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生活科の理念と気付きの検討

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Academic year: 2021

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生活科の理念と気付きの検討

山中 護

A Study of Idea and Awareness in Life Environment Studies

Mamoru YAMANAKA

 生活科が誕生して 20 年が経過し,生活科を実践する上での課題を受け,その間2回 の学習指導要領の改訂が実施された。本稿では,生活科が新設された経緯を振り返る中 でその理念について考察した。一方,生活科において重要な概念である気付きは,学習 指導要領の改訂によってそのとらえが変化してきたことや気付きと生活科のかかわりに ついて検討した。生活科を実践する上で,授業者は新教科の理念を再認識すると共に, 生活科における気付きとは何かを問い続けることが重要である。 1.はじめに  生活科は 1989 年学習指導要領が告示され,小学校低学年の社会科と理科を廃止して新設 された9番目の教科である。今回の学習指導要領の改訂は2回目となる。学習指導要領の改 訂は,教育環境・社会的な状況の変化によりその基本的な考えが示され,それに伴い教育の 方向性や教育内容を決定づけるものである。  生活科においても,教育現場での課題を受け今回の改訂が実施された。そこには,生活科 の理念として変わらないもの,時代の変化によって少しずつ変化してきたものがある。当初 の理念とは,社会科を中心とした社会認識及び理科を中心とした自然認識に加えて自己認識 の基礎を養うことが求められたことである。  本稿では,生活科が新設された経緯を振り返り重要な理念を明らかにする中で,学習指導 要領の改訂により,生活科の「気づき」の概念はどう変化してきたのかを探りたい。さらに, 生活科という教科における「気付き」をどのようにとらえ実践すればよいのか検討したい。 つまり,生活科の実践上の課題として,気付きをどのようにとらえ生活科の授業設計を行え ばいいのかについて,生活科の本質・理念を中心に考察していきたい。 2.生活科誕生の経緯と現在の課題 2.1 生活科が新設された経緯  およそ 20 年前に新設された教科である生活科は,その成立の背景には次の3点があるこ

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とを小原・朝倉(2010.3)が指摘している。1つは,低学年児童は「思考と活動が一体(未 分化)であり,具体的な活動を通して思考するという発達上の特徴を持つことから,低学年 においては直接体験を重視した学習活動を展開することが必要だ」とのとらえである。2つ は幼児期の教育と小学校教育への連続性を考えるうえで,「幼稚園教育では,遊びを中心と する幼児の自発的な活動に即しながら総合的に指導されるのに対し,小学校では教科書など の言葉による間接学習や一斉学習が中心に進められてきた。このような保育所・幼稚園の教 育と小学校教育との間になる大きな段差が問題として指摘され,これらのスムーズな接続と 発展を図っていくための教科として」生活科は新設された。3つは児童を取り巻く生活環境 の変化により「児童の生活体験や生活経験は乏しくなり,生活をする上で必要な習慣や技能 が著しく低下していることが問題とされ…(略)…本来,家庭や地域が持っていた教育の役 割を取り組む教科として生活科が設置された」と指摘している。  戦後初めての新教科は,以上のような背景のもとに発足した。2回目の学習指導要領改訂 を迎えた今日,生活科の教科の本質を一人一人の授業者が理解し,実践を進めているのであ ろうか。それぞれの実践が生活科の本質にせまることができているのか以前より疑問を感じ ている。 2.2 生活科の本質  生活科が発足した当初は,低学年の社会科と理科という2つの教科を合わせたのが生活科 であるという短絡的なとらえがあった。生活科はあくまでも新設された教科であり,内容的 には社会科的な内容や理科的な内容が含まれていることは否定できない面もあるが,教科の 本質は全く違っている。すなわち,社会認識・自然認識の育成とともに自己認識を育てる教 科である。これは,自分と社会や人とのかかわり,自分と自然とのかかわり,そして事象と かかわる自分への気付きを大切にする教科といえるからである。生活科が誕生して以来,生 活科の目標の中に「自立への基礎を養う」ことが生活科の最終的な目標として位置づけられ ている。ここでの自立とは,「自分の思いや考えなどを適切な方法で表現できる」学習上の 自立,「生活上必要な習慣や技能を身に付けて…(略)…自らよりよい生活を創り出してい くことができる」生活上の自立に加え,「自分のよさや可能性に気付き,意欲や自信を持つ ことによって,現在および将来における自分自身の在り方に夢や希望を持ち,前向きに生活 していく」精神的な自立の3つである。このことは,対象とかかわる自分はどういう自分か という振り返りを行うことにより自分をより深く理解することにつながり,自己認識の重要 性を確認したものであるといえる。  また,2008 年版学習指導要領において生活科の学年目標を3つから4つに増やし,「身近 な人々,社会及び自然と直接かかわり合う活動によって,自分を見つめ,自分のよさや可能

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性に気付き,自分の成長」について認識を深めることを重視していることが注目される。   生活科は,自分のまわりの人・ものと積極的にかかわり自分から学んでいく基礎をつくる 教科である。新設以来,教科目標はほとんど変わっていない。しかし,2008 年版学習指導要 領解説生活では,学年目標について,前回3項目だった目標に加え,自分自身にかかわる目 標を掲げより自己認識の重要性をより強調しているといえる。「自分の成長についての一人 一人の認識を深めることがさらに重視されたことから」目標として掲げ明確したとその改訂 理由を述べている。 2.3 生活科の課題  今回の改訂にかかわり,平成 20 年1月の中央教育審議会の答申において,生活科の課題 がいくつか指摘されている。その中でも生活科における気付きとかかわりのある課題が次の 2点である。 ・指定校の調査などによると,学習活動が体験だけで終わっていることや,活動や体験 を通して得られた気付きを質的に高める指導が十分に行われていないこと ・表現の出来映えのみを目指す学習活動が行われる傾向があり,表現によって活動や体 験を振り返り考えるといった,思考と表現の一体化という低学年の特質を生かした指 導が行われていないこと(小学校学習指導要領解説 生活編 2008 P 3)  1点目の課題には,直接「気付き」にかかわる記述がみられる。これはこれまで社会科の 指導の中で批判のあった「活動はしているが,学んでいない」という活動主義という課題と 関連している。生活科の本質には活動や体験を通して学ぶ教科であるが,学習が活動でおわ り,次の活動や体験に生かすための振り返りを通した経験知にまで至っていないことにその 原因が求められる。また加えて生活科発足当時の教育現場での理念の共有化の不十分さがみ える。「指定校の調査による」課題としての記述にも注目したい。研究指定等を受け,生活 科を研究している学校においてこうした課題がある。それでは生活科を実践課題とした研究 校でなく,その他の教科を研究している学校では,体験や活動を振り返ることがなく生活科 の授業そのものが体験や活動に終わっていることが予測できる。生活科は子どもたちにとっ て活動主義で楽しい教科という印象はあった。しかし,そこで「何を学んでいたか」はおそ らく不明確になっていたのではないかと危惧する。  このことに関連して内藤(2008)は生活科学習指導上の問題点として次のように指摘して いる。すなわち,「子どもの主体性の尊重という名のもとの教師の指導意図の放棄・子ども を『支援』するという名のものと『おせっかい的でしゃばり』・活動と内容の未整理」をあげ

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ている。現在においても教育現場で生活科の理念を十分理解せずに指導している実態がある といえる。  2点目の課題についても子どもの「気付き」と深い関連がある。「表現が出来映えのみを目 指す学習活動が行われる傾向がある」という指摘は,次の点で重要である。つまり,表現に は表現することによって深まる認識がある。表現することによって気づきが深まったり高 まったりするのである。その表現することを目的として考え,出来映そのものを大切にす ることによって,子どもの気付きを高める指導に至っていない。表現をそのプロセスが重要 と考え,表現するその子が対象にどんな気付きをもったのか,それは,なぜその子はそうい う気付きをもったのか,その気付きをどのように伝えようとしているのか,友達の表現や発 表から自分の気づきはどのように変化していくのか,対象へのかかわりにより生まれた気付 きが表現を通して深まるなど変化することが大事である。気付きを表現しようとする中で子 どもたちは様々な思考を通して変化していくのである。思考は表現によって深まり,表現は 思考によって明らかになる。まさに,思考と表現の一体化である。生活科における表現は対 象を地域・保護者あるいは他の学年を対象に発表を行うことも大事な学びの機会である。だ からこそ,それまで友達との間で気付きを交流し合う小さな表出を大切にした指導が重要と なってくる。 3.気付きをどのようにとらえるか 3.1 気付きとは何か  生活科における「気付き」は,生活科新設当初から大切にされた理念である。具体的な活 動や体験を重視した教科として,対象にかかわる子どもの気付きを授業者がどう考え指導し ていくか,課題となっていた。しかし,生活科が新設された当初は教科の理念として「指導」 でなく「支援」という用語が教育現場で多用された傾向にあり,学習指導案も学習活動案と 記述されることもあった。教科の本質をふまえた用語の使い分けでないことにも当時は批判 があった。教え込まない,子どもの活動を大切にする教科として受け入れられた当時の状況 から,気付きも児童が対象に対して何らかの気付きを持てばよいという指導者側の消極性が あったことは否定できない。生活科にとどまらず児童の主体性を大切にするという考えのも と指導内容を教師が指導しない傾向も小学校教育全体に流れていた。  そこで,第 1 回目の学習指導要領の改訂では,生活科における気付きを「直接かかわる活 動や体験の中で生まれる様々な驚き,感動,発見,疑問などを知的なもの」と記述している。 このことは,生活科の中心概念である気付きがうまく教育現場で捉えられていないことを示 しており,生活科の実践が不十分あることを如実に物語っているといえる。  生活科における気付きにかかわっては,朝倉(2004)が気付きの概念について基礎的な研

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究として整理している。そこでは,生活科の大切なキーワードとしての気付きが一様でなく, 学習指導要領と指導要録の分析をとおして,気付きについての概念を規定し,気づきの特質 について考察している。 3.2 知的な気付きと気付きの質を高める  最初の改訂である 1998 年版学習指導要領では「知的な気づきを大切にする指導」が重要 な実践課題といわれ,教え込む指導から児童が気づき学ぶ指導に向けることが重要視されて きた。新設当時の活動中心主義や体験中心主義による生活科について,学んでいない,活動 や体験を通して,何に気付きどんなことを学んできたのかが不明確であるという批判もあり, 生活科の本質がなかなか理解されないまま実践が行われていたといえる。  次に,今回の改訂である 2008 年版学習指導要領生活解説では,気づきについて次のよう に述べている。「この気付きは,対象に対する一人一人の認識であり,児童の主体的な活動 によって生まれるものである。そこには知的な側面だけでなく,情意的な側面も含まれる。 また,気づきは次の自発的な活動を誘発するものとなる」。  今回の改訂では,前回の改訂で最重要課題となっていた「知的な気づき」から「気づきの 質を高める」という記述に変化している。この背景には生活科の実践上の課題から気付きの 捉え方の見直しがなされているといえる。知的な気付きから情意的な側面も含まれることを 明確にしている。気付きにかかわる踏み込んだ学習指導要領の記述について,鹿毛(2011) は気付きを「ガイドラインとして定め,一層実践的な創造力が期待されている」と述べている。 気付きについて明確に記述することにより,授業者が子どもの姿を捉えながら気付きとは何 かを問うことが重要になってくることを示唆している。 3.3生活科の学年目標における気付き  学習指導要領における「気付き」の表現について,学年目標に記述されていることから考 えてみたい。つまり,1998 年版学習指導要領と 2008 年版学習指導要領を比較すると表現及 びその位置づけに大きな変化がみられる。

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 1998 年版学習指導要領 生活 学年目標 (1)自分と身近な人々及び地域の様々な場所,公共物などとのかかわりに関心をもち, それらに愛着をもつことができるようにするとともに,集団や社会の一員として 自分の役割や行動の仕方について考え,適切に行動できるようにする。 (2)自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち,自然を大切にし たり,自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。 (3)身近な人々,社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに,それらを通 して気付いたことや楽しかったことなどを言葉,絵,動作,劇化などにより表現 できるようにする。  この改訂より学年目標が1年2年を通しての共通目標として示された。目標(3)にある ように,学習方法として気付いたことを表現できるようにすることが求められている。活動 主義や体験主義でなく,気付いたことを言葉や絵や動作や劇化などにして表現することによ り,学んだことを自分の中で考えることになる。  2008 年版学習指導要領 生活 学年目標 (1)自分と身近な人々及び地域の様々な場所,公共物などとのかかわりに関心をもち, 地域のよさに気付き,愛着をもつことができるようにするとともに,集団や社会 の一員として自分の役割や行動の仕方について考え,安全で適切な行動ができる ようにする。 (2)自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち,自然のすばらし さに気付き,自然を大切にしたり,自分たちの遊びや生活を工夫したりすること ができるようにする。 (3)身近な人々,社会及び自然とのかかわりを深めることを通して,自分のよさや可 能性に気付き,意欲と自信をもって生活することができるようにする。 (4)身近な人々,社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに,それらを通 して気付いたことや楽しかったことなどについて,言葉,絵,動作,劇化などの 方法により表現し,考えることができるようにする。(    は筆者)  2008 年度の改訂では,学年目標にかかわっては,(1)~(4)の目標のすべてに気付きと いう用語が使われている。つまり,「~に関心をもち,~に気付き,…できるよう」という 表現となっている。子どもがその事象と主体的にかかわり,そこからの気付きを重要ととら え明確にしている。このことについて,小原・朝倉(2010)「生活科の学習において,児童

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にどのような気付き育てればよいかを明確に示された」「どのような認識を児童に育成する ことか期待されているかを明確にすることは,生活科の学習の充実という観点から見て,大 きな意義を含んでいる」と指摘している。 4.生活科の学習と気付き 4.1 表現力を高める気付き  生活科は具体的な活動や体験を通して児童が学ぶ教科である。1998 版の改訂では,知的 な気付きを大切にした学習活動が求められ,気付いたことを表現するように求められてきた。 さらに 2008 年版では,気付きを表現する,表現を通して思考を深めることが重視されている。  子どもが事象に対して気付くことは,その子どもとその事象との関係性の中で起きること である。その子はその気付きを相手に伝えることで,気づきの価値や意味を自覚することに なる。友達に自分の発見した気付きを伝え,まわりの子どももその子の気付きに関心を持ち 聞きたいと思う関係がある中で,子どもはどのようにすれば相手に伝わるか,どういう順番 で説明すればよいか,どんな表現方法を使えば伝わるかなどを工夫していく。表現をするこ とで気付きの質も深まってくるのである。生活科における表現の価値について「思いや願い を自己表出すること,表現によって思考を深めることの両面」があることを明確にしている のである。 4.2 思考力を高める気付き  2008 年版学習指導要領では,思考力・判断力・表現力等の育成が課題となっている。生 活科においても思考力を育てる取り組みが重要である。そこで,一人一人の子どもの気付き の質をより高めるために,振り返り,繰り返しや試行錯誤などの学習活動が重要であると述 べている。事象と直接かかわる体験を通しての気付きは振り返る活動を誘発し,自分で振り 返ったり,みんなで交流したりすることで思考が深まってくる。自分の気付きの意味を考え その価値に気付く,または,不十分さに気付くことになる。また,活動のゴールを設定する 学習場面ではどうすればうまくいくか何度も繰り返し実験したり試行錯誤したりすることに より思考は練られ,思考力の育成につながる。 4.3意欲を高める気付き  具体的な活動や体験から気付きが生まれ,その気付きによって活動が充実してくる。気付 きによって,かかわり方の質が変わってくる。初めのかかわりがより深くなることによって 意欲や態度も育ってくる。長い間かけて一つのことを追及するためには子どもの意欲が必要 となってくる。そこには,気付きを記入した振り返り活動であったり,友達との交流であっ

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たりする。自分の学習カードを記入しながら次はどのように変化するだろうと考え,友達と の交流の中では,同じ気付きを共有したり,友達の気付きと自分の気付きとの違いを発見し たりする中で学ぶ意欲が育ってくる。 5.気付きの質を高める実践上の課題  現行指導要領解説生活編には,気付きの質を高めることを中心に学習指導の進め方につい て,①振り返り表現する機会を設ける,②伝えあい交流する場を工夫する,③試行錯誤や繰 り返す活動を設定する,④児童の多様性を生かす,の4点が明記されている。これらの内容 について考えてみたい。 5.1 振り返り表現する機会  振り返ることの重要な点は,無意識だった気付きを明確にしたり,関連付けたりすること である。児童が対象から得る気付きは表面的な気付きであったり,直感的な気付きであった りする。それらの気付きを自分の中で振り返ることで高めたり深めたりすることができる。 言い換えれば,内的・知的醸成作用である。そのために「見つける」「比べる」「たとえる」 などの多様な学習活動が求められる。この際,教師の言葉かけや働きかけが一層重要になっ てくる。 5.2 伝え合い交流する場  事象にかかわる気付きを友達に伝えることによって,自分の気付きの意味や価値づけを再 度考えることになる。自分が体験して感じたことや気付きが友達と同じであったり,違った りすることを知ることで,その違いの意味を考えることになる。このことは単にその児童個 人の問題でなく,学習者としてお互いを刺激し交流が深まることにつながる。  伝える活動として日常的な学習場面でなく,学んだことを報告する会として行う場合には, 伝える内容を振り返りまとめることが大切となる。そして,その報告に対する反応や評価に よって自分の気付きを振り返ることにつながる。 5.3 試行錯誤や繰り返す活動  繰り返し事象とかかわり,試行錯誤して何度も挑戦することによって,気付きの質を高め ることになる。授業者はこうした学習活動を意図的に計画し工夫する必要がある。何度も挑 戦したいという学習環境をつくりだす授業者の働きかけや言葉かけが重要となってくる。そ こには一人一人の子どものこだわりを把握し,活動の中で子どもがどんな気づきをもつかを, 予測することによってその子に対する適切なかかわりや言葉かけができるようなる。子ども

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が自分から何度もやってみたいという意欲を引き出すのも人的な環境である友達や教師の役 割でもある。 5.4 児童の多様性を生かす  生活科の学習では,なにより子どもの主体的な学習が求められる。そこで,一人一人のこ どもの思いや願いを大切にしなければならない。一人一人の子どもがもつこだわりを大切に することが多様性を生かすことになる。そのために多様な学習活動を学習者は用意する。多 様な学習のなかで,子どもはお互いのかわりを深め,違いやよさを認めそれぞれの気付きの 価値が見えてくる。事象とのかかわりの中で育ち,周りの人とのかかわりの中で気付きが深 まってくるのである。 6.おわりに  本稿では,学習指導要領を中心として,生活科の学習を進めるうえで,「気付き」がどの ようにとらえられ,記述されているかを明らかにしてきた。生活科の重要な概念である「気 付き」をどのようにとらえるかによって生活科の実践の質が変わってくると考える。それと ともに生活科誕生の背景となった状況を再度把握し直し,新設以来 20 年が経過した今日, 生活科学習の課題の一部を考えることができた。  気付きは,朝倉・鹿毛・田村(2011)が指摘しているように,気付きとは何か,気付きに はどういう意味があるか,授業者一人一人が考え続けること大事である。そのことによって 一つ一つの実践が充実してくるだろう。  課題としては,気付きにかかわる整理については,これまでの研究を精査することが必要 である。また,教育現場で実際に授業をしている授業者がどのような意識・認識で授業設計 をし,生活科を進めているのかを明らかにしたい。  生活科の気付きを考察することは,幼稚園と小学校との接続・連続を考える上で重要な意 味を持つ。つまり,幼稚園での遊びと小学校生活科の活動や体験との関連を明確にし,その なかで「気付きをどうとらえ」,「どのように実践に生かすか」は,今後検討すべき大きな課 題であると考える。

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参考文献 ・朝倉淳「生活科における『学校』に関する一考察」広島大学大学院教育学研究科紀要,2003 ・朝倉淳「生活科における『気付き』の概念についての基礎研究」日本教科教育学会,2004 ・小原友行・朝倉淳 共編著『生活科教育』学術図書出版社,2010 ・朝倉淳・鹿毛雅治・田村学「鼎談“気付きの価値を,今,改めて考える”」,文部科学省『初 等教育資料』東洋館出版 2011.8 ・嶋野道弘「生活科の基本と子供たち一人一人のよさを生かす授業」,文部省『初等教育資料』 東洋館出版 1996.2 ・内藤博愛「気付きを深める生活科授業の創造」,広島県生活科・総合的学習教育学会『生活 科・総合的学習研究』4号 2008 ・文部省「小学校学習指導要領解説生活編」日本文教出版,1999 ・文部科学省「小学校学習指導要領解説生活編」日本文教出版,2008

参照

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