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成長期トップアスリートにおける膝関節機能と障害の関係 : 中学校・高等学校女子サッカー選手を対象として

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Academic year: 2021

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< 研 究 ノ ー ト >

成長期トップアスリートにおける膝関節機能と障害の関係

―中学校・高等学校女子サッカー選手を対象として―

Relationship Between Function and Injury of Knee Joint in the Adolescent Top-Level Athletes:

The Case of Junior and Senior High School Female Soccer Players

栗田泰成1,中井 聖2,村本名史3,塚本敏也1,加藤倫卓1,平野幸伸1

Yasunari KURITA, Akira NAKAI, Morifumi MURAMOTO, Toshiya TSUKAMOTO, Michitaka KATO, Yukinobu HIRANO

1 常葉大学健康科学部静岡理学療法学科

 Department of Physical Therapy, Faculty of Health Science, Tokoha University 2 静岡福祉大学社会福祉学部健康福祉学科

 Department of Health and Welfare, Faculty of Social Welfare, Shizuoka University of Welfare 3 常葉大学経営学部経営学科

 Department of Business Administration, Faculty of Business Administration, Tokoha University

【要 旨】   本 研 究 で は ,The 11 +から選択した種目を用いたトレーニング介入が膝関節のスポーツ障害を 低 減 さ せ る 効 果 を 有 す る と 仮 説 を 立 て , そ の 検 証 の 第 1 段階として,成長期女子サッカー選手を 対 象 に 膝 関 節 障 害 を 誘 発 す る で あ ろ う knee–in の膝関節回旋(いわゆる,大腿に対する下腿の相 対 的 な 回 旋 ) を 引 き 起 こ す 要 因 に つ い て 検 討 す る . 全 国 大 会 に 出 場 経 験 の あ る 中 学 校 あ る い は 高 等 学 校 女 子 サ ッ カ ー 選 手 を 対 象 と し て , 属 性 の 調 査 や 形 態 測 定 , 下 肢 の 関 節 可 動 域 , 筋 力 お よ び 柔 軟 性 測 定 , ア ラ イ メ ン ト 測 定 を 実 施 す る . さ ら に ド ロ ッ プ ジ ャ ン プ 時 の 動 作 を 高 速 度 撮 影 し ,3 次 元 動 作 解 析 に よ り 各 下 肢 関 節 角 度 と 膝 関 節 の 回 旋 角 度 を 算 出 し , そ れ ら の 関 係 に つ い て 検 討 す る . 股 関 節 筋 群 と 下 腿 三 頭 筋 の 筋 力 が knee–in 防止に対する重要な因子となり,膝関節スポーツ 障 害 の 既 往 歴 が あ る 選 手 は 膝 関 節 回 旋 角 度 が 増 大 す る こ と が 結 果 と し て 予 想 さ れ る . K e y Wo r d s : 動 作 解 析 , 膝 関 節 回 旋 角 度 , ド ロ ッ プ ジ ャ ン プ 1. はじめに  総務省統計局の調査によると,日本におけるサッ カー人口は増加傾向にあり1),中でも女子サッカー においては,日本女子代表が国際サッカー連盟(以 下,FIFA)ワールドカップやオリンピックで好成 績を収めていることもあり,若年層の選手が増加 している2).このようなサッカー人口の増加に伴い, スポーツ障害も増加することが予測される2).ス ポーツによる障害は1 件当たりの医療費が 150 ア メリカドルとなるとの報告もあり3),経済学的な側 面からも障害予防が重要であると考えられる.van Mechelen et al. は,障害予防のプロセスとして, ①障害の問題状況を認識する,②障害の原因とメ カニズムを明らかにする,③予防介入を実施する,

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5 2 ④効果検証として①を繰り返す,という4 段階の プロセスを提唱しており4),効果的な障害予防を促 す介入や予防策とするためには,このプロセスに 基づき検討することが有効であると考える.  大東らは,日本女子サッカーリーグに所属する 選手の165 件の外傷・障害のうち,足関節での発 症が35.8%,膝関節での発症が 22.7%,大腿部で の発症が9.2%であったと報告しており5),最も多 数を占めた足関節では捻挫,膝関節では膝前十字 靱 帯(anterior cruciate ligament:ACL) 断 裂, 大腿部では肉離れが最も多い外傷・障害とされて いる.女子サッカーにおけるACL 損傷の発生率は 男子選手の2 ~ 3 倍で,中には 9 倍以上との報告 もある6-8).女子サッカー選手における膝関節障害 は注目に値する.高校女子サッカー選手において もACL 損傷発生率が男子選手と比べて多いと報告 されている9).女性にACL 損傷発生率が多い要因 としては,膝関節の過伸展,脛骨の前後移動量の 左右差,BMI 高値という体組成10,11),月経周期の 卵胞期との関係12),内側縦アーチの低下,Q-angle の増大13)などが挙げられる.よって,高校女子サッ カー選手における障害を考える上では,特に膝関 節障害に注目するべきであろう.  ACL 損傷は靱帯再建術を要するケースが多く, スポーツ障害の中でも重篤な障害とされる14,15). その発生については,筋力や関節可動域(range of motion:ROM)の制限,柔軟性,足関節捻挫など の 既 往 歴 が 関 係 す る と さ れ て い る16-18). 近 年, ACL 損傷受傷時の映像から 2 次元的に動作解析す ることが行われており,ACL 損傷時に多い下肢ア ライメントは膝関節の外反および軽度屈曲,下腿 の内旋および外旋であり,knee–in が代表的な肢 位とされている16,19-21).さらに古賀らは,3 次元 動作分析により,膝関節外反に伴って外側コンパー トメントの圧迫力が増し,膝関節の内旋,脛骨の 前方移動が起こりACL 損傷が生じている可能性を 指摘している22).また,Hewett et al. は,3 次元 動作解析からACL 損傷リスクのスクリーニングと してジャンプ着地時の膝関節外反角度の測定が有 効であることを示している23).ジャンプ着地時に は,着地時の荷重により膝関節の外反と大腿に対 して下腿が回旋するknee–in が誘導される.よっ て,knee–in では膝関節内に生じる回旋に起因し, ACL を主とする靭帯やその他結合組織に剪断力が 加わることが予想される.  成長期のスポーツ選手は,成長期特有の身体特 性とオーバーユースが大きく影響し,スポーツ障 害の発生率が高い年代であるとされている24).こ れは骨成長が先行する第2 次性徴期の身体的特性 による関節負荷の増大に加え,サッカーではキッ ク動作やカッティング動作,コンタクトなどの負 荷によりスポーツ障害が多く発生すると考えられ る.成長期のスポーツ障害は競技成績の低下だけ でなく,選手として活躍できる期間を短縮させて しまうことにもなる.したがって,成長期のトッ プアスリートを健全に育成するためには,スポー ツ障害に対する方策を実施する必要があろう.   近 年,FIFA および日本サッカー協会(以下, JFA)は,ACL 損傷を中心とした選手のスポーツ 障害の低減と予防,健康管理といった医学的方策 を取り入れたトレーニング方法であるThe 11 + (図1)の普及に努めている25,26).The 11 +は, 図1 The 11 +25) 女子サッカー選手における膝関節障害は注目に値す る.高校女子サッカー選手においても ACL 損傷発 生率が男子選手と比べて多いと報告されている 9). 女性に ACL 損傷発生率が多い要因としては,膝関 節の過伸展,脛骨の前後移動量の左右差,BMI 高値 という体組成10,11),月経周期の卵胞期との関係12), 内側縦アーチの低下,Q-angle の増大13)などが挙げ られる.よって,高校女子サッカー選手における障 害を考える上では,特に膝関節障害に注目するべき であろう. ACL損傷は靱帯再建術を要するケースが多く,ス ポーツ障害の中でも重篤な障害とされる 14,15).そ の発生については,筋力や関節可動域(range of motion:ROM)の制限,柔軟性,足関節捻挫など の既往歴が関係するとされている16-18).近年,ACL 損傷受傷時の映像から 2 次元的に動作解析すること が行われており,ACL 損傷時に多い下肢アライメン トは膝関節の外反および軽度屈曲,下腿の内旋およ び外旋であり,knee–in が代表的な肢位とされてい る16,19-21).さらに古賀らは,3 次元動作分析により, 膝関節外反に伴って外側コンパートメントの圧迫力 が増し,膝関節の内旋,脛骨の前方移動が起こり ACL 損傷が生じている可能性を指摘している 22).

また,Hewett et al.は,3 次元動作解析から ACL 損 傷リスクのスクリーニングとしてジャンプ着地時の 膝関節外反角度の測定が有効であることを示してい る23).ジャンプ着地時には,着地時の荷重により膝 関節の外反と大腿に対して下腿が回旋する knee–in が誘導される.よって,knee–in では膝関節内に生 じる回旋に起因し,ACL を主とする靭帯やその他結 合組織に剪断力が加わることが予想される. 成長期のスポーツ選手は,成長期特有の身体特性 とオーバーユースが大きく影響し,スポーツ障害の 発生率が高い年代であるとされている24).これは骨 成長が先行する第 2 次性徴期の身体的特性による関 節負荷の増大に加え,サッカーではキック動作やカ ッティング動作,コンタクトなどの負荷によりスポ ーツ障害が多く発生すると考えられる.成長期のス ポーツ障害は競技成績の低下だけでなく,選手 図1 The 11+ 25) として活躍できる期間を短縮させてしまうことにも なる.したがって,成長期のトップアスリートを健 全に育成するためには,スポーツ障害に対する方策 を実施する必要があろう. 近年,FIFA および日本サッカー協会(以下,JFA) は,ACL 損傷を中心とした選手のスポーツ障害の低 減と予防,健康管理といった医学的方策を取り入れ たトレーニング方法である The 11+(図 1)の普及 に努めている25,26).The 11+は,国際サッカー連

盟医学委員会傘下の FIFA Medical Assessment and

Research Centre (F-MARC)が作成した外傷・障

害予防のウォームアッププログラムで,外傷全体の 発生数,腱のオーバーユースや障害,ACL 損傷が低 減するとされている27-30).しかし,これらの研究の ほとんどは,プログラム介入による効果を示しただ けに留まり,筋力や柔軟性などの身体運動機能の変 化と動作の関連について因果関係の検討が十分にさ れていない. 以上のことから,成長期の女子サッカー選手を対 象とし,障害が多く発生する膝関節を中心とした身 体運動機能および動作の測定を行い,膝関節障害を

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国際サッカー連盟医学委員会傘下のFIFA Medical Assessment and Research Centre (F-MARC) が 作成した外傷・障害予防のウォームアッププログ ラムで,外傷全体の発生数,腱のオーバーユース や障害,ACL 損傷が低減するとされている27-30). しかし,これらの研究のほとんどは,プログラム 介入による効果を示しただけに留まり,筋力や柔 軟性などの身体運動機能の変化と動作の関連につ いて因果関係の検討が十分にされていない.  以上のことから,成長期の女子サッカー選手を 対象とし,障害が多く発生する膝関節を中心とし た身体運動機能および動作の測定を行い,膝関節 障害を誘発すると予想されるknee–in との関連に ついて検討することとする. 2. 方法 2 . 1 . 対 象   本 研 究 で は , 全 国 大 会 に 出 場 経 験 の あ る 中 学 校 女 子 サ ッ カ ー 選 手 3 0 名 , 高 等 学 校 女 子 サ ッ カ ー 選 手 2 7 名 ( 計 5 7 名 ) を 対 象 と す る 予 定 で あ る . 本 研 究 は 常 葉 大 学 倫 理 委 員 会 の 研 究 倫 理 審 査 に よ り 承 認 を 得 て , 対 象 者 , 監 督 お よ び 保 護 者 に 本 研 究 の 目 的 お よ び 方 法 , 予 想 さ れ る 影 響 に つ い て 詳 細 に 説 明 し , 同 意 を 得 て 実 施 す る . な お , 本 研 究 は 平 成 2 7 年 度 常 葉 大 学 共 同 研 究 費 「 成 長 期 ト ッ プ ア ス リ ー ト に お け る ス ポ ー ツ 障 害 予 防 ― 中 学 校 ・ 高 等 学 校 女 子 サ ッ カ ー 選 手 の 縦 断 的 研 究 ― 」 の 補 助 を 受 け て 実 施 す る も の で あ る . 2 . 2 . 測 定 項 目 a . 属 性 調 査 お よ び 形 態 測 定   身 長 を 身 長 計 (1 0 1 - 7 0 3 , s a n w a 社 製 ), 体 重 お よ び 体 脂 肪 率 を 体 組 成 計 (B C - 6 2 1 , TA N I TA 社 製 ) に て 測 定 す る . 質 問 紙 を 用 い て , 年 齢 , 蹴 り 足 と 軸 足 , 競 技 歴 , ス ポ ー ツ 障 害 歴 ( 障 害 名 , 受 傷 部 位 , 受 傷 年 齢 , 受 傷 機 転 , 再 受 傷 の 有 無 , 手 術 歴 ) に つ い て 調 査 す る . b . R O M 測 定   日 本 整 形 外 科 学 会 お よ び 日 本 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 学 会 が 制 定 し た R O M 表 示 な ら び に 測 定 法 31)を 基 に , 対 象 部 位 両 側 の 運 動 方 向 に 対 す る 他 動 的 R O M ( 表 1 ) を デ ジ タ ル プ ロ ト ラ ク タ ー (6 2 4 9 6 , シ ン ワ 測 定 社 製 ) に て 測 定 す る . な お , 股 関 節 内 外 旋 に 関 し て は , 着 地 動 作 や キ ッ ク 動 作 の 支 持 脚 に 障 害 が 多 く 発 生 す る た め , J FA で 用 い ら れ て い る 表1 ROM 測定における対象部位と運動方向 対象部位 運動方向 股関節   屈曲 伸展 内転 外転 内旋 外旋 膝関節伸展位下肢挙上 (straight leg raising:SLR)

筋 タ イ ト ネ ス テ ス ト 32)を 参 考 と し た 測 定 肢 位 で あ る 股 関 節 伸 展 位 で 測 定 す る . c . 柔 軟 性 測 定 ( 図 2 )  J FA で 用 い ら れ て い る 筋 タ イ ト ネ ス テ ス ト の 方 法 32)を 参 考 に , 両 側 の ① 大 腿 四 頭 筋 , ② ハ ム ス ト リ ン グ ス , ③ 下 腿 三 頭 筋 に つ い て 代 償 運 動 の な い 最 大 他 動 的 R O M を デ ジ タ ル カ メ ラ (5 0 4 5 B 0 0 4 , C a n o n 社 製 ) で 撮 影 す る . そ の 際 , カ メ ラ は カ メ ラ レ ン ズ 中 心 に 対 し て 対 象 関 節 軸 が 平 行 か つ 正 面 に な る よ う 設 置 し , 大 転 子 , 大 腿 骨 外 側 上 顆 , 外 果 , 第 5 中 足 骨 頭 に 球 状 マ ー カ ー を 貼 付 し て 撮 影 を 行 う . 得 ら れ た 映 像 か ら 静 止 画 像 を 抽 出 し 画 像 処 理 ソ フ ト ウ ェ ア (I m a g e J , 米 国 国 立 衛 生 研 究 所 )を 用 い てR O M( θ )を 算 出 す る . ま た ,徒 手 筋 力 計 ( モ ー ビ ィ ,酒 井 医 療 社 製 ) を 使 用 し て 対 象 測 定 肢 位 の 最 大 R O M で 出 現 す る 反 発 力 を 測 定 す る ( 図2 ). 関 節 中 心 か ら 体 表 面 ま で の 距 離 (r ) を デ ジ タ ル ノ ギ ス

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5 4 (1 9 9 7 5 , シ ン ワ 測 定 社 製 ) に て 測 定 し , 伸 長 さ れ る 体 表 面 の 距 離( 円 弧 長:l )を 式( 1 ) に よ り 算 出 す る . l = r θ      ( 1 ) d . 筋 力 測 定   多 用 途 筋 機 能 評 価 運 動 装 置 (Biodex System3,BIODEX 社 製 ) を 使 用 し , 表 2 に 示 し た 対 象 筋 群 の 等 速 性 筋 力 を 測 定 す る33,34). そ の 際 の 各 関 節 の 動 作 速 度 は ,6 0 d e g / s e c あ る い は 1 8 0 d e g / s e c と し , 各 角 速 度 に お け る ピ ー ク ト ル ク (N m ) を 体 重 ( k g ) で 除 す る こ と で 体 重 比 (N m / k g ) を 求 め る と と も に , 各 角 速 度 に お け る 各 関 節 の 主 動 作 筋 の ピ ー ク ト ル ク を 拮 抗 筋 の ピ ー ク ト ル ク で 除 し た 割 合 (% ) を 算 出 し て , 等 速 性 筋 力 を 評 価 す る . e . 動 作 解 析 お よ び 膝 関 節 ア ラ イ メ ン ト 測 定   本 研 究 で は ,A C L 損 傷 の 発 生 率 が 高 い ジ ャ ン プ 着 地 時 や 動 作 の 切 り 替 え 時 を 想 定 し , ド ロ ッ プ ジ ャ ン プ ( 以 下 ,D J ) を 課 題 動 作 と し て 選 択 す る . そ し て ,D J 着 地 時 の 各 関 節 角 度 お よ び 大 腿 に 対 す る 下 腿 の 相 対 的 な 回 旋 角 度 ( 以 下 , 膝 関 節 回 旋 角 度 ) を 測 定 す る . D J は , Noyes et al. に よ っ て 示 さ れ た Drop-Jump Screening Test 35)を 参 考 に 実 施 す る . 高

さ 3 0 c m の 台 か ら 前 方 に 飛 び 降 り , 床 面 に 着 地 し た 直 後 に 最 大 跳 躍 さ せ る . 跳 躍 動 作 時 の 上 肢 に よ る 付 加 動 作 を 制 限 す る た め , 手 を 腰 部 に あ て た 状 態 で の 試 行 と す る . 着 地 後 の 跳 躍 に つ い て は , 事 前 に 最 大 努 力 で 行 う よ う 口 頭 に て 指 示 を 与 え る . な お ,D J 測 定 は 先 行 研 究 36)に な ら い 十 分 な 練 習 を 行 っ た 後 , 疲 労 の 影 響 が 及 ば な い よ う 配 慮 し て 試 行 間 に 休 息 時 間 を 設 定 し ,3 回 試 行 す る .  D J 時 の 関 節 角 度 や 関 節 運 動 が 切 り 換 わ る 時 点 , ジ ャ ン プ 高 を 計 測 す る た め に , 対 象 者 の 両 側 の 肩 峰 ,上 前 腸 骨 棘 (Anterior Superior Iliac Spine:ASIS), 上 後 腸 骨 棘(Posterior Superior Iliac Spine:PSIS),大 腿 骨 大 転 子 ( 大 転 子 ), 大 腿 骨 外 側 上 顆 , 外 果 , 第 5 中 足 骨 頭 の 各 部 位 に 球 状 マ ー カ ー を 貼 付 す る の に 加 え , 膝 関 節 回 旋 角 度 の 算 出 の た め に 大 腿 骨 内 側 上 顆 , 𦙾 骨 内 ・ 外 側 顆 , 内 果 に マ ー カ ー を 貼 付 す る . な お , マ ー カ ー 貼 付 は 経 験 の あ る 同 一 験 者 が 行 う こ と と す る . マ ー カ ー を 貼 付 し た 対 象 者 の D J 時 の 動 作 を , 貼 付 し た お お を拮抗筋のピークトルクで除した割合(%)を算出 して,等速性筋力を評価する. e. 動作解析および膝関節アライメント測定 本研究では,ACL損傷の発生率が高いジャンプ着 地時や動作の切り替え時を想定し,ドロップジャン プ(以下,DJ)を課題動作として選択する.そして, DJ着地時の各関節角度および大腿に対する下腿の 図2 柔軟性測定 ①大腿四頭筋,②ハムストリングス,③下腿三頭筋 表2 筋力測定における対象部位と筋群 対象部位(運動方向) 筋(筋群) 股関節屈曲 伸展 外転 内転 腸腰筋,大腿直筋 大殿筋,ハムストリングス 中・小殿筋,大腿筋膜張筋 股関節内転筋群 膝関節屈曲 伸展 ハムストリングス 大腿四頭筋 足関節底屈 背屈 下腿三頭筋 前頚骨筋 相対的な回旋角度(以下,膝関節回旋角度)を測定 する.DJは,Noyes et al. によって示された Drop-Jump Screening Test 35)を参考に実施する. 高さ30 cm の台から前方に飛び降り,床面に着地し た直後に最大跳躍させる.跳躍動作時の上肢による 付加動作を制限するため,手を腰部にあてた状態で の試行とする.着地後の跳躍については,事前に最 大努力で行うよう口頭にて指示を与える.なお,DJ 測定は先行研究36)にならい十分な練習を行った後, 疲労の影響が及ばないよう配慮して試行間に休息時 間を設定し,3回試行する. DJ時の関節角度や関節運動が切り換わる時点を 計測するために,対象者の両側の肩峰,上前腸骨棘 (Anterior Superior Iliac Spine:ASIS),大腿骨大 転子(大転子),大腿骨外側上顆,外果,第5中足骨 頭の各部位に球状マーカーを貼付するのに加え,膝 関節回旋角度の算出のために大腿骨内側上顆,外果 にマーカーを貼付する.なお,マーカー貼付は経験 のある同一験者が行うこととする.マーカーを貼付 した対象者のDJ時の動作を,貼付したおおよそのマ ーカーが見えるように設置して時間同期させたハイ スピードカメラ(スポーツコーチングカム GC-LJ20B,JVC社製)3台を使用して撮影速度 600 fps,シャッター速度1/1000 secで撮影する. 台から飛び降りて着地した際の膝関節が最大屈曲 した肢位を分析肢位とする.撮影画像の分析は3次 元動作解析ソフト(Frame Dias Ⅴ,DKH社製)を 用いて行う.撮影映像における各マーカーの2次元 座標値を1フレームずつ手動で取得した後,DLT法 (Direct Linear Transformation Method)37)によ り各マーカーの3次元座標値を算出し,体幹前後傾, 骨盤傾斜,股関節屈曲,膝関節屈曲および回旋,足 関節背屈の各角度を算出する.この際,体幹前後傾 角度は左右肩峰中点と左右のASISとPSISの中点を 結ぶ線分と鉛直上方向への線分のなす角度とし,骨 盤傾斜角度は左右のASISとPSISの中点を結ぶ線分 と水平面のなす角度とする.股関節屈曲角度はASIS とPSISとの中点と大転子を結ぶ線分と大転子と大 腿骨外側上顆を結ぶ線分のなす角度,膝関節屈曲角 ① ② ③ ① 大 腿 四 頭 筋 , ② ハ ム ス ト リ ン グ ス , ③ 下 腿 三 頭 筋 図 2 柔 軟 性 測 定 表 2   筋力測定における対象部位・運動方向と筋群 対 象 部 位 ・ 運 動 方 向 筋 群 ( 筋 ) 股 関 節 ・ 屈 曲       伸 展       外 転       内 転 腸腰筋,大腿直筋 大殿筋,ハムストリングス 中・小殿筋,大腿筋膜張筋 股関節内転筋群 膝 関 節 ・ 屈 曲       伸 展 ハムストリングス 大腿四頭筋 足 関 節 ・ 底 屈      背 屈 下腿三頭筋 前頚骨筋

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よ そ の マ ー カ ー が 見 え る よ う に 設 置 し て 時 間 同 期 さ せ た ハ イ ス ピ ー ド カ メ ラ ( ス ポ ー ツ コ ー チ ン グ カ ム G C - L J 2 0 B , J V C 社 製 ) 4 台 を 使 用 し て 撮 影 速 度 2 4 0 f p s ,シ ャ ッ タ ー 速 度 1 / 1 0 0 0 s e c で 撮 影 す る .   台 か ら 飛 び 降 り て 着 地 し た 際 の 膝 関 節 が 最 大 屈 曲 し た 肢 位 を 分 析 肢 位 と す る . 撮 影 画 像 の 分 析 は 3 次 元 動 作 解 析 ソ フ ト ( F r a m e D i a s Ⅴ , D K H 社 製 ) を 用 い て 行 う . 撮 影 映 像 に お け る 各 マ ー カ ー の 2 次 元 座 標 値 を 1 フ レ ー ム ず つ 手 動 で 取 得 し た 後 ,D LT 法 (Direct Linear Transformation Method)37)に よ り 各 マ ー カ ー の 3 次 元 座 標 値 を 算 出 し , 体 幹 前 後 傾 , 骨 盤 傾 斜 , 股 関 節 屈 曲 , 膝 関 節 屈 曲 お よ び 回 旋 , 足 関 節 背 屈 の 各 角 度 を 算 出 す る . こ の 際 , 体 幹 前 後 傾 角 度 は 左 右 肩 峰 中 点 と 左 右 の A S I S と P S I S の 中 点 を 結 ぶ 線 分 と 鉛 直 上 方 向 へ の 線 分 の な す 角 度 と し , 骨 盤 傾 斜 角 度 は 左 右 の A S I S と P S I S の 中 点 を 結 ぶ 線 分 と 水 平 面 の な す 角 度 と す る . 股 関 節 屈 曲 角 度 は A S I S と P S I S と の 中 点 と 大 転 子 を 結 ぶ 線 分 と 大 転 子 と 大 腿 骨 外 側 上 顆 を 結 ぶ 線 分 の な す 角 度 , 膝 関 節 屈 曲 角 度 は 大 転 子 と 膝 関 節 裂 隙 を 結 ぶ 線 分 と 膝 関 節 裂 隙 と 外 果 を 結 ぶ 線 分 が な す 角 度 と す る . ま た , 膝 関 節 回 旋 角 度 に つ い て は , 大 腿 骨 外 側 上 顆 と 内 側 上 顆 を 結 ぶ 線 分 と 内 果 と 外 果 を 結 ぶ 線 分 が な す 角 度 , 足 関 節 背 屈 角 度 は 腓 骨 頭 と 外 果 を 結 ぶ 線 分 と 外 果 と 第 5 中 足 骨 頭 を 結 ぶ 線 分 が な す 角 度 と す る . な お , 各 関 節 角 度 は 立 位 静 止 時 の 角 度 を 0 度 と し て 値 を 補 正 す る .   女 性 に A C L 損 傷 が 多 い 理 由 の 一 つ と し て , 男 性 と の 間 に 膝 関 節 の ア ラ イ メ ン ト の 違 い が あ る と さ れ て い る 38). ま た , ス ポ ー ツ 活 動 時 に は 女 性 の 膝 関 節 の 外 反 角 度 は 男 性 の 外 反角度に比べて大きいことが報告されている39,40). よ っ て , 本 研 究 で は , 膝 関 節 の ア ラ イ メ ン ト を 測 定 す る た め , 前 述 し た 撮 影 条 件 を 用 い て 立 位 で 静 止 し た 際 の 下 肢 の 肢 位 を 撮 影 す る . そ し て , 得 ら れ た 各 マ ー カ ー の 2 次 元 座 標 値 か ら 3 次 元 座 標 値 を 求 め , 立 位 静 止 時 の 膝 関 節 外 反 角 度 を 算 出 す る . 2 . 3 . 統 計 処 理  D J 時 の 関 節 角 度 お よ び 膝 関 節 回 旋 角 度 , 下 肢 柔 軟 性 , 下 肢 筋 力 , 膝 関 節 ア ラ イ メ ン ト に つ い て , 各 測 定 値 間 の 関 連 を P e a r s o n の 積 率 相 関 係 数 を 用 い て 検 討 す る . 統 計 解 析 に は 統 計 処 理 ソ フ ト (SPSS23.0 for Windows, IBM 社 製 ) を 使 用 し , 危 険 率 は 5 % 未 満 と す る . 3. 予想される結果   膝 関 節 の 回 旋 を 誘 発 す る k n e e – i n を 防 止 す る た め に は ,腸 腰 筋 と 大 殿 筋 ,中・小 殿 筋 , 大 腿 筋 膜 張 筋 を 中 心 と す る 股 関 節 筋 群 と 下 腿 三 頭 筋 の 筋 力 が 重 要 な 因 子 と な る こ と が 予 想 さ れ る . さ ら に 膝 関 節 に ス ポ ー ツ 障 害 の 既 往 歴 を 認 め る 選 手 ほ ど ,D J 時 の 膝 関 節 回 旋 角 度 が 増 大 す る こ と が 予 想 さ れ る .   こ の 結 果 に 基 づ き T h e 11 + の 中 で 関 連 す る と 思 わ れ る ト レ ー ニ ン グ を 選 択 し , ト レ ー ニ ン グ 介 入 を 行 っ た 結 果 を 本 研 究 の 第 2 段 階 と す る 予 定 で あ る . 引 用 文 献 1 ) 総務省統計局:- 637 万 5 千人-我が国の「サッ カー人口」.話題の数字,13,2014 2 )黒田早苗:女子サッカー,第 27 回トップメディ カルドクターにきく.運動器疾患と炎症10-2, 56~62,2012

3 ) Inklaar H: Soccer injuries. II: Aetiology and prevention. Sports Med 18-2: 81~93, 1994 4 ) van Mechelen W, Hlobil H, Kemper HC:

Incidence, severity, aetiology and prevention of sports injuries. A review of concepts. Sports Med 14-2: 82~99, 1992

5 ) 大東亜衣,山本利春,瀬戸口芳正,他:L リー グ所属女子サッカー選手におけるスポーツ傷 害の対応に関する実態調査.臨床スポーツ医

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学25,73~76,2008

6 ) Waldén M, Hägglund M, Werner J: The epidemiology of anterior cruciate ligament injury in football (soccer): a review of the literature from a gender-related perspective. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 19-1: 3~10, 2011

7 ) Agel J, Arendt EA, Bershadsky B: Anterior cruciate ligament injury in national collegiate athletic association basketball and soccer: a 13-year review. Am J Sports Med 33-4: 524~530, 2005

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参照

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