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チーム医療としてのリハビリテーション栄養の実践

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 671 ~ 672 頁(2015 チーム医療としてのリハビリテーション栄養の実践 年). 671. 合同シンポジウム 5(日本静脈経腸栄養学会). チーム医療としてのリハビリテーション栄養の実践* 若 林 秀 隆 1) 溝 部 恵 美 2) 津戸佐季子 2) 渡 邉 直 子 2) 2) 2) 2) 下 田 隼 人 折 津 英 幸 染 谷 涼 子. リハビリテーション栄養. サルコペニア. リハビリテーション(以下,リハ)栄養とは,栄養状態. サルコペニアは進行性,全身性に認める筋肉量減少と筋力. も 含 め て 国 際 生 活 機 能 分 類(International Classification of. 低下であり,身体機能障害,QOL 低下,死のリスクを伴うと. Functioning, Disability and Health;以下,ICF)で評価を行っ. European Working Group on Sarcopenia in Older People(以. たうえで,障害者や高齢者の機能,活動,参加を最大限発揮で. 下,EWGSOP)で定義された 2)。以前は加齢による筋肉量減. きるような栄養管理を行うことである 1)。栄養障害を認める患. 少をサルコペニアとしていた。しかし現在の定義では,筋力低. 者ではリハの機能予後が悪く,理学療法と栄養管理の併用で機. 下もしくは身体機能低下を伴わない筋肉量減少は,前サルコペ. 能,活動,参加の改善をより期待できる。理学療法の臨床現場. ニアでありサルコペニアではない。. では,特に高齢者で低栄養やサルコペニアを認める患者が多い. EWGSOP では,筋肉量減少(例:若年の 2 標準偏差以下). ため,栄養管理・栄養療法が重要である。. を認め,筋力低下(例:握力:男性 30 kg 未満,女性 20 kg 未. 理学療法を行っている入院患者に低栄養が多い理由として,. 満)もしくは身体機能低下(例:歩行速度 0.8  m/s 未満)を認. 以下の 3 つが考えられる。①疾患発症前からの低栄養の可能性,. めた場合にサルコペニアと診断する. ②疾患発症時~急性期の侵襲による栄養状態悪化,③疾患発症. を用いたサルコペニア研究のレビュー論文では,地域在宅高. 後の不適切な栄養管理。リハ栄養管理のおもな内容は,低栄養. 齢者の 1 ~ 29%,長期ケア施設の 14 ~ 33%,急性期病院の. や不適切な栄養管理下におけるリハのリスク管理,リハの時間. 10%にサルコペニアを認めた 3)。. と負荷が増加した状況での適切な栄養管理,筋力・持久力など. 一方,Asian Working Group for Sarcopenia(以下,AWGS). のさらなる改善の 3 つである。. のサルコペニアの診断基準は,筋力低下(握力:男性 26  kg 未 1). 2). 。EWGSOP の診断基準. 。①栄養障害. 満,女性 18 kg 未満)もしくは身体機能低下(歩行速度 0.8 m/s. を認めるか評価する。なにが原因か評価する。②サルコペニア. 未満)を認め,筋肉量減少も認めた場合である 4)。AWGS の. を認めるか評価する。なにが原因か評価する。③摂食嚥下障害. 筋肉量減少のカットオフ値は,四肢骨格筋量(kg)÷身長(m). を認めるか評価する。④現在の栄養管理は適切か,今後の栄養. ÷身長(m)で計算した数値が DEXA(二重エネルギー X 線. 状態はどうなりそうか判断する。⑤機能改善を目標としたリハ. 吸収測定法)で男性 7.0  kg/m2,女性 5.4  kg/m2,BIA(生体. を実施できる栄養状態か評価する。今後の栄養状態は,栄養も. インピーダンス法)で男性 7.0 kg/m2,女性 5.7 kg/m2 である 4)。. 含めた全身状態と栄養管理の内容によって,改善,維持,悪化. 検査機器で筋肉量を評価できない場合には,下腿周囲長が男性. のいずれかと予測する。今後の栄養状態が悪化すると予測され. 34 cm 未満,女性 33 cm 未満を筋肉量減少の目安とする 5)。. る場合,体重,筋肉量,持久力は低下する可能性が高い。この. サルコペニアの原因は,加齢,活動,栄養,疾患に分類され. 状況で筋肉量増強目的のレジスタンストレーニングや持久力改. る 2)。加齢によるサルコペニアの確定的な要因は不明であるが,. 善目的の持久性トレーニングを行うと,かえって栄養状態が悪. 栄養,身体活動,ホルモン,炎症など多くの要因の関与が考え. 化して筋力や持久力が低下するので禁忌である。. られている。活動によるサルコペニアは,不活動,安静臥床,. リハ栄養評価のポイントは以下の 5 つである. 無重力などが原因で生じる廃用性筋萎縮である。栄養によるサ *. Practice of Rehabilitation Nutrition as a Team Medical Care 1) 横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科 (〒 232–0024 神奈川県横浜市南区浦舟町 4–57) Hidetaka Wakabayashi, MD: Yokohama City University Medical Center, Department of Rehabilitation Medicine 2) 横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション部 Megumi Mizobe, PT, Sakiko Tsudo, PT, Naoko Watanabe, PT, Hayato Shimoda, PT, Hideyuki Oritsu, PT, Ryoko Someya, PT: Yokohama City University Medical Center, Department of Rehabilitation Medicine キーワード:リハビリテーション栄養,サルコペニア,低栄養. ルコペニアは,飢餓でエネルギー摂取量がエネルギー消費量よ り少ない状態が続き,栄養不良となることである。疾患による サルコペニアには,急性炎症である侵襲,慢性炎症である悪液 質,神経筋疾患などの原疾患が含まれる。理学療法の臨床現場 でサルコペニアを認める患者では,複数の原因を認めることが 多い。 サルコペニアの治療はその原因によって異なり,リハ栄養の 考え方が有用である。加齢には,レジスタンストレーニングと.

(2) 672. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 分岐鎖アミノ酸を含む栄養剤摂取の併用がもっとも効果的であ る。活動には,不要な安静臥床や禁食を避けて,早期離床や早 期経口摂取を徹底して行うことが重要である。栄養には,1 日 エネルギー必要量= 1 日エネルギー消費量+エネルギー蓄積量 (1 日 200 ~ 750 kcal)として,栄養改善をめざす攻めの栄養管 理を行う。疾患には,原疾患の治療とともに栄養療法,運動療 法,薬物療法を含めた包括的な対応を行う。悪液質の場合,運 動療法の抗炎症作用で慢性炎症を改善させるアプローチが重要 である。 サルコペニアの原因が加齢,活動,栄養,疾患であるため, 理学療法のみですべてのサルコペニアに対応することは不可能 である。少なくとも原疾患の治療および栄養療法の併用はかか せない。そのため,サルコペニアに対するリハ栄養では,多職. 図 NST 専門療法士人数 2010 年から理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が NST 専門療法士を取得可能となった.2013 年までは増加傾向で あったが,2014 年は 3 職種とも減少した.. 種でサルコペニアの原因を考えて対応するチーム医療が必要で ある。. チーム医療としてのリハビリテーション栄養. リハカンファレンスに管理栄養士が必ず参加することが望まし い。管理栄養士がリハカンファレンスに参加していない場合に. 栄 養 サ ポ ー ト チ ー ム(Nutrition Support Team; 以 下,. は,理学療法士から管理栄養士に声をかけてほしい。NST が. NST)には,理学療法士の参加が必要である。理学療法を含め. ある場合には,NST に理学療法士が参加することが望ましい。. た活動量,筋緊張,不随意運動などを考慮した活動係数を,理. 施設や在宅では理想的な多職種が揃うことは稀であり,多職. 学療法士が NST で提示することでよりよい栄養管理が可能と. 種の連携体制をつくりにくい。そのため,理学療法士+ 1 職種. なる。一回の食事摂取量が少ない方の場合には,理学療法中~. 以上で「リハからみた栄養」の立場と「栄養からみたリハ」の. 直後に栄養剤を飲むことを提案するとよい。理学療法士は「リ. 立場に分かれて話し合うことが望ましい。特に施設や在宅では. ハからみた栄養」の視点で NST に貢献できる。. 職種の壁を越えて,栄養やリハ栄養に関心をもって実践してほ. 一方,「栄養からみたリハ」の視点もかかせない。たとえば. しい。. 飢餓,高度侵襲,不応性悪液質で低栄養の場合,今後の栄養状. リハ栄養の実践では,栄養からみたリハや運動内容の変更に. 態は悪化すると予測できる。この状況で筋肉量増加目的のレジ. 関する提案を,管理栄養士から理学療法士に行うことが少なく. スタンストレーニングや,持久力増加目的の持久性トレーニン. ない。一方,リハからみた栄養管理の変更に関する提案を,理. グを行うと,栄養状態が悪化して筋肉量,持久力も悪化するの. 学療法士から管理栄養士に行うことも少なくない。運動内容は. で禁忌である。食事直後に負荷の強いトレーニングを行うの. 理学療法士だけで決めるものではなく,栄養管理は管理栄養士. は,避けたほうがよい。. だけで決めるものではないことの認識が大切である。リハ栄養. 栄養管理・栄養療法のチーム医療では,「リハからみた栄養」. の実践がうまくいった症例の成功体験を,多職種で共有するこ. と「栄養からみたリハ」の 2 つの視点が重要である。少なくと. とが有用である。理学療法士の予測以上に,栄養改善で機能や. も管理栄養士と理学療法士がチームメンバーであることは,リ. 活動が改善した経験を共有すると,リハ栄養に関心をもつよう. ハ栄養実践の必要条件と考える。急性期病院では,NST に理. になりやすい。栄養はリハのバイタルサインと考えてほしい。. 学療法士が参加することが望ましい。当院では NST 回診,カ ンファレンスに理学療法士が参加し,NST 勉強会では理学療 法士が講師をしている。リハカンファレンスに管理栄養士が参 加することも有用である。 日本静脈経腸栄養学会では,主として静脈栄養・経腸栄養を 用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有している歯科 医師,管理栄養士,看護師,薬剤師,臨床検査技師,言語聴覚 士,理学療法士,作業療法士,歯科衛生士を NST 専門療法士 と認定している。日本静脈経腸栄養学会認定の NST 専門療法 士である理学療法士が,当院には 6 人いる。しかし,2015 年 4 月時点の NST 専門療法士人数は理学療法士 77 人,作業療法士 26 人,言語聴覚士 124 人しかいない(図)。管理栄養士,看護師, 薬剤師の NST 専門療法士が 1,000 人以上いることを考えると, きわめて少ない人数である。多くの理学療法士に NST 専門療 法士の取得をめざしてほしい。 回復期リハ病院では,管理栄養士が病棟専従で,全ケースの. 文 献 1) Wakabayashi H, Sakuma K: Rehabilitation nutrition for sarcopenia with disability: a combination of both rehabilitation and nutrition care management. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2014; 5: 269–277. 2) Cruz-Jentoft AJ, Baeyens JP, et al.: Sarcopenia: European consensus on definition and diagnosis: Report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People. Age Ageing. 2010; 39: 412–423. 3) Cruz-Jentoft AJ, Landi F, et al.: Prevalence of and interventions for sarcopenia in ageing adults: a systematic review. Report of the International Sarcopenia Initiative (EWGSOP and IWGS). Age Ageing. 2014; 43: 748–759. 4) Chen LK, Liu LK, et al.: Sarcopenia in Asia: consensus report of the asian working group for sarcopenia. J Am Med Dir Assoc. 2014; 15: 95–101. 5) Kawakami R, Murakami H, et al.: Calf circumference as a surrogate marker of muscle mass for diagnosing sarcopenia in Japanese men and women. Geriatr Gerontol Int. 2015; 15: 969–976..

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図 NST 専門療法士人数

参照

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