配布資料
実験指針, 実施要領, 説明会資料 前に置いてありますので, 各自で持っていくこと 担当教員(添付資料1: 実施要領 p. 5)
尾藤 輝夫: 全体の取りまとめ 齋藤 直樹: 全体の取りまとめ, 欠席届の受付 ニックス・ステファニー: a. 力学, c. トランジスタ・ラジオ 伊藤 一志: b. 材料物性, d. オシロスコープ 石井 雅樹: e. 熱学, g. 原子物理 奥村 肇: f. 光・波動, h. 低温・超伝導物理学実験説明会
1.
概要説明(物理学実験をはじめるにあたって )
2.実施要綱の説明
3.講義
1. 実験ノート, 報告書の書き方 2. 物理量と単位 3. 測定値の取り扱い • 不確かさ • 有効数字 4. 測定器の取り扱い 4.演習(計測と不確かさ解析)
今週と来週の内容
今週
来週
物理学
実験結果を数学的手法により理論的に解析し, 自然の普遍的 法則性を追求する 実験
目的とする現象を意図的(人工的)に発生させ, その応答を選択 的に観測する 実験の役割 理論の予測や仮説を検証する 新しい自然現象を発見する物理学実験をはじめるにあたって
(実験指針 p. 1 ~ 2)
物理学実験の目的
1. 物理的な事項を自らが実験により確かめ, 理解を深める 2. 実験が出来るようになる 実験を計画・実行し, 報告書を作成するための測定技術 及び測定データの処理法を習得する • 装置の使い方 • ノート(記録)のとり方 • 図表の書き方 • 報告書の書き方 3. 実験を行う上での 基本姿勢を身に付ける 常に注意を怠らない 先入観無く測定する 結果を細大漏らさず記録する 科学の恥ずかしい歴 史の一例(過去の不正 確な測定結果が先入 観となり, 誤りに気付 かない)[1] 概要
必修科目 時間: 金曜3 ~ 4時限目(12:50 ~ 16:00) 教室: 物理実験室(GI 206) グループ毎に全12回で6つのテーマについて実験を行う (添付資料2. グループ編成・日程表)実施要綱
実験テーマ a. 力学 全員(グループ分け1) b. 材料物性 全員(グループ分け1) c. トランジスタ・ラジオ d. オシロスコープ e. 熱学 全員(グループ分け1) f. 光・波動 全員(グループ分け1) g. 原子物理 h. 低温・超伝導 i. 真空中の荷電粒子 実施しない 指定された方(グループ分け2) 指定された方(グループ分け2)
[2] 合格の条件
説明会・講義・不確かさ解析の演習(2週)と実験日(12週)全てに 出席すること 不確かさ解析の演習課題を提出し, 受理されること 実験の6テーマ全ての報告書を提出し, かつ全て受理されること 再履修者も同様 成績は, 計画書と事前課題10%, 実験態度 30%, 報告書 60%として, 総合的に判断する[3] 事前の注意事項
原則として欠席は認めない 病気, 忌引きなどで欠席せざるを得ない場合は, 欠席届を齋藤 先生に提出すること 病気, 怪我などで欠席した場合は, 欠席届と一緒に医師の診 断書を提出すること 欠席届の提出が間に合わない場合は, 必ず担当教員(尾藤, 齋藤)のいずれかに連絡すること 欠席した日の実験は, 後日行う(別途指示する) その他の場合は, 遅くとも一週間前までに担当教員に相談し, 指示を仰ぐこと 相談が無い(あるいは遅い)場合や指示に従わない場合は, 欠 席を認めず単位認定しない 公欠の場合でも, 担当教員への連絡は必ずること 遅刻をしないこと(グループの他の人に迷惑がかかります)[4] 各自で準備するもの
実験指針 実験ノート グラフ用紙(1 mm方眼, 片対数方眼紙) 関数機能つき電卓 筆記用具 定規 報告書用紙(A4)[5] 計画書から報告書作成まで
(1) 事前に計画書と事前課題の解答を作成する
実験指針を良く読んで, 「計画書」(添付資料4)を各自で作成する 実験の目的, 原理, 方法, 安全上の注意点をA4用紙1 ~ 2枚程 度に簡潔にまとる(他人の計画書の丸写しやコピーは認めない!) 実験指針を写すのではなく, 要点を簡潔にまとめること • 目的(求める物理量)は何か? (例: 重力加速度) • そのために, 何をどのようにして測定するのか? » どの様な装置を使用するのか? » 実際に測定する物理量は何か? » 計算式は? 「事前課題」の解答も各自で作成する 計画書と事前課題は, 1週目の分だけでなく2週目の分も忘れずに 作成し, 1週目に提出すること 計画書の例 (添付資料4)
(2) 実験第1週目
開始時刻までに自分の実験テーマの机(添付資料3)に集合する (遅刻厳禁!) 実験開始時に計画書と事前課題の解答を指導員に提出し, 内 容を確認してもらう 実験を行う 必ず実験ノートを用意し, 実験の内容や測定結果などを記録 すること 実験中は役割分担を良く考えること → 全員で同じことをしても意味が無い! 実験データの整理を行い, 指導員の確認を受ける 使用した実験装置を片付け, 実験報告書表紙(添付資料5)に必 要事項を記入した後, 指導員の確認印を受けてから帰宅する 実験が終了するまで帰宅できないので, アルバイトなどをする 場合は注意すること 実験室配置図 (添付資料3)
実験報告書表紙 (添付資料5)
(3) 報告書の準備をする
各自が持ち帰った実験結果をまとめる 求める物理量の算出, 報告書用の図・表の作成, 不確かさの 見積もりなど 実験途中のデータについてもまとめる 実験結果の不備な点を洗い出す 疑問点を整理し, 考察の準備をする 不明な点は図書館などで調べる(4) 実験第2週目
第1週目から引き続いて実験を行う 第1週目の実験データに不備な点があれば, 指導員に報告の上, 実験をやり直す 測定結果の整理を行い, 指導員の確認を受ける 使用した実験装置を片付け, 実験報告書表紙に必要事項を記 入した後, 指導員の確認印を受けてから帰宅する(5) 報告書の作成
各自が持ち帰った実験結果を全てまとめ, 報告書を作成する 表紙は, 実験時に配布した物を必ず使用すること 実験指針と報告書の例(添付資料5)を熟読すること 報告書作成時の注意事項が多数書かれている 注意事項を守っていない報告書は受理されない 報告書の作成には, なるべくワープロを使用すること(手書きの 場合はボールペンなどを使用し, 丁寧に書くこと) 順番どおりに並べ, 左上一箇所をホッチキスで止める 提出前に順番が入れ替わっていたり, 抜けているページが無 いか良く確認すること 報告書の最後に, 返却された計画書と事前課題の解答を添付 する(一緒に綴じる)こと 必ず自分で作成すること! 他人の報告書の丸写しやコピーは 一切認めない! (写させた方も同罪!)(6) 報告書の提出
実験(2週目)終了後, 期限(1週間後)までに実験を指導した指導 員に報告書を提出する 不備な報告書は, 指導員に指摘された点を修正して再提出する 指導員に受理されるまで修正, 再提出を繰り返す 報告書を一度で受理してもらえるよう, 努力すること 同じ指摘事項を何度も受けないように注意すること • 実験テーマや指導員が変わったからといって, 結果のまと め方や報告書の書き方が変わるわけではありません! 再提出の際は, 修正前の報告書も添付すること 修正後の報告書のチェック終了後, 修正前の報告書は返却 するので, 一緒に綴じないこと[6] 報告書の提出期限
提出期限: 第2週目の実験終了後, その翌週木曜日17:00 (注: 担当指導員から別途指示される場合がある) 再提出の場合: 1週間後(報告書を提出した翌週木曜日17:00) 報告書の作成を計画的に行い, 提出期限までに必ず完成させ て提出すること 報告書の最終提出期限(これまでに報告書を再提出し, 受理さ れなければならない) テーマ1 ~ 3: 7月8日(金) 17:00 テーマ4 ~ 6: 8月5日(金) 17:00 最終提出期限までに全ての報告書が受理されなかった場合は, 不合格となる 再提出は1回とは限らないので注意すること[7] 安全上の注意事項
必ず学生教育研究災害障害保険に加入すること 事前に「安全マニュアル」を熟読しておくこと 全ての実験において, 事前に「実験指針」を熟読し, 安全上の注 意点を確認しておくこと 緊張感を持って, 実験を行うこと 動きにくい服装やサンダル履きは避けること 実験室(物理実験室以外も含む)は飲食禁止(飲食物の持ち込 みも禁止) 私語を慎むこと 感電しないように注意すること 熱湯を使用する実験においては, やけどをしないように注意す ること 低温の実験では, 液体窒素に直接皮膚をさらすことのないよう に注意すること 重りを吊るす実験では, 落ちないようにしっかりと固定すること これらの注意事項を守れない人は, 退室してもらいます
1.2.1. 実験ノートの書き方 (実験指針 p. 2 ~ 5)
必ずノートを用意すること! 記録が無ければ, 実験をした意味がない ノートに記入すべきこと 実験日や気温・湿度・気圧など 使用した実験装置や実験の条件 測定結果, 実験中に気付いたこと 注意 必ずノートに記録する 説明を加えながら記録する 余白を十分に取る 消しゴムで消さない 美しく書く必要はない(汚くても良いという意味ではない!)実験ノート, 報告書の書き方
1.2.2. 表の作り方 (実験指針 p. 3)
表1 直径 d の測定結果 測定器: マイクロメーター(0 ~ 25 mm) 読み取り最小値: 0.001 mm 機器の許容差: ±0.002 mm 表の上に通し番号と 題目を記入する 単位を記入する
1.2.3. グラフの作り方 (実験指針 p. 6 ~ 10)
必ず方眼紙を用意すること グラフ化できるものは, 実験中に直ちに作図すること! 測定ミスや, 実験データの不足を防止する 明らかにおかしい! 測定ミスの可能性あり! 明らかに データ不足!図7 RCL直列回路の共振特性 図7 RCL直列回路の共振特性 図1 銅線の抵抗と温度の関係 悪い例 良い例 図の下に通し番号と 題目を記入する 単位を記入する
1.2.4. 報告書の書き方 (実験指針 p. 10 ~ 11)
一般的な注意 単なる測定データの羅列でない 一般性: 正しい文章で書くこと • 第三者に正しく内容が伝わらなければならない 独自性: 同じ実験データでも, 解釈や表現は人により異なる • 自分の主張したいことを明確に書く 客観性: 独りよがりな解釈はだめ • 先入観や思い込みにとらわれない(実験結果をよく見て考え ること!) → 予想と思い込みは違う! • 根拠を明示する 責任: 報告書の内容に責任を持つのは自分 • いいかげんな計算や, 不十分な考察にならないよう努力する • 「報告書を書くための時間が足りない」という言い訳は通用し ない → 時間の管理も自分の責任です
報告書の形式
0.表紙 指定の用紙(指導員から配布される)を使用すること 1.目的 実験の背景, 目的, 意義などをまとめる ここでは結論は述べない 2.原理 実験に用いる原理や式などをまとめる 重要な式は独立した行に書き, 番号を付ける 3.実験方法 その実験が再現できるように, 実験装置の概略, 実験方 法, 実験条件をまとめる 目的・原理・実験方法は, 実験指針を丸写しするのではなく, 重要な点を中心に簡潔にまとめること(計画書と同じ) 計画書に対する指導員の指摘事項を基に, まとめ直すこと4.実験結果: 測定データとその整理 測定データとその処理(計算過程), 不確かさを見積もっ た過程などを示す 表や図(グラフ)を活用して分かりやすく整理する 第三者に分かるように, 計算過程や用いた記号の説明も 書く 有効数字や単位の取り扱いに注意すること 5.考察: 最も重要な部分 科学的に実験の結果について検討してまとめる(感想を 書くのではない!) 得られた結果の信頼性, 意義, 問題点などを述べる 実験の目的がどのように達成されたかを, 根拠を示しな がら述べる 問題点がある場合はその原因を追究し, 色々な可能性 を挙げ, 最も可能性が高い原因を指摘する 文献で調べたこと, 実験中に気付いたこと, 実験の改善 案などについてもまとめると良い
6.結論 実験の目的を良く考え, 得られた結論を簡潔にまとめる 目的が達成されたどうかについても, 必ず述べること 7.課題の解答 全ての課題について, 必ず解答すること 8.参考文献 報告書を書くのに参考にした本などを記載する 「実験指針」は含まない インターネットのWebページは原則不可! 9.表・図 清書すること 通し番号と題目を記入する ワープロの場合は, 本文中に配置する 方眼紙などに手書きで作成した場合は, 報告書の最後 にまとめて添付しても良い
2.1. 物理量とは (実験指針 p. 12)
物理学で定義され, 観測したり測定できる量のこと 必ず明確な次元を持つ • 次元: 長さ, 質量, 時間などの量の基本的な性格 → 実験指針 p. 13, 表2-1 具体的に数量で表すときには, 必ず “倍数” × “単位(unit)” の 形式で表す • 例:「物体Aの長さを測定したところ1.234 mであった」 次元: 物理量: 倍数: 単位: 単位記号:物理量と単位
長さ 物体Aの長さ 1.234 メートル m
2.2. 国際単位系(SI)およびその使い方
世界共通の約束事
2.2.2. 基本単位 (実験指針 p. 14 ~ 15)
7個の基本量(次元)と基本単位 表2-1 基本単位 基本量 単位の名称 記号 長さ メートル(meter) m 質量 キログラム(kilogram) kg 時間 秒(second) s 電流 アンペア(ampere) A 熱力学温度 ケルビン(kelvin) K 物質量 モル(mole) mol 光度 カンデラ(candela) cd 組立量と組立単位 基本量以外の量は, 物理学の方程式を使って, 基本量によっ て組み立てられる → 単位も同様! • 例1: 速さ ∆x : 変位(2点間の長さ) ∆t : 変位が生じるのに要した時間 速さの単位 = 変位(長さ)の単位 / 時間の単位 = m/s • 例2: 加速度 ∆v : 速さの変化 加速度の単位 = 速さの単位 / 時間の単位 = m/s2 • 例3: 力 F = ma m : 物体の質量 力の単位 = 質量の単位 × 加速度の単位 = kg m/s2 = N t x t x t ∆ ∆ = = → ∆lim0 d d v t t a t ∆ ∆ = = → ∆ v v 0 lim d d (ニュートン) ∆ : 差を表す記号 (∆ × x ではない!)
物理量 単位の名称 単位 記号 他のSI単位 による表式 SI基本単位による表式 平面角 立体角 振動数(周波数) 力 圧力, 応力 エネルギー, 仕事, 熱量 仕事率, 工率, 放射束 電荷, 電気量 電位差(電圧), 起電力 静電容量 電気抵抗 コンダクタンス 磁束, 電束密度 インダクタンス セルシウス温度 光束 照度 放射性核種の放射能 吸収線量 線量当量 酵素活性 ラジアン(radian) ステラジアン(steradian) ヘルツ(hertz) ニュートン(newton) パスカル(pascal) ジュール(joule) ワット(watt) クーロン(coulomb) ボルト(volt) ファラッド(farad) オーム(ohm) ジーメンス(siemens) ウエーバー(weber) テスラ(tesla) ヘンリー(henry) セルシウス度 (degree Celsius) ルーメン(lumen) ルクス(lux) ベクレル(becquerel) グレイ(gray) シーベルト(sievert) カタール(katal) rad sr Hz N Pa J W C V F Ω S Wb T H °C lm lx Bq Gy Sv kat 1 (無次元) 1 (無次元) N/m2 N m J/s W/A C/V V/A A/V V s Wm/m2 Wb/A cd sr lm/m2 J/kg J/kg m/m m2/m2 s–1 m kg s–2 m–1 kg s–2 m2 kg s–2 m2 kg s–3 s A m2 kg s–3A–1 m–2 kg–1 s4 A2 m2 kg s–3A–2 m–2 kg–1 s3 A2 m2 kg s–2A–1 kg s–2A–1 m2 kg s–2A–2 t (ºC) = T (K) – 273.15 cd m–2 cd s–1 m2 s–2 m2 s–2 s–1 mol 表2-3 固有の名称を持つ組立単位 (実験指針 p. 16)
2.2.5. 接頭語(SI単位における10進の倍量及び分量)
(実験指針 p. 17 ~ 18)
例 1000 m = 1.000×103 m = 1.000 km 0.001 m = 1×10–3 m = 1 mm ×10–6 m = 1 µm 乗数 記号 名称 使用例 1024 1021 1018 1015 1012 109 106 103 102 101 Y Z E P T G M k h da ヨタ ゼタ エクサ ペタ テラ ギガ メガ キロ ヘクト デカ yotta zetta exa peta tera giga mega kilo hecto deca GHz MHz kHz, km hPa 乗数 記号 名称 使用例 10–1 10–2 10–3 10–6 10–9 10–12 10–15 10–18 10–21 10–24 d c m µ n p f a z Y デシ センチ ミリ マイクロ ナノ ピコ フェムト アト ゼプト ヨクト deci centi milli micro nano pico femto atto zepto yocto cm mm, mg µm, µF nm pF 表2-6 SI接頭語
2.2.7. 単位記号・接頭語の使い方
(実験指針 p. 18 ~ 20) (1)単位記号の使い方
立体(ローマン体)を用い, 人名に由来する場合は最初の文字 を大文字, 他は小文字 例: × m, Kg, HZ, pa ○ m, kg, Hz, Pa 斜線(/)の使用は1回だけ 例: × m/s/s, m kg/s3/A ○ m/s2, m kg/(s3 A) (2)接頭語の使い方
立体(ローマン体)を用い, 単位記号との間には何も入れない 例: × nm, n•m, n-m, n m ○ nm 二つ以上重ねない 例: ×µmm ○ nm (10−6×10−3 = 10−9)
2.2.8. 数値や数式の表記方法 (実験指針 p. 20 ~ 21)
(1)立体を用いるもの
数字 例: × 1.2, v3 ○ 1.2, v3 演算記号や関数 例: × sin x ○ sin x 元素記号 例: × Heの分圧pHe ○ Heの分圧pHe (2)斜体を用いるもの
量や数を表す記号や添え字例: × F = ma, i番目の測定値ti ○ F = ma, i番目の測定値ti
座標
3.1. 誤差と不確かさ (実験指針 p. 22 ~ 23)
ある物理量を繰り返し測定する 真の値 X0 は1つであるが, 測定値は毎回少しずつ異なる • 測定値には何らかの誤差が含まれるため, 測定によって真 の値 X0 を得ることはできない! 測定: 真の値ではなく, 推定値を求める • 真の値があると考えられる範囲を, 信頼性区間と信頼性水 準で示す → 不確かさ • 誤差の推定値: 残差 ∆i = 測定値 xi – 推定値 X (3.1) • 相対誤差 (3.2)測定値の取り扱い
X i ∆ = ∆r
3.1.1. 不確かさの種類 (実験指針 p. 24 ~ 25)
偶然効果: ばらつきを生じさせる効果 系統効果: 真の値からの偏りを生じさせる効果 過失誤差 推定値 X 真の値 X0 系統効果 偶然効果 過失誤差 物理量, x 頻度 図3-1 測定値の分布の模式図 偶然効果 原因不明, あるいは制御できない原因が積み重なって生じる 取り除くことができないので, 統計的に処理して評価する 系統効果 原因が特定できる → 測定原理, 測定機器, 測定対象, 環境条件, 測定者 など 原因を制御したり, 得られた結果を補正することで小さくするこ とが可能 過失誤差 実験内容や機器の取り扱い方法を良く理解して防ぐ 過失が明らかな場合は, 解析から除外する → ただし, 過失かどうかの判断は難しい “おかしい” と思ったら測定をやり直す
3.1.2. 不確かさの評価方法 (実験指針 p. 25 ~ 27)
1. Aタイプの評価とBタイプの評価を行い, それぞれの標準不確 かさ(= 標準偏差)を求める 2. 全ての標準不確かさを合成し, 合成標準不確かさを求める 3. 合成標準不確かさに包含係数 k を乗じて, 拡張不確かさを求 める 包含係数 k 拡張不確かさが表す信頼性区間の信頼水準を決める k = 2 : 信頼水準95.4% (正規分布で ±2σ に入る確率) k = 3 : 信頼水準99.3% (正規分布で ±3σ に入る確率) (σ : 標準偏差)(1) Aタイプの評価 原因不明, あるいは制御できない原因が積み重なって生じる, 取り除くことができないばらつきを統計的に処理して, 標準不 確かさを評価する 誤差の3法則 (実験指針 p. 26) 1.小さい誤差が生じる確率は, 大きい誤差が生じる確率よ り大きい 2.同じ絶対値で正負が異なる誤差が生じる確率は等しい 3.極端に大きい誤差が生じる確率はほとんど0である
(2) Bタイプの評価 繰り返し観測では得られない不確かさ • 測定の経験や知識, 測定器の校正証明書, 機器の許容差, 公表されている情報などから標準不確かさを算出する 測定器の分解能(目盛り幅)や許容差から求める場合 • ばらつきは一様と仮定する a : ばらつきの上限と下限の幅の半分(半値幅) 許容差の場合: ±a ※許容差が±0.002 mm のマイクロメータ: a = 0.002 mm 分解能の場合: 目盛間隔 = 2a ※目盛間隔が 0.1 g の電子天秤: a = 0.05 g 3 d ) ( 2 1 1 2 a x X x a u x a X − = =
∫
+ − (3.3)
3.2. 測定値の統計的な取扱い (実験指針 p. 27 ~ 29)
正規分布(またはガウス分布) 母集団: 測定結果の全集団 X0 : 真の値(母集団平均) σ : 母集団標準偏差 測定値がX0 ± σ に入る確率: 68.3% (包含係数 k = 1) X0 ± 2σ に入る確率: 95.4% (包含係数 k = 2) X0 ± 3σ に入る確率: 99.7% (包含係数 k = 3)(
)
− − π = 20 2 2 exp 2 1 ) (σ
σ
X x x f i 1 ) ( =∫
−∞∞ f x (3.4) 図3-2 正規分布 物理量, x X0 X0 + σ X0 – σ 正 規分 布 , f (x ) n 回の直接測定における測定値の分布 真の値 X0 を推定値 X に置き換える xi: 各測定値 xi − X : 残差
(
)
− − π = 2 2 2 exp 2 1 ) ( σ σ X x x f i i∑
= = + + + + = n i i n x n n x x x x x 1 3 2 1 1 : 平均値 = 直接測定の推定値 X (3.3.1. 直接測定の推定値(平均値), p. 28 ~ 29)(
)
∑
= − − = n i i X x n 1 2 1 1 σ : 標準偏差 (3.5) (3.6) (3.7)
3.3.2. 間接測定の推定値 (実験指針 p. 29)
間接測定 例: 速さ v の測定 • 直接測定するのは, 2点間の距離 l と通過に要した時間 t : l と t から間接的に求める → 間接測定 間接測定の推定値 直接測定の推定値を用いる • 速さ v の推定値 V → l と t の推定値(平均値) L, T から求め る t l = v T L V =
3.4. 標準不確かさの見積もり
3.4.1.
平均値の標準偏差
(実験指針 p. 29 ~ 30)
Aタイプの評価(ばらつきの統計的評価)(
) (
)
σ σ n X x n n n i i 1 1 1 1 2 m = −∑
− = = (3.13) 図3-4 平均値の標準偏差の測定回数依存性 0 20 40 60 80 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 測定回数 σ m / σ 測定回数 n が大きくなる と, 平均値の標準偏差σm は急激に小さくなる
3.4.2. 直接測定値のBタイプの評価と標準不確かさの
合成 (実験指針 p. 30 ~ 31)
測定機には必ず不確かさが含まれている: Bタイプの評価 許容差(測定器の狂いの許される範囲) ±a から標準不確かさ um を算出 → 実験指針 p. 3, 表3-1 表3-1以外の測定器: 測定器の分解能(読み取れる最小値) 2a から標準不確かさ um を算出 合成された標準不確かさ (3.14) σm : 平均値の標準偏差 um : 機器の標準不確かさ 3 d ) ( 2 1 1 2 a x X x a u x a X − = =∫
+ − (3.3) 2 m 2 m u uX = σ +
3.4.3. 間接測定値の標準不確かさの見積もり
(実験指針 p. 32 ~ 33)
間接測定値 w w = f (x, y, z, · · · ) (3.11) w の推定値 W = f (X, Y, Z, · · · ) (3.12) X, Y, Z, · · · : x, y, z, · · · の推定値 X, Y, Z, · · · によって生じる不確かさ uWX = f (X + uX , Y, Z, · · ·) – f (X, Y, Z, · · ·) = f (X + uX , Y, Z, · · ·) – W uWY = f (X, Y + uY, Z, · · ·) – f (X, Y, Z, · · ·) = f (X, Y + uY, Z, · · ·) – W uWZ = f (X, Y, Z + uZ , · · ·) – f (X, Y, Z, · · ·) = f (X, Y, Z + uZ, · · ·) – W · · · (3.15)それぞれの不確かさが小さい場合 X X X X WX u X W u u Z Y X f Z Y u X f u ∂ ∂ = − + = ( , , ,) ( , , ,) f(x) uWX uX Wの分布 Xの分布 X W 物理量x 物理量 w = f( x) X WX u u X W = ∂ ∂ 図3-5 不確かさの伝搬 (3.16)
不確かさの伝搬則 W が偏微分できるときに使用する 偏微分が困難なとき (3.15)式でuWX , uWY , uWZ · · · を求め, (3.17)式で uW を求めれ ばよい
( ) ( ) ( )
( )
( )
( )
+ ∂ ∂ + ∂ ∂ + ∂ ∂ = + + + = 2 2 2 2 2 2 2 2 2 Z Y X WZ WY WX W u Z W u Y W u X W u u u u (3.17) (3.18) 例: v = l/t l, t の推定値: L = 10.0 m, T = 2.00 s → v の推定値: V = L/T = 5.00 m/s l, t の標準不確かさ: uL = 0.1 m, uT = 0.02 s (3.18)式を使用 (3.15)式, (3.17)式を使用
( )
( )
( )
( )
( )
( )
0.0707 m/s 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 = + = + = − + = ∂ ∂ + ∂ ∂ = ∆ T u L u V u T V u L V u T L u T u T V u L V V T L T L T L T L( ) ( )
0.0703 m/s m/s 0495 . 0 m/s 0500 . 0 2 2 = + = ∆ − = − + = ∆ = − + = ∆ T L T T L L u u V V u T L V V T u L V
不確かさの見積の例 (
読んでおくこと!
)
針金の断面積 実験指針 p. 4 ~ 5 及び 報告書の例(添付資料5) 重力加速度 (a. 力学) 実験指針 p. 39 ~ 42 ヤング率 (b. 材料物性) 実験指針 p. 42 ~ 46 線膨張係数 (b. 材料物性) 実験指針 p. 46 ~ 48
講義と演習(計測と不確かさ解析)
教室はD204 今日の復習と, 予習をしてくること 演習課題ができるまで帰れません! • 19時過ぎまでかかることもあります! 特に, 不確かさの見積もりの例(一つ前のスライド)で指示した 所をよく読んでおくこと! 筆記用具と関数電卓を必ず持参すること 指定された場所に着席すること(実施要領p. 18)来週の予定
3.5. 有効数字
3.5.1. 有効数字とは (実験指針 p. 33 ~ 34)
“信頼できる” 数字の桁数 76.54 : 有効数字は4桁 注意! “0” (ゼロ)の取扱い 数値の右側(末尾)の0は有効数字に含む 数値の左側の0は, 小数点の位置を表す(位取り)ために付け るので, 有効数字に含まない 例: 1.20 g ・・・有効数字は3桁 × 1.2 g × 1.200 g × 0.0012 kg △ 0.00120 kg × 1200 mg △ 1.20×103 mg
3.5.2. 推定値の有効数字と測定値の表記法
(実験指針 p. 34 ~ 35)
推定値が5.1252 mm, 見積もられた拡張不確かさが0.0021 mm 推定値 = 5.1252 mm 拡張不確かさ = 0.0021 mm 拡張不確かさを四捨五入して1桁目だけにする 推定値も四捨五入して,拡張不確かさの1桁目と同じ桁までにする 5.125±0.002 mm (包含係数k = 2) と表す 例: ○ d = 5.125±0.002 mm (包含係数k = 2) × d = 5.125±2×10−3 mm (包含係数k = 2) × d = 5.125 mm ± 2 µm (包含係数k = 2) ○ α = (22.9±0.5)×10−6 K−1 (包含係数k = 2) × α = 22.9×10−6±5×10−7 K−1 (包含係数k = 2)
3.5.3. 間接測定値の有効数字 (実験指針 p. 35 ~ 37)
有効数字は, 不確かさを見積もって決める 計算時の注意 桁不足で精度を落とすことの無いように注意すること! 逆に, 不必要に多い桁(例えば10桁)で計算しないように! (計算ミスの原因になります) 有効数字の簡単な見積もり 加減算: 有効数字は最小桁が最も高いものに等しい 1 2 . 3 4 . 5 6 + 0 . 7 0 8 1 7 . 5 6 8 ? ? ? 6 = 17.6乗除算: 有効数字は最も小さいものとほぼ等しい 31.6 × 0.030 = 0.948 31.6 / 0.0213 = 1483.6 注意! 式の中に含まれる整数や分数は除いて考えること! • 例: 円周の長さ 2πr, 運動エネルギー *“2” や “1/2” などがあるからといって, 有効数字を1桁にし てはいけない! → これらには誤差は含まれていない! 2 2 1 v m = 0.95 = 1.48×103 5
関数 • (3.18)式(不確かさの伝搬則の式)を使用する • 演算前の数値の最小桁を +1 だけ変化させてみる loge251.3 = 5.526647 = 5.5266 loge251.4 – loge251.3 = 0.000397 cos85.0° = −0.08715 = 0.087 cos85.1° – cos85.0° = −0.00173
3.5.4. 計算の一般的注意 (実験指針 p. 38)
計算途中の数値や定数などは, 見積もられた有効桁よりも1~2 桁多めに取り, 計算による誤差が入り込まないようにすること 関数電卓の使い方をマスターしておくこと 電卓, 表計算ソフトでは, 数値の右側(末尾)の“0”に注意すること
事前に良く読んでおくこと!
注意!
実験装置, 測定器は丁寧に取り扱うこと!
乱暴に取り扱うと, 目盛が狂ってしまう!
4.1.4. 目盛りの読み取り
最小目盛りの1/10まで目分量で読み取る
測定対象物に無作為に当てる
4.1.2. 視差
必ず, 視線が目盛面に対して垂直になる位置で読み取る
実験指針
必要な情報をすぐに探せるように, どこに何が書いてあるか覚 えておくこと! 実験指針は捨てないこと! 3年生の実験, 卒業研究, 就職後も役に立つ! スライド(カラー)
尾藤のホームページにアップしておきますので, 必要な人はダ ウンロードして下さい URLは実施要領のp. 17を参照のこと最後に
アクリル板の寸法を計測し, 平均値と不確かさを求めよ
長さ: 金属製直尺(6回測定) 幅: ノギス(10回測定) 厚さ: マイクロメータ(10回測定) 体積 注意
測定箇所は毎回変えること 計測結果をまとめた表を完成させ, 計算過程を書くこと 有効数字に注意すること グループ内で相談するのは構わないが, 計測・計算などは各自 でやること演習(計測と不確かさ解析)
各推定値と不確かさを算出後, 下記の教員のチェックを受ける こと
A1, A2, A3グループ: ニックス
B1, B2, B3グループ: 伊藤
C1, C2, C3グループ: 石井
D1, D2, D3グループ: 奥村
E1, E2, E3グループ: 齋藤
F1, F2, F3グループ: 尾藤