ひきこもりでお悩みの方へ
∼ 家族にできること ∼
名古屋市ひきこもり地域支援センター
編集・発行/名古屋市ひきこもり地域支援センター 発 行 日/平成27年3月 発 行 部 数/2,000部 印 刷/竹田印刷株式会社 この冊子は再生紙を利用していますはじめに
❶
ひきこもりとは
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1❷
家族にできること
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3❸
ひきこもりQ&A
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7❹
事例紹介
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9❺
相談窓口
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 目次ひきこもりの悩みは様々です。
そのため、それぞれの状態に応じた対応を
考えていく必要があります。
ひきこもりで悩んだときには、一人で抱え
込まず、まずはご相談ください。
誰かに話すことで気持ちが軽くなったり、
一緒に考えることで今後の見通しを立てる
ことができるかもしれません。
このパンフレットを通して、ひきこもりで悩む
ご家族の気持ちが少しでも楽になり、
ひきこもりからの回復の一助になればと思います。
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❶
ひきこもりとは
ひきこもりの悩みは様々…
∼「受け止める」ことと「受け入れる」ことについて∼
出典/認定特定非営利活動法人育て上げネット◆ひきこもりとは
ひきこもりとは、原則的に 6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けて いる状態をいいます。この「おおむね家庭にとどまり続けている」状態とは、部屋 からまったく出ることのできない場合から、コンビニエンスストアや本屋など特定 の場所であれば出かけることができる場合まで含まれます。 ひきこもりに至る原因は様々です。いじめや不登校、就職の失敗など何らかの 挫折体験が契機となっている場合もありますが、原因や契機がはっきりしないとい うことも少なくありません。 また、「ひきこもり」 = 「病気」ではありませんが、中には、統合失調症や不安障 害、強迫性障害など、何らかの精神疾患の症状が影響している場合もあります。 また、発達障害など本人の特性により、学校や職場にうまくなじめず、結果として ひきこもってしまうこともあります。ひきこもりの背景として、病気や障害がある場 合には、適切な医療や支援を受けることによって、ひきこもりからの回復の一助と なることもあります。◆本人の気持ちは ?
「世間から取り残されてしまった」 「周囲は自分のことをどう思うだろうか…」 「自分はダメな人間だ」 「家族に迷惑をかけて申し訳ない」 本人は、将来への不安や焦り、社会で活躍している同年代の人に対する劣等感 などが頭から離れず、常に自分自身を責めています。外に出たい、働きたいとい う気持ちを抱えながらも、一歩を踏み出すことができない状態なのです。 家族から見ると、甘えている、怠けていると思うこともあるかもしれません。し かし、ひきこもっている期間が長くなるほど、本人も外に出にくくなり、人とどうコ ミュニケーションをとればいいのかわからなくなってしまいます。まずは、そんな本 人の気持ちを受け止めることが大切です。 「どうすればいいんだろう…?」 本当は働きたいけど、人が怖くて外に 出られない…。一生このままだったらと 思うと不安です。 「本当は誰かに相談したい…」 職場の人間関係に悩んで仕事を辞め てから、自分に自信が持てなくなって …。 「これがひきこもり…?」 高校を卒業してから3 年…。コンビニ に行く以外は全く外出しない子どもが いるのだけれど…。 「親はどう対応すればいいのか…」 私も歳をとってきた…。部屋にひきこ もったまま仕事もしない子どもの将来 が心配。受け止める
∼見守る・寄り添うイメージ∼ 相手の気持ちを理解できる 自分の気持ちを伝えられる受け入れる
∼同情・共に揺らぐイメージ∼ 相手の気持ちを考え過ぎて 自分の気持ちを抑えてしまう❷
家族にできること
ひきこもりの問題に直面した時、家族はどうしたらよいかわからず混乱してし まったり、「子どもがひきこもったのは私の育て方が悪かったからだ…」とご自身を 責めてしまうこともあるかもしれません。また、ひきこもっている本人に苛立ち、い つまでたっても改善しない状況に、無力感を抱いている方もいるかもしれません。 しかし、家族は本人にとって大切な解決資源です。今の状況から一歩前に進む ために、家族にできることを一緒に考えていきましょう。◆基本的な対応方針
まずは「本人が安心できること」が大切です。 本人のことを「よく見て」、本人の話を「よく聴く」ことで、本人にとって「わ かってもらえた」という安心感につながります。本人の現状を受け止め、家庭が安 心できる場であることを何らかの形で伝えていくことで、本人も家族と関わろうと する気持ちが芽生えてきます。◆本人が安心できる環境をつくるために、家族にできること
(1)家庭内のコミュニケーションを見直してみる コミュニケーションの基本は「聴く」ことと「伝える」ことです。本人の気持ちを 受け止め、話を聴くことも大切ですが、同じように、家族が自分たちの気持ちを 本人に伝えることも大切なのです。 また、本人と直接話ができない場合などは、手紙やメモを渡すなど、方法を工 夫するとよいかもしれません。 (2)家庭を社会化する 家庭は社会の一部分であり、社会に出ていくための基本的なルール、生活技術 などを学ぶ場所でもあります。本人を子ども扱いせず、一人の大人として対応し、 家庭内で家事などの役割を担ってもらうことも大切です。 暴力や過度な要求など、本人の言動が家族の不利益につながる場合 には家庭内のルールを明確にし、できないことは、はっきりと断ること も必要です。 (3)本人の力を客観的に見る 本人の得意なことや苦手なことはなんでしょうか ?また、「今」「何に」「どの程 度」困っているのでしょうか ? 本人の健康状態や、今何ができるのかなど、本人 の客観的な状況を把握することが必要です。こんなことはありませんか ?
□ 本人の言動に、つい感情的になってしまう □ 本人の返答を待てず、一方的に伝えてしまう □ 本人に決断を迫り、追い込んでしまう □ 本人に遠慮してしまい、家族の気持ちや本音を伝えることができない □ 家族間の意見が異なり、言い争いになってしまう □ 家族自身の不安が強い □ 誰にも相談できないと感じ、周囲から孤立してしまっている □ 必要な情報がなく、どうしたらよいかわからない5 6 相手に伝えるときは、主語や接続詞を変えてみることで、相手の受け止め方も 大きく変わってきます。「私は∼」と主語を言い換えることで、感情的にならずに落 ち着いて話すことができる場合もあります。 また、本人の受け取り方の特徴を知り、「主語+述語」の単文にするなどシンプ ルでわかりやすい話し方を心がけるなどの工夫も必要です。
◆支援機関に誘う ∼背中を押す∼
ひきこもりの状態から一歩踏み出すために、家族が本人の背中を押す時期が きます。家族として準備ができたと感じたら、①家族として待つことができる期限、 ②支援機関などの情報、③本人に提供できる活動費など内容を具体的に決めて 本人と話をしてみましょう。 一度ではうまくいかないかもしれません。しかし、試行錯誤をしながら何度でも 話をすることができます。うまくいかなかった時に、そこであきらめてしまうのでは なく、「今はだめなんだね。また今度話をしようね」と次につなげる対応を心がけ ることが大切です。□ 背中を押す前のチェックリスト
□ 日常会話やあいさつを自然に交わすことができる □ 冗談や弱音を言い合える雰囲気がある □ 本人の現状を受け止められる □ 家族自身の気持ち・考えを伝えることができる □ 家庭の経済状況、自分たちの老後のことなど整理ができた □ 家族がお互いを非難せず、協働できる □ 背中を押す方法(言葉)が具体的に見えてきた □ 支援機関などの情報が具体的に収集できた □ 本人が家庭内で自主的に行動し始めた ●本人の話を受けとめる…遮らず、否定せず、まずはじっくり話を聴く 例)「そうなんだ」「あなたなりの訳があるのね」 ●相手の話に興味を持つ…質問をしても大丈夫 例)「それで ?」「○○ということ?」 ●パスもあり…本人の話したくないことまで無理に聞かない 例)「今は、言いたくないのね」「わかった。また今度ね」 ●秘密を守る…ただし、必要なときは誰かに伝えるという約束も必要 例)「今は、そうなのね。でも必要な時にはあなたに聞いて○○に 伝えるよ」 ●確認する…本人の気持ち、考え方を理解できているか確認する 例)「○○ということだね」「私は○○と受け取ったよ」□ 背中を押す前のチェックリスト
□ 背中を押す前のチェックリスト
「❷家族にできること」 協力/認定特定非営利活動法人育て上げネット∼ コミュニケーションのポイント ∼
家族自身が社会参加をしましょう
仕事や趣味など、家族自身の生活を大切にしましょう。生活に楽しみを 持つことで、家族自身が健康を保ち、本人とも適度な距離を取ることがで きます。また、家族がいきいきと社会参加する姿を見ることで、本人の「外 に出よう」という意欲につながることもあります。忘 れ が ち な 大 切 な こ と
❸
ひきこもりQ&A
どこに相談したらいいですか ? こころの健康のこと、仕事のこと、人間関係の悩みなど、様々な相談窓口 や支援機関があります。11 ページ「❺ 相談窓口」を参考にしてください。 また、ひきこもり地域支援センターでは、専門のひきこもり支援コーディ ネーターによる面接相談を行っており、相談内容に応じて、適切な支援機 関などをご案内しています。 本人と会話がありません。どうやって声をかけたらいいですか ? 本人が何を考えているのか、将来どうするつもりなのか、家族として気に なることはたくさんあるかもしれません。まずは、日常のあいさつなど、で きるところから始めていきましょう。家事など、家庭内での仕事を頼んで みることもきっかけになるかもしれません。ただし、本人が拒んだり、反応 がない場合は、「今は話したくないんだね」と、少し時間を置いてみてくだ さい。 家庭内の暴力に困っています 暴力は、いかなる場合にも許されるものではありません。どのような言動 が暴力につながるのか考え、その言動を避ける必要があります。慢性化し た暴力については、家庭内だけで解決しようとせず、専門機関に相談して ください。場合によっては、警察に連絡する必要もあるかもしれません。 本人に対しては「暴力があったら警察を呼びます。あなたを犯罪者にはし たくない」と伝え、一貫した対応をとることが必要です。 Q1 A1 Q2 A2 Q3 A3 本人が相談に行こうとしません。また家族が相談に行くことにも反対します。 本人の来所が難しいときは、家族だけで相談に行くこともできます。実際 にひきこもりに関する相談は、家族の相談から始まるケースがほとんどで す。また、家族が適切な対応方法等を学ぶことによって、状況が変わって くる場合もあります。家族が相談に行くことについては「自分たち(家族) が変わりたいから相談に行く」と、気持ちを素直に伝えましょう。 お小遣いはどうしたらいいですか ? 適切な金銭管理は社会生活を送る上で欠かせません。各家庭の経済状況 にもよりますが、本人が社会活動に参加できるよう、金額は本人と話し 合って決めましょう。その際に、家計の状況を本人に理解してもらう必要 もあるかもしれません。家事などの役割に応じて報酬として渡すことも方 法の 1 つです。 他の家族の話を聞いてみたいのですが 家族会など、同じ悩みをもつ家族同士で気持ちを分かち合い、支え合う 場所があります。ひきこもりの問題を抱えていると、世間の目を気にして、 家族も孤立してしまいがちです。家族会などに参加することで、家族自身 が「自分だけではなかった」「思いを受け止めてくれた」など安心感を得る ことができます。また、ひきこもりに関する知識や、対応の仕方などの勉 強会を行っているところもあります。 Q4 A4 Q5 A5 Q6 A69 10