・勤務地域(111人)共に群を抜き、次いで船 橋市、市川市、習志野市の総武線沿いが大勢を占めた。 1-2表の「居・勤一致」は、居住地市町が勤務地市町(=パート雇用先) と重複している人数である。2006年度調査では87.19%と極端に高い一致 率を示したが、今回は64.97%と職住接近値を下げた。但し、酒々井町→ 成田市、習志野市→船橋市、大網白里町・茂原市→東金市など隣接地域に、電車で一駅区間や自転車など30分圏内の移動が殆どであった。 「パートを選ぶ時に重視するのは?」(複数回答775件、回答者実数333人) への回答でも、職住接近重視傾向にやや変化が見られた。2006年度調査 1 位の「通勤時間」(47.26%)は、今回調査では 3 位(44.14%)に下がり、 1 位が「時間帯」(51.35%)、 2 位が「仕事内容」(49.85%)の順となってい る。「パートタイマー」という身分から自明の結果かも知れないが、「やり がい」重視は15.42%(2006)から12.61%(2008)へと更に割合を下げた。
「その他」6 件は、「人間関係」(21歳男性、ショッピングモール)、「未 経験でも大丈夫か」(24歳女性、生命保険会社)、「ほこりを持ってやれる 仕事かどうか」(28歳女性、レストラン)、「親類がやっている店だから」 (40歳女性、コーヒーショップ)、「休暇が取りやすい」(49歳女性、介護職)、 「長時間なので母の食事の仕度が出来る様考慮してもらったこと」(51歳女 性、焼鳥屋)であった。
2.労働に関わるデータ
2-1.パートタイム労働の種類 「何のパートをしていますか?」というアンケートへの回答は、「サービ ス業」「飲食店」など産業回答、「ウェイター」「レジ」「事務」など職業回 答、店舗名まで区々であり、自分が何の「業種」「職種」でパートタイマ ーとして働いているかという認識は意外に希薄なようだが6 )、分類可能な 情報を得ることには成功したため、以下に産業別・職業別で考察を行いた い。 a)産業分類(有効回答312人):総務省統計局「日本標準産業分類(平 成14年 3 月改訂)」に基づく大分類では、1 位が「卸売・小売業」129人 (43.59%)と群を抜き、2 位が「飲食店・宿泊業」79人(25.32%)、3 位が「サービス業」56人(17.95%)の順であった。2006年度 2 位の「医療福祉」 (16.49%)は、今回 5 位(2.24%)と少数であった。「林業」「漁業」「鉱業」 「不動産業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「情報通信業」「公務」「複合 サービス事業」に該当はなかった。 参考までに、具体的に記入された職場・店名など 224人分を、産業分類 に即して細目化すれば以下の通り−〔 〕内は基本女性、併記は〔女性、 男性〕順の該当人数。
・農業:造園〔1〕、鉢花出荷〔1〕。 ・建設業:リフォーム現場管理〔0, 1〕、建設経理〔2〕。 ・製造業:紙工場〔1〕、機械加工〔0, 1〕、サッシ組立〔1〕、採便管製造 〔1〕、電子部品組立〔1〕。 ・運輸業:倉庫内作業〔11, 4〕、メンテナンス〔1〕、運送会社〔0, 1〕、OA 機器配送〔0,1〕。 ・卸売・小売業:スーパーマーケット〔42, 3〕、ガソリンスタンド(セル フスタンド)〔8, 3〕、デパート・百貨店〔6〕、コンビニエンスストア〔2, 4〕、アイスクリーム店〔3〕、パン屋〔3〕、カメラ店〔2〕、書店〔2〕、フ ラワーショップ〔2〕、洋菓子販売〔2〕、アパレル〔1〕、玩具店〔1〕、携 帯電話販売店〔1〕、化粧品販売〔1〕、紅茶店〔1〕、駄菓子屋〔1〕、ディ スカウントストア〔1〕、ホームセンター〔1〕、眼鏡店〔1〕、薬局〔1〕。 ・金融・保険業:銀行・証券〔3〕、生命保険会社〔1〕。 ・飲食店・宿泊業:ファミリーレストラン〔13, 1〕、コーヒーショップ店 〔9〕、焼肉店〔6〕、ファーストフード店〔5, 1〕、居酒屋〔1,5〕、寿司(回 転寿司)店〔3, 2〕、焼鳥屋〔3〕、ラーメン店〔0, 1〕、パブ・スナック〔1〕、 ホテル〔1〕。 ・医療・福祉:介護士(ヘルパー)〔3〕、有料老人ホーム〔2〕、看護師〔1〕、 歯科クリニック〔1〕。 ・教育・学習支援業:学童指導員〔1〕、保育士〔1〕。 ・サービス業:パチンコホール〔13〕、清掃〔6〕、クリーニング店〔4〕、 日焼けサロン〔3〕、子供写真館〔2〕、テレフォンセンター〔1, 1〕、カラ オケ店〔0, 2〕、アミューズメント店〔1〕、校正サービス〔1〕、人材派遣 サービス〔1〕、接骨院〔1〕、リラクゼーションサロン〔1〕、警備員 〔0,1〕、マンション管理人〔0, 1〕。 職場別上位は、スーパーマーケット45人、倉庫内作業15人、ファミリー レストラン14人、パチンコホール13人、ガソリンスタンド11人であった。
b)職業分類(有効回答326人):総務省統計局「日本標準職業分類(平 成 9 年12月改訂)」に基づく大分類では、1 位が「サービス職業従事者」 148人(45.4%)で、2 位の「販売従事者」135人(41.41%)と合わせて、 2 職業で86.81%を占める偏りとなった。産業分類の「建設業」「小売業」 「金融・保険業」の事務担当が加算された結果、3 位が「事務従事者」26人 (7.98%)となった。「管理的職業従事者」「保安職業従事者」に該当はなか った。 2 位の「販売従事者」は、産業分類 1 位「小売業」の数値が反映された 結果である。産業分類 3 位の「サービス業」が、職業分類では逆転 1 位と
なった様に見える理由は、「飲食店」の大部分が中分類「接客・給仕職業 従事者」として加算されたことに因る。2-1-b表の通り、過年度調査に比 して 2 職業に偏る傾向が顕著であった。 2-2.労働日数 a)労働日数(有効回答325人)は、週当たり平均 4.5日であった。実数 では週 5 日労働が 155人(47.69%)と圧倒的で、次いで 4 日が 81人(24.92%)。 週 7 日労働に該当はなかった。 b)曜日別出勤状況(有効回答262人)は、平日出勤・土日週休という極 端な結果となった。出勤日別割合では、金曜 80.53%、月曜 78.63%、火曜 74.81%、木曜 74.43%、水曜 70.61%、土曜 41.98%、日曜 30.92%の順であ った。 2-3.労働時間 a)実労働時間(有効回答306人):一日当たり平均 6 時間15分だが、男 性平均 8 時間18分に対し、女性平均 5 時間58分と、男女差が浮き彫りとな
った。実数でも、男性最多は「8.0」時間の法定労働日(12人・31.58%) だが、女性最多は「6.0」時間(59人・22.01%)と、平均値を裏付ける結果 となった。「フルタイム」以上のパートタイマー率も、男性は68.42%だが、 女性は僅か17.16%であった。 なお、最短は 2 時間(55歳女性・56歳女性・59歳女性、いずれも清掃の 3 人)、最長は13時間(23歳男性・寿司店、28歳男性・居酒屋、36歳男
性・飲食業の 3 人)、女性の最長は10時間(44歳女性・ファーストフード 店、51歳女性・焼鳥屋の 2 人)であった。 b)拘束時間(有効回答300人):一日当たり平均 6 時間43分と、実労働 時間を28分上回った。有効回答数の違いから、男性平均は 8 時間15分と実 労働時間を下回る現実離れした数値となってしまったが、女性平均は 6 時 間30分と実労働時間を32分上回る結果となった。2-3-a図と見比べると、 「5.5」時間以下では大差ないが、「6.0」時間を上回ると30分から 1 時間ず つ緩やかに右シフトし、実労働時間では 8 人しか居なかった「9.0」時間が 45人となった。それに伴い、勤務先に「8.0」時間以上拘束されるパート タイマーの割合は、女性で 29.28%まで跳ね上がった。トイレ休憩、作業 前準備、後片付け・引継ぎなど、短時間労働であっても実際には時間外労 働もあろうが、食事など1時間弱の休憩を挟まないと数値として現れない のか、または社会的労働を行う際の「常識」として解消されているのかも 知れない。 c)週当たり実労働時間(有効回答300人):週労働日数×一日当たり実 労働時間で算出した週当たり実労働時間は、平均28時間28分だが、女性平
均は23時間 8 分で、実数でも24時間が30人と最多であった。但し、35時 間・40時間も各々28人が該当し、5 時間刻みでも「20∼24」(85人)を頂点 として、「35-39」と「40-44」を合わせた第 2 の山(78人)−M字型−を描く 結果となった。法定週労働時間40時間を超えるパートタイマーの割合は、 全数では前年並の20.33%(2006年度20.31%)だが、女性では14.5%と、 「2-3-a. 労働時間」同様にフルタイム率を下げた。 最低値は 8 時間(31歳女性・飲食店配膳、45歳女性・接客、週 2 日×45 時間の 2 人)、最高値は72時間(24歳男性・テレフォンオペレーター、34 歳男性・建設業、週 6 日×12時間の 2 人)、女性の最高値は60時間(51歳 女性・焼鳥屋、週 6 日×10時間)であった。 d)労働時間帯(有効回答300人):2-3-d図は、「出勤時間∼退勤時間」 表記を基に、30分毎の労働時間を全数積み上げた図である。過年度調査と 同様の線形を描きながら、9 : 00から17 : 00の日勤時間帯で100人以上が、 特にお昼の時間帯(10 : 00から13 : 00)に200人以上が集中している。対称 的に0 : 00から7 : 00までの深夜・早朝時間帯は一桁で、更に女性では 1 : 00 から6 : 30まで 0 人であった。
実数最多が 10 : 00から17 : 00(23人)であることも考え合わせ、社会的労 働を行うには出勤前・退勤後に様々な「主婦業」の制約を受けることは推 測に易い。朝食の支度、夫や子供の送り出し、洗濯・掃除などの家事を一 通り終えてから出勤し、退勤後は食料品・日用品の買出し、子供のお迎え、 夕飯や風呂の支度、場合によっては乳幼児・要介護者の世話も加わる。日 勤への集中は自明であると同時に、「家事・育児・介護の担い手は女性」 という社会的常識・ ・ ・ ・ ・を日本はいつまで続けるのか、些か疑問である。 2-4.賃金 a)時給(有効回答297人):706円から1,550円まで、職場によっては 1 円 刻みの昇給もあるが、全体平均では921.3円(2006年度 906.8円)であった。 但し、男性平均1,014.5円に対し、女性平均は 909.6円と100円以上差が開き、 実数最多も「850」円(47人)であることから、最賃額上昇に合わせた時給 額上昇傾向と一概には言えない結果となった。 最低時給額 706円(33歳女性・書店店員)は、千葉県地域別最低賃金時
間額(2007〈平成19〉年10月)と同額である。最高時給額は、1,550円(49 歳女性・銀行の証券業務)であった。
b)月収(有効回答224人):最少月収 2 万円(45歳女性・接客、週 2 日× 2 時間、時給820円)から、最多月収35万円(36歳男性・居酒屋、週 5 日× 13時間、時給1,000円)まで様々であるが、平均月収は108,964.29円であっ
た。但し、男性データ(平均 173,500円)を除外した女性平均月収 96,606.38 円という額の方が、「7∼9」万円が実数最多であることを裏付ける現実的 数値であろう。 所得税の源泉徴収額85,833円7 ) を超えない月収「8.5」万円以下の女性は、 2006年度よりも割合を下げたが(60.61%→50.53%)、依然半数以上に及ぶ。 年齢階層別に見た 2-4-b2図では、平均月収で「35∼39」歳と「55∼59」歳、 平均週実労働時間で「40∼44」歳と「55∼59」歳の 2 箇所が凹み、微量の 増減ではあるがどちらも「M字型」に見えなくはない。その意味では、線 形上異常に見えるのは「60∼64」歳で、定年退職年齢以降の無収入期間を、 週26時間のパートタイム労働による11万円という稼ぎで補わなければなら ないとすれば、① 年金受給開始年齢の引き下げ、② 定年退職年齢の引き 上げ、③ 短時間労働者にも退職金に相当する一時金支給制度の導入、など 何らかの対策が必要であろう。
2-5.パート経験数と継続期間 これまでのパート経験数(有効回答310人8 ) )は、平均2.5箇所であった。 「2」箇所が最多の83人で、「1」箇所78人、「3」箇所76人と1∼3箇所に 76.45%が集中した。年齢階層別に見ると、出産・子育てが一段落して社 会的労働を再開する時期に重なると推察される「40∼44」歳を底に、「M 字型」に見えなくもない。 現在のパート継続期間(有効回答310人)は、平均 3 年 7 ヵ月だが、50 ∼64歳に限定すれば 6 年 4 ヵ月と倍増する。経験数が少なくなる分−本意 か不本意かは別にして−、必然的に 1 箇所の労働期間が長くなると推察出 来る。年齢階層別に見ると、年齢に比例して継続期間が逓増することは必 然であるが、「30∼34」「40∼44」「55∼59」歳の 3 箇所に凹みがあり、結 婚、出産・子育て、夫のリタイアなど、各年代での人生の画期を直接反映 した結果であろう。 なお、現在のパート継続期間最長は、26年(46歳女性、週 5 日× 8 時間、
デパート販売・接客)で、20歳の頃から同一のパートタイム労働を続けて いる計算になる。 2-6.現在のパート先は楽しいか a)現在のパート先の楽しさ(有効回答325人)は、「とても楽しい」と 「楽しい」の計が 75.08%と大勢を占め、2006年度の数値(71.04%)を更に 上回った。「不満」は、僅か 2.46%であった。 「とても楽しい」(コメント36人)の理由別では、「周りの人が優しい」 「仲が良い」など「対人関係」の良好さが 24人、「学ぶことが多い」「好き な業種だから」など「仕事内容」が 9 人であった。他に、「ヤる時はちゃ んとヤって、ダラける時はダラける」(23歳男性)、「時間が自由」(50歳女 性)、「家事・仕事・趣味全部出来ること」(59歳女性)であった。 「楽しい」(コメント86人)の理由別では、「人とのふれあいがある」「い い人間関係を築けているから」など「対人関係」50人、「慣れている仕事 だから」「やりがいがある」など「仕事内容」32人であった。他に、「社員 旅行へ連れて行ってくれたりするため」(25歳女性・飲食店)、「関東の 色々な場所へ行ける」(26歳男性・OA機器配送)、「どこで働いても、大変 なのは当たり前。楽しむようにしています」(26歳男性・回転寿司店)「夫
の会社なので自由がきくところ」(47歳女性・建設業経理事務)であった。 「やや不満」(コメント47人)の理由別では、「立ち仕事なので」「人手不 足のため仕事がきつい」など「労働強度・労働環境」16人、「時給が安い」 「収入が少ない」など「賃金」12人、「人間関係が煩わしい!」「店長がう ざい」など「対人関係」11人、「正社員との仕事の量と給料の差」「保険が ない」など「社員との差別」6 人と、不満店が労働条件に偏っている。他 に、「最近は社員を減らしてパートにやらせる仕事が増えている気がする」 (49歳女性・スーパーマーケット)、「会社がいろんなことで違反をしてい る」(56歳女性・運送会社)であった。 「不満」(コメント 3 人)の理由別では、「待遇が悪い」(19歳男性・新聞 配達)、「店長が嫌い」(22歳女性)、「仕事内容に楽しさ、満足感がない」 (58歳男性・マンション管理人)であった。 パート先を「楽しい」と感じるか「不満」と感じるかは、「対人関係」 と「仕事内容」、その労苦への対価(=賃金)が見合っているか否かが、 分水嶺となっているようである。 b)パートで苦労したこと(複数回答 390件、回答者実数 324人)は、「対 人関係」(40.12%)が第 1 位、「特になし」(31.79%)が第 2 位で、2006年 度調査の上位入替となった。パートタイマーという時間切り雇用形態のせ いか、「サービス残業がある」は僅か 8.95%に留まった。 「その他」9 件は、「仕事に慣れるまで」(24歳男性・ファーストフード 店)、「いじめ」(28歳男性・飲食店)、「接客」(21歳女性・コーヒーショッ プ、28歳女性・スーパーマーケット)、「親類の経営する店なので人がいな い時に出なければならない」(40歳女性・コーヒーショップ)、「仕事の理 解力」(44歳女性・スーパーマーケット)、「10数年ぶりの社会人なので仕 事ができない。特にパソコン関係」(44歳女性・有料老人ホームの事務)、 「収入が不安定」(49歳女性・介護職)、「忙しいので人手が足りない時は大 変」(51歳女性・焼鳥屋)であった。
3.生活に関わるデータ
3-1.家族構成 同居家族数(有効回答281世帯)は、1 位が「4人」(34.88%)、2 位が「 3 人」(22.78%)で、平均家族数は 3.5人。最大家族数「 7 人」は、自分(22 歳女性)・祖父母・祖母・兄弟 2 人、自分(50歳女性)・夫・子供 3 人・義 父・義母、自分(57歳女性)・夫・子供 5 人の 3 世帯であった。 配偶者がいる割合は 59.79%、1 人以上の子供がいる割合は 53.38%、合 算すると65.12%が妻(一部夫)であり、母(一部父)である。平均子供数は 1.00人(281人/281世帯)と、2007年度平均出生率1.34人にも満たないが、 子供のいる世帯に限定すれば 1.61人であった。実数でも 1 人が51世帯、 2 人が72世帯、 3 人が23世帯、 4 人が 3 世帯、 5 人が 1 世帯であった。 女性パートタイマーが夫および/または子供を持つ割合は、72.73% (176人/242世帯)に達する。家事・育児・介護など『主婦』業を中心に据 えざるを得ない生活事情ならば、日勤平日のパートタイムでしか働けない 労働事情にも合点がいく(「2-2. 労働日数」、「2-3-d. 労働時間帯」参照)。 3-2.収入の使い道 パート収入の使い道(複数回答 1,162件、回答者実数 331人)は、1 位が 「食費」(54.07%)、2 位が「交際費」(48.04%)、3 位が「携帯代」(44.11%)、 4 位が「貯金」(38.07%)と続く。半数以上がパート収入を「食費」に充 てている点が、夫の収入では賄い切れない『家計補助』の裏付けと言えよ う。 「趣味」は、該当85件中41件に内容記載があった。「旅行」9 件、「スポ
ーツ(ゴルフ、サッカー、テニスなど)」8件、「ギャンブル」4 件、「買い 物」3 件、「洋服」「映画鑑賞」「音楽鑑賞」「本」「ゲーム」各 2 件、「ボー ド」「車」「ライブ」「トールペイント」「花」「ダイエット」「自分の生命保 険」各 1 件であった。 「その他」6 件は、「自分の小遣い」2 件、「洋服」(49歳女性)、「美容院」 (54歳女性)、「病院」(32歳女性)、「税金」(63歳女性)であった。 2004年度 4 位(29.61%)、2006年度 6 位(24.38%)の「養育費」は、今 回 8 位(23.26%)と更に順位を下げた。それでも、「3-1. 家族構成」の有 効回答 281世帯に限定して年齢階層別にその負担割合を見れば9 ) 、同居子 供の増加に比例して逓増し、子供の独立が始まると見られる「40∼44」歳 で極端に凹むものの、その後同居子供の減少に合わせて逓減し、予期せぬ 綺麗な「M字型」を描いている。もちろん、各年代で配偶者の収入による 「養育費」負担もあろうが、「55∼64」歳に 0 %となるのは、末子の最終学 卒年齢に伴う独立で育児・扶養が一段落する画期と予想される。 パートタイマーの公的年金・健康保険を考察する上で、配偶者が正社員
として働いている期間の拠出分は配偶者の給料から天引きされ、「国民年 金」の第 3 号被保険者として、「健康保険」の扶養家族として適用される。 やや晩婚化傾向は見られるものの、同居配偶者のいる割合は年齢と共に逓 増し、35歳から49歳までの拠出者は少ない。25歳未満は未婚、55歳以上は 夫の定年退職または離別・死別などを理由に、加入者本人の拠出負担割合 が高くなり、ここにも奇妙な「M字型」が浮かび上がっている。 3-3.休日の過ごし方 休日の過ごし方(複数回答 1,128件、回答者実数 334人)は、1 位が「買 い物」(62.87%)、2 位が「友人と会う」(48.2%)、3 位が「家族と過ごす」 (41.62%)、4 位が「休養」(25.75%)と続く。 「その他」26件は、「家事・掃除・洗濯」が 16件(女性のみ)で、調査項 目に上げておけば数値が伸びたであろう反省点である。他に、「畑仕事・ 家庭菜園」3 件、「勉強」2 件、「親の介護」、「子供の試合」、「デート」、 「株式投資」、「もう 1 つの仕事」であった。
4.労働と生活の両面に関わるデータ
4-1.パート生活歴 パート生活歴(有効回答299人)は、平均 5 年 9 ヵ月であった。2006年度 平均 6 年 2 ヵ月を下回った理由は、前回調査に比して若年パートタイマー が増加したためと考えられる。女性平均(5 年11ヵ月)は、男性平均( 5 年 6 ヵ月)を 5ヵ月上回った。 常識的に考えれば、年齢に比例してパート生活歴も長期化し、年齢階層 別グラフは右上がりに逓増すると推測出来るが、4-1図では44歳以下まで 5 年未満の逓増で収まる数値が、45歳以上から 9 年以上と極端に増加して いる。晩婚や高齢出産など個人差はあるにしても、30歳から35歳にかけて 末子が学卒年齢に達するなど生活時間にゆとりが持て、労働市場に復帰し た結果と推察される。なお、パート生活歴最長は、26年(46歳女性、デパート販売・接客)で 「2-5. パート経験数と継続期間」で紹介した現在のパート継続期間最長者 と同一人物である。 4-2.生活の満足度 現在の生活の満足度(有効回答316人)は、「とても満足」と「満足」の 計が 70.89%と大勢を占め、2006年度調査(71.94%)と比べ遜色ない割合 となった。
「とても満足」(コメント19人)の理由別では、「平日は仕事をし、休日 は家族でいろんなところに遊びに出かけて、楽しく過ごしているから」 「子供達と長い時間過ごすことができるため」など「家庭円満」10人、「毎 日楽しいから」「やりたいことがなんでもできてるから」など「充実」9 人 であった。「自由な時間とお金がある。そして働けるということは元気で あるということ」(59歳女性)というコメントもあった。 「満足」(コメント19人)の理由別では、「上を望めばきりがないので」 「不満もたくさんあるけれど、まぁこんなもんかなという感じです」「幸で もなく不幸でもないので」など「普通・平凡」26人、「充実して生活でき ているから」「やりたいことをやりたいようにやっているから」など「充実」 25人、「健康で働けていること」「家族が皆健康である」など「本人・家族 の健康」13人、「子育ても終わり自由な時間が持てているから」「収入の殆 どが自分の好きなように使えるから」など「ゆとり・余裕」12人、「家族 といると楽しく、旅行することも食事に行くこともとても幸せに感じるこ とが多いと思っているから」など「家庭円満」7 人であった。他に、「適度 に刺激があってよい」(47歳女性)、「年だから仕事があるだけ良いと思い ます」(63歳女性)であった。 「やや不満」(コメント47人)の理由別では、「主人の給料が下がったの で」「経済的に苦しいです」「もっと遊びたいけどお金がない」など「金銭 面」24人、「残業が多くて余裕な時間がない」「子供のために仕事をして、 子供と一緒に過ごす時間が少ない」「自分の時間をもっと持ちたい」など 「時間面」13人、「主人が単身赴任中」「介護(義母)のため自分の時間が なかなか作れない」「家族の休みがバラバラ」など「家族関係」8 人であ った。他に、「一番やりたいことが出来ていない」(24歳女性)、「何か物足 りない気がしてる」(25歳女性)、「就職をまだ決めていないから悩んでい ます」(29歳男性)と、若年パートタイマーの自分が置かれている現状へ の不満感が伺える。
「不満」(コメント15人)の理由別では、「収入が少ない」「支払いだけが 高騰する」「借金があるから」など「金銭面」7 人、「ゆっくりする時間が 少ないです」「忙しくて旅行にいけない」など「時間面」4 件、「子育てと 仕事の両立が大変」など「育児との両立」2 件であった。他に、「住み慣 れないアパートに引っ越したため」(32歳女性)、「会社再開を願って毎日 送っています」(58歳男性)であった。 「普通・平凡」だから「満足」とする価値観の是非はともかく、3 割弱の 「不満」「やや不満」パートタイマーが「とても満足」「満足」に転じるか どうかは、収入と生活費、労働時間と生活時間、社会的労働と家族関係と のバランスで、物心共に「ゆとり・余裕」を持てるか否かが肝だと推察さ れる。 4-3.「フリートーク」に見られる傾向 「将来の夢・展望、これだけは言いたい!」という自由記入欄へのコメ ント(103人)から、回答が重複しているものを紹介したい。 ・自己啓発 「今より仕事を覚えてみんなの役に立つ人間になりたい。」(23歳女性) 「将来的な開業のために毎日努力すること!!」(36歳男性) 「仕事でも家庭でも自信をもてるようになりたい。」(44歳女性) 「世の中とても暗い事件が多い。仕事においても生活においてもプラ ス思考で「快」の気分で常にいたい。」(52歳女性) ・家族への思い 「子供の就職や受験が無事に希望通りいってほしい。」(45歳女性) 「子供たちが自立(成人)して、母親となり、父親になってほしいと 思います。私は、その子供たちの子と一緒に暮らしたいと考えており ます。」(53歳女性) 「家族が健康で生活出来れば今のままでOK。」(54歳女性)
「孫と楽しく生活をしたい。」(59歳男性) ・労働条件 「パートの重要性を知って欲しい。」(19歳男性) 「パート経験により得たことを生かして、最終的には正社員として仕 事をしていきたい。」(21歳女性) 「この仕事でお金が貯まったら、本当にやりたいことを見つけて再就 職をしたいと考えています。」(22歳女性) 「介護業でケアマネージャーになってビシバシ仕事のこなせる人にな りたいです。子供達と一緒にお仕事がしたい。」(31歳女性) 「物流は作業がきつい割に時給が安いと思う。時給が上がるといいな。」 (46歳女性) ・社会保障関連 「年金を払う余裕がない。」(21歳女性) 「老後が安心して暮らせればと思っています。」(49歳女性) 「家族に迷惑をかけない様に、健康な老人になりたい。」(49歳女性) 「健康で元気に年を取っていきたい !!」(50歳女性) 「年金だけでは生活できない。」(58歳女性) ・世相/国への要望 「今の世の中、自分のことしか考えない人が多いが、もう少し他人の ために何かをしたらいいと思うよ。」(23歳男性) 「住民税が高過ぎ。」(52歳女性) 「ガソリンその他いろいろ上がり先行き不安です。」(54歳女性) 「私は幸せだと感じています。ただ、ブルーテントの人とかのニュー スを見るととても悲しくなる時があります。自分の子供と同じ年の人 が事件を起こすことも悲しいです。国の税金の使い方にもとても不満 があります。」(56歳女性) 「早く景気回復して貰いたいです。」(58歳女性)
これらの声を聞けば、若年労働力の正社員雇用、中高年の雇用の安定、 賃金保障などの労働条件改善、20代で負担し切れない年金拠出、50代後半 で充分でない年金給付、健康保障などの生活条件改善、景気対策と税金な ど、一刻も早く俎上に乗せ解決すべき問題は山積している。
むすびに代えて
隔年 3 回に亘る「パートタイマー」調査で、一定の傾向を得ることには 成功したと思われる。2008年度調査では、母集団に若年パートタイマーが 増加したこともあり、労働時間・賃金の面で数値が期待値よりも上昇した 感は否めないが、本論中に紹介した女性のみ・中高年のみのデータを用い れば、過年度並みの数値を得ることが出来た。 週 4∼4.5日、 1 日 6 時間、日勤の接客・販売を中心に社会的労働を行い、 約10万円の月収を得る。その大半を食費に使いながら、養育費にも回し、 土日の休日は家族と過ごしたり、買い物をしたり、時には休養も必要だが、 7 割以上が現在のパート先にも現在の生活にも満足している。だが、実際 には「主婦業」による制約で、「M字型」と呼ばれる不完全な労働力化、 健康や老後への不安など問題はいつ顕在化してもおかしくない現状であろ う。本調査を含む「パートタイマー」への継続的な実態調査が、労働・生 活条件改善への一助となるならば幸いである。 末筆ながら、アンケート調査に協力して頂いたパートタイマーの皆様、 実際に調査に当たった24名のゼミ生諸君に、この場を借りて厚く御礼申し 上げたい。注 1) 第 1 回調査結果は、星真実「千葉県のパートタイマー−アンケート調査報 告(2004年 6 月∼ 8 月)」(『経済文化研究所紀要』、敬愛大学、10号、2005年 5 月)を、第 2 回調査結果は、「千葉県のパートタイマー−アンケート調査報 告(2006年 4 月∼ 7 月)」(『経済文化研究所紀要』、敬愛大学、12号、2007年 5 月)を参照されたい。 2) 千葉、西千葉、稲毛、新検見川、幕張、津田沼、船橋、市川(以上総武線)、 佐倉、八街、成東(以上総武本線)、成田、香取(以上成田線)、木更津(内 房線)、鎌取、大網、永田、茂原、上総一ノ宮、勝浦(以上外房線)、東金、 求名(以上東金線)、松戸、柏(以上常磐線)、新習志野、新浦安、舞浜(以 上京葉線)、八千代台(京成本線)、薬円台、北習志野(以上新京成線)、ち はら台(京成千原線)の各駅周辺で街頭調査を実施。調査の度に遭遇する難 点だが、10人声をかけて 1 人回収出来れば良い方という状況で、各線途中駅 で調査を実施したが成果はなかった駅周辺地域は記載を避けた。 3) 調査員は、浅岡宗弥、麻生和宏、稲垣正隆、宇田川孟人、小澤公義、川戸 政徳、魏大妹、北村卓史、栗原大地、崔梅花、崔蘭、斉藤陽弘、佐々木勇平、 佐野武尊、鈴木好仁、張紅娟、沈櫻、中掘泰宏、野口豊、増子勲、八角昌彦、 山本育未、横田深典、吉井大樹(以上当時 3 年ゼミ)の24名(敬称略)であ る。 4) アンケート回収数 345枚の内、無効回答は11枚(内訳は、基礎データ無記 入 6 枚、学生 5 枚)とした。過年度調査に比して、調査期間を 1ヵ月以上短 縮したことと、有効回答回収数を100枚以上の上乗せしたことで(2004年度 210枚、2006年度 203枚)、今回のデータは信憑性を大幅に増したと思われる。 5) 報告中の平均値は小数点以下第 2 位四捨五入、割合(%)は小数点以下第 3 位四捨五入とした。 6)「ガソリンスタンド」「レストラン」で「サービス業」、「回転寿司店」で 「製造業」など、業務内容がそのまま産業分類に当てはまると誤解している 回答が多々見られた。 7) 所得税の課税控除額である基礎控除 38万円+給与所得控除 65万円=103万 円を12ヵ月で除して算出した。 8)「自営」(43歳女性・駄菓子屋)という回答は、時給 850円・週 3 日・ 1 日 7 時間労働(9 : 30−17 : 00)という労働条件であったため、「1」箇所として加 算した。 9) 一人暮らしの男性 2 人(41歳・経理事務・月収15万円、42歳・運送ドライ バー・月収 7 万円)が、そのパート収入から「養育費」を負担しているが、 アンケートからは単身赴任か離別かの判断に窮するため、詳述は避けたい。