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サステナブルデザインと教育 : デザインで学び問うこと(<特集>エコデザイン)

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(1)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

サ

ス

テ ナ

ブ

ル

デ

ザ

イ

ン

と

教 育

一

デ ザ イ

ン で

学 び 問 う こ と

Education

 

for

 

Sustainable

 

Design

本 田

圭

吾

専 門 学

校

桑 沢 デ ザ イン研 究 所 プロダ ク トデ ザ イン分 野 専 任 教 員

HONDA

 

Keigo

KUWASAWA

 

Design

 

School

 

lecturer

Product

 

design

1 .

サ

ス

テ ナ

ブ

ル デ ザ イ

ンと

教 育

 

サ ス テ ナブルな

社 会

の

実 現

ととも に

、

教 育

の

場

はどのよう に シ フ ト して ゆく の だ ろ う か ?

 

「デ

ザ イ ナ

ー

は脱

デ

ザ イ

ン

(

デ

=

デ

ザ イ

ン

)

の

方 法 を 学 び取

 

ら な け れ は な ら ない。 そ う す れ ば わ れ わ れ はま だ

く

デ

ザ

イン

 

に

よ

って

生

き

残

る

》

こ

とが

で

き

る

だ

る う。」

  ヴ

ィク タ

ー ・

パ パネック は 「生 きのび る た めのデ ザ イン」 を こう 締 め く くっ た

。

パ パネッ クの言 葉 を た ど りな が ら

、

サス テ ナ ブ ル な

社 会

と

教育

のサス テナ ビ リティ につ いて

考

察 し

、

いく つかの事 例 を

紹

介 したい

。

 

近い

将来

サス テナ ブ ル な

社

会 を

実

現 す る た め に

、

そ して

一

人 ひ とりの デザイ ナ

ー

がそ の職 能 を 継 続 し て還元 できる社 会に生 きるな ら ば

、

私

た ち デ ザ イ ナ

ー

は

冒

頭のパ パ ネックの言

葉

を 解 釈しな お す 必 要 が ある のか もしれ ない

。

当 然の こと な がらサス テナ ブ ル な

社

会 に 生 きるデ ザ イ ナ

ー

は

、

サステ ナ ブ ル な

仕 事

、

働 き方 を選 択

し て

ゆ く

こ と に

な

る は

ず

だ。 そ のような

社会

で

必

要と される デ

ザ

インは

、

特

に結 果を

重

要 視して き た こ れ ま で の デ

ザ

イン

手 法

と は

異 な

る 「サステ ナ ビ リティ

(

持 続

可

能 性 )

」 を 意 識 し た もの で あろ う

。

材 料 や 機 能

、

フ ォ ル ム だけでな く

、

生 産 プロ セス や そ の プロセ ス 自 体 が 与 え る 経 済 的 社 会 的 影 響 に も 配 慮 し

、

自 ら の 働 き 方 の 持 続 可 能

性

に も 意 識 を 向 け るこ と が 大 切であ る

。

2 .

学 び を

拓

く

 

いま

、

デ ザ インを 学 ぶ 学 生 た ち は すでに

、

前 世 代 が

作

っ た あ ら ゆる

環境

の

問

題の

深 刻

さ を 理

解

し て い る し

、

それに

対

す る

解

決

の

方

法 を

体 得

し て い るよう に

感

じ る。

 

私は

学校

で デザイ ン

教 育

に

携

わ る よ う に なっ た

当

初

、

好き な こ と

を 自身

のデ

ザ

インテ

ー

マ に し た が ら ない

学 生

に

出

会 うこ とが

多

く

、

戸

惑

いを

感

じ た

。

こ れ まで の私 た ち (少 な く と も 私 ) は 自 分の好 き なこ と を 仕 事 に し たい と 思い

、

学 校で そ の手 法 を 学 び

、

会 社 を選 んで

職

につ い てき た

。

でき れ ば

、

大 き な

仕

事 (企 業 ) を 目 指 すのが 正 しい道 だっ た

。

しかし 「好 き なこ と を 仕 事 に し た く ない

。

」 と口に する

彼

らに して みれ ば

、

ど う

や

ら そ

れ

は

遠 回 りな仕 事 選 び

の

道

らしい。

安 定 を求

め るいわ

ゆ

る 「ゆ と り 世 代」 と される彼ら は同 時に成 長

意

識の強い世 代で も

あ

る。 いろいろ な

物 事

を

、

柔

軟

な

対 応能 力

と

適合 能

力 で

、

私 た ち が

考

え る 以 上 に

、

楽 天 的 そ して単 純 に 解 決 を 試 み る

。

そ の 行

動

は、

一

瞬

あ ま り に

無

知

無謀

なス モ

ー

ルアクショ ンに も

見

える が

、

そ う感じ ら れ る の は私 た ちの (これま で の

社

会で身につけ て し

ま

っ た

) 正 常性

バ イア スが

働

い て い るか ら に

過 ぎ

ない

よ

う に思い

始

め た。

安

定の 矛先が 「会

社

へ 」で は な く

、

「自分 と そ の

成

長」 に

向

い て いる

彼

ら の

本 意

は 「

好 き

な

仕 事

を

商 売

に した く ない

。

」

だ

。

こ こ で言 う

商 売

と は トレ

ー

ドであ る

。

従

来

の

働

き 方 は ト レ

ー

ド

だ

。

「

仕 事

を 買い に 会

社

に 行 き

、

自

分の時 間 を 支 払っ て き た」 (西 村 佳 哲 :自 分の仕 事 をつ くる) 働 き 方

。

そ のよ う な

商 売

で 自分 と

自

分の

好

き なこと を 切 り売 り し た く ない のだろう

。

「仕 事 に たいす る オ

ー

ナ

ー

シ ップ を

常

に 自 分 自 身 が 持 ち

、

仕 事 を 通 じて学 び を 拓 き 続 ける こ と」 (西村 佳 哲 ) がサ ステ ナ ブ ル な 働 き 方 だ と す れ ば

、

デ ザ イン の領 域 が 広 が る 中

、

サス テナ ブルなデザ イ ン教 育 と は

、

学 生 自 身の主 体

性

を 尊 重 し

、

イ ノベ

ー

ショ ン の方 法 を

創 出

す る

環 境

を 整 え

、

そのよ う な

価 値

を

生

む

役 割

で

、

学

び を

拓 く

こと だろう。

 

近 年の デ ザ イン

教育

の現 場で は

、

その主 体 性 を 活 性 化さ せ る 「ワ

ー

ク

シ ョ ッ

プ

」 形

式

の

授 業

を

採

用 す ること も

少

な く ない

。

参 加 体 験 型で合 意 形 成 して ゆ くこ の手の授 業 形 態 は 結 果 と 同 様 に プロ セ スが 重 要であ る

。

ワ

ー

ク ショ ップ と は 本 来

、

「作 業 場」 や 「工房 」を 意 味 す る 語であ る。 パ パネック は

、

「

未 来

が

要 求

する技 能 を 身 につけ た 人 材 (デザ イ ナ

ー

) を 作るような 教 育の 環 境 は 学

校

という よ り

、

むし ろ

作 業

の場 ない し工房 的 な ものだ と 思 う

。

」 と 述べ

、

さ ら に 「互い に 作 用 し合い

、

互いに補い合 え る グ ル

ー

プであ ること

、

環境

の

反作 用

が

重 要

である」 と

付

け

加

えてあり

、

興

味 深

い。

3 .

学 び を 問

う

 

2006

年

よ り

毎 年

開

催

さ れている サステ ナ

ブ

ル デ ザ イン国 際 会 議 に おい て も

、

サステ ナ

ブ

ル デ ザ インと 教 育 につ い ては

分 科

会 が 設 けられ

、

と くに活 発 な 討 論 が な さ れて い る

。

こ こ で

描

か れ る サス テナ ブ ル な

社 会

の

理念

に おい て

、

その

実 現

に あ たって は従 来の専 門 領 域 が 単 独で遂 行で きる こ と はなく

、

あ ら ゆ る

枠

組

みをこ えたコラ

ボ

レ

ー

ショ ンが

必

要で

あ

り

、

そ れ を

躊 躇

すべ き で ないと している。

第

3

回 目 の サ ス テ ナ

ブ

ル デ ザ イン国 際 会 議

2008

では

、

「 サステ ナ

ブ

ル デ ザ イン行 動 宣 言亅 が 採 択 さ れ

、

こ の 中 に は 教 育 につ い ての 行 動 指 針 も 明 確 化 さ れて いるの で

、

56

デ ザ イ ン 学 研 究特集 号

special

 

issue ofjapan8se

 

society

 

lOrthe

 

sclence

 

oi

 

design Vol

.

18

−

3

 

No

.

712011

(2)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

引 用 し たい

。

 

サステ ナ

ブ

ル デ ザ イン教 育

一

デザ イン教 育の柱 に サス テナ ビ

 

リ ティの理 念 を

導

入 し

、

従 来

の

職 能

的 専 門 化 教

育

に

変

わ る

統

  合 的デザ イン教 育 プ囗 グラム を 開 発 する必 要 が ある

。

(サス

 

テ ナ

ブ

ル デ ザ イン行 動 宣 言

)

 「統 合 的デザ イン教 育 プログ ラ ム 」 は

、

統 合 的

“

ta

”

デ ザ イ ン教

育

プログラム と も

、

統

合 的デザ イン

‘

Lの

”

教 育 プログ ラ ム と も

解 釈

できて し ま うのだ が

、

改

めて そ の

両 方

を

構 築

する

必 要

性 が ある の では ないだろ うか

。

  今

日

、

様

々 な

分

野の

間

には

境 界 線

が

あ

り

、

分 類 化

さ

れ

て い る

。

デザイ ン

分

野の

中

で も さ ら に

細

かく区

画 分

け されて

、

専

門

化

さ れた

職能

と し て

、

スキル

習 得

が

基盤

の

教 育 環境

が

形 成

され て い る

。

し か しこ のよ う な 直 線 的

(

リニ ア

)

思 考の

社

会スキ

ー

ムの枠の

中

では 「統 合 的デザ イン」 も

、

デ

ザ

イン マネ

ジ

メン ト ま た はマネ ジ メン トデ ザ インとい う 言

葉

に 置 き 換 え ら れて

、

機

能 分 化 さ れてし まっ た ように 感 じる

。

パ パネックの言 う 「統 合 的 デ ザ イン」 と して

、

私 た ち は も う

一

度 「あ ら ゆ る 物 事 を 非 線 的で

、

同 時 存 在 する包 括 的 な 全 体 と して」 (パパネック ) 考 え な お しても 間 違い では ないだ ろ う

。

コラ

ボ

レ

ー

ションを 活

性

化 し よ う と すると き

、

専 門 性 を 伸 張 しな が ら

、

包 括 的 に プロセス を 処 理できる能 力 が 求 め ら れ る は ずであ り

、

これこそ

、

優 れ た デザ イ ナ

ー

の

得 意

と するとこ ろ では ないか。

 

サ ス テ ナブル デザイ ン国 際 会 議で の私の討 論 ノ

ー

トに は

、

「 デ

ザ

イン

活 動

とは プロ セ ス に

存 在 す

る

美 学

を も

追 及 す

る こ と」 とメモ さ れてい る

。

パ パ ネック は デ

ザ

インの定

義

と して 「予 知 でき る 望 ま しい 目 標 に

向

けて行 動 を

計

画 し

整

え るこ と こそ デ

ザ

イン のプロセス の

本質

」 だ と

断言

す る

。

ま さ に

、

結 果の達 成 に 対 するベ ス ト ブラクテ ィスを 意 識 し 続 ける ことこそ

、

(サス テ ナ ブ ル な

)

デザ イン活 動 に ほ か な ら ない

。

ま た

、

「ベ ス トプ ラ クティス」 は 常 に 学 習 し改 善 し続 け る 精 神である

。

な ら ば 今こ そ デ ザ イ ナ

ー

は

、

自 らのサステ ナ ピ リ ティのた め に 仕 事の初 期 設 定 を 変 えるべ き 時にきている はず だ

。

結 果の美 し さ ば か りに

捉

わ れて

多

量 大 量の完 成 形の

準 備

を 整 え る 働 き 方 は 野 暮では な い か

。

それは コ ラボレ

ー

ション (参 加 )では な く

、

選 択の

機

会 を

与

えて き たに過 ぎ ず

、

デザ イン の

本 質

たる 「適 切 な プロセ ス」 とは

言

いが たい。

 

デザイ ナ

ー

の

持

つ

優

れ た洞

察

力

、

発 想 力を活 かし

、

コ ラボ レ

ー

ショ ンを

活 性 化

す る

技 術

こそ

、

サ ス テ ナ

ブ

ルな デ

ザ

イ ン

能

力 と 捉 え

、

将 来

、

これ ら の サ ス テ ナ

ブ

ル 思

考

と そ れ を 実 践 す る スキ ル は すべての デ ザ イ ナ

ー

に は な くては な ら ないもの とな る は ず だ

。

そ して

、

サス テ ナ ビ リテ ィを

柱

に した 「統 合 的 な デ ザ イン教 育」 と は

、

このよ う な 柔 軟 なコ ラ

ボ

レ

ー

ションカ を 養 う もので あるは ず だ

。

 

1丿ニ ア思 考で分 類 化 さ れ た

専

門

性

が 進 め

ば

、

定

量

的 な基 準

や 評 価 を 定 め る 動 き が 加 速 するが

、

次

代

のサス テナ ブルな

社 会

に おいて

、

そ のようなこと が果たし て重 要な のだろ うか

。

「

総 合

的

、

包

括

的

、

そ して

先

を

見 越

す デ ザ インが、

様

々 な

学 問

を

貫

い て実 現 さ れる計 画 や 形 成の行 為であ り

、

基 本 的に は境 界 面に 現 れ る 行 為で あ る」 (パ パ ネック ) な ら ば

、

私 は サステ ナ ブ ル な 視 点 か らの次 代の デザ イ ナ

ー

に 必 要 な 定 量 的 評 価 は

、

「イ ノベ

ー

シ ョ ン の正 し さ を

評 価

基 準 に すべ き だ

。

」

(

ジャニ ン

・

ベ ニ ュ ス :

自然

と

生体

に

学

ぶ バイ

オ

ミ ミクリ

ー

)

との

点

で

賛 同 す

る。

4

.

と も に 学 ぶ

 

サ ス テ ナブル な

社会

は

、

柔

軟

で

多様

な価 値 観 を 認め る 共

存

共

生

によって

築

かれる。

森

の よ うに

、

多種 多様

で レイ ヤ

ー

ドな

自

然 観 を 持った社 会だ

。

働 き 方 に も 柔 軟 性 が あ り

、

や り がい を 持っ て仕

事

に 向 かい

、

だ れでも 仕 事 を 通 じて社 会 参 加 が 可 能 な

環

境 は

、

従 来の よ う にひとつの働 き 方で そ の バ リエ

ー

ショ ンを 準 備 していた 社 会 とは異 なるものだ

。

教 育の場においても 同 様 の基 盤で取 り組 も う と す る な ら

、

従 来の職 能 的 専 門 化 教 育 が 至 極モ ノカル チャ

ー

的である ことに気 が 付 くはず だ

。

間 引 きしな が ら均

一

でまっ す ぐな

一

本 を 育て てき た

従

来 の 教 育 に 変 わ り

、

曲 がっ てい ても 平 気 な 強い 幹 を 作る教 育 が 求 め ら れるだろう

。

自然 観 を 持っ た 暮 ら し方

、

働

き 方

=

均

一

では ない

価

値

観

を 学 ぶ

学習 環 境

では

、

専 門性

が

再 編 成

さ

れ

て コ ラ

ボ

レ

ー

シ ョ ンが

活性

化した 実 践 教 育 が 行われて い ると予測 する

。

もち ろ ん

初

等 段

階

で

自分

の

働 き方

をイ メ

ー

ジで

き

る

環 境 教育 な

どの

準 備

も

必

要 だ ろ う

。

  教

育の手 法 と してた び た び 挙 げ ら れ る

、

正 答 が ひとつの 教 育 と無 数の答 が あ る 教 育の違い と して

、

以 下のよ う な 例 を 目 に す る こ と も 多い

。

  例 題

Al2

+

8 =

  例 題

B

:  (+

−

x ÷) 

=10

  可 能 性 を 探 り

、

多 様 な 考 え 方 を 許 容 す る 点で

、

後 者のほ う が は るかに創 造 的で可 能 性 を 持っ て い る

。

そ し て それ だけ でな く

、

教 え る 側 に も 学 び を

拓

い て いる。

前者

は

、

正

答

がひとつ で あるが ゆえ に 「解 答 」 にと ど ま り

、

作用が

一

方 方 向 だ。 後 者で は

、

提 案

さ れ た 「

回 答

」 に

対

し

、

更

なる 「応

答

」 が

必 要

にな る。

見

え にく かっ

た

プロ セ スが

検 証 作 業

に

よ

って

可 視 化 さ

れ て

、

こ こ に 双方 向の

作

用 が発 生す る。 柔

軟

に対

応

す る

姿 勢

と は

、

ともに

考

え

、

ともに

学

ぶ

機 会

を

作

るこ と でも あ る

。

こ のよ う な 教 育 手 法で

、

働 き 方 が ひ とつでない と学 ぶのは

、

む し ろ 教 え る 側 の ほ うであ ろ う

。

5 .

学 び を

創

る   自然 観 を 持っ た 価 値 観 と は

、

単 に 自 然 志 向の ライフ スタ イル では な く

、

自然 循

環 を あ ら ゆ る

分

野 に 取 り入 れ た

新

た な 生 活 価 デ ザ イン学 研 究 特 集 号

special lssue ofjapanese  seciety ferthe sclence e †design

Vol

.

18

−

3 No

.

71 2011

(3)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

値の こと だ

。

「地 下

資

源の活 用 と 自

然

支 配 を 基

盤

に し た テ クノ ロジ

ー

に よって

、

私

た ち は 自 然 循

環

か ら離 れ

、

淘 汰 を 避 け

、

自 然 を 消

耗

して しまっ た」 (石田秀

輝

:自 然 に 学 ぶ 粋 なテクノ ロ ジ

ー

)

。

 

温

暖 化

ガス の

排 出

で危

惧

さ れ る 自

然環 境

の急 激 な

変

化

に人 類は

対 応

で き そ う に な く

、

こ の ま ま で は

私

たちは

自

ら の

手

によっ て

将 来

おこるだろ う

巨大

な

淘 汰

の主

役

となっ て し ま う

。

これを回

避

す る た め に は石 田 秀 輝 氏は 「大き な

自然

観に基 づいた

淘 汰

の

事 実

を

受

け 入 れることで

、

私 た ち は

小 さ な淘 汰

を 自 ら 起 し

、

大 き な 変 化 につ な げてい く 必 要 が あ る

。

」 と述べ る

。

一

度 手 に 入 れ た 快 適 性 や 利 便 性 を 手 放 せ ない

、

生 活 価 値の不 可 逆 性 を もつ私 た ち が

、

循 環 型 の

社

会 を 実 現 す る た め に は

、

両 方 を 受 け入れ うる新 た な 生 活 価 値 を 生み出 す イノベ

ー

ションを 創 出 し な け れ ば な らない のだろう

。

  イ

ノベ

ー

シ ョ ン の

方 法

はい

く

つか あるが

、

自然 感

を

持

っ たラ イ フ ス タ イ ル を内 包 する サ ス テ ナブルな

社

会で は

、

自 然 から学 ぶ テクノ ロジ

ー

の

活 用

も ま た

、

もっ と も

効 果的

なイ ノベ

ー

ショ ン の ひ とつで はないか。 反

意

を

抱

くわけ で は な いが

、

近 代

と い う もの

が 自然観

に

基

づ くと ころ が

少な

い こ とは

事 実 だ

。

分

野

分

類 分 け に 倣っ た リニ ア 思 考の社 会ス キ

ー

ムでは

、

や は リ リニ ア 思 考の デザ イン モデ ル が

受

け 入 れ られて当 然であ る。 も ちろん そ れによっ て私たちの生 活 は 便 利で快 適 な もの になっ た

。

し か し

、

サステ ナ

ビ

リティを

意 識

し

始

め た と き

、

私 た ち は そのよ う な 思 考 か ら 脱 却 し

、

自 然 観 に も とついた サ イ ク ル 思 考 に シフ ト すべ き だろう

。

や は り分 野 をこえ た 協 働 が イノ ベ

ー

ション のカ ギ と な る。

6 .

学 び

デ

ザ

イン

 

い

わ ゆ

る 「

ゆ り

かごか ら

ゆ り

かごへ 」

(

ウィ リ アム

・

マ

クダ

ナ

ー

/

マ イ ケ ルブラ ウン ガ

ー

ト)と次の ス テ

ー

ジへ 繋い で ゆ く

自然 観

にもとつい た サ イ クル デザ イン モ デ ル の

構 築

に は

、

産

業 (

と

消費 )

に

対

す る

意識 革

命が

必

要であ る

。

そ れ は

、

私 た ち の 生 命 と将 来 を 守 る た め の

、

本 当の

意

味の 「新 し さ 」 と 「美 し さ」 の

再考

では ないだろ うか。

  新

し さ と は

何

か

 美

し さ と は 何 か

 

デザイ ンがそれ を

問

い

学

び

、

従 来

の

産 業

の

発 展

を

支

えてき た の な らば

、

そ の

自負

と

貴任

に お い て

、

これか ら の産

業

を

支

え る サ ス テ ナブルな

視 点

に立っ た 「

新

しさと

美

し さ J を

追 求

し

拓

く 力こ そ

、

デザイ ン た ろ う で は な い か。 そ して

、

「デ ザ イ ン は

、

も

しそ

れ が生 態 学 的

に

も 責任 を持 ち

、

社 会

にも

敏 感

に 反

応

す る も の で あ るべ きだ と す るなら ば

、

革 新 的で

急

進 的でな け ればな ら ない」

(

パ パネック

)

。

サス テ ナブル デザ インと教 育の場 が

、

本 当の意 味で学 び を

拓

く

場

にシ フ ト してゆ く と き

、

デザイ ン

教 育

に

携

わる

人

々こ そ

、

58

デザイ ン 学 研究特 粟 号

sPeclel

 

issue

 

ofjapane3e

 

soclety

 

ferthe

 

science

 

of

 

design

VeL18

−

3 No

.

71 2011

次

の メッセ

ー

ジ をい っ そう

受

け

止

めて

臨

む ことになる のだろう。

 

「デ ザ インは

、

人 間の本

当

の

欲 求

にこ たえ る よ う な

進

具とな

 

る も ので

な

け れ

ば

な ら

な

い。 そ

れ

は

、

革 新 的

で

高度

に

創遣 的

  な

、

そ し て も る も ろ の 分 野 を 貫 い た も の と な る の で な け れ ば

 

な ら ない

。

それ は

、

いっ そ う 強 く

研

究 を め ざ す もの でな け れ

 

ば

な

ら ない。 お してわ れ わ れ は

、

デ ザ イン の ま

ず

い

品 物

や

構

  造物

で

地 球

そ のものを

汚

すのを や め な け

れ

は な ら ない。亅

  (

ヴ

ィ

ク タ

ー ・

パ パ

ネ

ッ

ク

:

生

きのびるた めの デザ イン

)

実 践 事 例

  実

例 :「

未来

へ の 記

憶

」   実 例 ;「サス テナ ブ ル デ ザ イン国 際 会 議 」 「未 来への 記 憶 」

  発 想

法の

訓 練

と して

筆 者

が

行

う

授 業

「

発

想ワ

ー

ク ショ ッフ」 (桑 沢デザ イン研 究 所 夜 間 部 プロダ ク トデザ イン分 野 )スキル の

習得

と と も に

、

ベ ス トプラクテ ィスやコ ラボ レ

ー

ショ ン の

経

験

も

重要

なテ

ー

マ である。 図 1

 

未 来へ の記憶2008

              

(

G

)Ryo Miyazaki

趣 旨 (

公 開 プ

レゼンテ

ー

シ ョン

挨 拶 よ り)

 

「新 し さ1 の再

考

一

自

分 と そ の 未 来のた め の プロダ ク トデ ザ イン と して過 去

一

未 来   人

一

人   人

一

モ ノ   人

一

コ ト モノ

ー

コ トの

関 係 性

を

経 験

や

習 慣

な どの 「

記 憶

」 を

通

し て

見

つめ

直

し

、

そ れら の 「未 来 〔将

来

)」 の魅 力 的な関

係

を

創

造す る た め に 「

繋 ぐ

・

繋

が り」 を

キ

ー

ワ

ー

ドに デ

ザ

イ ン

す

る。 「

未 来

」 へ の 「記

憶

」 と し て モ ノ の

持

つ記 号

性

につい て探

求

し

、

「

新

し さ」 が

私

た ちの記

憶

と ともに

未 知

と既

知

の

狭

間にあ るこ とを

知

る。

 

公 開プ レゼンテ

ー

ショ ン

ー

プ レ ゼンテ

ー

シ ョ ン で は提 案 す る

製

品の

背

景

・

シナ リ オ と と も に その

ビジ

ョン=

社 会

や ラ イフ ス タ イル

・

技 術 など のあるべ き 姿とそ れ に 呼 応 す る デ ザ インの方 向 性 を 示 す

。

本 企 画で最 も 重 要 と 位 置づ けて い る のが 「共 感 」 であ る

。

そ れ ぞ れの 「

記 憶

」 を

見

つめ

直

し

、

思

い

描 く未 来

の

豊

か なコ ミュ ニケ

ー

シ ョ ン のあ り方につ い て

、

コ ラボレ

ー

ショ ン を

通

し て アプロ

ー

チ

す

る。 一 _

紐

(4)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

 

デザイ ン テ

ー

ブル

ー

デザ イン的 思

考

から の

発 見

、

発

想 と

創

造

。

答え は常に

変 化

する。 公開 プレゼン テ

ー

ショ ン で の

様

々 な コ ラ

ボ

レ

ー

シ ョンを

通

し て

、

自

ら の デ

ザ

イ ン と コ ンセ プ

ト

,

そ のプロ セ ス の問題

点

を発 見 し

、

モックア ップモ デ ル の

修

正 を加 えて

ゆ

く。 デザ インの

破 壊

と

創造

が

、

会 場 内

に

設 置

さ

れ

たデザ イ ン テ

ー

ブル で

繰

り広 げられる

。

期 間 限 定の作

業

テ

ー

ブル で学

生

が

取

り

組

む

授業

の τ シ

ー

ンに イ ノベ

ー

ショ ンが

創 出

さ

れ

る

瞬

間 を 目

撃

す る こ と に な る

。

図

2

(

C

)

Ryo

 

Miyazaki

(

C

)Ryo 

Miyazaki

「サステ ナ

ブ

ルデ ザ イン国

際 会議

」

 

2006

年

よ

り毎 年 開催

さ

れ

て い る

国 際 会 議

は

、

ヂザ イナ

ー

自

ら が サ ス テ ナブル な

社

会を実 現す る た め に

、

どの よ う に行 動し てゆ くべき か 学 び 問 う もっ とも

有 意義

な

機 会

であ る

。

1

残

−

躔矗融

・

趣

。

一

.

「

1

図

3

 サステ ナ ブ ル デ ザ イン国 際会 議

2008

      (

C

) 

Hiroshi

 

Homma

開 催 趣 旨と経 緯

(

サステ ナ

ブ

ル デ ザ イン国

際

会

議

レ

ポ

ー

ト

)

 

現 在 おこな わ れてい る 地 球 上の活 動の

多

く は

、

現

実

の地

球

の 「

器

』 か ら 大 き く は み だ して いる

。

サステ ナ

ブ

ル な 社 会 を 実

現

するため には

、

これら の活 動の規 模 や 速 度 を 『適 切 な』 大 き さ に整え て いか な け れ ば な ら ない

。

  第

1

回の サ ス テナ ブル デザイ ン

国 際

会

議

2006 “

Destination

2026

”

で は

」

“

Finding

 a way  to a sustainable  society

”

をテ

ー

マに

、

世 界

中

か らの発 表 を 通 じて

、

デザ イン専 門 領

域

を 超えた 統 合 的 なデザ イン活 動 を 開 始 する こ と が火 急の課 題で あ る こ

とを 確 認 し

、

サステ ナ

ブ

ルデ ザ イン宣 言 を 採 択。

第

2

回のサ

ス テナ ブ ルデザ イン国 際 会 議

2007 “

Destination

 

2025

”

では

“

Drawing

 a 

land

 map  of a $ustainable  societ

ゾ

をテ

ー

マ に、

到

達すべ き サ ス テ ナブル な

社

会の

姿

を明ら か に す るべ く

、

達

成

さ

れ

て いるべ

き社 会

の

姿 を描

いた 「

エ コイノ ベ

ー

ショ ン で

実

現

す る サ ス テ ナブル な ラ イ フ ス タ イ ル」 を

作

成 し目

標

を定め た

。

第

3

回のサステ ナ

ブ

ル デ

ザ

イン

国 際 会 議

2008

“

Destination

2024

”

で は

、

”

Steer

 

toward

 

Sustainable

 

Society

サ ス テ ナブル

な

社会

に

向

けて デ

ザ

インの

舵 を切

る

”

を

テ

ー

マ に

掲 げ

、

サ ステ ナ

ブ

ル な

社 会

に

お

け る デ

ザ

インの

役 割

を 果 た すべ く行

動

を

開始

す るこ とを 目 的と し

、

「行 動 す る デ ザ イン 」 の在 り 方 を

、

4

日 間 に わ たっ て議 論 し た

。

「サステ ナ

ブ

ル デ ザ イン行 動 宣 言 」 を 発 表 し

、

参 加 者 署 名 に よ り採 択 さ れ た

。

次 回 サス テ ナ ブ ル デ ザ イン国 際 会 議

2009

で は

、

行 動

・

実 践の

報

告 を 交 わ す 予 定 と なっ てい る。

(

C

)

The

 

lnternational

 

Conference

    (

C

)

The

 

lnternational

 

Conference

of 

Design

 

for

 

Sustainability

      

of 

Design

 

for

 

SustainabUity

図4

【

参 考 文 献

】

1

)

生 きのびるため の デザイ ン

 

ヴィク タ

ー

パ パネック

(

著 )

、

   阿 部公

正

(

翻

訳

)

  晶文 社  

1974

.

2

)

自 分の仕 事 をつ く る

 

西

村

佳

哲 (

著 )

晶 文

社  

2003

年

3

) 自然

と

生 体

に

学

ぶ バイ オミ ミク リ

ー

 

ジャニ ン

 

ベ ニ ュ ス

   (

著 )

、

山

本 良

一

〔

翻

訳

)

、

吉

野

美

耶 子

(

翻 訳

)

オ

ー

ム

社

   

2006

.

4

) 自 然に学 ぶ 粋 な テ クノロジ

ー

  なぜ カ タツ ム リの殻 は 汚 れ

   

ないの か

 

石 田 秀 輝 (著

) 化

学 同 人

 

2009 .

5

) サス テ イナブ ル なもの づ く り

一

ゆ りかごか らゆ りかe

’

ヘ     ウィ リア ム マク ダ ナ

ー

(著 )

、

マイ ケ ル   ブ ラ ウンガ

ー

    ト (著 )

、

山 本   聡 (翻 訳 )

、

山 崎 正 人 (翻 訳 )

、

岡 山 慶 子

、

   吉 村 英 子   人 間と歴 史 社  

2009

.

6

)

Sustainable

 

Design

[サステ イ ナ ブ ル

・

デ ザ イン

 

]デザ    イ ナ

ー

と 企 業 が 取 り組 むべ き 環 境 問 題   ア

ー

リス シz リン

   (

著 )

、 石原

  薫 (

翻 訳 )

 

BNN

 

2009 ,

7

)デザイ ン思 考の道 具 箱

一

イノベ

ー

ションを 生む会 社のつ く

   

り方

 奥 出

直

人 (

著 )

  早

川

書房  

2007

8

>

シ ンプル族の

反 乱  

三

浦 展 (

著 )

KK

ベ ス トセ ラ

ー

ズ    

2009

.

9

)

サ ステナブルデ ザ イン国

際会 議

2008

レ

ポ

ー

ト

   

www

.

sustainabledesign

.

jp

/

2024reportX

10

)

サ ス テ ナブル デ ザ イン行 動

宣

言

   

www

.

sustainabledesign

.

jp

/

2024report

/

9_

sengen

_

index

.

html

デザイ ン学 研究 特 粟号

sPeGlai lssue of 」apanese  s  ie呼IOrtho sclence ot design

VoL18

・

3 No

.

71  2011

図

図 4 【 参 考 文 献 】 1 ) 生 き の び る た め の デ ザ イ ン   ヴ ィ ク タ ー パ パ ネ ッ ク ( 著 ) 、    阿 部公 正 ( 翻 訳 )   晶文 社   1974 . 2 ) 自 分 の 仕 事 を つ く る   西 村 佳 哲 ( 著 ) 晶 文 社   2003 年 3 ) 自然 と 生 体 に 学 ぶ バ イ オ ミ ミ ク リ ー   ジ ャ ニ ン   ベ ニ ュ ス    ( 著 ) 、 山 本 良 一 〔 翻 訳 ) 、 吉 野 美 耶 子 (

参照

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