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JAIST Repository: 中小企業向けSaaSアプリケーション・サービスの具体化 : 中小企業を支援するNPO/ベンダー連携の視点から

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

中小企業向けSaaSアプリケーション・サービスの具体

化 : 中小企業を支援するNPO/ベンダー連携の視点から

Author(s)

高橋, 浩

Citation

年次学術大会講演要旨集, 23: 62-65

Issue Date

2008-10-12

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/7502

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

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1 B 0 5

中 小 企 業 向 け S a a S ア プ リ ケ ー シ ョ ン ・ サ ー ビ ス の 具 体 化

- 中 小 企 業 を 支 援 す る N P O / ベ ン ダ ー 連 携 の 視 点 か ら -

○ 高 橋 浩 ( 宮 城 大 学 )

1. はじめに サービスセクターに従事する人口が就労人口の7 0%を越える時代になり、サービス分野での価値創造 が重要性を増している。その中で、充分 IT 活用効果を 上げ得ていないが、幅広いサービス分野の主要対応者 であり、サービス受給者との直接的接点を担う中小企 業の、インターネット、OSSなど新IT動向を踏ま えた新たなIT活用が注目される。中小企業は現在で も売上に占めるIT投資比率が大企業を上回っている が(1)、充分IT活用効果を上げ得ておらず、中小企業 性製品の輸入超過額が一段と拡大するなど、厳しい企 業経営を強いられている。このような状況下、不要に なれば打ち切りが容易で、必要機能を早期・安価に利 用できるSaaSによって、中小企業に必須のアプリ ケーションを安く、俊敏に、木目細かいソリューショ ン付きで利用できれば、既存システムとの柵が少ない 中小企業にとってSaaSは適性があり、現状打開の 一手段となり得る。 但し、このような取組みは価格低下があっても、従 来の延長だけでは中小企業の幅広い適応分野における 価値創造には不充分と思われ、新たな利用者・提供者 双方が満足しうる、サービス提供に関わる新たな組織、 サービス・マネージメントの工夫が必要と考えられる。 そして、このような環境に到達するまでのプロセス、 新たな試みのインセンティブ分析などを行うことが、 新ITの影響の根底にある利用者主導型時代には求め られ、この中に、中立的役割を担う第三者機関、営利 を目指さないNPO法人、およびそれらとベンダーと の連携なども視野に入れた検討が必要と考えられる。 即ち、中小企業の課題解決に資するサービスを、信 頼性が高く、生産性向上が期待できるSaaSインフ ラを用いて低価格で提供できたとしても、新たな機会 を活用する意識改革や利用者・提供者間連携の見直し、 サービス提供方法、サービス提供組織のあり方、柔軟 な企業文化の醸成、などインタンジブル・アセットの 強化が重要と考えられる(2 )。このような取組みも相ま って、中小企業が価値創造に集中でき、有効なIT活 用が競争力向上に有用との戦略的視点を確立するため には、サービス提供者側も中小企業の課題把握と解決 方法を機動的に支援する体制が求められる。そして、 課題を保有するサービス利用者、サービスを提供する ベンダー、更には適切なアプリケーションを保有し、 SaaSプラットフォーム上に(OSS形態も含めて) アプリケーション塔載を意図するパートナー企業、S aaSベンダーの信頼性を保障する第三者機関など、 利用・提供に関わる幅広い関係者がパートナーシップ の認識を持ち、サービスの提供と活用、既存システム との連係システム構築・運用などで、それぞれの役割 と責任の見直しが求められる。これらの作業は、イン ターネット経由で多様なサービスが選択できる環境で は、利用者側から見て、提供されるサービスの種類や 信頼性、運用条件、コストなどが客観的に比較しうる 透明性も求められる。このような形態への変更は従来 と大きく異なる多様な側面を保有している。 従来は、メインフレーム時代の取組みが残存し、受 注に対する受動的システム開発、アプリケーション・ パッケージの一方向的供給、売るのは機能の価値より はソースコード量、提供者の目標も利益率追求よりは、 売上高追求という傾向があった。一方、これからは売 るのは機能の利用価値、追求するのは利用者利得最大 化の結果としての利益確保、また、利用者ニーズへの 機動的対応のためには、①機能のコンポーネント化、 ②それらのインテグレート、③ユーザーとの接点にお ける木目細かい「すりあわせ」、そして、多様なサービ ス評価が可能な透明性などである。 従って、これらを支援するには、中立的機関、他社 などの外部機関とも連携可能な柔軟な体制が求められ る。そして、このような取組みを新たな価値創造に活 かすには、多様な情報を「共有」し、関連した情報同 士を結合させることが不可欠であり、企業・産業の「縦 割り」を超えて、情報の意味や書式の標準化と必要な セキュリティ確保を計り、情報を「つなぐ」ことで、 イノベーション・サイクルを回転させることが必要に なる。このような情報の「共有」・「活用」によるイノ ベーション創出にはプラットフォームが必要だが、S

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aaSはインターネット経由のサービス提供に特化す ることで上記要件に最も近い可能性を保有していると 考えられる。

2. 新モデルへ移行のジレンマとSaaSによ

る新市場登場の背景

上述のようにSaaSモデルが登場しても、既存ベ ンダ・ユーザーがメインフレーム時代のビジネスモデ ルを引きずっている状態では、新環境に移行すること は出来ず、現状は大企業・中小企業に共通して以下の ような問題が存在していると考えられる。 ・ユーザーが責任を持つべき事項について、ベンダ、 ユーザー間の責任関係が曖昧であり、ユーザー側も責 任分担能力を育成できていない。 ・特に、要件定義、保守運用時の責任が課題であり、 これらは信頼性問題との関係が深く、簡単には新環境 に移行できない。 ・その結果、現在まで各システム再構築とマイグレー ション負担が大きいことが原因で、パッケージ導入が 遅れ、IT投資による生産性向上も限定的である。 また、大手ベンダーは依然として一気通貫型サービス 提供から抜け出せておらず、マルチベンダ・コンポー ネント化の流れに適合するビジネスモデル構築が不充 分で、オープン化・コンポーネント化が進んだ業界で、 インターフェース部分の重要性が急増しているにも関 わらず、 このような分野で日本ベンダーは充分貢献 できていない。 そこで、新たな変化への対応では、既存ベンダーの みでなく、新モデルへの移行が容易な新たな仕組み導 入が求められるが、これが容易でないことは破壊的イ ノベーション( 3 )の示すところである。このような視 点から中小企業向けSaaS適用を図1のように2領 域に分類する。 図1.SaaS適用モデルの2つの位置づけ (1)サービス提供コスト低下により登場する新市場 インターネット経由サービス提供により、SaaSが ユーザー側の資産(ハード、ソフト)をベンダー側に 集積し、規模の効果が働くことによって、提供コスト が低下し、その結果、ロングテール領域を開拓し従来 ビジネスの対象とならなかった新市場が登場(図2の ①) (2)サービス利用の容易化で新たなサービスを掘り 起し登場する新市場 SaaSがインターネット経由で多様なサービスを時 間刻みで提供するため、従来IT導入を試みてこなか ったユーザー層の取り込みを掘り起こし、従来ビジネ スの対象とならなかった新市場が登場(図2の②)。 図2.SaaSで登場する異なる尺度の新市場 特に(2)の市場が登場する背景として次のことが 考えられる。利用者主体の環境では、本来、不完全な 知識にもとづいて挑戦が生まれ、この挑戦の結果で社 会が進化を続ける。その際、最大化すべき目的は、提 供者側企業の利益追求ではなく利用者側の消費者余剰 (効用-価格の積分)であり、価格(貨幣)は取引マ ッチングコストを節約する媒体にすぎず、情報のよう に(排他性がないため)価値を厳密にマッチングでき ない領域では特にこの傾向が強くなる( 4 )。この際、情 報の価値は、価格(貨幣)ではなく情報の流通量と質 で決まる。このような世界では情報を「共有」させ、「結 合」させるほど価値創造が進む。 新環境への移行は、このような異なる尺度による新 市場創造型破壊モデルを登場させる(図1の②)ので、 本稿は特に(2)領域に焦点をあてる。このような効 果は既存システム導入が遅れた結果、従来システムの 柵が少ない中小企業により新たな機会となる。このよ うな取組みによる全体最適化の推進にはNPO、第三

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者機関などを含めた新たなサービス提供組織導入とイ ンセンティブ・モデルが必要である。

3.SaaSアプリケーション・サービス評価

モデルとNPO/ベンダー連携による新ビジネ

スモデル

そこで、新IT動向の典型としてOSS登場による ビジネス環境変化と、多様な無償情報公開のインセン ティブの組み合わせから新環境を分析することで、S aaSアプリケーション・モデル考察の参考とする。

3. 1 SaaSアプリケーション・サービス評

価モデル

OSSビジネス・モデルは①寄生モデル、②共生モ デル、③一体化モデルからなり(5 )、インセンティブは 8種に分類される。OSSシステム成熟の段階は図3 のように表わされ、OSSに関わるビジネスは多様化 して行くことが分かる。 図3.OSSに関わるビジネスモデルの成熟過程 また、8種のインセンティブは下記のようにまとめ られる(6) 1)防衛的公開:自社利益を守るための企業戦略の一 つ 2)金銭的スピルオーバー(ユーザー⇒サプライヤ): 企業間の垂直的取引において、セットメーカーなどの ユーザーがイノベーションを起こした場合、サプライ ヤーにもそのイノベーションを浸透させ、新技術に適 した部品供給などを促す目的で研究成果を公開 3)下流産業の生産増大(サプライヤー ⇒ユーザー): サプライヤーがユーザーにイノベーションを浸透させ、 市場を拡大する目的で研究成果を公開(下流産業にお ける参入障壁を下げて新規参入を促し、さらに、下流 産業のイノベーションを促して、結果としてサプライ ヤーの新製品に対する需要が増加する場合) 4)ユーザーからのフィードバック:ユーザーからの フィードバックをイノベーション・プロセスに吸収(ソ フトウェア、ゲーム、外科用医療機器、スポーツ用機 器など) 5)互恵ルール:企業同士の関係が無期限で継続する 「繰り返しゲーム」において、知識公開が行われなか った場合の有効な処罰手段があれば、互いに公開しあ うことが最適(例:OSSの開発) 6)ネットワーク外部効果:ネットワーク外部効果を 得るために研究成果を公開(ユーザーが増加しネット ワーク外部性が発生すれば、大きなマーケットシェア が得られる場合)、及び、サプライヤー側のネットワー ク外部性を得るために研究成果を公開(ある要素技術 が、単独では商品価値がなく、他要素技術と組み合わ せることで商品価値が発生する場合) 7)研究者のモチベーション:研究者のモチベーショ ンを高めるためのツールとして研究成果を公開 8)評判の効果:企業(個人)が研究成果を公表するこ とで、研究分野におけるその企業(個人)の「評判」が 確立され、研究者ネットワークにおける中心性が向上 (研究成果の無償公開は短期的には費用だが、長期的 には研究ネットワークの中心に位置することで、自身 の評価が高まり、最適パートナーとの共同研究・連携 が可能となり、自社(自身)の研究開発生産性が上昇)。 O S S ビ ジ ネ ス 成 熟 モ デ ル を 横 軸 、 イ ン セ ン テ ィ ブ・モデルを縦軸とし、OSS利用を視野に入れたS aaSアプリケーション・モデルにおいて新たなイン センティブを抽出した結果を表1に示す(↓:サービ ス利用側、↑:サービス提供側、↑↓:双方のインセ ンティブ)。 表1.OSSに関わるインセンティブ抽出 一体化モデル段階では「戦略的差別化に関わらない業 務分野」などでもOSSによる多様なインセンティブ

(5)

が登場し得ることが分かる。

3.2 NPO/ベンダー連携による新ビジネスモ

デル

表1に見られるように、適用分野によってはOSS でも多様なインセンティブが発生しうることから、有 償アプリケーションを加えることで、多様な価値創造 が期待できる。そこで、これらを出来るだけ活性化さ せる仕組みが重要になる。これを実現させる案として 中小企業、ベンダーと対等にNPOを介在させ、図4 のような連携形態を取る構成が考えられる。 図4.NPO/ベンダー連携による新ビジネスモデル

4. 中小企業向けSaaSアプリケーション・

サービスの可能性と今後の課題

多様なインセンティブ発揮を促す適切な支援と必要 なインタンジブル・アセットの強化が計られれば中小 企業側にも幅広いイノベータ、オピニオンリーダー、 アーリー・マジョリティ( 7 )などイノベーション担い 手の登場が予想される。そして、NPO、ベンダー連 携は中小企業における価値創造を支援できると考えら れる。全体としてユーザー主導のイノベーションが増 大する傾向の元では(8 )、多様なユーザーニーズに対応 するため、多様なアプリケーション品揃えが必須であ り、有償ソフトウェアに加えて業務OSS情報提供者 を探索し、情報共有の環境を一段と整備することが重 要になる。その際、NPOは適切なOSS提供者の探 索や品質保障でユーザーを支援できる。また、NPO、 第三者機関はユーザーに提供するサービス、ソフトウ ェアの機能・能力、コストなどの確認や客観的情報提 供も可能と考えられる。このようにNPO、ベンダー が連携することで、サービス品質、信頼性、ニーズに 対する敏捷性などの実現が容易になる。 以上のSaaSを基盤とした中小企業に対するNP O/ベンダー連携は次のようにまとめられる。 1.目的と概要 ①中小企業の活性化、競争力強化に向け IT 活用を支援、 ②ユーザー主導によるインセンティブ掘り起こし支援 が基本、③その上で支援はNPOが、導入は専門 IT ベ ンダーが主担当、④全体としては導入リスクの軽減、 費用の低減、最適化を実現、⑤本活動によりベンダー 側も対応作業を減らせ、営業経費を削減でき新市場開 拓が効率化 2.具体的活動 ①支援組織はユーザー企業の価値創造を支援するNP Oで、②中小企業からの会費、ベンダーからの協力金、 寄付金、手数料などで運営、③Web サイトによる多様な レベルの情報「共有」を重視、④中立的立場を生かし サービス・マネージメントの担い手となることを展望 3.導入のステップ 第一段階:PC導入、インターネット環境の整備と利 用の習熟など,第二段階:業務アプリケーションの適用 でSaaS活用。他所からのNPO支援受け入れで支 援拡大 今後の課題として、SaaSはインターネット経由 のネットワーク型サービス提供であるため、システム の信頼性実現と、信頼性保障、頻繁な更新ができるこ と( 9 )がコアとなる。このような領域の詳細検討、よ り精緻なビジネスモデル具体化が今後に残されている。 〔参考文献〕 〔1〕 経済産業省,「平成 18 年情報処理実態調査」, 2006. 〔2〕 エリック・ブリニョルフソン,「インタンジブ ル・アセット」,ダイヤモンド社,2004. 〔3〕 クレイトン・クリステンセン,マイケル・レイ ナー,「イノベーションへの解」,翔泳社,2003. 〔4〕 池田信夫,「ハイエク:知識社会の自由主 義」,PHP 研究所,2008. 〔5〕 竹田昌弘,”オープンソース・ソフトウェアとビ ジネスとの関係に関する考察”,立命館経営 学,Vol.44,No.3,pp.49-66,2005.

〔6〕 Penin,J.,”Open knowledge disclosure:an overview of the evidence and economic motivations”,Journal of Economic Surveys,Vol.21,pp.326-348,2007. 〔7〕 E.M.ロジャーズ,「イノベーション普及学」,産 能大学出版部,1990. 〔8〕 E.v.ヒッペル,「民主化するイノベーション の時代」,ファーストプレス,2006. 〔9〕 城田真琴,「SaaS で激変するソフトウェア・ビ ジネス」,毎日コミュニケーションズ,2007.

参照

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