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学外実習総括集 2009/扉0

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Academic year: 2021

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(1)

数理情報学科

3 年 鰐部 拓郎

電子情報学科

3 年 西村 辰哉

機械システム工学科

3 年 吉田 篤史

物質化学科

3 年 藤川 貴浩

情報メディア学科

3 年 美馬佳寿枝

環境ソリューション工学科

3 年 刈谷 泰介

Ⅲ.学外実習を終えて(1)

(2)

1

.は じ め に

今回、私は 8 月 18 日から 31 日までの 2 週間、 愛知県名古屋市に本社を構えるリンナイ株式会社 に学外実習生としてお世話になりました。 3年生になったばかりの当時、私はまだ就職・ 進学・教職のどの道に進もうか非常に迷っていま した。そこで、学外実習を通して実際に企業で働 くことによって、就職し働くということがどのよ うなことであるか、またその経験を踏まえて今後 の学生生活ならびに進路をどうするかということ を考えながら、実習に取り組みました。

2

.企 業 概 要

リンナイ株式会社は、主にガス機器の開発・製 造・販売を行っているメーカーであり、「『熱』を 通して『快適な暮らし』を社会に提供する」こと を使命とし、厨房・給湯・空調等の商品を取り扱 っています。会社は開発、製造、営業部門に大き く分かれていますが、今回私がお世話になったの は、開発部門内にある空調機器試験室で、主にガ スファンヒーター等の一般的な性能試験、信頼性 試験などの各種試験を行うという部署でした。

3

.実 習 内 容

前述の通り、実習では主に空調機器の各種試験 を行いました。試験は、新しく開発された製品が 正しく動作するか、製品に不具合な点はないか、 長期耐久試験を行い性能の変化がないかを調べる など、多くの種類の試験がありました。これは消 費者が製品を安全に安心して利用していただく為 に決められており、試験内容に応じて基準値が定 められているとのことで、その基準を逸脱した場 合は製品として市場には出せないとのことでし た。 2週間の間に私自身も多くの試験に携わりまし たが、今回はその中でも 3 つの試験を紹介しま す。 3−1.振動試験 ファンヒーターは、モーターやファン(空気を 送出するための羽根)が動作するのに伴い、わず かですが機器全体が振動します。振動試験では、 その細かな動きを振動計という専用の計測器を用 いて以下の計測を行います。 ・場所別試験 ・回転数別試験

学外実習に参加して

鰐 部 拓 郎 Takuro WANIBE 数理情報学科 3 年 ― 16 ―

(3)

・周波数別試験 以上の 3 種類の試験について、計測したデータ をコンピュータに記録しました。また、機器やフ ァンのバラツキを調べる為、別の機器やファンだ けを交換して同様に試験を繰り返しました。 試験の内容だけでは単調で時間もそれほどかか らないように見えますが、ある特定の箇所だけ振 動数が極端に異なっていたり、特定のファンだけ 振動数に偏りがあったりするなど自分では想定外 の結果が出ることが多くありました。このような 場合、測定誤差の可能性もあることからまずは同 じ試験をもう一度行い、それでも結果が芳しくな い場合は、どこかに問題がある可能性が高いの で、社員の方に報告・相談するようにしました。 それで時間をとられることが多く、順調で有れば 1台 40 分 程 度 で 一 通 り の 試 験 が で き た の で す が、1 台で 2 時間ほど掛かることもありました。 試験内容を理解して安全に作業できるようになれ ば、早くできる仕事であると感じました。 3−2.酸欠試験 ガスファンヒーターには各種安全装置が設けら れ、例えば空気中の酸素濃度が減少すると、燃焼 を自動的に停止するようにしてあります。これ は、酸素が少ない場合には有害な一酸化炭素が出 ることがあるからです。 酸欠試験は、酸欠試験室という密閉された室内 でファンヒーターを燃焼させた時、一酸化炭素濃 度が基準値を超える前に自動的に停止するかを調 べます。 試験自体は全てコンピュータにより自動的に計 測されるので直接試験のデータを収集したわけで はないですが、酸素濃度や一酸化炭素濃度、二酸 化炭素濃度を測るそれぞれの分析計の調整なども 行いました。 3−3.モニター後のチェック 新製品を開発する際、開発の過程でモニターを 数ヶ月間に渡って実施しています。モニター器に は使用開始・終了に関する情報やタイマーの情報 等が全て蓄積されるような仕組みがあり、そのデ ータを読み取ることも可能になっていました。 ここでは、モニターとして一定期間使用したフ ァンヒーターの記録データをコンピュータに繋 ぎ、記録していきます。データを分析することに よって、どのような状況下においてファンヒータ ーを使用したか等、ファンヒーターの使用前後で 性能の変化はあったか等を推測することが出来、 開発品の改良や不具合修正の資料になります。 私が携わったものでは、性能の変化があったの はほとんど無く、問題のないことが分かりまし た。実際には更に長期間の耐久試験を行うそうで す。

4

.実習を終えて

実習を行った 2 週間、私はかけがえのない、非 常に充実した生活を送ることが出来ました。 その理由として、企業として常に顧客のことを 考えないといけないという使命感があると実感し たことです。例えば、製品の安全性を軽視したり 欠陥を放置したりした故にその製品で事故を起こ してしまう、そうなればご使用者様に大変な御迷 惑をお掛けし、製造者は損害賠償を支払わなけれ ばならない上に企業の信頼も低下するなど業績が 悪化することになります。それを防ぐ為にも、あ りとあらゆるテストを行い、少しでも不具合があ る箇所は修正する。顧客が安全・安心・満足して 製品を利用してもらう為にも、常に消費者のこと を考え開発・製造していかなければならないと考 えさせられました。 最後になりましたが、今回の学外実習を受け入 れてくださったリンナイ株式会社開発本部・商品 ― 17 ―

(4)

開発部・空調機器試験室の社員の皆様に厚く御礼 を申し上げます。

5

.最 後 に

学外実習へ行こうかどうか迷っている方は、是 非とも学外実習に参加した方が有意義だと私は思 います。将来的には必ず職に就かなければなりま せん。私の様に職場の雰囲気を味わうだけでも職 に対する印象が大分変わってきますし、この様な 経験がじっくり出来るのは大学 3 年生までだと思 います。ですので、本当に忙しくて無理であるの ではないならば、学外実習に行かれることを私は お勧めします。 しかし、学外実習を受けるにあたっては、それ なりの社会人のマナーを身につけなくてはなりま せん。これに関しては学外実習の事前指導がある ので養うことはできますが、それ以前からある程 度は覚えておいた方がいいと思います。社会人マ ナーは就職活動でも最低限必要なスキルになりま すし、知っておいて損はないです。また、不規則 生活がちな大学生にとっては早起きは辛いかもし れません。が、学外実習を受ける以上は自分で時 間管理をしなければなりません。そのためにも 「○時に行くには○時に起きて…だとすると○時 までには寝て…」と逆算してまずは規則正しい生 活に戻し、学外実習に挑むようにしてください。 ― 18 ―

(5)

1

.は じ め に

私は、京都府の精華町にある東英産業株式会社 の 開 発 部 で 8 月 24 日 か ら 9 月 11 日 ま で の 3 週 間、学外実習生としてお世話になりました。 私は元々、開発職に憧れており、将来自分のア イデアが世の人々に役立つような素晴らしい物作 りをしたいと考えています。どのように考え、ど ういう視点から物事を見るのか、それに関する知 識はどれほど必要なのか。その勉強のためにも、 この学外実習を通じて経験したいと考えていまし た。また、働くことは社会人として歩むことです し、大学で学んだ知識・経験がどれほど企業で役 立つのかという意味でも、この学外実習に行くこ とは自分を見つめ直すいい機会であるといえま す。実習を通して、普段とは違う方々と出会うこ とにより、人間関係の大切さや職場での考え方を 肌で実感することによって、今後の大学生活およ びその後の将来に役立つよう、実習に取り組むこ とにしました。

2

.企 業 概 要

東英産業株式会社は、1974 年に設立され、電 子写真用ブラシ及び関連部品の開発・製造・販売 を行っている会社です。電子写真用ブラシとは、 複写機、FAX 機、プリンター機などに使用され ているものです。ブラシには、クリーニング関係 ・帯電関係・転写関係などがあります。これら全 てをこの会社で開発、製造しています。 電子写真用ブラシの開発、製造では日本のリー ディングカンパニーとして、国外内のクライアン トの要求に対応しています。ハイスピード化やロ ーコスト化が求められる中で、製品のクオリティ ーをより高めていき、次世代モデルに対する研究 開発も取り組んでいます。 製造部門においては、製品の安定供給のため に、製造ラインの高効率化が必要になってきま す。東英産業では、ブラシの加工・仕上げ・製品 検査に及ぶ製造工程を、独自の一貫生産体制で取 り組んでいます。中国にも拠点を置き、量産体制 も確立すると同時に、多品種、コストパフォーマ ンスも同時に実現しています。

3

.実 習 内 容

(1)製品(電子写真)の説明 当たり前のことですが、自身が作っている製品 のことをきちんと理解していなければ仕事になり ませんし、作業効率自体も全く変わってきます。

学外実習を通して

西 村 辰 哉 Tatsuya NISHIMURA 電子情報学科 3 年 ― 19 ―

(6)

そのため、実習生である私たちにも、会社はきち んと説明をしてくれました。ここでは、私たちが 使っているコピー機などの電子写真について簡単 に説明します。プロセスは以下の 6 工程からなり ます。 ①帯電・・・感光体ドラム表面全体に電荷を一 様にのせる工程 ②露光・・・感光体に蓄えられたエネルギー を、画像情報に応じて偏重した光 で開放し、2 次元の静電潜像を形 成する工程 ③現像・・・静電気力により、潜像にトナーを 付着させる工程 ④転写・・・感光体表面のトナー像を転写材 (紙など)に移す工程 ⑤定着・・・転写させたトナーを熱により一度 溶かして、転写材に定着させるた めの工程 ⑥クリーニング・・・感光体表面のトナーおよ び汚染物質を取り除く工程 また、私が特に興味を持った感光体への露光と電 子写真の構造について説明します。 (ⅰ)感光体への露光 感光体へ露光させる時、正規現像と反転現像と いう 2 種類の現像の仕方があります。正規現像 は、潜像電荷と逆極性の電荷をもったトナーを静 電的に付着させる現像法です。一方、反転現像は 電荷の抜けた所に現像電極の助けをかりて電場を 形成し、この電場により一様帯電と同極性に帯電 したトナーを付着させる現像法です。 (ⅱ)電子写真の構造 電子写真の構造として、バイアスクリーナーを 使ったユニット、ブラシを使ったユニットなどが あります。図 1 はバイアスクリーナーを使ってい る電子写真ユニットです。 この装置は、帯電ゴムロールで感光体を一定に 帯電させた後、光を当てて露光し、そこに現像器 でトナーを現像させた後、紙に転写するという構 造です。ここで感光体とは逆のバイアスをかけた ドラムクリーナブラシで感光体のトナーをクリー ニングします。これと同様に転写ロールについた トナーをバイアスクリーナーでクリーニングをし ます。 挙げたものは白黒限定ですが、現像ロールを増 やすことによって紙にフルカラーで印刷できま す。 (2)開発部での実習 東英産業には様々な部署がありますが、今回お 世話になったのは開発部です。実習では電子写真 用ブラシの摩擦係数等を変化させ、トナーのクリ ーニング性能等を改善する為に『繊維への無機粒 子固着方法』の作成条件の検討、特性評価につい ての基礎研究をテーマとして行いました。 実習 1.繊維への無機粒子固着方法の条件評価 目的:接着剤濃度・粒子量による生地への付着状態の 差を確認する 試薬:以下の接着剤試料について粒子付着条件を検 討する。 接着剤…sample A と各溶媒 sample Bと各溶媒 sample Cと各溶媒 図 1 バイアスクリーナーを使ったユニット ― 20 ―

(7)

sample Dと各溶媒 溶媒…IPA、H2O、エタノール 粒子…SiO2粒子 0.3μm 実験方法:実験用ブラシに以下の手順で試料をつけ、 脱離状態を調べる ただし、接着剤濃度・粒子濃度の設定については各 試料の報告で述べる ①実験用ブラシを 1.5 cm×6 cm 四方の も の を 用 意 し、重量を測定する ②接着剤濃度・粒子濃度を設定し、溶液を作る(ブ ラシ 1.5 cm×6 cm あたりにつき溶液 2 g) ③シャフトに巻きつけ、溶液塗布治具にて塗布した 後、重量を測定する ④乾燥させる為にオーブンで乾燥させ、重量を測定 する ⑤ブラシの脱離状態を測定するためシャフトローラ ーに巻きつけ、下に接触させる基板をセットし、 ブラシ接触部に 1.5 mm 食込ませ回転させる ⑥エアーで 30 秒間当てた後、さらに 30 秒間回転さ せて基板に落ちた粒子の状態とブラシの重量を測 定し、脱離量を計算する ※データが非常に多いため Sample A の一部の結果だ けを載せます。 ・Sample A での検討 Test−最適濃度での担持可能粒子量 目的:Sample A の最適濃度での粒子量による状態の 差異を確認する。 条件:粒径 0.3μm バインダー 50% エアー 3 cm×3 往復 溶媒 IPA 結果:粒子量 30% 以下で脱粉処理をすれば脱理のほぼ 見られないブラシを作成可能。 30% では粒子付着も外観上確認できる。 まとめ:粒子量に依存して付着量が上がりやすい。付 着量と同時に脱離しやすくなるのでさらに検討が必 要だが優良な接着剤である。 実習 2.研磨剤の種類と剛性力・押圧について 目的:①研磨粒子の付着による特性と状態の変化を確 認する。 ②粒子径の差による特性と状態の変化を確認す る。 ③接着剤の差異による特性と状態の変化を確認 する。 方法:観測は以下の点に着目して行う。 ○特性変化 下記の条件で作成したサンプルの特性を以下の方法 で測定し、比較する。 a.剛性力 専用治具を用いて、繊維の硬さを測定(プローブへ の食込み量:0.5 mm/1.0 mm/1.5 mm) b.押圧 専用治具を用いて、ブラシの押圧を測定(対抗基板 への食込み量:0.5 mm/1.0 mm/1.5 mm) c.トルク bとともに、専用治具からトルク圧を測定(対抗基 板への食込み量:0.5 mm/1.0 mm/1.5 mm) ○状態変化 マクロスコープで各サンプルを 175 倍、1000 倍で観 察する。 図 3 IPA によるブラシの脱離量 図 2 IPA によるブラシの脱離後付着量 表 1 評価サンプル バインダー 研磨粒子 A Sample A #8000(1μm) B Sample A #3000(5μm) C Sample A #1500(10μm) D Sample C #8000(1μm) ― 21 ―

(8)

※ データが非常に多いため一部の結果を割愛しま す。 結果 ○特性変化 ① ⇒ 粒子固着によりトルク圧のみに変化が見ら れた。 ② ③ ⇒ 粒子径、接着剤等の付着条件による差 異は見られない。 ○状態変化 粒子径に合うような白い付着物が見られた。 考察 今回の実験では、剛性力や押圧には基準のもの に比べ差異は見られなかった。一方トルク圧には 列記とした違いが見られたので、これと押圧との 関係性を図 8 に示した。このグラフの傾きが示す のはブラシと基板との摩擦係数である。この傾き の大きさを各試料別に比べたグラフが図 9 であ る。粒子を付着させたサンプルはすべて Ref よ りも傾きが大きく摩擦係数が上がっており、粒子 径、接着剤による変化の差異は小さいことがわか る。 図 4 Sample A #8000(1μm)175 倍 図 5 Sample A #3000(5μm)175 倍 図 6 Sample A #1500(10μm)175 倍 図 7 Sample C #8000(10μm)175 倍 図 8 押圧とトルク圧の関係 ― 22 ―

(9)

4

.実習を終えての感想

私は今回、東英産業の開発部で学外実習を行い 企業の一員として働くことを学びました。 今回の実習では、プリンターなどの中身で重要な 役割をしているブラシについてでした。このブラ シがあるからこそ、紙に綺麗に印刷できるので す。私たちが、普段何気なく使っている印刷機、 プリンターなどは、多くの人の努力や工夫によっ て本体が出来上がっていることを改めて学ぶこと ができ、実習前後で、印刷機、プリンターに対す る意識が大きく変わりました。部品の一部が不具 合を起こすと駄目な様に、研究でひとつのミスを 犯し、知らないまま続けると、その後の研究に不 具合が生じ進展しなくなります。だからこそ、ミ スが起こらないよう最新の注意を払い何度も繰り 返し同じ実験を行います。私が主に行った実習内 容でもそうですが、ブラシの用途によって薬品を 吸着・脱離させないような研究も、その結果によ り次の実験を考え行動しますので、甘い考え方で 行うことは許されません。そういった意味で、開 発職というものはあらゆる事象を想定して神経を 配らないといけないことがわかりました。 大学での実験や先輩方の研究において繰り返し 積み重ねることも、こうした社会での開発・設計 職への第一歩であると改めて感じました。

5

.これから学外実習に行く方へ

『長い夏休みを削ってどうしていかないといけ ないの?』そんな疑問を持つ人がいると思いま す。私もそう感じていました。しかし、実際に行 ってみると体験した時間は短く感じられ、バイト とは違い自分にとってプラスになる面が多々あり ます。社会の先輩方と話すことは知識や経験にな りますし、なにより一度社会の荒波にもまれるの で自信がつきます。正直な話、就職活動等ではマ ナーやコミュニケーションはもちろん、大学時代 何をしてきたのかを話す事が非常に重要になって きます。普段から『人前で話すのが苦手だ』『目 上の人とあまり話した事がない』『今まで自慢で きる活動なんてしたことない』という人は、就職 活動時期に困ります。学内で研究をするのもいい ですが、違った視点から見て参加してみてはいか がでしょうか。きっと自分の世界観が変わると思 いますよ。 大学生活をサークル活動に励むのもいいし、単 調に過ごすのも人にとっては有意義に感じること と思います。もちろん、知識やマナーは時間をか け努力すれば報われますが、『そのうちやるさ』 と考えていたらあっという間に大学生活は終わっ てしまいます。『今やらないといつやるの?』と いう私の持論ですが、みなさんもこれから学外実 習に行くにあたり、こういったことを念頭に置か れてはいかがでしょうか。 最後になりますが、実習は自分の気持ち次第で 楽しかったり、つらく感じたりします。いつも明 るく元気な前向きの姿勢で臨めば、自分だけでな く周りも励まされます。どんな活動でもそうなの で、ぜひ試してみてください。それでは、皆さん の健闘を祈ります。 図 9 粒子固着による摩擦係数の変化 ― 23 ―

(10)

1

.は じ め に

私は 2009 年の 8 月 24 日から 9 月 4 日までの 2 週間の間、井上金属工業株式会社滋賀工場で学外 実習生としてお世話になりました。この年はリー マンショックなどの世界恐慌による不景気が日本 中で続いており、そのため、実習生を受け入れて くれる企業も例年より少なくなっていました。そ の様な厳しい経済環境にもかかわらず、実習を受 け入れていただいた井上金属工業株式会社に感謝 しています。この 2 週間の学外実習は、私にとっ て、実際の職場がどのような現状で、どういった 人材が企業では必要とされているのか、そういっ たことを自分なりに確かめ考えることができる、 良い機会だったと思っています。

2

.会 社 概 要

井上金属工業は 1912 年に創業された大阪に本 社を置く装置メーカーです。この会社で主に設計 ・製造・販売されているのはコーター(塗工装 置)、ドライヤー(乾燥装置)、ラミネーターと呼 ばれる装置です。この会社における特徴の一つと して、受注生産(オーダーメード)方式により顧 客のニーズにあった装置を 1 台 1 台設計・製造し ているところが挙げられます。あまり聞き慣れな い装置でわかりにくいと思いますので、これらの 装置について説明したいと思います。 例えば、私たちが日常目にするテレビやパソコ ン、携帯電話等の液晶画面は、特殊なフィルム (偏光板・反射防 止 フ ィ ル ム・TAC フ ィ ル ム・ PVAフィルムなど)が何枚も使われています。 その特殊フィルムは、元となるフィルムに特殊な 樹脂を塗り、熱処理によって乾燥させ、フィルム 同士を張りあわせるなどして作られます。このよ うに、フィルムや紙等の薄いものに対して、“塗 る・乾かす・張り合わす”技術により、付加価値 を付けた商品を作るための装置を製造している会 社が井上金属工業です。製造されている装置の他 の利用目的としては、電子部品関連や、二次電池 関連等多岐に亘ります。 実は、私も当初はどのような装置なのかあまり わからずにいて、きちんと理解できたのは、学外 実習にて詳しい説明を聞いてからでした。 今後の井上金属工業における事業展開として は、環境及びエネルギー関連のリチウムイオン電 池、燃料電池、太陽光発電用パネル並びに逆浸透 膜など世界的に有望な分野に対して突出した技術 力を活かし取り組んでいくとの事でした。

学外実習の体験

吉 田 篤 史 Atsushi YOSHIDA 機械システム工学科 3 年 ― 24 ―

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3

.実 習 内 容

実習の主な内容は、基本的な安全教育、工場見 学の他、パソコンで CAD を用いた製図によるブ ックエンドの製作の他、いくつかの部署で社員の 方々を手伝う就労体験でした。 3−1.安全教育・工場見学 まず、安全教育では、「工場内ではヘルメット ・安全靴を着装する」、「作業中は常に危険予知 (KY)を行いながら行動する」などといった、工 場内で安全に行動するための基本的な「心得」に ついて学びました。 その後、工場見学し、工場内で装置が出来上が るまでの過程を見ていき、働いている社員の方の 説明を聞いたりしました。 3−2.ブックエンドの製作 CADを用いた実習は、本棚で本を並べる際に 用いるブックエンドのデザインを自分なりに考 え、それを作図するというものでした。図 1 がそ のとき作図したブックエンドの設計図です。実際 の仕事では、CAD を用いて装置に用いる部品の 作図を行い、レーザー加工機で切り出すそうで す。 今回のブックエンドも最終的にはレーザー加工 機で切り出してもらうことになっていました。 そのために、CAD での作図後、それをレーザ ー加工機で切り出すためのプログラムへ変換し、 「切断伝票」という加工方法や製造する数量など を示した票をパソコンで作成しました。この切断 伝票を、実際にレーザー加工機を操作してくださ る人に渡し、パソコンからもそのプログラムのデ ータをレーザー加工機に送信し、ステンレス鋼板 から作図した形を切り出してもらいます。そし て、レーザー加工機で切り出したあとは、周りの 切断面をヤスリ等で削り形を整え、その後、プレ 図 1 ブックエンド設計図 図 2 ブックエンド完成品 ― 25 ―

(12)

ス機で土台の部分を L 字型に 90°曲げて完成と なりました。図 2 の写真がその完成品です。 3−3.就労体験 ブックエンドの制作が終わった後は、工場内で 就労体験をすることとなり、生産係、部品係、組 立係の 3 つの部署で作業することになりました。 まず、生産係での作業は、プレス機(ベンダ ー)を使用して、板状の部品を並べて、圧縮によ って形状を変化させるというものでした。 部品係では、電動サンダーで、四角い板材の端 面の辺を削り取る面取りの作業を行いました。そ の後、その板材にケガキ線を入れポンチで印をつ けたあと、ボール盤を使って、板材の印の部分に 穴をあける作業を行いました。 組立係では、出荷前の大型装置の養生をおこな うことになりました。養生とは、ビニールなどで 装置を包み、外部から傷や汚れ等保護することで す。また、いくつものエアーダクトを形状ごとに 分類して紐でくくってまとめるという作業や、何 種類ものボルトやナットが混ざった箱の中から、 種類ごとに分別する作業などもありました。

4

.実習を終えた感想

2週間の実習を終えて、夏休み前から頭の中に あった不安や焦りはなくなりましたが、その代わ りに、体中に疲れがたまっていることが感じられ ました。それは、肉体的な事はもちろん精神的な ものでもありました。 わたしは、普段から規則正しい生活をしている と自負しているのですが、就労体験で疲れて家に 帰った次の日は、眠くてなかなか起きられない日 もありました。 最初の 1 週間、ブックエンドの製作では、CAD を使った製図の方法を学びました。単に設計図を かくだけでも良い経験になったと思いますが、そ れだけではなく、例えば、図面内の寸法の配置の 仕方など、図面がより分かりやすくなるよう工夫 し、その図を見た人がそこから製品を製造すると いう事を考えながら作図することが大切だという ことを教えていただきました。 特に、私のデザインしたブックエンドは(仏が 目を閉じて合掌している様子をイメージしたので すが)全体的に曲線が異常に多いデザインになっ てしまい、「技術者泣かせとか、デザインが細か すぎて、レーザー加工機でも切り出すのは無理じ ゃないか」とか言われて苦笑されることもあり、 わたし自身、焦ったこともありました。そして、 なんとか無事にブックエンドを完成させたとき は、この企業に学外実習に来てよかったと思いま した。 また、実習期間中、様々な人にお世話になりま した。例えば、実習中のミスを正してもらうこと もあり、食事中に最近の金融危機や自身の学生時 代の話を聞かせていただいたりしました。その中 で会社と学校での違いを知るとともに、逆に会社 員でも学生でも変わらない部分があることも教え ていただきました。他者とのコミュニケーション を円滑に行うことは、日常生活だけでなく社会に 出て仕事を続けていく上でも重要であるというこ とを実感させられました。 わたしは、社会に出たあとも、学外実習にいっ ておいてよかったと思えるように、この学外実習 で体験したことを、後の就職活動で活かしていき たいと思います。

5

.これから実習へ行く方に

わたしの所属する機械システム工学科では、学 外実習は必修科目になっていて、わたしは、どう せ行かなければならないなら、下手に嫌がるよ り、自分なりに何か見つけようと覚悟を決めてこ の学外実習に参加しました。そうでなければ、た ― 26 ―

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だ学外実習にいくということだけが目的となり、 単位がもらえればそれでいいということになって いたでしょう。 今回、わたしがお世話になった企業は先述した 通り、日常的な商品を取扱っているわけではな く、このような形でなければ、おそらく知り得る ことのなかった業種だったと思います。このよう に、学外実習はそれまで自分の知らなかった、い ろいろな新しい業種があることを知る場でもある とわたしは考えます。 また、学外実習では、その会社の社員の方々と 話す機会も多くありました。大学では同年代の間 でしか会話する機会が無く、年の離れた人と話す のは苦手だと言う人もいるのではないでしょう か。しかし、会社員となれば、他の年代の人とも コミュニケーションが上手にとれなくてはなりま せん。そういったことは、自分でやろうと思って もなかなかできないことだし、なかなかやる気が おきません。 学外実習のように、普段、自分が生活している 場所と全く違う環境の場所に身をおくということ は、それだけでも、今までにない色々な経験を得 ることができるでしょう。嫌なことであれ、楽し いことであれ、それは将来について考えるひとつ の材料になると思います。 最後に、学外実習において我々が企業で仕事を するといっても、それが企業の十分な労働力にな るわけではないとわたしは考えます。毎日そこで 働く人々の方が、素人の我々よりも仕事量は遥か に上だろうし、もしものときには私たちの代わり に、会社が責任を負わなければならないからで す。実際、私の行った作業は、他の社員の方々の お手伝い程度のことでした。それでも、企業が大 学からの学外実習を受け入れてくれているのは、 それが企業の社会に果たす義務であり責任だと考 えているからではないでしょうか。 わたしが、学外実習として企業で体験したこと は、仕事ではなく勉強なのだと思います。そのこ とを忘れなければ、どの実習先でも多くの知識・ 経験が得られると思います。前向きな気持ちを忘 れずに、実習に臨んでほしいと思います。 ― 27 ―

(14)

1

.は じ め に

私は今回の学外実習で、大阪府池田市にある産 業技術総合研究所関西センターの環境化学技術研 究部門高機能ガラスグループに物質化学科の山内 悠輔さん、田中竜太さんと共に 8 月 24 日∼9 月 11 日の 3 週間お世話になりました。産業技術総合研 究所関西センターは阪急池田駅から徒歩 10 分く らいの場所に位置しています。 今回の学外実習の目的は、 ・社会勉強 ・コミュニケーション能力の向上を目指す ・倫理観を身につける ・知識や技術が実社会でどのように利用されてい るか体得する ・基礎知識の必要性を認識し学習意欲を高める ・職業観を醸成し、将来の進路を考えるきっかけ とする

2

.実 習 先

産業技術総合研究所は、日本の独立行政法人。 経済産業省に属していたが、2001 年 4 月 1 日よ り独立行政法人に改組。「世界の持続的発展への 貢献」「日本の経済社会の明日に向けて、常に新 たな可能性を切り開き、新しい技術を提案してい く」を使命として、産業技術の非常に広い分野に おけるさまざまな技術開発を総合的に行う研究組 織である。「ライフサイエンス」「情報・通信」 「環境・エネ ル ギ ー」「ナ ノ テ ク・材 料・製 造」 「地質・海洋」「標準・計測」の 6 分野を主軸に産 業のほぼ全分野を網羅している。陣容は研究職を 中心とする常勤職員約 2500 名、事務系職員約 700 名に加え、企業・大学・外部研究機関等から約 5200人(平成 17 年度受入延べ数)の外来研究者 を受け入れている。研究組織としては、活断層研 究センターや情報セキュリティ研究センターなど ミッション志向の研究センターが約 30 組織、セ ンターを目指す研究ラボが 7 組織、情報技術研究 部門や知能システム研究部門など基礎よりの研究 を行う研究部門が 20 組織ある。

3

.実 習 内 容

学外実習の目的である「基礎知識の必要性を認 識し学習意欲を高める」ことを意識して以下の実 験に取り組みました。 ・要旨 蛍光灯にふくまれる蛍光体から希土類を抽出す

学外実習を終えて

藤 川 貴 浩 Takahiro FUJIKAWA 物質化学科 3 年 ― 28 ―

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るため希土類をガラス化してやり溶かして、液体 を生成する。 ・作業の流れ 1.緑色蛍光体 LaPO4: Tb、Ce のアルカリ融解 状態 【作業】蛍光体と炭酸ナトリウムを混ぜる 2.Na2O−La2O3−P2O5の相図 【作業】原料を混合する 【作業】融解試験、ガラス化試験 3.選択したポイントにおける蛍光体の浸出挙動 の時間依存性 【作業】蛍光体と添加物を混ぜる 【作業】酸浸出処理−ICP 分析 1の作業について混ぜあわせる作業で Na2O− La2O3−P2O5のモル比を変えてそれぞれを乳鉢を使 い混ぜ合わせた。その相図を次に示す。 ・3 週間の作業内容 1日目は産業技術総合研究所で卒業研究をして いる研究室の先輩と顔合わせをし、卒業研究の見 学をさせてもらった。 2日目より、産業技術総合研究所で働いている 今村さんの手伝いとして以下の実験を行った。 上で示した三角図より、Na2O−La2O3−P2O5のモ ル比からガラスの重量が 15 g になるように分量 を決め、乳鉢を使い、均一に混ぜ合わせた。 混ぜ合わせた粉をるつぼに移してアンモニアの 除去をするため、600℃ の電気炉に 1 時間ほど入 れる。ここでアンモニアの除去を行うのはガラス 化試験を行うまえにあらかじめ匂いのきついアン モニアを除去しておくためである。 そして 1100℃∼1550℃ の電気炉に 2 時間ほど 入れる。ここで、初めは 1100℃ くらいの温度に 設定し、そこでガラス化していなかったならば温 度を上げていく。上限は 1550℃ とし、1550℃ ま でにガラス化試験をしました。 そして最後の一週目からはガラス化試験をやり つつ ICP 分析に取り掛かりました。できたガラ スを粉状にし、それを水、1 M HNO3、2 M HNO3 に溶かし、オートクレーブにいれ、吸引ろ過を行 い、ガラス粉を溶かした溶液を作りました。そし て ICP 分析をするのですが、私が実習中は ICP 分析の途中であったので ICP 分析結果はありま せん。 ガラス ガラスは、主成分となる原料(ケイ砂が多い) と副成分となる種々の金属化合物を粉末として混 合し、高温で溶融して液体状態としたものを急冷 することで製造される。使用済みのガラス製品を 破砕して原料として再利用することもできる。ガ ラスは原子の並びが不規則な非晶質である。結晶 では固体の中の結晶界面で光が散乱したり方向に より光学特性や力学特性が異なったりするが、ガ ラスは非晶質なので全体が均一で透明であり、特 定方向にだけ割れやすいということもない。 ガラス状態について ガラスは液体状態を凍結したような状態(粘度 が極端に高くなった状態とも言える)であり、そ 図 1 Na2O−La2O3−P2O5のモル化 ― 29 ―

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れは準安定状態にあると言える。従って、非常に 長時間を経過するとガラスは安定状態である結晶 化すると考えられるが、それに対しては異論もあ る。また、ガラスは固体ではあるが、過冷却およ びガラス転移により粘度が非常に高くなった液体 であるという捉え方もある。そのため、例えば古 い建物の窓ガラスは、上部のガラスが下の方に垂 れたような形になっている。 吸引ろ過 ろ過速度を向上させるために、ろ紙の下面を減 圧して大気圧をかけてろ過するろ過方法を指す。 これにより、自然ろ過では不可能であった高粘度 物質のろ過や大量の沈殿のろ過が可能である。減 圧ろ過の最も簡単な方法は、ろ過瓶と呼ばれる減 圧可能なガラス瓶をろ液受けとして使用し、圧力 が一箇所に集中することを防ぐために、ろ紙を平 面の目皿に置くブフナーロートを用いるものであ る。ろ紙を折らないため、残渣の回収率もきわめ て高い。吸引ろ過ではろ紙がろ液に濡れたときの 物理的強度を特に吟味する必要がある。 ICP 分析 化学分析においてはアルゴンガスによって生成 される誘導結合プラズマが、サンプルを数 1000− 10000℃ まで加熱し、サンプルを原子化・熱励起 し、これが基底状態に戻る際の発光スペクトルか ら元素の同定・定量を行う方法である。原子吸光 法と異なり、一度に何種類もの元素を分析するこ とができる。感度はフレームレスの原子吸光法よ り劣る。 オートクレーブ 特殊な化学反応を行うため、内部を高圧力にす ることが可能な耐圧性の装置や容器、あるいはそ の装置を用いて行う処理のことである。高い圧力 下では、多くの化学反応が常圧の場合よりも早く 進行し、また常圧ではほとんど見られない反応も 起きることが知られている。また水分を含む物体 を加熱する場合、常圧下では 1 気圧の水の沸点で ある 100℃ 付近で物体内部の水分の大部分が水蒸 気に変わり失われてしまうが、高圧下では沸点が 上昇し、100℃ を大きく超える温度でも水分を保 持させたまま物体を加熱することが可能となる。 これによって、高温状態の水や水蒸気によって特 定の化学反応を早く進行させたり、物体内部への 浸透性を高めたりすることが可能である。これら の現象を利用して、耐圧容器の内部に飽和水蒸気 や水素ガスなどの気体を入れて、さらに高圧にす ることで、容器内部に入れた物体内部で特定の化 学反応を早く進行させるのがオートクレーブの原 理である。 ― 30 ―

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結果 結果を Excel にまとめました。その一部を示し ます。 これより上に示したようにガラス化したものを 三角図にまとめた。

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.実習を終えて

今回 3 週間という短い期間でしたが、独立行政 法人 産業技術総合研究所関西センターでお世話 になって、学生実験などでは見たこともないよう な分析装置などを実際に操作しているところ等を 見て、いい経験ができたと思います。4 回生の先 輩が卒業経験で来ていて、いろいろこれからの話 などを聞かせもらい、そして職員の方々にも話を 聞かせていただいていい勉強になったと思いま す。また、研究所では基礎知識が重要なので、し っかり基礎知識を身につけ、卒業研究等に活かし ていきたい。

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.これから実習に行く人へ

夏休み中の 3 週間のため夏休みの半分近い間、 実習があり嫌だと思っている人も学外実習は本当 に良い経験ができると思うので、積極的になるべ きだと思います。また実習先の方々と多くのコミ ュニケーションをとることをお勧めします。普段 学校では年の近い人としか話をしませんが、実習 先にはたくさんの年代の方がいらっしゃるので業 界のことはもちろん、よい人生経験になると思い ます。 最後に産業技術総合研究所関西センターの皆様 をはじめ学外実習でお世話になった方々には大変 感謝しています。本当にありがとうございまし た。 Na2O La2O3 P2O5 処理日 条件 状 態 20 10 70 15 g 8/26 1100℃ ガラス化 20 20 60 15 g 8/27 1550℃ 一部ガラス化溶融しない 20 30 50 15 g 8/31 1550℃ 溶融しない 20 35 45 15 g 8/27 1550℃ 溶融しない 図 2 ガラス化したモル比 ― 31 ―

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.は じ め に

独立行政法人情報通信研究機構のけいはんな研 究所で 8 月 24 日から 9 月 11 日の 3 週間お世話に なりました。 そこで私は、言語基盤グループにて研究の補助 をさせて頂きました。始めはうまく研究を進める ことができるのか不安でしたが、学外実習という 貴重な体験をさせてもらうのだから、とにかく真 剣に取り組もうと気持ちを切り替えて頑張りまし た。

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.企 業 概 要

情報通信研究機構(NICT)は、総務省管轄の 独立行政法人であり、情報通信分野における国の 唯一の研究機関です。 2008年 4 月に知識創成コミュニケーション研 究センターとユニバーサルメディア研究センター を擁する「けいはんな研究所」を新設されました。 大容量の情報を流通させることができる情報通 信基盤が整備の欠点をなくして、人と人とのコミ ュニケーションをもっと豊かなものにするために 積極的に研究を進めており、研究開発、外部との 協力や支援を通じて、日本の情報通信技術の発展 に貢献しています。

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.実 習 内 容

単語リスト作成システムを用いた単語リスト作 成 ・説明 単語リスト作成システムとは、自分の欲しいテ ーマに沿った単語を集めてくれるシステムであ る。テーマに沿った単語を与えると、その単語の 類義語が返ってくる。テーマに沿った類義語には O、そ う で は な い 類 義 語 に は X を 人 手 で 与 え る。そうすると、システムが O と X の情報から 判断し、そこから新たにテーマに沿った単語には Oを表示し、テーマに沿っていない単語には X を表示して教えてくれるようになっている。 ・方法 手順 1:自然言語処理の論文のタイトルに用い られそうな単語というテーマで以下の 4 つの単語 をシステムに与える。 システムに与えた単語 ・形態素解析 ・機械翻訳システム

学外実習について

美 馬 佳寿枝 Kazue MIMA 情報メディア学科 3 年 ― 32 ―

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・コーパス ・自動抽出 すると、表 1 のように最初に与えた単語の類義 語がシステムによって得られる。 表 1 のデータは一部分である。 手順 2:手順 1 で与えられた類義語に、自然言 語処理に関係する語であれば O、そうでなけれ ば X を付けたデータをシステムに与える。表 1 の類義語に O または X を人手で付けたものの一 部が表 2 である。 すると、表 3 のように O と X を付けた類義語 をもとに、システムが O または X と判断 した単語を出力してくれる。なお、表 3 は結果の 一部分である。 ・結果 表 1 システムに与えた単語の類義語 「形態素解析」の類義語 構文解析 画像解析 パターンマッチング 数値計算 風波数解析 「機械翻訳システム」の類義語 エキスパートシステム 診断支援システム 遺伝子診断法 運転支援システム 水素製造技術 「コーパス」の類義語 シソーラス データベース 文献データベース メタデータ 二次資料 「自動抽出」の類義語 同時測定 定量解析 同時計測 分光測定 自動診断 表 2 O または X を人手で付けた単語 「形態素解析」の類義語 O構文解析 X画像解析 Oパターンマッチング X数値計算 X周波数解析 「機械翻訳システム」の類義語 Xエキスパートシステム O診断支援システム X遺伝子診断法 X運転支援システム X水素製造技術 「コーパス」の類義語 Oシソーラス Oデータベース O文献データベース Oメタデータ X二次資料 「自動抽出」の類義語 X同時測定 O定量解析 X同時計測 X分光測定 O自動診断 表 3 学習した単語 OorX 単畢 Id スコア O 文字入力 221 1.4954 O 文字情報 223 0.952269 O 検索条件 224 0.937345 O 文書作成 226 0.80206 O 鑑別診断 227 0.782599 O 検索 228 0.756758 O 対応付け 235 0.624231 O 検索サイト 243 0.55088 O 自動判別 278 0.363367 O 関連づけ 349 0.167162 O 言語表現 365 0.14641 O 検索エンジン 375 −0.136847 O 同義語 384 0.12231 X 質閉式 506 −0.000951282 X Join 507 −0.00106452 X 復元作業 508 −0.00165507 X 廃棄処理 511 −0.00512674 X アンチエイリアス 512 −0.00525078 X meW 516 −0.00675513 X 自動入札 518 −0.00727891 X 商品選択 519 −0.00737724 ― 33 ―

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システムにより、O が付けられた単語は、自 分が欲しいテーマに沿った単語であるとシステム が判断したというものであり、システムにより X が付けられた単語は自分が欲しいテーマに沿 っていない単語であるとシステムが判断したとい うものである。 表 3 の結果を見ると、「文字入力」「検索条件」 「関連づけ」などの単語に O が付けられており、 自然言語処理の論文のタイトルに用いられそうな 単語という意味で、自分が欲しいテーマに沿った 単語が得られた。システムが X を付けた単語に は、本来は O であるべき単語というのはなかっ た。 ・考察 表 3 では、システムにより O が付けられてい る単語は自然言語処理に関係する単語が見られ、 また、システムが X を付けた単語には、本来は O であるべき単語というのは見られなかったの で良い結果が出たといえる。 手順 2 のように単語をシステムに与え、システ ムから類義語が与えられるとき、類義語が不十分 になることがある。このことは、最初に自分の欲 しいテーマに沿った単語を一つだけシステムに与 えるのではなく、その単語に関係する単語などを 与えることで解決することがわかった。

4

.学外実習を終えて

私は最初、実習先が研究所ということもあり、 堅い雰囲気だと思っていましたが、実際は堅い雰 囲気とは違って明るくいきいきとした場所でし た。恵まれた環境でしたので、研究に集中するこ とができました。 最初の 3 日間は Perl 言語の基礎的な勉強をし た後、システムの制作にとりかかりました。研究 が進むにつれて難易度が上がり、Perl 言語の知識 不足などでプログラム作成につまることがありま したが、研修生と担当の方にプログラムの処理手 順について丁寧にアドバイスをしてくださったの で解決することができました。 実習先まで通うのに 2 時間以上かかっため、3 週間の間は毎日朝の 5 時に起床して夜の 11 時ま でには必ず就寝という生活を送りました。普段は 早寝早起きという生活リズムがなく、だらだらと した生活をしていたので、最初は朝起きるのが大 変でした。社会人になれば、早寝早起きのリズム で生活していくことが当たり前だということを考 えると、健康管理のためにも今までの生活を見直 す必要があると感じました。 この実習を経て、言語処理の知識が以前よりも 増えたこと、そして研究所の雰囲気を体験できた ことが私にとってなによりも良い経験になりまし た。学外実習で学んだ言語処理の知識をこれから の研究室で活かしたいと思います。また、学外実 習で社会人の方と話しましたが、これをきっかけ にこれからの就職活動でもたくさんの社会人の方 とコミュニケーションをとっていきたいと思いま した。

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.これから学外実習に行かれる皆さんへ

私は、学生生活で社会人のマナーを身につける 機会がなかったため、学外実習では、礼儀作法や 言葉づかいがちゃんとできるか、実習先の雰囲気 はどんな感じなのか、実習先で社会人の方とうま くコミュニケーションをとれるかなど、たくさん の不安がありました。皆さんもそういったマナー に対する不安が色々あると思いますが、事前に学 校で「ビジネスマナー講座」をひらいてください ますので安心してください。この講座は学外実習 に必要なマナーを身につけることができます。礼 儀作法を一から教えてもらえてとてもためになり ましたので、皆さんも必ず参加してください。 ― 34 ―

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ビジネスマナー講座では、主に以下のことにつ いて学びました。 ・身だしなみ ・あいさつ、おじぎ ・言葉づかい ・名刺交換 ・自己紹介 ・電話の対応 ・訪問の仕方 ・手紙の書き方 まず、第一印象で最も大切な身だしなみについ て教えてもらいました。男女共に頭から足先まで のスーツの着こなしまで学びました。あいさつ、 おじきについては、よく使うあいさつを実際に声 に出して練習して、おじぎの角度まで丁寧に教え てもらいました。おじぎの種類によって微妙に角 度が異なることがわかりました。また、元気で丁 寧なあいさつができることが大切だと学びまし た。名刺交換については二人一組になって練習を しました。名詞の渡し方、受け取り方にも礼儀作 法があることを知りました。電話の対応について は、実際に実習先に電話をかける機会があったの でとても役に立ちました。そして、学外実習が終 わった後のお礼の手紙についても学びました。 礼儀作法や言葉遣いは頭の中でわかっていても 実際に行動に移してみると失敗することもあるの で、こうした講座をはじめ、普段から練習をする ことが大事だと思いました。また、わからないこ とや疑問に思ったことがあれば少人数で講座を行 うのでどんどんキャリアの方に質問して下さい。 最後に、講師の方が実習先で目標をもつとよい とおっしゃっていました。例えば、実習先で「単 位のためだけに頑張る」ではなく、「なるべく多 くの社会人とコミュニケーションする」「社会人 マナーを少しでも身につける」「とにかく真剣に 取り組む」というふうに何か一つでも自分なりの 目標をつくっておくとよいと思います。そうすれ ば、どこの実習先でも実習を終えた後に、自分の ためになる何かを得ることができると思います。 皆さんも前向きに実習に取り組んで学外実習を意 味のあるものにしてもらいたいと思います。 ― 35 ―

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1

.は じ め に

学外実習に参加したきっかけは、会社で働くと はどのようなものか分からず、今後の就職活動に 少し不安があったからです。受入先の企業につい ては、大学で環境について学習しているので、就 職も視野に入れて学外実習に行くなら環境関係の 業務を行っている企業にしようと決めていまし た。今回の実習では私の希望により、会社の業務 全体を体験させていただきました。

2

.目

学外実習を通して、社会で働くとはどのような ものか、企業で働くとはどのようなものかを体験 する。また今後の研究活動、就職活動や実際に就 職してからの自分にこの経験を役立てる。

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.会 社 概 要

この会社は、昭和 49 年京都の民間企業が出資 し京都産業サービス株式会社として業務を開始し ました。その後、昭和 56 年京都府、京都市の出 資があり会社名を株式会社京都環境保全公社に商 号変更されました。事業内容は、産業廃棄物の収 集運搬、中間処理(焼却、選別、破砕)、最終処 分業(埋立)を行なわれています。現在は業務を 拡大し、廃プラスチック、紙くず、木くずの固形 燃料化、発泡スチロールの減容固化などリサイク ル業務も行っています。また平成 11 年に「ISO 14001」を認証取得し、さらに 3 R 活動推進チー ムを作っているなど環境問題に対して積極的に活 動されています。

4

.スケジュール

8月 24 日 会社概要の説明、講義 午前中は、地元の人との地域融和や地元の人の 廃棄物処分場に関しての意識についてなど廃棄物 処理場や最終処分場をとりまく環境についての話 を聞きました。またリサイクル業務について、リ サイクルが可能でも安定的に供給できかつ利益が 出なければ会社としては事業を実現することは難 しいなどリサイクル事業に関する問題点の話を聞 きました。その後、会社概要の説明を受け、オリ エンテーションという形で会社施設全体を見て回 りました。 午後からは、リサイクルへの取組として会社独 自で作成した「見える化ビデオ」を見ました。こ のビデオはお客様や地域住民の方に会社の理解を してもらうために作成された物で、内容は焼却工

学外実習報告書

刈 谷 泰 介 Taisuke KARIYA 環境ソリューション工学科 3 年 ― 36 ―

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程、RPF の製造工程、硬質プラの製造工程、発 泡スチロールの減容固化工程や、製造した製品が どこの会社で製品に加工されているかが紹介され ています。その後 ISO を京都の産業廃棄物業者 で初めて取得したことやエコ京都 21 に認 定 さ れ、3 年間の 目 標 を 立 て て い る こ と、ま た ISO の維持のため内部監査を行ったり、3 R 活動推進 チームを作っているなど会社の環境への取組につ いての話を聞きました。15 時からは廃棄物の品 目・業許可制度について、廃棄物の収集運搬、処 理には許可が必要で都道府県、政令都市の許可を 取らなければいけないこと、産業廃棄物処理には マニフェストが必要でその他にも不法投棄を防ぐ ために様々な法律、規制、許可がいることを聞き ました。 8月 25 日 午前 受付実習 受付実習では、受付の業務内容の説明を受け実 際にトラックの重量を受付前の重量測定機で量り 料金を設定しているところや、トラックの中を実 際に覗いて現物を確認しているところなどの一連 の業務を見させてもらいました。また、廃棄物の 処理には委託契約が必要でマニフェストには排出 者、運搬者、中間処理者、最終処分者を書く欄が 日付 曜日 時間 内容 8月 24 日 月 8:00 8:30 9:30 11:00 13:00 15:00 自己紹介 スケジュール確認 当社を取り巻く環境・産業廃棄物の動向についての講義 オリエンテーション、会社概要の説明 当社のリサイクルへの取組 当社の ISO 活動の取組 廃棄物の品目・業許可制度についての講義 25日 火 8:30 10:00 13:00 受付実習 資源選別課の取組についての説明 荷捌き・分別実習 26日 水 終日 荷捌き・分別実習 27日 木 終日 荷捌き・分別実習 28日 金 8:30 10:00 焼却炉の構造・理論と実習 焼却炉実習 31日 月 8:30 10:00 当社のリサイクルの取組 リサイクル現場発泡スチロール実習 9月 1 日 火 終日 リサイクル現場 RPF 実習 2日 水 終日 収集運搬実習 3日 木 9:00 午後 瑞穂センター水質検査同行 GS環境科学見学 4日 金 8:30 13:00 設備保守管理・点検業務研修 廃棄物性状分析・検査研修 7日 月 終日 最終処分場の構造・理論と実習 8日 火 終日 営業活動実習(同行営業) 9日 水 8:30 リサイクル研究室について 屋上緑化事業の研究・実習 10日 木 終日 屋上緑化事業の研究・実習(フィールド) 11日 金 終日 研修のまとめ、レポート作成 ― 37 ―

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あることなどを教えてもらいました。マニフェス トには電子化されたものもあるそうです。 8月 25 日 10 : 00∼8 月 27 日 ま で 資 源 選 別 課 の概要、実習 初日に資源選別課についての概要の説明を受け ました。その後、破砕機や、地下にある破砕機の 動力部を見て回りました。午後からは実際に現場 で実習を行いました。 現場実習で行った事は、粉塵を抑えるための水 まき、現場周辺の清掃、搬入された廃棄物の選 別、機密廃棄物の処理補助、医療廃棄物の処理補 助、などです。搬入された廃棄物の選別は、搬入 された廃棄物の中に有用物が含まれていたり、逆 に不適物が含まれている場合がありそれを選別し ていました。有用物とは硬質プラや金属、RPF 原料となる PE、PP などの廃プラスチックです。 不適物とは、塩素を含んだプラスチック、電池や ライターなど発火物なのでごみピットに入れられ ない物などです。 8月 28 日 焼却炉の構造・理論と実習 焼却炉の実習では、午前中に会社にある焼却炉 の構造、排ガスの規制や地元との協定、燃焼温度 800度以上、熱しゃく原料 10% 以下などの法律 についての話を聞きました。会社にある炉の構造 はキルン方式で、大きなキルンが回っています。 産業廃棄物は様々な材質のものが混在しているの で焼却温度を保つのが難しいそうです。 午後からは、実際にクレーン室、焼却炉、排ガ ス処理設備、下水処理汚泥の乾燥設備、焼却灰の 積込設備などの焼却施設の全体を廃棄物の流れに 沿って見学しました。また中央制御室で温度や焼 却の状況の管理、機器の説明を受けました。 8月 31 日∼9 月 1 日 リサイクル課の概要、発泡 スチロール選別実習、RPF 実習 リサイクル課では、リサイクル業務について設 備の説明や仕事内容などの説明を受けました。リ サイクルは他の廃棄物処理と違って、製品を製造 しているので品質管理は重要になってくるそうで す。その後実際に現場で発泡スチロールの選別実 習、RPF の製造実習を行いました。 9月 2 日 収集運搬実習 収集運搬実習では実際に収集運搬車に乗り、各 排出事業者さんへの廃棄物収集に同行しました。 収集車にはアームがついており廃棄物の入ったコ ンテナをそのままトラックに積むことができま す。その後廃棄物が飛散しないように、シートを かける手伝いをしました。 トラックにはデジタルタコグラフが装備されて いて SD カードを挿入して運転業務の記録をと り、会社の運転規則に反していないか調べている そうです。トラックの業務は取引先の都合に合わ せることが多く、実習中も前の積込作業が終わっ ておらず 30 分トラックの中で順番を待つことが ありました。 9月 3 日 瑞穂センター水質検査同行、GS 環境 科学見学 午前中、瑞穂センターの水質検査の採水現場を 見学させてもらいました。水質検査は GS 環境科 学研究所という会社に依頼しています。瑞穂セン ターでは原水(浸出水)を高度処理で処理してい るので、放流水は環境に影響が出ないようになっ ています。瑞穂センターには NF 膜、RO 膜とい った膜処理設備があり、そこで高度処理を行って います。 午後からは、GS 環境科学研究所へ見学に行き ました。GS 環境科学研究所では分析の歴史や法 ― 38 ―

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律について教えて頂きました。また簡単な水質検 査の実験も行いました。 9月 4 日 設備課研修、技術課研修 午前中は設備課の研修を行いました。設備課は 施設整備、保守管理、ISO 関係の書類作成を行っ ています。実習させてもらったのは、月 1 回設備 課が行っている消防設備の点検と設備課が管理を 行っている溶接機の修理、倉庫内の整理です。 午後からは技術課でプラスチックの選別実験を 行いました。技術課は新規に入ってくる廃棄物の 性状を調べ、どのような処理が適しているかを調 べています。 9月 7 日 最終処分場の構造・理論と現場視察 午前は、瑞穂センターの概要の説明を受けまし た。瑞穂センターは京都で唯一の管理型の処分場 で焼却灰、塩ビ、陶磁器くず、無機汚泥、ガラ ス、アスベストなどをサンドイッチ工法で埋め立 てています。また雨水が処理場に浸透しないよう に、上からシートをかけキャッピングを行ってい ます。 午後からは瑞穂センターにある水処理施設の見 学、実習を行いました。瑞穂センターでは微生物 を用いた生物処理や活性炭を用いた処理など一次 処理と、NF 膜や RO 膜、B−クルパックでホウ 素回収などを用いた高度処理があります。実習で は制御盤を用いてバルブの開閉やポンプの起動、 また手動で薬剤をタンクに投入しました。 9月 8 日 営業部同行実習 営業部の方に同行して、実際の営業活動を見学 させてもらいました。営業で訪問した企業は任天 堂、日本新薬など大手もあれば建設資材を販売す る中小企業など様々で、鳥羽下水処理場のような 公共機関もありました。 営業で大変なところは企業が様々で、企業によ って考え方や雰囲気も変わってくるそうで、それ に合わせて営業スタイルも変えて、いかなければ ならないいところだそうです。またやりがいを感 じる所は、企業から排出された廃棄物を処理する ということで、企業が喜んでくれることが多く、 その企業に貢献できたと思えることや、知識の無 い企業さんに法律や規制について情報を提供する ことで信頼関係が生まれることだそうです。 9月 9 日 リサイクル研究室について、屋上緑化 についての説明 リサイクル研究室、屋上緑化事業についての説 明を受けました。リサイクル研究室では新しいリ サイクルに関する研究、廃棄物やリサイクルに関 する情報を集めてデータベース化する、社内のリ サイクルの取組や環境活動を紹介した DVD を作 成し、他企業(取引先)へのアピールに用いる、 などを行っています。研究室の実績として、水処 理の際に発生する乾燥汚泥を炭化することで、土 壌改良材としての利用を開発したなどがありま す。リサイクル事業を行うには、リサイクル技術 はもちろん、廃棄物の安定確保、設備を導入する のであれば法律や地元の理解も必要で、何より赤 字にならないことが大切だそうです。このような 様々な問題をクリアした物だけが実際にリサイク ル業務として行われます。 9月 10 日 緑化事業についてのフィールド実習 炭化汚泥をリサイクルした改良材を用いて実際 に緑化を行っている現場へ行きました。現場は、 京都府庁の屋上、保健環境研究所の屋上、衣笠幼 稚園の芝生、瑞穂にあるゴルフ場の芝生、花壇な どがありました。ゴルフ場の花壇では気温と土の 中の温度を常設温度計で測定しています。緑化事 業は、成果が気候やその場所の日当たりなどで阻 ― 39 ―

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害されたりして難しい面もあるそうです。しかし 試験先からは「もっとほしい」「早く売ってほし い」などという声もあるそうです。

5

.実習の感想

学外実習で実際に会社の中で研修を行うという のは初めてで、それどころか会社のオフィスに足 を踏み入れたり現場に入ったりしたことも無かっ たので最初はとても緊張しました。しかし社員の 方や、現場の方々はとても親切に接して頂いて本 当にたすかりました。京都環境保全公社さんは会 社内の雰囲気も良く、みなさん明るく仕事をなさ っていました。実際に会社で働くという経験がで きたことはとても大きな経験なのですが、私が研 修させて頂いた京都環境保全公社さんは営業や設 備課など普通の会社にある部署もあれば資源選別 課、運輸課など、あまり普通の会社には無い部署 もあり、技術課やリサイクル研究室などの部署と いった技術系の部署もあって、そのすべてを研修 させて頂いたことが一番良かった所だと思ってい ます。 廃棄物処理会社ということで、普段あまり接す る機会の少ない会社だけあって現場では驚きの連 続で今となってはそれが良い経験になったと思い ます。リサイクル研究室では大学で行っているよ うな研究や実験がされているのですが、実際に業 務として実現させるのには様々な障害があり、何 でも研究すればいい大学との差を学ぶことができ ました。学外実習へ行くと行かないでは極端な 話、世界の広さや視野の広さが全く違うと思いま す。本当に学外実習に来て良かったと思います。 ― 40 ―

参照

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