Title
Studies on the Gene Regulation in the Growth Cycle of
Chlamydia psittaci( 内容・審査結果の要旨(Summary) )
Author(s)
落合, 由嗣
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第079号
Issue Date
2000-03-14
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2133
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 年 月 要専 の び 与 及 授 科 位 究 学 研 日√件 攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 落 合 由 嗣 (静 岡 県) 博士(獣医学) 獣医博甲第79号 平成12年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 岐阜大学
Studies on the Gene Regulationin the GroYth Cycle of Cたhzmydibpsiitaci
主査 岐 阜 大 学 教 授 平 副査 帯広畜産大学 教 授 品 副査 岩 手 大 学 教 授 品 副査 東京農工大学 教 授 本 副査 岐 阜 大 学 教 授 源 哉一汎一之 克 森邦上英 宣 井 川.川 多 論 文 の 内 容 の 要 旨 オウム病クラミジア(C・P助βCi)は、幅広い宿主域を有し、多種多様な疾病を引き起こ す人獣共通の病原体である。クラミジアは、偏性細胞内寄生性の原核生物で、感染性を有 する基本小体から非感染性の網様体に変化して二分裂する特有な増殖環を有する。しかし、 分子レベルに,おける増殖環の調節機序についてはほとんど解明されていない。大腸菌およ び枯草菌では、増殖および芽胞形成の過程において、時期特異的な遺伝子群が、RNA合成 酵素中の¢因子の置換による連鎖的な調節を受けることが知られている。一方、¢因子に ょる調節が示唆される遺伝子の一つに、ストレス応答時に発現・誘導されるクラミジア熱 ショック蛋白質甜(d岱P60)遺伝子がある。著者は、Cp由比adの¢因子およびd寸SP60
準伝子の発現調節、およぴcHSP60の機能を解析することにより、クラミジア増殖環の遺
伝子調節の一端を明らかにした。 ¢因子の一つであるクラミジア主要¢因子(c♂)の発現調節を検討するため、まずc♂を コードする遺伝子¢紳)の転写産物の動態を解析した。5がの転写産物について、C・P班加f 感染細胞より桂時的に総RNAを抽出し灯一忙Rを行った結果、感染後亜ゝら36時間に検出さ れた。したがって、5なAの転写産物は宿主細胞への感染後間もなく発現し、増殖過程で継続-191-して発現していることが解った。次に、5如上流域の非コード飯域で機能する塩基配列を推 定するため、C.p頭ねd5株、C.坪00川肌1株、C・P乃g〟棚乃加1株および既報のC・叫血服地 3株の計10株を用いて比較した。この結果、C.p班加fの5がの推定翻訳開始点の47から87 塩基対上流に、クラミジア属の種間で高度に保存された額域が見い出された。この塩基配
列は、大腸菌の主要シグマ因子(♂りが認識するコンセンサスプロモーター配列に類似した。
この類似性から、5が上流の保存東城は、プロモーター配列と考えられた。特に、一おおよ び_10配列、ならびに一お配列上流のアデニンリッチ配列は、比較した10株すべてに完全に 保存されていた。この結果から、クラミジアの増殖環において、ざ離の転写は一定の調節を 受けていると考えられた。 C・戸出加i7株のc=SP60.をコードする遺伝子の塩基配列(1′272塩基対)を決定し、彪4残 基からなる推定アミノ酸配列を、既報のC.ァ5ff加f、C・叫加棚ff5およびC・P乃蝕mO乃ねどの各 1株のアミノ酸配列と共に比較した。この結果、クラミジア属の種間において、塩基配列は 81.0%以上、アミノ酸配列は92.2%以上の極めて高い一致率を示した。また、C王岱P60のアミ ノ酸配列を大腸菌のH評60相同俸であるGroEL、および枯草菌と結核菌のHSP60のそれら と比較した結果、3つの高度保存東城が完全長のGro乱のアミノ酸配列の47から96、246か ら298、および357から386番目に見い出された。これらの嶺域は、72.0から鮎.7%の高い一致 率を示し、蛋白質の構造形成を介助する上で重要な機能を担うことが、示唆された。C・pg肋dGCP-1株のd岱P60および大腸菌Gro払のアミノ酸配列の親水性軋類似した軌跡
を示した。これより、GCP-1株cHSP60と大腸菌GroELとの間で、高次構造は保存されて いることが示唆された。さらに、CHSP甜のアミノ酸残基の中で、大腸菌GroELで機能が報 告されている28残基を比較した結果、25ないし26残基が一致した。したがって、CHSP60 は、大腸菌GroELに類似した機能を保持していることが示唆された。 C.p鵡虞CfのdHSP60▲の発現調節を検討するため、CHSP60遺伝子と共に転写される dlSPlO遺伝子の上流域の塩基配列を比較した。この結果、大腸菌¢70のコンセンサスプロ モーター様配列および負の遺伝子調節を担うCRC王様配列が、保存されていた。したがっ て、CHSP甜遺伝子は、これらの配列による転写調節を受けていることが示唆された。3アOC の平常条件下におけるcHSP甜遺伝子、5fが、主要外膜蛋白質遺伝子(0叩A)および 16SrRNAの感染後18から盛時間の転写動態を、定量的紆トf℃R法を用いて解析した。この 結果、1応rRNAを除く3遺伝子の転写産物は、感染後24時間をピークに相対的転写量が低-192-下することが解った。次に、相対的転写量の上昇が観察された感染後18時間、および転写 量の減少が観察された感染後30時間に450Cの高温暴露下における4遺伝子の転写動態を解 析した。高温暴露下におけるcf岱P甜遺伝子の誘導は両感染時期に観察された。しかし、感 染後18時間におけるcHSP60遺伝子の発現誘導の方が、熱ショック応答の程度が大きい一 方で、応答の持続時間が短いことが解った。また、d岱P60遺伝子、痩Aおよび抑甲Aの転 写動態の\間に同調性が観察された。こ.れらの遺伝子は全て大腸菌の¢70のコンセンサスプロ
モーター様配列を有することが知られている。以上の結果から、C♂をコードする5離の転
写は、CHSP60 遺伝子の転写動態に大きく関わることが示唆された。一方、120分間の長期 高温暴露下においては、d岱P60遺伝子、軸A およびbmpAの相対的転写量が低下した。こ の長期高温暴露下における転写量を平常条件下におけるそれと比較した結果、CHSP60遺伝 子の転写は、0画を含む他の遺伝子より廣先的な調節を受けていることが示唆された。こ の現象は、インターフェロンγによって誘導されたクラミジアの持続感染系においても確認 されている。これはクラミジアの持続感染の成立にストレス応答が深く関与する可能性を 示唆している。 本研究により、C♂はプロモーターによる転写調節を受けており、その発現がクラミジア 増殖環を調節する重要な機能を担っていると考えられた。また、CHSP60は大腸菌のGroEL と類似の機能を有すると考えられた。さらに、diSP60は平常およびストレス暴露条件下でこ 灯Aによって、クラミジアの増殖環と調和した発現調節を受けていることが解った。著者ほ、 C.psf伽Cfを用いて発現調節蛋白質の遺伝子およびその蛋白質による調節を受ける遺伝子を 解析することにより、クラミジアの増殖環の制御の一端を解明した。また、細胞内寄生病 原細菌の宿主細胞に対する抵抗性獲得機序の基礎的知見を明らかにした。 審 査1・結 果 の 要 旨 オウム病クラミジア(C肋明励叩融通)は、幅広い宿主域を有し、多種多様な疾 病を引き起こす人獣共通の病原体である。クラミジアは、偏性細胞内寄生性の細菌 で、形態変化を伴う特有な増殖環を有する。しかし、分子レベルにおける増殖環の調節機廓こついてはほとんど解明されていない。著者は、Cp裏地dの¢因子およ
び熱ショック蛋白質60(cHSP60)遺伝子の発現調節、ならびにd堰P60の機能を解析
することにより、クラミジテ増殖環の遺伝子調節の一端を明らかにした。
ー193-1.C.psittaci感染細胞より経時的に総RNAを抽出しRTLPCRを行った結果、クラミ
ジア主要d因子(cロつをコードする遺伝子(j噛A)の転写産物は、感染後4から36時間に
検出された。痩Aの転写産物は感染後間もなく発現し、増殖過程で継続して発現し
ていることが解った。クラミジア10株の上痩A上流域の塩基配列を比較した結果、ク
ラミジア属の種間で高度に保存された領域が見い出された。この塩基配列は、大腸
菌の主要シグマ因子げ)が認識するコンセンサスプロモーター配列に類似したこと
から、プロモーター配列と考えられた。特に、遺伝子調節に関わると考えられる配 列が、10株の間で完全に保存されていた。この結果から、クラミジアの増殖環において、5糾の転写は一定の調節を受けていると考えられた。
2・クラミジア10株のdiSP60の塩基配列および推定アミノ酸配列を比較した。クラ
ミジア属の種間において、塩基配列は81.0%以上、アミノ酸配列は92.2%以上の極め
て高い一致率を示した。また、CHSP60のアミノ酸配列を大腸菌のGro乱、および枯
草菌と結核菌のHSP60のそれらと比較・検討した結果、3つの.高度保存領域が見い出 された。これらの嶺域は、蛋白質の構造形成を介助する上で重要な機能を担うこと が示唆された。CHSP60のアミノ酸残基の中で、大腸菌GroELで機能が報告されてい る28残基を比較した結果、25ないし26残基が一致した。したがって、d寸SP60は、大 腸菌GroELに類似した機能を保持していることが示唆された。 3.cHSPlO遺伝子の上流域の塩基配列を比較した結果、プロモーター様配列および CRCE様配列が保存されていた。dlSP60遺伝子は、これらの配列による遺伝子調節 が示唆された。平常条件下におけるcHSP60遺伝子、5fgA、主要外膜蛋白質遺伝子 (α椚PA)の転写産物は、感染後24時間をピークに相対的転写量が低下することが解っ た。感染後18および30時間に高温暴露下における転写動態を解析した結果、CHSP60・ 遺伝子の誘導は両感染時期に観察された。しかし、感染後18時間における誘導の方 が、熱ショック応答の程度が大きい一方で、応答の持続時間が短いことが解った。_また、CHSP60遺伝子、痩A串よびゎ〃甲Aの転写動態の間に同調性が観察された。こ
の結果から、C♂をコードする上海Aの転写は、CH甜60遺伝子の転写動態に大きく関
わることが示唆された。長期高温暴露下たおける転写量を平常条件下におけるそれー194-と比較した結果、CHSP60遺伝子の転写は、¢mPAを含む他の遺伝子より優先的な調 節を受けていることが示唆された。 本研究により、C¢Aはプロモーターによる転写調節を受けており、その発現がクラ
ミジア増殖環を調節する重要な機能を担っていると考えられた。また、dほSP60は大
腸菌GroELと類似の機能を有すると考えられた。さらに、CHSP60は平常およびスト レス暴露条件下で、C♂によって、クラミジアの増殖環と調和した発現調節を受けて いることが解った。著者は、C.p5如αC確用いて発現調節蛋白質の遺伝子およびその 蛋白質による調節を受ける遺伝子を解析することにより、クラミジアの増殖環の制 御の一端を解明した。 以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の 学位論文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる学術論文 1・Ochiai′Y・′Fukushi′H・′Cai,Y・′Yamaguchi′T・andHiraLi′K・:Conservationof Putativepromotersequenceslocatedupstreamofchlamydialma)OrSlgmafactor・gene′SMamongChtamydiaspp・Micrdbiol・Immun01・43:419424・1999・・
既発表学術論文 1・To′H・,Kako,N・′Zhang′G・Q・′Otsuka,H・′Ogawa′M・,Ochiai′Y・′Nguyen′S・Ⅴ・, Yamaguchi′T・,Fukushi′H・′Nagaoka′N・,Akiyama′M・,Amano′K・andHirai,K・: QfeverpneumOrdainchildreninJapan・J・Clin.Microbiol・34:647J51・1996・2・Pudjiatmoko,Fukushi′H・′Od血i′Y・′Yanaguchi′T・andHirai′K・:Seroqidemiology
Offe血echlamydiosisbymicroimmunofluorescenceassay.withmulqplestrainsas
antigens・Microbiol⊥Immunol・40:755-759・1996・3・Pud3iatmdko′Fukushi,H・,Ochiai′Y・′YamaguChi′T・andHimi′K・:Diversityof
鎚1ineChlamyd由psittacirevealedbyrandomampli丘cationofpolymOrPhicDNA・ Vet.Microbiol.54:73-83.1997.ー195-4・Fukushi′H・′Tomita′-T・′Tardguchi′A・′Ochiai′Y・′lhisawa′R・′Matsumura′T・′ Yanai′T・′Masegi,T・′YamaLguChi′T・andHimi′K:GazeneherpesviruSl:Anew