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(1)

ちょっと役立つ造影検査に関する話題

M R I

Contrast Media in Practice

(

Ver.1.0

)

監修・編著

協   力

桑鶴 良平

(順天堂大学 放射線医学講座)

竹原 康雄

(名古屋大学 放射線医学教室)

鳴海 善文

(大阪医科大学 放射線医学教室)

林  宏光

(日本医科大学 放射線医学教室)

(2)

 今回、

「ちょっと役立つ造影検査に関する話題:MRI編」を作成した。本著は約5年前に上

梓したCT編の続編ともいうべき小冊子である。CT編は、現場で実際に造影検査に関与する

医療関係者から、検査中や検査の問い合わせ時にとても役に立つと好評であった。MRI編

作成の要望も強く、その期待に答えた小冊子が出来上がった。

 造影検査は臨床的に有用であり、多くの疾病の診断に欠くことができない一方で一定の

頻度で生じる副作用があるため、使用にあたり種々の注意が求められる。特に造影剤使用に

あたり、その有用性が副作用を上回ることおよび使用しない場合に患者に生じうる不利益を

上回ることが前提となる。そして副作用が生じた場合は速やかな対処が求められる。

 造影検査はチーム医療により成り立っており、検査依頼医師、検査担当医師、看護師、診療

放射線技師、事務員、救急スタッフなど多くの職種が関わり合って成り立っている。関係ス

タッフは造影剤に関する知識を共有していることが望ましく、本小冊子はそういったスタッフ

を対象としている。

 本小冊子の内容はCT編同様に検査前、検査時、検査後、副作用についての4章に分かれ

ており、MRI造影検査時に疑問が生じた時や質問を受けた時などに必要に応じてその項目

を読んでいただければ素早く正確に理解ができるように配慮している。また、MRI造影検査

についてのエッセンスがわかりやすく記載してあるため、MRI検査に関わるようになった時

に一読していただければ、MRI造影検査時に基礎的な知識を持って臨むことが可能である。

 本小冊子は竹原康雄先生、鳴海善文先生、林 宏光先生のご指導を賜ると共に日本放射線

科専門医会・医会のご後援を戴いた。また、バイエル薬品株式会社のきめ細かいご協力に

より完成に至った。関係者の皆様のご支援に心から感謝の気持ちをお伝えしたい。

はじめに

順天堂大学 放射線医学講座

2011年12月

桑鶴良平

(3)

MRI検査で注意を要することは何ですか?

………

6

CONTENTS

Q

1

MRI検査で注意を要するのは、

どのような患者さんですか?

 検査室に持ち込んではいけない所持品とは?

7

……… Q1

-1

●MRI安全性のWedサイト ●金属探知機 【MEMO】 【MEMO】  Gd造影剤による急性腎不全の報告はありますか?

●eGFR(estimated glomerular filtration rate):推算糸球体濾過量

【MEMO】  前投薬にはどのようなことが行われていますか?  患者さんの不安を軽減するにはどのようなことが行われていますか? ●Gd-EOB-DTPAを投与する患者さんで注意を要するのは、どのような患者さんですか? 【MEMO】 ●Gd造影剤の添付文書に記載されている「禁忌」・「原則禁忌」・「慎重投与」 【MEMO】

MRI検査でスタッフが注意することは、

どのようなことですか?

………

8

Q1

-2

●MRI検査対応機器の全てが非磁性体か? 【MEMO】  MRI装置周辺の磁場分布は? ●MRI装置の磁場の強さは? 【MEMO】

腎機能障害のある患者さんへの造影剤投与にあたって、どんな注意が必要ですか?

14

Q

3

NSFの発症を防ぐには、腎機能障害の重症度に応じて、

どのような対応を取ればよいですか?

 NSFの発症率はどのくらいですか?

15

……… Q3

-1

NSFを治療するにはどのような方法がありますか?

………

15

Q3

-2

Gd造影剤は腎臓に影響を及ぼしますか?

………

19

Q3

-3

 NSFとは何ですか?  NSFの危険因子にはどのようなものがありますか?

造影MRI検査で注意を要するのは、

どのような患者さんですか?

………

9

Q

2

造影剤副作用の危険因子を持つ患者さんは、

どれくらいリスクが高いですか?

………

10

Q2

-1

問診票ではどのような項目を確認しますか?

………

11

Q2

-2

Gd造影剤の副作用を低減する方法はありますか?

………

12

Q2

-3

小児に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

………

20

Q

4

小児における造影剤投与量の目安はどれくらいですか?

………

20

Q4

-1

小児と成人では副作用発現率、症状が異なりますか?

………

20

Q4

-2

 小児にGd-EOB-DTPAを投与した報告はありますか?

小児に造影剤を投与する際の鎮静方法には、

どのようなものがありますか?

………

21

Q4

-3

 どのようにモニタリングしますか?

高齢者に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

………

23

Q

5

高齢者と成人とでは副作用発現率、症状が異なりますか?

………

23

Q5

-1

(4)

 Gd-EOB-DTPAは胎児に影響を及ぼしますか?

妊婦に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

………

24

Q

6

MRI検査は胎児に影響を及ぼしますか?

………

24

Q6

-1

Gd造影剤は胎児に影響を及ぼしますか?

………

24

Q6

-2

MRI検査のセッティングにあたって、注意しておくことはありますか?

………

30

Q

10

 MRI検査において患者さんに熱傷をきたさないようにするには?  MRI検査において表面マーカーとしてどのようなものが用いられていますか? ●MRI検査中のモニタリング方法 【MEMO】  造影剤はどれくらい乳児へ移行しますか?

授乳婦に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

………

26

Q

7

26

………

造影剤はどれくらい乳汁中へ移行しますか?

Q7

-1

●授乳中止に対する考え方 【MEMO】 ●Gd造影剤およびGd-EOB-DTPAのFDA薬剤胎児危険度分類 【MEMO】

造影MRI検査を行うにあたり、注意が必要な薬剤はありますか?

………

28

Q

8

28

………

静注用鉄剤が投与された患者さんではなぜ注意が必要ですか?

29

………

腹部MRI検査を目的とする患者さんで、

検査前に食事を摂ってきた場合、

どうしますか?

Q8

-1

●リファンピシンのGd-EOB-DTPA造影MRIへの影響(動物実験) 【MEMO】 Q9

-1

●食物の胃通過時間 【MEMO】

造影MRI検査にあたって食事制限・水分制限は行われていますか?

………

29

Q

9

●磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)検査の場合 【MEMO】

造影MRI検査で、投与する造影剤の量や種類により、副作用発現率に違いがありますか?

32

Q

11

造影剤投与量が増えると副作用発現率は高くなりますか?

 Gd-EOB-DTPAの投与量が増えると副作用発現率は高くなりますか?

32

……… Q11

-1

 IVHカテーテルからGd造影剤を投与できますか? ●造影剤開封時の注意 【MEMO】

造影剤を注入する際には、

どのような留意点がありますか?

………

34

Q

12

造影剤の注入は、

どの部位から行うのが望ましいですか?

………

34

Q12

-1

他の薬剤投与に用いている静脈ルートから造影剤を投与してもよいですか?

…………

35

Q12

-2

36

………

注入速度が画像に影響を及ぼしますか?

36

……… Q12

-3

造影剤が眼に入ったり、服や検査機器などについた場合には

どんな処置を行えばよいですか?

Q12

-4

●Ringing Artifact 【MEMO】

(5)

Gd造影剤が他の検査に影響を与えることがありますか?

………

40

Q

14

Gd造影剤は臨床検査結果に影響を与えますか?

………

40

Q14

-1

Gd造影剤はX線検査にどのような影響を与えますか?

………

41

Q14

-2

 造影MRI検査とヨード造影剤による造影X線検査を同日に施行する場合には?

Gd造影剤が核医学検査にどのような影響を与えますか?

………

41

Q14

-3

 造影MRI検査と核医学検査を同日に施行する場合は?

Gd造影剤は磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)にどのような影響を与えますか?

……

42

42

…… Q14

-4

同日に造影MRI検査と他の検査を行う場合に、

どのようなことを考慮しますか?

46

……… Q14

-5

 Gd-EOB-DTPAがMRCPに与える影響は?

血管外漏出発生時の処置について教えてください

………

37

Q

13

具体的にはどんな処置が必要ですか?

 血管外漏出時には温罨法と冷罨法のどちらがよいですか?  血管外漏出を予防するにはどうすればよいですか?

37

……… Q13

-1

 造影MRI検査における血管外漏出の発現頻度はどのくらいですか? ●GdとI(ヨード)のX線吸収率 【MEMO】 【MEMO】

造影剤による副作用発現に備えどのようなことが必要ですか?

………

48

Q

16

 備えておくべき救急医薬品と器具には、どのようなものがありますか?  アナフィラキシー様反応に対してステロイドは即効性がありますか?

50

………

造影剤によるアナフィラキシー様反応が回復した患者さんは、

いつ帰宅させたらよいですか?

53

51

……… Q16

-1

 Gd-EOB-DTPAの副作用にはどのようなものがありますか?

造影剤による副作用はどれくらいの頻度で発現しますか?

 その後、患者さんにはどのような指導が必要ですか? Q16

-2

遅発性の副作用はどのくらいの頻度で発現しますか?

Q16

-3

●アドレナリンの投与経路 ●βブロッカーを服用している患者さんにはどのような注意が必要ですか? 【MEMO】 【MEMO】 ●血管外漏出のリスクの高い患者さんおよび予防方法 ■参 考 ヨード造影剤血管外漏出時の症状

Gd造影剤は、投与後どれくらいで体外に排泄されますか?

………

44

Q

15

腎機能障害のある患者さんではどれくらいで造影剤が排泄されますか?

47

………  腎機能障害のある患者さんにおけるGd-EOB-DTPAの排泄は? Q15

-1

造影剤は血液透析でどれくらい除去されますか?

 Gd-EOB-DTPAは血液透析でどれくらい除去されますか? Q15

-2

 Gd-EOB-DTPAの排泄は?

(6)

MRI検査で

注意を要することは何ですか?

MRI装置は強力な磁場を発生させるため、体内留置金属の

ある患者さんなどMRI検査が施行できない患者さんがいま

す。また、酸素ボンベ吸着事故なども報告されており、MRI

検査室に入るスタッフにも注意が必要です。新しい検査ス

タッフへの教育が重要です。

Q

1

A

MRI装置周辺の磁場分布は?

最近の装置はアクティブシールド法を 採用することで、磁場のシールド性能 が格段に向上したため、マグネット開口 部から距離が離れると急激に磁場強度 が低下する特徴をもちます。そのため、 マグネット近傍まで磁性体(掃除機、 酸 素ボンベ、工 具、モ ニター など)の 吸引に気づかず、突然引き寄せられる ので、一層注意を払わなければなりま せん1) 。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て ◎従来型とアクティブシールド型の外部磁場 磁場強度 距離 アクティブ シールド型 従 来 型 アクティブシールド型では マグネットに近づくと急激に磁場が強くなる

MRIガントリーに吸引される磁性体(レンチ)

(7)

磁場強度の単位は、テスラ(T)またはガウス(G)が用いられており、1テスラは10,000ガウスに相当します。

MRI装置の磁場の強さは?

Q1

-1

MRI検査で注意を要するのは、

どのような患者さんですか?

A

よう指導します。下表のような患者さんです。また、患者さんが時計、磁気カードなどの所持品を検査室に持ち込まない ⅰ. 禁忌 [ 心臓ペースメーカー装着、非磁性体である確認が取れない脳動脈瘤クリップ、体内に埋め込んだ 生命維持装置、体外の生命維持装置への依存、高度の閉所恐怖症 ] ⅱ. 非磁性体との確認が取れない体内の金属 [ 心臓人工弁、外科用クリップ、ステント、インプラント、職業あるいは軍事活動による金属断片 (とくに強磁性体)など ] ⅲ. 特別な注意の必要性 [ 心停止の可能性が高い患者、閉所恐怖症、心不全、発熱、発汗能力の低下・喪失、 意識がない・鎮静剤を大量に摂取・錯乱・確実なコミュニケーションが取れない患者 ] ⅳ. 永久的な刺青、アイライン、金属性顔料を使用した化粧品 [ 微量の金属類が含まれている場合があり、火傷や画像に悪影響を及ぼす可能性がある ] ⅴ. 妊娠 [ 胚または胎児への安全性が確立されていない ] ⅵ. 造影剤を使用する場合、喘息または造影剤に対する副作用の既往

◎MRI問診、確認事項

2) 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

検査室に持ち込んではいけない所持品とは?

その他の金属物 (ピップエレキバン、金属類のついた衣類・下着、メガネ、ベルト、はずせる 入れ歯、かつら、使い捨てカイロ、小銭、鍵、安全ピン、ライター、補聴器など) ●時計、 携帯電話などの電子機器、 磁気カード、 ホルター心電図 ●金属を含む貼り薬 (ニトロダームTTS、 ニコチネルTTS) ●ヘアピン、 アクセサリー (ネックレス、 ピアス、 指輪など) ●カラーコンタクト 0.2 ∼ 3T(2,000 ∼ 30,000G) 現在の MRI 装置 約100G 家庭用の冷蔵庫 約800G ピップエレキバン

(8)

Q1

-2

MRI検査でスタッフが注意することは、

どのようなことですか?

MRI検査対応の心電図モニターがマグネットに吸着した事例が報告されています。MRI検査対応機器の多 くは、RFノイズの影響を抑え、正確にモニターできるとの意味で、全部品を非磁性体で構成しているわけで はありません。「MRI検査対応=非磁性体」と勘違いしないようスタッフへの教育が必要です3) 。

MRI検査対応機器の全てが非磁性体か?

金属探知器による金属チェックを行っている施設もあります。ただし、金属探知機は、小さな金属や深部にあ る金属などを検知できない場合もあるので注意が必要です。

金属探知機

A

します。特に、MRI検査室にたまに来訪する医師・看護師・救急時の応援医師などの所持品(白衣ポ強大な磁場の危険性を医療機関内に周知させ、磁性体をMRI検査室内に絶対に持ち込ませないように ケットのはさみ、ナイフ、鉗子、ヘアピンなど)に注意し、磁性体チェックを常時確実に行えるよう、MRI担 当技師または医師は、常にMRI検査室全体を監視します。また、救急時には磁場の危険を熟知しない医療 関係者が、検査室に不意に侵入する可能性があるので特に注意が必要です2) 。 1)高原太郎:INNERVISION 16(11):76-79(2001) 2)日本医学放射線学会:放射線診療事故防止のための指針 Ver.4(2002) 3)日本放射線技師会 放射線機器管理士部会 監修 , 放射線機器管理シリーズ X 線・MRI・CT,   日本放射線技師会出版会(2007) 【参考文献】 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て MRIの安全性に関する最新かつ安全な情報を得ることができます。また、体内埋め込み装置あるいは 体内金属の名称を打ち込んで、安全性に関するデータベースを検索できます。

MRI安全性のWebサイト

(9)

Q2-1 P10 参照

副作用を起こしやすい患者

●喘息 ●アレルギー歴 ●Gd造影剤の副作用歴 ●ヨード造影剤の副作用歴 Q3 P14 参照

NSF を起こしやすい患者

●透析 ●重篤な腎障害(eGFR < 30mL/min/1.73m2 ) ●急性腎不全 Q5 P23 参照 Q4 P20 参照 Q7 P26 参照 Q6 P24 参照 Q14-1 P40 参照 MEMO P12 参照 MEMO P28 参照 MEMO P12 参照

その他

●小児 ●高齢者 ●妊娠中の女性 ●授乳中の女性 ●採血が予定されている患者 ●血清ビリルビン値が 3mg/dL を超える患者(Gd-EOB-DTPA) ●血清フェリチン値が顕著に高い患者(Gd-EOB-DTPA) ●リファンピシン類を投与されている患者 (Gd-EOB-DTPA)

造影MRI検査で注意を要するのは、

どのような患者さんですか?

Gd造影剤による副作用の危険因子としては、喘息の既往歴、

アレルギー歴、Gd造影剤の副作用歴、

ヨード造影剤の副作用

歴があげられます。また、重篤な腎障害のある患者さん、透

析の患者さんは、腎性全身性線維症(NSF:Nephrogenic

Systemic Fibrosis)の危険因子とされています。このよ

うな患者さんでは、造影MRI検査を行う際に注意する必要が

あります。

そのため、添付文書の「禁忌」、

「原則禁忌」の項目などを参考

とし、問診などにより危険因子のチェックを行った上で造影

MRI検査の可否判断、副作用処置の準備などを十分に行う

ことが必要です。

Q

2

A

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(10)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

Q2

-1

どれくらいリスクが高いですか?

造影剤副作用の危険因子を持つ患者さんは、

A

副作用の発現率がおよそ2 ∼ 9倍高いと報告されています喘息やアレルギー歴のある患者さんでは副作用発現率がおよそ2倍、造影剤副作用歴のある患者さん2)。 ではおよそ3 ∼ 9倍高いと報告されています2) 。 危険因子 副作用発現率(例数) 3.7% 2.4% 3.7% 1.9% 21.3% 6.3% 2.4% あり なし あり なし Gd造影剤副作用歴あり ヨード造影剤副作用歴あり 全症例 (31/831) (312/13,219) (144/3,860) (200/10,310) (16/75) (54/857) (372/15,496) 喘 息 アレルギー歴

副作用発現の危険因子

2) 血清クレアチニン値は腎機能障害の指標として広く用いられてきましたが、年齢、筋肉、性別などにより変動 するため、痩せた女性や高齢者では、血清クレアチニン値が正常でも、実際には糸球体濾過値(GFR)が低下 している場合があります。 より正確な腎機能を評価するにはイヌリンクリアランスを測定することが望ましいとされていますが、これら の測定は煩雑なため、一般的にはGFR推算式(eGFR)が用いられます。日本腎臓学会から日本人のGFR 推算式が発表されています1) 。

eGFR(estimated glomerular filtration rate):推算糸球体濾過量

日本人のGFR推算式

1)

女性は× 0.739

eGFR(mL/min/1.73 m

2

)=194 × Cr

− 1.094

× Age

− 0.287 ※酵素法で測定された血清クレアチニン(Cr)値を用いる。 ※18歳以上に適用する。

(11)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

Q2

-2

問診票ではどのような項目を確認しますか?

【問診票】 1. 今まで、造影剤(注射)を用いた検査を受けたことがありますか?    □なし  □あり:CT 検査、腎臓検査、胆嚢検査、血管造影、MRI 検査 2. その時、副作用はありましたか?    □なし  □あり:発疹、吐き気、嘔吐、その他(        ) 3. アレルギー体質、アレルギー性の病気がありますか?    □なし  □あり : かぶれ・じんま疹・喘息・皮膚炎・アトピー・のみ薬・注射の副作用 4. 喘息であったり、過去に喘息といわれたことがありますか?    □なし  □あり 5. 現在、妊娠中、または妊娠している可能性がありますか?    □なし  □あり  □わからない 造影剤の添付文書の禁忌・原則禁忌を掲載している施設もあります。

◎問診票の一例

A

一般に副作用発現の危険因子、患者さんの疾患、妊娠の有無などを確認します。 マグネビスト静注 添付文書2011年9月現在

Gd造影剤の添付文書に記載されている

「禁忌」

「原則禁忌」

「慎重投与」

【禁忌】 (1) 本剤の成分又はガドリニウム造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者 (2) 重篤な腎障害のある患者 【原則禁忌】 (1) 一般状態の極度に悪い患者   (3) 重篤な肝障害のある患者 (2) 気管支喘息の患者 【慎重投与】 (1) アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者 (2) 両親、兄弟に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすい    アレルギー体質を有する患者 (3) 薬物過敏症の既往歴のある患者 (4) 既往歴を含めて、痙攣、てんかん及びその素質のある患者 (5) 腎障害のある患者又は腎機能が低下しているおそれのある患者 (6) 高齢者 (7) 幼・小児

(12)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

前投薬にはどのようなことが行われていますか?

有効性は確立されていませんが、下記のような方法が行われています。

Q2

-3

Gd造影剤の副作用を低減する方法はありますか?

A

Gd造影剤の副作用を低減する方法は確立されていません。有効性は確立されていませんが、ヨード造影剤に準じて「前投薬」を行う場合があります。 また、患者さんの不安を軽減する工夫がなされる場合もあります。

副作用予防のための前投薬(日本医学放射線学会 医療事故防止委員会)

3) 血清ビリルビン値が3mg/dLを超えた患者さんでは糞中排泄率は0.5%未満に低下し、肝実質の信号増強 効果の減弱が認められています。また、血清フェリチン値が顕著に高い患者さんでは、肝臓のフェリチンに よる磁化率効果により、肝実質の信号増強効果が減弱する可能性があります6) 。

Gd-EOB-DTPAを投与する患者さんで注意を要するのは、

どのような患者さんですか?

患者さんの不安を軽減するにはどのようなことが行われていますか?

一般に、事前の十分な検査説明、検査中の適度な会話、音楽を流すなどの工夫がなされていま す。Gd造影剤では検討されていませんが、ヨード造影剤では不安感が大きいほど副作用の発現 率が高いことや4) 、BGMを聞かせることで副作用の発現率が低くなることが報告されています5) 。 特にMRIはガントリーが狭いことから、不安感や恐怖感を取り除くことが重要と思われます。 ①造影剤使用前の2回のコルチコイド投与  (造影剤使用の12時間および2時間前に32mg経口投与) ②造影剤使用1時間前のメチルプレドニゾロン120mg静注 ③多剤併用  (造影剤使用13、7、1時間前にプレドニン50mg経口投与と1時間前にジフェンヒドラ  ミン50mg経口投与)

(13)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 1)CKD 診療ガイド 日本腎臓学会編 2009 2)Nelson KL et al.:Radiology 196(2):439-443(1995) 3)(社)日本医学放射線学会 医療事故防止委員会 : 造影剤血管内投与のリスクマネジメント(2006) 4)津留英子ほか:臨床看護 15(12):1815-1820(1989) 5)松平直哉ほか:映像情報 (M) 26(16):977-980(1994) 6)EOB・プリモビスト注シリンジ添付文書(2011 年 9 月) 【参考文献】

(14)

腎機能障害のある患者さんへの

造影剤投与にあたって、

どんな注意が必要ですか?

重篤な腎機能障害のある患者さんは、Gd造影剤による腎性

全身性線維症(NSF:Nephrogenic Systemic Fibrosis)

の発症が報告されているので十分注意が必要です。

また、腎機能障害のある患者さんに投与する場合には、排泄

遅延から急性腎不全など、症状が悪化するおそれがあるため

注意が必要です。

Q

3

A

NSFとは何ですか?

NSFとは、重篤な腎機能障害患者さん、特に透析患者さんにおいて、Gd造影剤の投与数日から 数ヶ月後、時に数年後に皮膚の腫脹、発赤、疼痛などが急性ないし亜急性に発症する疾患です。 進行すると皮膚の硬化、筋肉表面や腱などに石灰化を生じ、関節が拘縮して高度の身体機能障 害に陥り、時に死亡例も報告されています。一般的に左右対称に生じ、下肢から発症することが 多く、上肢、体幹部に進展し、頭部、顔面への波及はないとされています。病変の主体は線維組 織であり、皮膚のみならず皮下組織、筋肉まで及び、剖検例では横紋筋、胸膜、心、腎などの多臓 器に及びます1,2) 。 最初の症例はCowperらにより1997年に発症したと報告され3) 、2006年に初めてGrobnerら によりGd造影剤とNSFとの関連性が報告されました4) 。国内外の規制当局や学会から警告・注 意勧告、ガイドラインなどが発表され、その後、適正使用が推進されたため、NSFの発症は 2005∼2006年をピークに減少しており、現在では新たな症例はほとんど報告されていません。

NSFの危険因子にはどのようなものがありますか?

「腎障害患者におけるGd造影剤使用に関するガイドライン」5) では、 以下の危険因子があげられています。 〈原則としてGd造影剤を使用せず、他の検査法で代替すべき病態〉 ・ 長期透析が行われている終末期腎障害 ・ 非透析例でGFRが30mL/min/1.73m2 未満の慢性腎不全 ・ 急性腎不全 〈その他〉 ・ Gd造影剤の大量投与、反復性投与 ・ 大きな組織障害(活動性感染症、動静脈血栓症、大きな外科手術など) ・ 肝移植後または肝移植待機中の腎機能低下患者 ・ エリスロポエチンの併用 ・ 腹水や羊水など体腔内に液体貯留が認められる場合 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(15)

Q3

-1

NSFの発症を防ぐには、腎機能障害の重症度に応じて、

どのような対応を取ればよいですか?

A

「腎障害患者におけるGd造影剤使用に関するガイドライン」5) では、下表のように推奨されています。

NSFの発症率はどのくらいですか?

NSFの発症確率を正確に推計することは容易ではなく、Gd造影剤間におけるNSF発症リスク の差は明確ではありません。しかし、現在までに入手可能なデータをみる限りにおいては、 Gadodiamideに最も報告が多く、腎障害患者さんあるいは透析患者さんに投与された場合の 発症確率は概ね5%以下と推定されます。次いで、Gadopentetate dimeglumineに報告が 多く、Gadoteridol、GadoterateによるNSF発症の報告はほとんどない5) とされています。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

Q3

-2

NSFを治療するにはどのような方法がありますか?

A

腎移植などによる腎障害の改善がNSFの進行を遅らせたり改善したりしたという報告はありますが、それ以外には現在までのところ有用性が確認された治療法はありません。 ひとたび発症すると不可逆的で有効な治療法がないことから、ガイドラインを遵守することが重要です5) 。

腎障害患者におけるGd造影剤使用に関するガイドライン

5) 透析患者 急性腎不全患者 慢性腎臓病患者 GFR(mL/min/1.73m2 ) 0∼29 30∼59 60≦ 5 or 4 3 CKD stage 2 or 1 危険性が高いとする 根拠には乏しい 利益と危険性とを 慎重に検討し、 最少量を使用する 原則としてGd造影剤は使用しない (やむを得ず使用する場合には、NSF発症報告の多い 造影剤の使用を避ける)

(16)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 第2版 : 2009年9月2日改訂 NSFとガドリニウム造影剤使用に関する合同委員会 (日本医学放射線学会・日本腎臓学会) 【はじめに】 重篤な腎障害のある患者へのガドリニウム造影剤使用に関連して、腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis:以下、NSF)の発症が報告されている。NSFはガドリニウム造影剤の投与数日から数ヶ月後、時に数年後 に皮膚の腫脹や硬化、疼痛などにて発症する疾患であり、進行すると四肢関節の拘縮を生じて活動は著しく制限さ れる。現時点での確立された治療法はなく、死亡例も報告されている。 本ガイドラインはNSFのさらなる発生を防ぐことを目的としたものであり、ガドリニウム造影剤の使用にあたって は、以下の方針を推奨する。 【本文】 1. ガドリニウム造影剤は、腎障害の有無にかかわらず、診断のために不可欠と考えられる場合のみ使用されるべき であり、投与にあたっては各々の医薬品添付文書に則り、用法、用量を厳守すること。また、CTや血管造影など のX線検査のための造影剤として、ガドリニウム造影剤を使用してはならない。 2. 造影MRI検査にあたっては、緊急検査などでやむを得ない場合を除き、腎機能(糸球体濾過量:GFR)を評価すべ きである。臨床的には、性別、年齢、および血清クレアチニン値から推算GFR(推算糸球体濾過量:以下、eGFR) を算出して腎機能を評価することが推奨される(参考1)。なお、血清クレアチニン値は、できるだけ造影MRI検 査日直近のデータを使用する。 3. 原則としてガドリニウム造影剤を使用せず、他の検査法で代替すべき病態として以下のものがある。 ● 長期透析が行われている終末期腎障害 ● 非透析例でGFR が30mL/min/1.73m2 未満の慢性腎不全 ● 急性腎不全 4. 上記3に該当するが、やむを得ずガドリニウム造影剤を使用しなければならない場合には、NSF発症報告の多い ガドリニウム造影剤の使用を避けるのが望ましい(参考2)。 5. GFRが30mL/min/1.73m2 以上、60mL/min/1.73m2 未満の場合には、ガドリニウム造影剤使用後のNSF 発症の危険性が必ずしも高くないとする意見もあるが、実際にNSF発症の報告もあり、ガドリニウム造影MRI検 査による利益と危険性とを慎重に検討した上で、その使用の可否を決定する必要がある。なお、使用に当たって は必要最少量を投与すべきである(参考2)。 6. GFRが60mL/min/1.73m2 以上の場合には、ガドリニウム造影剤使用後のNSF発症の危険性が高いとする 根拠は乏しい。 7. 既にNSFと診断されている症例には、ガドリニウム造影剤は投与すべきではない。 8. NSFならびにNSFとガドリニウム造影剤使用との関連については、いまだ十分に解明されておらず、本ガイドラ インは現時点で知り得た事実に基づくものである。今後新たな知見が得られることにより、本ガイドラインの内 容は適宜変更されるものである。 腎障害患者におけるガドリニウム造影剤使用に関するガイドライン

(17)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 【参考】 1. eGFRに関する諸注意 1)日本人を対象とした以下の推算式を用いるのが望ましい。 男性:eGFR(mL/min/1.73m2 )=194×Cr−1.094 ×Age−0.287 女性:eGFR(mL/min/1.73m2 )=194×Cr−1.094 ×Age−0.287 ×0.739 2)急性腎不全では腎機能が安定していないので、eGFRによる評価は行うべきではない。 3)GFR推算式は成人用であり、18歳未満には適応されない。 4)GFR推算式は妊娠中には適応されない(妊娠時の実測GFRデータがない)。 5)eGFRの正確度はGFR実測値の±30%の間に75%の症例が含まれる程度である。正確な腎機能評価が必 要な場合にはGFR(イヌリンクリアランス)、Ccr(クレアチニンクリアランス)を実測する。CcrはGFRより高 値となるので×0.715で補正し、1.73m2 の体表面積補正値で評価を行う。 6)筋萎縮のみられる患者(長期臥床などによる廃用性萎縮や筋ジストロフィー症、多発性筋炎、筋萎縮性側索硬 化症などの筋萎縮性疾患)などクレアチニン産生量低下が認められる症例では、GFRが高く推算される。 7)極端な体型、低栄養状態の症例、浮腫、胸水、腹水などの体液貯留時には誤差が大きくなる可能性がある。 8)血清クレアチニン値の変動に関する以下の点に留意する。 ①血清クレアチニン値には10%程度の日内変動がある。 ②血清クレアチニン値は、激しい運動時や肉の大量摂取時には上昇し、タンパク摂取制限時には低下する。 ③シメチジン、トリメトプリムは尿細管のクレアチニン排泄を減少させ、血清クレアチニン値を上昇させる可能 性がある。 2. NSFの発症確率を正確に推計することは容易ではなく、ガドリニウム造影剤間におけるNSFのリスクの差は、 はっきりしない。しかし、現在までに入手可能なデータを見る限りにおいては、Gadodiamide(Omniscan) に最も報告が多く、腎障害患者あるいは透析患者に投与された場合の発症確率は概ね5%以下と推定され る。次 い で、Gadopentetate dimeglumine(Magnevist)に 報 告 が 多 く、Gadoteridol(ProHance)、 Gadoterate(Magnescope)によるNSF発症の報告はほとんどない。 3. NSF発症の確率を高める可能性のある因子として、ガドリニウム造影剤の大量投与あるいは反復性投与などが あげられる。そのほか、大きな組織障害(活動性感染症、動静脈血栓症、大きな外科手術など)、肝移植後または 肝移植待機中の腎機能低下患者、エリスロポエチンの併用なども報告されている。 4. 腹水や羊水など体腔内に液体貯留が認められる場合には、ガドリニウム造影剤が長期間滞留する可能性がある ため、ガドリニウム造影剤の使用については慎重であるべきである。 【参考文献】

1. Matsuo S, I mai E, Horio M, et al; Collaborators developing the Japanese equation for estimating GFR. Revised equations for estimating glomerular filtration rate from serum creatinine in Japan. Am J Kidney Dis 2009; 53: 982-992.

2. エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2009. 日本腎臓学会編. 東京医学社 2009

3. Broome DR. Nephrogenic systemic fibrosis associated with gadolinium based contrast agents: a summary of the medical literature reporting. Eur J Radiol 2008; 66: 230-234. 4. Penfield JG, Reilly RF. Nephrogenic systemic fibrosis risk: is there a difference between

gadolinium-based contrast agents?Semin Dial 2008; 21: 129-134.

5. Deo A, Fogel M, Cowper SE. Nephrogenic systemic fibrosis: a population study examining the relationship of disease development to gadolinium exposure. Clin J Am Soc Nephrol

(18)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

6. Rydahl C, Thomsen HS, Marckmann P. High prevalence of nephrogenic systemic fibrosis in chronic renal failure patients exposed to gadodiamide, a gadolinium-containing magnetic resonance contrast agent. Invest Radiol 2008; 43: 141-144.

7. Reilly RF. Risk for nephrogenic systemic fibrosis with gadoterido(l ProHance)in patients who are on long-term hemodialysis. Clin J Am Soc Nephrol 2008; 3: 747-751.

8. Wertman Ba R, Altun E, Martin DR, et al. Risk of Nephrogenic Systemic Fibrosis: Evaluation of Gadolinium Chelate Contrast Agents at Four American Universities. Radiology 2008; 248: 799-806.

9. Cowper SE, Robin HS, Steinberg SM, et al. Scleromyxoedema-like cutaneous diseases in renal-dialysis patients. Lancet 2000; 356: 1000-1001.

10. Gibson SE, Farver CF, Prayson RA. Multiorgan involvement in nephrogenic fibrosing dermopathy: an autopsy case and review of the literature. Arch Pathol Lab Med 2006; 130: 209-212.

11. Kuo PH, Kanal E, Abu-Alfa AK, et al. Gadolinium-based MR contrast agents and nephrogenic systemic fibrosis. Radiology 2007; 242: 647-649.

12. Sadowski EA, Bennett LK, Chan MR, et al. Nephrogenic systemic fibrosis: risk factors and incidence estimation. Radiology 2007; 243: 148-157.

13. Prince MR, Zhang H, Morris M, et al. Incidence of nephrogenic systemic fibrosis at two large medical centers. Radiology 2008; 248: 807-816.

14. Perez-Rodriguez J, Lai S, Ehst BD, et al. Nephrogenic Systemic Fibrosis: Incidence, Associations, and Effect of Risk Factor Assessment: report of 33 cases. Radiology 2009; 250: 371-377.

15. Hope TA, Herfkens RJ, Denianke KS, et al. Nephrogenic systemic fibrosis in patients with chronic kidney disease who received gadopentetate dimeglumine. Invest Radiol 2009; 44: 135-139.

16. Othersen JB, Maize JC, Woolson RF, et al. Nephrogenic systemic fibrosis after exposure to gadolinium in patients with renal failure. Nephrol Dial Transplant 2007; 22:

3179-3185.

17. Agarwal R, Brunelli SM, Williams K, et al. Gadolinium-based contrast agents and nephrogenic systemic fibrosis: a systematic review and meta-analysis. Nephrol Dial Transplant 2009; 24: 856-863.

(19)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11) 12) 日本磁気共鳴医学会 安全性評価委員会 監修:MRI 安全性の考え方:239-245(2010) 秀潤社 Tsushima Y et al.:Br J Radiol 83(991):590-595(2010)

Cowper SE et al.:Lancet 356(9234):1000-1001(2000) Grobner T:Nephrol Dial Transplant 21(4):1104-1108(2006)

NSF とガドリニウム造影剤使用に関する合同委員会(日本医学放射線学会・日本腎臓学会): 腎障害患者におけるガドリニウム造影剤使用に関するガイドライン 第 2 版(2009 年 9 月改定) Ledneva E et al.:Radiology 250(3):618-628(2009)

Prince MR et al.:JMRI 5(6):162-166(1995)

Schuhmann-Giampieri G et al.:Invest Radiol 26(11):975-979(1991) 原田なつみ ほか:日本医放会誌 61(10):552(2001)

Gemery J et al.:AJR 171(5):1277-1278(1998)

Schenker MP et al.:J Vasc Interv Radiol 12(3):393(2001) ESUR Guidelines on Contrast Media Ver.7.0(2008)

【参考文献】

Gd造影剤による急性腎不全の報告はありますか?

Gd造影剤による急性腎不全の報告は極めてまれであり9) 、そのほとんどがヨード造影剤の代替 として血管造影などに用いられた場合の報告です10、11) 。

Q3

-3

Gd造影剤は腎臓に影響を及ぼしますか?

A

ただし、Gd造影剤はほぼ全量が腎臓から排泄されるため、腎機能障害のある患者さんでは、Gd造影剤を適正に使用した場合、腎機能に及ぼす影響は少ないとされています6、7)。 排泄が遅れることが報告されています8) 。

腎機能障害例に対するX線検査のために、Gd造影剤を使用すべきでは

ありません

12)

(20)

小児に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

小児は腎機能をはじめとする生理機能が未熟な上、意思疎通

が上手くできないことが想定できるため、患児の状態を十分

に観察するなど特段の注意を払う必要があります。

MRIは体動による影響を大きく受けるため、撮像時に安静が

保てないと良好な画像を得ることができません。また、撮像

時に大きな音が発生し、患児の不安も強いため、小児のMRI

検査では不安を取り除く工夫や、鎮静を目的とした薬剤の投

与が行われる場合もあります。

Q

4

A

Q4

-1

小児における造影剤投与量の目安はどれくらいですか?

A

成人と同じく0.2mL/kgが投与されています。新生児・乳児は成人と比べて体重あたりに占める細胞外液量が多く、造影剤を減量すると十分な造影効果が得られない可能性があります2) 。

Q4

-2

小児と成人では副作用発現率、症状が異なりますか?

A

しかし、小児では生理機能が未熟であるため、常に慎重に検査を行うことが重要です。一般に副作用の発現率に違いは認められておらず、小児に特有の副作用も認められていません3、4)。 小児のNSF症例はごく少数であり、6歳未満の小児では報告されていません。 しかし、小児のNSF発現の可能性が低いとする十分な根拠はないことから、成人と同様に重篤な腎障害患者さんへの 使用について注意喚起がされています5) 。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

小児造影MRI施行時の注意点

注意点 モニタリング装置を用いた注意深い観察 注入に際し穿刺部位の注意深い観察1) 薬剤による鎮静の考慮 理 由 小児では身体の異常を上手く表現できない場合があるためです。 小児の血管は細く血管外漏出のリスクが高いと考えられるためです。 体動によるアーチファクトを防ぐためです。参照Q4-3 P21 Q3 P14 参照

(21)

Q4

-3

小児に造影剤を投与する際の鎮静方法には、

どのようなものがありますか?

A

可能な限り自然入眠、協力が得られない場合は薬剤による鎮静が必要となる場合もありますビデオ閲覧、家族付き添いなどの薬物以外の鎮静方法を活用しますが、8) 。 すべての鎮静剤には呼吸抑制、気道閉塞、無呼吸などの合併症を引き起こす可能性があることから9) 、鎮静剤の使 用にあたっては、保護者への説明、鎮静前の食事制限、検査中のモニタリング、検査後の対応など十分な注意が必 要です10) 。

小児にGd-EOB-DTPAを投与した報告はありますか?

肝芽腫、 肝血管腫、 肝細胞線腫などの診断を目的として、 3 ∼ 15歳の小児に投与した報告が あります6、7) 。

どのようにモニタリングしますか?

パルスオキシメーターや心電図などによりモニタリングが行われます。また、患児の鼻先にティッ シュペーパーを付けて、呼吸の確認をしたり、足背動脈で脈拍を触知することもあります。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

効率よく催眠・鎮静させるための方法

10) 検査前の指導 ●午前の検査では普段より1∼ 2時間早く起こすようにし、午後の検査なら昼寝をさせないようにする。 ●来院途中の交通機関の中で眠らせないように注意する。 ●鎮静剤を用いる場合は、嘔吐による誤嚥、窒息を避けるため、検査前最低3時間は絶食とする。 検査当日、来院時の指導 ●保護者は静かな場所で子供が安心して眠れるように、眠るまでずっと傍に居るようにする。 ●入眠の確認後、5分程度待ってから検査室へ移動する。 ●眠りにくい場合は移動用ストレッチャーの上で寝かせる。耳栓をすると覚醒しにくい。 検査後の指導 ●覚醒を確認してから帰宅させる。 ●当日はふらつきが残ることもあり、転倒・衝突などの事故に注意するよう指導する。

鎮静に使われる主な薬剤

9、10) ●トリクロホスナトリウム(トリクロリール シロップ) ●抱水クロラール(エスクレ 坐薬) 経口剤・坐剤 ●ミタゾラム(ドルミカム) ●ジアゼパム(セルシン) ●チオペンタールナトリウム(ラボナール) ●ヒドロキシジン(アタラックス -P) ●ケタミン(ケタラール) 静脈注射剤

(22)

1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10)

Siegel MJ:Eur Radiol 15(Suppl 4):D32-D36(2005) Elster AD:Radiology 176(1):225-230(1990) Nelson KL et al.:Radiology 196(2):439-443(1995) Dillman JR et al.:AJR 189(6):1533-1538(2007) ACR Manual on Contrast Media Ver.7(2010)

Marrone G et al.:Pediatr Radiol 41(1):121-124(2011) Meyers AB et al.:Pediatr Radiol 41(9):1183-1197(2011) 近藤陽一:小児内科 39( 増 ):79-80(2007) 長村敏生:小児内科 40(2):441-443(2008) 藤田和俊ほか:日本小児放射線学会雑誌 23(1):25-32(2007) 【参考文献】 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(23)

【参考文献】

高齢者に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

一般に高齢者では腎機能・循環動態などの生理機能が低下

している可能性が高いため、造影剤副作用予防の観点から、

腎機能のモニタリング、脱水状態の補正など特段の注意を

払う必要があります。

Q

5

A

Q5

-1

高齢者と成人とでは副作用発現率、症状が異なりますか?

A

しかし、高齢者では生理機能低下や生体の防御機能の低下が考えられるため、常に慎重に検査を行うこ一般に副作用の発現率に違いは認められておらず、高齢者に特有の副作用も認められていません1)。 とが重要です。 副作用発現率(例数) 0.68% 0.61% 0.36% 0.45% ∼ 30 歳 31 ∼ 50 歳  51 ∼ 70 歳  71 歳∼ ( 7/1,027 例) (10/1,629 例) (10/2,812 例) ( 5/1,114 例) 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

高齢者造影MRI施行時の注意点

年齢によるGd造影剤の副作用発現率

1) 注意点 検査前・後での腎機能のモニタリング 脱水状態の補正 注入に際し穿刺部位の注意深い観察 理 由 血管外漏出のリスクが高いと考えられるためです。 加齢に伴い腎機能が低下し、造影剤の排泄が遅延する可能性があ るため、検査前・後で腎機能に異常がないかの注意深い確認が必 要です。 高齢者では脱水傾向が認められるため、検査前に脱水状態にならな いよう注意が必要です。 Q13 P37 参照 P=0.49 χ2検定

(24)

妊婦に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

妊婦に対するMRI検査の安全性は確立されていないこと

から、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合

のみにMRI検査を施行するべきです。また、動物実験におい

て造影剤の胎仔への影響は認められていませんが、

妊婦への

造影剤投与に関する安全性も確立されていません。

Q

6

A

Q6

-1

MRI検査は胎児に影響を及ぼしますか?

A

現在のところMRIによる明らかな胎児への危険性は報告されていませんが、超音波検査など他の検査法で代替できないかどうかを検討し、それでもなお、MRI検査が必要な場合は、診断上の有益性が危険性を 上回ると判断される場合にのみMRI検査を施行するべきです。一般的には、細胞分裂が盛んな器官形成 期(妊娠4 ∼12週)は極力避けることが望ましいとされています1-3) 。

Q6

-2

Gd造影剤は胎児に影響を及ぼしますか?

A

動物実験ません7、8)4、5)および臨床6)においてGd造影剤の胎盤通過性が報告されていますが、催奇形性は認められてい 。また臨床において妊婦にGd造影剤を投与した報告では健常児を出産したとされていま すが9-11) 、使用経験が少なく、妊婦に対する安全性は確立していません。 Gd造影剤は胎盤を通過して胎児循環へ入り、胎児の腎臓から羊水に排泄されます。その後は比較的長 い期間、羊水中に貯留する可能性があるため、NSFのリスクが高まる可能性があります。 造影目的 症例数 造影検査時の 妊娠期間 投与量 (mmol/kg) 胎児の転帰 炎症性腸疾患の診断6) 妊娠満期で健常児出産 妊娠満期で健常児出産 妊娠 3 ヶ月 妊娠 5 ヶ月 40 週目に健常児出産

妊婦にGd造影剤を投与した報告

6、9-11) 多発性硬化症のフォロー 検査時妊娠していることに 気づかずGd造影剤投与10) 子宮あるいは 胎盤異常の疑い9) 副甲状腺腫瘍の術前診断11) 2 1 11 1 約9日 妊娠16 ∼ 37週 39週目に健常児出産 全例健常児出産 妊娠32 ∼ 34週の間 0.1 0.1 0.2 0.1 不明 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て Q3 P14 参照

(25)

FDA薬剤胎児危険度分類(Pregnancy Category)において、Gd造影剤およびGd-EOB-DTPAはカテゴ リー Cに分類されています。 FDA薬剤胎児危険度分類とは、米国のFDAによる胎児に対する薬剤の危険度を示す評価基準です。この分 類は動物実験やヒトでの研究の結果をもとにA、B、C、D、Xの5つのカテゴリーに分類されています。

Gd造影剤およびGd-EOB-DTPAのFDA薬剤胎児危険度分類

1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 興梠征典:日本医事新報 4379:91(2008) 小川理世ほか:画像診断 27(7):811-822(2007) 赤坂好宣ほか:画像診断 27(7):833-840(2007) Panigel M et al.:J Med Primatol 17(1):3-18(1988) Novak Z et al.:Invest Radiol 28(9):828-830(1993)

Shoenut JP et al.:J Clin Gastroenterol 17(3):244-247(1993) 児玉直己ほか:日獨医報 32(3・4):502-510(1987) 児玉直己ほか:日獨医報 32(3・4):511-525(1987) Marcos HB et al.:Radiology 205(2):493-496(1997) Barkhof F et al.:AJR 158(5):1171(1992) 【参考文献】

Gd-EOB-DTPAは胎児に影響を及ぼしますか?

動物実験においてわずかな胎盤通過性が認められていますが、 生殖試験では造影剤による 母獣、胎仔への影響(催奇形性など)は認められていません12) 。 カテゴリー A カテゴリー B カテゴリー C カテゴリー D カテゴリー X

FDA薬剤胎児危険度分類基準

第1トリメスター(妊娠初期)の対照試験で胎児への危険性が否定され、胎児への 危険性はほとんどないと考えられるもの。 ヒトでの対照試験はないものの、動物試験では胎児への危険性が否定されている もの。または、動物試験で胎児への有害な作用がみられるものの、妊婦での対照 試験で胎児への危険性が否定されているもの。 動物試験で催奇形性や胎仔毒性が認められているが、ヒトでの対照試験はないもの。 またはヒト、動物のいずれの試験も参考となるデータのないもの。 ヒト胎児への危険性は明確であるが、一定の条件下(生命の危機にある場合や 重篤な疾患であり、より安全と考えられる薬剤が使用できない、または効果が期待で きない場合など)で、その危険性を考慮しても使用による利益が容認されるもの。 ヒトまたは動物試験で胎児異常が示されている、または、ヒトでの使用経験で胎児 への危険性が明らかなもの、またはこの両者であるもの。いかなる利益を考慮し ても明らかに危険性が大きいもの。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(26)

造影剤はどれくらい乳児へ移行しますか?

乳児が授乳することにより、乳汁中へ移行したGd造影剤が消化管から吸収される量は極わずか であり、乳児への移行量は授乳婦に投与した量の0.0004%未満と推算されています2) 。

授乳婦に造影MRI検査を行う場合、

どのような注意点がありますか?

Gd造影剤は極わずかながら乳汁中への移行が報告されて

いるので、授乳を24 ∼ 48時間避けるよう指導してくださ

い。その間は搾乳することを推奨する報告もあります

1)

Q

7

A

Q7

-1

造影剤はどれくらい乳汁中へ移行しますか?

A

授乳婦18例にGd-DTPAを静注(0.2mL/kg)量 の0.04%以 下(0.001 ∼ 0.04%)と報 告されていますしたところ、24時間後までの乳汁中への移行量は投与2) 。また、授 乳 婦1例にGd-DTPAを静 注 (0.2mL/kg)したところ、乳汁中のGd濃度は投与5時間後にピークとなり、24時間後には1μmol/L 以下に低下し(下図)、33時間後までの乳汁中への移行量は投与量の0.011%と報告されています3) 。

乳汁中のGd濃度推移(一部改変)

3) 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 0 0 10 20 30 40 1 2 3 4 5 6 時間(hr) 乳汁中Gd濃度 ( μ mol/L)

(27)

当初、ESUR:European Society of Urogenital Radiology(欧州泌尿生殖器放射線学会)ガイドライン では造影剤の乳汁への移行は微量であり、授乳により乳児の消化管から吸収される量はさらに少なく、造影 剤の乳児に対するリスクは極めて低いことから、授乳は通常どおり継続してもよいとされていましたが、現在 ではNSFの問題から、造影剤投与後24時間は授乳を避けるべきと変更されています4) 。

授乳中止に対する考え方

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 1)Rofsky NM et al.:JMRI 3(1):131-132(1993) 2)Kubik-Huch RA et al.:Radiology 216(2):555-558(2000) 3)Schmiedl U et al.:AJR 154(6):1305-1306(1990) 4)ESUR Guidelines on Contrast Media Ver.7.0(2008)

(28)

ラットを用いた動物実験において、リファンピシンおよびGd-EOB-DTPAを静注すると、Gd-EOB-DTPAの 肝実質の信号増強効果の低下が報告されています。これは、リファンピシンが有機アニオントランスポーターを 介したGd-EOB-DTPAの肝細胞への取り込みを阻害することによると考えられています2) 。

リファンピシンのGd-EOB-DTPA造影MRIへの影響(動物実験)

造影MRI検査を行うにあたり、

注意が必要な薬剤はありますか?

Gd造影剤と相互作用のある薬剤は報告されていません。

しかし、MR画像に影響を及ぼすために注意が必要な薬剤と

して静注用鉄剤があります。

Q

8

A

1) Suto Y et al.:Br J Radiol 69(819):201-205(1996) 2) Kato N et al.:Invest Radiol 37(12):680-684(2002)

【参考文献】

Q8

-1

静注用鉄剤が投与された患者さんでは

なぜ注意が必要ですか?

A

鉄欠乏性貧血治療薬であるコロイド性の静注用鉄剤を肝細胞癌患者さんに投与後、T1強調画像、T2強調画像によるMR画像を撮像し、肝臓と肝腫瘍のコントラストノイズ比(CNR)が測定された結果、鉄剤 投与後少なくとも24時間まで両画像のCNRに影響がみられています1) 。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(29)

造影MRI検査にあたって

食事制限・水分制限は行われて

いますか?

一般に、

造影CT検査に準じて、

水分制限は行われていません。

ただし、

「嘔吐をきたした際の誤嚥」

「消化管・腹部・

(骨盤

部)

を検査の対象とする際の診断の妨げ」

を予防する目的で

は、検査前の1食を制限することがあります。

Q

9

A

胃がその内容物を十二指腸に排出する速度は摂取した食物の種類によって異なります。炭水化物に富む 食物の胃内停滞は数時間で、蛋白質の多い食物でやや長くなり、脂肪を含む食品ではさらに長くなります。

食物の胃通過時間

食事や水分摂取によって描出が悪くなることがあるため、食事制限に加えて水分制限も行われる 場合があります。

磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)検査の場合

Q9

-1

腹部MRI検査を目的とする患者さんで、

検査前に食事を摂ってきた場合、

どうしますか?

A

ます。検査前に食事を摂ってきてしまった場合、蠕動運動や残渣が画像に影響を及ぼす可能性があり腹部MRI検査の開始が、食後間もないようであれば検査開始時間を少しずらした方がよいとされてい ます。また食事を摂っている場合には胆嚢が収縮しています。 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て (流動食300mLを摂取) 試験食排出量 (mL) 20 40 60 80 100(分) 0 0 50 100 150 200 250 300 標準食(不活性ペクチン) 蛋白質 蛋白質+脂質

(30)

MRI検査のセッティングにあたって、

注意しておくことはありますか?

MRI検査のセッティングによっては、患者さんに熱傷をきた

したり、造影剤の投与ルートが外れたりするおそれがあるた

め注意が必要です。検査中にちょっとでも異常を感じたら

遠慮せずに知らせること、

また、知らせる手段を患者さんに

説明しておく必要があります。

A

Q

10

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

MRI検査において患者さんに熱傷をきたさないようにするには?

モニタリング装置のケーブルや人体によるループ形成のため、誘導電流が発生し熱傷を生じた と報告1-3) されていることから、ループを形成しないように注意するほか、体幹部の検査の際には ズボン型検査着を着用することも一つの方法です2) 。検査中にちょっとでも異常を感じたら、遠 慮せずに知らせるよう患者さんに説明しておく必要があります。

セッティングにおける注意点

熱傷を防止するために、ケーブルの配置をチェックし、手や足を組まない ように指導します。 ●熱傷防止 ……… 検査着やケーブル、造影剤投与ルートが引っかかっていないかを確認し ながら、ベッドをガントリー内に移動させます。 ●造影剤投与ルートの外れ防止 … MRI検査では傾斜磁場の高速な切り替えによって音が発生するため、大 きな音がすることを事前に伝え、耳栓、ヘッドホンなどの減音器具を装着 してもらいます。 ●騒音対策 ………

(31)

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

MRI検査において表面マーカーとしてどのようなものが用いられていますか?

MRI検査時、位置確認のために表面マーカーが使われる場合があります。このマーカーとして、 口臭予防の「ブレスケア」を使用した報告があります。T1強調画像、T2強調画像のいずれにお いても適度な信号強度を呈し、毒性もなく、安価ということで、テープなどで貼って使用されてい ます4、5) 。その他、アダラートカプセル6) 、ユベラックス3007) などを使用した報告もあります。

ケーブルおよび人体によるループ形成の例

MRI検査では患者さんの状況が観察しにくいことから、容体の変化を把握するために、呼吸障害時、麻酔下、 鎮静下、造影剤使用時、小児などにおいては、脈拍、呼吸状態などをリアルタイムで監視するパルスオキシ メータ(SpO2、脈拍数)、心電図モニター、呼吸モニターなどを必要に応じて使用します。

MRI検査中のモニタリング方法

1)畑 雄一:日磁気共鳴医会誌 19(5):303-310(1999) 2)奥田智子ほか:日磁気共鳴医会誌 24(2):88-91(2004) 3)興梠征典:日獨医報 49(S):S39-S46(2004) 4)VERSUS 研究会 監修 , 改訂版 超実践マニュアル MRI, 医療科学社 (2010) 5)伊藤良剛ほか:日本農村医学会雑誌 55(3):488(2006) 6)須賀俊博ほか :Neurol Surg 22(5):499(1994) 7)三浦恵吾:薬局 42(2):101-102(1991) 【参考文献】 ケーブルによるループ形成 皮膚の接触によるループ形成 ケーブル

(32)

Q11

-1

造影剤投与量が増えると副作用発現率は高くなりますか?

A

Gd-DTPA 0.2mL/kg投与群(通常量)発現率に差は認められていません1) と0.6mL/kg投与群(3倍量)を比較した報告において、副作用 。

Gd-EOB-DTPAの投与量が増えると副作用発現率は高くなりますか?

Gd-EOB-DTPA 0.05mL/kg投 与 群(半 分 量)、0.1mL/kg投 与 群(通 常 量)、0.2mL/kg 投与群(2倍量)を比較した欧州の第2相臨床試験(n=33)において、いずれの群にも副作用は 認められませんでした4) 。

Gd-DTPA 0.2mL/kg 投与群と 0.6mL/kg 投与群の副作用発現率

1)

造影MRI検査で、

投与する造影剤の量や種類により、

副作用発現率に違いがありますか?

投与する造影剤の量や種類が異なることで、副作用の発現

率に差はないと考えられていますが、NSFの発症報告例数

は、造影剤投与量の多かった症例が多く、造影剤の種類に

よって異なっています(Q3参照)。

A

Q

11

しかし、重度腎障害の患者さんにおいてヨード造影剤の代替としてGd造影剤 80mL(0.88mL/kg、通 常量の4.4倍)による腎動脈造影を行ったところ、急性腎不全をきたした症例が報告されており2) 、また Gd造影剤の大量投与や反復投与とNSF発症との関係が示唆されているため、投与にあたっては用法・ 用量に従い、適切に使用することが求められます3) 。 0 2 4 6 8 10 0.2mL/kg投与群 0.6mL/kg投与群 6.0% (6/100 例) 6.0% (6/99 例) 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て 副作用発現率 (%) Q3 P14 参照

(33)

1)Haustein J et al.:Radiology 186(3):855-860(1993) 2)Gemery J et al.:AJR 171(5):1277-1278(1998) 3)NSF とガドリニウム造影剤使用に関する合同委員会 ( 日本医学放射線学会・日本腎臓学会 ):   腎障害患者におけるガドリニウム造影剤使用に関するガイドライン 第 2 版 (2009 年 9 月改定 ) 4)Reimer P et al.:Radiology 199(1):177-183(1996) 【参考文献】 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(34)

Q12

-1

造影剤の注入は、

どの部位から行うのが望ましいですか?

A

手背や足の静脈を使用せず、肘静脈から注入するのが望ましく、できれば右肘静脈を用いて注入します。Gd造影剤は、1回の検査における投与量が少ないため、(特にDynamic StudyやMR Angiography

などでは)生食による後押しを行うことが望ましいとされています。

造影剤の注入部位

左肘静脈からの投与の場合、左腕頭静 脈でのうっ滞や頸部静脈への逆流の 可能性があるため、鎖骨下静脈に直接 移行する右尺側皮静脈に続く右内側 肘静脈が理想とされています1,2) 。

造影剤を注入する際には、

どのような留意点がありますか?

ボーラス投与(急速注入)の際には、注入圧が比較的高くなる

ため、留置針を用い耐圧性の高い延長チューブを使用しま

す。また、確実に血管を確保し、ルート内に三方活栓を用いて

いる場合にはルートの開放を確認します。注入開始直後は

穿刺部位を注意深く観察します。

A

Q

12

検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て

(35)

IVHカテーテルからGd造影剤を投与できますか?

IVHカテーテルからGd造影剤を投与した報告3) はあります。しかし、IVHに使用されるカテーテ ルの耐圧性は高くないため、造影MRIを施行する際には原則的に同ルートからの投与は避ける べきと考えられます。

他の薬剤投与に用いている静脈ルートから

造影剤を投与してもよいですか?

A

ことから新たなルート確保が望ましいと思われます。ただし、新たなルート確保が困難であり、他の薬剤他の薬剤投与に用いている静脈ルートからGd造影剤を投与すると、他剤との配合変化の可能性がある と同じルートからGd造影剤を投与しなければならない場合は、投与前にルート内を生理食塩液でゆっく りフラッシュするなどして薬剤どうしの接触を避けるようにします。また、自動注入器を用いてGd造影剤 を投与する場合、非耐圧性のチューブでは破損のおそれがあるため、高速注入を行わないなどの注意が 必要です。

Q12

-2

造影剤開封時の注意

一度、チップキャップをはずしてしまうと、無菌状態が保てなくなります。 * シリンジの先端部分に 取り付けてあるゴム栓をさしてます。 ■チップキャップとは? 検査前 検査時 検査後 副作用 に つ い て チップキャップ*

参照

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