Title
Ursodeoxycholic acid corrects defective natural killer activity by
inhibiting prostaglandin E_2 production in primary biliary
cirrhosis( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
西垣, 洋一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1084号
Issue Date
1996-11-20
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15185
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 西 垣 洋 一(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1084 号 平成 8 年11月 20 日 学位規則第4条第2項該当
Ursodeoxycho]ic acid corrects defective naturalk州er activ[ty by inhibiting prostaglandin E2PrOductionin prlmary biliary cirrhosis
(主査)教授 武 藤 泰 敏 (副査)教授 藤 原 久 義 教授 安 田 圭 吾 論 文 内 容 の 要 旨 原発性胆汁性肝硬変(PBC)は,現在なお原因不明の自己免疫性疾患であり,種々の免疫学的異常が報告され ているが,その中でもnaturalkiller(NK)活性の低下に関しては,ほぼ一致した見解が得られている。一方ウ ルソデオキシコール酸(UDCA)は,PBCに対する有用性が報告されており,その作用機序として,血中疎水性 胆汁酸のUDCAへの置換に伴う肝毒性の軽減,利胆作用,肝細胞保護作用などが推定されている。しかし,これ らの作用のみではUDCAを投与されたPBC患者に認められる,抗ミトコンドリア抗体価ならびにIgM値の低下な どの免疫学的異常の是正を説明することば困難である。従って.UDCAが直接免疫系に何らかの作用を発揮する ことが示唆されるが,未だ一定の見解が得られていない。 そこで申請者は,UDCAが免疫系に作用してPBCの病態を改善しうるか否かを明らかにする目的で,PBCにお ける代表的免疫異常のひとっであるNK活性に対するUDCAの影響について検討した。 対象および方法 1)リンパ球の調整 健常者10名,PBC患者5例,C型慢性肝炎患者5例,C型肝硬変患者5例の末梢血より,比重遠JL、法にて単核 球を分離し,プラスチックシャーレにてマクロファージを吸着除去した後,10%ウシ胎仔血清を添加したRPMI 1640培養液に懸濁させた。 2)NK活性の測定 K562細胞を標的細胞とした51Cr-release assayにて測定し,triplicateで実施した平均値をNK活性とした。 3)NK活性に及ぼす各種胆汁酸の影響 2×105個のリンパ球に,各種胆汁酸としてUDCA,タウリン抱合型UDCA(TUDCA),グリシン抱合型UDCA (GUDCA),ケノデオキンコール酸(CDCA),タウリン抱合型CDCA(TCDCA),グリシン抱合型CDCA (GCDCA),デオキシコール酸(DCA),コール酸(CA)を10FLMあるいは100FLMの濃度で添加し16時間ある いは36時間培養した後,51Cr標識K562細胞を加え(effector/target cells=20/1)さらに4時間培養を継続し た。その後培養上宿を採取し,放射活性を液体シンチレーションカウンターにて測定した。各種胆汁酸のNK活 性におよぽす影響については, F記に示すrelative NK activityを算出して評価した。 (胆汁酸添加時の51Cr release-SPOntaneOuS release) Relative NK activity= ×100(%) (胆汁酸無添加時の51Cr release-SPOntaneOuS release) 4)培養上宿中のプロスタグランデインE2(PGE2)ならびに血清胆汁酸の測定 リンパ球に100pMのUDCAあるいはCDCAを添加し36時間培養後,インドメサシン(1FLg/ml)を加え培養 上宿を採取した。pH3.5に調整した培養上清にoctadecylsilylsilica(ODS)懸濁液を加え撹拝,遠心分離後. 沈殿をエタノールつづいて石油エーテルで洗浄した。プロスタブランデインをODSより酢酸エチルを用いて溶 出させ.これをカラムクロマトグラフィーにかけてPGE2を含む分画を得,125IPGE2RIA kitを用いてPGE2濃度
-87-を測定した。血清胆汁酸は,奥山らの方法に従い,高速液体クロマトグラフィーおよび固定化酵素(3α一
hydroxysteroid dehydrogenase)カラムを用いて測定した。
結 果
培養後のリンパ球のviabilityはtrypan blue dye exclusion法にて98%以上であり,さらにいづれの胆汁酸も
100FLMまでの濃度ではtarget cellからの51Crのspontaneous releaseに影響を及ぼさなかった。
1)臨床的検討 UDCA投与前のPBC患者のNK活性は,健常者(P<0.01),慢性肝炎患者(P<0.001)および肝硬変患者(P <0.05)と比し有意に低下していた。UDCA(600mg/day)投与1か月後,PBC患者のNK活性は血清UDCA濃 度が他の疎水性胆汁掛こ代わって増加するとともに治療前値に比し有意に上昇した(P<0.05)。さらにNK活性 と血清UDCA濃度との問には,有意な正の相関を示した(r=0.836,P<0.01)。 2)実験的検討 16時間の培養において,UDCAは健常者のNK活性に影響を及ぼさなかったのに対し.CDCA,DCAおよび CAはUDCAに比し有意にNK活性を低下させた(いずれもP<0.001)。なかでもCDCAによるNK活性の低下が最 も著明であり,その低下は濃度依存性であった。抱合型胆汁酸での検討においても.TUDCA.GUDCAはNK活 性に影響を及ばさなかったのに対して,TCDCA,GCDCAはそれぞれTUDCA,GUDCAに比し有意にNK活性 を低下させた(P<0.001)。次に培養時間を延長して胆汁酸のNK活性に及ぼす影響を検討したところ,36時間 の培養においてUDCAは16時間の培養に比し有意にNK活性を上昇させたが(P<0.001),CDCAでは16時間の培 養と同様にNK活性の低下を認めた。このUDCAによるNK活性上昇の械序を検討するため.インドメサシンを 同時に添加した場合のNK活性をみたところ,UDCAによるNK活性の上昇はインドメサシンにより抑制された が.CDCAによるNK活性の低下には変化が認められなかった。さらに培養上宿中のPGE2濃度を測定したとこ ろ,UDCA添加培養後の上宿中PGE2濃度は,CDCA添加群(P<0.05)および胆汁酸無添加群(P<0.01)に比 し有意に低下していたが,CDCA添加群と胆汁酸無添加群との問には差異が認められなかった。 考 察 従来,NK細胞は癌細胞やウイルス感染細胞に対して細胞障害作用を有するリンパ球として知られてきたが, 近年,抗体産生の調節機能やNK細胞自体によるインターフェロンの産生などが報告され,NK細胞が免疫系の 調節に重要な役割を演じていることが明らかにされている。従って.臨床例で認められたUDCAによるPBC患者 のNK活性低下の是正はt UDCA治療によりNK細胞の機能改善を介してPBCにおける他の免疫異常の改善をも たらす可能性が示唆される。UDCA投与によるPBC患者のNK活性是正の機序としては,ひとつにはPBC患者血 中ではCDCA等の疎水性胆汁酸が主体であり,またin uitT・0での検討によりこれら疎水性胆汁酸がNK活性を低 下させたことから,他の疎水性胆汁酸がUDCAの増加とともに置換され減少することによるものと考えられる。 さらにPGE2産生に及ぼす胆汁酸の影響についての検討から,UDCAはNK活性低下作用を有するPGE2のリンパ 球からの産生を有意に抑制したことにより.UDCAはPGE2の産生を抑制することによりNK活性を是正してい ることも推測される。これらの成績により,UDCAがNK活性の是正を介して,PBCにみられる免疫異常を含む 病態を改善している可能性が示唆された。 論文審査の結果の要旨 申請者 西垣洋一は,臨床的および基礎的検討からウルソデオキシコpル酸(UDCA)が他の疎水性胆汁酸を 低下させ,さらにプロスタグランディンE2の産生を抑制することにより,原発性胆汁性肝硬変の免疫学的異常の 一つであるNK細胞の機能低下を是正することを明らかにし,UDCAが免疫系に作用して原発性胆汁性肝硬変の 病態を改善している可能性を示した。これらの新知見は,肝臓病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Ursodeoxycholic acid corrects defective naturalkiller activlty byinhibiting prostaglandin E2 PrOductionin prlmary biliary cirrhosis
Digestive Diseases and Sciences 41(7):1487∼1493,1996