極低出生体重児における1 歳6 ヵ月・3 歳時の問診評価と6 歳時発達の関連
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(2) 極低出生体重児における幼児期の問診評価と 6 歳時発達. 91. 図 1 対象選定の流れと対象児の出生・入院中の背景因子 TD: typically development, AD: atypically development (IQ < 80), ASD: autistic spectrum disorder, CP: cerebral palsy † :平均値±標準偏差,‡:中央値(最小値−最大値). 特徴など)の情報は,養育者が問診用紙に回答した内容 およびその回答を契機とした直接的な問診や診察によっ. 対象および方法. て得られるものである。また,問診用紙に設けられた自. 1.対象. 由記載の欄には,低出生体重で出生した児をもつ養育者. 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター新生. の具体的な悩みや不安が記載されると考えられ,問診票. 児科にて出生し,入院・加療した児が登録されるデータ. への回答はフォローアップにおける重要な一次的情報と. ベース(長野県立こども病院低出生体重児データベー. なる。. ス)より,1)在胎週数 37 週未満かつ出生時体重 1,500 g. 重要な情報が多く含まれるフォローアップ検診時の問. 未満,2)2016 年 3 月末において 6 歳に達しており,6. 診評価であるが,その回答を集計し,具体的な発達・予. 歳時フォローアップ健診にて発達状況が把握できてい. 後との関連を検討した報告はみられない。本研究では,. る,3)1 歳 6 ヵ月時および 3 歳時点におけるフォロー. 1 歳 6 ヵ月時および 3 歳時に実施された問診評価の結果. アップ健診にて養育者に対する問診評価が実施されてい. を集計し,それぞれの時期の回答の傾向と 6 歳時点の発. る,の 3 条件を満たす児を抽出し対象とした。対象選定. 達状況との関連を分析することで,問診票における各設. の流れと,対象児の出生・入院中の背景因子について図. 問の重要性を検討した。また,養育者が問診票の自由記. 1 に示す。. 載欄に記述する単語を抽出・集計し,その出現頻度にお いて疾患別に特徴的な偏りが見られるかを検討した。本. 2.養育者による問診用紙への回答. 研究により,極低出生体重児の発達特性について理解を. 1 歳 6 ヵ月時,3 歳時のフォローアップ健診で用いた. 深め,発達障害およびそのリスクの早期発見と早期療育. 問診用紙は,ハイリスク児フォローアップ研究会のホー. 介入への知見につなげる。. ムページ. 7). よりダウンロードした。各フォローアップ. 健診受診に際し,同伴した養育者に回答を依頼した。1.
(3) 92. 理学療法学 第 46 巻第 2 号. 歳 6 ヵ月時問診では,22 項目の設問に対して「はい」 ,. れぞれの項目について Fisher の正確確率検定(性別,. 「いいえ」,「不明」から回答を選択してもらい,2 項目. 人工呼吸器使用の有無),一元配置分散分析(在胎週数),. (集団保育の利用状況,家族構成)については複数の選. Kruskal-Wallis test(出生時体重,Apgar score,人工呼. 択肢から該当するものを選択してもらった。自由記載項. 吸器管理期間,在院日数)を用いて群間比較した。. 目においては「お子さんを育てるうえで心配なことや健. 2)問診評価の比較. 診で聞きたいことがある場合にはお書きください」とし. 1 歳 6 ヵ月時の問診評価については表 1 に示した 24. て,空欄への記述をお願いした。3 歳時問診では,25 項. 項目,3 歳児の問診評価については表 2 に示した 27 項. 目について「はい」,「いいえ」,「不明」から回答を選択. 目の設問を解析対象とし,各設問への回答数を群別に集. してもらい,5 項目(食事の頻度,排泄コントロール,. 計した。集計した回答数に基づき,すべての選択肢につ. 集団保育の利用状況,気になる癖,家族構成,養育者の. いて群毎に分割表を作成し,Fisher の正確確率検定を. 教育歴)については複数の選択肢から該当するものを選. 用いて,TD 群と各群(AD 群,ASD 群,CP 群)の回. 択してもらった。自由記載項目においては「他にお子さ. 答割合の差を検定した。検定において,多重検定による. んのことで心配なことや健診で聞きたいことがある場合. 第一種過誤の影響を考慮し,有意確率(p 値)に対して. にはお書きください」として,空欄への記述をお願いし. Benjamini-Hochberg 法 に よ る 補 正 を 行 っ た。 ま た,. た。回答内容は表計算ソフトを用いて入力・集計し,ま. Fisher の正確確率検定によって回答割合に有意な差を. た自由記載項目への記述内容はテキストデータとして入. 認めた各選択肢については,有疾患割合の比をもとめ,. 力した。. それぞれの群の TD 群に対するリスク比として算出し た。例を挙げると,ある設問に対し「はい」と回答した. 3.6 歳時の発達評価. 数が TD 群で 40 名,CP 群で 7 名であった場合, 「はい」. 6 歳時点の発達評価は,発達外来における医師の診察. の選択肢における有疾患割合は 7/47 = 0.15 となる。同. および Wechsler Intelligence Scale for Children(以下,. 様に,「いいえ」と回答した数が TD 群で 100 名,CP. WISC)による知能指数(intelligence quotient;以下,. 群で 2 名であった場合, 「いいえ」の選択肢における有. IQ)の評価によって行った。WISC は 5 歳 0 ヵ月∼ 16. 疾 患 割 合 は 2/102 = 0.02 と な り, 有 疾 患 割 合 の 比. 歳 11 ヵ月の児に適用される分析的知能検査であり,言. (0.15/0.02 = 7.5)をもとめてリスク比とした。この場合,. 語性 IQ,動作性 IQ,全検査 IQ が,それぞれ同じ年齢. 「はい」という回答において 6 歳時点の CP 診断のリス. 集団のなかでの相対的位置を示す偏差 IQ(平均 100,1 標準偏差 15)として評価される. 9)10). 。検査は長野県立. クが 7.5 倍になると解釈することができる。 3)自由記述の計量テキスト分析. こども病院の言語聴覚士および臨床心理士が実施し,. 養育者が問診票の自由記載欄に記述する単語につい. IQ80 以上を正常,70 ∼ 79 を境界,69 以下を遅滞とした。. て,疾患別に特徴的な偏りが見られるかを探索するた. 6 歳時の診断名は,WISC の結果に加え,MRI や CT な. め,自由記述の計量テキスト分析を行った。樋口 17). 16). や. の方法を参考に,1 歳 6 ヵ月時および 3 歳時. どの脳画像所見,反射検査などの神経学的評価,精神. 垣内ら. 障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical. 問診における設問「お子さんを育てるうえで心配なこと. 11)12). Manual of Mental Disorders;DSM). を基準とし,. や健診で聞きたいことがある場合にはお書きください」. 長野県立こども病院の小児神経科医によって脳性麻痺. に対して回答された自由記述の文章から名詞のみを抽出. (cerebral palsy;以下,CP)および自閉症スペクトラ. し,その出現頻度を集計した。文章から単語単位への分. ム障害(autism spectrum disorder;以下,ASD)の診. 割および単語の品詞の判定には,オープンソースの形態. 13‒15). と同. 素解析ソフト MeCab(ver0.996)を使用し,単語への. 様に,6 歳時に特別な診断名がなく全検査 IQ が 80 以上. 分割が不十分な箇所については適宜手動で修正した. の児を定型発達(typical development;以下,TD) ,全. (例:「かん」 「しゃく」→「かんしゃく」など)。ただし,. 検査 IQ が 80 未満の児を非定型発達群(atypical develop-. 名詞の中で 1 文字の単語,およびよく使われるがあまり. ment;以下,AD)と定義した。. 意味をもたない単語(「まま」, 「よう」, 「こと」, 「ほう」,. 断が確定された。また,本研究では先行研究. 「ところ」,「とき」 ,「せい」 ,「もの」 )は集計から除外 4.解析. した。集計結果に基づき,出現頻度の高かった名詞 5 件. 1)出生・入院中の背景因子の比較. について群別の内訳を算出した。. 6 歳時フォローアップ健診における発達評価の結果か ら,対象を 4 群(TD 群,AD 群,ASD 群,CP 群)に. 5.倫理的配慮. 分類し,出生・入院中の背景因子について正規性の検定. 本研究の実施にあたり,東京大学(10-67) ,長野県立. (Shapiro-Wilk test)を行った。その結果に基づき,そ. こども病院(25-35) ,鳥取大学(29-02)の倫理委員会承.
(4) 極低出生体重児における幼児期の問診評価と 6 歳時発達. 93. 表 1 1 歳 6 ヵ月時問診評価における解析対象設問の内容 設問番号. 設問内容. 1‒1. 入院するような病気にかかりましたか. 1‒2. 気管支喘息のような,よくかかる病気がありますか. 1‒3. ひきつけを起こしたことがありますか. 1‒4. そのとき高熱がありましたか. 1‒5. 食事は 1 日 回. 1‒6. 生活のリズムや睡眠時間のことで心配がありますか. 2‒1. ひとり歩き(2,3 歩)を歩きはじめたのはいつ頃ですか. 2‒2. かなりよく走りますか. 2‒3. 片手を引いてあげれば階段を昇りますか. 2‒4. 干しぶどうのような小さいものを指先でつまみますか. 2‒5. 自分でスプーンを使って食べようとしますか. 3‒1. 鉛筆やクレヨンで殴り書きをしますか. 3‒2. 積み木を 2,3 個重ねますか. 3‒3. 車を走らせたり,人形を抱いたりして遊びますか. 3‒4 4‒1. くしやハブラシを使うまねをしますか 「ワンワン」など,意味のある単語がいえますか. 4‒2. 絵本を見て,知っている物の名前をいったり指したりしますか. 4‒3. 自分の名前を呼ばれると「はい」と返事をしますか. 4‒4. 簡単ないいつけを理解して実行できますか(「新聞を持ってきて」など). 5‒1. 他の子どもに関心を示しますか. 5‒2. 同じくらいの年齢の子どもと比べて,とても落ち着きがないと思いますか. 5‒3. 食事の間もじっとしていないで,動き回っていますか. 6‒1. 音に反応しにくい,テレビの音を大きくするなど,聞こえに関する心配がありますか. 6‒2. テレビをいつも近づいて見るなど,眼が悪いのではないかとの心配がありますか. AD:atypically development(IQ < 80) ,ASD:autistic spectrum disorder,CP:cerebral palsy. 認を得た。また,対象児の保護者には情報の取り扱いに. 2.1 歳 6 ヵ月時,3 歳時問診評価と 6 歳時発達. ついて,紙面および口頭にて説明し署名による同意を得. 1 歳 6 ヵ月時,3 歳時問診評価において,解析対象と. て実施した。. した設問の内容および各群(AD 群,ASD 群,CP 群). 結 果. における回答割合が TD 群と比較して有意に高かった選 択肢を表 1 および表 2 に示す。1 歳 6 ヵ月時問診では,. 1.6 歳時発達状況と出生・入院中の背景因子. 解析対象とした全設問において TD 群と各群の回答割合. 6 歳時フォローアップ健診の結果,140 例が TD(TD. に有意な差を認めなかった。3 歳時問診においては,. 群),38 例が AD(AD 群) ,25 例が ASD(ASD 群),9. AD 群で「 「ワンワン来た」などの二語文がいえますか」. 例が CP(CP 群)と評価・診断された(ASD 群 25 例中. に対する「いいえ」回答の割合が,TD 群と比較して有. の 7 例,CP 群 9 例中の 7 例については,3 歳時健診時. 意に高かった。ASD 群では,「走れますか」,「積み木で. 点で診断されていた) 。CP 群に分類された 9 例の麻痺. 家などをつくって遊びますか」 ,「ひとつのマルを書きま. のタイプは,片麻痺 2 例,両麻痺 6 例,四肢麻痺 1 例で. すか」,「「ワンワン来た」などの二語文がいえますか」,. あり,粗大運動能力分類システムによるレベルではⅡ. 「自分の姓と名前をいえますか」に対する「いいえ」回. (制限を伴って歩く)が 5 例,Ⅲ(手に持つ移動器具を. 答の割合が,TD 群と比較して有意に高かった。CP 群. 使用して歩く)が 3 例,Ⅳ(制限を伴って自力移動;電. では,「走れますか」 ,「両足をそろえて,ぴょんぴょん. 動の移動手段を使用してもよい)が 1 例であった。また,. 跳びますか」,「足を交互に出して階段を昇りますか」に. ASD 群 25 例のうち 14 例,CP 群 9 例のうち 4 例は IQ. 対する「いいえ」の回答割合が,TD 群に比較して有意. が 80 未満であった。各群の出生・入院中の背景因子を. に高かった。. 表 3 に示す。いずれの項目においても,各群間に有意な 差は認めなかった。.
(5) 94. 理学療法学 第 46 巻第 2 号. 表 2 3 歳時問診評価における解析対象設問の内容と各群における回答割合が有意に高かった選択肢 設問番号 1-2. 生活のリズムや睡眠時間のことで心配がありますか. 1-3. 入院するような病気にかかりましたか. 1-4. 気管支喘息のような,よくかかる病気がありますか. 1-5-a. ひきつけを起こしたことがありますか. 1-5-b 2-1-a 2-1-b 2-2. †. 走れますか. ASD 群. CP 群. いいえ */ 4.3. いいえ **/ 27.8. 歩き方や,走り方がおかしいという心配がありますか いいえ **/ 66.5. 両足をそろえて,ぴょんぴょん跳びますか 三輪車のかじをとって,押して歩きますか. 2-4. 三輪車に乗ってこげますか. 2-6. AD 群. そのとき高熱がありましたか †. 2-3. 2-5. 回答割合が有意に高かった選択肢/リスク比. 設問内容. 滑り台に登って,滑りますか †. いいえ **/ 17.4. 足を交互に出して階段を昇りますか 積み木を横に 2 ‒ 3 個ならべますか. 3-1 3-2. †. 積み木で家などをつくって遊びますか. いいえ **/ 4.3. 3-3. †. ひとつのマルを書きますか. いいえ **/ 5.7. 4-1. 「おしっこ」を教えますか. 4-2. ほとんどこぼさないで,ひとりで食べますか. 5-1. †. 5-2. †. いいえ */ 3.7. 「ワンワン来た」などの二語文がいえますか. いいえ **/ 6.7 いいえ */ 3.4. 自分の姓と名前をいえますか. 5-3. 発音が気になりますか. 5-4. 音に反応しにくい,テレビの音を大きくするなど,聞こえに関す る心配がありますか. 5-5. テレビをいつも近づいて見るなど,眼が悪いのではないかとの心 配がありますか. 6-1. 仲良しのお友達がいますか. 6-2. 友達はできやすいほうですか. 6-3. 同じ位の年齢の子供と比べてとても落ち着きがなくじっとしてい ないと思いますか. 6-4. 遊んでいるときに,とても気が散りやすいですか. 7-2. 気になる癖はありますか. †. :TD 群と各群(AD 群,ASD 群,CP 群)の比較において,回答の割合に有意な差を認めた設問 *:p<0.05, **:p<0.01(いずれも Benjamini-Hochberg 法により補正した Fisher の正確確率検定を用いた分割表の検定における p 値) AD:atypically development(IQ < 80) ,ASD:autistic spectrum disorder,CP:cerebral palsy. 3.自由記載欄のテキスト解析. 件 )」,「 成 長(6 件 ) 」,「 自 分(5 件 ) 」,「 食 事(5 件 ) 」. 1 歳 6 ヵ月時問診の自由記載項目に対して記述した養. の 5 つであった(表 4)。. 育者は 212 名中 80 名(TD 群:48 名(34.3%) ,AD 群: 16 名(42.1 %) ,ASD 群:13 名(52.0 %),CP 群:3 名. 考 察. (33.3%) )であり,抽出された名詞の総数は 205 個であっ. 本研究では極低出生体重児 212 例とその養育者を対象. た。また,3 歳時問診の自由記載項目に対して記述した. とし,1 歳 6 ヵ月時および 3 歳時に実施された問診評価. 養育者は 212 名中 77 名(TD 群:50 名(35.7%) ,AD 群:. の結果と 6 歳時点の発達状況の関連について検討した。. 11 名(28.9 %) ,ASD 群:11 名(44.0 %),CP 群:5 名. ハイリスク児のフォローアップ健診に用いられている問. (55.6%) )であり,抽出された名詞の総数は 222 個であっ. 診評価は,罹病歴,家庭での生活,運動発達,社会性の. た。出現頻度が 5 回以上あった単語は,1 歳 6 ヵ月時問. 発達,言語発達,行動特性,視力・聴力の発達,集団保. 診の記述においては「心配(14 件) 」, 「言葉(8 件)」, 「落. 育の有無などを把握する目的を有しており,その後の神. ち着き(7 件) 」, 「発達(6 件)」, 「食事(5 件)」の 5 つ,. 経学的な診察・評価に有用な情報となる。また,問診評. 3 歳時問診の記述においては「言葉(8 件)」,「体重(6. 価の結果から 6 歳時点の発達を予測・推察することは,.
(6) 極低出生体重児における幼児期の問診評価と 6 歳時発達. 95. 表 3 6 歳時発達状況別の出生・入院中の背景因子 TD(n=140). AD(n=38). ASD(n=25). CP(n=9). p値. 58 / 82. 18 / 20. 17 / 8. 3/6. n.s. 29 週 1 日± 2 週 5 日. 28 週 5 日± 3 週 5 日. 28 週 4 日± 2 週 5 日. 28 週 2 日± 2 週 1 日. n.s. 1,066(492 ‒ 1,496). 948(448 ‒ 1,498). 977(435 ‒ 1,465). 1,090(629 ‒ 1,498). n.s. Apgar score:1 分. ‡, c. 6(1 ‒ 9). 6(1 ‒ 8). 6(1 ‒ 8). 6(2 ‒ 8). n.s. :5 分. ‡, c. 8(1 ‒ 10). 8(1 ‒ 9). 8(5 ‒ 9). 7(6 ‒ 9). n.s. 131. 36. 24. 9. n.s. :管理期間(日). 45(1 ‒ 138). 54(2 ‒ 191). 52.5(1 ‒ 105). 47(14 ‒ 98). n.s. 在院日数(日)‡, c. 72(13 ‒ 225). 81(14 ‒ 297). 90(34 ‒ 155). 92(32 ‒ 123). n.s. 6 歳時の全検査 IQ. 92(80 ‒ 123). 75(49 ‒ 79). 85.5(50 ‒ 106). 79(66 ‒ 98). 性別(男/女)a 在胎週数. †, b. 出生時体重(g)‡, c. 人工呼吸器:使用人数. a ‡, c. †. ‡. :平均値±標準偏差, :中央値(最小値−最大値) :Fisher の正確確率検定,b:一元配置分散分析,c:Kruskal-Wallis test TD:tipically development,AD:atypically development(IQ < 80) ,ASD:autistic spectrum disorder,CP:cerebral palsy n.s:not significant. a. 表 4 自由記述において出現頻度が高かった単語 1 歳 6 ヵ月時(n=80). 3 歳時(n=77). TD:48 例,AD:16 例,ASD:13 例,CP:3 例. TD:50 例,AD:11 例,ASD:11 例,CP:5 例. 単語. 件数(内訳:TD / AD / ASD / CP). 単語. 件数(内訳:TD / AD / ASD / CP). 心配. 14(8 / 2 / 4 / 0). 言葉. 8(6 / 0 / 2 / 0). 言葉. 8(3 / 3 / 0 / 2). 体重. 6(4 / 1 / 1 / 0). 落ち着き. 7(7 / 0 / 0 / 0). 成長. 6(3 / 3 / 0 / 0). 発達. 6(4 / 1 / 0 / 1). 自分. 5(3 / 0 / 2 / 0). 食事. 5(2 / 2 / 1 / 0). 食事. 5(1 / 1 / 2 / 1). AD:atypically development(IQ<80) ,ASD:autistic spectrum disorder,CP:cerebral palsy. 児や養育者に必要な療育の計画立案・実施を早期から展. の回答割合は,TD 群と比べて有意な差を認めなかった。. 開するにあたって重要となる。. 河野らは,出生時体重 2,000 g 未満の低出生体重児を対. 本研究において,対象 212 例における 6 歳時の発達状. 象に運動発達の緩徐さを報告している. 況 は TD が 140 例,AD(IQ < 80) が 38 例,ASD が. らは極低出生体重児を対象に修正 1 歳 6 ヵ月時の発達を. 25 例,CP が 9 例となった。1 歳 6 ヵ月時問診における. 検討し,新版 K 式発達検査における姿勢−運動,認知. 回答を集計・解析した結果,すべての設問において TD. −適応,言語−社会,全領域の発達指数の低さを示して. 群と各群の間で回答の割合に有意な差は認めなかった。. いる. ハイリスク児フォローアップ研究会のプロトコルにおい. 歳 6 ヵ月時問診に含まれる課題は未達成な( 「いいえ」. ては,1 歳 6 ヵ月時フォローアップ健診における発達の. と回答する)場合が多く,このような傾向によって群間. チェックポイントとして,歩行,有意語,指さしが挙げ. における回答の偏りに有意差を認めず,リスク比もさほ. られている. 8). 。歩行能力に関する設問として, 「ひとり. 18). 。また,神谷. 19). 。本研究で TD 群に分類された児においても,1. ど高くならなかったと考えられた。. 歩き(2,3 歩)をはじめたのはいつ頃ですか」 ,「かな. 3 歳時フォローアップ健診における発達のチェックポ. りよく走りますか」,「片手を引いてあげれば階段を昇り. イントとして,姓名・年齢がいえる,二語文をいえる,. ますか」が挙げられるが,疾患特性として運動機能障害. 積み木積み,丸の大小判別などが挙げられている. が主となる CP 群においても,これらの設問に対する. 研究の結果では,AD 群と ASD 群において「「ワンワン. 「いいえ」回答の項目は,TD 群と比較して有意に高く. 来た」などの二語文がいえますか」に対する「いいえ」. はなかった。また,有意語や指さしに関する設問として,. 8). 。本. 回答の割合,さらに ASD 群では「自分の姓と名前をい. 「「ワンワン」など意味のある単語がいえますか」,「絵本. えますか」に対する「いいえ」回答の割合が TD 群と比. を見て,知っている物の名前をいったり指したりします. 較して有意に高かった。本研究の ASD 群 25 例におい. か」など知的発達や言語発達を反映するものがあるが,. ては,14 例(56%)が IQ80 未満の児であり,これらの. AD 群,ASD 群におけるこれらの設問に対する「いいえ」. 結果は AD 群と ASD 群における認知機能や言語発達の.
(7) 96. 理学療法学 第 46 巻第 2 号. 遅れを反映したものと考えられた。また,ASD 群にお. 量テキスト解析を適用する新しい試みを行ったが,抽出. いては, 「走れますか」,「積み木で家などをつくって遊. された単語のサンプル数が十分とは言い難かった。今. びますか」,「ひとつのマルを書きますか」に対する「い. 後,より大規模なテキストデータを蓄積し,疾患との関. いえ」回答の割合が TD 群と比較して有意に高かった。. 連や低出生体重児を養育する養育者が抱える不安などに. Kihara らは,極低出生体重児を対象に,ASD 児が乳児. ついても検討を進める。また,単語の出現頻度だけでな. 20). く,どのような文脈で使用されているかなどについても. 期から運動発達に遅れを示すことを報告している. 。. また,Sumner らは ASD に発達性協調運動障害が高率 に合併することを報告している. 解析・検討していく必要がある。. 21). 。本研究の ASD 群で. 運動機能に関する設問に高いリスク比を示したことは,. 結 論. これらの研究と同様に ASD 群における運動発達の遅れ. 極低出生体重児 212 例とその養育者を対象に,1 歳 6 ヵ. や変調を反映した可能性が示唆された。CP 群において. 月・3 歳時に実施された問診評価の結果と,6 歳時の発. は,「走れますか」,「両足をそろえて,ぴょんぴょん跳. 達状況の関連について検討した。3 歳時の問診において. びますか」 ,「脚を交互に出して階段を昇りますか」と. は,認知機能や言語機能,運動機能に関する設問に対し. いった,特に下肢の粗大運動機能を反映する設問におい. て,その運動(行為)や活動の能力が未熟なことを意味. て,「いいえ」回答の割合が TD 群と比較して有意に高. する「いいえ」の回答割合が,TD 群と比較して AD 群,. く,リスク比も高値であった。CP の診断は 3 歳以前に. ASD 群,CP 群で有意に高く,リスク比も高かった。極. 確定されることが多く,本研究の結果からもその疾患・. 低出生体重児の養育者に対する問診評価は,ハイリスク. 障害特性が 3 歳時点で明確に出現していることが示唆さ. 児を適切にフォローアップし,その後の発達を支援する. れた。. 上で有用な情報を多く含んでいると考えられ,その傾向. 自由記載項目は,1 歳 6 ヵ月時問診で 80 名,3 歳時問. は 1 歳 6 ヵ月時の問診よりも 3 歳時の問診に顕著である. 診で 77 名の養育者が回答を記入しており,記入率は有. ことが示された。. 疾患群で高い傾向があった。これは,児が極低出生体重 で出生したことに加え,疾患に関連した何らかの行動特 性や養育者の育児不安などが存在する可能性を示唆し. 利益相反 開示すべき利益相反はない。. た。しかしながら,単語毎における群別の内訳では,特 に顕著な偏りは見られなかった。小枝は,5 歳時点で軽. 謝辞:本研究は東京大学大学院教育学研究科附属発達保. 度精神遅滞,広汎性発達障害,注意欠如・多動性障害の. 育実践政策学センター関連 SEEDS プロジェクト(2015. 診断があった児のうち,約半数が 3 歳時健診時点におい. ∼ 2017 年度,課題代表者:多賀厳太郎)および文科省科. て発達上の問題が指摘されていなかったと報告してい. 研費(研究課題番号:16K16620(儀間裕貴) ,24119002. る. 22). 。AD や ASD を幼児期に診断することは容易では. なく,その疾患特性がまだ顕著でない場合も多い。また, 養育者の自由記述回答は,児の疾患特性に関連したこと だけでなく,育児に関する不安や悩みなどが記述される ことも多い。回答の有無がその後の発達と関連している かについて,本研究の結果から言及することは難しい が,自由記述の内容に基づき,より具体的な問診や評 価・診察を行うことの重要性が示唆された。 本研究では,「不明」の回答が「まったくわからない」 か「どちらともいえない」のどちらの意味で選択された かによって結果の解釈が異なるため,解析対象から除外 した。しかし, 「不明」の回答は,児と養育者の関係性や, 児の発達状況に関する養育者の理解度等と関連している 可能性もあり,今後検討していく必要がある。また,本 研究では 6 歳時の発達評価において,注意欠如・多動性 障害の診断を行っていない。問診票では,注意欠如・多 動性障害の特性を反映すると考えられる設問もあり,こ れらの設問に対する回答と 6 歳時点の行動特性について も検討していく。本研究では,自由記述のテキストに計. (多賀厳太郎) )の補助を受けて行われた。 文 献 1)厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当):平成 30 年 我が国の人口動態.2018. 2)Kusuda S, Fujimura M, et al.: Trends in morbidity and mortality among very-low-birth-weight infants from 2003 to 2008 in Japan. Pediatr Res. 2012; 72(5): 531‒538. 3)上谷良行:2005 年出生の超低出生体重児 6 歳時予後全国 調査の実施.平成 24 年度厚生労働科学研究「重症新生児 のアウトカム改善に関する多施設共同研究」報告書.2013; 80‒86. 4)板橋家頭央,宮沢篤生,他:日本小児科学会新生児委員会 報告,2010 年に出生した超低出生体重児の死亡率.日本 小児科学会雑誌.2016; 120: 1254‒1264. 5)Johnson S, Hollis C, et al.: Psychiatric disorders in extremely preterm children: longitudinal finding at age 11 years in the EPICure study. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2010; 49(5): 453‒463. 6)Johnson S, Marlow N: Preterm birth and childhood psychiatric disorders. Pediatr Res. 2011; 69(5): 11R‒18R. 7)ハイリスク児フォローアップ研究会ホームページ.http:// highrisk-followup.jp/search/(2018 年 4 月 10 日引用) 8)厚生労働科学研究「周産期ネットワーク・フォローアップ.
(8) 極低出生体重児における幼児期の問診評価と 6 歳時発達. 研究」班:ハイリスク児のフォローアップマニュアル─小 さく生まれた子どもたちへの支援─.メジカルビュー社, 東京,2007,pp. 88‒109, 199‒200. 9)Wechsler D: Wechsler Intelligence Scale for Children, Third Edition. Psychological Corporation, San Antonio, 1991. 10)Wechsler D: Wechsler Intelligence Scale for Children, Fourth Edition. Psychological Corporation, San Antonio, 2003. 11)American Psychiatric Association:DSM-IV-TR,精神疾 患の分類と診断の手引き.高橋三郎,大野 裕,他(訳) , 医学書院,東京,2003. 12)American Psychiatric Association:DSM-5, 精 神 疾 患 の 分類と診断の手引き.日本精神神経学会(監修),高橋三 郎,大野 裕(監訳),医学書院,東京,2014. 13)儀 間 裕 貴, 木 原 秀 樹, 他: 極 低 出 生 体 重 児 に 対 す る Dubowitz 神経学的評価と修正 6 歳時点の発達の関係.日 本周産期・新生児医学会雑誌.2015; 51(3): 981‒988. 14)儀 間 裕 貴, 渡 辺 は ま, 他: 極 低 出 生 体 重 児 に お け る Fidgety movements 評価と四肢自発運動特性.理学療法 学.2017; 44(2): 115‒123. 15)Gima H, Kihara H, et al.: Early motor signs of autism spectrum disorder in spontaneous position and movement of the head. Exp Brain Res. 2018; 236(4): 1139‒1148.. 97. 16)樋口耕一:社会調査のための計量テキスト分析─内容分析 の継承と発展を目指して.ナカニシヤ出版,京都,2014. 17)垣内シサエ,中村則子,他:名古屋学芸大学短期大学部学 生のメディカル実習における学びと今後の課題─実習後ア ンケート・実習評価・実習記録から─.名古屋学芸大学短 期大学部研究紀要.2017; 14: 18‒32. 18)河野由美,三科 潤,他:育児不安軽減を目的とした低 出生体重児の運動発達指標の作成.小児保険研究.2005; 64(2): 258‒264. 19)神谷 猛,森嶋直人,他:極低出生体重児 176 例の 3 歳に おける発達予後.愛知県理学療法学会誌.2011; 23(1): 5‒9. 20)Kihara H, Nakamura T: Early standard development assessment characteristics in very low birth weight infants later classified with autism spectrum disorder. Early Hum Dev. 2015; 91(6): 357‒359. 21)Sumner E, Leonard HC, et al.: Overlapping Phenotypes in Autism Spectrum Disorder and Developmental Coordination Disorder: A Cross-Syndrome Comparison of Motor and Social Skills. J Autism Dev Disord. 2016; 46(8): 2609‒2620. 22)小枝達也:注意欠陥 / 多動性障害と学習障害の早期発見に ついて─鳥取県における 5 歳児健診の取り組みと提案─. 脳と発達.2005; 37: 145‒149..
(9) 98. 理学療法学 第 46 巻第 2 号. 〈Abstract〉. Relationship between Medical Interview Sheet Assessments at 18 Months and 3 Years of Age and Development at 6 Years of Age in Very Low Birth Weight Infants. Hirotaka GIMA, PT, PhD Tottori University Hirotaka GIMA, PT, PhD, Hiroyuki KUROMIYA, MS, Hama WATANABE, PhD, Gentaro TAGA, PhD The University of Tokyo Tomohiko NAKAMURA, MD, PhD Nagano Children’s Hospital. Purpose: This study aimed to investigate the relationship between medical interview sheet assessment at 18 months and 3 years old created by Japan Neonatal Follow-up Study Group and development at 6 years old in very low birth weight infants [VLBWI]. Methods: Two hundred and twelve VLBWI and their parent were included in this study. First, we aggregated and analyzed the data of the medical interview sheet assessment for parents carried out when the child was 18 months and 3 years old. Second, we classified the participants into four groups (typically developing [TD], atypically developing [AD] (intelligence quotient < 80), autism spectrum disorder [ASD], and cerebral palsy [CP]) based on the development at the age of 6 years. Finally, we prepared a contingency table for each option on the medical interview sheet and examined the difference in responses ratio and the risk ratio of each group compared with TD group. Furthermore, for the response to the free description column, the frequency of appearance of the word was examined. Results: In the medical interview sheet assessment at the age of 3 years, high risk ratios were shown in the option of questions concerning cognitive, language and motor function in each group. In addition, the results of the statistical test on the contingency table were significant (p<0.05). In the AD, ASD, and CP group, the response rate to the free description column was high. Conclusion: The results of medical interview sheet assessment were related to later development, and it was considered to be an important assessment in development follow-up of VLBWI. Key Words: Very low birth weight infants, Medical interview sheet assessments, Autism spectrum disorder, Cerebral palsy.
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