確定給付企業年金法施行規則等の
一部を改正する省令案について
<目次> 1.給付の現価相当額の計算の基礎となる予定利率の 見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3.受託保証型確定給付企業年金(受託保証型DB)を実施する場合の拠出方法の見直し・・・・・・・・・・・・・3 4.① 積立不足に伴い拠出する掛金の拠出時期の変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・4 ② 積立不足に伴い拠出する掛金の額の算定方法の変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5.実施事業所減少時の掛金の一括拠出額の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・6 その他の改正事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ ・7 2.障害給付金の請求に係る添付書類の見直し 6.手続の整理 7.存続連合会への事務委託 8.個人情報の保護に関する規定の整備 ※ 項目の番号は、概要の項目番号と対応している。 【参考】 DB制度における積立基準 -継続基準と非継続基準- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 1
1. 給付の現価相当額の計算の基礎となる予定利率の見直し
2□ 一時金の額は年金給付の現価相当額を基準として定められるが、現価相当額の基
礎となる予定利率に規制があることから、加入者
資格喪失時に受給する脱退一時金の 額よりも、脱退一時金を繰り下げて老齢給付金として一時金を受給する方がその額が小さ くなることがあるため、逆転が生じないよう予定利率の取り方を見直す。 ※ また、受託保証型DBにおいて積立不足が生じないように、上記にかかわらず、現価を計算する予定利率を生命保 脱退一時金 期間A 期間B 期間C 老齢給付金 (一時金) 資格喪失 老齢給付金 支給開始年齢 (例:60歳) 一時金の支給時 期間B、期間Cの最も低い 下限予定利率(Y)で 計算した現価を超えない 範囲で設定 ※ 「下限予定利率」とは、厚生労働大臣が定める掛金の計算に用いる予定利率 の下限をいう。また、「計算基準日」は、直近の財政再計算の基準日をいう。 年金受給権者になった 場合に受けられる給付 (保証期間分) 年金として支給した 場合の給付 (保証期間分) 繰下げ 期間Aの最も低い 下限予定利率(X)で 計算した現価を超えない 範囲で設定 脱退一時金>老齢給付金(一時金)とならないように、期間A、期間B、期間Cの最も低い下限予定利率で計算した現価を基準として
老齢給付金(一時金)を定めるよう見直し
〈 イメージ図 〉 計算基準日 計算基準日 計算基準日 ※ 下限予定利率(X)<下限予定利率(Y)のとき、 脱退一時金>老齢給付金(一時金) となる場合がある。3. 受託保証型確定給付企業年金(受託保証型DB)を実施する場合の拠出方法の見直し
□ 生命保険の一般勘定等で運用することにより、積立不足が生じないことが確実に見込まれ
る仕組みである「受託保証型DB」が平成26年度から実施できるようになったが、既存のDB
から受託保証型DBへ移行する場合、積立不足を有したままでは支障があることから、積立
不足の一括拠出を可能とする。
〈 イメージ図 〉 給付・・・・
生保一般勘定等で運用 拠出 【受託保証型DBの仕組み】 【通常のDBから受託保証型DBへ移行する場合】 積立額・・・・
運用実績 拠出 生命保険の一般勘定等で運用する ことにより付利する仕組みのため、 積立不足が生じない。 予定利率 積立不足 生保一般勘 定等で運用 給付 受託保証型DBへの移行時 に積立不足を解消しなけれ ば、給付減額を行う等の措 置が必要となるなどの支障 が生じる。 移行時点 受託保証型DB 通常のDB 受託保証型DBへの移行時 における積立不足の一括償 却を可能とするよう見直す。 減額 3 (※「2 障害給付金の請求に係る添付書類の見直し」は7頁参照)4.① 積立不足に伴い拠出する掛金の拠出時期の変更
□ 現行では、ある年度の決算において、非継続基準に抵触したDBは、一定のルールに基
づき算定した額を、掛金として当該決算年度の翌々事業年度に拠出することとされている。
□ 「現時点で制度が終了した場合に最低限保全すべき給付を確保する」という非継続基準
の考え方に照らせば、非継続基準に対する積立不足は、できる限り早期に償却することが
望ましいと考えられることから、翌事業年度に拠出することも可能とする。
※ 拠出時期は予め規約に定め、原則として変更することはできないこととする。 〈 イメージ図 〉 現行制度 見直し案 非継続基準の 財政検証に抵触 N年度末 N+1年度末 N+2年度末 この期間のうちの 規約で定める時期に掛金を拠出 この期間のうちの 規約で定める時期に掛金を拠出 掛金額の算定、 企業における予算措置等 非継続基準の 財政検証に抵触 N年度末 N+1年度末 N+2年度末 現行では、掛金額の算定や、DBの母体企業における掛金拠出の予算措置等の手続のため、 N+2年度において拠出を行うこととなっているが、非継続基準の考え方に照らせば、積立 不足は、基準抵触の判明後できる限り早期に償却することが望ましい。4.② 積立不足に伴い拠出する掛金の額の算定方法の変更
□ ある年度(N年度)の決算において、非継続基準に抵触したDBは、以下の算式で算定し
た額を、掛金として拠出する必要がある。
N年度末における積立不足を償却するための額 + N+1年度における債務の増加見込額 - N+1年度における資産の増加見込額※□ 現行では、上記算式の「N+1年度における資産の増加見込額」について、掛金収入によ
る資産の増加しか見込まないこととなっているため、給付による資産の減少や、運用収益に
よる資産の増加も含め、精緻に見込むこととする。
※ N+1年度の資産の減少が見込まれる場合は、減少見込額を加算。 〈 イメージ図 〉 ※ 上記の措置に併せて、前頁の見直しにより、N+1年度に掛金を拠出することとするDBは、そもそもN+1年度の見込みを織り込ま ないこととする措置を講ずる。 非継続基準に抵触した場合に拠出する掛金の額の算定方法 N+1年度における 資産の増加見込額 N+1年度における 債務の増加見込額 N年度末における 積立不足を償却 するための額 拠出する掛金の額 現行制度 見直し案 掛金収入による資産の増加のみを 見込むこととなっている。 掛金収入による資産の増加に加え、給付 による資産の減少や運用収益による資産の 増加も見込む。 5特別掛金 収入現価 (A) 繰越不足金等 (C) 非継続基準 の不足額 (B) 継 続 基 準 の 不 足 額 【A < B < A+C の場合】