宅建業法
序 章 宅建業法の全体構造 第1章 用語の定義 第2章 事務所の設置 第3章 免許 第4章 宅地建物取引士 第5章 営業保証金制度 第6章 宅地建物取引業保証協会 第7章 業務上の規制 第8章 監督 第9章 罰則第
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編
本書は、「著作権法」によって、著作権等の権利が保護されている著作物 です。本書の全部又は一部につき、無断で転載、複写されると、著作権等 の権利侵害となります。上記のような使い方をされる場合には、あらかじ め株式会社オンラインスクール宛許諾を求めてください。どの法律を勉強する場合でも,まず,その法律の全体像をつかむことが,その法律 をマスターするうえで必要なことです。本章で,宅建業法の全体像をしっかりと押さ えてください。
宅地建物取引業の流れ
誰でも,これから自分の始める仕事がどういうものなのか,それを知らずにやる人 はいないでしょう。そこで宅建業法は,まず,「宅地とは何か」「宅建業とは何か」と いった言葉の意味(定義)について定めています。 宅地とは何か 宅建業とは何か 宅建業者とは何か 自分のやる仕事の内容がわかったら,今度は具体的に,宅建業を始める 準備にかかります。この準備がいいかげんだと,後で免許を受けられない などといったことになりかねません。 事務所の設置 専任の取引士・従業者の設置 免許の取得 営業保証金・弁済業務保証金分担金 開業の準備がととのえば,次に,実際の営業活動が開始されます。宅地 建物の買主や借主を探すためには,まず広告を打つことになります。もち 宅地建物取引業の意味 開 業 の 準 備序
章
宅建業法の全体構造
序
章 宅建業法の全体構造 第 編 宅建業法 1 ろんいいかげんな広告をされたのでは困りますので,広告に関する規制が あります。また,宅建業者は地主やマンションのオーナーから売買や賃貸 の依頼を受けることもあります。ここに,他人の物を売ったり貸したりす る権利を取得するために結ぶ,媒介契約・代理契約に関する規制があります。 広告に関する規制 媒介・代理契約の規制 次に,広告によってお客が来ると,具体的な交渉に入ります。そして,交 渉開始から契約成立の間までにやらなければならないことがあります。次 の2つです。 重要事項の説明 供託所等に関する説明 契約交渉がまとまると,いよいよ契約締結ということになります。ここ において,購入者等の一生に一度ともいえる契約を結ぶわけですから,必 然的に多くの規制が加えられることになります。 契約締結時期の制限 手付貸与等による契約締結の制限 契約書面(37 条書面)の交付 自ら売主の場合の8つの制限 契約が成立して,それで終わり,というわけにはいきません。今度は, 実際に契約どおりに実行しているか,報酬にインチキはないか,などをみ ていかなければなりません。 営業の準備 契約の準備 契約の成立不当な履行遅延の禁止 報酬額の制限 不当に高額の報酬要求の禁止 以上は,実際の取引の流れに応じてそれぞれの段階において存在する問 題を指摘してみましたが,取引の全体を通じて規制されることもあります。 秘密を守る義務 信義誠実義務 最後に以上のような規制を守らない人に対して監督・罰則がひかえてい ます。 業者に対する監督・罰則 取引士に対する監督・罰則 契約成立後の規制 規制 全体を通しての 監督・罰則
ここでは,宅建業法に定められている用語の定義(意味)について説明 します。用語の定義には,宅建士試験では「宅地」「宅地建物取引業」に ついて問われています。また,用語の定義については,「次のうち,宅地 建物取引業の免許を必要とするものはどれか」という形式の出題が基本で すが,「自ら貸借」は取引にあたらないこと,すなわち宅建業法の規制を 受けないことも出題されています。 いずれの場合も,一見すると正しいと思われる文章で出題されますので, 定義を正確に覚える必要があります。ただ,一言一句を覚える必要はなく, ポイントとなる点にしぼって押さえておけば十分です。 近年は,「宅地」の定義より も「宅地建物取引業」の定義 が多く出題されています。問 われ方は,「免許の必要な者は 誰か」等です。「自ら行う貸借」 に特に注意しましょう。
第
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章
用語の定義
ポイント
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用途地域 第一種低層住居専用 地域,第二種低層住 居専用地域,第一種 中 高 層 住 居 専 用 地 域,第二種中高層住 居専用地域,第一種 住居地域,第二種住 居地域,準住居地域, 近隣商業地域,商業 地域,準工業地域, 工業地域,工業専用 地域の 12 種類をい います。都市計画法 により指定され,建 築基準法によりそれ ぞれの地域に建築で きる建物の用途につ いての制限がなされ ています。 ●宅地か否かという ことと登記簿上の地ち 目 も く とはまったく関係 ありません。登記簿 上の地目が田・畑・ 山 林 と な っ て い て も,将来建物を建て る目的で取引されれ ば,その土地は宅地 として扱われます。 ●用途地域内の土地 の例外として,道路 や公園等に使用され ている土地は宅地と し て 扱 わ れ ま せ ん が,これは,あくま で「現に」道路や公 園等になっている場 合です。将来道路や 公園等にする予定の 土地である場合(道 路予定地,公園予定 地)は,宅地となり ます。 重要度 ★★★ 宅建士試験では宅地建物取引業とは何か,ということが問われ ます。「宅地」「建物」「取引」「業」の4つに分解して考えてみます。1
宅地とは
宅建業法によると,「建物の敷地に供せられる土地,および都 市計画法の用途地域内の土地で,道路,公園,河川,広場,水路 の用に供せられているもの以外のものをいう」とされています。 そして,「建物の敷地に供せられる土地」とは,「供せられている 土地」よりは範囲が広く,①現に建物が建っている土地,および, ②現在建物がなくても将来建物を建てる目的で取引される土地, の2つが含まれます。 次に,「用途地域内の土地」です。用途地域とは,都市計画法 により指定される地域のことですが,用途地域内の土地について は,法律が建物を建てることを前提に規制を行っていることから, 原則として宅地としました。ただし,用途地域内の土地であって も,現に道路や公園などの公共施設に使用されている土地につい ては,さすがにそこに建物を建てたりすることはありませんので, 宅地には該当しません。 宅地とは 宅建業法における宅地とは, (1)現に建物が建っている土地 (2)現に建物が建っていない場合でも,建物を建てる目的 で取引される土地 (3)用途地域内の土地(ただし,現に道路,公園,河川, 広場,水路になっている場合を除く) をいう。宅地・建物
第
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節第
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章 用語の定義 第 編 宅建業法 1 ポイント2
重要度 ★★★ ●「自ら貸借」する ことは,「取引」に 含まれません。自己 所有のアパートや宅 地を貸すことも宅建 業 に 含 め て し ま う と,一人暮らしのお ばあちゃんが空部屋 を貸す,といった場 合も「取引」にあたっ て,免許が必要とい うことになってしま い,不都合だからで す。 ●他人が貸借するこ とを媒介・代理する ことは,「取引」に 含まれます。自ら貸 借 す る 場 合 と 異 な り, 代 理・ 媒 介 は, 他人の利害にかかわ ることから,規制す る必要があると考え たからです。 代理・媒介 「代理」とは,他人 に代わって契約を締 結することをいいま すが,「媒介」とは, いわゆる仲介のこと で,取引の相手方を 紹介して,双方の条 件などをうまく調整 し,契約が成立する ように取り計らうこ 貸借 「貸借」には,賃料 を 取 っ て 物 を 貸 す 「賃貸借」と,無料 で物を貸す「使用貸 借」の2つが含まれ ます。2
建物とは
建物については,一点だけ注意しておきますと,建物の一部が 含まれるということです。これは,マンションの一区画,アパー トの一室が「建物」に含まれるということを意味します。1
取引とは
宅建業法は,「取引」について,次のように定めています。 取引とは (1)宅地建物を自ら売買・交換すること (2)他人が宅地建物を売買・交換・貸借するのを媒介する こと (3)他人が宅地建物を売買・交換・貸借するのを代理する こと ○…取引にあたる ×…取引にあたらない取引業
第2
節 売買 交換 貸借 自ら ○ ○ × 媒介 ○ ○ ○ 代理 ○ ○ ○ポイント
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重要度★★★ 「多数の知人または 友人」を相手として 宅地または建物を売 買することは,「業」 に あ た る で し ょ う か? 答えは,イエ ス で す。 で は,「 公 益法人のみ」を対象 として宅地または建 物を売買することは どうでしょうか? これも「業」にあた ります。「知人また は友人」「公益法人 のみ」という表現で は,取引の相手方が 特定されているとは いえないからです。 とをいいます。媒介 人には,契約を締結 する権限はなく,契 約を締結するのはあ くまでも媒介を依頼 した人と紹介された 相手方です。2
業とは
業とは,次のような意味です。 業とは (1)不特定,かつ,多数の者を相手として (2)反復継続して行うこと したがって,従業員 1,000 人を擁する会社が,自社の社員のみ を対象として宅地を分譲するといった場合は,取引の相手方は多 数ですが,「自社の社員のみ」と特定されており,相手方が不特 定ではありませんので,「業」にあたりません。また,農家が自 分の土地を一括して売買する場合は,一回限りで,反復継続とは いえませんので,「業」にはあたらないことになります。 なお,「業」といえるためには,不特定多数の者に対して反復 継続して行う意思があればよいので,その意思で宅地建物の取引 を行えば,初回の取引でも宅建業にあたります。 宅地建物取引業(宅建業)を行う者は,原則として,宅建業の 免許を受けなければなりません。免許を受けて宅建業を行う者を 「宅地建物取引業者(宅建業者)」といいます。1
宅建業者の義務
宅建業者は,取引の関係者に対し,信義を旨とし,誠実にその 業務を行わなければなりません。また,宅建業者は,その従業者 に対し,その業務を適正に実施させるため,必要な教育を行うよ う努めなければなりません。2
免許が不要な場合
次の2つの場合は宅建業を行う場合でも免許がいりません。宅地建物取引業者
第
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節ポイント
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重要度★★ 第1
章 用語の定義 第 編 宅建業法 1 免許が不要な場合 (1)国および地方公共団体(都道府県や市町村)が宅建業 を行う場合 (2)信託会社・信託銀行が宅建業を行う場合 なお,信託会社・信託銀行は,実際に免許を受けなくても,国 土交通大臣の免許を受けたものとみなされますが,国土交通大臣 がこれらの信託会社等の業務を正確に把握する必要があるため, 信託会社等は,宅地建物取引業を営もうとするときは,あらかじ め,その旨を国土交通大臣に届け出なければなりません。3
免許の承継
宅建業者が免許を取り消されたり,死亡したりした場合等は, 免許は効力を失うものの,宅建業者であった者又はその一般承継 人(相続人など)は,すでに締結済みの契約に基づく取引を結了 (完了)する目的の範囲内においては,なお宅建業者とみなされ, 業務を行うことが認められます。 宅地 建物 取引 業 免許の要否 定 義 ①現在建物が存在す る土地 ②現在建物が存在し なくとも建物を建 てる目的で取引さ れる土地 ③用途地域内の土地 (ただし,道路・公 園・ 河 川・ 広 場・ 水路を除く) 建物の一部を含む ○…取引にあたる ×…取 引 に あ た ら ない ①不 特 定 か つ 多 数 の 者 を 相 手 と す る こと ②反 復 継 続 す ること 次の場合は免 許不要 ①国・地方公 共団体 ②信 託 会 社・ 信託銀行 売 買 交 換 貸 借 自 ら ○ ○ × 媒 介 ○ ○ ○ 代 理 ○ ○ ○ 講師より 共有会員制のリゾー トクラブ会員権(宿 泊施設等のリゾート 施設の全部または一 部の所有権を会員が 共有するもの)の売 買の媒介を不特定多 数の者に反復継続し て行う場合は,宅地 建物取引業の免許を 必要とします。□ 1.市街化調整区域内の農業用倉庫の敷地は宅地ではない。 □ 2.登記簿上の地目は山林であるが,別荘の敷地に供するために取引される土地 は宅地である。 □ 3.都市計画法第8条第1項第1号の用途地域内の土地で,民営の駐車場の用に 供せられているものは宅地ではない。 □ 4.地主Eが,その所有地にオフィスビル 10 棟を建築して,自ら新聞広告で入 居者を募集したうえ,それぞれ入居希望者に賃貸し,そのビルの管理をFに 委託する場合,EおよびFは,ともに宅地建物取引業の免許を必要としない。 □ 5.AがB所有の宅地を賃借してマンション(区分所有建物)を建築し,定期借 地権付きマンションとして不特定多数の相手方に分譲しようとする場合,B は,宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 □ 6.建設業の許可を受けているAが,建築請負契約に付帯して,土地のあっせん を反復継続して行う場合,Aは,宅地建物取引業の免許を必要としない。 □ 7.E社が,従業員の福利厚生事業の一環として自社の工場跡地を区画割りし, 宅地としてその従業員のみを対象に反復継続して売却する場合,E社は宅地 建物取引業の免許を必要とする。 □ 8.農家Bが,その所有する農地を宅地転用し,全体を 50 区画に造成した後, 宅地建物取引業者Cに販売代理を依頼して,分譲する場合,Bは,宅地建物 取引業の免許を必要としない。 □ 9.C炭鉱では閉山にともない社宅を取り壊して更地とし,一括してD市に売却 した。D市ではここに高層住宅を建設し,分譲する予定だが,D市は宅地建 物取引業の免許が必要である。 □ 10.Fが共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部 又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介を不特定多数の者に 反復継続して行う場合,Fは,免許を受ける必要はない。