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ペーパークロマトグラフイーによるヒメコマツ材の成分の検出-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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第5巻夢1号(1953) 15

ペーパークロマトグラフィーによる ヒメコマツ材の成分の検出

十 河 村 男 ・幡 克 美

Detectiop.of the constituents of/lHimekomatsu〝 (mnusbent噌hyllaMAYR.var.mmekomat?uMAKINO)

bypapf,rPartitionchr・OmatPgraphy

By Murao SoGO and KatsumiHATA

(Labor’atOr’yOfchemicaltechnologyoffor甲tPrOducts) (ReceivふdMay30,1953) 緒 膏 ヒメコマツ,Pinus.i,ent噌hyllaMAYRVar・mmekomatsuMAKINOは,北海道,本州(上 野,越後,岩代地方に多い),四国,九州等の高山に・おける天然生の五針葉松であるが,庭園樹とし ても楷栽されている.幹は通革で,高さ30m,径1m余に達し,材質緻密,∴柔軟なる大材が得られる から,用材としての利用価倦も比較的高い.意地条件が好適ならば,成育速度もアカマツ,クロマツ 等に比し,さほど超色がみられない. Pinosylvin(3,5−Dihydroxystilbene)及びPinosylvinmonomethylether(3一Hydroxy −・・5−methoxystilbene)が,はじめて,ERDTMAN氏の手に.よってScotch pine(PilrluSSilvest− rfざL・)の心材から分離されたのは,蔓0余年前のこと.である..(1)以来,f翫射ね属のフェノール性成分 は,心材の盛儀酸蒸解困難め虜囚物資並びに・木材腐朽薗に対する魂生物質と.して,木材化学上極めて 畳要祝されるに至り,同氏及び其の協力者達,特にLINDSTEDT氏に.よって,多数のP翫脱帽属に ついて,経Aの心材成分が分離されてきた..(2) 著者等は,今周,ヒメコマツの心材,辺材,敬皮(形成層並びに皮層を含む),及び木栓層等に対し, ペーパークロマトグラフィーによって,フェノール性成分の捻出試験を行った.億アセトン抽出物の 水溶性フラクションについて糖の所在を試験した.その概蓼を報告する. 試 料 新潟県北魚沼那須原村大字須原字松ケ下産,樹令43年(推定),樹高約13.2m,伐探直後胸高部よ り厚さ約3cmの円板5枚を採取した.試料円枚の長径31。3cm,短径26小5cm(何れも樹皮を含まぬ), 同心材部の長径24。4cm,短径21..6cmu未乾燥敬皮部厚さ4mm.木栓層厚さ3..5mm小塩化第二鉄反 応,及びジアゾ化ベンチヂン反応に対し,心材部は特に・鮮明で,敬皮部がこれに次ぐ.各部に分割後, 直射日光をさけて十分風乾し,20meshより細かく破砕して成分抽出に供した叶 実 験 法 1..成分の抽出及び分離 粉末試料30gをエーテルに・て6時間抽出後,残試 料粉のエーテルを除き,さらにアセトンで20時間抽 出した.各抽出物より5cc宛秤量瓶に採り,乾燥し て(1050C)抽出物の含有量を算出せばTablelの 如ぐである

Tablel.Amount of the extr・aCtS. (In percent.of oven−dry sample) Sample・lEtherextract十

(2)

香川県立農科大喪学術報告 16 エーテル抽出物ほ濃縮し,不漁エーテル約10cc申に接辞しつゝ注入した・石油エーテル相は黄色 となった.不溶物を′卜畳の■アセトンに溶解し,アセ下ン抽出物に合せた.アセトン抽出物を濃縮し, 冷水5ccを注加し,傾斜し七冷水可溶物を粘性樹脂楼物質から分別した.冷水抽出液ほ減圧蒸溜し て2−5ccに.濃縮した.これをWと.称する.#,皮及び木栓層のWは褐色,粘胡液であった.樹脂状物 を約10−15ccのエpテル申に.泣入すると,‘membr・ane畠ubstances,とエrテ}t/液とに分かれる.. コニ・−・テル液は①Sat.NaHCO3,②Sat.Na2CO8,⑧0.,2%NaOH,④4%NaOH等で夫々5cc,2 回宛順次に振婆して各ララクショシの分別抽出を行った.心材の蓼合は,1夜放置すると,Sat.Na2

CO8可溶プラクシヨ、シから f>ihbbah最ihのNa軋 4%NaOH可溶部からほ,

Na塩,と思われる多量の黄白色婿品性沈澱物が遊離してきた.夫々1廟を採り硫酸で処理し,水洗 後,前者はトルオールから,後馨ほ.60%鱈酸から再結晶し,・単独せク占:マトグラフイ一に付して確認 した.アルカリ分別抽出把より導がれた各フグクションは,硫酸にて酸眩と を5−・10ccのコニ・−テルに.溶解して探り,4・−・・5回水洗後無水Na畠SO4上で乾燥した.各コニ・−テル液を 夫々A,B,C,及びDと称し,4.%NaOH抽出後残ったエーテル液をNとする. 2.クロマトブラフイーの操作 (1)フェノール類 東洋潜紙No..50(2..Oc血×40cm)の1咄より10cmの部に原点を定め,これK,A,B,C,D,及 びN等の各0”0ト,0.04cc宛を添潰し、,LINbsTEDT氏の一standarIdsoIvent(3)∴を溶剤としで降Ilt 洪により約100分間展開し・た.ヂアゾ化ベンチヂン試勢を鉄色剤と.して,量色させ,組物質のク口々 トグラムにおける即借,色調,発色時間等と照して各成分を捻出した.各フェノールの尺/借及び 顕色欲態はTable2に示す通‘りである.また,Flavone typeの物質のSpOtは4%FeC18液に Table2・Appr’0Ⅹima雪eRfvaluesat200intheLINDSTEDT’sstandai’d SOIvent and colorIreaCtionswithbenzidinereagent.

The color・become$

visible. Substance. Structure. Colorofspot.

転皿ediately Pinosylvin Dihydro pinosylvin Pinobanksin Chrysin Strobobanksin Pinocembrin Cryptostrobin Strobopinin 3.5−Dihydroxy stilbene 3.5・・Dihydroxydiben2;y1 3.5..7・Trihydroxyflavanone 5い7−Dibydroxyflavone 3..5い7Jrrihydroxy−66r8−methylfl・ aVanOne 5.7−Dihydroxyflavanon 5い7一・Dibydroxy−8−and・6− methylf】如anones (isomerin each) 3−Hydroxy,5−methoxystilbene 3−Hydroxy,5−methox≠diben2=y1 5−Hydroxy,7−methoxyflavone 5・Hydroxy,7−methoxyflavanone

DaごkIed Dar・kIed、■ Red Red O工ange yellow

05−1111in

〝 3−−5 ノケ 〝 1−2 〝 0441Red 12 一一 34 〃 〃 0工ange Yellow BrickI・ed 〝 1−3 Immediately Pinosylvin monomethyl etilel I)ihyd吏qpinosylvinmono− methyl ether Tectochrysin Pinostrobin ick工ed l 〝 箪完諾慧110WiW慧hi㌍㍊聖

Within2−3 min. 〝 5 〝

Unknownl Unknownl[

よつで紫色に呈色されるが,Pinosylvin type のものは,殆んど着色されない.従って,Stroboj

PininとPinosylvinmonomethylether,叉DihydrIOpinosylvinmonomethylether・とPino− banksin7−methylether と.の場合の如く Rf’借は近いが,相互に.typeを異にする2物質間の

判別には,展開後,同1波紋を切半し,その1つはベンチヂン試共に.よって畳色せしめ,魔の1らに

(3)

療5巻療1骨(・1953) 17 は,FeC18液を吹付けて,両頭色剤に.ついて試験すると∴便であった. Aからほ存在する殆んど稔七の物質が極めて僅か宛投出され,Bからは,、尺/壱0′′0−0ニ5の範囲の 物質が特に・′明瞭に現われ,Cは即=0.1−・0.7,Dは尺/■=0.6以上の物質を特に胡瞭に.現わした.一N にはPinostrobinの如くR/借の特に高いものが現われ,JPinosylvin・mOnOmethylether<よわ 尺/借の小なる物質ほ殆んど認められなかった. (2)糖類 1Vを前記同株波紋に.添潰し,n−Butanol(4vol〃トーAcetic acid(1vol.)−Water・(2vol.■)を溶剤と<L て,‡8時間展開し,顕色剤として Anilin占hydrogen ルを溶剤とした場合につ 結果及び考察 主な成分に知する放出結果は,Table3に表示する通りである.Pinus属をDiblo.i.ylon(Hard pines)と物わxylon(Softor・Whitepine)との2Subgeneraに大分するときヒメコマツは勿

Table3…Identificationof thecbnstituentsby paper

partition Chr.omatogr’aphy.

廿=found clearly +=found −=nOtfound ?=unCertain PSM=Pinosylvinmonomethylethe工 DHPS=Dihydropino$ylvin DHPSM=Dihydropinosylvinmonomethylether 諭後者に属し,さらにその中のSわ℃∂gに腰する.LINDSTE工)T氏ほ(4)マツ薪の心材成分に関する多 くの研究結果を綜党し,次の原則を帰約した。即ち,①麒ゆloxylon+はStilbenes及びDibenzyls, Phlor・Oglucinolより誘導されたるFlavones及びFlavanones,それから,特にStrobiに属す る陛ほこれに.加うるにMethylphlor・Oglucinolより誘導されうるFlavones及びFlavanones等 を含有するが⑧D砂lox.ylonはStilbenes及びFlavanonesを含有するのみで,Dibenzyls及 Flavonesは含まないと論じでいる.従ってヒメコマツ心材成分に対する本研究結果は此原則に合致 じている..辺材にもPinosylvin monomethylether・が比較的明瞭に検出された..しかし盈的に」は, 心材の約鴇0以下である..その外,Pinosylvin(trIaCe),Pinobanksin も検出された.,教皮は心材 に次いで多くのPhenoIsを含有するようで,心材中に.含有されていた成分は殆んど捻出されたが, Pinostrobin及びStrObobanksinほ認められなかった..L王NDSTEI)T氏は(4)心材フエノrルほ形 成層において生成され射出防を通って心材に蓄積されると説いている.しかし,実において生成され たものが敷皮部を通じて下り,これが形成層を経て心材に移行すると.いうことも考えられ,従って, 扱皮が心材に次いで多くのpbenoIsを含有していること.は極めて興味深い…木栓届からは,極めて

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(4)

18 香川県立顔料大学学術報告 僅かにPinobanksinが捻出されたのみで他の心材成分は全く顕われなかった∴著者等が(6)別に多数 のアカマツ及びクワマツについて研究した結果では,こ.れらの木栓層は,心材に・存在する成分を絶て 含有し,含有量も心材ほど多くは年いが辺材のそれより余程高いようであって,ヒメコマツ木琴層の 場合と著しく異っている.心材,辺材,敬皮,木栓層等何れの部分にもjげ〒0.0及び尺/=0.83の 未知の2物質が検出された.特に前者は木栓層及び琴皮の水溶性フラクション(W)に多量に・みられ た.ペンチヂン試葵に.より前者のものは,赤色に,後者のものは,淡黄色に発色し,何れのSpOtも FeC18液に.より淡紫色を顕わす. 何れの試料も,そのアセ」トン抽出物の水溶性フラクションに,t・Arabinose及び,dglucoseが 検出された.心材ほ.辺材より糖類の含盈が大のようであり,敬皮は,他の3部位に此し,特に・糖を多 く含んでいるようであった.雪 路り笹.臨み,試料を御寄附された新潟県北魚沼郡頻尿村酒井作松氏,並びに同氏を御紹介され,鍵 鬼神支援下さ、つた新掲県林放課長津田末書氏に・深甚の御意を琴する. 文 献 1)ERDTMAN,H.:LiebigsAnnalenderCh6mie,539,116(1939)・ 2)LImSTEDT,G.andMISIORNY,A.:ActaChemicaScandinavica5,121・「8(1951). 3)L‡yDST月DT,G.:Jムgd・4,4蛤−55(1950). 4)LIypSTED:r,G.:乃ブ♂・5,12Sトー38(1951)・ 5)暗 鬼 契,十河 村男‥日商林学会誌(寄稿申)・ R色$um岳

Thephenolicsubstances of Pinus♪enta♪hylla MAYRl・Var・mmekomatsu MAEI2qO have been

investigatedbythepaparpartitionchromatography・

It wasfoundthat the heartwood contained considerable amounts of pinosylvin monomethyl

ether・,pinocembrin,pindbanksin,andpinostrobinand smallamounts of pinosylvin,dihydropinosylvin mo?Omethylether,Chrysin,Str・Obdbanksin,$trdbopinin,andcryptostorobin,Whilethe甲pWOOdcontained

onlyasmallamountofpinosylvinmonomethyletherandtracesofpinosylvinandpindbanksin・Most phenoIsfoundintheheartwoodcouldbedetectedal$Ointhebast(mixedwith cambium),but the amounts of those seemed smaller thaninthe hear・twOOd.The corkdid not contain even tracesof

thephenoIsfoundintheheartwoodexceptpinobanksin,butitwasrithinother unknownphenoIs・ Twounknownsub岳taIICeSWerefoundina110f samples.On岳Of those showed red colorwith the benzidinereagentandits々/valuewasO.OfortheI.Ⅰ甲DSTB=Dr/sIstandardsoIvent,andtheotherone

showedpaleyellowand符valueofO小83

Thewater−SOlublefractionof the acetone ext:raCt fromeach sample wasfurtherinvestigated forsugarsbypaperpartitionchromatography”l−Arabinoseandd・glucose werefoundinallof sam・ ples。Itseemedthatthebast wastherichestin sugarsof all$amples

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①中学 1 年生 ②中学 2 年生 ③中学 3 年生 ④高校 1 年生 ⑤高校 2 年生 ⑥高校 3 年生

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