Title
び慢性大細胞型Bリンパ腫の亜型分類( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
田中, 雄一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第402号
Issue Date
1999-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14719
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 田 中 雄 一(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 402 号 平成11年 3 月 25 日
学位規則第4条第1項該当
び慢性大細胞型Bリンパ腫の亜型分類 (主査)教授 高 見 剛 (副査)教授 森 脇 久 隆 教授 佐 治 重 量 論 文 内 容 の 要 旨 全リンパ腫の約80%を占めるB細胞性リンパ腫の中で.び慢性大細胞型Bリンパ腫(DLBL)は最も頻度が高 く約半数を占める。しかしながら,中細胞型Bリンパ腫,T細胞リンパ腫・T/NK細胞型リンパ腫ではより詳細 な亜型分類がなされているのに比較し,大細胞型Bリンパ腫の亜型分類は未だ進展をみないのが現状である。今 まで提唱されてきたDLBLの亜型として,免疫芽球型Bリンパ腫(B-IBS)をあげることが出来るが・B免疫芽球 とce。tr。blastあるいは芽球化リンパ球との鑑別は必ずしも容易ではなく.客観的な診断法が得られていない。 したがって.本研究はこのDLBLの亜型を区別することを目的に行った。 研究方法 1.症例:1989年から1995年の7年間に岐阜大学医学部病理学第2講座で収集された悪性リンパ腫146例のうち,臨 床情報の入手が可能であった51例のび慢性大細胞型Bリンパ腫を抽出した0 悪性リンパ腫の診断はREALに準拠し,細胞系列の決定は免疫組織化学的所見にもとづいて行った。 2.組織:組織は生検または剖検後速やかに緩衝10%ホルマリン液で一昼夜固定し・パラフィン包埋したものを 用いた。新鮮未固定組織が得られた症例ではその一部を液体窒素中で急速凍結し・-80℃に保管して用いた0 3.組織化学的検討:ホルマリン固定・パラフィン包埋組織は3〟mに薄切後・へマトキシリン・エオシン(HE) 染色あるいは免疫組織化学に供された。凍結組鰍ま4〝mに薄切され・冷アセトン(4℃)で10分固定後・免疫 組織化学的検討に用いられた○免疫組織化学的解析は自家製ならびに市販の各種抗体を用いて,一一次抗体・ビ ォチン化二次抗休,アピジン・ビオチン・ペルオキシダーゼ複合体(ABC)の順にそれぞれ60分,60分・40 分間室温にて湿箱中で反応させた○発色には0・03%ジアミノベンチジンを用いた。核染色にはへマトキシリン を用い.脱水・透徹後封入した。HE染色ならびに免疫組織化学標本のいずれも光学顕微鏡で観察した。 4.統計学的処理:生存曲線の作製にはKaplanMeier法を用い・群問の有意差の検定に吼一般化Wilcoxon検 定を行った。また,P=0.05以下を統計学的有意差ありとしたo群間の生存率・寛解率の検討はInternational prognosticIndexを参考に,性(男30例,女21例)・初発部位(節性16例,節外性35例),年齢(60歳未満32軌 60歳以上19例),病期(AnnArbor分類Ⅰ+Ⅲ25例.Ⅲ+Ⅳ26例)別に行なった。 研究結果 1.大細胞型Bリンパ腫亜型:免疫組織化学的に胞体内に多量のIgが検出された症例をcIg+DLBとし・それ以外の 症例をcIg-DLBとして両者を区別したocIg・DLBは・検討した51例のうち10例であった。そのうち・B-IBSの 細胞形態を示すものは3例にすぎず,10例中7例はcentrocyte/centroblast型リンパ腫と鑑別が困難な細胞形態 であった。逆にB-IBSの形態を有しながら,多量のcIgが検出されなかった症例は7例であった0いずれも同一 切片上に混在する反応性の形質細胞が陽性で,固定条件や染色方法による偽陰性の可能性は否定されたo cIg+ DLBとした10例以外にも4例にホルマリン固定・パラフィン切片でIgが検出されたが,L26などの膜抗原と同 様に細胞膜に沿った線状の染色性を示すことから膜Igと思われ・CIgは陰性か陽性でもごく少量であった。 2.生存率:KaplanMeier法で解析した生存率は組織亜型(P=0・1391)・初発部位(P=0・9114)・性(P=0・769 8)に差を認めなかったが,病期の検討でⅠ+Ⅲ群がⅢ+Ⅳ群に比例して有意に(P=0・0083,<0・05)良好で -23一あった0初発部軋年齢別にみたcIg+DLB群とcIg-DLB群の比較ではt cIglDLB群が良好な経過を示す傾向は あったが有意差は得られなかった。 3・寛解率:寛解率は初発部位(P=0・4353)・性(P=0・1125)に有意差は得られなかったが,病期でⅠ+Ⅱ群が Ⅲ+Ⅳ群より(P=0・0004・<0・01),CIg+DLB群がcIg DLB群より(P=0.0098,<0.01)有意に良好であっ た0初発部位・年齢別にみたcIg+DLB群とcIg-DLB群の比較ではt60歳以上の因子(P=0.0361,<0.05)に 有意差を認め,60歳未満(P=0・1496)・節性(P=0・058),節外性(P=0・0729)の各因子では同様の傾向がみ られるものの有意ではなかった。 考 察 LukesとCollinsが提唱して以来,B-IBSはDLBLの亜型としてリンパ腫診断に組み入れられてきた。しかしな がら・REAL・新たに制定されつつあるWHO分類(personalcommunication)では,B-IBSは独立した疾患単 位として亜型分類されていない。理由はB免疫芽球とcentroblastあるいは芽球化リンパ球との鑑別が必ずしも容 易ではなく,客観的な診断法が得られていないことにある0本研究における免疫組織化学的解析結果もそれを支 持し・形態学的に診断されたB-IBSの細胞形態を示すBリンパ腫でも一部の症例だけが胞体内に多量のIgを有し ていたにすぎず,その不均一性が明らかとなった。したがって・免疫組織化学や遺伝子解析のような,科学的か つ客観的診断基準を用いた検討が,新たなリンパ腫亜型の確立に必要である。 本研究ではcIgを目印に・び慢性大細胞型Bリンパ腫をcIg+DLBとcIg-DLBの2群に大別することができた。こ こでは混乱を避けるためcIg十DLBと仮称したが・本来は・細胞形態に括らわれることなくその機能が形質細胞側 にシフトしたB細胞をB免疫芽球と呼ぶべきであろうo LukesとCollinsが提唱したB免疫芽球も二次リン′瀾胞胚 中心で芽球化したB細胞が濾胞間領域に移動し,形質細胞へと分化する経路上に位置づけられている。 亜型分類の試みはリンパ腫の組織発生を明らかにするという本質的な意義を持っが,何よりも担癌患者にその 予後や寛解率に関する情報を提供するものとして重要である。本研究の結果は・3年生存率はcIg十DLBで70%.c Ig DLBで43・9%と・B-IBSに相当すると考えられるcIg+DLBの方が有意差はないものの良好な傾向を示した。ま た,3年寛解率は・CIg+DLBで50%・CIg DLBで21A%と前者が有意に良好であった0過去になされた同様の報 告と本研究の相違は解析材料の不均一性である0つまりt前者は形態学的診断で選ばれた症例であることからT およびB細胞由来リンパ腫が混在していたものと考えられ・事実Newcomerらの報告では12例のIBS中5例がT細 胞性であった0形態学的にIBSに含まれる多形型および免疫芽球型Tリンパ腫の予後はきわめて悪く,これらを 含有している報告は本研究の予後と異なっている。本研究で客観的に選別した・より機能的に形質細胞側に分化 したcIg'DLBは・CIg-DLBよりも良好な生存率,寛解率を示す一群であることが示された。DLBLに比較すると 多発性骨髄腫は"watchandwait,と称されるように発育速度が緩い傾向にあり一本邦の最近の報告でも3年 生存率は70%強となっているoしたがってt形質細胞方向に分化が進んだcIg十DLBが,多発性骨髄腫により類似 した予後を示すことは理解に難くない。 今回の解析では一般的に節性に比べて予後良好な節外性の因子に有意差が得られなかった○その理由として原 発部位同定や・病期診断の難しさ・異なる治療法の選択があげられるが,症例数も不充分であった。今後これら の点に留意し,症例を重ねる必要があるものと考える。 論文審査の結果の要旨 申請者,田中雄一は,免疫組織化学的に同定される胞休内免疫グロブリン陽性び慢性大細胞型Bリンパ腫が, 従来報告されてきた免疫芽球型Bリンパ腫と異なり比較的良好な予後をとるBリンパ腫亜型である可能性を示し た。このことは,血液病理学の発展に少なからず寄与するものと認められた。 [主論文公表誌] び慢性大細胞型Bリンパ腫の亜型分類 平成11年3月発行予定 岐阜大医紀 47(2):印刷中