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知的障害児を対象とした敏捷性の分析的研究

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Academic year: 2021

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知的障害児を対象とした敏捷性の分析的研究

教科・領域教育専攻 生活・健康系コース(保健体育) 井 上 文 彰

1

. 緒 言

敏捷性とは,身体の一部または全身をできる だけすばやく動かす能力のことであり,スポー ツだけでなく, 日常生活においても重要な体力 要素の一つであるo 敏 捷 性 は い く つ か の 要 素 か ら 構 成 さ れ る も の で あ り ザ チ オ ル ス キ ー (1

9

6

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)

は,敏捷性は,筋収縮速度(運動時間), 潜 伏 時 間 ( 反 応 時 間 ), 反 復 速 度 の 3要素から 構 成 さ れ , こ の 3要素は互いに相関がないと述 べているD しかし,これまでの敏捷性に関する 研 究 で は 3要素を個別に取り上げることが多 く 3つの要素から総合的に敏捷性について検 討したものはほとんど見受けられない。 一 方 , 知 的 障 害 児 は 健 常 児 よ り も 運 動 ・ 動 作 の ス ピ ー ド が 遅 い と い わ れ る 凸 し か し , 知 的 障 害 児 の 敏 捷 性 に つ い て 分 析 的 に 検 討 し た 研 究 は 見られない。そこで,本研究では,敏捷性を 3 つの要素(運動時間,反応時間,反復速度)に 分 け て 測 定 し , 敏 捷 性 能 力 の 実 態 を 明 ら か に す ることを目的とした。さらに 知 的 障 害 児 に は 様々な障害種別があり,それぞれに特性が違っ て い る こ と か ら , 障 害 種 別 ( 精 神 遅 滞 M R, 自閉症

:AU

, ダ ウ ン 症 :DW) に分けて敏捷性 について検討することも目的とした。 ll.

研 究 方 法

1 ) 対 象 者 徳 島 県 内 の 知 的 障 害 養 護 学 校 (3校 ) の 高 等 部 に 在 籍 す る 知 的 障 害 児

1

2

1

(MR90

名,

AU

指導教官 渡 遺 謙 24名, D W 7名),及びコントロール群として 高 校 生

2

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名 を 対 象 と し て 測 定 を 行 っ た 。 し か し,測定の結果,反応待問が大幅に

(

1

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ms旬 以上)遅い者4名については除いて分析するこ とにした。従って知的障害児については

1

1

7

(MR 8

8

名,

AU

22名, D W 7名 ) を 分 析 対 象 者とした。 2)測 定 内 容 と 方 法 ①運動時間 レバーを持った手及び肘を机上に密着させて 置 き , そ の 状 態 か ら で き る だ け 速 く 前 腕 を 曲 げ るときの運動の速さを運動時間測定器(鮒サン ワ製,

NW4AS)

を 用 い 測 定 し た ( 運 動 幅 は

3

0

"

"

'

9

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度 ま で の

6

0

度)。 ② 反 応 時 間 ユ ニ バ ー サ ル カ ウ ン タ ー ( 明 光 社 製 , IC

S

T

A

T

E

)

を用い,青色ランプ提示後,被検者が ボタンを押すまでの単純反応時間を測定したD ③ 反 復 速 度 ノミーソナルコンビューター (Macintosh LC-3 に独自にプログラム作成した装置)を用い 5 秒間にできるだけ速く,何回叩くことができる かを測定した。 3)測定値について 運 動 時 間 , 反 応 時 間 の 測 定 は7回実施し,最 高と最低の値を徐く 5回の平均値を個人の測定 値 と し た 。 ま た , 反 復 速 度 に つ い て は2回測定 を行い,そのうち高い方の値を測定値とした。 p n u η / ω A 4 4

(2)

m

.

結 果

1 )運動時間 コントロール群に比べ,知的障害児の平均値 は精神遅滞,自閉症,ダウン症のいずれも有意 に遅かった (MR116.7 msec, AU 105.7 m鉛c,D W 191.6 msec, Con柱。172.8 ms∞)。最も遅い値を 示したのはダウン症であり 精神遅滞,自関症 と の 間 に 有 意 差 が み ら れ た 。 ま た , 変 動 係 数 (CV) を求めた結果 (MR42.1 %, AU 21.3 %, D W 29.1 %, Con位。112.9 0/0)知的障害児は変動 が非常に大きかった。さらに,コントロール群 の平均値より速い運動時間を示した知的障害児 は精神遅滞の中にのみ 13名おり,精神遅滞児 の14.8%を占めていた。 2)反応時間 コントロール群に比べ,知的障害児の平均値 は障害種別にかかわらず有意に遅かった(民銀 304.2 msec, AU 345.3 msec, D W 577.2 ms∞, Con柱。1210.2 ms∞)。最も遅いのはダウン症で あり,精神遅滞,自閉症との間に有意差がみら れた。また,知的障害児は変動が非常に大きか った (CV: M R 28.7 %, AU 36.6 %, D W 38.2

%

, Control 8.8 %)。コントロール群の平均値 より速い値を示した者は,精神遅滞児の中にの み 6名 (6.8010)し、た。 3)反復速度 コントロール群に比べ,知的障害児の平均値 は 障 害 種 別 に か か わ ら ず 有 意 に 少 な か っ た (MR 34.8回, AU 33.0回, D W 28.4回, Con位。1 45.6回)。また,最も遅いのはダウン症であり, 精神遅滞,自開症をの開に有意差がみられた。, 知的障害児はコントロール群よりも変動が大き い傾向にあった (CV:M R 18.4 %, AU 14.6 %, D W 14.4 %, Con柱。1 9.0 %)。コントロール群 の平均値より速い反復速度を示した知的障害児 は精神遅滞の中にのみ5名いたD

N. 考 察

知的障害児における敏捷性については,その 3要素全てにおいて健常児よりも遅延すること が明らかとなった。しかし 個人の測定値に注 目すると 3要素各々において健常児の平均値 を超える値を示す知的障害児が存在した。この ことから,知的障害児の敏捷性の機能は必ずし も健常児より低い者ばかりでなく,要素からみ ると,若干名であるが健常児と変わらない敏捷 牲を示す者が存在することが示唆された。 また,知的障害のグループは測定値のばらつ きが非常に大きく,これは先行研究でも指摘さ れてきた。しかし,個々の知的障害児の測定値 の標準偏差に着目すると 個人内のばらつきが 大きい者は 3割程度であり 7割もの知的障害 児が安定した反応を示すことができた。これま で、知的障害児の測定値のばらつきが大きいこと が言われてきたが,個々の知的障害児に自を向 けると必ずしもそうではないことがわかったD 障害種別による検討では,ダウン症児の敏捷 性が顕著に遅かった。ダウン症児の特性である 身体・運動機能発達の遅れが大きく関わってい るものと考えられた白一方,知的障害児・者に よく見ちれる運動不足等が原因で敏捷性を構成 する能力の一部が低い値を示している場合は, 体育指導等のトレーニングによって改善される 可能性を持っているのではないかと思われた。

v

.

総 括

本研究の結果から,知的障害児をひとまとま りとして捉えるのではなく,個々の敏捷牲の実 態を的確に把握し,障害の特性に応じた指導の 重要性が示された。さらに詳しく障害種別等を 考慮した検討を行い,その運動特性に応じたき め細かな指導計画を立てることが望まれるD 庁i つ ' 臼 A 4

参照

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