ティーム・ティーチングにおける教師の児童支援行動に関する研究
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(2) 2 実験的介入 児童支援行動増加のための実. 1 対象者 兵庫教育大学大学院に在学中の大. 験的介入を教師に対して行う。介入の内容は,. 学院生で小学校の男性教師20名. ①録画したビデオ視聴,②研究1で示された児. 2 実 験 教室模型を使って対象者の位置反. 童支援行動の実態のフィードバヅク,③児童支. 応を求める被験者内計画。担任(T1)の児童支. 援行動増加要請のための教示,であった。. 援位置として18の位置を設定し,各位置の下. 3 従属測度 T・T教師行動評価尺度10項. でT2(被験者)の選択位置を求める。. 目,T・T授業に対する児童の情意的評価尺度. 〔結果と考察〕. 18項目・教師の児童認識調査. T1の位置に対するT2の位置に偏りが見ら. 〔結果と考察〕. れた。特に教室を四角形と見たときの4頂点に. 実験的介入前後でのt検定の結果,児童支援. 当たる位置に教師(T2)が位置することが多か. 行動量(時間,回数)は,有意に増加していた。. った。授業に対する教師の積極的態度のような. また,実験的介入前後の教師行動評価得点の変. 意図的な理由や相手教師と心理的に快適な距離. 容から児童の認知を通した場合も教師行動の変. を保とうとする無意図的な理由が考えられた。. 容が明らかであった。児童による情意的評価で. この結果から,2人の教師が教室という同一空. は,「T・T好意度」と「積極的態度」において. 間内に存在することによるT・Tアクション・. 実験的介入前よりも後の得点が有意に高かった. ゾーンの存在可能性が示唆された。. ため,児童支援行動の増加が児童の情意面に好 影響を及ぼしていることが示唆された。. 【全体的考察】. 本研究で得られた知見として,まず,教師が. また,教師による個々の児童に対する記述量. T・T実践の際,個々の児童に働きかけている. を実験的介入前後で教師別に比較した結果,実. つもりでも実際はそれほど多くはない可能性が. 験的介入を行ったX校のT2,2名は有意に増加. あることが示された。授業者である教師自身が. していたが,Y校のT2には変化がみられなか. 意識して授業を行っていく必要があるだろう。. った。この結果から,児童支援行動の増加は特. 次に,児童支援行動を量的に増やすことは,. にT2に対して有効に働くことが示唆された。. 児童の集中力を妨げるという悪影響よりも楽し. なお,研究1・IIを通しての授業観察から. さや積極性を引き出すというような好影響を及. T1,T2の教室内での位置に偏りが見られたた. ぼすことが示唆された。. め,研究IIIにおいては児童支援時における教師. 3点目として,教室の机の配置によって教師. の空間的位置の選択について検討することとし. がかかわりやすい児童とそうでない児童が生ず. た。. る可能性が示された。 【研究III】. 4点目としてT・Tの研修二等で本研究で明. 〔目的〕. らかになったT・Tにおける教師の児童支援行. 教室内に2人の教師が存在するT・Tにおい. 動の傾向性やその改善についても研修させてい. て,T1の児童支援位置との関係におけるT2の. く必要性があることが挙げられた。. 児童支援位置の選択について実験的に検討す る。. 〔方法〕. 主任指導教官 荒木紀幸 指導教官 天根哲治.
(3) 学 位 論 文. ティーム・ティーチングにおける 教師の児童支i援行動に関する研究. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 教育方法コース. M98104E 伊 村 洋 之.
(4) 【 目 次 】. @. 1. 問 題. 一コ隅…・・・・・・・…圏幽圏幽隔隔・匿旧『嘔・圏・圏・・幽陶嘲・・・・・・・・・…. 研 究 1. ティーム・ティーチングにおける教師の児童支援行動の 実態. 【目的】. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 【方法】. ..””””””.””””””””.”.”..”一一一一. 【結果】. 一一.一”nyd一一一一d“一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一t一一一一一一一一N一一 1 6. 【考察】. m一一一一 ny 一d−iddd一一一一一d一一一一一h一一”Nm一 一t 一一一一一一一一一一一一一一一一 2 7. ティーム・ティーチングにおける児童支援行動の量的増. 研 究 II. 加が児童の情意面や教師の児童認識に及ぼす影響. 30 30 38 54. 【目的】 【方法】 【結果】 【考察】. 児童支援時における教師相互の空間的位置関係. 研 究 III 【目的】 【方法】 【結果】 【考察】. 全体的考察. 【本研究のまとめ及び今後の課題】 ・・…一一…一一. 引用・参考文献 附 記. 巻末資料. 61 61 65 69 71 75 78 79.
(5) 【問 題 】. 本研究は,小学校のティーム・ティーチング(team teaching:以下,T・. Tと略す),特に1学級2教師によるT・Tにおける教師の児童支援行 動について量的・質的側面から検討するとともに,実験的介入による児. 童支援行動の変容がT・Tに対する児童の態度や教師の児童認識に及ぼ す影響について検討することを目的とする。. T・Tは,平成5年(1993)に文部省が打ち出した『第六次公立義務 教育諸学校教職員配置改善計画』から注目を浴びるようになった!}。加 藤(1996)によるとこの計画は,義務教育諸学校で個に応じた指導の展開. を推進するためにT・T加配と呼ばれる教員の増強を図ったものであっ たが,これを契機として行政側からの制度的な保障がなされ,学校教育 現場において,T・Tによる授業改善の気運が高まったと言えよう。 「個に応じた指導」とは,従来の一斉画一的な授業から脱却し,児童 生徒の興味や関心,あるいは能力といった個人差に応じ,個性を伸ばす ことを目的とした指導を行うことであ.る(加藤,1996)。T・Tは,「複. 数の教師が,協力して,一定の責任分担のもとに,同じ生徒グループの 指導を担当する教授形態」と定義づけられるが(下村,1966),従来の 指導とは異なる,複数の教師が個々の児童や児童集団に対して支援を行 うことから「個に応じた指導」に対して,多くの可能性をもつ。浅田(1998). は,T・Tの可能性として①個別学習やグループ学習,学習課題に応じ. 1)1960年代にもT・Tへの関心が高まり数々の実践が行われた。そのめざしたところは指導の 効率化であり、今回の「個に応じた指導」とは習熟の程度や興味・関心等に応じて複数の教師 が協力して指導することであった。. 一1一.
(6) たコース別学習等学習形態の多様化への対応,②多教室を使った学習や オープンスペースを活用した学習等活動場面の広がりの保証,③郊外学 習等の安全面への対策,④複数の教師の指導による教授効果の高まり,. ④複数の教師が同一児童を評価することによる評価形態の多様化,⑤児 童・生徒が複数の教師との接触を深めることによる人間関係の拡大,⑥ 複数の教師が協力して授業作りを進めることによる教員の資質の向上を. 挙げている。このようにT・Tは通常の授業形態に比べ,「個に応じた 指導」がやりやすくなると考えられる。本研究では,T・Tの機能の一 つである「個に応じた指導」に着目し,教師による個々の児童への支援 行動を児童支援行動2)とする。. さて,T・Tの実践上の課題や教師のT・Tに対する認知について次 のような研究がみられる。古川・浅田(1996)は,T・丁実践について全 国的な調査(小・中学校468校,教師765名)を行っている。そこでは,. 「T・T実践」をとらえるカテゴリーとして「学校制度,学校・学級経 営」,「T・T授業実践」,「T・T実施後の課題」,「その他」,を作成し,. このカテゴリーに基づいて,調査した教師のT・T実施上の課題に対す る自由記述を分類した。T・Tを実践する際,教師が抱いている課題は,. 圧倒的に授業に関することであった(全体の67%)。さらに具体的な課 題として,「役割がはっきりしないために授業がスムーズに進まない」, 「授業の記録を取る程度の役割しかない」,など教授組織(ティーム). 2)本研究では,学習者主体の授業を推進するという立場に立つことから個々の児童を「指導す る」よりも「支援する」方がふさわしいと考え、「支援」という表現を用いた。しかし、「個に 応じた指導」等引用文献内で「指導」が使われている場合,また「一斉指導」「全体指導」等学 級の児童全体に対する教師のかかわりを表す場合は、「指導」を用いた。. 一2一.
(7) としてうまく授業のなかで機能していないことをあげている。 また,早川(1997)は,全国のT・T実践校627校を抽出し,264校,431. 名の教師からの調査票への回答をもとに授業実施段階におけるT・Tの 特徴と課題について検討している。そこでは,「学習への取り組み・創 意工夫」,「個別指導(個人差への対応)」,「学級雰囲気」,「基礎的事項. の定着」の4つの観点を用いて教師の意識との関連を検討し,教師がT・. Tの効果を感じるのは,「個人差への対応」や「学習への取り組み・創 意工夫」であるとしている。. 伊村(1999)は,日常的にT・Tを行っている教師4名に対してT・T 実践に対する考え方やとらえ方を,また5年生の児童70名に対しては, 「T・T授業」に対する情意的側面について探索的調査を実施した。教 師が,「T・Tのメリットとして考え,実践に際し積極的に心がけている こと」は,「できるだけ効率的に多くの児童の反応や解答をみる」,「児. 童一人ひとりの行い方・理解の仕方を認め,参加できるようにする」こ とであった。また児童が「やる気がでるとき」は,「自分に教えてくれ るとき」,「先生が声をかけてくれるとき」など,「自分自身へかかわっ てくれるとき」であった(全体の25%)。この結果から,教師がもつT・T. 実践に際しての考え方とT・Tに対する児童の要求(need)の方向性が, 「個々の児童への対応」という同一方向を向いていると考えられる。. これらの研究から,T・T実践に際して教師は「個への対応」の必要 性を認めかつ実践しようとしているが,一方ではチームとして機能して いないため思うように「個に応じた指導」ができないことを課題として いることが示唆された。. 一方,授業場面におけるT・Tの効果を検討した研究として,藤村・ 太田(1995)があげられる。この研究は,小学校3・4年生の算数科のT・. 一3一.
(8) T(1学級2教師)において,T・Tが児童の学習内容の理解にどのよ うな効果を発揮するかを検討したものである。学年当初と学年末の2回. の調査を指標として効果を検討し,結果としてT・Tによって実施され た短時間の計算テストと即時フィードバック及び計算手続きと概念理解 を中心とした個別指導が,児童の算数の学習内容理解を促進することを 示している。. また,三栖(1997)は,T・T支援行動3}とその影響について相関的研. 究を行っている。まず,児童が認知するT・T支援行動は「親和的理解 促進」,「個人的配慮確認」,「学習喚起」の3次元から構成されている. とし,誰が(行動の主導者),どのような行動を(行動の優位性),ど の程度(行動の遂行度)行えば,効果的なのかを検討した。その結果,. 親和的理解促進行動は,安心して学習できるなどの効果性認知に効果を. 及ぼし,個人的配慮確認行動は児童の積極的態度やT・Tに対する好意 的態度に,学習喚起行動はT・Tに対する好意的態度に有効であること を示した。さらに,T・T担当教員(ティーム・ティーチャー)が主導 となって親和的理解促進行動を優位に学習を進め,個人的配慮確認行動 をおりまぜながら,T・T支援行動を多く行っていけば効果的である(主 導者と優位性の効果)ことなどを明らかにしている。. これらの研究からは,T・Tという指導方法の効果やT・Tの授業に おける教師行動の在り方が示唆された。しかし,実際の教師行動に着目 し,それを実証的に研究したものではないうえに児童支援行動に焦点を 当てているものではない。. T・Tは,教師が複数になることによって,教師一人の時と比較して. 3)三栖(1997)では,T・Tの授業に対する教師行動を総称して「T・T支援行動」としている。. 一4一.
(9) 個々の児童への支援量は増加することが期待される。しかし,教師同士. の人間関係から生ずる遠慮,あるいは2人の教師の役割設定の曖昧さや. T・Tの効果に対する教師の認識不足などから,加配教員として授業に 参加する側の教師が,個々の児童を支援できる時間的余裕があるにもか かわらず,個々の児童に対して積極的な支援を行っていないような現状 があるのではないかと考えられる。したがって,おそらく児童支援行動 は十分ではないと予測する。「個に応じた指導」を推進していくために は,まずは児童支援行動を増やす必要があると考えられる。それは,個 に応じることは,個にかかわることから出発すると考えられるからであ る。. 児童支援行動を多く行うことに対するメリヅト・デメリットとして吉 崎(1998)は,児童の立場から次のように述べている。①質問がしゃすい,. ②わからないままにしておくことが少ない,③成績の下位の子どもに「自. 分もできた」という自己成就の喜びがある,④日頃と違う教師と学習で きて楽しい,というメリットと①自分で考えてみる前に教師に相談して 解決してしまおうとする傾向がある,②もう少し自分で考えたいときに,. すぐに教えにくるので,自分だけでやらせてほしいときがある,③一人 の教師が話をしているときに,もう一人の教師の存在は気が散る原因と なることがある,というデメリットである。また奈須(1997)は,評価の. メリットとして,普段生活している担任以外の教師であるからこそ気づ けるその子の良さがあると述べている。これらは,個々の児童にかかわ って初めて生じてくるものだといえ,その意味では,デメリットの存在 を考慮したとしても,児童支援行動を量的に増加させる意義があると考 えられる。. また,浜名・北山(1988)は,教師の指導態度の質に着目し,実験的に. 一5一.
(10) 教師の指導行動を変容させ,児童の学級適応の変化を検討した。その結 果,教師の指導行動が児童に対して受容的で共感的な態度をより強く示 す方向に変化すると,学級児童の学級適応に好ましい影響を与えること を示した。このような教師行動の質的変容の重要性をふまえると,教師 行動を量的にも質的にも変容させていくことが理想的であると考えられ る。しかし,本研究で問題とする児童支援行動全般について,行動の量 と質とを同時に実験的介入によって変容させていくことは,教師に対し て大きな認知的負荷を与えることになる。そこで本研究では,分析に際 しては児童支援行動の質的検討は行うものの,教師に対してはまずは行 動の量的変容のみを意識させるのが妥当と考えた。. 以上のような考察から,本研究では,研究1としてT・Tにおける児 童支援行動の実態把握をする。具体的には,小学校5年生算数科のT・T における児童支援行動の実態を量的及び質的な側面から事例的に検討す る。研究IIでは,実験的介入により児童支援行動を量的に増加させたと きの児童の情意面への影響及び教師の個々の児童に対する認識の変容に ついて検討する。. なお,ここで本研究で対象とするT・Tの授業形態について補足して おく。T・Tの授業形態は,学年単位や学校単位また異学年T・T等, 授業や指導の目標に合わせて様々に工夫されてきている。しかし,現状. は1学級2教師の形態のT・Tがまだ主流である。本研究では日常的な. 授業改善を念頭に置き,1学級2教師の形態で,特に1教室内に2人の 教師が同時に存在する授業を取り上げる。. 一6一.
(11) 研究1. 【目的】. 小学校ティーム・ティーチング(1学級2教師)における教師による 児童支援行動の実態を授業観察によって検討する。. 【方法】. 1 対象者. 日常的にT・Tを実施している静岡県内の公立X小学校5年生2学級 (A学級,B学級)の学級担任及びそれぞれの学級にティーム・ティーチ ャー(team teacher:協力者として授業に参加する教師)として参加して. いる2名の教師,計4名及び,これらの学級に属する児童,計80名(40 ×2)。4名の教師の特1生をTable 1に示した。. Table 1. 対象者(教師)の特性 性別. 教職経験年数. A学級担任. 男. 12年. 2年(担任としてのみ). A学級ティーム・ティーチャー. 男. 20年. 3年. B学級担任. 女. 17年. 3年(担任としてのみ). B学級ティーム・ティーチャー. 女. 22年. 5年. 教師. 一7一. T・T経験年数.
(12) 2 T・Tに対する態度の測定. 対象者(教師)のT・Tに対する態度(T・Tに対する信念・考え方 等)を測定するために,T・Tの意義や問題点,効果等について書かれ ている書物(加藤,1996;浅田・古川,1998;児島・三浦,1996)やT・T. 支援行動のカテゴリー分類(三栖,1997)を参考にした。そして、教師 同士の人間関係,学級運営,事前の打ち合わせ(2項目),教材研究,教 師の学び,教師間の情報交換(2項目),授業の準備,児童との人間関係, やりにくさ,児童の評価,児童一人ひとりへの対応(3項目),学習形態,. 学習活動,共同意識,実践への意欲,現在の相手教師への態度の20項 目からなる両極性尺度を作成した(Table 2)。. Table 2 T・Tに対する態度測定のための尺度項目 項目NO. 尺度項目の内容. i. T・Tでは、児童を多面的に評価することができる. 2. T・Tでは、相手教師の授業の進め方から様々なことを学ぶことができる. 3. T・Tでは、教師が児童に対して親切になりすぎてしまi頼向がある. 4. T・Tでは、教師の役割分担が必要である. 5. T・Tでは、児童一人一人に対してきめ細かく対応することができる. 6. T・Tでは、児童の興味関心に応じて学習形態を変えることができる. 7. T・Tは、一人で授業するときと比べてやりにくい. 8. T・Tでは、できるだけ早く大勢の子の反応や解答をみることが大切だ. 9. T・Tは、事前の綿密な打ち合わせが必要である. 10. T・Tでは、協同してよりよい教材・教具を工夫・開発することができる. 11. T・Tでは、授業後の情報交換によって得るものが多い. 12. T・Tでは、授業の準備に要する時間が節約できる. 13. T・Tの授業では、個々の児童の様子について教師間で情報交換することが重要だ. 14. T・Tの成否は、教師同士の人間関係に依存している. 15. T・Tでは、児童が担任以外の先生と触れ合うことができ、人間関係が拡大する. 16. T・Tは、いわゆる学級王国の弊害をさけることができる. 17. T・Tは、多様な学習活動を可能にする. 18. T・Tでは、教師同士が共同で授業を行っていることを常に意識する必要がある. 19. T・Tについて今後さらに研究し、各教科領域で実践したい. 20. 私は、相手の先生に対して遠慮や気兼ねなく、自分の思う行動がとれている. 注)回答形式は5ポイント・スケールとした。. 一8一.
(13) 3 観察計画 (1)観察対象授業の単元 算数科・小数のかけ算(10時間扱い)。単元の指導計画の概要をTable 3 に示す。. Table 3 小数のかけ算単元指導計画の概要. 小単元. 1 整数×小数 @の計算(2). 2 小数×小数 @の計算(3). 学習内容. 時間 1. ◆小数をかける意味と、立式、答えの求め方を理解する。. 2. ◇(整数)×(小数)の筆算のしかた、積の小数点のつけ方を @理解する。. 1. ◆ (小数)×(小数)の計算のしかたを理解する。. 2. ◇ (小数)×(小数)の筆算のしかたを一般化する。. 3. ◆1より小さい数をかけると、積は被乗数より小さくなること @がわかる。 @(純小数)×(純小数)の計算のしかたを理解する。. 3 練習(1). 1. ◇既習事項の理解を深める。. 4 小数のかけ. 1. ◆小数のときも面積の求積公式にあてはまることを理解する。. @計算(2). 2. ◆計算のくふうをしながら、小数でも計算法則が成り立つこと @を理解する。. 5 まとめ(1). 1. ◇既習事項のまとめをする. 6 練習(1). 1. ◇既習事項の理解を深める。. @算を使った. 注1)小単元欄の( )内の数値は,配当時間。. 注2)◆印のついた時間を観察した。. (2)観察対象授業選定の手続き. 「小数のかけ算」単元導入前に,各学級の授業者(研究対象者)に対. 一9一.
(14) してオリエンテーションを実施した。「T・Tの実態を把握し、授業改善 に生かす」という観察の目的を伝えた後,観察授業の決定のための話し. 合いに移った。その際,条件として「教室内に2人の教師が存在するこ と(2教室以上を使ったコース別の学習ではないこと)」,「計算の練習. 問題のみの授業やまとめのテストの授業ではないこと」の2点と単元の. 10時間の内5時間を観察・録画することを伝えた。さらに,児童支援 行動を単元を通して測定したかったため,観察する5時間が単元の指導 の中で,前半または後半に偏ってしまうことがないよう,単元の指導計 画表を参考にしながら決定していった。また,授業内容による教師行動 の違いをなるべく統制するために,両学級において同じ指導内容の時間. となるようにした。結果は,第1次1時,第2次1時・3時,第4次1 時・2時の5時間を観察対象授業として選定した(Table 3)。. (3)児童支援行動観察カテゴリー 水越(1977)が理科学習の教師行動分析の際に用いたカテゴリー,西之 園・増田・衣川(1981)が家庭科の授業に関して教授方術析出のために用 いたカテゴリー,梶田(1995)の作成した教授・学習行為分析チェック・ リスト,柴田(1999)の量的手法を取り入れた授業分析のためのカテゴリ ー,を参考に児童支援行動カテゴリーを構成した(Table 4)。カテゴリ. ー内容の決定に際して,①算数科だけでなく他教科にも適用できる内容 を含んでいること,②授業者の会話を録音しなくても分析が可能なこと,. ③現場の教員にもチェヅクが簡単にできること,を考慮して作成した。. 一10一.
(15) Table 4. 児童支援行動 説 明. 児童支援行動カテゴリー. 具体例. 操作的定義. 児童の問いに対して答えたり問題の解答につ. ・一 ヘこうなるんだよ。. 「て順をおって示したりする。 ・がんばってね。. 激 励. 児童の態度について励ます。. 賞 賛. 児童の態度についてほめたり認めたり. ・いいね一。. キる。. Eがんばったね。. 児童に教師のやってほしいことを伝える(命. ・一 オなさい。. ゚する). E一 オよう。. 注 意. 児童の態度を叱る。. ・一 オてはいけません。. 質 問. 発問をする。. ・一 ヘどういうことですか. 確 認. 児童の反応について確かめる。. ・できましたか。. その他. 説明一確認以外の行動をとる。. ・「一してもいいですか。」. 指 示. フ児童の問いにいいよと 嘯ヲる。. 非 行. 動 作. セ 動. 児童の体に触れたり身振り手振りでかかわっ. ・肩をたたく. スりする。. 齠I支援. 視線顔. 視線を児童の顔に向ける。. ・のぞきこむ。. 視線机. 視線を児童の机の上に向ける。. ・ノートを見る。. (4)児童支援行動観察記録表. 児童支援行動カテゴリーに「支援行動の回数」「1回当たりの時間」 「支援行動の類別(教師からか児童からか)」「指導場面の区別(一斉 か個別か)」の4点を加えて,児童支援行動観察記録表を作成した(Figure 1)o. 一11一.
(16) A. 児童名. 非言語的. 言語的 回. B. 類別 説 励 賞 指 注 質 確 他 動 顔 机 場 面 七 c. 2. t c. 3. t c. 4. も c. 一・ 一・ 一・ 一・. 時謝. ツ ツ ツ ツ. D. C 注1)回 :1授業当たり最大4回の個人的支援について記録できる。. 類別:t一教師からの働きかけ、c一児童からの働きかけ 言語的:言語的支援行動 非言語的:非言語的支援行動 「説」:説明、「励」:激励、「賞」、賞賛、「指」:指示、. 「質」:質問、「確」:確認、「他」:その他、「動」:動作. 「顔」:視線顔、「机」:視線机. 形態:一一一斉指導形態、個一個別指導形態 注2)A−Dのアルファベットと矢印は,実際の記録表には示されていない。. Figure 1.. 児童支援行動観察記録表. この個人表を教室内の座席レイアウトに基づいてB4判画用紙に48 並べ,児童支援行動観察記録用紙4)を作成した。. 《児童支援行動観察記録用紙への記入方法》. (A)時間の測定に際しては,ストップウォッチを使用し,教師が児童 にかかわり始めてから離れるまでの時間を測定する。なお,「かか わり始め」とは,言語的かかわりの場合には「教師の発声開始時点」. であり,非言語的かかわりの場合には「対象となる児童に触れ始め. 4)巻末資料1−1参照. 一12一.
(17) たり視線を向け始めた時点」である。「離れる」とは,「教師が他 の場所に移動し始めた」時点を基準とし,移動しながら視線を向け る場合はカウントしない。測定した時間は,時間欄(Figure 1のA. 欄)に記入する(同じ児童に複数回かかわる場合は,2回目3回目 の行の時間欄に記入)。. (B)働きかけの類別は,教師から働きかけたときは「t」を,児童か らの場合は「c」を○で囲む(Figure 1のB欄)。. (C)児童支援行動の内容に関しては,例えば,教師が「説明」を行っ たときは,言語的カテゴリーの「説明」欄にチェックをつける(Figure. 1のC欄)。. 他の行動内容についても同様の方法で記入する。なお,「説明」. の後「よくできたね。」などの賞賛の言葉があるような二つの行動 が重複する場合は,二つの欄にチェックを入れる。. (D)指導場面については,一斉指導の場合は「一」,個別支援の場合 は「個」をOで囲む(Figure 1のD欄)。. (5)観察者. 静岡県内の公立小学校に在籍し,兵庫教育大学大学院で本研究を遂行 している現職教員(38歳,教職経験17年)。. 3 手続き (1) T・Tに対する態度の測定の手続き. 授業観察対象単元導入前に,質問紙を被験者に直接手渡した。被験者 は個々に回答し,終了後,直接回収した。. 一13一.
(18) (2)観察・録画の手続き 授業開始前にビデオカメラ1台を教室の左後方に設置し(Figure 2),. 録画の準備をした。児童の「始めましょう」の合図と同時に録画を開始 した。また,同時に児童支援行動観察記録用紙を利用し,教師行動を記 録した(観察・録画とも観察者によって行われた)。. 教師2名を同時に観察することは不可能であるため,授業場面での直 接観察は,主に個別支援を担当する役割を担った教師(授業開始直後の 行動より判断した)を対象とした。観察者は,基本的に教室の右後方に 位置し,授業の妨げにならないように配慮した。しかし,言葉を聞き取 りにくく,支援行動の内容の判断がつきにくい場合は,観察対象者の近 くに移動した。Figure 2はビデオカメラ及び観察者の位置を示している。. □. @. 教室前. 観察者. ビデオカメラ. Figure 2. ビデオカメラの. 設置場所と観察者の位置. 観察・録画の終了は,授業の終了時の「終わりましよう」の合図に従 った。. 直接観察を行わなかったもう一方の教師の児童支援行動については,. 一14一.
(19) 録画されたビデオを再生することにより同様に記録した。 (3)授業観察後の教師に対するインタビューの手続き. 観察者は,観察対象とした授業ごとに,終了した後,各対象者に対し て個別にインタビューを行った。. 対象者によって,観察した後の時間割が異なるため,あらかじめイン タビューの時間を設定しておいた。観察した直後の時間確保が可能な場 合には,できるだけ直後とし,不可能の場合は昼休みを活用した。. 実施に際しては,できるだけ静かな部屋を選び,個別に実施した。内 容は,「実施した授業に対する目標達成度自己評定」,「実施した授業に. 対する満足度の自己評定」,「観察した授業での自分の役割」の3点に ついてであった。目標達成度と満足度については,被験者に5段階評定 させ,観察者が記録用紙5}に記入する方法をとった。役割については, 被験者の言葉を記録用紙にメモした。. (4)実施時期. 平成11年6月. 5)巻末資料1−2参照. 一15一.
(20) 【結 果 】. 1 対象教師のT・Tに対する態度 授業観察前に対象教師に対して行ったT・Tに対する態度尺度への反. 応に基づいて,「どちらともいえない」を0点として,「そう思う」2 点,「ややそう思う」1点,「あまりそう思わない」一1点,「全くそう 思わない」一2点を与え,学級ごとグラフ化した(.Figure 3, Figure 4)。. A学級担任. 尺度項目の内容. 項目NO. 一2 O 2. 1. T・Tでは、児童を多面的に評価することができる. 2. T・Tでは、相手教師の授業の進め方から様々なことを学ぶことができる. 3. T・Tでは、教師が児童に対して親切になりすぎてしまう傾向がある. 4. T・Tでは、教師の役割分担が必要である. 5. T・Tでは、児童一人一人に対してきめ細かく対応することができる. 6. T・Tでは、児童の興味関心に応じて学習形態を変えることができる. 7. T・Tは、一人で授業するときと比べてやりにくい. 8. T・Tでは、できるだけ早く大勢の子の反応や解答をみることが大切だ. 9. T・Tは、事前の綿密な打ち合わせが必要である. 10. T・Tでは、協同してよりよい教材・教具を工夫・開発することができる. t1. T・Tでは、授業後の情報交換によって得るものが多い. 12. T・Tでは、授業の準備に要する時間が節約できる. 13. T・Tの授業では、個々の児童の様子について教師間で情報交換することが重要だ. 14. T・Tの成否は、教師同士の人間関係に依存している. 15. T・Tでは、児童が担任以外の先生と触れ合うことができ、人間関係が拡大する. 16. T・Tは、いわゆる学級王国の弊害をさけることができる. 17. T・Tは、多様な学習活動を可能にする. 18. T・Tでは、教師同士が共同で授業を行っていることを常に意識する必要がある. 19. T・Tについて今後さらに研究し、各教科領域で実践したい. 20. 私は、相手の先生に対して遠慮や気兼ねなく、自分の思う行動がとれている. Figure 3.. A学級協力者. 一2 O 2. A学級授業者のT・Tに対する態度:尺度項目ごとの評定結果. 一16一.
(21) B学級担任. 尺度項目の内容. 項目NO. 2. 1. T・Tでは、児童を多面的に評価することができる. 2. T・Tでは、相手教師の授業の進め方から様々なことを学ぶことができる. 3. T・Tでは、教師が児童に対して親切になりすぎてしまう傾向がある. 4. T・Tでは、教師の役割分担が必要である. 5. T・Tでは、児童一人一人に対してきめ細かく対応することができる. 6. T・Tでは、児童の興味関心に応じて学習形態を変えることができる. 7. T・Tは、一人で授業するときと比べてやりにくい. 8. T・Tでは、できるだけ早く大勢の子の反応や解答をみることが大切だ. 9. T・Tは、事前の綿密な打ち合わせが必要である. to. T・Tでは、協同してよりよい教材・教具を工夫・開発することができる. 11. T・Tでは、授業後の情報交換によって得るものが多い. 12. T・Tでは、授業の準備に要する時間が節約できる. 13. T・Tの授業では、個々の児童の様子について教師間で情報交換することが重要. 14. T・Tの成否は、教師同士の人間関係に依存している. 15. T・Tでは、児童が担任以外の先生と触れ合うことができ、人間関係が拡大する. 16. T・Tは、いわゆる学級王国の弊害をさけることができる. 17. T・Tは、多様な学習活動を可能にする. 18. T・Tでは、教師同士が共同で授業を行っていることを常に意識する必要がある. 書9. T・Tについて今後さらに研究し、各教科領域で実践したい. 20. 私は、相手の先生に対して遠慮や気兼ねなく、自分の思う行動がとれている. Figure 4.. 0. 2. B学級協力者. 一2 O 2. B学級授業者のT・Tに対する’ ヤ度:尺度項目ごとの評定結果. それぞれの項目について,ベアとなる教師間に極端な差はみられなか. った。しかし、項目4,7,14,16及び20のような日常的なT・T実践に対 する考えを問うた項目に対して両学級の教師に若干の違いが見られた。. ただ,これらの違いがT・Tに対する教師行動へ大きく影響を及ぼすこ とはないと判断した。. 2 児童支援行動の実態 (1)録画ビデオの再生と児童支援行動観察の手続き. 一 17 ・一.
(22) 録画したビデオを再生しながら,直接観察時と同じ記録方法によって,. 二人の教師それぞれの児童支援行動を児童支援行動観察記録用紙に記入 していった。その際,観察の信頼性を高めるため,一人の教師について 3回のビデオ再生・観察を行った。なお,直接観察した教師については 2回のビデオ再生とし,合計3回の測定値が得られるようにした。 ビデオ再生は,対象校の視聴覚教室にあるパーソナルコンピューター にデジタルビデオを接続し,モニター画面に大きく映し出すとともに一 時停止やコマ送りなどの操作が一人でもすみやかにできる環境の中で行 われた。. 時間の測定については,ストップウォッチを押すタイミングによって. の誤差を考慮し,1回の測定についてはユ0分の1の値を切り捨てた。 さらに3回の測定値のうち,その中央値を最終的な測定値として採用し. た。なお,1秒以下の児童支援行動については,0秒とみなし,当該行 動が生起しなかったこととした。. (2)総児童支援行動量からみた実態. 2人の教師の児童支援行動の時間及び回数について,観察した5時間 分を児童ごとに合計し,各児童が各教師から受けた総児童支援行動量を 算出した。 Table 5, Table 6は, T1, T2, TIT26)それぞれについて,総児童支援行. 動時間及び回数の代表値を示したものである。なお,児童支i援行動時間 の平均値を算出する際,分布の偏りを修正するために時間量に対数変i換. 6)T1:担任,T2:ティームティーチャー,TlT2:二人の支援量の合計,を表す。. 一18一.
(23) (log(x+1))を施した。また,時間の単位をmsに直してから変換した。. Table 5 学級ごとにみた総児童支援行動(時間)の代表値 (単位:秒) TIT2 A学級. 最大値. (N=39) 中央値. 最小値 平均値(SD). B学級. 最大値. (N=40) 中央値. 最小値. T2. Tl. 610.oo. 247.00. 453.oo. 89.oo. 46.00. 19.oo. 5.oo. 2.00. o.oo. 4.93 (O.48). 1.64 (O.42). 1.34 (O.82). 311.oo. 96.oo. 271.00. 42.oo. 斜.oo. 21.00. 2.oo. 4.61 (O.53) 平均値(SD) 注1)A学級1名は,すべて欠席のため除外した。. o.oo. 1.00. 1.04 (O.51). 1.41 (O.58). 注2)平均値は,対数変換後の数値で算出した。. Table 6 学級ごとにみた総児童支援行動(回数)の代表値 (単位:回) Tl. Tl T2. A学級 (N=39). B学級 (N=40). T2. 最大値 中央値 最小値. 30.oo. 15.oo. 21.oo. 8.oo. 5.oo. 2.oo. 2.oo. 2.oo. o.oo. 平均値(SD). 12.77 (6.88). 7.62 (3.17). 5.15 (5.21). 最大値 中央値 最小値. 21.oo. 13.oo. 11.oo. 8.oo. 3.oo. 4.oo. 2.oo. o.oo. 1.oo. 平均値(SD). 12.25 (6.10). 5.63 (3.83). 6.63 (3.57). まず,個々の児童に対するTIT2総児童支援行動(時間)を学級間で. 一19一.
(24) 比較した。t検定7遊行った結果,学級の平均の差は有意であった(両 側検定:t=2.87,(正=77,p<.01)。したがって,A学級の方がB学級よりも教. 師が個々の児童に対して時間的に多くかかわっているといえる。. 児童支援行動(回数)に関しても,時間量と同様の比較を行った。t. 検定の結果,両学級の平均の差は有意でなかった(両側検定: t=0.35,df』77,n.s.)。したがって,回数的には両学級に差がないといえる。. 次に,教師別に総児童支援行動(時間)の平均の差を比較した。A学 級教師間においてF検定の結果,分散の差が有意であった(両側検定: F=3.69,df」38,p<.01)。そこで,ウェルチの法によるt検定を行った結果, 教師間の平均値の差は有意傾向であった(両側検定:t=1.98,df=57,pく.1)。. また,B学級の教師間について,t検定を行った結果,教師間の平均値 の差は有意であった(両側検定:t=2.99,df』78,p<.01)。. この結果から,A学級ではTユがB学級ではT2が,時間的に多く児 童にかかわっているといえる。. ところで,TIT2総児童支援行動(時間)とTIT2総児童支援行動(回 数)の相関係数を学級ごとに求めたところ,A学級において0.90, B学. 級において0.81であった。時間と回数の間には強い相関がみられたた め,児童支援行動(時間)のみについて,次の分析を行った。 それぞれの学級について,「T1総児童支援行動(時間)」を横軸に「T2. 総児童支援行動(時間)」を縦軸にとり,それぞれの教師のかかわりの 時間を児童一人ひとりの散布図で示した(Figure 5, Figure 6)。. 7)本研究における児童支援行動(時間,回数)の測定値は,相互に完全に独立ではないという 問題を残しているが,各測定値が独立とみなして処理を行った。. 一20一.
(25) 500 ◆. 400 ◆. 300. T2 ◆. 200. ◆◆◆. ◆. @◆ ◆ 100. ◆◆ ◆. m◆●3. ◆. o. O 100 200 300 Tl. 注)◆は児童を表す。. Figure 5. A学級の教師別児童支援行動(時間). 500. 400. 300 ◆. ◆. T2 200. too 8. ◆. o. o. 200. 100. 300. Tl. Figure 6.. B学級の教師別児童支援行動(時間). 一21一.
(26) 特にB学級に著しい傾向があるが,両学級ともT1・T2の両者が,と もに同じ程度のかかわりをもった児童が少ないことがよみとれた。また,. 両学級とも支援時間が多い児童と少ない児童の差がはっきりとあらわれ た。. (3)指導場面を区分しての実態. 児童支援行動観察表に記録された「指導場面」の区別及び児童支援行 動カテゴリーの「言語的」「非言語的」分類の記録に基づいて,教師別 に「どの場面で」,「どのような行動が」,「どの程度行われているのか」 をTable 7に示した。. Table 7 各教師の授業場面別,行動内容別総児童支援行動(時間). (単位=秒) 総児童支援行動(時間). A学級Tl. 2,433. 一斉指導場面 個別支援場面 527. 1,679. 59. 168. 言語的. 546. 2,005. 非言語的. 1M. 234. 言語的. 37. 5gg. 非言語的. 5. 131. 言語的. 非言語的. A学級T2 B学級Tl B学級T2. 2,949. 761. 2,204. 言語的. 非言語的. 446. 1,611. 12. 1 35. 注1)数字は,全児童の総和を表す。 注2)A学級:N=39,B学級=N=40. B学級T1は,一斉指導場面,個別支援場面とも他教師と比較し,言. 語的児童支援行動が少なかった。また,B学級の2教師はA学級と比 較して一斉指導場面における非言語的児童支援行動が少ないことが示さ れた。. 一22一.
(27) また,一斉指導場面では,全体の進め役を担った教師の児童支援が行 われにくく,個別支援場面ではT1, T2ともに児童支援が行われるとし て,授業終了後に行った各教師へのインタビューの記録に基づいて,授 業時間別の役割から児童支援行動可能時間を算出した。Table 8は,例. えばA学級の授業時間1では,実際に行われた授業の総時間は2,705秒 (約45分)であり,この内,一斉指導場面は1,760秒(約29分),個別. 支援時間は945秒(約16分)であった。この授業でT1は全体指導の進 め役だったので児童支援行動可能時間は945秒であり,一方T2は,個 別支援の役割を担っていたため,児童支援行動可能時間は,授業総時間 と等しい2,705秒になることを示している。. Table 8. 授業時間別児童支援行動可能時間 (単位:秒). 指導場面. 役割. 授業時間 総時間(秒) 個(秒). A学級. B学級. 可能時間 一斉(秒)TI T2 TI 1,760進める個別. 1. 2r705. 945. 2. 2,5{sc). 4ac. 2,1 ZK}個別. 3. 2r7ac. 585. 4. 2,690. 695. 5. 2r740. 765. 2,135進める個別 1,995進める個別 1,975進める個別. 計. 進める. T2 両者の合計 9ca 2,70s. 3,650. 2,500 4pa. 2,980. seo 2,720. 3,305. 695 2,690. 3r385. 765 2,740. 3,505. 13,415. 3,410. 5,5so 11,275. 16,825. 1. 2,880. 8ss. 2,045進める 個別. 835 2,880. 3,715. 2. 2,670. sse. 3,225. 2,400. 805. 805 2,400. 3,205. 4. 2,595. 90s. 2,115進める個別 1,595進める個別 1,690進める個別. 555 2,670. 3. 905 2,595. 3,500. 5. 2,680. 8ss. 1,845進める 個別. 835 2,680. 3,515. 計. 13,225. 3,9ss. 10,005. 9,2so. 3,935 13,225. 17,1 oo. 注1)指導場面の「個」:個別支援時間,「一斉」:一斉指導時間を表す。 注2)役割欄の「個別」:主に個別支援を担う,役割欄の「進める」:全体指導の進め役を担う、ことを表す。. 教師別に総児童支援行動可能時間における実際の総児童支援行動時間. (Table 7参照)の比率を算出したところ,A学級T1が43.8% (2,433/5,550),T2が26.2%(2,949/11,275),B学級T1が19.3%(761/3,935),. 一23一.
(28) T2が16.7%(2,204/13,225)になった。この数値は,児童支援行動率であり,. 数値が大きいほど児童支援行動を多く行っていることとなる。. 次に,個別支援の役割を担った教師が,一斉指導場面においてどの程 度児童支援行動を行っているかどうかTable 9に示した。. Table 9. 個別支援の役割を担った教師の 一斉指導場面での児童支援行動(時間) 単位:秒. 個別支援の役割を担った教師(時間)一斉場面での児童支援行動時間. A学級T1(第2時). 525. A学級T2(第1 ,3,4,5時). 710. B学級T2(第1∼5時). 458. A学級で個別支援の役割を担った教師が,一斉場面において児童支援 行動を行った総時間は,1,235秒(T1:第2時+T2:第1・3・4・5時:. Table 8参照)であり,B学級は,すべてT2であるため458秒である。 この時間が,Table 8で示した「一斉指導時間」においてどの程度の割 合を占めているかを算出したところ(A学級,1,235/10,005:B学級, 458/9,290),A学級においては12.3%であり,B学級は4.6%であった。. この数値が大きいほど,一人の教師が全体指導を行っている一斉指導場 面において,もう一人の教師が個別に支援している割合が大きいことに. なる。したがって,A学級の方がB学級よりも一斉指導場面で個別支 援をしている時間が多いといえる。. 4 児童支援行動カテゴリー別にみた実態 Table 10は,学級別,教師別にカテゴリーごと児童支援行動(回数). 一24一.
(29) を示したものである。なお,各カテゴリーは,行動を示しているという. ことから1回の児童支援行動に際し,2つのカテゴリーが重複してしま うことが見られた。時間を測定する際に,重複した行動を区別して測定 できなかったため,分析の際,時間ではなく回数を用いた。. Table 10. 学級別,教師別にみたカテゴリー別児童支援行動(回数) 単位:回. 1非言語的. 言語的. 説明 激励 賞賛 指示 注意. 学級(教師). A学級(TlT2) 102 A学級(T1) A学級(T2). 57 45. B学級(TlT2) 40. 9 2 7 6. B学級(T1). 8. 1. B学級(T2). 32. 5. 質問 確認その他1動作 71. 3 ・29 26 28. 1 3 9 3. 21 19 17 8 7 “ 53 51 21 31 15 14. 40 31. 44 26. 6 22 36 7. 18. 顔. 机. 14i 51 7 69 11i 35 3 38 3i 16 4 31 7i 59 17 61 4:, 34 4 26. 3: 25 13 35. この結果をもとに総児童支援行動(回数)にしめる各カテゴリーの比 率を算出した。Table 11は,その結果である。. Table 11学級別,教師別にみた総児童支援行動(回数)中の各カテゴリーの割合 (%) 1非言語的. 言語的 学級(教師). 説明 激励. A学級(TlT2) 24.9 2.2 0.7 7.1 A学級(T1) 23.4 0.8 0.4 8.6 A学級(T2) 27.1 4.2 1.8 4.8. 指示 注意 質問 確認その他1動作 6.4 7.8 4.2. 机. 6.8 17A 3.4 i 12.5 1.7 16.9 7.0 16.4 4.5: 14.3 1.2 15.6 6.6 18.7 1.8: 9.6 2.4 18.7. 13.9 B学級(TIT2) 10.9 1.6 2.4 14.4 5.7 12.0 1.9i 16.0 4.6 16.6 9.0 8.4 15.7 2.4i 20.5 2.4 15.7 B学級(T1) 4.8 0.6 1.8 18.7 17.8 B学級(T2) 15.8 2.5 3.0 10.9 3.5 8.9 1.51 12.4 6.4 17.3 注)数値の算出方法は,カテゴリー数/各教師の総児童支援行動(回数)である。. A学級のT1とT2は,カテゴリーの比率順序5位までが説明一〉確認 →視線机→動作→指示と全く同じだったのに対し,B学級のT1とT2は, T1が動作→確認一〉視線二一〉指示→注意であり,T2が注意一〉視線机今説. 一25一.
(30) 明→動作一〉指示となって異なっていた。また,A学級T2は他教師より も「激励」の割合が高かったが、両学級の共通点として「激励」や「賞. 賛」の割合が少ないことが挙げられた。A学級は「説明」が多くB学 級は「指示」が多いことが相違点であった。. 一26一.
(31) 【考 察 】. 研究1の目的は,小学校T・T(1学級2教師)における教師による 児童支援行動の実態を授業観察によって検討することであった。日常的. にT・Tを行っている小学校5年生2学級の算数科(小数のかけ算単元). を対象とし,単元10時間計画のうち5時間を抽出して観察・録画する ことによって児童支援行動を量的及び質的側面から分析した。そこで, この2つの観点から考察を進めていくものとする。. 1 児童支援行動を量的側面からみた実態. 先行研究において,T・Tにおける児童支援行動の実態を明らかにし ている研究は皆無であるうえに観察学級が2学級と少ないために「量的 に多い,少ない」ということを相対的に結論づけることはできない。そ こで,児童支援行動可能時間に対する実際の児童支援行動の割合によっ て,量の大小を検討しようと考えた。教師別にその比率を算出したとこ ろ,高い教師で約43%,低い教師で16%であった。この結果から,児童 支援行動可能時間から考えた実際の児童支援行動量は十分であるとは言 い難い。したがって,今後児童支援行動を増加させる余地があると考え られる。また,この値に教師間で差がみられた。この差が起きる原因の 1つは,個別支援の役割を担った教師の一斉指導場面における児童支援 行動量にあると考える。A学級の教師は,一斉指導場面において12.3%. の割合で児童支援行動が行われているのに対し,B学級では4.6%にと どまっている。これは,「個別支援の役割を担った教師」が,実際には 一斉指導の際に個別支援を行っていないことに他ならない。さらに,こ の結果は学級間において児童支援行動(時間)に差が見られたことにも. 一27一.
(32) つながると考えられる。T・Tでは,複数の教師が存在しているのにも かかわらず,一人の教師が授業を見てしまう状況になる場合があること が指摘されているが(浅田・古川,1998),この指摘と同じ結果が見ら. れたことになる。T・Tにおいては,導入場面における二人の教師の掛 けあいや一人の教師が板書を行い,もう一人が発問するといったように,. 一斉指導場面で児童支援行動が行われにくい状況も考えられるが,児童 支援行動を増加させるためには,一斉指導場面における児童支援行動の 比率を高めていく必要があると考えられる。. 浅田(1997)は,時間的に一人の児童に二人の教師はおなじくらいか かわることの重要性を述べているが,本研究で得られた結果は,二人の 教師(T1,T2)ともに児童支援行動量の個々の児童に対する偏りが見られ. ることが示された。本研究の結果で示されたような児童間の児童支援量 の差は,実際に支援を要求している児童に対して,その要求を満足させ る方向に教師行動がなされていない可能性を示唆している。. 以上の考察から,問題で予測したように児童支援行動が量的に十分で はないことが示されたと言えるであろう。. 2 児童支援行動を質的側面からみた実態 児童支援行動の内容をカテゴリー別に分類し,総児童支援行動(回数) にしめる各カテゴリーの比率を算出した結果,両学級の教師とも「激励」. や「賞賛」といった行動が多く行われていないことが示された。一般的 に「注意」よりも「激励」や「賞賛」の方が児童に対して好影響を与え ると考えられる。したがって,児童支援行動が量的にも質的にも変容す ることが望ましいことを示唆していると言えるであろう。しかし,本研 究で扱った児童支援行動カテゴリーでは,「受容的で共感的な態度」を. 一28一.
(33) 直接的に測定することはできないため,教師行動が受容的で共感的な態 度をより強く示すように変化すると児童の学級適応に好ましい影響を与 えるという浜名・北山(1988)の研究で示された結果と比較することが できなかった。このように考えると児童支援行動カテゴリーの構成に問 題があったと言え,今後の課題として児童支援行動の質をどのような観 点からとらえて問題としていくかが残された。. また,A学級のT1,T2はほぼ同じような行動をとっていたのに対し,B. 学級のT1とT2には違いが認められた。 T・Tに対する態度尺度の項 目20(私は,相手の先生に対して遠慮や気兼ねなく,自分の思う行動が. とれている)への反応において,B学級T2だけが「どちらともいえな い」と回答している(他の3名の教師はそう思うと回答している)こと. から,B学級T2が日常的なT・T授業で遠慮がちであることが伺われ た。浅田(1997)の調査で示された「チームとして機能していない状態」. に陥る要因の一つとして,教師同士の人間関係が考えられるが,T・T における児童支援行動を問題にする際の課題として残された。. 両学級の教師の児童支援の特徴的な行動として,A学級では「説明」 が多く,B学級では「指示」や「確認」といった行動が多くなっている。. この原因の一つとして,単元の学習内容が小数のかけ算ということで,. 計算が多くおこなわれ,児童に考えさせるよりも説明をしたり答えを確 認したりすることのほうが多くなってしまったためと考えられる。. 一29一.
(34) 研究II. 【目的】. ティーム・ティーチングにおける教師による児童支援行動の量的な肇 容が,児童の情意面や教師の児童認識に及ぼす影響について検討する。. 【方法】. 1 対象者 (1)教師. 静岡県内の公立X小学校5年生2学級の学級担任とそれぞれの学級 にティーム・ティーチャーとして参加している2名の教師,計4名(研. 究1と同じ教師),及び公立Y小学校5年生2学級の学級担任とそれぞ れの学級にティーム・ティーチャーとして参加している2名の教師,計 4名。. (2)児童. 上記の教師が担任する学級の児童。公立X小学校5年生2学級80名. (男子47名女子33名)。公立Y小学校5年生2学級65名(男子26名 女子39名)。X小学校の教師及び児童は,実験的介入の対象者であった のに対し,Y小学校の教師及び児童は,従属測度の一部についてではあ るが,いわゆる統制群としての対象者であった。. 一30一.
(35) 2 実験的介入を行った後の授業と観察対象とした授業 算数科 単元名:小数のわり算(11時間扱い)。単元の指導計画の概 要をTable 12に示した。. Table 12. 小数のわり算指導計画の概要 学習内容. 小単元. 時間. 1 整数÷小数 @の計算(2). 1. ◆言葉の式を用いて、小数の場合でも除法が成り立つことを知 @り,小数でわる意味と、立式、答えの求め方を理解する。. 2. ◇(整数)÷(小数)の筆算のしかた、積の小数点のつけ方を. @理解する。 2 小数÷小数 @の計算(35). 1. ◆(小数)÷(小数)の計算のしかたを理解する。. 2. ◇わり切れるまでわり進めるしかたを理解する。. 3. ◆除数による、商と被除数の関係を理解する。. 4. ◇1より小さい数でわる除数のしかたを理解する。 @既習事項の理解を深める。. 練習(o.5). 1. ◆余りの意味、計算のしかた、答えの確かめ方を理解する。. 2. ◇商を四捨五入して概数で求める意味や方法を理解する。. 4 どんな式に @ なるかな. 1. ◆×(小数),÷(小数)の場面で演算決定をする。. @ (1.5). 2. ◇小数の乗除の場面を理解し、問題作りをする。. 3 いろいろな @ わり算(2). @既習事項のまとめをする。. まとめ(05). 5 練習(1). 1. ◇既習事項の理解を深める。. 注1)小単元欄の( )内の数値は,配当時聞。 注2)◆のついた時間を観察した。. 一31一.
(36) 3 実験的介入の概要. 対象教師の児童支援行動を増加させるための実験的介入の概要を Figure 7に示した。3つのステップを含む具体的内容は後述する。. (il). 録画ビデオの視聴. 対象者がティーム・ティーチングを 行っている授業を前もって録画した ものを視聴する。. @ 児童支援行動の実態の フィードバック. 対象者のティーム・ティーチング中 の児童支援行動の出現頻度を表にし たものを示す。. @ 児童支援行動を増加さ. 教示を与える。. ケる要請. Figure 7.. 実験的介入の概要. 4 従属測度 (1>児童支援行動. 授業観察とビデオ録画により,教師の児童支援行動を記録する。観察 や記録等の方法は,研究1に示したものと同様である。. (2)T・T教師行動評価尺度 三栖(1997)を参考に,「存在感」,「声かけ(2項目)」,「かかわり」, 「励まし」,「平等感(2項目)」,「’協同感」,「賞賛」,「やさしさ」の計10. 項目からなる両極性尺度(5ポイント・スケール)を作成した(例:T・T. で学習するとき,二人の先生は,わたしの考えを大切にしてくれる,な. 一32一.
(37) ど)8)。. (3)T・T授業に対する児童の情意的評価尺度 T・T授業た対する児童の情意的評価を測定するため,三栖(1997)を 参考に,「話しかけやすさ」,「楽しさ」,「意欲」,「達成感(2項目)」, 「安心感」,「満足感」,「集中度(4項目)」,「好意度」,「期待感」,「理. 解度」,「積極的授業態度(2項目)」,「問題解決欲求」,「知識獲得欲求」. の18項目からなる両極性尺度(5ポイント・スケール)を作成した (例:わたしは,T・Tで学習することが楽しい,など)。9}. (4)教師の児童認識調査用紙. 算数の時間における個々の児童の特徴について,担任教師及びティー. ム・ティーチャーは,どのような認識をしているかをとらえるために Figure 8に示した自由記述用紙を作成した。. ◎教師の児童個々に対する認識 記録用紙 ・児童個々に対して、あなたがもっている現段階の認識について、自由に記述 してください。ただし、算数の時間の表れに限定します。 Nα 児童名 1. 2. 3. 4 5 6 注)図は、用紙の一部を示している。. Figure 8.. 教師の児童認識調査用紙. 8)巻末資料II−1参照 g)巻宋資料II−2参照. 一33一.
(38) 5 手続き 手続きの概要についてFigure 9に示した。. (1)事前調査(x校). (Y校). 撫灘客船]. ,. 比. 較. (2)教師への実験的. 介入. (x校). 」lth. ,. (3)授業観察(X校) ,. (4)事後調査(X校). (Y校). ①児童支援行動の観察・記録. 11時間中5時間抽出. ①児童に対して教師行動評価尺度 T・T授業に対する児童の情意的評価尺度の実施 ②教師の児童認識調査. Figure 9.手続きの概要. (1)事前調査. 対象教師による児童支援行動を増加させるための実験的介入を行う前. に,対象学級の児童に対して,T・T教師行動評価尺度とT・T授業に 対する児童の情意的評価尺度の2つの質問紙を実施した。なお,この調 査は,児童が在籍する学級の教室で学級担任により,放課後の時間を活 用して実施された。. また,同時期に対象教師8名(X校4名,Y校4名)に対して,その時. 一34一.
(39) 点での担当学級の個々の児童に対する認識を調査した。個別に記録用紙 を手渡し,自由記述完了後,それを回収する形式をとった。. (2)児童支援行動を増加させるための介入. 当該単元の開始前にX小学校4名の対象教師に対して,個別に以下 に述べる3点の処遇を与えた。. なお,処遇に費やす時間が約1時間ということを考慮し,対象者の負. 担が少ないと思われた放課後を活用し,1日に2名ずつ2日間に分けて 実施した。. ①録画したビデオ視聴 研究1で録画した対象者の授業5時間(1学級につき)のうち1時間 を研究者がランダムに抽出して対象者とともに視聴した。その際,でき るだけ静かな環境の中で行うために,該当校の視聴覚教室を利用した。. また,個々の児童とのかかわりの回数を明らかにするために,教師が かかわった児童を座席表にチェックする作業をビデオ視聴しながら対象 者が行った。その際,時間短縮のために教師による個々の児童へのかか わりが見られない場面は早送りした。. ②児童支援行動の現状のフィードバック 研究1における対象者の児童支援量が記載されている表’0〕を対象者に 見せた。. ③ティーム・ティーチングを行う際,両教師は,ともにできるだけ多 くの児童とかかわってほしいという教示. 教示文の主な内容は,1)教師サイドから見たT・Tのメリット,2)児. 10)学級の座席表に、教師別に総児童支援行動(時間,回数)を記入した表である。. 一35一.
(40) 童一人ひとりへのきめ細かい対応の必要性,3)できるだけ多くの児童と かかわりをもっことへの依頼であった。教示文をFigure 10に示した。 上記の①∼③は,連続した時間的流れの中で行われた。. T・Tは、複数の教師が協力して授業を行う教授形態です。ですから、一口に. T・Tといっても様々なパターンが考えられます。現在行っているような1学級. 2Tの他にも、学年T・T、異教科T・Tさらに規模を拡大して考えれば、学校 行事なども一つのパターンといっても良いでしょう。. しかし、現在まだ多くの小学校で日常的に行われているのは1学級2Tの形態 のようです。いろいろなパターンの授業があり、それぞれについて改善を進めて. いくのがベストですが、まずはよく見られる1学級2Tの授業改善を進めていき たいと考えます。. さて、T・Tでの授業改善を進めていく上でまず大切なことは、 T・Tのメリ ヅトを認識しておくことです。文献で言われていることを整理すると、教師サイ ドから見たT・Tのメリヅトとして、 1 児童一人ひとりへのきめ細かい対応. 2 児童に対する多面的な評価 3 多様な学習形態の工夫や学習活動の広がり. が指摘できます。そして、その中で特に1及び2に注目したいと考えました。そ の理由として 「教師が二人いるにもかかわらず、一人の教師でもできるような授業を展開して いる現状があること。(一人目教師がお客様になってしまうこと)」. 「教師一人が児童集団を指導していくようなT・Tの形態(例えばグループごと 教室を変えて授業をする)は、最終的には集団規模の問題となること」 があげられます。. もちろん、授業ではねらいに応じて、様々なパターンが考えられてしかるべき ですが、常に同じ児童とばかりかかわっていたのでは、また児童とかかわりをも たないのでは、それぞれの教師が児童一人ひとりにかかわりをもつ場合よりも、. T・T固有のメリヅトを生かしていないことになります。複数の教師ができるだ け多くの児童とかかわることによって、児童に対して良い影響を及ぼすことがで きるだろうと考えます。老こで、1単位授業時間の中でも、単元を通してでもで きるだけ多くのことかかわってみることを心がけてください。ビデオで見たよう に、一斉指導の際に参観者になるのではなく、常に個とかかわることを心がけて ください。. Figure 10.. 児童支援行動増加要請のための教示文. 一36t.
(41) (3)授業観察 手続きは研究1に準じている。. (4)事後調査. 児童に対する調査は,当該単元終了後に事前調査と同じ内容を同様の 手続きで測定した。. また,Y小学校児童に対してもX小学校と同単元終了時に同じ質問 紙を使用して測定した。. 教師の対児童認識に対する調査は,回収時間のロスをなくすために, 対象者に個別に面接し,事前調査と同じ用紙に記述する形式をとった。. t37一.
(42) 【結 果 】. 1 行動観察に基づいた実験的介入前後の児童支援量 実験的介入後,個々の児童が各授業において,どのような支援行動を どの程度受けたのか分析した。なお,実験的介入前の資料は,研究1で 得たものを用いた。. (1) 1授業時間の総児童支援行動(時間)の推移. T1及びT2それぞれが,各々の児童を支援した授業ごとの総時間を算 出した。Figure 11,Figure 12は,1授業時間の総児童支援行動(時間)の. 推移を示したものである。. 干秒 4. 3 2 1. 0. 12345 (授業時間) 6789 10. 一一 “一 Tl 一一 CF 一一T2 一TIT2. 注)授業時間5と6の間に実験的介入を行った。. Figure l l. A学級における1授業時間の総児童支援行動(時間)の推移. 千秒 3. 介入後. 介入前. 2. 、、. 1. 0. ξ卿. ■. ’ 冨ぎ. ●. 口.. 唱. 、. 聖. 黶│. 12345 (授業時間) 6789 10. 一◆一T1.■ロ・・■T2一一幽■一一.TIT2. 注)授業時間5と6の間に実験的介入を行った。. Figule 12. B学級における1授業時間の総児童支援行動(時間)の推移. 一38一.
(43) 実験的介入直後の6では,B学級T2を除いて児童支援行動(時間)が 増加していた(B学級では6・7・8の時間はT2が全体指導の役割を担っ た)。また,T1とT2を合わせた時間(Figure11,Figure12ではTIT2と表. 示されている)では両学級とも,授業時間6以降は,実験的介入前のい ずれの授業時間においてより児童支援行動(時間)が増加していた。こ の結果から,介入後に児童支援行動(時間)が増加したことがうかがえ る。. (2>総児童支援行動の比較. 各児童がT1, T2から受けた言語的児童支援行動,非言語的児童支援 行動及びこれらを合わせた児童支援行動(全体)について,「時間」と 「回数」について分析した。. 「時間」については,測定値の分散が大きかったので,次のような変 i換を行った。各児童がT1,T2から受けた言語下支i援行動時間(秒)及び 非言語的児童支援行動時間(秒)のそれぞれを対数変換し(log〔x+1)),. この値をもとに分析を進めた。児童ごとに,T1,T2から受けた各授業時. 間ごとの値を求め,この値を実験的介入前5時間と介入後5時間分に分 けて,T1,T2別に合計した。また, T1の値とT2の値を加算したものを TIT2の値とした。 Table 13, Table 14は,実験的介入前後における総児童支援行動の時間. と回数について各学級別,教師別に平均値と標準偏差を示したものであ る。. 一39一.
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