【論 文
1
1Journal
日本建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告集 第 452 号・
コ993 年 lO月 of Struct.
Constr、
Enghg,
Alj,
No,
452,
0ct、
,
1gg3国
土 数 値
情報
を利 用
し た
広 域 液 状 化 危 険 度 予 測
LI
Ω
UEFACTION
POTENTIAL
MAPPING
FOR
LARGE
AREA
USING
THE
DIGITAL
NATIONAL
LAND
INFORMATION
松 岡 昌 志
*,
翠 川
三郎
* *
,
若 松加 寿 江
* **Masashi
.
MATSUOKA
,Saburoh
MI1
)α 〜IKAWA
andKaxue
WAKAMATSU
Asystem
for
liquefaction
potential皿apping of ahypothetical
earthquake isbuilt
up using theDigital
National
Land
Infermation
.
as theGIS
application to seismichazard
prediction
for
alarge
area.
A
geo皿orphologicalland
classification map whichis
usefulfor,
evaldatingliquefaction
sus.
ceptil〕ility is compiied from ヒhe topographical information which is easily availablefrom
theDigitat
National
Land
Information
.
The
liquefaction
potential map、
is
devdoped
by
overlayiOgtwo maps :the land classification map and an isoseismal map which is expressed in peak
grouhd
velocity.
The
predicitionis
conductedfor
the 1987Ch
重ba−ken−
tohQ−
oki earthquak6,
and showsgood agreement with observations of
liquefaction
in the eaτthquake.
KeywOizlS
:liPuefa
・ti・n pate・tial,
GIS,
伽 α 卿 ’瀚f
・副L
祕 励 ‘ガ・n,
’
9e
・m ・rPh・IOgr
’
・allar
・d
ぬ∬晒肱‘加 液 状 化 危 険 度,
地 理 情 報シ ス テ ム,
国 土 数 値 情 報,
微 地 形 分 類1.
は じ め に 想 定 地 震に対す る地 域の地 震 危 険 度を総 合 的に予 測し てお くこ と は,
地域の 地震 防災対 策 計 画や災害 復 興計画 を よ り合理的に進め る う えで重 要さ あ る。
この こと は国 や自治体に強く認 識さ れて お り,
県や都市を対象と し た 地 震 被 害 想 定につ い て検 討され てい るV−
s)。
しか し,
近 年 首 都圏 をは じめ と して,
大 都市 域で は都 市 相互の関 係 は非 常に密 接 化し てい る ため,
行 政 区 域にとら われ ずに,
さ ら に 広域の都 市 群に対して地 震 危 険 度を総 合 的に評 価 す るこど が望ま れる。 地 震 危 険度の評価項目 と し ては,
广
震度,
液 状化危険度,
建築物の被害, ライフ ラインの被 害などが あげられ る。 この 内,
震 度に関し て は,
著 者ら は すで に地 形学的 情報 のみ か ら地盤のS
波速 度を 推定し6),
地 理情 報システム (GIS
)を利用 して広域を対 象と し た震度分布予 測シス テム を構築し た7)。
こ の シス テム は 図一
1に示す よ う に,
GIS
の デー
タベー
ス と して国 土 数 値 情報8吃用い て,
想 定 地 震に対し て地 表での最大 速 度分布を求め る もの で あ る d 本研 究で は,
この シス デムを さ らに発 展さ せ,
液状化 危 険 度 予 測を組み込むこ と を試み た.
液 状 化 発 生の有 無 は地 盤 被 害と し てのみ な らず,
建築物 被害に及 ぼ す影 響 が 大 きい9Ll°1 こ と か ら’
も,
液状 化 危 険 度を 予 測 す ること は重要であ り,
総 合的な地震危 険度に対して大き なウエ イトを 占ある と考え ら れるた め である。
従 来,
液状 化 発 生の予測に は標 準貫 入試 験の N値に よ るい わ ゆ る 限界N
値 法 や,
土の 粒径 や密 度な どの土 質 情 報 を加え たFL
法やPL
法が利用 さ れ て き た1)一
5) 。 し か し,
地 域の濠状 化 発 生 を 評 価するた めに は,
これ らの方法で は多 数の地 盤 調 査 資 料の収 集や解 析 を行うこと が要 求さ れるため,
広 域 を対 象 とし た場 合に は効率的な手段で あ る と は限ら ない。 過 去の地 震による液 状 化 履 歴か ら,
液 状 化発生の難易 と 微 地 形 分 類 との 間に密 接な関 係が あ ること が指 摘さ れ て い るtl )−
S5 )。 数 量 化 理 論に よ る解 析 結果 におい て も,
多 数の土質 的 要 因の中で微 地 形が液 状化 発生に大 き く影 響 し て い る こと が確 認さ れて い る16 ).
地形 分類と は.
地 盤 の成 因,
形 態,
構 成す る物 質,
形 成 時 代が それ ぞ れの * 東京 工業 大学総 理 工社 会開 発 工学 専 攻 助 手・
修士 (工学 ) * * 東 京 工業 大学総理 工社 会開発 工 学 専 攻 助 教授・
博士 (工学)*
*
* 早稲田大 学理 工 学総 合研究セン ター
客員研究員・
修士 (工学〉Research ASisoc
.
,
D色pt.
of Bui[t Env孟rQnment,
InterdlsciphnaryGraduate School of Science and EngLneering
,
TQkyo工nstiしute oi Tech・
nology,
M
Eng.
Assoc
.
Prof.
,
Dept.
o [BuL且t Envirohment,
1ロterdlsciplinary GraduateSchool of Science aゴnd Engineering
,
Tokyo Instltute QI Technology,
Dr
.
Eng.
Visiting Research
EngineeT
,
Advanced Research Center for Science and Englneering,
Waseda Univ.
,
M.
Eロg.
i
標高
i
表 層 土 質
i
地形
i
羇
膿籌
i
、墨
;
−
」 X 地 表で の 震 度 分 布 ▲ 増 幅度分布 P一
匿
一
一
.
■
一
一
匿
曹
一
.
曹
「
.
P
”
鹽
L_.
.
.
妙兵。
.
.
_
」 三角 州性 低地 螢 背湿 地 谷 底平野 デル タ岨 砂 州 扇 状 地 性 低 地 緩 扇状 地゜
3 「匿
一
■
冒
曹
■
,
冒
.
,
冒
冒
層
,
甲
一
■
1.
.
一
_
舅丞與_ _
1]
25 −]
35 齢 [震 源 情 報 ユ→
X 図一
1 広域 液 状化危 険 度予測シ ス テ ム概 略 図 #1)砂 丘 と 低 地 部 との境 界 付 近であ り,
砂丘 縁 辺 部を含む.
42>デルタ地 帯と呼ば れ る地 形分 類の うち,
埋立地,
干拓地 など を除い た狭 義の デル タ を指 す.
紹)扇 頂から扇端まで の平均縦 断 勾 配がIO/IOOO程 度 以下の 扇状地を指す.
図一
2 国 土 数 値 情 報の地 形 分 類 と 液 状 化 予 測のた め の 微 地 形 分 類との対 応 関 係 基準の 中に おい て等 質とな る もの をま と めたもの で あ り17 ),
地 盤の構成と密 接な関 係が ある。
そこで,
液 状 化 発 生 を評 価する ための地 震 動 強さの尺 度と して最大速度振 幅が有 効である こ と18蹙 ふまえ た上 で,
各 微地 形で の液 状 化 を発 生せ しめる最 大 速 度 振 幅が 提案さ れ]9,,
微地形分 類の み か ら液 状 化 発 生の有 無 を推 定す るこ と が 可 能 と なっ て いる。
こ の手 法は地 盤調査 資 料を 必要と し ない ことか ら広い地 域に対 し て液 状 化 危 険 度 を予測す る場 合には非 常に有 効な手 法と考えられ る。 本研究は,
国 土 数 値 情 報に含ま れ る 地 形学 的 情 報か ら 液 状 化 予測に必要な 微 地 形に分 類 す る 手 順 を 提 案 し,
対 象 地 域に対 して微地形 分類図を作 成し, これ に想 定 地 震 の地 表で の震度分布 を重ね合わ せ,
微 地 形ご との液 状 化 を 発 生 せ し める最大 地 動 速 度を判 定 基 準と す る こ と に よっ て,
広 域 液 状 化 危 険 度 予 測を行う シス テム を提示 す るもの である (図一
1参 照)。2.
国 土 数 値 情 報 を利 用 した 微 地 形 分 類の手 順 2.
1 国 土 数 値 情 報の地 形 分 類と液 状 化 予 測に必 要な微 地 形 分 類との対 応 国 土 数 値 情 報は客観 的な地 域 計 画 策 定の ための 基 礎 的 資 料と して国 土 庁と国 土 地 理 院によっ て整備され た もの であ り,
自然条件に関す る もの,
法規制 指 定 地 域等に関 す る もの,
施設 等に関する もの, 経済・
社 会に関するも のが デー
タベー
ス化さ れて い るS〕。
自然 条 件に関 する情 報とし て地 形 分 類が あ る が,
これ は国土庁の縮尺10〜
20万 分の 1の土 地 分 類 図に基づいた もの で あ り,
緯 度 方 向に 30秒,
経 度 方 向に 45秒 (約1XlkmZ
)の地 域 基 準メ ッシュ ご とに与え ら れて い る。 し か し,
この地 形 分 類は液状化予 測に必 要な単 位にまで細 分 類が さ れて いな い。
そこで 国土 数 値 情 報の地 形 分 類 (以 下,
地形分類と 呼ぶ)と液状化予測に必 要な微 地 形 分 類 (以 下,
微地形 分類と呼ぶ)の対 応 関 係 を調べ,
地 形 分 類 を微 地 形 分 類 に細分 類 す るこ と を試み た。
図一2
に地 形 分類, 微地 形 分 類 1引・
19 ) , および各 微 地 形 で液状 化を 発生せ しめ る最 大 地 動 速 度19 }を示 す.
液状 化 の最 も発生し や すい微 地 形は,
埋 立 地t 干 拓 地,
自然堤 防, 旧河 道, 砂 丘 末 端 緩 斜 面,
砂丘間 低 地な どであ り, 次に,
発 生しや すい もの は後 背 湿地,
谷 底平野, デル タ などで ある。 砂州,
緩 扇 状 地などで は比 較 的 発 生し に く い。 その他の微地形では液状化発 生の可 能 性は非 常に小 さい。 微地 形 分類の内, 埋 立 地や :F
拓 地にっ い ては国 土 数 値 情 報に おい て も地 形 分 類さ れて いる。
後 背湿 地,
谷 底平野,
デル タは 三 角 州 性 低 地の地 形 分 類と して ま と め ら れ ている。
しか し, 地 形 分 類には自然 堤 防,
旧 河 道,
砂丘 末 端 緩 斜 面, 砂 丘 間 低 地,
砂 丘,
砂 州の よ う な細分 類が さ れ てい ない.
これ ら の内,
砂丘 末 端 緩 斜 面, 砂 丘 間 低 地,
砂 丘,
砂 州につ い て は砂丘 地帯に分 布す る場 合が多い。
そこ で,
新 潟 平 野に お ける砂丘 地帯をみ る と, 被 覆 砂丘 あるいは 砂州・
自然 堤 防 として地 形 分 類さ れてい る。一
方,
青 森 県 津 軽 平 野の屏 風 山 砂丘地 帯や秋田県 能 代の砂丘 地 帯で は砂丘砂の堆 積す る砂 礫台 地 と して分 類 されている。
茨 城 県の鹿 島 海 岸や鳥取 県の砂丘 地 帯ぱ砂 州・
自然 堤 防と し て 分類さ れ てい る。
す な わ ち
,
地 形 分 類で は被 覆 砂丘 や砂丘砂の堆積す る 砂礫 倉地と あっ て も, 微 地 形 的に は砂 州,
自然 塊 防,
砂 丘が存在し, また,
砂 州・
自然 堤 防と あっ て も そ の規 模一
40
一
$
]
一
図一
3 メッシュ内の標 高 計 測 地 点 に よっ て は砂 丘である可 能 性も あ る。
そこで,
図一
2に 示す よ うに砂州・
自然 堤防,砂丘砂の堆積す る砂 礫 台 地,
被 覆 砂 丘の地 形 分 類か ら自’
然堤防, 砂丘 末 端 緩斜面, 砂 丘 間低 地,
砂丘,
砂 州の微 地 形 分 類に細 分 類する こ と と し た。
扇 状 地 性 低 地につ いて は, そ・
の平 均勾配や周 囲の メ ッ シュ の地 形 状 況か ら緩 扇 状 地,
扇状地,
谷 底 平 野に細 分,
類する。
旧 河 道は自然 堤防な ど と ともに最 も液 状 化が生 じ や すい微 地 形で あ る19)。
しか し な が ら,
小 縮 尺の土 地 分 類 図 を 原 資 料 とす る国 土 数値 情報で は旧 河 道は面 積が 小さい ため表 現され てい ない。一
般に主 要 河 川の自 然 堤.
防の隣 接 部に はその形 成に関与 し た 旧 河道が 分布す るこ と から,
本 研 究で は,
自然 堤 防 を 抽 出す ることに よっ て,
旧 河 道も併せ て抽 出し て い る と考え た。
国 土 数値情報には縮 尺2万 5千 分の 1地 形 図に基づ い て,
海 岸 線 位置 や 河 川流路 な,
どの情 報がベ ク トル型の デー
タ と して数値化 さ れて お り,
図一
3に示す よ’
うに メッ シュ 内に は約250 m 間 隔で標 高 値が与えられて い る ことか ら,
分 類に は これ らの情 報も利 用し た。
2.
2 砂州・
自然堤 防,
砂丘砂の堆 積する砂 礫 台 地, 被覆
砂
丘か ら自然堤 防,
砂 州,
砂 丘に分 類す る手 順 分類の対 象と な る地形 を砂州・
自然 堤 防,
砂 丘 砂の堆 積 す る 砂 礫 台 地,
被 覆 砂 丘 と し た と き,
自然 堤 防の抽出 は以下の地 形学的 根 拠か ら導か れ る。一
般に,
海か らの 砂の供 給に よっ て形 成さ れ た砂州や砂丘 を含む砂 堤 列 は,
海 岸 線か ら あ る幅を持っ て分 布 す ること か ら,
そ の 幅より内 陸に分 布する もの購自然 堤 防であ る (図一
4参 照)。 我が国の代表的な砂丘地 帯で は,
砂 丘 列の ほ と ん ど が海岸 線か ら5km 程 度の 幅 以 内に分 布する が,
阿賀 野川 付近 や 九 十 九 里 平 野で は,
その 幅は例 外 的に 10km 程 度で あ る。 ま た,
海 岸 線 付 近で あっ て も比 較 的 大 規模 河 川 沿い には自然 堤 防が存 在する こ と か ら, 自然堤防は 主要 河 川か らの距離によ り 抽 出可能であ る。 し か し, 自 然 堤防の分布は現状の 河川 流 路 沿いから離れ た旧 河 道沿 い におい ても 分布する場 合が ある。
そ こ で,
現在の河 川 流 路 か ら あ る幅以内に旧河 道やそ れ に伴う自然 堤防が存 在して い る と仮 定し,
その範 囲 内の地 形は 自然堤防と す る。
その 幅は海 岸線か ら5km 以上離れ た内 陸 部では3
km
,
・
海岸 線か ら5km 未 満の地 域で は 1km と考え る。
そこで, 海 岸 線か ら の距離が10km
以上離れて分 布す るもの は自 然 堤 防と する。
海岸 線か らの 距離が 5 墨A−N
断 面 図 図蕊 4 各 微 地 形の模 式 図 km 以 上10 km 未 満,
かつ 1級お よ.
び 主要2
級河 川か ら の距 離が 3km 以 内の もの は自然 堤 防と する。
海岸線 か らの距離が5km 未満,
か つ 1級 及び主 要2級河 川か らの距離が 1km 以内の もの は自 然 堤 防とする。
以 上一
の手 順に よ り自然堤防の抽出が完 了す る。 次に,
砂 州,
砂 丘の分 類 を考える。
砂 丘は海 側か ら の 卓 越風 が強く, 海か らの砂の供 給が多い地域におい て砂 州 上に 5〜
30m 程 度の高 さ を 持っ て形 成さ れる2°,こと か ら,
砂 州と砂 丘の違い は そ の高さに ある (図一
4 参照 )。 そ こ で, 砂 州と砂 丘は低 地 部に対す る標 高差か ら分 類 可 能 と考えた。
そこで,
三角州 性 低 地と接す るもの につ い て は,
隣 接する 三 角 州 性 低 地の メ ッシュ 内の 最 小 標 高 値に対 し て, 対 象メ ッシュ 内の最 大標 高 値の 差 が 5m 以上の も の を 砂 丘,
5m 未 満の もの を砂 州 とす る。
1な お,
簸小 お よ び最 大 標 高 値と は 1メ ッジュ 内にある 16 標高計測 地点の 内の最 小の もの と最 大の ものを意 味する。 前 述 の手順で砂州と分 類さ れだメッ シュ と接す るもの につ い て は,
接 す る砂州の メ ッ シュ の最 小 標 高 値に対する対 象 メ ッ シュ の最 大 標 高 値の差が5m 以上の もの を砂丘,
5 m 未 満の もの を砂 州と す る。
以上の手順で判 別さ れ ない地形 (三角州 性 低地
砂州以 外の地形のみ と接す る 地 形)にっ い て は,
対 象メ ッ シュ の最大標高値が 7m 以一
ヒの ものを砂丘,7m
未満の もめを砂 州と す る。
以 上,
一
の手順の結 果,
自然堤 防 以 外の分 類 対 象の地 形は 砂州あ るいは砂丘に分 類さ れ る。、
/
・
t
2,
3
砂丘 か ら砂丘末 端 緩 斜 面,
砂丘問 低 地を抽 出 する 手 順 前 節に よ り, 分 類対 象の地 形 が 自然堤 院 砂 州,
』
砂丘 に分 類され たことにな る。
砂 丘におい て液 状 化 危 険 度が 高い のは砂丘末 端 緩 斜 面と砂丘間 低 地であるts )の で,
こ一 41 一
A B 図
一
5 砂丘末 端緩斜 面の抽 出に利 用される標 高 計 測 地 点 と砂 丘 と低 地 部との境 界 付 近の模 式 断 面図 れ らを抽出す ることを考え る。
図一
5に示 す よ うに,
砂 丘 縁 辺 部 を含む砂 丘 末 端 緩 斜 面は砂丘 と低地部との境界 付 近の比 較 的な だ らか な緩 斜 面と して と らえ るこ と が で きる。
本 研 究では砂丘末 端 緩 斜 面は砂丘か ら抽 出す るこ ととし,
砂丘の メッ シュ と他の 地 形の メ ッシュ との境 界 付 近におい て,
接 する他の地形に対する標 高 差が比 較 的 小さい こと を利 用す る。
そ こ で
,
三角州 性 低 地,
自然 堤 防、
砂 州,
扇 状 地性 低 地,
砂 礫 台 地と接 する砂丘で, その メ ッ シュ 内にあ る 16標 高 計 測 地 点の内,
他の地形 と接す る側に位 置す る 8地 点 (図一
5の Y に該 当す る)の 最 小 標 高 値と,
接す る他 地 形の メッ シュ の 16地点 (図一
5のX
に該 当する) の 最 小 標 高 値と の差が5m
未満の砂 丘 を 砂 丘 末 端 緩 斜 面,
5m 以上 の砂丘を砂 丘と する。
砂丘 間 低 地につ いて は, 国土 数 値 情 報の地形分 類の原 資 料である土 地 分 類 図は10万一
20 万の ユと小 縮尺で あ る ため,
砂丘 という分 類に包 括さ れ て表 現され る場 合が 多い 。 砂丘間 低地は砂丘 に挟ま れ た凹地であり,
かつ 地 表 面が 比較的平坦であ る (図一
4参 照 )。 この こ と か ら,
地表の平坦さを簡 便に評 価できる指 標と して標高値の標 準 偏 差を採 用し,
以下の手順か ら抽 出さ れ る。 両 隣に砂丘,砂丘 末 端 緩 斜 面が ある砂丘で,
そ の メ ッ シュ 内の16
地 点の標高 値の標 準 偏 差が 4m 以 下,
かつ,
そ の メッ シュ の最 大 標 高値が両 隣の地 形の メ ッ シュ の最 大 標 高 値 より小さい砂丘 を砂丘間低地とする。
隣に砂 丘 間 低 地が あり,
逆隣に砂丘、
砂丘 末 端 緩 斜 面が ある砂 丘で,
そ の メ ッ シュ 内の標 高値の標 準 偏 差が 4m 以 下,
かつ,
その メ ッ シュ の最大 標 高 値と砂丘間 低地の メ ッ シュ の最 大 標 高 値との差が2m 以 下の砂 丘 を 砂 丘 間 低 地と す る。
以上,一
の手 順に よ り, 砂 丘か ら砂丘末 端 緩 斜 面,
砂 丘 間 低 地が抽 出で きる。・
−
42
一
緩 扇状 地につ い て は
,
扇 状 地の縦 断 方 向を機械的に決 定し地表の勾配を求める こ とは困難な た め,
メ ッシュ 内 で の中 央 部 9地 点 (図一3
の点線内)の標高 値か ら求め ら れ る平 均 勾 配を近 似的に利用す るこ と とし,
平均 勾 配が1
/1000 未 満の地 形を緩 扇 状地,
10/1000 以 上の 地 形 を扇 状 地とする。 以 上,
, の手順に よっ て, 扇 状 地性 低 地は谷 底 平 野,
緩扇状地,
扇 状 地に分 類す るこ と が で き る。
3.
微 地形 分 類 図の作成3.
1 分 類 手 順の検 証 前 章で述べ た〜
の分類 手 順 を 砂 丘 地 帯 を含む地 域 で ある津 軽 平野,
能 代 平 野,
庄 内 平 野,
新 潟 平 野,
およ び砂 州が比較的 多 数 分 布す る青 森 県 東 部の小 川原湖付近 の低 地, 自然 堤 防や扇 状 地が広く分 布す る濃 尾 平 野に 適 用 し て微 地 形 分 類 図を作 成し,
そ の妥当 性を検討し た。 本分類 手 順の精 度を検討 す る た めに,
これ らの地 域の う ち微 地 形 分 類 図 D・
21j−
zs )が 既に あ る地 域につ い て,
作 成さ れ た微 地 形 分 類 図と既存の微地形分類図の比較を行 い,
分 類 対 象メ ッ シュ 数に対す る 誤 分 類 さ れ たメ ッ シュ 数の割合 を百 分 率と し て求め た。 その際,
図一2
に示し た液 状 化 を発 生せ し め る最 大地動 速度が同一
な微地形 間 で の誤分類, 例えば,
実 際は 自然 堤 防であ るに もかか わ らず, 結 果は砂 丘 末 端 緩 斜 面に分 類され た な どの場 合に は,
微 地 形の誤 分 類と は カ ウン ト していない。
そ れ ぞれの地 域での 誤 分 類の割 合は津 軽平 野,
小川 原 湖 付 近の低地,
能代平野, 庄 内 平 野で約 7%, 新 潟 平 野 で4
%,
濃尾平 野で 2% とな っ た。 これ らの地 域 を 合 計 した分類 対 象メ ッ シュ 数は 1764,
そ の内,
誤 分類メ ッ シュ 数が 56 であり,
その ほ と ん ど は 危 険 側の 評 価 と なっ てい る。
し か し,
全 体に対す る誤 分 類の割 合が3
%程 度 と小さい こ と か ら,
実用上は それほ ど問題 がな く,
本 分類 結 果の精 度が よい もの と考え ら れ る。
一
例 として,
能 代 平 野に お け る微地 形 分類を示 す。 図一6
は 国土 数 値 情 報の地 形 分 類 図を示す が,
こ の地 域で は主な分類対 象と な る砂丘 地帯は砂 礫 台地 とし て示さ れ て いる。
こ の地 形 分 類 図 を基に本 分 類 手 順に より作 成さ れ た微地 形 分類図を,
過 去の地 震に よ る液 状 化 発 生 地 点29〕と と もに図一
7に示 す。
これ を み る と 米 代 川 沿い の メ ッ シュ は自然堤防に 分類さ れ,
砂丘と その背 後の後 背 湿 地 との 境 界 付 近で は砂 丘 末 端 緩 斜 面に分類され る地 域 が存在する。
図
一
6 能 代平野 に お け る 地 形 分 類 図 図一
7 能 代 平 野に おける微 地 形 分 類 図と液 状化履 歴 地 点 ほ ぼ全 域に適 用しド微地形 分 類 図を作 成す る こと を 試 みた。 国土数 値 情 報の地形分類 では,
関東地方に は砂丘砂の堆積す る砂礫 台 地や被覆 砂丘が ない た め,
砂 州・
自然堤 防と 扇 状 地 性 低 地 が 分 類対 象と なる。
微 地 形分類結果を 図一8
に示す。
砂 州・
自然 堤 防の う ち内陸部に分布 ずるものや主要河 川 沿い につ い て は自 然 堤 防に分 類 され た。
相 模川の左岸側の藤沢か ら茅ヶ崎に か け て は 砂 丘お よび砂 丘 末 端 緩 斜 面と な り,
右 岸 側 の平 塚付近で は砂 州が分布する結果 と なっ た。茨 城 県 鹿 島 海 岸で は砂 丘が分 布するが,
九十九里 平 野の砂 堤 列は低地 との比 高が 比 較的 小さい こと か ら ほ と ん ど が砂州に分類 され た。 埼玉県 北西 部に広が る扇状地 性 低 地 をみ る と, その ほ と ん.
どが緩 扇 状 地 と なっ た。
こ れ らの結 果は既 往の微 地 形 分 類 図LZ ), FU )と よく 対 応し て い る。
図L8 関 東 地 方に お け る微地形 分 類 図 過 去の液 状 化は砂丘末 端緩斜 面お よ び,
これ に隣 接す る低 地 部や干 拓 地で多 数 発生し て お り, これ らの微 地 形 で は液 状 化が発 生しや すいこと か ら,
分類 結果 は液 状 化 履 歴を.
よ く説 明してい る’
。 津 軽 平 野, 小川 原湖 付近の低 地,
EE
内平 野,
新潟 平野,
濃尾平野におい ても分 類 結 果 と液 状化履 歴はよい 対 応を示し た。
3.
2関東 地
一
1
一
の微 地形 分類図の作 成 本 分 類 手 順 を 中部・
東 海 地 方の一
部を含’
む関 東地方の4.
想 定 地 震に対 する液抹
化 危 険 度 分 布 予 測 前述の微 地 形分類図と最 大 速 度 振 幅で表現 され た 地表 で の震 度 分 布に よ り,
液 状 化 危 険 度 分 布予測が可 能と な る。
こ こ で は,
液 状 化 被 害 地 域の検 討が詳 細に さ れて い る 1987年 千 葉 県 東 方 沖地震 (M=
6.
7)a・
°〕につ い て 液 状 化 危 険 度 分 布 予 測
を
行い,
調 査 結 果と比 較し て本 手 順の 妥 当 性を検証 し,
さら に,
近い将来発 生の可 能 性が高く 首都 圏に大き な影 響を与え る ことが予想され る 仮 想東海一
43
一
微 形 分 類 図 重 合 , 最 大 速 度 振 幅が図
一
2 に示す液 状 化の 発 生 せ し め る最大 速度振幅の1.25
倍 以上 と な る地 域を液 状化 危 険 度が高い 〔High ),
ユ〜
1.
25倍と な る 地域を危 険 度が や や高い (Medium
),0.
75〜1
倍と な る 地域を危 険 度が や や 低い (Low
)と して図一
9に示す。
こ の地 震にお け る液状 化は277箇 所で発 生し た と報告さ れて お りSl ),
これ らの地 域 で は液状 化に 基づ く 建物 被 害も多く発生し た。
図中の・
印は地 震の際の液 状 化 発 生 地 点3°)を示す。
予 測 結果は九 十 九里浜付近の 低地,
千 葉 県 内 陸の谷底平 野,
東 京湾 岸 埋 立地 な どで液 状 化 発 生の危 険性が ある こと を示し,
実際の液状化 発生 地 点と お お む ね対 応し ている。
た だ し,
九 十 九 里浜の北 部と利 根 川沿いの液 状 化 発 生 は予 測結果に は現れ て い な い。
九 十九 里浜 北 部の液 状 化 被 害は砂 鉄 採 掘 地 跡の埋 戻し地 盤で のもの でありen ),
こ の よ う な人工的な地 盤 改 変は その規 模が大き く ない 限り 国土数値情 報の み か らで は判 別が困難で ある。
また, 利 根 川沿いの液状化 被 害は旧 河 道や旧 池 沼に発 生し た3°〕。
前 述の よ うに,
本研究で は,
主要 河 川付近の 自然堤防を 抽出す ることによっ て,
その旧河道を含め た抽 出が可 能 図一
9 1987年干 葉県 東方 沖 地 震の場 合の液 状化危険度予測と 液 状 化発 生 地 点 図一
10 仮 想東 海 地 震の場 合の液 状化危険 度 予 測 で あ る と考えてい る。
しか し,
利 根 川は近世 初 頭に人 工 的に流路変更が行わ れたため,
そ の下 流 平 野には発達 し た自然堤防が形 成され るには至っ ていない。し た がっ て, 利根 川 下 流 平 野で は旧 河 道の付 近に大 規 模な自然堤防が 存在しない特殊な地 域とい え る。
こ のよ う な特殊な微地 形の 配 列は国 土 数 値 情 報の メッ シュ の大き さの問 題か ら,
評価す ること が難しい。
評 価の精 度を向上 さ せ る た めには,
さ らに細か い メッ シュ に基づ くデー
タベー
ス の 整備が 必要と考え ら れ る。
4.
2 仮 想 東 海 地 震の液状化 危 険 度 分布予 測 駿 河 湾に地 震 断 層32〕を 持つM8
ク ラス を 想定 し た東 海 地 震の地 表での最大速 度分布は, ユ985年チ リ 地 震 (Ms
=
・
7.
8
)の距 離 減 衰 式33) を利 用して計 算され て い る% こ れ に微 地 形 分 類 図を重ね合わ せ て求め た液 状 化 危 険 度 分 布 を図一
10に示す。 静 岡 県の沼津 付近,
神 奈 川 県の 酒 匂 川 流 域や相 模 川流域,
東 京湾岸の 埋立地 の ほ ぼ全 域で 液状 化危険度が高い。
ま た,
震 源 域か ら100km
以 上 離 れ た 荒 川 低 地,
中 川 低 地,
東 京低 地に おい て液 状化 発生 の可 能性が あ り, 特に荒 川, 古 利 根 川, 中 川沿いの 自 然 堤 防においては液 状 化 危 険 度が高いとい う結 果 が 得られ た。
た だ し, こ の結 果に は,
千 葉 県 東 方 沖 地 震の場 合に み ら れ た よ う な小規模な人工的地 盤 改変などの影響に ょ る液 状 化 危 険 度は含まれて いない。
過 去の地 震で液 状 化 発 生が どの程 度の範 囲に まで及ん だ かにつ い て検討し た例と し て, 断層面か ら最も遠い液 状 化地点まで の距 離 (D
)とマ グニ チュー
ド (M
)との 関係 が (1
) 式の よ うに示され ているL8 )。
log
D =0.
6M −
2,
4 (6.
4<M <8,
2)・
・
・
…
(1)一 44 一
(1}式のM に 7
.
8を 代 入し たときに求め ら れ る最も遠 い液 状 化 発 生 地 点まで の範 囲 を図 中の実 線で示す。
これ は本 結 果で の液 状 化 危 険 度が や や低い 地域までの 範 囲と お おむね対 応 して おり,
本 予 測 結 果の妥当 性 を支持して い る。
5.
結 論 国 土 数 値情報に 含まれ る地形 学的 情報 か ら 液 状 化 予 測 に 必 要な微地 形 分類を精 度よ く行う手 順を提案し,
微 地 形 分類図 を作 成し た。
こ れ を震 度分布予測シス テムに組 み込み,
広 域 を 対象と し た液 状 化 危険度予 測 を 行 う シス テム を構 築し た。 ま た,
本シス テム に よ り推 定さ れ た 1987 年千葉県東方沖地 震の 液状 化危険度の 分布が実 際 の液 状化 発生地点と よ く対応する ことか ら,
本シス テム の結果が妥 当である こと を確 認した。
さ らに, 本システ ム により液 状 化 危 険 度の分 布 予 測が広 域かつ 簡 便に でき る実 例と し て,
仮 想 東 海 地 震の場 合の予 測を行い,
液 状 化 発 生の 危険 性の高い地域が埼玉県 東 部にまで広 がるこ と を指 摘 し た。 参考 文 献 1) 神 奈 川 県:神 奈 川 県 地 震 被 害 想 定 調 査 報 告 害,
1985.
2} 東京都 防 災 会 議 :多 摩 地 域にお ける地 震 被 害の想 定に関 す る報 告 書,
1985.
3) 川 崎 市 :川 崎 市 地 震 被 害 想 定 調 査 報 告 書,
1988,
4) 東 京 都 防 災 会 議 :柬 京にお け る 地 震 被 害の想 定に閧す る 報 告 書,
1991.
5) 埼玉県 :大 規 模 地 震 被 害 想 定 調 査 報 告 書,
.
1992,
6)松 岡 昌 志,
翠川三郎 :国 土数値情 報を利用 し た地 盤の平 均S
波 速 度の推 定,
日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報tt
集,
No.
443,
pp.
65〜
71,
1993.
7) 松岡 昌志,
翠川三郎 :国土 数 値 情 報を利用 した広 域 震 度 分 布 予 測,
日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告 集,
Ne.
447,
pp.
5且一
56, 1993.
8} 国 土 庁 計 画 調 整 局・
国 土 地 理 院 :国 土 数 値 情 報,
国 土 情 報シ リー
ズ2,
大 蔵 省 印 刷 局,
]987.
9} 金 井 清 :木造家屋 の 震害に 就いて,
地 震 災 害予測 の 研 究 (地震保健 調査 報告 No.
2),
・
pp.
1−
17,
1982.
lO} 翠 川三郎,
若 松 加 寿 江:液状 化の 影 響 を考 慮し た簡 便な 木造 家屋 の被 害分布予 測,
日本建築学会構造系論文報告 集,
No.
393, pp.
18〜
23 , 1988.
11) 古藤田喜久雄,
若 松 加 寿江 :日本海中 部地 震に よ る 液状 化現象と地 形 条 件との関係、
土と基 礎,
Vol.
32,
No.
9,
pp.
59〜
63,
1984.
12) 古 藤田喜 久 雄,
若 松 加 寿 江 :関 東 大 地 震の液 状 化 埴 図,
基 礎 工,
Vo1.
6,
No.
11,
1978.
13} 古 藤田塵 久 雄,
若 松 加 寿江,
渡辺一
夫 :]923年 関 東 大地 震によ る相 模 川 下 流 地 域の地 盤 震 害,
第7回日本 地 震]二 14) 15) 16) 17) 18) 19} 20) 21> 22) 23) 24> 25> 26) 27} 28) 29} 30) 31) 32) 33} 学シンポジゥ ム講 演集,
pp.
43〜
48.
1986.
若 松 加 寿 江 :液 状 化 問 題の地 形・
地 質 的 背 景,
応 用 地 質,
Vol.
32,
No.
1,
pp.
28−
40,
】991,
若 松 加 寿江 :詳 細な微地 形 分 類によ る 地 盤表層の液 状 化 被 害 可 能 性の評 価,
日本 建 築 学 会 大 会学 術 講 演梗 概 集 (北 陸),
B分冊構造 工,
pp.
]443〜
】444,
】992.
山 田 公 夫 :想 定 地 震に よ る名 古 屋市沖積地 盤の液状化予 測,
土 木 学 会 論 文 集,
No,
445/皿一
18,
pp.
37−
45,
1992.
大矢雅彦編 :地 形 分 類の手 法 と 展 開,
古今 書 院,
1983.
Midorikawa,
S.
and Wakamatsu,
K’
.
:Intensity of Ear.
thquake Ground Metion at Liquefied Sites
,
土 質工学 会論文 報告 集
,
Vol,
28,
No.
2,
pp.
73〜
84,
1988.
Kotoda
,
K.
Wakamatsu,
K.
and Midorikawa S、
;Seis.
mic MLcrozoning on Soil Liquefaction Potential Based on Geomorphological Land Ctassification,
土 質 工 学 会論 文 報 告 集