チーム医療としてのリハビリテーション栄養の実践
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(2) 672. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 分岐鎖アミノ酸を含む栄養剤摂取の併用がもっとも効果的であ る。活動には,不要な安静臥床や禁食を避けて,早期離床や早 期経口摂取を徹底して行うことが重要である。栄養には,1 日 エネルギー必要量= 1 日エネルギー消費量+エネルギー蓄積量 (1 日 200 ~ 750 kcal)として,栄養改善をめざす攻めの栄養管 理を行う。疾患には,原疾患の治療とともに栄養療法,運動療 法,薬物療法を含めた包括的な対応を行う。悪液質の場合,運 動療法の抗炎症作用で慢性炎症を改善させるアプローチが重要 である。 サルコペニアの原因が加齢,活動,栄養,疾患であるため, 理学療法のみですべてのサルコペニアに対応することは不可能 である。少なくとも原疾患の治療および栄養療法の併用はかか せない。そのため,サルコペニアに対するリハ栄養では,多職. 図 NST 専門療法士人数 2010 年から理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が NST 専門療法士を取得可能となった.2013 年までは増加傾向で あったが,2014 年は 3 職種とも減少した.. 種でサルコペニアの原因を考えて対応するチーム医療が必要で ある。. チーム医療としてのリハビリテーション栄養. リハカンファレンスに管理栄養士が必ず参加することが望まし い。管理栄養士がリハカンファレンスに参加していない場合に. 栄 養 サ ポ ー ト チ ー ム(Nutrition Support Team; 以 下,. は,理学療法士から管理栄養士に声をかけてほしい。NST が. NST)には,理学療法士の参加が必要である。理学療法を含め. ある場合には,NST に理学療法士が参加することが望ましい。. た活動量,筋緊張,不随意運動などを考慮した活動係数を,理. 施設や在宅では理想的な多職種が揃うことは稀であり,多職. 学療法士が NST で提示することでよりよい栄養管理が可能と. 種の連携体制をつくりにくい。そのため,理学療法士+ 1 職種. なる。一回の食事摂取量が少ない方の場合には,理学療法中~. 以上で「リハからみた栄養」の立場と「栄養からみたリハ」の. 直後に栄養剤を飲むことを提案するとよい。理学療法士は「リ. 立場に分かれて話し合うことが望ましい。特に施設や在宅では. ハからみた栄養」の視点で NST に貢献できる。. 職種の壁を越えて,栄養やリハ栄養に関心をもって実践してほ. 一方,「栄養からみたリハ」の視点もかかせない。たとえば. しい。. 飢餓,高度侵襲,不応性悪液質で低栄養の場合,今後の栄養状. リハ栄養の実践では,栄養からみたリハや運動内容の変更に. 態は悪化すると予測できる。この状況で筋肉量増加目的のレジ. 関する提案を,管理栄養士から理学療法士に行うことが少なく. スタンストレーニングや,持久力増加目的の持久性トレーニン. ない。一方,リハからみた栄養管理の変更に関する提案を,理. グを行うと,栄養状態が悪化して筋肉量,持久力も悪化するの. 学療法士から管理栄養士に行うことも少なくない。運動内容は. で禁忌である。食事直後に負荷の強いトレーニングを行うの. 理学療法士だけで決めるものではなく,栄養管理は管理栄養士. は,避けたほうがよい。. だけで決めるものではないことの認識が大切である。リハ栄養. 栄養管理・栄養療法のチーム医療では,「リハからみた栄養」. の実践がうまくいった症例の成功体験を,多職種で共有するこ. と「栄養からみたリハ」の 2 つの視点が重要である。少なくと. とが有用である。理学療法士の予測以上に,栄養改善で機能や. も管理栄養士と理学療法士がチームメンバーであることは,リ. 活動が改善した経験を共有すると,リハ栄養に関心をもつよう. ハ栄養実践の必要条件と考える。急性期病院では,NST に理. になりやすい。栄養はリハのバイタルサインと考えてほしい。. 学療法士が参加することが望ましい。当院では NST 回診,カ ンファレンスに理学療法士が参加し,NST 勉強会では理学療 法士が講師をしている。リハカンファレンスに管理栄養士が参 加することも有用である。 日本静脈経腸栄養学会では,主として静脈栄養・経腸栄養を 用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有している歯科 医師,管理栄養士,看護師,薬剤師,臨床検査技師,言語聴覚 士,理学療法士,作業療法士,歯科衛生士を NST 専門療法士 と認定している。日本静脈経腸栄養学会認定の NST 専門療法 士である理学療法士が,当院には 6 人いる。しかし,2015 年 4 月時点の NST 専門療法士人数は理学療法士 77 人,作業療法士 26 人,言語聴覚士 124 人しかいない(図)。管理栄養士,看護師, 薬剤師の NST 専門療法士が 1,000 人以上いることを考えると, きわめて少ない人数である。多くの理学療法士に NST 専門療 法士の取得をめざしてほしい。 回復期リハ病院では,管理栄養士が病棟専従で,全ケースの. 文 献 1) Wakabayashi H, Sakuma K: Rehabilitation nutrition for sarcopenia with disability: a combination of both rehabilitation and nutrition care management. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2014; 5: 269–277. 2) Cruz-Jentoft AJ, Baeyens JP, et al.: Sarcopenia: European consensus on definition and diagnosis: Report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People. Age Ageing. 2010; 39: 412–423. 3) Cruz-Jentoft AJ, Landi F, et al.: Prevalence of and interventions for sarcopenia in ageing adults: a systematic review. Report of the International Sarcopenia Initiative (EWGSOP and IWGS). Age Ageing. 2014; 43: 748–759. 4) Chen LK, Liu LK, et al.: Sarcopenia in Asia: consensus report of the asian working group for sarcopenia. J Am Med Dir Assoc. 2014; 15: 95–101. 5) Kawakami R, Murakami H, et al.: Calf circumference as a surrogate marker of muscle mass for diagnosing sarcopenia in Japanese men and women. Geriatr Gerontol Int. 2015; 15: 969–976..
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