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気駆動系主要設備両性電気ブレーキの方式回生ブレーキ補助電源設備その他の運転条件保安設備会社 車両形式 東京急行電鉄 2020 系 使用線区 田園都市線 東京地下鉄半蔵門線 東武伊勢 軌間 ( mm ) 崎線 日光線 基本編成両数 10 両 使用線区の最急勾配 35 用途 通勤用 電気方式

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東京急行電鉄 2020 系通勤車両

※市

いち

かわ

 裕

ひろ

ゆき

  ※根

もと

 晃

こう

いち

  ※松

まつ

 倫

みち

あき

 

写真 1 外観 要旨 東京急行電鉄では、2020 系列車両として、田園都市線に 2020 系を 2018 年春に導入した。本車両は、二つの コンセプトを軸に設計を行った。一つ目は、首都圏近郊通勤車両の仕様共通化の推進として、総合車両製作所 (J-TREC)のステンレス車両のブランド“sustina”を採用し、基本設計及び主要機器は東日本旅客鉄道(JR 東日 本)E235 系車両と仕様を共通化し、量産効果によるコスト低減を図った。二つ目は、共通化の推進を図る一方 で、多摩田園都市などの“街づくり”を起源に持つ当社らしさを意識したデザインを採用した。さらに環境面への 配慮として、駆動装置などの低騒音化を図ったほか、さらなる安全性の向上として車内防犯カメラの設置、非常 ブレーキ時の回生補足機能追加などブレーキ性能の向上を図った。 2020 系列車両は、2020 年の東京オリンピック、さらに 2022 年の当社創業 100 周年に向けて、お客さまにより 親しみを持っていただき、沿線の街及び駅と調和する車両とすることを目的に“2020”と命名した。以下にその概 要を紹介する。 (編集部注:E235 系は本誌 251 号 2016 年 3 月参照) 1 はじめに 東京急行電鉄では、2002 年から“人と環境に優しい車 両”をコンセプトに 5000 系列車両(田園都市線用:5000 系 車両、大井町線用:6000 系車両)の導入を進めてきた。今 回の 2020 系列車両は、5000 系列車両以来約 15 年ぶりに 導入する新形式車両である。(編集部注:5000 系は本誌 224 号 2002 年 9 月、6000 系は 236 号 2008 年 9 月参照) 本車両は、車両仕様の共通化を基本に、当社らしさを意 識した快適性と安全性の向上を推進し、二つのコンセプト を軸に設計を行った。一つ目は、首都圏近郊通勤車両の仕 様共通化の推進として、車体は J-TREC の“sustina”S24 シ リーズ(編集部注:20 m4 扉車のシリーズ)を採用し、基本 設計及び主要機器は JR 東日本 E235 系車両との仕様共通 化に取り組み、量産効果によるコスト低減を図った。さら ※ 東京急行電鉄㈱ 鉄道事業本部 運転車両部 車両課 写真 2 室内

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会社・車両形式 東京急行電鉄㈱ 2020 系 使用線区 田園都市線・東京地下鉄半蔵門線・東武伊勢 崎線・日光線 軌間(㎜) 1 067 基本編成両数 10 両 使用線区の最急勾配 35‰ 用途 通勤用 電気方式 直流 1 500 V 車体製作会社 ㈱総合車両製作所 製造初年 2017 年 台車製作会社 ㈱総合車両製作所 製作予定両数 2017 年度 30 両 2018 年度 60 両 主回路装置製作会社 三菱電機㈱ 車両技術の掲載号 256 基本編成及び 主な機器配置 凡例 ●:駆動軸 ○:付随軸 VVVF:主制御装置 SIV:補助電源装置 CP:空気圧縮機    BT:蓄電池 < >:パンタグラフ ◎:フリースペース    連結器 ■:自連 -:半永久 =:半永久(衝撃緩衝機能付き) ※:電気連結器 編成質量(t) 311.7 編成定員(人) 1 526 個別の車種形式 クハ 2020 デハ 2920 デハ 2820 サハ 2720 デハ 2620 サハ 2520 サハ 2420 デハ 2320 デハ 2220 クハ 2120 車種記号(略号) Tc1 M1A M2A T1 M3 T2 T3 M1B M2B Tc2 空車質量(t) 31.4 33.5 33.5 27.5 32.0 27.5 27.8 33.5 33.5 31.5 定員(人) 143 155 155 155 155 155 155 155 155 143 うち座席定員(人) 45 51 51 51 51 51 51 51 48 45 特記事項 非常ブレーキ回生補足機能付き 車両性能 最高運転速度(㎞/h) 110 加速度(m/s2 0.91(3.3 ㎞/h/s) 減速度 (m/s2 常用 1.11(4.0 ㎞/h/s) 非常 1.25(4.5 ㎞/h/s) 編成当りの 定格 編成構成 5M5T 出力(kW) 2 800 引張力(kN) 520 ブレーキ制御方式 回生ブレーキ併用電気指令 式空気ブレーキ、保安ブレ ーキ、耐雪ブレーキ、駐車 ブレーキ(応荷重・滑走再 粘着・遅れ込め制御付き) 制御回路電圧(V) 直流 100 抑速制御 あり 非常時運転条件 その他の運転条件 保安設備 運転保安装置 多段式 ATC-P 装置 東武 ATS 装置 列車無線 個別選択式空間波無線 誘導無線 表 1 東京急行電鉄 2020 系通勤車両 車両諸元 電気駆動系主要設備 集電 装置 形式 / 質量(㎏) PT7108-E / 140 方式 シングルアーム式パンタグラフ 主制御装置 形式 / 質量(㎏) MAP-144-15V317 / 365 方式 2 レベル変調 3 相電圧 PWM インバータ 制御容量(kW) 560 特記事項 フル SiC 素子 主電動機 形式 / 質量(㎏) TKM-18 / 535 方式 全閉外扇方式三相かご形誘導電動機 1 時間定格(kW) 140 回転数(min-1 2 380 特記事項 絶縁種別 H 種 主回路最 大限流値 力行(A/MM) ブレーキ(A/MM) 電気ブレーキの方式 回生ブレーキ 補助電源設備 補助電 源装置 形式 / 質量(㎏) CDA175 / 884 方式 3 レベル変調 PWM インバータ 交流出力 三相 440 V 260 kVA 直流出力 - 蓄電池 種類 / 質量(㎏) アルカリ蓄電池 / 296 容量(Ah) 105 5 時間率 主な用途 制御用

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その他の主要設備 主幹制御器 形式 / 質量(㎏) KC186-A0 / 38 方式 T 形ワンハンドル 速度計装置 メータ表示器 車両情報制 御システム モニタ装置 INTEROS 装置 モニタ表示器 液晶カラーモニタ 標識灯 前部標識灯 LED 後部標識灯 赤色 LED その他 - その他 空気ブレーキ設備 電動 空気圧縮機 形式 / 質量(㎏) VV180-T / 500 圧縮機容量 1 300 ㍑ / min 圧縮機方式 単動往復式 2 段圧縮 空気タンク 元空気タンク 330 ㍑ 供給空気タンク 165 ㍑ ブレーキ制 御装置 形式 / 質量(㎏) E113-Tc,T,M,M2, / 128 E113-M1 / 130 台     車 形式 動台車 TS-1041 系 付随台車 TS-1042 系 車体支持装置 ボルスタレス方式 けん引装置 一本リンク式 枕ばね方式 空気ばね 上下枕ばね定数 / 台車片側(N/㎜) 動台車 420 付随台車 420 軸箱支持方式 軸ばり式 軸ばね方式 コイルばね 上下軸ばね 定数 / 軸箱 (空車時) (N/㎜) コイルばね 動台車 1 134~2 093 付随台車 800~1 490 ゴムばね 動台車 19 614 付随台車 19 614 総合 動台車 1 073~1 891 付随台車 773~1 385 軸距(㎜) 2 100 台車最大長さ(㎜) 3 142 車輪径(㎜) 新製時:860 計算用:820 基礎 ブレーキ 動台車 踏面片押しユニットブレーキ 付随台車 ディスクブレーキ・踏面片押しユニットブレーキ併用 ブレーキ倍率 3.5(M 台車)、1.0(TS-1042A 踏面)、1.5 (TS-1042 踏面)、2.4(T 台車ディスク) 制輪子 動台車 合成制輪子 付随台車 合成制輪子 ブレーキシ リンダの数 動台車 4 付随台車 4 駆動方式 平行カルダン 歯数比(減速比) 7.07 継手 WN 継手 軸受 密封複列円筒ころ軸受 質量(㎏) 動台車 6 000 付随台車 5 170 車両間連結装置 先頭部 自動連結器 中間部 半永久連結器 記事 車体の構造・主要寸法・特性 構体 材料 ステンレス鋼 構造・工法 溶接組立・レーザ溶接 車両の前面 材料 FRP 製前面カバー 形状 貫通形(非常用貫通扉付き) 客室の 内装材 天井 アルミニウム樹脂積層複合板 側・妻 メラミン化粧板 床 塩化ビニル樹脂系床敷物 長さ(㎜) 先頭車 20 070 中間車 19 500 連結面間 距離(㎜) 先頭車 20 470 中間車 20 000 心皿間距離(㎜) 13 800 車体幅(㎜) 2 778 高さ(㎜) 屋根高さ 3 620 屋根取付品上面 4 046(空調装置高さ) 床面高さ(㎜) 1 130 相当曲げ剛性(MN・m2 相当ねじり剛性(MN・m2/rad) 固有振動数(Hz) 曲げ: ねじり: 主な旅客設備 側窓 2 連:片側下降式、車端:固定式 側扉 構造 両引戸 1 300 ㎜ 片側数 4 戸閉め装置 形式 SP335848 方式 電気式(ラックアンドピニオン方式) 妻引戸 片引戸、両妻 腰掛 ロングシート 空調換気システム 空調装置 形式 / 質量(㎏) CU7080 / 675搭載方式 屋根上集中式ユニット形 特徴 容量(kW/ 両) 58 暖房装置 方式 シーズ線式(腰掛下取付) 容量(kW/ 両) 先頭車:13.4、中間車:13.2 換気方式 自然換気 送風方式 天井ダクト:ラインフロー吹出し、横流ファン 室内灯 照明方式 直接照明 灯具方式 LED 非常通報装置 通話機能付き非常通報装置 車内案内表示 液晶式 17 インチ(ドア上) 液晶式 21.5 インチ(窓上・妻部) 放送設備 車内向け スピーカ 8 台(中間車) スピーカ 7 台(先頭車) 車外向け スピーカ 4 台 行先表示器 前面 フルカラー LED 側面 フルカラー LED 主な移動等 円滑化対応設備 フリースペース(車椅子・ベ ビーカースペース)、ドア開 閉動作開始ランプ、など 便所 主な設備 - 汚物処理 - その他 2 か国語の自動放送・4 か 国語対応案内表示

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図 2-1 形式図 クハ 2020(Tc1)

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図 2-3 形式図 サハ 2420(T3)

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図 2-5 形式図 デハ 2220(M2B)

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に、保安装置及び乗務員取扱い機器の設計にあたっては、 相互直通運転する各社の車両で機器配置が異なることで、 乗務員の運転取扱いの負担が重かったことから、仕様共通 化の図られた東京地下鉄 13000 系・東武鉄道 70000 系、西 武鉄道 40000 系にできる限り機器配置を合わせるように取 り組んだ。 二つ目は、当社沿線環境を踏まえた独自仕様の採用とし て、共通化の推進を図る一方で、多摩田園都市などの“街 づくり”を起源に持つ当社らしさを意識したデザインを採 用した。さらに、環境面への配慮として、低騒音形駆動装 置、WN 継手を採用することで低騒音化を図ったほか、さ らなる安全性の向上として車内防犯カメラ設置のほか、踏 面片押しブレーキ・ディスクブレーキ併用方式の採用、非 常ブレーキ時の回生補足機能追加などのブレーキ性能の向 上を図った。 以上を踏まえて、2020 系列車両は導入する各線区の仕 様を反映させ、田園都市線に 2020 系車両として 10 両編成 を導入することとした。 2 2020 系の編成及び車両性能と主な特徴 2020 系列は、田園都市線に 2020 系として 10 両編成を 導入したが、今後も各線区に異なる編成長での導入を見越 して 10 両、8 両、7 両、6 両、5 両の各編成で適正な MT 比を実現するとともに、編成両数を変更しても機器配置を 変更せずにすむよう考慮して設計した。そのため、M 車 は 2 両 1 ユニットの構成ではなく、主制御装置(VVVF)を それぞれ配置する独立 M 車方式とした。このことによっ て、例えば 7 両編成では、10 両編成の中間 3 両(4~6 号 車)を除いただけで、基本的な車両構成が成り立つように 設計を行った。 走行性能は最高速度 120 ㎞/h、加速性能は 0.91 m/s2 (3.3 ㎞/h/s)、減速度は常用最大 1.11 m/s(4.0 ㎞/h/s)、2 非常 1.25 m/s(4.5 ㎞/h/s)である。2 主要機器は、SiC 素子を採用した VVVF インバータ、オ イルフリー空気圧縮機、列車情報管理装置(INTEROS)、 電気式戸閉め装置など、当社初採用となる機器も多数搭載 している。 図 3 車体断面

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3 デザイン 2020 系列は、当社が展開する沿線商業施設などのデザイ ンを手掛ける㈱丹青社がデザインを監修し、沿線の街及び 駅との親和性を高めるとともに、沿線のお客さまに親しみ と、これまでにない新しさを感じていただくことを目指し た。エクステリアは、コンセプトカラー「INCUBATION WHITE」(美しい時代へ孵ふ化かしていく色)を使用し、車両 の先頭形状は、まるみを帯びたやわらかみのある顔をイメ ージした。さらに、インテリアは、東急沿線の風景をイメ ージした座席、照明も含めた室内全体のカラーコーディネ ートにこだわり、親しみやすさと心地良さを感じていただ けるようなデザインとした。 また、車体外板は、無塗装ステンレス鋼板の表面に導入 線区である田園都市線の路線カラーのフィルムをホームド ア越しにも視認できる位置に貼り付けた。 4 車体構造 4.1 主要寸法 車体長は、先頭車 20 070 ㎜(連結面間距離 20 470 ㎜)、 中間車 19 500 ㎜(連結面間距離 20 000 ㎜)とした。また、 車体幅は 2 778 ㎜、床面高さは 1 130 ㎜、パンタグラフ折 り畳み高さは 3 950 ㎜である。 4.2 構体 車体構造は、軽量ステンレス鋼製構体とし、J-TREC の “sustina”を採用した。当社は、2013 年に東横線 5050 系 5176 編成の 5576 号車で“sustia”第 1 号車を導入したが、 量産車として 2020 系で本格的に導入した。“sustina”は、 レーザ溶接の積極的な採用による車両構造の変更、骨組の 軽量化などで、アルミニウム車両と同等の車体軽量化を実 現している点が大きな特長で、これまでの車両に比べて走 行時の消費電力量削減による省エネルギー性の向上のみな らず、車両外観、内装においても溶接痕を減らして、すっ きりとしたデザインを実現している。連結妻面は、骨組と 外板との一部の接合部及びほろ枠の取付箇所に、レーザ溶 接を用いて施工することで水密性を確保した。 また、オフセット衝突対策として、隅柱の一部に断面 45°に切り取ったような位置へ補強を追加した。この補強 によって、オフセット衝突時に互いの車両が離反する力を 発生させ、外板の剥離を防ぐことで、客室の損傷を軽減で きる。前面衝突対策は、運転台前面に衝突吸収用のハニカ ム材を配置したほか、先頭車と中間車との間に衝撃吸収緩 衝器を組み込むことによって、衝突エネルギーの吸収と生 存空間の確保とを両立している。 5 客室 5.1 客室構造 側引戸及び側窓の配置は、近年整備が進むホームドアの 開口範囲に合うよう、標準的な側入口間隔 4 820 ㎜の配置 とした。客室灯の配置は、つり手棒の配置変更と合わせて 見直しを行い、中間車ベースで 24 灯から 22 灯へ変更し た。灯具は長いタイプ(40 W 相当)の LED 式灯具とした。 また、架線停電時などに備えて、予備灯を中間車ベースで 4 箇所から 11 箇所へ増やした。 5.2 室内設備 側面衝突に対する車体変形量の抑制を図るため、まくら ぎ方向のつり手棒を側天井部と接続することで、ロールバ ーのような補強構造を構成している。 腰掛は、2013 年以降導入の一部車両(田園都市線 5000 系 6 ドア車置換用中間車両、東横線 5177 編成)に採用し、 ご好評をいただいている高い背もたれ(ハイバック仕様)の 腰掛を採用した。 5.3 窓及び扉 窓の構成は、固定窓と下降窓とを組み合わせている。側 引戸については、安全性向上を目的として、混雑時にドア が開く際、お客さまの荷物などの戸袋への引き込まれ抑制 対策として、内側の素材に表面が滑りやすい素材を採用し たほか、戸先部分と戸袋部分に黄色の帯を貼り付けて注意 喚起を行っている。 側引戸の錠は、施錠時に確実に戸閉めスイッチを作動さ せるため、側引戸本体の上部に設置した。なお、妻引戸の 戸閉め装置は、5000 系車両で採用した重力式(傾斜式)か ら、ぜんまいのばね力によって、ゆっくりと自動で戻る構 造に変更した。 5.4 バリアフリー対応設備 車椅子をご利用のお客さま、ベビーカーをご利用のお客 さまなどが優先的に使用できるフリースペースは各車両に 1 箇所(M2B 車には 2 箇所)設置した。このスペースには、 より多くのお客さまが利用しやすいように、側部に 2 段の 手すりを設け、妻部には立席のお客さまが腰当てとして使 用できるクッションを設けた。また、フリースペースであ ることを明示するため、側面及び床敷物に車椅子マークと ベビーカーマークとを大きく表示している。 優先席は、フリースペースの向かい側に 3 席設置したほ か、各中間車の車端部に 6 席設けた。また、優先席付近、 壁面及び袖仕切りの色は、黄色帯とすることで、一般部と 区別した。 6 乗務員室設備 乗務員室設備においては、後述する INTEROS(8.10 参 照)装置の導入に伴って、モニタ装置への計器・表示灯類 の情報集約化を進めた。併せて、田園都市線の相互直通運 転先となる東京地下鉄及び東武鉄道が保有する車両との仕 様共通化を進めつつ、将来的に 2020 系列を他線区に導入 する場合も見越して、その他乗入れ線区、本車両を導入し ない当社線区の仕様も参考に設計を行った。 写真 3 フリースペース

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4 運転室機器配置

写真

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5 床下機器配置 b)  床下機器配置 デハ 2920 (M1A) 、デハ 2320 (M1B) a)  床下機器配置 クハ 2020 (Tc1)

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5 床下機器配置 (続き) c)  床下機器配置 デハ 2820 (M2A) 、デハ 2220 (M2B) d)  床下機器配置 サハ 2720 (T1) 、サハ 2520 (T2)

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5 床下機器配置 (続き) e)  床下機器配置 デハ 2620 (M3) f)  床下機器配置 サハ 2420 (T3)

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5 床下機器配置 (続き) g)  床下機器配置 クハ 2120 (Tc2) 写真 5 視認性に配慮した室内標記 写真 6 主制御装置 写真 7 主電動機

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前面窓ガラスは、面積を広げて視界の拡大を行った。乗 務員取扱い機器は、従前からの変更点が多いため、設計完 了後に各現業職員がモックアップ検証を行い、各操作器の 取付高さ、ボタンの形状、操作感などを確認し、適宜修正 を行った。 前部標識灯は、LED を採用し、ロービーム時は下側 4 灯、ハイビーム時は上側 2 灯を加えた計 6 灯とし、夜間の 視認性向上を図った。 7 機器配置 7.1 床下機器配置 独立 M 車方式のため、主回路制御装置及びフィルタリ アクトルは、M1 車・M2 車・M3 車に搭載したが、高速 度遮断器箱は、パンタグラフをもつ M1 車に 2 台、M3 車 に 1 台設置した。また、補助電源装置は、M2 車に搭載(編 成で 2 台搭載)した。 7.2 屋根上機器配置 屋 根 上 機 器 配 置 は、 先 頭 車 に 列 車 無 線 ア ン テ ナ、 INTEROS 通信に使用する WiMAX アンテナなどを設置 d) 屋根上機器配置 クハ 2120(Tc2) 図 6 屋根上機器配置 c) 屋根上機器配置 デハ 2620(M3) b) 屋根上機器配置 デハ 2920(M1A)、デハ 2320(M1B) a) 屋根上機器配置 クハ 2020(Tc1)

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した。パンタグラフは、M1 車に各 2 台、M3 車に 1 台搭 載した。 8 主要機器 8.1 主制御装置 主回路は、全閉式三相誘導電動機を 2 レベル式 VVVF インバータで制御する方式である。主回路制御装置は、1 台のインバータ装置で主電動機 4 台を制御する 1C4M 方 式を採用した。この制御装置は、SiC(シリコンカーバイ ト)素子を使用して、高速度域まで多パルスのスイッチン グを行うことで主電動機の損失を低減して、省エネルギー 性能を向上させている。その結果、8500 系車両(界磁チョ ッパ制御車)の半分程度の電力で走行できる見通しである。 8.2 主電動機 主電動機は、全閉式外扇形誘導電動機である。外気を直 接、電動機の内部に取り込むのではなく、熱交換によって 冷却を行う方式を採用しているため、メンテナンス頻度の 低減が期待される。なお、1 時間定格出力は、140 kW で ある。 8.3 集電装置 パンタグラフは、当社線及び乗入れ線区の使用実績、す り板検知装置を採用するため、既存 5000 系車両と同様の 舟体を有するシングルアーム式を採用した。 8.4 ブレーキ装置 ブレーキ方式は、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレ ーキである。常用ブレーキは、従来の 7 段ステップ制御を 見直し、8 段ステップ(減速度 4.0 ㎞/h/s)を追加し、回生 力が安定しない時、雨天時・降雪時などに安定した制動力 が 得 ら れ る よ う に し た。 ブ レ ー キ 指 令 に つ い て は、 INTEROS の編成ブレーキ力管理システムにて、応荷重制 御及び電空協調制御を行う。このシステムは、回生ブレー キを優先して作用させることで、省エネルギー運転と制輪 子の摩耗量の低減とが可能となる。 また、降雪時などで減速度が低下した場合のバックアッ プ対策として、“非常ブレーキ時の回生補足機能”を新たに 設置した。これは、非常ブレーキ動作時(全て空制時)に INTEROS 側で減速度の演算を行い、一定の減速度低下が 計測された際に、回生ブレーキを補足させるものである。 回生ブレーキを用いた機能のため、100%の補償はできな いが、ベストエフォートの考え方のもと、多くの状況で有 効に機能するものと考えており、降雪時のさらなる安全性 向上を図った。 8.5 電動空気圧縮機 電動空気圧縮機は、レシプロ式オイルフリーコンプレッ サを採用した。潤滑油を使用しないため、外部へのオイル 排出及び 2 次側(元空気タンク側)へのオイル流出のリスク がなく、オイルに関連するメンテナンスも不要となり、メ ンテナンス性の大幅な向上が期待される。 8.6 補助電源装置 補助電源装置は、IGBT 素子を使用した 3 レベル方式の 静止形インバータで、容量は三相交流 440 V 260 kVA で ある。 8.7 蓄電池 蓄電池は、既存 5000 系車両においては、直流 100 V に 加えて、列車無線の非常電源などに使用する直流 24 V を 採用していたが、2020 系列では直流 100 V に集約を行っ た。 8.8 空調装置及び暖房装置 空調装置は、容量 58.1 kW(50 000 kcal/h)の集中式ユニ ットクーラを各車両に 1 台搭載した。また、当社では初と なる空気清浄装置(商品名:ナノイー)を、横流ファン付近 の天井部に設置し、車内環境の快適性向上を図った。 8.9 戸閉め装置 戸閉装置は、ラック・ピニオン方式の電気式戸閉装置を 採用した。この戸閉め装置は、空気式戸閉め装置と同様 に、戸閉め状態において常に互いの引戸が押し付け合う構 造のため、従来の電気式戸閉め装置のように戸閉め状態で 機械的なロックをかける必要がなく、挟まれたものを引き 抜きやすい特長がある。 8.10 車両情報制御システム(INTEROS) 車両情報制御システムは、従来のモニタ装置(TIS)か ら、更に大きく機能を拡張させた列車情報管理制御装置 (INTEROS)を導入した。INTEROS の主な特徴は、次の 通りである。 1)  列車中のデータ通信速度を従来に比べて 40 倍向上 させ、大容量のデータを扱うことが可能。 2)  WiMAX によるデータ通信を利用して、各種データ を地上システムにリアルタイムに送信して、活用す ることが可能。 3)  国際規格 IEC61375 の“電気鉄道設備・列車内伝送 系”に全面的に準拠。 なお、現在、車両の大容量のデータをリアルタイムに地 上システムに送信できる機能を活用して、以下の事項を検 討している。 1)  故障発生直後から遠隔で車両状況を把握できるた め、従来行ってきた車両状況把握のための車両基地 へ取組みなどの時間を短縮でき、故障発生時の早期 復旧につなげる取組みを進める。 2)  将来的な取組みの 1 つ目として、車両運用時に確認 可能な機器データを利用し、車両留置時に実施する 検査の簡略化に向けた取組みを進める。 3)  将来的な取組みの 2 つ目として、各機器のデータな ど蓄積した車両のビックデータを分析し、機器の寿 命、故障の予兆を捉えて、適切な時期に必要なメン テナンスを実施する状態保全の確立に向けた取組み を進める。 8.11 運転保安装置 保安装置及び列車無線等の運転保安装置については、走 行線区に合わせた仕様としつつ、将来的な工事も見据えた 仕様とした。具体的には、デジタル ATC、CBTC、ホー ムドア連動、ATO/TASC などの新保安システム及び運転 支援設備に柔軟に対応できる仕様とした。また、無線装置 においては、将来的なデジタル化に対応できる仕様として いる。 8.12 車内案内表示装置 車内案内表示装置は、側入口かもい点検ふた部に 17 イ ンチ液晶表示器を 2 台設置した。点検ふた右側に配置した 表示装置は、従来と同様に停車駅案内のほか、行先情報、 ドアの開方向情報、乗換え案内、乗車マナーなどの表示を 行うことによって、耳の不自由なお客さまに対しても十分

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主電動機 台車枠 軸箱支持装置 車体支持装置 ブレーキ装置 輪軸 7 動台車 (TS-1041) 写真 8 

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台車枠 軸箱支持装置 車体支持装置 輪軸 8 付随台車 (TS-1042A) 写真 9 

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9 主回路つなぎ

(8MM

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10 主回路つなぎ

(4MM

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11 カ行性能曲線

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な情報を提供してバリアフリー化を図るとともに、異常時 には、車内の全てのお客さまに対して情報をタイムリーに 提供する。また、昨今のインバウンドのお客さまの増加、 2020 年のオリンピック・パラリンピックを見据え、4 か国 語表記を行う。左側に配置した表示装置は、動画・静止画 による映像広告、ニュース・天気予報などの文字放送を行 い、更なるサービスの向上を図った。 8.13 デジタルサイネージ 客室内中央座席上及び妻引戸上部には、21.5 インチのデ ジタルサイネージ(電子看板)を配置した。中央座席上部の 表示器は、3 画面を一つの連続した画面のように使用する こともできる。これによって、1 両当たりの表示器数は、 先頭車を 16 台から 35 台に、中間車を 16 台から 36 台に増 設した。 8.14 行先表示器 行先表示器は、前面及び側面ともにフルカラー LED 方 式を採用した。側面の表示器は、路線名、行先、次駅など を表示し、前面の表示器は、路線名と行先とを交互に表示 するとともに、新たに駅ナンバリングを追加した。なお、 これらの表示器は、日本語及び英語で表示を行う。 9 台車 台車は、従来車と同様のボルスタレス式空気ばね台車を 採用しているが、Z リンク方式から一本リンク方式への変 更、ディスクブレーキ設置などの変更を行った。 台車形式は、動台車が TS-1041、付随台車が TS-1042 及 び TS-1042A である。歯車装置は歯数比 7.07 とし、歯車 形たわみ軸継手を採用して低騒音化を図った。 ブレーキ装置は、動台車が踏面片押しブレーキ、付随台 車が踏面片押しブレーキ及びディスクブレーキを併用する 方式である。またディスクブレーキは、ライニングの脱着 性向上を図り、UIC(国際鉄道連合)規格に基づいた構造を 採用している。 10 走行線区別仕様 2020 系車両は、相互直通先である東京地下鉄半蔵門線 及び東武鉄道スカイツリーラインへの乗入れも考慮した仕 様としており、半蔵門線内で使用する誘導無線装置及び列 車情報装置、東武スカイツリーライン内で使用する東武 ATS 装置を保安装置へ内蔵するなどの機能を追加した。 11 おわりに 2020 系列は、2015 年に落成した E235 系車両をベース とした車両で、2020 系車両は 2018 年 3 月から営業運転を 開始した。この場をお借りして、車両仕様共通化にご協力 いただいた JR 東日本及び J-TREC、乗務員室仕様共通化 にご協力いただいた東京地下鉄、東武鉄道、西武鉄道をは じめ、製造に関わっていただいた多くの関係者のみなさま へ感謝するとともに、本車両が多くのお客さまから、親し みを持って長きにわたりご利用いただけることを願ってい る。 写真 10 デジタルサイネージ(中央座席上部) 写真 11 デジタルサイネージ(妻引戸上部)

参照

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