2016年度「若手研究者特別委員会」の活動

DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.35.28

2016年度「若手研究者特別委員会」の活動

田 谷 修 一 郎

慶應義塾大学

The activities of the Young Researchers Committee of

the Japanese Psychonomic Society in 2016

Shuichiro Taya

Keio University

This note is a short report on the activity of the Young Researchers Committee of the Japanese Psychonomic

Society （JPS） in 2016. As the highlighted activity of the committee in 2016, we held the satellite oral session of the

35th annual meeting of JPS. Eight young researchers were selected as the finalists from 17 entries and made

presen-tations on their studies that have already been published in peer-reviewed journals. One of the finalists who got the

most votes from audience was awarded as the Young Psychonomic Scientist of the Year 2016.

Keywords: Young Researchers Committee of JPS, Young Psychonomic Scientist of the Year 2016, PsyPo

2016年度の若手研究者特別委員会の活動

若手研究者特別委員会（以下，若手会）は日本基礎心

理学会に所属する若手の研究・教育活動や交流の支援を

目的に2013年12月に設立された（和田，2015）。

2016年度のメンバーは市川寛子（東京理科大），牛谷

智一（千葉大），小川洋和（関西学院大），白井述（新潟

大）

1

_{，田谷修一郎}

2

_{（慶應義塾大），原澤賢充（NHK 技}

研），日高聡太（立教大），山田祐樹（九州大）

1

_，四本裕

子（東京大），和田有史 （農研機構）である。また，若

手会担当理事である石金浩史（専修大）の手厚いサポー

トを受けている。

今年度も若手会主催で日本基礎心理学会本大会の前日

にサテライトオーラルセッションを開催したほか，昨年

度開設したポータルサイト“PsyPo”の紹介記事を『サイ

ナビ！』に掲載し，国内諸学会の若手部会代表が集う研

究会にて発表を行うなど精力的に活動した。さらに，科

研費のより効率的な運用，特に実験参加者への謝礼を研

究費から支払う際の手続き簡素化について模索している。

第35回大会サテライトオーラルセッション

サテライトオーラルセッションは若手会が毎年最も注

力している企画である。このセッションの目的は日本基

礎心理学会に所属する若手に口頭発表を行う機会を与え

ると同時に，同世代の優れた研究に接する機会を設ける

ことである。応募資格は今年も例年にならい，学位未取

得者ないしは学位取得後10年以内の本学会会員であるこ

と

3

_{，および 2年以内（今回の場合2014年以降）に第一}

著者か責任著者として日本基礎心理学会『基礎心理学研

究』もしくは英文雑誌に厳密な査読を経て論文が採択・

掲載されていることとし，論文の内容（およびその後の

研究の発展があればその内容）について第一発表者とし

て発表していただく，という要件で募集を行った。

査読付き論文として受理済の研究，およびその後の展

開についての内容を発表することは本セッションを最も

特徴づけるものである。つまり，単なる口頭発表のセッ

ションではなく，研究内容を論文にまとめ学術誌に査読

を通すだけの技量を持つ発表者のみが登壇できる，ある

種の「選抜大会」の性質を帯びている。このように本

セッションは応募の時点で通常の学会・研究会より高い

Copyright 2017. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved.

Corresponding address: Department of Humans Science,

Keio University, 4–1–1 Hiyoshi, Kohoku-ku, Yokohama,

Kanagawa 223–8521, Japan. E-mail: taya@keio.jp

1

_{副委員長（2015年11月∼現在）}

2

_{委員長（2015年11月∼現在）}

3

_{本年度から，入会の意思がある者も応募可（ただし}

セッション当日までに入会手続きを完了すること）

とした．

ハードルを課しているが，本年も昨年比若干増の17件

の応募があった。

すべての

応募それぞれについて若手会委員10名が内

容・方法別に3段階で評定し，その合計値を評価値とした

（評価者が連名者など，関係が深い応募については評定

しなかった）。この結果，評価の高かった8件を採択し，

第一発表者がファイナリストとして登壇した（Table 1）。

本年度のファイナリストにも大学院生，ポスドク，大学

教員と様々な立場の方が選ばれ，発表内容も伝統的な心

理物理学から動物行動，スポーツ選手の眼球運動測定，

脳機能測定を用いた発達研究などバラエティに富んだも

のとなった。

今年度のサテライトオーラルセッションは 2016年10

月28日に日本基礎心理学会本大会の主催校である東京

女子大学の田中章浩氏を会場幹事として開催された。参

加者総数は 75 名，内日本基礎心理学会会員は 50名で

あった。当日は寒中小雨のそぼ降る生憎の天気となった

が，参加者は過去最多であった。

本セッションは発表の持ち時間を30分と長めに設定

しており，充実した発表と質疑応答がなされた。聴講者

には各発表についてフィードバック用紙の記入を依頼

し，発表者にはセッションの終了後に用紙が手渡され，

フロアの評価を伝えられた。また各聴講者は，もっとも

優れた発表を1件のみ選定し，投票した。

オーラルセッション後に実施したカクテルセッション

では，若手研究者間の活発な交流がなされた。また，得

票結果に基づき，最も優れた発表として林大輔氏をThe

Young Psychonomic Scientist of the Year 2016として表彰し

た。なお，これまでの最優秀発表者のインタビューは近

影とともに本年度開設した若手会のホームページに掲載

されている（http://psychonomic.jp/young/）。

先に述べたように本セッションは応募資格のハードル

が

高く，8名のファイナリストに選ばれることそのもの

が難しい（登壇者の顔ぶれがほぼ毎年異なることからも

その厳しさがうかがえるだろう）。登壇までの難易度の

高さに対し，最優秀発表者以外の登壇者の扱いが小さす

ぎるのではないかという懸念はかねてより若手会内から

あがっていた。そこで本年度から，最優秀発表者以外の

ファイナリストもその健闘を称えるべく，基礎心理学会

本大会の総会で氏名を読み上げ表彰することとした。簡

単な紹介ではあるが，セッションに参加しなかった日本

基礎心理学会会員にも広く名前と研究内容を周知する効

果があると考える。また，過去3年のファイナリストの

氏名はやはり若手会のホームページに掲載されている。

若手科学者サミットでの発表

2016年7月10日，乃木坂の日本学術会議にて開催され

たポスターでの研究発表会「若手科学者サミット」に参

加した。この研究会は分野を問わず国内諸学会の若手部

会代表が集まり，それぞれの研究内容について相互に紹

介しあい，交流を深めることを目的とする。日本基礎心

理学会若手会からは九州大学の山田祐樹氏（若手会副委

員長）が代表して発表を行った。この研究会で交流を深

めた日本心理学会若手会の代表高瀬堅吉氏（自治医科

大）にはサテライトオーラルセッションにも聴講者とし

て臨席いただいた。

基礎心理学ポータルサイトPsyPoの運営と紹介

昨年度開設の基礎心理学者向けウェブサイト“PsyPo

（サイポ）”について紹介する記事を，ちとせプレスの運

営する心理学者関連記事のウェブ配信サービス『サイナ

ビ

！』に掲載した（http://chitosepress.com/2016/04/04/1559/）。

PsyPoについては昨年度の報告でも紹介したが（和田，

2016），簡単には国内の心理学研究室のウェブページへ

のリンクを集約し，どこで誰がどのような研究を行って

いるか，効率よく検索できるようにすることを目的とし

たポータルサイトである

。2017年1月現在PsyPoにはお

よそ

20の研究室が登録され，登録サイトは随時募集中

である。登録のための条件と方法などについてはPsyPo

のサイトや上記の紹介記事を参照いただきたい。

科研費使用に関する問題についての調査

基礎心理学の研究は実験参加者のデータによって成り

立っており，データを提供する参加者に謝礼を払うこと

は研究をすすめるうえで不可欠である。この謝礼を支払

う手続きに関するルールに大学間でばらつきがあり，そ

うしたいわゆる「ローカルルール」の中には過剰に煩雑

な手続きを要求するものも少なくないことが，若手会委

員のひとりから指摘された。そこで若手会で委員の所属

する大学などの状況について簡単に聞き取りを行ったと

ころ，確かに大学間で手続きの違いが大きく，例えば

（認められている大学のほうが多い）図書券やQUOカー

ドでの支払いが一部の大学では認められていなかった

り，実験の内容について逐一報告文書や実験風景写真の

提出を求める（通常は倫理審査の書類が承認されていれ

ば不必要と思われる）などのケースが確認された。こう

した手続きのなかには，科研費の適正な運用のため必要

なものもあるかと思われるが，例えば他の多数の大学で

は課されていないような冗長な手続きは，研究の進捗を

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発表順 第一発表者氏名 連名者氏名 発表 タイトル 要旨 掲載誌 巻 （号） 頁 1 中村哲之 渡邉創太 藤田和生 ニワトリにおけるエ ビングハウス 逆錯視 【目 的】 ハトとヒトで 逆方向 に 錯視 が 生 じるエビングハウス 錯 視（ N aka m ura ら ， 2008 ） の 生態学的意義 を 検討 するため ，同 じ 鳥類 でも 生活様式 が 異 なるニワトリでテストした ．【 方法 】各試行 で 1 つ 呈示 される 6 種 の 標的円 のうち 小 さい 3 種 を 「小」 ， 大 きい 3 種 を 「大」 と 報 告 す る 訓 練 を ， ニ ワ ト リ 3 羽 に 対 し 条 件 性 位 置 弁 別 課 題 を 用 い て 行 っ た ． 汎 用 ス キ ナ ー 箱 を 用 い た ． 標 的 円 の み 呈 示 する 予備訓練 の 後 ，標的円 を 囲 む 6 つの 誘導円 をセッションごとにフェードインさせていった ． テストでは 全強化 プローブを 用 い て ，誘導円直径 を 独立変数，標的円 に 対 する 「大」報告率 を 従属変数 とした 分析 を 行 った ．【結果】誘導円直径 の 増加 に 伴 い 「大」 報告率 が 高 くなった ．標的円 と 誘導円 の 大 きさ 加算 など ，標的円直径以外 の 弁別手 がかりの 使用 についても 分析 したが ， それらに よって 本結果 を 説明 することはできなかった ．【結 論】 ニワトリでもヒトと 逆方向 のエビングハウス 錯視 が 生 じることが 示唆 され た ． ニワトリのツェルナー 錯視 やアモーダル 補間 の 研究結果 などと 併 せると ， ハトとは 異 なる 生活様式 を 有 するニワトリでも 対比 より 同化効果 が 生 じやすいこと ， こうした 種差 が 大域優先 か 局所優先 かの 情報処理 の 違 いによって 生 じている 可能性 が 示 された ． A nim al C og ni tio n 17（ 2） , 471–481 2 若生 遼 綾部早穂 Ch arac ter ist ics o f ha pt ic p er ip er so na l sp at ia l r ep res en ta tio n of o bj ec t r el at io ns Th e p res en t s tud y exa min ed t he c ha rac ter ist ics o f h ap tic s pa tia l r ep res en ta tio ns o f o bj ec ts in t he s ur ro un din g en vir onm en t. P re vio us r es ea rc h h as hig hlig ht ed t ha t h ap tic s pa tia l r ep res en ta tio n i s n on-v er idic al .Th e p res en t s tud y f oc us ed o n in ves tiga tin g h ow o bj ec t-t o-o bj ec t r el at io ns a re r ep re -sen te d b y co nd uc tin g a h ap tic s pa tia l r ep ro duc tio n t as k. I n t hi s t as k p ar tici pa nts w er e r eq uir ed t o r em em ber t he p osi tio na l r el at io n （ lay ou t） of thr ee o bj ec ts p lace d in f ro nt o f t heir b od y o n a t ab le a nd t o r ep ro duce t he p osi tio n o f o ne o bj ec t w hic h wa s t ak en a wa y a nd t hu s mi ssin g f ro m t he la yo ut w hi le b ein g b lin df olde d. Th e r ep ro duc tio n wa s c ar rie d o ut o n a r ec ta ngu la r t ab le s pli t in to t hr ee w or k s paces （ fro nt, r ig ht, left ） pl ace d in fro nt o f t he p ar tici pa nt ’s b od y. T w o o bj ec ts w er e s til l p osi tio ne d o n t he t ab le d ur in g r ep ro duc tio n s o a s t o ac t a s c ues in r ep ro ducin g t he p osi tio n of t he mi ssin g o bj ec t. Thi s t as k r eq uir ed p ar tici pa nts t o f or m a n a llo cen tr ic s pa tia l r ep res en ta tio n w hen r ep ro ducin g o bj ec t r el at io n in t he r ig ht o r to t he left w or k s paces （ le ar ne d a nd r ep ro duc tio n p osi tio ns a re in diff er en t p laces ）, w her ea s t he t as k co uld b e co nd uc te d u sin g b ot h t he eg ocen -tr ic a nd a llo cen tr ic s pa tia l r ep res en ta tio n w hen r ep ro ducin g o bj ec t r el at io ns in t he f ro nt w or k s pace . R es ul ts s ho w ed de vi at io ns in t he r ep ro duc -tio n o f o bj ec t r el at io ns w hen r ep ro duce d o n t he r ig ht a nd left side o f t he b od y b ut n ot t he f ro nt. M or eo ver , t he dir ec tio n o f t he de vi at io ns wa s de -pen den t o n t he s pa tia l r el at io n o f t he r ep ro duce d o bj ec t in r el at io n t o t he o th er t w o fix ed o bj ec ts. Th es e r es ul ts s ho w t ha t t her e i s a diffic ul ty in fo rmin g a n a llo cen tr ic s pa tia l r ep res en ta tio ns t hr oug h h ap tics. T o f ur th er in ves tiga te t hi s p oin t w e co nd uc te d t he s am e exp er im en t a ll w ith t he ex cep tio n t ha t n on-inf or m at iv e v isio n （ th e p ar tici pa nt wa s n ow n ot b lin df olde d h ow ev er wa s n ot a ble t o s ee t heir a rm m ov em en t） wa s adde d. N on-inf or m at iv e v isio n i s k no w n t o p ro m ot e t he u se a nd f or m at io n o f a llo cen tr ic s pa tia l r ep res en ta tio ns a nd r es ul ts s ho w ed t ha t de vi at io ns w er e sm al ler in g ro ups w ith no n-inf or m at iv e vi sio n. Th e res ul ts t ak en t og et her s ug ges t t ha t h ap tic sp at ia l r ep res en ta tio ns a re def or m ed a nd th at th es e def or m at io ns a re m os tly d ue t o t he diffic ul ties in f or min g a nd a llo cen tr ic s pa tia l r ep res en ta tio n p ur ely f ro m h ap tic in pu ts. PL oS On e 11（ 7） , e0160095 3 三好清文 非注意 は 既知感 を 生 じさせる ・目的 空間手 がかりを 用 いて ，注意 が 再認記憶判断 に 与 える 影響 について 検討 した ． また ， そのメカニズムについて 信号検出 モデルによ る 検討 を 行 った ． ・方法 参加者 は 160 枚 のオブジェクト 写真 を 学習 した 後， 320 枚 の 写真 について 再認記憶判断 を 行 った ．再認判断場面 では ， モニタの 左 右 ど ち ら か の 位 置 に 刺 激 が 提 示 さ れ た ． 刺 激 提 示 位 置 が 矢 印 に よ っ て 予 告 さ れ る va lid 試 行 と ， 刺 激 提 示 位 置 と は 反 対 の 位 置 が 予 告 される in va lid 試行 が 同数設 けられた ． ・結果 Inva lid 試行 では ， va lid 試行 と 比 べて 全体的 に 刺激 が 旧項目 であると 判断 されやすかった ．統計的 モデル 選択 では ，注意 による 知覚 処理 へのボトムアップ 的影響 を 想定 した 分散変動 モデルに 比 べて ，処理流暢性 に 関 わるトップダウン 的 プロセスを 想定 した 判断基 準移動 モデルが 支持 された ． ・結論 非注意 はより 強 い 既知感 を 生 じさせる ． この 現象 は ，処理流暢性 についての 予 測（ W hi ttles ea & W illi am s, 1998 ） や 処理流暢性 の ディスカウント （ Jaco by & W hi te ho us e, 1989 ） を 想定 することで 節約的 に 説明 できる ． C on scio usn es s an d C og ni tio n 43, 66–74 4 村井祐基 四本裕子 O pt im al en co din g o f ev en t d ura tio n: M od ali ty-dep en den ce of t he cen tra l ten den cy Pur pos e: W hen va rio us dura tio ns ar e in ter mix ed ly p res en te d, s ho rt er dura tio ns ar e ov er es tim at ed a nd lo ng er dura tio ns ar e un der es tim at ed . Thi s ph en om en on, c al le d t he cen tra l t en den cy , s ug ges ts o ur b ra in o pt im al ly en co des d ura tio n b y in co rp ora tin g t he s en so ry in pu t a nd t he p rio r k no w l-edg e a bo ut t he di str ib ut io n o f t he s tim ul us d ura tio n. O ur s tud y a im s t o e lucid at e h ow s tim ul us m od ali ty a nd t im es ca le a ffe ct s uc h a co nt ext-de -pen den t en co din g o f d ura tio n. M et ho ds: S ub je cts r ep ro duce d s tim ul us d ura tio ns. Th e s tim uli w er e ei th er s ub-s eco nd o r s up ra-s eco nd d ura tio ns defin ed b y v isu al o r a udi to ry stim uli . Th e m ag ni tude o f t he cen tra l t en den cy wa s e va lu at ed f or e ac h co m bin at io n o f t he s tim ul us m od ali ty a nd t he t im es ca le. Res ul ts: I n t he s ub-s eco nd ra ng e, t he m ag ni tude of t he cen tra l t en den cy wa s sig nific an tly l ar ger f or v isu al d ura tio ns co m pa re d t o audi to ry d ura -tio ns, w hi le v isu al a nd a udi to ry d ura tio ns exhi bi te d a hig hl y co rr el at ed a nd co m pa ra ble cen tra l t en den cy in t he s up ra-s eco nd ra ng e. C on clu sio n: O ur s tud y s ug ges ts t ha t a co mm on m od ali ty-in dep en den t m ec ha ni sm i s r es po nsi ble f or t he s up ra-s eco nd cen tra l t en den cy , w hi le t he m od ali ty-dep en den t m ec ha ni sm s co nt rib ut e t o t he cen tra l t en den cy in t he s ub-s eco nd ra ng e. W e f ur th er in tro duce o ur r ecen t fMRI p ap er t ha t dem on st ra te d a co nt ext-dep en den t m od ul at io n o f t imin g ac tiv ity in t he b ra in. M od ali ty-dep en den ce o f t imin g i s di sc us se d in r el at io n t o t he Ba yesi an f ra m ew or k o f d ura tio n p er cep tio n a nd i ts n eura l im plem en ta tio n. PL oS On e 11（ 7） , e0158921

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発表順 第一発表者氏名 連名者氏名 発表 タイトル 要旨 掲載誌 巻 （号） 頁 5 小林 恵 M acc hi Ca ssi a, Vi ol a 金沢 創 山口真美 柿木隆介 若年成人顔 へ の 知覚狭小化 の 通文化性 と その 神経基盤 目 的： 日 常 生 活 で 獲得 され る 顔経 験 の 偏 りに 起因 する 顔処理 の 狭 小化 は ，生 後 9 ヶ 月頃 に 生 じる ．近 年 ，生 後 3 ヶ 月児 は 全 ての 年齢 群 の 顔弁 別 が 可能 な 一 方 ，生 後 9 ヶ 月児 の 顔 弁別 が 最 も 視覚 経 験 が 多 い 若 年成人 の 顔 に 特化 す る こと が ，西 欧 人 乳 児 の 研究 で 示 さ れ て いる （ M acc hi Cas sia ら ， 201 4）． 本 研 究 では ， この 若 年成人 顔 への 知 覚狭 小化 が 日本 人 乳 児 でも 生 じる か （実 験 1）， その 神経 基 盤 （実 験 2） を 検討 した ． 方法 ：（ 実験 1）生後 3 ヶ 月 児・ 9 ヶ 月児 の 若年成人顔 および 乳児顔 の 弁別成績 を ，親近化法 によって 検討 した ．（ 実 験 2）顔反応領域 が 存 在 する 後側頭領域 の 異 なる 年齢群 の 顔 に 対 する 反応特異性 を 検討 するため ，若年成人顔 および 乳児顔観察中 の 生後 9 ヶ 月児 の 血流反応 を 近赤外分光法 によって 計測 した ． 結果 ：（実験 1）生 後 3 ヶ 月児 は 若年成人顔 と 乳児顔 の 両方 を 有意 に 弁別 した 一方，生後 9 ヶ 月児 は 若年成人顔 のみ 弁別可能 であった ．（ 実 験 2）物体 ベースラインと 比較 した 有意 な 脳活動 の 上昇 は ，若年成人顔 に 対 してのみ ，右半球側頭領域 で 観察 された ． 結論 ： 本研究 は ，生後 9 ヶ 月頃 に 生 じる 若年成人顔 への 知覚狭小化 の 通文化性 を 示 し ， さらに 脳活動 のデータから 若年成人顔対 しての み 全体処理 が 適応 されるように 知覚狭小 が 生 じることを 示唆 した ． D ev elo pm en ta l Scien ce in p rin t 6 佐藤佑介 鳥居修晃 佐々木正晴 体操選手 にお けるとび 1 回 ひねり 遂行中 の 視線移動 パ ターン 視覚系活動 を 介 して 収集 される 情報 は ， スポーツ 選手 の 巧 みなプレーを 支 えている ．空中 という 特異 な 場面 での 演技 を 余儀 なくされる 体操選手 であっても ， それは 例外 ではない （ D av lin et a l., 2001 ）． しかしながら ，体操選手 が 高速回転中， その 情報収集 のためにどのよう に 外界 へ 視線 を 向 けているのかは 明 かされてこなかった ． ダイナミックな 運動中 の 視線行動 を 検出 するための 実験方法 の 構築 が 課題 で あったのである ．本研究 ではこの 課題 を ， EO G （ ele ct ro oc ulog ra ph y）法 と 動作分析法 を 組 み 合 わせる 方法（ Bizzi , 1974 ） を 応用 することに より 解決 した ． その 方法 を 用 いて ， とび 1 回 ひねりと 呼 ばれる 運動中 に 体操選手 がみせる 視線行動 を 明 らかにすることが 本研究 の 目的 で あ っ た ． と び 1 回 ひ ね りと は ， 直 立姿 勢 で 真 上 に 跳 び ， 垂 直軸 を 中 心 に 体 を 360 ° 回 転 さ せ る 運 動 で あ る ． 実 験 の 結 果， こ の 運 動 中 に は 2 種類 の 視線移動 パターンが 体操選手 によって 行 われることが 明 らかとなった ．視線移動 パターンの 違 いは ，視覚情報 に 基 づく 動作制御 の 時間的余裕 だけでなく ，収集 される 視覚情報 の 種類（ Pa tla & Vic ker s, 1997 ） にも 影響 を 与 える 可能性 がある ．両者 の 利点 について 考 え ることは ，視線行動 を 基軸 とした 新 しいトレーニング 方法 の 提案 につながるだろう ． Per cep tu al a nd M oto r Sk ill s in p rin t 7 李 琦 齋木 潤 D yn amic co nt ro l o f inf or m at io n in vi su al w or kin g me mo ry m ain ten an ce Pur pos e Q uic kl y a nd f re quen tly s hift in g a tten tio n i s cr uci al t o ga th er inf or m at io n f ro m d yn amic a nd ra pid ly c ha ng in g en vir onm en ts. Th e p res en t s tud y in ves ti-ga te d s eq uen tia l a tten tio n s hifts w ithin v isu al w or kin g m em or y （ VWM ） b y a sy nc hr on ou sly p res en tin g a tten tio na l c ues d ur in g t he r et en tio n in ter va l o f a ch an ge det ec tio n t as k. I n p ar tic ul ar , w e f oc us ed o n t w o t yp es o f s eq uen tia l a tten tio n s hifts: （ 1） dir ec tin g a tten tio n t o o ne r ep res en ta tio n, a nd t hen w ith -dra w in g a tten tio n f ro m i t, a nd （ 2） sw itc hin g t he f oc us o f a tten tio n f ro m o ne r ep res en ta tio n t o a no th er . Me th od In Exp er im en t 1, a w ith dra wa l c ue wa s p res en te d aft er a sp at ia l r et ro-c ue to m ea sur e th e eff ec t o f w ith dra w in g at ten tio n. In Exp er im en t 2, tw o sp at ia l ret ro-c ues w er e p res en te d s ucces siv ely t o exa min e t he eff ec t o f sw itc hin g t he f oc us o f a tten tio n. I n E xp er im en t 3, w e r ed uce d t he va lidi ty o f t he p re ce d-in g s pa tia l c ue t o det er min e w het her t he p osi tiv e eff ec t o f t he fir st c ue c an b e m od ul at ed b y c ue va lidi ty . I n E xp er im en t 4, w e f ur th er in ves tiga te d w het h-er t he eff ec ts o f s pa tia l c uein g g en era lize t o f ea tur e-b as ed c uein g b y c uein g t he co lo r o f t he r ep res en ta tio ns. Res ul ts In E xp er im en t 1, t he w ith dra wa l c ue sig nific an tly r ed uce d t he cos t o f in va lid s pa tia l c ues, b ut s ur pr isin gl y, did n ot a tten ua te t he b en efi t o f va lid s pa tia l cues. Thi s in dic at es t ha t t he w ith dra wa l c ue o nl y t rig ger ed t he ac tiva tio n o f faci lit at iv e co m po nen ts b ut n ot in hi bi to ry co m po nen ts o f a tten tio n. I n E x-per im en t 2, w e o bs er ve d e qui va len t b en efi ts o f t he fir st a nd s eco nd s pa tia l c ues, s ug ges tin g t ha t p ar tici pa nts w er e a ble t o r eo rien t a tten tio n f ro m o ne lo -ca tio n t o a no th er w ithin VWM, a nd t he r ea llo ca tio n o f a tten tio n did n ot a tten ua te m em or y a t t he fir st-c ue d lo ca tio n. I n E xp er im en t 3, w e f oun d t ha t r e-ducin g t he va lidi ty o f t he p re ce din g s pa tia l c ue did le ad t o a sig nific an t r ed uc tio n in i ts b en efi t. H ow ev er , p er fo rm an ce wa s s til l b et ter a t fir st-c ue d lo ca tio ns t ha n a t un cue d a nd n eu tra l lo ca tio ns, in dic at in g t ha t t he fir st c ue b en efi t mig ht h av e b een p res er ve d b ot h p ar tia lly un der a ut om at ic co nt ro l an d p ar tia lly un der v ol un ta ry co nt ro l. C on clu sion Th e p res en t s tud y h as dem on stra te d t ha t p ar tici pa nts c an s hift s pa tia l a tten tio n b et w een VWM r ep res en ta tio ns, a nd s eq uen tia l a tten tio n co nt ro l en ab le a sta te o f r ob us tn es s t o b e ac hie ve d f or m ul tip le VWM r ep res en ta tio ns. F ut ur e r es ea rc h i s n ee de d t o det er min e w het her t hes e eff ec ts g en era lize t o f ea tur e-ba se d a tten tio n. W e a re n ow co nd uc tin g exp er im en ts t o c la rif y t hi s i ss ue . Fr on tier s in Psy ch olog y 5: 965 8 林 大輔 * 村上郁也 知覚 される 方 位 を 持 たない 刺激 によるコ ントラスト 検 出 の 促進 【 目的 】物体認識 の 第一段階 である 局所的 な 方位刺激 の 検出 は ，周辺 に 同一線性 を 持 った 刺激 があると 促進 される （ C ol lin ea r Faci lit at io n 効 果： CF 効 果 ）． た と え ば ， 上 下 に 濃 い 縦 縞（ フ ラ ン カ ー ） が あ る と ， 中 心 に 呈 示 さ れ た 薄 い 縦 縞（ タ ー ゲ ッ ト ） が ， 上 下 に 横 縞 が あ る 場合 に 比 べて 検出 しやすくなる ．本研究 では ，先行研究 では 用 いられてこなかった ，知覚 される 方位 を 持 たないフランカーを 用 いて 実 験 を 行 うことで ， CF 効果 に 重要 な 同一線性 が ，視覚処理過程 のどの 段階 におけるものかを 調 べることを 目的 とした ．【方法】縦縞 のター ゲットを 用 いて ， その 上下 にフランカーを 呈示 した ．知覚 される 方位 を 持 たないフランカーとして ，実験 1 では 同心円 を 用 いた ．実験 2 では ， マス ク 刺激 によ る 両眼 間抑制 を 用 いて ， フラ ンカー の 持 つ 方位 を 知 覚 できな くした ．【 結果 】実験 1 で も 実験 2 でも ， フラ ンカー が 知覚 される 方位 を 持 たなくても ， フランカーが 縦 の 方位情報 を 持 っていれば ，横縞 の 条件 に 比 べてターゲットが 検出 しやすくなった ． 【結論】本研究 の 結果 から ，無意識的 で 自動的 な 処理段階 における 同一線性 が ，方位刺激 の 検出 の 促進 に 重要 であることが 示 された ． Jo ur na l o f V isio n 15（ 15 ）: 15

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妨げるだけでなく大学事務の負担も高め，大学の生産性

を大きく下げる要因となりえる。若手会では現在この問

題の改善に何らかの貢献ができないか検討中である。

今後の活動

2017年度も日本基礎心理学会第36回大会準備委員会

の協力のもと，立命館大学を会場としてオーラルセッ

ションを

行う予定である。2016年度の本大会総会で第

36回大会実行委員長佐藤隆夫氏から報告があったとお

り，2017年度の基礎心本大会は例年と異なり3日間行わ

れる。これにともない，サテライトオーラルセッション

は名称から「サテライト」が取れ，本大会初日の公式イ

ベントとなる。しかしセッションの運営はこれまで通り

若手会が行い，審査方針も大きくは変わらない見込みで

ある。回を重ねるごとに聴講者も増え，知名度・注目度

共に高まりつつある本イベントに，我こそはという多く

の方々に是非ご応募いただきたい。

若手会は今後も若手の研究・教育を促進する活動に取

り組み，基礎心理学分野全体の競争力の向上に貢献して

いく所存である。

引用文献

和田有史 （2015）．「若手研究者特別委員会」の発足とそ

の

活動―第 33回大会サテライトオーラルセッショ

ンを中心に― 基礎心理学研究，34, 173–175.

和田有史 （2016）．2015年度の「若手研究者特別委員会」

の活動 基礎心理学研究，34, 286–289.