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自閉症スペクトラム傾向が高い大学生の対処資源が将来志向コーピングに及ぼす影響

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自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の対処資源が将来志向 コ ー ピ ン グに

及ぼす影響

Ef fects of Coping Resources on Promoting Future Oriented Coping Found

Undergraduates with High Levels of Autistic Traits.

市 川

哲*

井 澤 信 三**

岡 村 章 司**

ICHIKAWA Satoshi ISAWA Shinzo

OKAMURA Shoji

本研究の目的は、 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の、 能動的 コ ー ピ ン グと予防的 コ ー ピ ングから な る将来志向 コ ー ピ ン グ促進に内的資源 と し ての肯定的 ・ 否定的自動思考 と 、 外的資源 と し ての家族から な ら びに友人 ・ 知人から の知覚 ソ ー シ ャ ルサポー ト が どのよ う な影響 を及ぼ し てい るか を、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が低い大学生 と の比較 を通 し て検討す る こ と であ っ た。 387名の大学生が調査に参加 し た。 階層的重回帰分析の結果、 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向高群では、 肯定的 自動思考 と 家族か ら な ら びに友人 ・ 知 人か ら の知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト か ら 、 能動的 コ ー ピ ン グな ら びに予防的 コ ー ピ ン グに対 し ていず れも有意な正の影響が見出 さ れた。 し か し、 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向高群 ・ 低群 と も に否定的自動思考は 将来志向 コ ー ピ ン グに対 し て有意な影響 を及ぼ さ なか っ た。 こ れら の結果か ら 、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向高群の将来志向 コ ー ピ ン グ促進 には肯定的自動思考 と 家族 か ら な ら びに友人 ・ 知人か ら の知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト に着目す る必要があ る こ と が明 ら かと な っ た。 キ ーワ ー ド : 自閉症 スペ ク ラ ム傾向 、 大学生、 将来志向 コ ー ピ ン グ、 自動思考、 知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト

問題 と 目的

自 閉症 ス ペ ク ト ラ ム (Autism Spectrum Disorder) は 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの障害」 「 社会性の障害」 「想像力 の障害」 の 三つ組の症状 か ら な る。 ま た、 自閉症 スペ ク ト ラ ムは広義の自閉症の概念であ り 、 自閉症の症状 を 健常者 と 自閉性障害者 と の間 に量的 な スペ ク ト ラ ム (連 続体) を仮定す る も のであ る (w ing, 1981) 。 自閉症ス ペ ク ト ラ ムと し て医学的診断 を受け た大学生は大学が把 握 し てい る だけ で1674人おり 、 発達障害 を も つ大学生の 内の73.4% に及んでい る ( 日本学生支援機構, 2015) 。 さ ら に、 大学には診断名 を持 た ない も のの、 自閉症 スペ ク ト ラ ム的な行動特徴 を示す大学生が数多 く 在籍 し ており 、 そ し て、 そのよ う な大学生は大学生活 におい て高い困 り 感 を示 し 、 支援 ニ ーズ が高 い と さ れ る (山 本 ・ 高橋, 2009) 。 こ のよ う な状況から 、 大学は自閉症スペ ク ト ラ ムと 診断 を持 つ大学生 だけ で な く 、 自閉症 スペ ク ト ラ ム 傾向が高い大学生に対 し ての支援 を行う こ と が急務になっ て い る と 指摘 さ れて い る ( 須 田 ・ 高橋 ・ 上村 ・ 森光, 2011) 。 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生に関す る 過去の研究 (市川, 2014 ; 金井, 2010 ; 田中 ・ 中村, 2014 ; 田 中 ・ 西 田 ・ 木 村 , 2012) で は 、 Autism-spectrum

Quotient-Japanese version : AQ-J ( 若 林 ・ 東 條 ・ Baron-

Cohen ・ Wheelwright, 2004) が使用 さ れてき た。 AQ-J は、 自閉症スペ ク ト ラ ム仮説 (w ing, 1981) に基づき作成さ れた、 自閉症 スペ ク ト ラ ムの診断基準 に当 てはま る青年 (大学生 を含 む) ・ 成人だけ で な く 、 当 てはま ら ない青年 (大学生 を含む) ・ 成人の自閉症スペ ク ト ラ ム傾向 も 測定 す るこ と ができ る自己記入式の質問紙であ る。 ま た、 本 研究 で大学生の 「自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向」 と 表記 さ れ

in

てい る も のは、 特別 な表記がな い場合、 AQ-J を用い て 測定 さ れた得点 を指す も のと す る。 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生が大学生活で不 適応状態 に陥 る原因 と し て、 大学生活 におい てネ ガテ ィ ブな環境刺激 と し てのス ト レ ツサー に数多 く 遭遇 し てい る こ と が理由 と し て考え ら れる。 こ のよ う な ス ト レ ツサー に対 し て自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生がいかな る対処 を行 う のか、 その対処の在り 方が学生生活での困 難を乗り 切 り 、 心理的 ス ト レ ス反応の予防や改善 な ら び に健康促進 をはか る う え で、 大 き な影響 を及ぼす も のと 考え ら れる。 大学生 を対象 と し た過去の研究では、 顕在 化 し た ス ト レ ッ サ ーへ の事後的 な コ ー ピ ン グ (Lazarus & Folkman, 1984) によ っ て ス ト レ ッ サー を低減 ・ 緩衝 を図 る こ と に焦点 を当 て る視点 か ら 検討 がな さ れて き た

(加藤, 2006 ; 和田, 1998) 。 し か し 、 Kamio, Inada &

Koyama. (2013) は、 自閉症 スペ ク ト ラ ムを も つ者には、 長期的 な視点 での支援が必要で あ る と 指摘 し てい る。 加 え て、 大学生の AQ-J 得点は、 ネ ガ テ ィ ブ ラ イ フ イ ベ ン ト 経験数 と の間 に有意な正 の関連があ る と 報告 さ れてい る (田中 ら , 2012) 。 し たが っ て、 自閉症 スペ ク ト ラ ム 傾向が高い大学生には、 出現 し た ス ト レ ツサーへの事後 的 な対処だけ では十分ではない と 考え ら れる。 よ り 長期 的 な視点 と し て、 現時点 で出現 し てい ないが今後出現す る可能性のあ る潜在的 ス ト レ ツサーへの予防的 ・ 能動的 な対処に関す る検討が必要と 考え る。 そこ で本研究では、 将来出現 し う る潜在的 ス ト レ ツサーへの対処 と し て プロ ア ク テ イ ブ コ ー ピ ン グの 1 種 で あ る将来志向 コ ー ピ ン グ

( future oriented coping) に注日 し た。

将 来 志 向 コ ー ピ ン グ は プ ロ ア ク テ イ ブ コ ー ピ ン グ

(2)

(Schwarzer, 1999) か ら 派生 し た も ので 、 挑戦的 な目標 や個人的成長 を促進 さ せ る ための資源の構築に関す る努 力 と さ れ る (Schwarzer, 1999 ; Schwarzer & Taubert, 2002) 。 Lazarus & Folkman (1984) の提唱す る コ ー ピ ン

グが、 顕在化 し た ス ト レ ッ サーへの事後的対処であ るの

に対 し 、 将来志向 コ ー ピ ン グは、 将来の ス ト レ ッ サー に 対 す る挑 戦的側面 を強調す る能動的 コ ー ピ ン グと 、 予防 的 側 面 を 強 調 す る 予 防 的 コ ー ピ ン グ か ら な る

(Schwarzer et al., 2002 ; Soh1 & Moyer, 2009) 。 また、

将来志向 コ ー ピ ン グはい ま だ顕在化 し てい ない潜在的 な ス ト レ ッ サーへの予防的 ・ 能動的対処 を提唱す る プロ ア ク テ イ ブ コ ー ピ ン グ理論 (Schwarzer, 1999) に基づ く も のであ る。 能動的 コ ー ピ ン グは、 ス ト レ ツサ ー を挑 戦的 で自己 成 長 を促す機会と 認知評定 し、 能動的に対処す る こ と で、 自己 成長 の達成や well-being の向上 をはか る も ので あ る

(Greenglass, & Fiksenbaum, 2009) 。 他方、 予防的 コ ー

ピ ン グは、 「 潜在的 な ス ト レ ツサ ー に対 す る予 期 と 、 そ

の潜在的 な ス ト レ ッ サー が顕在化す る ま で に予防的 に準

備 す る 対 処 努 力 」 (Greenglass, Schwarzer, Jakubiec,

Fiksenbaum, & Taubert, 1999) と さ れ、 ス ト レ ツサー に 対 す る防御要因 を獲得 し 、 ス ト レ ツサー が顕在化 し た際 の影響性 を最小限に抑え る こ と を目的 と し てい る。 能動 的 コ ー ピ ン グ と 予 防的 コ ー ピ ン グは、 と も に長期的 な見 通 し の中で、 将来的 に生起 し う る ス ト レ ッ サー に備え る ための防御要因の獲得 をはかる点 で共通 し てい る。 加え て、 能動的 コ ー ピ ン グ と 予 防的 コ ー ピ ン グはい ず れも 、 楽観性 ・ 自己効力 感 ・ ポ ジ テ ィ ブ情動 ・ well-being と の 間 で正 の関連 (Greenglass et al., 2009 ; 川島, 2010 ; Soh1 et al., 2009) が、 心理的 ス ト レ ス反応 と の間 で負

の関連 (Gan, Hu, & Zhan, 2010 ; 川島, 2010 ; 宇佐美,

2012) が報告 さ れてい る。 市川 (2014) は、 大学生を対象に AQ-J を用いて自閉 症 スペ ク ト ラ ム傾向 を測定 し 、 将来志向 コ ー ピ ン グと の 関連 を 調査 し た。 そ の結果 、 AQ-J の下位尺度 で あ る 「細部への注意」 得点は将来志向 コ ー ピ ン グの 「能動的 コ ー ピ ン グ」 な ら びに 「予防的 コ ー ピ ン グ」 得点 と 正の 相関関係 に あ り 、 正 の影響 を 及ぼ し て い た。 し か し 、 AQ-J の下位尺度におけ る 「社会的 スキル」 得点、 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 得点 、 「 注意切 り 替 え」 得点 な ら びに 「想像力」 得点は、 「注意切り 替え」 得点 を除い てすべて 将来志向 コ ー ピ ン グに おけ る 「能動的 コ ー ピ ン グ」 得点 な ら びに 「予防的 コ ー ピ ン グ」 得点 と の間 で負 の相関関 係 にあ り 、 負 の影響 を及ぼ し てい た。 こ れら の結果から 、 大学生の も つ自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向は将来志向 コ ー ピ ン グを抑制す る可能性が明 ら かと な っ た。 市川 (2014) の結果から、 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が 高い大学生は、 将来志向 コ ー ピ ン グ実行能力 が低い こ と が想定 さ れる。 学生生活で苦 戦 を強い ら れてい る自閉症 スペ ク ト ラ ムの大学生が今後適応 し てい く ためには、 学 生生活で遭遇す る ス ト レ ツサー に対 し て十分 な対処 を行 う 必要があ る と 考え ら れる。 そのために も、 将来志向 コ ー ピ ン グの促進方法 な ら びに促進に影響 を与え る要因 の検 討 が求 め ら れよ う 。 将来志向 コ ー ピ ン グに関す る過去の 研究 では、 将来志向 コ ー ピ ン グが精神的健康や、 心理的 ス ト レ ス 反 応 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 さ れ て き た

(Greenglass et al., 2009 ; 川島, 2010 ; Soh1 et al., 2009 ; Gan, Hu, & Zhan, 2010 ; 川島, 2010 ; 宇佐美, 2012) 。

その一方 で、 将来志向 コ ー ピ ン グの実行促進に対 し てい かな る要因 が影響 を与 え てい るのかに関す る検討は不十 分 であ る。 将来志向 コ ー ピ ン グの促進、 ま たは将来志向 コ ー ピ ン グを媒介 し、 精神的健康に影響 を及ぼす要因 と し て対処 資源の存在が指摘 さ れてお り (Greenglass, 2002) 、 コ ー ピ ン グの採択 ・ 実行 を規定す る重要な要因 と さ れる (宇 佐美, 2012) 。 対処資源は、 内的資源と外的資源の二種 類に分け ら れ、 内的資源は 「自己効力感」 や 「楽観性」 等の個人内に存在す る も ので あり 、 外的資源は、 「周囲 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 等 の個人外 に存 在す る も の であ る。 し か し、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生 の対処資源 と 将来志向 コ ー ピ ン グと の間の関連につい て 調査 し た研究はほと んどみら れない。 川島 (2010) は、 対 処資源 と 将来志向 コ ー ピ ン グと の関連は十分 に明 ら か に さ れてお ら ず、 今後検討 す る必要があ る と 指摘 し てい る。 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の対 処資源 と 将来志向 コ ー ピ ン グと の間の関連があ き ら かに な れば、 そのよ う な大学生の将来志向 コ ー ピ ン グの促進 を目的 と し た支援方法に関 し ての示唆が得 ら れる と 考え る。 では、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の将来志向 コ ー ピ ン グに対 す る対 処資源 と はい かな る も のなのか。 本研究 では、 内的資源に自動思考、 外的資源に ソ ーシ ャルサポー ト を取り 上げる。 自動思考は、 個人内 で自動的 に沸 き 起こ る思考お よ び イ メ ージを指 し、 状況に影響 を受け に く い性格的要因 と 関連す る。 そ し て、 抑 う つ と 強い相関関係 に あ る、 抑 う つ特有の認知的変数で あ る (児玉 ・ 片柳 ・ 嶋田 ・ 坂野, 1994) 。 自動思考は肯定的、 な ら びに否定的 な も のの二 次元 で と ら え ら れる。 肯定的 な自動思考は、 や る気に満 ちた快適な思考 を指 し (坂本 ・ 田中 ・ 丹野 ・ 大野, 2004) 、 ス ト レ ッ サ ーへ の コ ン ト ロ ー ル感 や、 ス ト レ ッ サ ー に積 極的 に働 き かけ る ポ ジ テ ィ ブ な コ ー ピ ン グ を促 進す る効 果 (小室, 2012) が報告 さ れてい る。 さ ら に、 well-being の促進に寄与す る重要な要因 であ る こ と が指摘 さ れてい る (岩 野 ・ 樋町 ・ 坂野, 2012) 。 よ っ て、 高い肯定的自 動思考は、 自閉症 スペ ク ト ラ ムの大学生の将来志向 コ ー ピ ン グに対 し て内的資源 と し ての機能 を果たす可能性が あ る o 一方、 否定的な自動思考は自分自身 を非難し たり 、 将 来の物事 を悲観的に考えたり する思考であり 、 肯定的自 動思考への直接的 な強い負 の影響が指摘 さ れてい る (義 田 ・ 中村, 2007) 。 加え て、 否定的自動思考は、 自己成 長に向け た積極的な行動 と の負 の相関が指摘 さ れてい る (徳吉 ・ 岩崎, 2014) 。 そ し て、 ス ト レ ツサー に積極的 に 働 き かけ る ポ ジテ ィ ブ な コ ー ピ ン グと の間 で負 の相関が

(3)

あ り 、 well-being の抑制に寄与す る重要な要因 と 指摘 さ れてい る (岩野 ・ 樋町 ・ 坂野, 2012) 。 従 っ て、 否定的自 動思考は自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の将来志 向 コ ー ピ ン グに対 す る抑制要因 と し て機能す る可能性が あ る。 否定的自動思考が将来志向 コ ー ピ ン グを抑制す る と い う 視点は、 本研究 に おけ る将来志向 コ ー ピ ン グを促 進す る と い う ポ ジテ ィ ブな視点 と は少 し 異 な る。 本研究 では、 将来志向 コ ー ピ ン グ促進に関す る さ ら な る示唆が 得 ら れる と 考え た ため、 将来志向 コ ー ピ ン グを抑制す る ネ ガテ ィ ブな要因 も検討に加え る。 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト は外的 な対 処資源 と し て、 将来志 向 コ ー ピ ン グ と 密 接 な 関 連 が あ る と 指 摘 さ れ て い る (Greenglass et al., 2002) 。 さ ら に、 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト は、 自閉症 ス ペ ク ト ラ ムを も つ青年 (大学生 を含む) ・ 成人に関す る研究 で、 高い生活の質 (Quality of Life : QoL) を予 測す る重 要 な 要因 で あ る と 指摘 さ れて い る (Kamio et al., 2013) 。 加え て、 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト は、 ス ト レ ツサ ーへの諦 めや回避等 のネ ガ テ ィ ブ な コ ー ピ ン グを抑制 し、 ス ト レ ツサーへ積極的に働き かけ る ポジテ ィ ブ な コ ー ピ ン グを促進す る (三浦 ・ 嶋田 ・ 坂野, 1994) 。 よ っ て、 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト は、 自 閉 症 ス ペ ク ト ラ ム傾 向が高い大学生の将来志向 コ ー ピ ン グに対 し て外的資源 と し ての機能 を果たす可能性があ る。 よ っ て、 本研究 で は、 内的資源に自動思考、 外的資源に ソ ー シ ャ ルサ ポー ト を取 り 上げ、 検討 を行 う 。 本研究の目的は、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学 生の大学生活適応支援に関す る知見 と し て、 そのよ う な 大学生の能動的 ・ 予防的対処行動と し ての将来志向 コ ー ピ ン グに着目 し 、 将来志向 コ ー ピ ン グを促進 ・ 抑制す る 要因 と し ての内的 ・ 外的資源が将来志向 コ ー ピ ン グに及 ぼす影響 を質問紙調査 で明 ら かにす る こ と であ る。 その ため、 大学生の自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向得点 を高群 ・ 低 群 の二群 に わけ、 自動思考 と ソ ー シ ャ ルサ ポー ト が将来 志向 コ ー ピ ン グに対 し て どのよ う な影響 を及ぼすのか、 高群 ・ 低群間での比較 を通 し て検討す る。 そ し て、 こ れ ら の検討 によ っ て、 高い自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向 を持つ 大学生が、 学生生活で今後生 じ う る困難への能動的 ・ 予 防的対 処の促進、 な ら びに よ り よ い学生生活 を送 る ため の支援の手掛かり を得 る ための基礎資料 を提供す る。

研究方法

調査手続 き 調査時期は2013年 7 月。 関東 ・ 阪神 ・ 東海地区の複数 大学において授業担当教員の許可を得た上で授業中に著 者が実施 し た。 その際、 調査結果は授業評価 と 関係がな い こ と 、 質問紙への解答は任意であ る こ と を伝え、 そ れ ら に同意し た対象者のみ回答 し た。 回答に要し た時間は 約20分であ っ た。 調査協力者 大学 1 ~ 4 年生406名に質問紙調査 を実施 し、 回答に 不備のない387名 (男性164名, 女性223名) を分析対象 と し た (有効回答率95.3%) 。 平均年齢は20.38歳 (SD = 1.31) 。 学部別人数の内訳は、 文学部139名、 教育学部131 名、 工学部117名であっ た。 使用尺度

(1) Autism-spectnm Quotient-Japanese version: AQ-J

(若林 ら , 2004) : AQ-J は Baron-Cohen et al. (2001) の開発 し た尺度 Autism-spectrum Quotient : AQ の日本 語版で あ る。 自閉症 スペ ク ト ラ ム仮説 (w ing, 1981) に基づ き作成 さ れた AQ-J は、 自閉症 スペ ク ト ラ ムの 診断基準 に当 てはま る青年 (大学生 を含む) ・ 成人だ け で な く 、 当 てはま ら ない青年 (大学生 を含 む) ・ 成 人の自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向 も 測定す る こ と がで き る 自己記入式の質問紙であ る。 本研究では、 AQ-J 計50 項目 を、 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向 と し て 4 件法 ( 1

-そ う では ない、 2

-

どち ら かと い う と そ う ではない、

3

-

どち ら か と い う と そ う で あ る、 4 一そ う で あ る) で回答 を求めた。 得点の算出方法は、 逆転項目に対 し て逆転処理 を行い、 各項目におい て自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向 を示す側 に 「 あ てはま る」 ま たは 「 どち ら か と い う と あ てはま る」 の回答が得 ら れた場合 に 1 点 を与 え て得点化 し た。

(2) Proactive Coping Inventory Japanese version : PCI-J (Takeuchi & Greenglass, 2004) : 青年 ・ 成人の プロ ア

ク テ イ ブ コ ー ピ ン グ を測定す る尺度、 PCI の日本語版

である。 PCI-J は、 Takeuchi et al. (2004) によ っ て邦 訳 さ れ、 さ ら に、 川島 (2010) によ り 大学生 を対象に 信頼性 ・ 妥当性が確認 さ れてい る。 Gan et al. (2010) に沿い、 将来志向 コ ー ピ ン グの測定 には、 PCI-J の下 位尺度におけ る 「能動的 コ ー ピ ング」 下位尺度14項目、 「予防的 コ ー ピ ン グ」 下位尺度10項目、 の計24項目 を 将来志向 コ ー ピ ン グと し て 4 件法 ( 1 全 く あてはま ら ない、 2 一ほ と ん どあ てはま ら ない、 3 一い く ら か あ てはま る、 4 一全 く その通り ) で回答 を求め、 回答 し た番号 を点数と し て得点化 し た。

(3) Automatic Thoughts Questionnaire-Revised : ATQ-R の日本語版 (児玉 ら, 1994) : ATQ-R は、 自動思考 を 肯 定 と 否 定 の二 次 元 で 測 定 す る 尺 度 で 、 Kendall,

Howard, & Hays (1989) を、 児玉ら (1994) が邦訳

し 、 信頼性 と 妥当 性 を確認 し た も ので あ る。 ATQ-R は 「将来に対す る否定的評価」 「自己 に対す る非難」 「肯定的自動思考」 の3下位尺度から 構成 さ れてい る。 本研究では、 ATQ-R におけ る 「将来に対す る否定的 評価」 下位尺度14項目、 「自己に対す る非難」 下位尺 度14項目な ら びに 「肯定的自動思考」 下位尺度10項目 の計38項目 を否定的 ・ 肯定的自動思考 と し て 4 件法 ( 0 一全 く な い 、 1 一と き ど き あ る 、 2 一よ く あ る 、 4 一常にあ る) で回答 を求め、 回答 し た番号 を点数と し て得点化 し た。 (4) 学 生用 ソ ー シ ャ ル ・ サ ポ ー ト 尺度 : The Scale of

Expectancy for Social Support : SESS ( 久田 ・ 千田 ・

箕口, 1989) : SESS は、 大学生が周囲から受け る援助

の期待感 で あ る 「知覚 さ れた ソ ー シ ャ ルサ ポー ト」 を、 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 源別 に測定す る 尺度 で あ る。 ソ ー

(4)

シ ヤルサ ポー ト に関す る先行研究 では、 ス ト レ ス症状 の緩和 ・ 低減効果の大 き さ から主に知覚 さ れた ソ ー シ ヤ ルサ ポ ー ト (以下 、 知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト ) が測定 さ れて き た。 「知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 」 と は 「困 っ てい る と き に友達や家族が助け て く れる」 等の援助 を 受け る期待感 を示す も のであ る。 自閉症スペ ク ト ラ ム は 、 ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト を 認 知 し づ ら い と さ れ る

(Kelly, Garnett, Attwood, & Peterson, 2008) 。 よ っ て、

ソ ー シ ャ ルサ ポー ト を測定す る上 で、 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト を受け る可能性への主観的評価である 「知覚ソ ーシ ャ ルサポー ト」 を測定す るこ と が適 し てい る と判断 し た。 さ ら に、 嶋 (1992) は、 大学生の ソ ー シ ヤルサ ポー ト ネ ッ ト ワ ー ク におい て家族 と 友人が重要な位置 を占 め るこ と を指摘 し てい る。 従 っ て、 「家族」 と 「友人 ・ 知人」 を大学生の ソ ー シ ャルサポー ト 源 と し て設定す る。 そ し て、 「知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 に 関す る16 項目 を ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 源別 に 4 件法 ( 1 一絶対 に 違う 、 2 一たぶんちがう 、 3 一たぶんそ う だ、 4 一 き っ と そう だ) で回答 を求め、 回答 し た番号 を点数と し て 得点化 し た。 続計処理に使用 す る ソ フ ト 本研究の統計処理には SPSS 21と HAD (清水 ・ 村山 ・ 大坊, 2006) を用いた。 分析の手続 き 使用す る尺度の記述統計量 な ら びに、 尺度間の相関係 数を算出す る。 そ し て、 AQ-J 得点 を群分け変数、 ATQ- R 得点 な ら びに SESS 得点 を説明変数、 将来志向 コ ー ピ ング得点 を目的変数と す る階層的重回帰分析 を行 う 。 結果

AQ-J、 ATQ-R、 SESS、 将来志向 コ ー ピ ン グの各下位

尺度の記述統計量 と 相関分析結果

対象者の AQ-J、 ATQ-R、 SESS と 将来志向 コ ー ピ ング の各下位尺度の a 係数 ・ 平均値 ・ 標準偏差 な ら びに尺 度間におけ る pearson の相関係数を相関分析 (両側検定) で算出 し 、 Table t に示 し た。 各尺度の内的 整合性は Chronbach の a 係数で求 めた。 その結果各尺度はい ず れ も十分 な信頼性が認めら れた ( a = .82~ 95) 。 尺度間相関につい ては、 AQ-J と ATQ-R の 「将来に対 する否定的評価」 と の間、 な ら びに 「自己に対す る非難」 と の間で有意な中程度の正の相関係数 (順に、 r = .393, p< .001 ; r = .397, p< .001) 、 そ し て AQ-J と ATQ-R の 「肯定的自動思考」 と の間で有意な中程度の負の相関係 数 (r = .424, p< .001) 、 さ ら に AQ-J と SESS の 「友 人 ・ 知人 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 と の間、 な ら びに 「家族 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 と の間 で有 意 な弱 か ら 中程度の負 の相関係数が示 さ れた (順 に、 r =

-

.313,

p< .001 ; r = .434, p< .001) 。 将来志向 コ ー ピ ングの 「能動的 コ ー ピ ン グ」 は、 AQ-J と の間で有意な中程度の 負 の相関係数 (r =

-

.437, p< .001) 、 そ し て 「能動的 コ ー ピ ン グ」 と ATQ-R の 「将来に対す る否定的評価」 と の間、 な ら びに ATQ-R の 「自己 に対す る非難」 と の 間 で有意 な弱 か ら 中程度の負 の相関係数 を示 し た (順

に r= .306, p< .001 ; r=

.291, p< .001) 。 また、 「能

動的 コ ー ピ ング」 と ATQ-R の 「肯定的自動思考」 と の 間、 SESS の 「友人 ・ 知人 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト」 と の間 、 「 家族 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 」 と の間 で有 意 な弱 か ら 中程度の正 の相関係数がみ ら れた (順 に r

= .536, p< .001 ; r= .319, p< .001 ; r= .380, p< .001)。

将来志向 コ ー ピ ン グの 「予 防的 コ ー ピ ン グ」 は、 AQ-J と の間、 ATQ-R の 「将来に対す る否定的評価」 と の間、 「自己に対す る非難」 と の間で有意な弱い負 の相関係数

が得ら れた (順に、 r=

.177, p< .001 ; r =

.109, p

< .05 ; r=

-

.089, p< .10) 。 さ ら に、 「予防的 コ ー ピ ング」 は、 ATQ-R の 「肯定的自動思考」 と の間、 SESS の 「友 人 ・ 知人 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 」 と の間、 「家族 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 と の間 で有意 な弱 い正 の相関 係数がみら れた (順 に、 r = .264, p< .001 ; r = .243, p

< .001 ; r = .228, p< .001) 。 将来志向コー ピングの 「能

動的 コ ー ピ ン グ」 は、 「予 防的 コ ー ピ ン グ」 と の間 で 有 意 な 中程 度 の正 の相 関係 数 が示 さ れた (r = .522, p<

.001) o

AQ-J 高群 ・ 低群別、 ATQ-R な ら びに SESS の各下位

尺度 を説明変数 、 将来志向 コ ー ビ ン グ を目的変数 と し た 階層的重回帰分析結果 階層的重回帰分析の手続き 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生 と 低い大学生の 内的資源 と し ての自動思考な ら びに外的資源 と し ての知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト が将来志向 コ ー ピ ン グに及ぼす影 響 をみるため 5 ス テ ッ プから な る階層的重回帰分析 を行 っ た。 まず、 階層的重回帰分析 を行 う 前に、 用い る説明変 数間で多重共線性が発生す る可能性 を考慮 し た。 Tablet で示 し た相関分析の結果では、 ATQ-R の 「将来に対す る否定的評価」 得点と 「自己に対する非難」 得点と の間、 SESS の 「友人 ・ 知人か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 得点 と 「家族か ら の ソ ー シ ャ ルサポー ト」 得点 と の間で強い 相関係数が示 さ れてい た (順 に、 r = .958, p< .001 ; r = .715, p< .001) 。 そのため、 階層的重回帰分析で説明 変数 と し て用い る前に、 ATQ-R の 「将来に対す る否定 的評価」 得点 と 「自己 に対 す る非難」 得点、 な ら びに sEss の 「家族か ら の ソ ー シ ャ ルサポー ト」 得点 と 「友 人 ・ 知人 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 得点 を主成分分析 で合成 し、 合成得点 を算出 し た。 ATQ-R の 「将来に対す る否定的評価」 得点 と 「自己 に対す る非難」 得点の主成分分析の結果、 1 つの主成分 が抽出 さ れた。 抽出 さ れた第一主成分 の累積寄与率は 97.90% であり 、 「否定的自動思考」 と 名付け た。 ま た、 SESS の 「家族から の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト」 得点 と 「友 人 ・ 知人 か ら の ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 得点 の主成分分析 の結果、 1 つの主成分が抽出 さ れた。 第一主成分の累積 寄与率は85.77% であり 、 「 ソ ー シ ャルサポー ト」 と 名付 け た。 こ れらの合成得点 を説明変数と し て階層的重回帰 分析で用いた。 階層的重回帰分析の ス テ ッ プについ て述べ る。 ま ず、

(5)

AQ-J 得点 を群分け 変数 と し て平均 値 ±1SD を基準 に AQ-J 高群 ・ 低群 を設定 し た。 そ し て、 将来志向 コ ー ピ ン グの各下位尺度 を目的変数 と し て設定 し、 目的変数別 に、 説明変数と し て AQ-J得点、 ATQ-R の 「否定的自動 思考」 得点 と 「肯定的自動思考」 得点、 な ら びに sEss の 「 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 」 得 点 を 、 ス テ ッ プ 1 で AQ -J 得点、 ステ ッ プ 2 で 「否定的自動思考」 得点、 ステ ッ プ 3 で 「肯定的自動思考」 得点、 ス テ ッ プ 4 で 「 ソ ーシ ャ ルサポー ト」 得点 をそれぞれ主効果項 と し て順に回帰式 に投入 し た。 さ ら に、 ス テ ッ プ 5 では AQ-J 得点 と 「否 定的自動思考」 得点、 AQ-J 得点 と 「肯定的自動思考」 得点、 AQ-J 得点 と 「 ソ ー シ ャルサポー ト」 得点の交互 作用項 を同時に回帰式 に投入 し た。 ま た、 主効果項 と 交 互作用項 と の間に多 重共線性が生 じ るの を避け る ため、 説明変数は全 て分析の前に標準化 を行 っ た。 そ し て、 最 終的な分析結果を Table 2 に示す。 加え て、 有意な交互 作用が認め ら れた変数間 につい ては、 説明変数の各平均 値±1SD の値 を設定 し、 日的変数に対 し ての単回帰直 線 を求めた。 将来志向 コ ー ピ ン グに おけ る能動的 コ ー ピ ン グ を 目的変 数 と し た階層的重回帰分析結果 AQ-J 高群 ・ 低群 と も に、 将来志向 コ ー ピ ン グの 「能 動的 コ ー ピ ン グ」 への AQ-J の主効果 (AQ-J 高群 ・ 低 群いずれもβ=

-

.222, p< .001) な ら びに、 将来志向 コ ー ピ ン クの 「能動的 コ ー ピ ン グ」 への ATQ-R の 「肯定的 自動思考」 の主効果が、 有意で あ っ た (AQ-J 低群、 β

= .430, p< .001 ; AQ-J高群、β= .385, p< .001)。 しかし、

将来志向 コ ー ピ ン グの 「能動的 コ ー ピ ン グ」 への sEss の 「 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 」 の主効果は AQ-J 低群 で は有 意ではな く 、 AQ-J 高群のみ有意であ っ た (AQ-J 低群、β = .009, ns ; AQ-J 高群、β= .235, p< .001) 。 加えて、 将 来志向 コ ー ピ ン グの 「 能動的 コ ー ピ ン グ」 への AQ-J と ソ ー シ ャ ルサ ポー ト の交互作用項は有意 な効果がえ ら れ た (AQ-J低群、β= .188, p< .05 ; AQ-J高群、β= .148, p < .05) 。 交互作用の効果を Figure 1 と Table 3 に示 し た。 そ し て、 全 てのス テ ッ プにお い て決定係数の有意 な増加 が認め ら れた ( ス テ ッ プ 1 、、R2

= .191, p< .001 ; ステッ

プ 2 、 ^ R2

= .019, p< .01 ; ステ ッ プ3 、 /

、R2

= .132, p<

.001 ; ス テ ッ プ 4 、 /、R2

= .017, p< .01 ; ステ ッ プ 5 、 △

R2= .012, p< .10) 。 ま た、 AQ-J 高 ・ 低群 と も に将来志 向 コ ー ピ ン グの 「 能動 的 コ ー ピ ン グ」 へ の ATQ-R の 「否定的自動思考」 の主効果は有意ではなか っ た (AQ-J 低群、β= .018, ns ; AQ-J高群、β= .073, ns) 。 将来志向 コ ー ピ ン グに お け る予防的 コ ー ピ ン グ を目的変 数 と し た階層的重回帰分析結果 AQ-J 高 ・ 低 群 と も に 将 来 志 向 コ ー ピ ン グ に お け る 「予防的 コ ー ピ ング」 への ATQ-R の 「肯定的自動思考」 の有意な主効果が認め ら れた (AQ-J 低群、 β= .259, p< Table 1 AQ-J、 ATQ-R、 SESS、 将来志向 コ ー ピ ン グの各尺度の記述統計量およ び各尺度間の相関分析結果 (pear1son ・

両側検定、 /V= 387) 尺度 α係数 M SD 1 2 7 8 1 AQ-J 2 ATQ-R 将来 に対 す る否 定的評価 3 自己 に対 す る非難 4 肯定的自動思考 5 SESS 友人 ・ 知人 か ら の ソ ー シ ャ ル サ ポー ト 6 家 族 か ら の ソ ー シ ャ ル サ ポー ト 7 将来志向 能動的 コ ー ピ ン グ 8 コー ピング 予防的 コ ー ピ ン グ 2 3 2 0 5 5 4 8 8 9 9 9 9 9 8 8 8 5 6 9 3 8 7 0 5 5 2 9 5 9 3 7 0 6 6 3 1 1 7 5 2 2 2 2 5 5 3 2 0 6 7 5 6 7 8 1 6 6 9 9 5 6 0 0 6 8 7 5 8 9 6 5 3 7 4 3 4 7 7 9 9 2 1 3 3 7 3 3 4 3 4 4 1 958 520 287 368 306 .10g・ * * * * g † 8 4 6 1 8 0 8 6 9 0 5 2 3 2 . 312 395 536 264 715 319 243 380 228 522 † p< .10, * p< .05, * * p< .01, * * * p< .001 Table 2 AQ-J 高群 ・ 低群別に内的 ・ 外的資源を説明変数、 将来志向 コ ー ピ ン グ を目的変数 と し た階層的重回帰分析結果

( /V= 387)

_

AQ-J低群

_

AQ-J高群

目的変数 ステ ッ プ 説明変数 8 t 値 8 t 値 △R 2 △F 値 累積R 2 能動的 コ ー ピ ン グ 予防的 コ ー ピ ン グ 1 主効果 2 主効果 3 主効果 4 主効果 5 交互作用 1 主効果 2 主効果 3 主効果 4 主効果 5 交互作用 AQ-J 否定的自動思考 肯定的自動思考 ソ ー シ ャル サポー ト 否定的自動思考xAQ -J 肯定的自動思考xAQ -J ソ ー シ ャルサポー ト xAQ -J AQ-J 否定的自動思考 肯定的自動思考 ソ ー シ ャ ル サ ポー ト 否定的自動思考xAQ -J 肯定的白動思考xAQ -J 2 8 0 9 6 2 8 2 1 3 0 4 3 8 2 0 4 0 0 0 1 3 6 9 1 8 6 4 2 5 2 2 3 0 1 2 0 0 0

4.638 ***

0.219

6.295 ***

0.131

0.602

0.469

2.577 *

-0.768

1.326

3.210 ***

0.252

-0.310

-0.456

2 3 5 5 6 5 8 2 7 8 3 3 3 4 2 0 3 2 0 0 1 3 2 7 3 2 1 4 9 0 8 2 4 0 0 2 2 0 0

4.638 ***

1.271

5.278 ** '

4.051 ***

0.602

0.469

2.577 *

-0.768

1.359

2.404 *

4.127 ***

-0.310

-0.456

191

019

132

017

91.016 ***

9.313 **

76.578 ***

10.155 ** 191

210

342

359

012

2.309 †

.370

031

001

047

026

12.406 ***

0.413

19.370 ***

11.191 **

031

032

079

105

ソーシャルサポートxAQ-J .218 2.529 *

.171 2.529 *

.019

2.670 *

.124

† p< .10, * p < .05, ** p< .01, *** p< .001

(6)

能 動 的 コ ー ピ ン グ 9 8 7 6 5 4 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2

低群

高群

ソ ー シ ャ ルサポー ト ※エ ラ ーバ ーは標準誤差 Figure 1 「能動的 コ ー ピング」 に対する AQ-J 高 ・ 低群別、 「 ソ ーシ ャルサポ ー ト」 の交互作用 予 防 的 コ ーピ ン グ 9 8 7 6 5 4 3 2 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2

低群

高群

ソ ー シ ャ ルサポー ト ※エ ラ ーバ ーは標準誤差 Figure 2 「予防的 コ ー ピング」 に対する AQ-J 高 ・ 低群別、 「 ソ ーシ ャ ルサポ ー ト」 の交互作用 001 ; AQ-J 高群、 β= .207, p< .05) 。 そ し て、 将来志向 コ ー ピ ン グの 「予防的 コ ー ピ ン グ」 への sEss の 「 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 の主効果は AQ-J 低群 で は有意で は な く 、 AQ-J 高群のみ有意で あ っ た (AQ-J 低群、 β= .021, ns ; AQ-J 高群、 β= .283, p< .001) 。 加え て、 将来志向 コ ー ピ ン グの 「予防的 コ ー ピ ン グ」 への AQ-J と ソ ー シ ャ ルサ ポー ト の交互作用項は有意な効果がえ ら れた (AQ-

J低群、β= .218 p< .05 ; AQ-J高群、β= .171, p< .05) 。

交互作用の効果 を Figure 2 と Table 4 に示 し た。 そ し て、 1 、 3 、 4 、 5 ス テ ッ プに おい て決定係数の有意 な増加 が認め ら れた ( ス テ ッ プ 1 、 f

、.R2

= .031, p< .001 ; ステッ

プ 3 、 △」R2

= .047, p< .001 ; ステ ッ プ4 、 1

、R2= .026, p<

.01 ; ス テ ッ プ 5 、 /

R 2

= .019, p< .05)。 また、 AQ-J高 ・

低群 と も に将来志向 コ ー ピ ン グの 「予防的 コ ー ピ ン グ」 への AQ-J の主効果 (AQ-J 高 ・ 低群 と も に、 β= .043, ns) 、 な ら びに ATQ-R の 「否定的自動思考」 の主効果は 有意な結果ではなかっ た (AQ-J 低群、 β= .126, ns ; AQ- J 高群、 β= .092, ns) 。 なお、 多 重共線性 を考慮す る た め、 全 ての目的変数に対 す る説明変数の分散 イ ン フ レ係 Table 3 「能動 コ ー ピ ン ソ ー シ ヤ グ」 に対 する AQ-J 高 ・ 低 レサ ポ ー ト の 互 ソ ー シ ャ ル サポー ト 低群 高群 低群 AQ-J _ 、 2. 76 2. 77 2. 51 2. 74

**

† < .10, * < .05, * * < .01, * * * < .001 Table 4 「予防 コ ー ピ ン ソ ー シ ヤレサポ ー トグ」 に対 す る AQ-J 高 ・ 低の 互 ソ ー シ ャ ル サポー ト 低群 高群 低群 AQ-J _ 、 2. 60 2. 60 2. 44 2. 72

**

† p < .10, * p < .05, * * p < .01, * * * p < .001

数 (variance inflation factor : VIF) を算出 し た。 その結 果、 v IF はいずれも 2 以下の値であり 、 多重共線性の可 能性は除外 さ れた。 考察 本研究の目的は、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学 生の、 対処資源 と し ての自動思考 と知覚 ソ ー シ ャルサポー ト が将来志向 コ ー ピ ン グに及ぼす影響 を明 ら かにす る た め、 大学生の自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向の高低で比較 ・ 検 討す る こ と で あ っ た。 本研究 におけ る相関分析 と 階層的 重回帰分析の結果、 AQ-J と 「能動的 コ ー ピ ン グ」 と の 間、 な ら びに 「予防的 コ ー ピ ン グ」 と の間 には有意な負 の関連がみら れた。 こ れは市川 (2014) の結果と 共通す る も ので あ る。 し たが っ て、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向 が 高い大学生は将来志向 コ ー ピ ン グの実行能力 が低い可能 性が高い。 階層的重回帰分析の結果から 、 AQ-J 高群 ・ 低群 と も に、 肯定的自動思考が将来志向 コ ー ピ ン グの能 動的 コ ー ピ ン グな ら びに予 防的 コ ー ピ ン グに正 の影響 を 及ぼす こ と が明 ら か と な っ た。 加え て、 AQ-J 低群 では、 知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト か ら 将来志向 コ ー ピ ン グの能動 的 コ ー ピ ン グな ら びに予防的 コ ー ピ ン グに対 し て いず れ も有 意な影響は見い だ さ れなか っ た。 他方 AQ-J 高群 で は、 知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト か ら 将来志向 コ ー ピ ン グの 能動的 コ ー ピ ン グな ら びに予防的 コ ー ピ ン グと も に正 の 影響 を及ぼ し てい た。 し たが っ て、 自閉症 スペ ク ト ラ ム 傾向が高いほ ど、 知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト か ら 将来志向 コ ー ピ ン グの能動的 コ ー ピ ン グな ら びに予 防的 コ ー ピ ン グに及ぼす正の影響が強 く な る こ と が示 さ れた。 階層的 重回帰分析の結果か ら、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い 大学生の将来志向 コ ー ピ ン グ促進には、 肯定的自動思考 の改善、 家族な ら びに友人 ・ 知人か ら知覚 し やすい ソ ー シ ャ ルサ ポー ト が、 よ り 多 く 行 われる必要があ る と い え る。 こ の結果は、 自閉症 スペ ク ト ラ ムを も つ青年 (大学 生 を含 む) ・ 成人への家族 か ら な ら びに友 人 ・ 知 人か ら の知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト は QOL や well-being 等 の ポ ジ テ ィ ブ要因 の促進に関 し て重要な働 き をす る と い う 、 Kamio et al,. (2013) の結果 を裏付け る も ので あ る と い え よ う 。 さ ら に、 AO-J と 知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト と の

(7)

交互作用項は、 能動的 コ ー ピ ン グな ら びに予防的 コ ー ピ ン グに対 し ていず れも 有意 な効果 を示 し た。 よ っ て、 自 閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の将来志向 コ ー ピ ン グを促進す る には、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が低い大学 生 と は異 な る要因 に着目す る必要があ る こ と が明 ら かに な っ た。 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向高群と 低群と の間で、 知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト が将来志向 コ ー ピ ン グに及ぼす効果 に違 い が み ら れた。 こ の結果 に つい て知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト の緩衝効果の視点から考察する。 嶋 (1992) は、 知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト の緩衝効 果 に お い て、 低 ス ト レ ス状 態 に あ る人は、 知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 量の高 さ と 健康 状態 と の間 に関連は ないが、 高 ス ト レ ス状態 にあ る人 で は、 知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 量が高いほ ど健康状態が良 好 で あ る と し てい る。 金井 (2010) は、 AQ-J 得点が高 い大学生は、 AQ-J 得点が低い大学生よ り も抑 う つ得点 が有意に高い と 指摘 し てい る。 さ ら に本研究での相関分 析の結果、 AQ-J 得点 と ATQ-R におけ る 「将来に対す る 否定的評価」 得点、 なら びに 「自己に対する非難」 得点 と の間 で有意な正の相関関係がみら れた。 こ れら の結果 から自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生は低い大学生 よ り も 高 ス ト レ ス状態にあ る と 想定 さ れた。 し たが っ て、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生におい ては、 将来 志向 コ ー ピ ン グに対 し て知 覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト の緩衝 効果が働い た と 考え ら れる。 将来志向 コ ー ピ ン グを促進す る と い う ポ ジテ ィ ブ な視 点 だけ で な く 、 将来志向 コ ー ピ ン グを抑制す る と い う ネ ガテ ィ ブ な視点 も加え て検討 を行 っ た。 そのため、 内的 資源 と し ての否定的自動思考は、 将来志向 コ ー ピ ングの 抑制要因 と し て機能す る可能性 を想定 し てい た。 し かし、 AQ-J 高群 ・ 低群 と も に、 否定的自動思考から 将来志向 コ ー ピ ン グの 「能動的 コ ー ピ ン グ」 な ら びに 「予防的 コ ー ピ ン グ」 のい ず れに対 し て も 有 意 な影響は みい だ さ れな か っ た。 よ っ て、 否定的自動 思考は、 将来志向 コ ー ピ ン グの抑制要因 と し ては機能 し ない可能性が示唆 さ れた。 本研究結果から 、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学 生に おけ る将来志向 コ ー ピ ン グの実行 を促進す る ための 介入方法には、 肯定的自動思考の改善な ら びに知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト の向上 を考慮 にい れる必要があ る と い え る。 将来志向 コ ー ピ ン グの促進 を目的 と し た介入 に関す る 研 究 と し て 、 Bode, do Ridder, Kuijer, & Bensing

(2007) がある。 Bode et al. (2007) は、 50歳から75歳 の間 の男 女 158名 に対 し て プロ ア ク テ イ ブ コ ー ピ ン グ理 論 に基づ き作 成 し た短期教育 プロ グ ラ ム を4 セ ッ シ ョ ン 行 っ た。 その結果、 実験群 では、 プロ グラ ムの実施前 と 実施後 と の間 で プロ ア ク テ イ ブ コ ー ピ ン グ得点 の有 意 な 上昇 がみら れた。 ま た、 実験群に おい て上昇 し た プロ ア ク テ イ ブ コ ー ピ ン グ得点 は、 プロ グラ ム終了 の三力月後 時点 で維持 さ れてい た。 今後、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向 が高い大学生の将来志向 コ ー ピ ン グの促進 を目的 と す る 介入のためには、 肯定的児童思考の改善な ら びに知覚 ソ ー シ ャ ルサ ポー ト の向上 を考慮 に入 れた プロ グ ラ ム を作 成 し たう え で、 作成 し た プロ グラ ムの効果 を実験的に検討 す る必要があ る だ ろ う 。 本研究は、 大学生のも つ自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向得点 を AQ-J を用い て測定 し、 その得点の高低群 を対象 と し た アナロ グ研究 で あ る。 そのため、 本研究結果が自閉症 スペ ク ト ラ ムと 診断がな さ れてい る大学生に対 し て も当 てはま るか どう かに つい て今後検討 が必要で あ る。 自閉 症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生の日常生活におけ る一 般的 な自動思考、 知覚 ソ ー シ ャルサポー ト と 将来志向 コ ー ピ ン グの関連 に つい て検討 し た。 し か し 、 自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生が高頻度で遭遇す る と 想定 さ れ る対 人ス ト レ ス場面等、 特定のス ト レ ス場面に対 す る将 来志向 コ ー ピ ン グや対処資源の活用 に つい て も 検討 す る 必要があ る だ ろ う 。 加え て、 変数間の因 果関係につい て よ り 詳細に明 ら かにす る た めに も 横断的 な検討 だけ で な く 、 縦断的 な検討 を行 う 必要があ る。 ま た、 自閉症スペ ク ト ラ ム傾向が高い大学生のソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト を 測定 す る 上 で 、 実 際 に受 け た ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト で あ る 「 実行 さ れた ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 」 で は な く 、 ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト が実行 さ れ る期待 感 を示 す 「知 覚 さ れた ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 」 を測定 し た。 よ っ て、 本 研 究 に おけ る大学生 の知覚 さ れた ソ ー シ ャ ルサ ポー ト 量 と 、 実 際 に提供 さ れて い る ソ ー シ ャ ルサ ポ ー ト 量 と の間 に差異があ るか も し れない。 さ ら に、 大学生の自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向 と し て AQ- J の総得点 を使用 し 検討 し たが、 AQ-J の下位尺度得点 を検討に加え なかっ た。 市川 (2014) は、 AQ-J の下位 尺度別 に将来志向 コ ー ピ ン グと の間の関連に つい て調査 し てい た こ と か ら、 今後自閉症 スペ ク ト ラ ム傾向が高い 大学生のも つ特性 と 将来志向 コ ー ピ ン グな ら びに対 処資 源 と の間の関連に つい て調査す る必要があ る と 考え る。

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謝辞 本論文は、 第一著者が兵庫教育大学大学院に提出 し た 修士論文 を再分析 ・ 再構成 し た も のであ る。 本論文 を作 成す るに当 たり 、 金子一史先生 (名古屋大学) 、 宇田光 先生 (南山大学) 、 川島一晃先生 (皇學館大学) 、 山本真 也先生 (兵庫教育大学) から貴重な ご助言をいただいた。 こ の場 をお借り し て感謝申 し上げます。 ま た、 調査に協 力 し てい た だい た大学生の方 々に も こ の場 を お借 り し て 感謝申 し上げます。

Table  1  AQ-J、 ATQ-R、 SESS、 将来志向 コ ー ピングの各尺度の記述統計量およ び各尺度間の相関分析結果  (pear1son ・

参照

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