2013/1/29
慈恵ICU勉強会 高澤 百代
各種輸液の中には
CLが含まれている
HYDRATIONや蘇生時の多量輸液は、
⇒高CL血症や代謝性アシドーシス
⇒腎血管の収縮
⇒GFRの低下、尿量低下を招く
Introduction
Crit care med;2011;39(11):2419-2424 2010;14(4)226 Am J physiol.1989;256(1pt2):F152-157
• Objective 0.9%Ns([Cl-]154mmol/L)とPlasma-Lyte148([Cl-]98mmol/L)を投与し、 腎動脈の流速、灌流をMRIを用いて比較する • Methods Randomized,double-blind study 12人の健康な男性に2LのNsまたはPlasma-Lyte148を1時間で投与 →投与から90分後にMRIを施行 →腎動脈の流速、皮質灌流を測定
A Randomized,Controlled,Double-Blind Crossover Study on the Effect of 2-L infusions of 0.9% Saline and Plasma-Lyte 148
on Renal Blood Flow Velocity and Renal Cortical Tissue Perfusion in Healthy Volinteers
• Cl 0.9%Ns投与群ではPlasma-Lyte群より有意にCl値が高い • HCO3- 0.9%Ns投与群とPlasma-Lyte群の間に有意差なし • SID 0.9%Ns投与群ではPlasma-Lyte群より有意にSID値が低い
• 腎動脈の流速変化 Ns投与群は14分から低下を認め、90分後もBaselineよりも低値 両群間に有意差あり • Baselineからの腎体積増加率 それぞれの群のpeak値はNs群で4%、Plasma-Lyte群で3% 有意差なし • 腎皮質の灌流 Ns群で著明な低下を認め、28分後に-39.3ml/100g/min=11.7%の低下 両群間に有意差あり
【Results】
• Plasma-Lyte群では高Cl血症を認めなかったが、 Ns群では持続していた
• 腎動脈流速および腎皮質灌流はNs群で有意差を もって低下していた
0bjective
Clを多く含む輸液(Ns,ゼラチン,4%アルブミン)の 使用を制限し、Cl投与量を制限すると
Design,Setting,and Patients
• 前向き、Open-label、Before-and-after pilot study • 単施設研究 Austin hospitalのICU(22床)+救急部 • コントロール群(Cl無制限群) (2008/02/18〜08/17にICU入室した 760人) Cl制限群 (2009/02/18〜08/17にICU入室した 773人) • 除外項目 元々HD導入されている、治療でRRT使用している
Interventions
• コントロール群(2008/02/18〜08/17) 標準的な輸液治療 • Cl制限群(2009/02/18〜08/17) Clが多い輸液(Ns,ゼラチン,4%アルブミン)原則禁止 Clが少ない輸液を投与 (Hartmann solution,plasma-lyte148,20%アルブミン)各種輸液の組成
Main Outcome Measures
• Primary outcome
BaselineからのCr上昇
AKI発生率(RIFLE)
Baseline Cr ICU入室一ヶ月前のdetaの最低値を使用 使用できるdetaがない場合⇒MDRDで算出 MDRD=186×(Cr/88.4)-1.154×age-0.203×0.74(女性)×1.210(黒人) GFR下限値=75ml/minと想定Main Outcome Measures
• Secondary outcome
透析導入率(RIFLE)
ICU滞在期間
入院期間
生存率
統計
• Baselineとの比較検討 Χ2検定を使用(95%CI)
• Cr上昇度の解析
Generalized linear modelingを用いた(95%CI) • AKI発症,RRT使用
Logistic regressionを用いた(95%CI) • 時間事象分析
COX proportional hazard modelingを用いた HRは95%CIで算出(Kaplan-Meier curve)
このstudyの妥当性を上げるために、
それぞれの群の100人を用いてoutcomeを調査、 サブグループ解析、多変量解析を行った。(P=0.01)
Result
• ICU入室 Total 1644人中1533人が参加 コントロール期間 760人 Cl制限期間 773人 • f/u期間の中央値 11days(7-21)vs11days(7-22) • 両群の構成に 有意差なし 年齢,性別, 診断,共存症• 両群の構成に有意差なし 年齢,性別, APACHEscore,SAPSⅡ, 既往歴,罹患疾病 • BaseCr値も両群間で有意差なし • CrBaseline不明な人数に有意差なし 104人 vs 110人 (13.7%:95% CI,11.3-16.1%) (14.2%;95% CI,11.7-16.7%) (P=0.46)
【各群で使用した輸液量】
• Ns投与量 2411L (3.2L/p) ⇒ 52L (0.06L/p) (P<0.001) • 4%.ゼラチン投与量 538L (0.7L/p) ⇒ 0L (P<0.001) • Hartmann 469L (0.6L/p) ⇒ 3205L (4.1L/p) (P<0.001) • Plasma lyte 65L (0.08L/p) ⇒ 160L (0.2L/p) (P=0.04) • 4%アルブミン 269L (0.35L/p) ⇒ 80L (0.1L/p) (P<0.001) • 20%アルブミン 87L (0.1L/p) ⇒ 268L (0.35L/p) (P<0.001) • 総輸液投与量 3839L (5.05L/p) ⇒ 3765L (4.87L/p) すべての輸液で両群間に有意差あり各群の電解質投与量の相違
• Cl 694mmol/p⇒496mmol/p
• Na 750mmol/p⇒623mmol/p
• K 3.5mmol/p⇒22mmol/p
Cr値の上昇
コントロール群vs Cl制限群
⇒22.6μmol/L vs 14.8μmol/L ⇒有意差あり
RIFLE class injury&failure患者数に有意差あり OR,0.52 [95% CI,0.37-0.775];P<0.001 RRT導入患者数 78人 vs 49人 ⇒有意差あり (10%;95% CI,8.1-12% vs 6.3%;95% CI,4.6-8.1% P=0.04) OR,0.52 [95% CI,0.33-0.81];P=0.004
コントロール群とCl制限群で、AKI発生頻度に有意差あり (95%CI,0.38-0.72;P<0.01)
コントロール群 Cl制限群
コントロール群とCl制限群で、RRT使用頻度に有意差あり (95%CI,0.35-0.76;P=0.04)
コントロール群 Cl制限群
• ICUでの死亡
65人vs59人 (9%;95% CI,7-11% vs 8%;95% CI,6-10% P=0.42)• 院内死亡
112人vs102人 (15%;95% CI,12-17% vs 13%;95% CI,11-16% P=0.44)• ICU滞在日数
42.9hr vs 42.8hr (IQR,21.1-88.6hr vs IQR,21.8-90.5hr P=0.52)• 入院日数
11days vs 11days (IQR,7-22days vs IQR,7-21days P=0.52)• RRT導入した患者の3ヶ月後のRRT持続人数
6人vs5人 (12%;95% CI,3-21% vs 15%:95% CI,3-27%) 以上に関しては、いずれも有意差なしCOMMENT
【Comparison With Previous Studies】
• ICU患者にCl制限を行い、腎への効果を検討すると いうStudyは今までになかった
• 昔から動物実験やヒトの実験では、輸液に含まれ るClは腎に悪影響を与えるのではないかと考えら れていた
Major Complications,Mortality,and Resource Utilization After Open Abdminal Surgery
0.9% Saline Compared to Plasma-Lyte
Design:2005/01/01〜2009/12/31
Premier Perspective Comparative Databaseを用いた後ろ向き観察研究 Objective:腹部手術後に0.9%NsとPlasma-lyteを投与した場合、 死亡率や臨床資源にどのような関連があるかを検討した Patients: 開腹手術を受けた18歳以上の患者(467,131人)のうち、 手術日当日にNsのみ又はPlasma-Lyteのみを投与された患者 (Ns 30994人:Plasma-Lyte 926人) 患者背景に差があったのでpropensity scoreで補正したstudy Ann surg 2012;255:821-829
透析使用頻度に有意差あり Plasma-Lyte群:
1.0%[95%CI 0.05-1.8]
Ns群:4.8%[95%CI 4.1-5.7] P<0.001
Comment 【Clと腎機能】
• 動物実験でClの腎血流の調節機能について 検討されている ⇒神経を処理された犬の腎血管内にClを含む溶液を 灌流する ⇒腎血管収縮 ⇒GFR低下 これは腎血管に特異的な反応 尿細管−糸球体フィードバック機構と類似 尿細管でのCl再吸収が最初の重要な段階 J Cli invest 1983,71:726-735• 尿細管−糸球体フィードバック機構(GFRを調整) 緻密斑でClを感知⇒メサンギウム細胞の収縮 ⇒GFR低下 • 尿細管のNa/K/2Clチャネルを介したCl再吸収増加 ⇒ATP放出を活性化 ⇒メサンギウム細胞の収縮 ⇒GFR低下
Vander’s Renal Physiology.7th edition.New York:
McGraw-Hill Medical;2009
Pflfingers Arch.1976,362:229-240 Am J physiol 1989,256:152-157 Br J Pharmacol 1993,108:106-110
• トロンボキサンがClによる血管収縮に影響を与える と動物実験での報告あり • Clは腎血管収縮物質の反応性を上げる作用がある
Clは腎血流にさまざまな経路で
影響を与える
Am J physiol 1989,256:152-157 Br J Pharmacol 1993,108:106-110• Cl制限 • 4%ゼラチン投与の減少 ◁ ゼラチンはAKIのリスクを減少させる (OR,0.43) • 20%アルブミンの投与増加 ◁ 高張のアルブミンはGFRを下げるという報告もあるが、 20%アルブミンの腎への影響は未だ不明 • 4%アルブミンの投与減少 ◁ 4%アルブミンがAKIのリスクというStudyはない • Na投与量の減少 • K投与量の増加
Anaeth Intensive Care.2012;(1):17-32
今回の結果は以下の要素によるものかもしれない・・
Strengths & Limitations
• Cl制限群とコントロール群で比較検討した初めてのStudy • サンプルサイズが大きい • 両群を一年間の中で同じ時期に行っている ⇒季節の影響は受けない • 盲検でない • ランダマイズ化されていない • Base Crが不明の場合,MDRDで算出した値を使用した ⇒Base Cr不明患者を除外した結果も同様であったConclusions
Cl制限群ではコントロール群に比べて
• AKI発症とRRT使用の減少が認められた
• 透析導入率、ICU滞在期間、入院期間、生存率 には有意差が得られなかった