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中央学術研究所紀要 第28号 021塚本啓祥「研究所の本質を問う」

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Academic year: 2021

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教団において、信仰のために学問は不要であり、さらには妨げにさえなるといった見方がとられがちに

研究所の本質を問う

しかし、長い目でみるならば、捉われず冷静にものを見る研究的な態度は、個人の生活においてだけ でなく、教団のような組織においても決して不要でないばかりか、むしろ必須であります。というのは、 それは絶えず変化する時代や社会の状況のなかで自らのあり方を見つめ、時には必要な自己修正を行な うための指針をしめすものだからです。教えの継承のためには、そのように柔軟な精神が求められるの であり、それは正しい学術研究によって培われるといっても過言ではないかと思われます。 このような意味で研究所が、今後ともその活動をつうじて内外に貢献されることを祈念いたします。 なるのです。

宝仙学園短期大学長塚本啓祥

中央学術研究所が創立三十周年を迎えられましたことを心からお慶び申し上げます。三十年という節 目に当って、研究所の設置の目的、形態、在り方、研究方法等、研究所としての﹁本質﹂を問い直すこ とは、向後の発展のために重要な課題であろうかと存じます。 21

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22 一般に教団所属の研究所の場合、設置の目的は護教的となります。中世のキリスト教神学は教会護持 の手段でありました。ルネッサンスはその束縛から学問を開放し、科学と批判的哲学の発展に寄与しま した。平安期の比叡山から多くの鎌倉仏教の祖師が輩出したことは、比叡山に批判的で普遍的な研究が なされ得る総合大学が存在したことの証と言えましょう。 研究所は客観的学問研究の場であり、その研究成果には普遍的価値評価がなされなければなりません。 組織の面から言えば、研究所は単なる研究者の集合体ではありません。研究所としての統一的な研究課 題と、それを実現するための構成員による分担課題が組織化される必要がありましょう。例えば、立正 佼成会が根本仏教と法華経の精神を存立の支柱としている以上、その教団成立に関する歴史的背景と社 会的基盤、並びにその思想を支えた経典・論害の文献学的・思想史的研究は不可欠の課題であり、その 研究成果が研究所の評価の条件となりましょう。 一方、研究所は所員・研究員によって構成されますが、各構成員の個人研究の学界レベルでの評価が 研究所の価値を支える基礎となります。構成員はそれぞれ各自の研究課題をもっており、学会における 研究発表・論文、及び社会に問うために出版した著書によって評価を受けます。これは研究所の共同研 究の成果に社会︵学界︶の信頼を得ることに繋がります。そのためには、構成員のそれぞれに教団内部 にとどまらず、社会に通用する研究者としての地位を与える方法を考慮することも必要でしょう。 護教的研究方法と学問的研究方法とは矛盾するかに見えますが、決してそうではありません。護教の 立場は研究方法に普遍性が欠けるために、結果として護教の目的は失われます。これに対して、学問的 研究方法は批判的・客観的な立場からのアプローチですから、研究成果には普遍性があり、社会に対し

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て説得力をもちます。これは惹いては護教に繋がります。 以上の目的を達成するためには、学界レベルでの研究者を育成することから始めねばなりません。所 員・研究員のそれぞれが、各自の研究領域の基礎的研究方法を習得すると共に、関係の学会で研究発表 を行って、研究の視点と方法について批判的評価を得て、研究業績を蓄積することが望まれます。次の 三十年に貴研究所が、二十一世紀の国際的な評価を得られる研究所へ飛躍的に発展されることを切に祈 念いたします。 私が研究所の講師陣に加わるようになったのは、もう二十年ぐらい前になるだろうか。森岡先生の御 紹介で、大阪普門館の文化講座を組織する役をつとめたことがきっかけだった。それは﹁生きる﹂とい う統一テーマになっていたが、﹁愛する﹂とか﹁夢みる﹂とか﹁死ぬ﹂とかいう動詞を、各回のテーマと して、それぞれ一人の方に話をしていただく形をとっていた。河合隼雄さんには﹁老いる﹂、作家の真継 伸彦さんには﹁信じる﹂をやっていただいたと思う。各方面に知り合いの多い雑学の私を見込んで、そ

大阪国際大学教授徳永

旬 23

春日狂想

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