1 1 教科化の経緯 (1)道徳教育及び道徳の時間に関する経緯 昭和33年の学習指導要領で、小学校、中学校に週1単位時間の道徳の時間が特設さ れた。以来、道徳の内容項目が再構成されるなど、5回の改訂が行われた。 また、平成14年に「心のノート」が配布された。平成26年の「心のノート」を全 面改訂した「私たちの道徳」は、道徳の時間の教材として児童生徒が道徳的価値につい て自ら考え、行動できるようになることをねらいとして配布された。 平成27年3月、小学校・中学校学習指導要領の一部改訂では、道徳の時間を「特別 の教科 道徳」として位置付けることが明記された(小学校は、平成30年度、中学校 は平成31年度より全面実施)。多様で効果的な道徳教育の指導方法へと改善、検定教 科書を導入、一人一人のよさを伸ばし、成長を促すための評価を充実させることが求め られている。 資料 1・2 (2)子どもたちの現状 ○ 大津のいじめ自殺(平成23年10月)、川崎市における中学1年生殺人事件(平 成27年2月)など、痛ましい問題が多発。 ○ いじめなどの問題行動は、いじめの認知件数が18万件を超え、暴力行為の発生件 数も59.168件となっている。(平成25年 文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導 上の諸問題に関する調査」) ○ スマートフォンなどのネット依存は、高校生のスマートフォンの利用率が84. 5%、平日は平均で約2時間40分スマートフォンを利用している。 (平成26年 総務省 「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査報告書」) ○ 自尊感情の低さは、日本は自分に対する評価が諸外国(米国、中国、韓国)に比べ て低い。(平成24年(財)日本青少年研究所「高校生の生活意識と留学に関する調査報告書」) ○ 社会参画への意欲の低さは、社会へ参画しようとする意識・意欲も他国(米国、中 国、日本)と比較すると低い。(平成21年 日本青少年研究所「中学生・高校生の生活と意識」) 資料 3 (3)道徳教育の現状と課題 <現状> 道徳教育の現状としては、道徳の授業を十分実施できていると思う教員は小学校で3 人に1人、中学校では4人に1人。一方、学年が上がるにつれて道徳の授業を楽しい・ ためになると感じている児童生徒の割合が低下している。 資料 4 <課題> ○ 道徳教育の課題としては、量的課題と質的課題がある。 (量的課題) ・歴史的経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮がある。 ・他教科等に比べて軽んじられ、他の教科等に振り替えられていることもあるの ではないか。 (質的課題) ・教員をはじめとする教育関係者にもその理念が十分に理解されておらず、効果 的な指導方法も共有されていない。 ・地域間、学校間、教師間の差が大きく、道徳教育に関する理解や道徳の時間の 指導方法にばらつきが大きい。 ・授業方法が、読み物の登場人物の心情を理解させるだけなどの型にはまったも のになりがちである。 ・学年が上がるにつれて、道徳の時間に関する児童生徒の受け止めがよくない状 況にある。 資料 5
協議①
平成30年度使用小学校教科用図書「特別の教科 道徳」の概要について
2 (4)「特別の教科 道徳」としての位置付け 平成26年10月21日に中央教育審議会は「道徳に係る教育課程の改善等につい て」を答申。道徳の時間を「特別の教科 道徳」(仮称)として位置付け、検定教科書 を導入することなどを提言。 (平成26年10月) ① 道徳の時間を「特別の教科 道徳」(仮称)として位置付ける。中心となる教材と して、検定教科書を導入。 ② 道徳教育の目標は簡潔な表現に改め、「特別の教科 道徳」(仮称)の目標は、判 断力、道徳的心情、道徳的行為を行う意欲や態度を育てることなどを通じて、よりよ く生きていくための資質・能力を培うこととして提示。 ③ 道徳教育の内容をより発達の段階を踏まえた体系的なものに改善。情報モラルや 生命倫理などの現代的課題の扱いを充実。 ④ 対話や討論など言語活動を重視した指導、道徳的習慣や道徳的行為に関する指導、 問題解決的な学習、小・中学校の違いを踏まえた指導など、多様で効果的な道徳教育 の指導方法へと改善。家庭や地域にも開かれた道徳教育を進める。 ⑤ 一人一人のよさを伸ばし、成長を促すための評価を充実。数値などによる評価は 不適切。 資料 6 2 学習指導要領の改正 教育再生実行会議の提言や中央教育審議会の答申を踏まえ、学習指導要領の一部を 改正し、「特別の教科 道徳」(「道徳科」)として新たに位置付ける。資料 7・8 (1)小・中学校における道徳教育の目標と道徳科の目標(平成27年3月27日) ○ 小学校学習指導要領(平成27年3月告示)(抄) 第1章総則 第1 教育課程編成の一般方針 2 学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」とい う。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はも とより、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれ の特質に応じて、児童の発達の段階を考慮して、適切な指導を行わなければ ならない。 道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づ き、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他 者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。 第3章 特別の教科 道徳 ・ 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき、よりよく生きる ための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、 自己を見つめ、物事を(広い視野から)多面的・多角的に考え、自己(人間 として)の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、 道徳教育全体の目標 道徳科の目標 小・中学校における道徳教育は、「特別の教科道徳」を要に学校の教育 活動全体を通じて実施する。 中央教育審議会答申の概要
3 心情、実践意欲と態度を育てる。 ※括弧書きは中学校 (2)「特別の教科 道徳」とは 道徳は、学級担任が担当することが望ましいと考えられること、数値などによる 評価はなじまないと考えられることなど、各教科にない側面があるため、「特別の 教科」という新たな枠組みを設け、位置付ける。 (3)「特別の教科 道徳」の具体的なポイント ◯ 道徳科に検定教科書を導入。 ◯ 内容について、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた 体系的なものに改善。低、中、高学年に内容項目を追加。 新しい内容項目 資料 9 ◯ 問題解決的な学習や体験的な学習などを取り入れ、指導方法を工夫 ◯ 数値評価ではなく、児童生徒の道徳性に係る成長の様子を把握 3 評価について 児童(生徒)の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよ う努める必要がある。 ただし、数値などによる評価は行わないものとする。 資料 10 <基本的な方向性> ○ 数値による評価ではなく、記述式とすること。 ○ 個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること ○ 他の児童生徒との比較による評価ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極 的に受け止めて認め、励ます個人内評価として行うこと。 ○ 学習活動において児童生徒がより多面的・多角的な見方へと発展しているか、 道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視す ること。 ○ 調査書に記載せず、入学者選抜の合否判定に活用することのないようにする必要。 4 「道徳科」の全面実施に向けて 小学校は平成 30 年度、中学校は平成 31 年度から、「特別な教科 道徳」(道徳科) 全面実施 ※ 本市では、全面実施(中学校は平成31年度)に向け円滑な接続を行うため、小学 校は今年度(中学校は平成30年度)に「特別の教科 道徳」の趣旨・内容を踏まえ た一部先行実施を行う。 低学年 「個性の伸長」「公正、公平、社 会正義」「国際理解、国際親善」 中学年 「相互理解、寛容」「公正、公 平、社会正義」 高学年 「 よ り よ く 生 き る 喜 び」 「答えが一つではない課題に子供たちが道徳的に向き合い、考え、議論する」 道徳教育への転換により児童生徒の道徳性を育む。
4 5 道徳科の教科書について <小・中学習指導要領解説より> 第4節 道徳科の教材に求められる内容の観点 1 教材の開発と活用の創意工夫 (2) 多様な教材を活用した創意工夫ある指導 道徳科においても、主たる教材として教科用図書を使用しなければならないことは言 うまでもないが、道徳教育の特性に鑑みれば、各地域に根ざした地域教材など、多様な 教材を併せて活用することが重要となる。様々な題材について郷土の特色が生かせる教 材は、児童にとって特に身近なものに感じられ、教材に親しみながら、ねらいとする道 徳的価値について考えを深めることができるので、地域教材の開発や活用にも努めるこ とが望ましい。 資料 11 <「特別の教科 道徳」の教科書検定基準等について> ◯ 検定基準に道徳科の固有の条件として、以下の項目を新設する。 ① 学習指導要領において示されている題材・活動等について教科書上対応する ことを求める規定について ・「内容の取扱い」に示す題材(生命尊厳、社会参画(中学校)、自然、伝統と 文化、先人の伝記、スポーツ、情報化への対応等現代的な課題)は全て教材と して取り上げていることを求める。 ・「内容の取扱い」に示す「言語活動」「問題解決的な学習」「道徳的行為に関 する体験的な学習」について教科書上適切な配慮がされていることを求める。 ② 学習指導要領における教材の配慮事項を踏まえた規定について ・「内容の取扱い」に照らして、適切な教材を取り上げていること、教材の取 り上げ方として不適切なところはないこと、特に多様な見方や考え方ができる 事柄を取り上げる場合には、その取り上げ方について特定の見方や考え方に偏 った取扱いはされておらず公正であるとともに、児童生徒の心身の発達段階に 即し、多面的・多角的に考えられるよう適切な配慮がされていることを求める。 ③ 道徳科の内容項目との関係の明示を求める規定について ・図書の主な記述と、道徳科の内容項目との関係を明示し、かつその関係は学 習指導要領に照らして適切であることを求める。 ○ 上記のほか、道徳科の教科書について留意すべき点として、例えば、国際理 解や国際協調の観点から、多面的・多角的に考えることができる教材であるこ と、民間発行の副読本、教育委員会等作成の地域教材、「私たちの道徳」等の文 部科学省(文部省)作成の教材等の様々な教材のよさを生かすこと、家庭や地 域社会と連携した道徳教育にも資するものとなることなどを示す。 資料 12 6 採択の対象となる小学校用「道徳科」の教科用図書について(小学校) ○ 8社が申請 ・8社のうち1社は、小学校新規に参入。 ・小学校の道徳の教科書は、2学年ごとに1点と数えるため8社が3点ずつ24点 (「第3章 特別の教科 道徳」の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」の3) (1) 児童の発達の段階や特性、地域の実情等を考慮し、多様な教材の活用に努めること。 特に、生命の尊厳、自然、伝統と文化、先人の伝記、スポーツ、情報化への対応等の現 代的な課題などを題材とし、児童が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり、感動 を覚えたりするような充実した教材の開発や活用を行うこと。
5 を申請した。また、すべての発行者が1学年ごとの分冊ものとしたことから、教科 書の本体冊数は8社×6学年で48冊、さらに3社は、学年ごとに自分の考えや感 想自己チェックなどを書き込むノート形式の別冊も用意している。8社全体の冊数 は、66冊となっている。 ・ノート形式の別冊を作成した3社のうち、ページ数が最多のものは、(6学年分) で計1324ページ、最少のものは、計1192ページである。他の5社のうち最 多は、計1088ページ、最少は、計860ページ。8社の平均は、1083ペー ジ。 ・年間35(1年生 34)時間に授業時数にあわせて34~40教材を掲載してお り、教科書のサイズも多様である。 〈 対象となる発行社と教科書図書のサイズ等 〉 7 教科書採択後の教育委員会と学校の動きについて <教育委員会> ・採択結果については公表する。 ・教科書を使用した「道徳科」の授業が効果的にできるように「北九州スタンダー ドカリキュラム」を作成し、本年度に配布する。本市の授業のスタンダードを示し、 指導と評価が適切に行われるようにする。 ・学習指導要領に示された「道徳科」の学習や評価の在り方については、教育課程 講習会や全員研修会等で伝達し、周知していく。また、授業実践については、全員 研修会などの公開授業・協議会を通して、考え議論する道徳の時間の充実を図って いく。 ・保護者向けにリーフレットを作成し、「道徳科」についての概要や学習方法などに ついて周知する。 <学校> ・小学校は、一部先行実施として本年度当初に新しい内容項目を位置付けた道徳教 育の全体計画別葉(学校教育全体での道徳教育の計画)、年間指導計画を作成してい る。それをもとに実践を行う。 ・本年度の年間指導計画は、各学年で「北九州道徳郷土資料」「新版 いのち」を教 材として位置付けている。今後も年間指導計画に位置付ける。 ・「道徳科」に関する校内研修会を実施し、来年度の実施に備える。 ・小学校は、本年度作成した年間指導計画を見直し、来年度教科書を使用した道徳 教育の全体計画別葉・年間指導計画の作成を行い、「道徳科」を全面実施する。 教科書発行社 分冊 サイズ その他 1 光村図書出版 B5 2 教育出版 AB 3 廣済堂あかつき ◯ AB 新規参入 4 学校図書 ◯ AB 5 光文書院 A4変型 6 学研教育みらい A4 7 東京書籍 AB 8 日本文教出版 ◯ AB