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高齢者の強みを引き出す支援を通じたコミュニティエンパワメント

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Academic year: 2021

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高齢者の強みを引き出す支援を通じた

コミュニティエンパワメント

は じ め に 私は, 千葉大学 21世紀 COE プログラム「日本文化型 看護学の 出・国際発信拠点」において,フェローとして 研究活動に従事したとき, フィンランドとの共同研究と して「高齢者の地域文化に根差した社会的サポートネッ トワークとエンパワメントに関する研究」に取り組ん だ. 研究の目的は, 両国の地域の文化を反映した効果的 なケアへの貢献を念頭に置き, 地域の社会的サポート ネットワークと高齢者のエンパワメントの関連を明らか にし, それらを促進させる効果的な看護援助を明らかに することであった. フィンランドでは日本同様, 急速な高齢化予測がなさ れており政策として 75歳以上の高齢者の残存機能を改 善させることが重要視され, セイナヨキ市では, 75歳高 齢者への 康生活調査を実施する計画を立てていた. 日 本でも, 介護予防事業が開始され, 特定高齢者 (現 : 二次 予防対象者) の把握が課題となっていた. そこで, 日本で も関東近県の 1市で, 75歳高齢者の 康生活調査を行う ことになった. 様々な調査結果の中で, 特に両国の違いが見られたの は, 高齢者の他者との 流状況であった. フィンランド の結果では, 75歳高齢者の 7割が携帯電話など IT 機器 を っており, メール等を介した他者との 流がみられ た. また 95%が高齢者のみの世帯構成であったが, 親族 や友人と頻回に会っていた. 対して日本側の調査結果で は, 高齢者のみの世帯は 51.2%で, そのうち週 1回以上 別居家族と会うと答えたのは 48.8%にとどまった. メー ルでの 流はほとんどみられなかった. しかし, 日本の 高齢者の 42.9%が町内会活動に参加し, 約 8割が近隣者 とのつきあいがあり, その内の半数が近隣への配慮をし ていると答え, 地域共同体の中で役立ったり配慮したり する 流がみられた. このような結果を踏まえ, 私たちは地域の中で高齢者 が他者との 流の中でどのようにエンパワーされている のか, 他者に役立ちたいと思う意識などを活かした介護 予防について示唆が得られないかと えた. そこでさら に, 高齢者が誰と 流し, そこからどんなことを得られ ているのか, 他者との 流で発揮されている高齢者の能 力はどんなことかをさらに 析し, 地域の社会的サポー トネットワークの構築につながる高齢者のエンパワメン ト状況をはかる指標を作成することを試みた. その研究 の一部を紹介する. 社会的サポートネットワークの構築につながる 高齢者のエンパワメント指標の試案 84名の満 75歳高齢者から他者との 流について自由 に語ってもらい, この逐語録から 流の目的を表す部 を質的帰納的に 類し, その目的が, 誰のどのような ニーズを満たすためのものなのかという観点で, その性 質を 類した. 流の目的は 7項目に 類でき, これら が誰のどんなニーズを満たすための 流なのかその性質 を読み取ったところ, 流によって満たそうとするニー 251 Kitakanto Med J 2014;64:251∼252 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保 学研究科 平成26年5月29日 受付 論文別刷請求先 〒371-8514 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保 学研究科 井出成美

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ズが, 私的なものか社会的なものか, さらに生活必須的 なものか付加価値的なものかの 2つの側面が含まれてお り, 図 1のように類型化できた. の社会的かつ付加価 値的ニーズを満たすための 流をもっている高齢者は, 社会に貢献する意欲や能力を持ち, それによって自 自 身もエンパワーされていると えられ, コミュニティエ ンパワメントに貢献できる力を持っている可能性がある と えた. 対象者一人一人について, 流の実態をこの 類型化に当てはめてパターンを見たところ, 図 2のよう に から までの性質の 流を持っている者が一番多く 46.4%, 次いで ∼ すべての性質を持つ者が 23.8%で あった. の性質を持つ 流を約 3割の高齢者が持って おり, コミュニティエンパワメントに貢献できる力を持 つことが予測された. 全部で 7つのパターンが見いだされ, それぞれのパ ターンについてエンパワメントの状況を判断できる指標 案を表 1のように作成した. 高齢者の強みを引き出す支援による コミュニティエンパワメントに向けて ご紹介した研究を含めた一連の研究を通じて, 世界に 類をみない日本の超高齢社会において, 高齢者の持つ力 や強みに着目し, それらを顕在化させる支援による介護 予防活動が一層重要になると強く感じている. 本稿では 紹介しなかったが, 面接調査を通じて明らかになった, 康管理や生活維持, 他者との 流において高齢者が発 揮している工夫や他者への貢献には, 埋もれさせておく には忍びない「知」や「経験」が多く含まれていた.本年 度, 幸いにも文部科学省科学研究費基盤研究 C「高齢者 の強み (ストレングス) を活かした介護予防を推進する 地域づくり」が採択された. 高齢者の強みとは何か?そ れらを活かした介護予防に役立つコミュニティエンパワ メントへの支援方法は?などについて今後も研究に取り 組んでいきたいと えている. 文 献 1.[日本型地域 康支援]サブプロジェクト C フィンラ ンド共同研究班 宮﨑美砂子,佐藤紀子,井出成美.高齢者 のエンパワメントと地域のサポートネットワーク-地域 文化に根ざした介護予防実践に向けて-報告書. 千葉大学 21世紀 COE プログラム 日本文化型看護学の 出・国 際発信拠点 実践知に基づく看護学の確立と展開 2007. 2. 井出成美, 佐藤紀子, 山田洋子, 細谷紀子, 岩瀬靖子,宮﨑 美砂子. 社会的サポートネットワークの構築につながる 高齢者のエンパメント指標の試案. 文化看護学会誌 2009 ; 1(1): 3-11. 高齢者の強みを引き出す支援を通じたコミュニティエンパワメント 図1 他者との 流の目的の性質の類型化 図2 他者との 流の目的と性質 表1 75歳高齢者のエンパワメント状況 パターン エンパワメントの状況 パターン1 ∼ 全て 私的ニーズを満たすための 流があり、さら に コ ミュニ ティエ ン パ ワ メ ン ト(以 下 CEMP)への貢献が可能な状態 パターン2 ・ ・ パターン3 ・ ・ CEMPへの貢献の可能性があるが、私的な ニーズを満たし自己を EMPする必要性もあ る状態 パターン4 ∼ 生活に必須な 流のみでなく付加価値的な 流もあり自己が CEMPされている状態 パターン5 ・ のみ 私的ニーズを満たす 流が充実しており自己 は EMPされているが CEMPへの可能性が 低い状態 パターン6 ・ のみ 生活必須的な 流に限られており、自己が充 に EMPされていない可能性がある状態 パターン7 のみ 私的・生活必須的 流に限られており、孤立 などの問題を抱える可能性のある状態 私 的 社会的 生 活 必 須 的 付 加 価 値 的 流の目的 の性質 私的かつ付加 価値的ニーズ を満たすため の 流 私的かつ生活 必須的ニーズ を満たすため の 流 私的かつ付加 価値的ニーズ を満たすため の 流 社会的かつ生 活必須的ニー ズを満たすた めの 流 252

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