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児童の考えを生かした授業づくりの在り方

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Academic year: 2021

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児童の考えを生かした授業づくりの在り方

高度学校教育実践専攻 実習責任教員 木 下 光 二 教 員 養 成 特 別 コ ー ス 実習指導教員 森 康 彦 桑 原 彩 香 キーワード:授業づくり,発問,問い返し,聴く 1.はじめに 筆者の目指す授業像は,「児童が共に学びあう ことのできる授業」である。筆者がそのように考 えたのは,1年次前期の「教科等指導の事例研究」 の大学院の授業で参観したN小学校の授業後に, 授業で扱った算数の問題を児童が数人で集まっ て考える様子を見たことにある。意欲的に学習 に取り組む児童の様子を見て,このような授業 をしたいと考えるようになった。そして,児童が 意欲的に学習に取り組むことのできるような授 業づくりをすることによって,最終的に,「児童 が共に学びあうことのできる授業」を目指した いと考えた。 「児童が共に学びあうことのできる授業」に近 づくために,筆者の授業にはどのような課題が あるのか2年間考え続けた。すると,各時期によ って課題が変遷した。 (1)研究課題と目指す児童像の関連 2年次前期の授業実践をゼミで振り返ると, 児童の考えを聴くことができていなかった場面 が課題として挙がった。筆者が児童の考えを聴 き,授業に生かせるようになることで,児童が互 いの考えを聴くきっかけになる。この課題につ いて教職大学院で考えることが,「児童が共に学 びあうことのできる授業」を実践できるように なる第一歩になると考えた。そこで,研究課題を 「児童の考えを生かした授業づくりの在り方」 と設定をした。詳しくは,2-(4)で述べる。 2.実践研究 研究課題に至るまでに,各授業において目標 としていたことと授業を分析して見えた課題に ついて述べる。また,2-(5)の項目では,研究課 題の授業実践について述べる。 (1)1年次前期の模擬授業 第4学年国語科「熟語の意味」(2015年5 月27日実施)の模擬授業では,授業の導入に22 分かかったことが課題に挙がった。授業の初め の導入で児童の意欲を高めたいと考え,授業の 導入に時間をかけてしまったことが原因と考え る。そこで,基礎インターンシップでは,「時間 をかけすぎずに児童の意欲を高めること」を目 標に授業実践を行った。 (2)基礎インターンシップ 基礎インターンシップでは,T市にあるN小 学校において,第1学年で5週間実習をさせて いただいた。その中で実践した第1学年国語科 書写「おれ・まがり・そり」(2015年10月 31日実施)の授業実践の分析,成果と課題につ いて述べる。 ①授業実践の分析 発問が曖昧な表現と具体的な表現の場面について 目標 導入で児童の興味を引きつける。 課題 導入に時間をかけすぎた。 目標 導入で時間をかけすぎずに児童の意欲 を高める。 課題 児童の意欲を高める導入にならなかった。

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「今までの書写でどんな勉強をしてきました か?」と授業の導入で発問をした。細案をつくる 段階では,書写の授業内容を思い出すために,必 要であると判断した発問だった。しかし,児童か らは,「字を丁寧に書いたりしました」や「字を なぞりました」など,似たような発言があった。 児童はこの発問で,今までの書写の学習内容を 思い出すことができているのか疑問が残る。 その一方で,その後の「どんなことに気を付け て文字を書きましたか?」の発問に対して,6人 の児童が発表をした。この発問は,児童にとって わかりやすい発問で,今までの書写の授業をよ く思い出されていることがわかる。この2つの 発問の大きな違いは「具体性」ではないかと考え る。2つ目の発問の方が,書写という大枠からひ らがなに限定されたことで,児童も答えやすか ったのだということがわかった。 ②成果と課題 ア.成果 1年次前期の模擬授業では,時間が22分間 もかかっていた導入を,8分間で終わらせたこ とは,成果として挙げられる。また,分析からも わかるように,授業の導入の「どんなことに気を 付けて文字を書きましたか?」の発問は,わかり やすい発問ができたと考える。 イ.課題 「児童の意欲を高める導入にならなかった」 ことである。それは,授業の分析からもわかるよ うに,発問が具体的ではなかったために,教師の 意図することが伝わらず,導入で児童の意欲を 高めることにつながらなかった。 (3)1年次後期の模擬授業 1年次後期が終わり,授業の導入以外にも課 題が見えたことで,「児童の意欲を高める導入の 工夫」という課題よりもさらに重要視すべき課 題があると考えるようになった。そこで,(1)の 模擬授業を再度検討し,模擬授業を行うことに した。実施した模擬授業は,第4学年国語科「熟 語の意味」(2016年3月16日実施)である。 授業実践の成果と課題について述べる。 成果として,問い返しができたことが挙げら れる。問い返しをすることで,教師自身も周りの 児童も,発表する児童の考えをより深く知るこ とができるということを学んだ。 課題として,児童の考えを聴くことができて いなかったことが挙げられる。筆者は,児童が発 言したことと全く異なる言い換えをし,児童に 「うん」と頷かせた。1年次を終えて,この場面 を筆者は一番の課題と捉えた。「児童の考えを授 業に生かすことができていない」ことが課題と して挙がった。この課題を念頭に置いて,2年次 の授業実践に取り組むことにした。 (4)総合インターンシップⅠ 2年次では,2016年4月1日から12月 22日の長期に渡ってN市にあるD小学校にお いて,実習をさせていただいた。入学式から1年 1組(男子13名,女子16名,計29名)の学 級に入り,6月に授業実践をさせていただいた。 第1学年国語科「あいうえおで あそぼう」 (2016年6月20日実施)の授業実践を行った。 ①手立て ア. 教師・児童の行動や,児童への問い返しも 細かく考えた細案を作った。(発問,指示を具 体的にするため) 目標 児童の意欲を高めるような導入をする。 課題 児童の考えを聴くことができていなかった。 目標 児童の意欲を高めるような導入をする。 課題 児童の考えを聴くことができていなかった。

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イ. 導入で「あいうえおのうた」を一部空欄に し,空欄部分に何が入るか考える活動を行う ことによって,詩に興味をもつことができる ようにした。(授業の導入の工夫) ②分析 ア.手立てアについて 事前に考えていた細案では,予想していなか った児童の発言があった。「(詩の空欄部分に)な んでしかくが入ると思ったのかな?」という発 問をした。事前に予想していた児童の発言は, 「さんかくって(空欄の)上に書いてある」,「か くという文字が同じだから」というものだった。 しかし,実際の児童の発言では,「さんかくの 反対やから」,「さんかくとしかくが一緒だった」, 「形が一緒」のように,さんかくの形に着目した 発言が多かった。その後,「かくが同じ」と児童 が発言したが,筆者は,形に着目した発言に反応 し,その後の授業展開をどのように進めようか 考えるあまり,「かくが同じ」という発言を採り 上げてあげて授業を進めることができなかった。 イ.手立てイについて 詩の空欄部分に何が入るか考えた後,詩の秘密 (同じ文字がある,同じ文字数でできているなど) があることを児童に伝え,本時のめあてを提示し た。すると,児童から「(秘密を)見つけたい」と いう発言が出てきた。この発言から,導入部分の 活動は,ある一定の成果があったと考える。 ウ.その他課題となった場面について 児童の考えが理解できていないのに次に進ん でしまった場面があった。「かくの上の空欄には, 何が入るか」という発問に対して,児童Fは,「難 しいを」と答えた。筆者は,その場では発言の意 味がわからなかったが,「なるほど」と答えて次 の展開に進んでしまった。発言に触れることで, 授業を計画通りに進めることができなくのでは ないかと考えたからだ。 その後,ゼミで授業実践を検討すると,児童F は,「さんかくをかく」のように文章になると考 えたことに気付いた。改善点として,発言をした 児童Fに対し,「どうして『を』が入ると思った のかな?」と問い返すことで発言が深まり,他の 児童の学びも深まったのではないかと考える。 ③成果と課題 ア.成果 児童から意欲的な発言が出た授業ができたこ とである。「見つけたい」と児童の意欲的な発言 を聴いたのは,1年次から授業実践を行って初 めてのことだった。児童が意欲的な発言をした 背景の1つに,導入を工夫したことがあるので はないかと考える。授業づくりの際に,教材を工 夫することによって,児童の意欲を高めること ができることを学んだ。 イ.課題 ②分析のウのような場面から,個々の児童の 考えを聴きながら授業を進めることができてい なかったことに気付いた。ここから,2年次後期 の総合インターンシップでは,「児童の考えを生 かした授業づくり」を研究課題にして,授業実践 を行うことにした。 (5)総合インターンシップⅡ 2年次後期の総合インターンシップⅡの授業 実践では,第1学年算数科「かたちづくり」 (2016年11月10日実施)の授業実践を行った。 ①手立て ア. 様々な児童の考えを予想し,どのように問 い返すのかまで考えた細案を作った。 イ. 算数が苦手な児童と得意な児童に手立て を用いた。算数が苦手な児童には,影絵にマ スを書くように指導することによって,三角

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の色板をどのように置いて形を 作れば良い のか気付かせるようにした。また,算数が得 意な児童には,「せんせいもんだい」の形を渡 し,少し難しい問題にも挑戦できるようにし た。(それぞれの児童に合わせた指導を心掛 けるようにするため) ウ. 傾聴スキルを意識して,児童の考えを聴く 姿勢を大切にした。 ②分析 ア.手立てアについて 筆者が,「~ということかな?」と児童の発言 を言い換えて発話すると,「あっ,ほんまや」と 他の児童が納得した場面があった。細案で問い 返しを考えたことで,授業実践で児童とやりと りをする際のイメージを膨らませることができ たと言える。 一方で,児童の考えを聴くことができていな かった場面があった。「(家の形を色板で作った ものを2つ比べて)違うって言った人は,どこが 違いますか?」という発問に対して,児童Mが, 「下のところが反対になってる」と答えた。する と,筆者は,「なんか違う?並び方が?」と,児 童Mが発言した考えとは,全く異なる発話をし ていた。ここから,筆者がまさに答えてほしい考 えを,児童Mに押し付けていることがわかる。児 童Mの考えに問い返しをするのであれば,「反対 ってどこが反対になっているかな?前の黒板に 押さえに来てくれるかな?」と,他の児童と考え を共有するような問い返しが必要だと考える。 イ.手立てイについて 机間指導をした際に,色板を影絵に置くこと ができていなかった全ての児童に対して,影絵 にマスを書くように指導することができなかっ た。授業中,20分の間に3~4人の児童にしか 指導することができていなかった。また,算数が 得意な児童の様子はほとんど見えていなかった。 この事実から,一人の児童に対して指導時間が 長かったことがわかった。改善点として,今後授 業を行う際には,他の児童の様子も見ながら指 導することを心掛けるようにする。 ウ.手立てウについて 傾聴スキルを意識しながら授業実践ができなか ったために,効果を検証することはできなかった。 ③成果と課題 ア.成果 ②分析アの場面において,筆者も他の児童も、 発表した児童の考えを聴いていた場面をつくる ことができた。児童の考えを聴きながら授業を 進める大切さを改めて学んだ。 イ.課題 筆者の考えを児童に押しつけている場面があ ったことである。②分析アの2つ目の場面を見 ると,期待する発言に近い考えを児童が発言し た時に,すぐにその発言に飛びつくのではなく, さらに細かい問い返しをするなど,発言をどの ように生かすのかも細案で考えることが必要で あると考える。 3.おわりに (1)2年間の省察と理想の教師像 児童の考えを聴きながら授業を行う意識をもっ ているのだが,授業中,予定通りに授業を進めた いという思いが先走ってしまうと,児童の考えを 聴くことができていないのが筆者の現状だ。例え ば,児童の発表した考えをもっと詳しく聴きたい と思ったら,「~とは,どういうことかな」,「~に ついてもう一度説明できるかな」と問い返しをし, 児童とやりとりをしながら授業を進められる教師 になりたい。そして,「児童の考えを生かした授業 づくり」を目指したい。

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