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看護学生の実習前後における認知症高齢者のアウトカム判定とケア実施率の関係

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看護学生の実習前後における認知症高齢者の

アウトカム判定とケア実施率の関係

内 田 陽 子, 上 山 真 美, 小 泉 美佐子

要 旨 【目 的】 本研究の目的は, 看護学生の実習前後における認知症高齢者のアウトカム判定とケア実施率の関 係を明らかにすることとした. 【対象と方法】 対象は, A 大学 3年生で調査協力の得られた 38人の看護学 生とその受け持ちの認知症高齢者 38人である. 方法は, 学生に実習前後での受け持ち認知症高齢者の状況に ついて「認知症ケアのアウトカム評価票」に記入してもらった. 【結 果】 アウトカム評価 26項目の信頼性 係数クロンバック α係数は, 1回目は 0.85で 2回目は 0.83であった. アウトカム変化率で最高値維持が高 かったアウトカム項目は, 周辺症状 (行動障害)」で, 改善は「コミュニケーション」, 過去の趣味・生きが いの現実」, 維持は「着替え」, 悪化は「なじみの暮らし継続」, 最低値維持は「役割と発揮の有無」であった. ケア実施率では,『目をみて話す』が高かった. 【結 語】 実習においては認知症高齢者の「コミュニケー ション」等の改善が期待でき, 環境整備のケアは症状の改善をもたらす.(Kitakanto Med J 2008;58: 303∼309) キーワード:認知症, アウトカム, 評価, 看護学生, 認知症ケア 目 的 わが国では, 高齢人口の増加に伴い認知症者も急増す ると えられている. Tom Kitwoodは,認知症のケア理 念を「医学モデル」に基づいた見方から「その人らしさ」 を尊重するケア, すなわちパーソンセンタードケアとし ており, 今では日本の認知症ケアの基本的な え方と なっている. 日本における認知症ケアに対する え方 は, 2004年 12月痴呆から認知症へ用語が替わり, 認知症 者自身が語り始め変化してきた. しかし, 実際のケア内 容はまだまだ改善が必要な段階である. 島内らは, ケア の質向上のためには, 実施したケアのアウトカム評価を 行い, ケアを改善することが必要であると述べている. 認知症のケアを評価し組織的に改善する方法として, ディメンシア・ケア・マッピング (以下 DCM) が Tom Kitwood により開発され, 日本でも 2002年より DCM 導入の研究が始まり研修が行われている. しかし, この 方法は, 専門的な研修を受けた観察者が複数人で評価す るものであり, 認知症ケア実践現場への普及には課題が 残る. そこで, 筆者は 2007年 8月に認知症ケアのアウトカ ム評価票を開発し, その後, 票の信頼性や 用可能性を 検討した. また, 看護学生の実習前後で評価票の 用を 行い, アウトカム判定とケア実施率の特性を明らかにし た. その研究では,短い実習期間であるが,認知症高齢者 の「楽しいことに対する表現・笑顔」, 過去の趣味・生き がいの実現」, 外見の保持」, コミュニケーション」領域 においてアウトカムの改善が期待できることを示した. しかしながら, これらの調査は評価票一部改良前 (介護 者の項目は削除していた) の調査であり, 継続した研究 が必要であった. そこで今回の研究目的は, 改良したア ウトカム評価票を って, 看護学生の実習前後における 認知症高齢者のアウトカム判定とケア実施率の関係を明 らかにすることとした. 方 法 1.対象 本研究の対象は以下の条件をみたす看護学生とした. 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 平成20年5月22日 受付 論文別刷請求先 〒371-8514 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 内田陽子

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その条件は, ① A 大学で 2007年 9 月から 2008年 2月ま での間に介護老人保 施設で老年看護学実習を行った 3 年次の学生であり, ②実習では認知症をもつ高齢者を受 け持った学生, ③本調査に同意を得た学生とした. その 結果, 2007年 A 大学 3年次の 78人の学生のうち, 上記 の条件を満たす 36人の学生と, 学生の受け持ちである 認知症高齢者 36人を本研究の対象とした. 2.調査方法と内容 1)老年看護学実習における調査方法 老年看護学実習の期間は 2週間である. 実習の内訳は, 大学内でのオリエンテーションと技術演習と講義 2日, 介護老人保 施設での臨地実習 7日, 大学内でのまとめ 1日を設定している. 学生 9 から 10人を 1グループと し, 学生 1人が高齢者 1人を受け持ち看護過程の展開を している. 学生は, 臨地実習初日から食事や排泄, 移動, リハビリテーションなど生活に密着した看護実践を教員 および看護師・介護福祉士などの職員と連携し行ってい る. 調査は, 2007年に内田が開発した認知症ケアのアウ トカム評価票 を学生に 用してもらい実施した. 学生 は, 自 の受け持った高齢者について評価票に記入した. 調査時期は,臨地実習の受け持ち初日 (以下実習前)と受 け持ち最終日 (以下実習後) の 2時点 (9 日間) とした. 2)認知症ケアのアウトカム評価方法 アウトカム評価票は先行研究で開発され改良された内 田の評価票 を 用した. その票のアウトカム項目は, ① 認知症症状・精神的安定 5項目, ②生活・セルフケア行動 10項目, ③その人らしい生き方 8項目, ④介護に関する 項目 3項目の合計 26項目で構成されている. 各項目に 対して, 0は正常な状態を示し, 番号が大きくなるにつれ 状態が悪くなるようアセスメント番号を設定している. 学生には, アウトカム項目毎に受け持ち前後の高齢者の 状態をアセスメントし, 該当するアセスメント番号を記 入してもらうよう依頼した. アウトカムの判定は, 島内 らの著書 に従い,2時点の得点を比較し,最高値維持,改 善, 維持, 悪化, 最低値維持の 5段階で判定した. 最高値 維持」は 2時点のアセスメント番号が 0から 0の場合, 維持」は 0以外の番号で同じ番号が続いた場合, 改善」 は 1回目より 2回目の番号が小さくなった場合, 悪化」 は 1回目より 2回目の番号が大きくなった場合, 最低 値持続」は 2時点の番号を照合し一番大きい番号が続い た場合とし判定してもらった. また, 2時点の間で学生が 実施したケア内容については, 26個のアウトカム項目そ れぞれに設定された 5∼10個の「アウトカムを高めるケ ア項目」の欄にチェックしてもらった.なお,このケア項 目については, 文献検討や専門家会議で検討され, すで に先行研究 で明らかにされたものである. 学生が記入 した情報については, 指導者と兼務する研究者らが確認 を行った. 3. 析方法 信頼性の 析は, アウトカム評価の 26項目の 1回目, 2回目のクロンバック α係数を算出した. さらに, アウ トカムの各判定の変化率は, アウトカム項目ごとに対象 全体の人数に対する最高値維持, 改善, 維持, 悪化, 最低 値維持と判定された人数の割合を算出した. ケア実施の 有無とアウトカムの関連は χ 検定を行った. なお, 析 は統計ソフト SPSSバージョン 15.0を 用した. 4.倫理的配慮 学生には, 研究の趣旨と内容, 匿名性の保持, 調査票は 実習記録とは別のもので実習の成績とは一切関係のない こと, 調査票の提出は自由意志に基づくこと, 得られた データは研究目的以外には 用しないことについて文書 を用いて説明し書面にて同意を得た. また, 学生が受け 持つ高齢者またはその家族に対しては, 学生が受け持つ ことに関して評価を含む情報提供について文書を用いて 説明し書面にて同意を得た. 成 績 1.学生が受け持った認知症高齢者の背景 (表 1) 学生が受け持った高齢者は 36人であり, その年齢は, 75歳以上が 30人 (83.3%) であった (表 1). 認知症の種 類では, 脳血管性認知症が 22人 (61.1%), アルツハイ マー型が 9 (25.0%) であった. 認知症高齢者の日常生活 自立度判定基準では, Ⅲが 19 人 (52.8%), Ⅱが 10人 (27.8%), Ⅳが 3人 (8.3%) で, 要介護認定度は, 要介護 3 が 13人 (36.1%),要介護 4が 9 人 (25.0%),要介護 5が 7 人 (19.4%) であった. 認知症以外の疾患では, 脳血管疾 患 19 人 (52.8%), 高血圧 16人 (44.4%) が多かった. 2.認知症ケアのアウトカム変化率の結果 (表 2) アウトカム評価票の 26項目の 1回目, 2回目のクロン バック α係数を算出した結果, 1回目は 0.85であり, 2 回目は 0.83であった. 学生の実習前後でのアウトカム判 定の変化率の結果を表 3に示した. 最高値維持」が高 かった項目は, 周辺症状 (行動障害) で 66.7%であった. 次いで「他者とのあいさつ」58.3%, 楽しいこと表現・笑 顔」と「他者との 流の機会」が 44.4%, 苦痛表現」と 「認知症者に対する受容」が 41.7%であった. 改善」が 高かった項目は, コミュニケーション」が 41.7%, 過去 の趣味・生きがいの実現」が 38.9%, 楽しいこと表現・笑 顔」が 33.3%, 外見の保持」が 25.0%, 他者とのあいさ つ」が 22.2%であった. 維持」が高かった項目は, 着替 え」が 86.1%, 休息睡眠」と「身づくろい」と「入浴」

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表1 学生が受け持った認知症高齢者の背景 n=36 項目 内訳 n % 性別 男 5 13.9 女 31 86.1 年齢 75歳未満 5 13.9 75歳以上 30 83.3 無回答 1 2.8 認知症の種類 脳血管性痴呆 22 61.1 アルツハイマー型 9 25.0 その他 5 13.9 認知症老人自立度 Ⅱ 10 27.8 (厚生労働省) Ⅲ 19 52.8 Ⅳ 3 8.3 不明 1 2.8 無回答 1 2.8 要介護認定度 要支援 1・2 2 5.6 要介護 2 4 11.1 要介護 3 13 36.1 要介護 4 9 25.0 要介護 5 7 19.4 その他 1 2.8 認知症以外の疾患 脳血管疾患 19 52.8 *複数回答 高血圧 16 44.4 心臓・循環器疾患 8 22.2 パーキンソン 7 19.4 その他 7 19.4 表2 認知症ケアのアウトカム判定結果 n=36 大項目 アウトカム項目 最高値持続 改善 維持 悪化 最低値持続 無回答 n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) 1中核症状 (記憶障害) 3 ( 8.3) 6 ( 16.7) 26 ( 72.2) ― ( ―) ― ( ―) 1 ( 2.8) 2周辺症状 (精神症状) 13 ( 36.1) 5 ( 13.9) 14 ( 38.9) 1 ( 2.8) 2 ( 5.6) 1 ( 2.8) 認 知 症 症 状 ・ 精 神 的 安 定 3周辺症状 (行動障害) 24 ( 66.7) 3 ( 8.3) 7 ( 19.4) ― ( ―) 2 ( 5.6) ― ( ―) 4苦痛表現 15 ( 41.7) 6 ( 16.7) 13 ( 36.1) 2 ( 5.6) ― ( ―) ― ( ―) 5楽しいこと表現・笑顔 16 ( 44.4) 12 ( 33.3) 6 ( 16.7) 2 ( 5.6) ― ( ―) ― ( ―) 6身づくろい 1 ( 2.8) 4 ( 11.1) 30 ( 83.3) ― ( ―) ― ( ―) 1 ( 2.8) 7着替え ― ( ―) 4 ( 11.1) 31 ( 86.1) 1 ( 2.8) ― ( ―) ― ( ―) 8食事 4 ( 11.1) 3 ( 8.3) 25 ( 69.4) ― ( ―) 4 ( 11.1) ― ( ―) 9 入浴 ― ( ―) 3 ( 8.3) 30 ( 83.3) 2 ( 5.6) ― ( ―) 1 ( 2.8) 10トイレの 用 ― ( ―) 3 ( 8.3) 25 ( 69.4) 1 ( 2.8) 7 ( 19.4) ― ( ―) 生 活 ・ セ ル フ ケ ア 行 動 11移動 2 ( 5.6) ― ( ―) 29 ( 80.6) 2 ( 5.6) 3 ( 8.3) ― ( ―) 12金銭管理 ― ( ―) ― ( ―) 5 ( 13.9) ― ( ―) 17 ( 47.2) 14 ( 38.9) 13事故の回避 ― ( ―) 5 ( 13.9) 17 ( 47.2) ― ( ―) 13 ( 36.1) 1 ( 2.8) 14休息睡眠 2 ( 5.6) 4 ( 11.1) 30 ( 83.3) ― ( ―) ― ( ―) ― ( ―) 15なじみの暮らし継続 2 ( 5.6) 1 ( 2.8) 29 ( 80.6) 2 ( 5.6) ― ( ―) 2 ( 5.6) 16役割と発揮の有無 5 ( 13.9) 2 ( 5.6) ― ( ―) ― ( ―) 28 ( 77.8) 1 ( 2.8) 17過去の趣味・生きがいの実現 4 ( 11.1) 14 ( 38.9) 12 ( 33.3) ― ( ―) 6 ( 16.7) ― ( ―) 18外見の保持 11 ( 30.6) 9 ( 25.0) 15 ( 41.7) ― ( ―) 1 ( 2.8) ― ( ―) 19他者との 流の機会 16 ( 44.4) 4 ( 11.1) 16 ( 44.4) ― ( ―) ― ( ―) ― ( ―) そ の 人 ら し い 生 き 方 20コミュニケーション 7 ( 19.4) 15 ( 41.7) 14 ( 38.9) ― ( ―) ― ( ―) ― ( ―) 21他者とのあいさつ 21 ( 58.3) 8 ( 22.2) 7 ( 19.4) ― ( ―) ― ( ―) ― ( ―) 22ニーズの表現 3 ( 8.3) 7 ( 19.4) 24 ( 66.7) ― ( ―) 1 ( 2.8) 1 ( 2.8) 23レクリエーションやリハビリの 各療法に対する参加の程度 4 ( 11.1) 5 ( 13.9) 20 ( 55.6) 2 ( 5.6) 3 ( 8.3) 2 ( 5.6) 24認知症者に対する受容 15 ( 41.7) 1 ( 2.8) 5 ( 13.9) ― ( ―) ― ( ―) 15 ( 41.7) 介 護 者 25介護技術の習得の程度26介護者のストレス・疲労の様子 6 ( 16.7)2 ( 5.6) 1 ( 2.8)3 ( 8.3) 12 ( 33.3)13 ( 36.1) ― ( ―)― ( ―) ― ( ―)― ( ―) 17 ( 47.2)18 ( 50.0)

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がともに 83.3%, なじみの暮らし継続」と「移動」が 80.6%であった. 悪化」が高かった項目は, なじみの暮 らし継続」・「楽しいこと表現・笑顔」・「苦痛表現」・「レ ク・リハ各療法に対する参加の程度」・「入浴」・「移動」が ともに 5.6%であった. 最低値維持」が高かった項目は, 役割と発揮の有無」が 77.8%, 金銭管理」が 47.2%, 事 故の回避」が 36.1%, トイレの 用」が 19.4%, 過去の 趣味・生きがいの実現」が 16.7%であった.介護者に関す る「認知症者に対する受容」の項目では最高値持続 41.7% であったが, 反面, 無回答者が 40%を超えていた. 3.認知症ケアのアウトカムを高めるケアの実施率の結 果 (表 3・4) ケア実施率が 75.0%以上の項目は 20項目あった (表 3). 以下, 」内にアウトカム項目を,『 』内に連動した ケア項目を示した. ケア実施率が最も高かった項目は, コミュニケーション」の『目を見て話す』と「他者との あいさつ」の『目を見て話す』が共に 91.7%であった.次 いで, トイレの 用」の『声をかけながら介助する』 88.9%, トイレの 用」の『排泄アセスメント (回数・時 間)』と「外見の保持」の『整容を行う』が共に 86.1%, 他 者とのあいさつ」の『毎日笑顔ではっきりと挨拶する』 と『スキンシップ』・「レク・リハ各療法に対する参加の程 度」の『励まし・声かけ』の 3項目が 83.3%, 周辺症状 (精神症状)」の『安心させるやさしい声かけ』・「楽しいこ と表現・笑顔」の『歌や趣味活動の実施』・「身づくろい」 の『声かけ』・「食事」の『見守り,声かけ』・「ニーズの表 現」の『意思をよく聞く』の 5項目が 80.6%の順であっ た. 認知症ケアの中で重要とされる『原因・背景の追究』 のケア実施率は, 最も高いアウトカム項目でも「中核症 状」・「周辺症状 (精神症状)」・「周辺症状 (行動障害)」・ 「苦痛表現」・「入浴」・「トイレの 用」・「移動」・「事故 の回避」の 8項目で 33.3%であった (表 4). 4.改善者に実施率が高かったケア項目 (表 5) アウトカム改善者のほうが非改善者に比べて, ケア実 施率が有意に高かったケア項目は, 中核症状 (記憶障 害)」のアウトカム項目に対する『混乱しないよう環境を 整える』のケア項目, 周辺症状 (精神症状)」の『環境整 備』, 周辺症状 (行動障害)」の『原因・背景の追究』, 身 づくろい」の『模範を示す』, 食事」の『食事内容の工夫』, 表3 各アウトカム項目に連動したケアの実施率の高かった上位 20項目 (75%以上) アウトカム項目 ケア内容 n % コミュニケーション 目を見て話す 33 91.7 他者とのあいさつ 目を見て話す 33 91.7 トイレの 用 声をかけながら介助する 32 88.9 トイレの 用 排泄アセスメント (回数・時間) 31 86.1 外見の保持 整容を行う 31 86.1 他者とのあいさつ 毎日笑顔ではっきりとあいさつする 30 83.3 他者とのあいさつ スキンシップ 30 83.3 レクリエーションやリハビリの各療法に対する参加の程度 励まし, 声かけ 30 83.3 周辺症状 (精神症状) 安心させるやさしい声かけ 29 80.6 楽しいこと表現・笑顔 歌や趣味活動の実施 29 80.6 身づくろい 声かけ 29 80.6 食事 見守り, 声かけ 29 80.6 ニーズの表現 意思をよく聞く 29 80.6 中核症状 (記憶障害) 言葉がけの調節 28 77.8 苦痛表現 目を見て話す 28 77.8 楽しいこと表現・笑顔 本人の好きな活動や会話を取り入れる 28 77.8 過去の趣味・生きがいの実現 本人の過去・生い立ちの理解 28 77.8 コミュニケーション スキンシップ 28 77.8 着替え 少し手を添えて介助する 27 75.0 外見の保持 着衣・着脱を整える 27 75.0 表4 各アウトカム項目に対する「原因・背景の追究」のケ ア実施率 n=36 アウトカム項目 ケア実施率 n % 中核症状 (記憶障害) 12 33.3 周辺症状 (精神症状) 12 33.3 周辺症状 (行動障害) 12 33.3 苦痛に対する表現 12 33.3 入浴 12 33.3 トイレの 用 12 33.3 移動 12 33.3 事故の回避 12 33.3 食事 11 30.6 なじみの暮らしの継続 11 30.6 楽しいことに対する表現・笑顔 10 27.8 身づくろい 10 27.8 着替え 9 25.0 休息・睡眠 8 22.2 金銭管理 4 11.1

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『少しずつ食事を出す』, 役割と発揮の有無」の『おしぼ りたたみなどの役割の提供』 (各 p<0.05) であった. 察 実習前後のアウトカム判定の各変化率のなかの改善に 着目すると, コミュニケーション」, 過去の趣味・生き がいの実現」, 楽しいこと表現・笑顔」, 外見の保持」の 順で高かった. この結果は, 改良前のアウトカム評価票 をつかって, 看護学生の実習前後の評価をした先行研究 の結果と一致していた. これより, これらの項目は, 特に 認知症ケアの専門家でなくても短期に改善しやすい項目 といえる. 今回, 改善率が高かった「コミュニケーショ ン」に対する学生のケア実施率で最も高かったケア項目 は,『目を見て話す』であり,『スキンシップ』も 77.8%で あった. 上山ら が述べるように, 学生は 1対 1で認知症 高齢者を受け持ち, 言語だけでなく, スキンシップ, 目を 見て話すなどのケア実践を繰り返すことにより, コミュ ニケーションのアウトカムが高まったといえる. また, 過去の趣味・生きがいの実現」に対しては『本人の過去・ 生い立ちの理解』のケア実施率が, 楽しいこと表現・笑 顔」については『本人の好きな活動や会話を取り入れる』 のが高かった. 日頃, 喪失感を感じることが多い認知症 高齢者にとって, 慣れ親しんだ昔を振り返り, 趣味など 好きなことを行うことは, たとえいっときであっても不 安や混乱から開放される. 「外見の保持」に対しては,整容をするだけで改善しや すい項目であり, 学生にとっても着衣や着脱を整えるケ アは比較的できる生活援助であり, 実習という限られた 期間でも高まるアウトカムといえる. 他者とのあいさ つ」については,『毎日,笑顔ではっきりとあいさつする』, 『スキンシップ』の実施率が高かった.あいさつについて は実習要項にも明示されており, 学生も心がけているこ とである. 笑顔は人が最も鋭敏に識別できる表情といわ れており, 学生の笑顔でのあいさつが認知症者に伝わっ たといえる. 今回, 改善者に有意に実施率が高かったケア項目 (表 5) は, 20%をこえる高い改善率を示したアウトカム項目 ではなく, それ以下の低い改善率を示した項目であった. この結果は, 改善者が少ない項目であっても, これらの ケアを実施すればアウトカムが高まることを示唆してい る. 認知症の中核・周辺症状の改善者は非改善者に比べ て環境整備に関するケア実施率が有意に高かった. 周辺 症状は環境因子による影響が大きいといわれており, 症 状の改善をもたらすにはケア提供者が認知症高齢者の立 場にたって環境改善を行う必要がある. また, 認知症高齢者は, 言語でニーズを示すことが困 難であり, ケアを実施するときは高齢者の示す行動や反 応の原因・要因をアセスメントすることが重要といわれ ている. 原因・背景の追究」のケアは重要であるとい われているものの, 先行研究では実施率が低かった. 今 後,認知症の中核・周辺症状に対する「原因・背景の追究」 のケア実施率を高めていく必要がある. その他, 身づく ろい」のアウトカム項目に対しては『模範を示す』ケア 実施, 食事」の『食事内容の工夫』,『少しずつ食事を出 す』, 役割と発揮の有無」の『おしぼりたたみなどの役割 の提供』のケアが改善をもたらす可能性があることがわ かった. しかしながら, 今回の調査ではこれらのアウト カムとケア実施との関連 析において, 認知症者のレベ ル別にみた 析は, 改善者が少ないために実施できな かった. これについては, 本研究の限界といえる. 認知症 のレベル別によっておそらくケア実施の特性やアウトカ ムの違いがあると えられるが, これらについては今後, 対象数を増やしての継続した研究が必要である. 介護者に関する項目について無回答が多かったのは, 学生は実習期間で家族に会ってアセスメントする機会が 少ないためだと える. 介護者に関するアウトカム項目 については学生でなくスタッフを対象にした研究が必要 である. 謝辞:本研究でお世話になった学生や受け持ち患者様, 表5 改善者に実施率が有意に高かったケア内容 アウトカム項目 ケア内容 改善者 ケア実施率 n 実施数 % 非改善者 ケア実施率 n 実施数 % 中核症状 (記憶障害) 混乱しないよう環境を整える 6 4 66.7 29 6 20.7 周辺症状 (精神症状) 環境整備 5 4 80.0 30 8 26.7 周辺症状 (行動障害) 原因・背景の追究 3 3 100.0 33 9 27.3 身づくろい 模範を示す 4 3 75.0 31 4 12.9 食事 食事内容 (とろみ, ソフト食) の工夫 3 2 66.7 33 3 9.1 少しずつ食事を出す 3 2 66.7 33 2 6.1 役割と発揮の有無 おしぼりたたみなど役割の提供 2 2 100.0 33 5 15.2 注 : 改善者・非改善者とケア実施の有無の χ検定 p<0.05

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実習施設の職員の方々, 清水さゆりさんに深く感謝いた します. なお, 本研究は 2007・2008年度科学研究費補助 金 付 (基盤研究 C 課題番号 19592555) による研究の一 部である. 文 献 1. 厚 生 労 働 省 (編): 厚 生 労 働 白 書. 東 京 : ぎょう せ い, 2007: 244-247 2. トム・キッドウッド著.高橋誠一 (訳): 認知症のパーソン センタードケア. 東京 : 筒井書房, 2006: 5-37. 3. 島内節,友安直子,内田陽子 (編): 在宅ケア―アウトカム 評価と質改善の方法―. 東京 : 医学書院, 2002: 3-7. 4. 内田陽子.認知症ケアのアウトカム評価票原案の開発.北 関東医学. 2007; 57(3): 230-237. 5. 内田陽子. 認知症ケアのアウトカム評価方法の開発 そ の 2 ―原案の 用可能性と改良―. 北関東医学. 2008; 58(1): 9-15. 6. 上山真美, 内田陽子, 小泉美佐子. 老年看護学実習前後に おける認知症高齢者のアウトカム判定と学生のケア実施 率. 群馬保 学紀要. 2007; 28: 71-78. 7. 山口晴保編著.認知症の正しい理解と包括的医療・ケアの ポイント. 東京. 協同医書出版社, 2005: 50-52. 142-144. 8. 諏訪さゆり. 認知症高齢者の看護に活かす ICF の視点. 認知症高齢者の治療と看護計画. 名古屋. 日 研出版, 2006: 49-58.

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Relationship between Outcome Assessment

and Care Implementation in Patients

with Dementia Before and After Clinical Training

of Nursing Students

Yoko Uchida,

Manami Kamiyama

and Misako Koizumi

1 School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Gunma University

Objective: This study was conducted to identify the relationship between outcome assessment and care implementation in patients with dementia before and after clinical training of nursing students. Subject & M ethod: Subjects were 38 nursing junior students at A university who agreed to participate in the study and their 38 elderly patients with dementia. The students filled out outcome assessment for dementia care on conditions of their elderly patients with dementia before and after clinical training. Results: Cronbach s alpha coefficients for 26 items of the outcome assessment were 0.85 for the first time and 0.83 for the second time. Related symptom (behavioral disorder) was maintained at the highest level in the outcome change rate. Communication and participating in a hobby/life worth living were improved and dressing was maintained,while continuing familiar life was worsened and role and implementation was least maintained. Looking at the patients eyes when talking was the highest in care implementation.

Conclusion : In clinical training, communication in patients with dementia could be improved, and better care environments improve symptoms.(Kitakanto Med J 2008;58:303∼309)

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