太陽系外惑星の分光観測と
transiting planet HD209458b
太陽系外惑星の分光観測と
太陽系外惑星の分光観測と
transiting planet HD209458
transiting planet HD209458
b
b
東京大学
大学院
理学系研究科
物理学専攻
須藤 靖
2004年6月17日 HDSセミナー@国立天文台 http://hubblesite.org/newscenter/archive/2001/38/太陽系外惑星発見の歴史
太陽系外惑星発見の歴史
1995年:主系列星周りの系外惑星の発見 (51Peg) 1999年:系外惑星のトランジット発見(HD209458) 2001年:惑星大気の初検出(ナトリウム) 2003年:惑星から蒸発する水素大気の発見 2003年:公転周期1.2日のトランジット惑星発見(OGLE) 2004年:惑星大気中に炭素と酸素を検出 2004年:公転周期1.4日、1.7日のトランジット惑星発見 2004年5月15日時点で122個の系外惑星が報告済みb b
惑星を間接的に「見る」
惑星を間接的に「見る」
惑星は直接見えなくても、
主星の軌道はその影響を受ける
ケプラーの法則: 地球は太陽の周りを楕 円運動している 厳密には、太陽も地球 のために少しだけいつ も運動している この方法によって、木星程度の質量の太陽系外惑星がす でに100個以上発見されている (122個@2004年5月17日) この方法によって、木星程度の質量の太陽系外惑星がす でに100個以上発見されている (122個@2004年5月17日)51Pegasi b:
51Pegasi b:
太陽と同じような恒星
太陽と同じような恒星
(主系列星)を周る惑星の初発見
(主系列星)を周る惑星の初発見
主星の速度変動の検出によって初めて発
主星の速度変動の検出によって初めて発
見された惑星
見された惑星
(Mayor &
(Mayor &
Queloz
Queloz
1995)
1995)
b b
HD209458
HD209458
のトランジット観測
のトランジット観測
速度変動のデータに合わせ速度変動のデータに合わせ て惑星の食を初めて検出 て惑星の食を初めて検出 (Charbonneau et al. 2000, (Charbonneau et al. 2000, Henry et al. 2000) Brown et al. (2001) HST観測 HST観測 の平均 Henry et al. 2000) 地上望遠鏡による主星の光度曲線HD209458
b
b
トランジット惑星の重要性
トランジット惑星の重要性
Radial velocity dataのRadial velocity dataの解釈の正当性解釈の正当性
食の光度曲線より惑星のサイズ食の光度曲線より惑星のサイズがわかるがわかる
Radial velocity dataRadial velocity dataとあわせて惑星の密度がわかるとあわせて惑星の密度がわかる
ガス惑星?ガス惑星? 地球型?地球型? 惑星大気による吸収より惑星大気による吸収より大気組成大気組成がわかるがわかる 主星の自転軸と惑星の公転軸の関係がわかる(角運主星の自転軸と惑星の公転軸の関係がわかる(角運 動量の起源) 動量の起源) 測光観測だけで系外惑星候補を選ぶことが可能とな測光観測だけで系外惑星候補を選ぶことが可能とな り、 り、探査の有効な手段探査の有効な手段となり得るとなり得る
Radial velocityRadial velocityは分光観測であるので効率が低いは分光観測であるので効率が低い
アマチュアによる(だからこそ可能な)長期継続モニター観アマチュアによる(だからこそ可能な)長期継続モニター観 測によって、より外側の惑星の発見につながる可能性も
小さな望遠鏡でも(でこそ)観測できる
小さな望遠鏡でも(でこそ)観測できる
観測天体があが観測天体があが るまでの時間を利 るまでの時間を利 用して、たまたま 用して、たまたま transit transit中だった中だった HD209458 HD209458ををHHαα で観測 で観測 長期間のモニター長期間のモニター 観測によって、よ 観測によって、よ り長周期・小質量 り長周期・小質量 の外側の惑星発 の外側の惑星発 見も可能 見も可能 大望遠鏡をこのよ大望遠鏡をこのよ うな用途に使うこ うな用途に使うこ とは不可能 とは不可能Josh Winn @Whipple Obs (1.2m) November 24, 2003
b b
HD209458b
HD209458b
惑星大気の
惑星大気の
初検出
初検出
http://hubblesite.org/ newscenter/archive/ 2001/38/ 20002000年年 系外惑星の食を初検出系外惑星の食を初検出 惑星の大きさがわかる惑星の大きさがわかる 木星程度の質量という観測データとあわせて密度を木星程度の質量という観測データとあわせて密度を0.4g/cc0.4g/ccと推定と推定 巨大ガス惑星であることの確認巨大ガス惑星であることの確認 20012001年年1111月月 この惑星大気中にナトリウムの存在を発見この惑星大気中にナトリウムの存在を発見HD209458
HD209458
惑星系のパラメータ推定値
惑星系のパラメータ推定値
Radial velocity データ +
transit
transit
データ
データ
HD209458 スペクトル型 G0V (主星) Vバンド等級 7.58 (距離=47pc) 表面温度 6000度 HD209458b 公転周期 3.52474 ± 0.00004 日 (惑星)
軌道面傾斜角
軌道面傾斜角
86.6886.68±
±
0.140.14度
度
質量 0.63 木星質量半径
半径
1.3471.347±
±
0.060 0.060木星半径
木星半径
密度
密度
0.4g/cc0.4g/cc (< 土星密度) 有効温度 1400度大気組成
大気組成
ナトリウム、水素、
ナトリウム、水素、
炭素、酸素の存在が報告
炭素、酸素の存在が報告
b b
HD209458b
HD209458b
:蒸発
:蒸発
しつつある惑星?
しつつある惑星?
http://hubblesite.org/newscenter/archive/2003/08/Vidal-Madjar et al. Nature 422(2003)143
Geocorona, not planetary
Additional absorption in Lyman α emission line 予想以上に大きい水素の吸収(15%) ⇒ 惑星を広くとりまく中性水素雲?
HD209458b
HD209458b
大気に酸素と炭素吸収を発見
大気に酸素と炭素吸収を発見
O I C II 吸収量 連続光 2% H I 5% O I 10% C II 6% HI Si III (upper) low-resolution HST spectra (lower) high-resolutionb b
すばる望遠鏡
すばる望遠鏡
による挑戦
による挑戦
須藤 靖、成田憲保 (東京大学) 青木和光、山田亨 (国立天文台)佐藤文衛(神戸大学)、Josh Winn (Harvard Univ.)
Edwin Turner, Brenda Frye (Princeton Univ.)
太陽系外食惑星
太陽系外食惑星HD209458bHD209458bからのからの 反射光の超高分散分光観測
反射光の超高分散分光観測
HD209458bの位相とradial velocity
Subaru/HDS
previous velocity curve (Wittenmyer et al. 2003)
b b
現在進行中の3つの
HDSプロジェクト
地上からの太陽系外惑星大気初検出地上からの太陽系外惑星大気初検出を目指すを目指す HHαα吸収の解析は終了、現時点では上限値のみ吸収の解析は終了、現時点では上限値のみ Winn et al. Winn et al. ((20042004))PASJ, in pressPASJ, in press (astro(astro--ph/0404469)ph/0404469)
他の吸収線の解析他の吸収線の解析 (成田(成田 修士論文の予定)修士論文の予定)
Transit中の星のTransit中の星のradial velocityradial velocity高精度観測による、高精度観測による、
星の自転パラメータと惑星軌道パラメータへの制限 星の自転パラメータと惑星軌道パラメータへの制限 (
(RossiterRossiter--McLaughlinMcLaughlin 効果効果))
解析的テンプレート公式の導出解析的テンプレート公式の導出 ((OhtaOhta, , TaruyaTaruya & & SutoSuto 2004)2004)
すばる望遠鏡観測提案中すばる望遠鏡観測提案中 (S04B0015N)(S04B0015N) 太陽系外惑星反射光の初検出太陽系外惑星反射光の初検出を目指すを目指す 解析を始めるところ解析を始めるところ((実はもともとの目的だったのだが実はもともとの目的だったのだが、、、、、、))
HD209458 Subaru/HDS spectrum
分光器の応答特性 (blaze function)Hα
Winn et al. Winn et al.
(
(2004
2004
)
)
two spectra taken 2.5hrs apart
b b
HDSスペクトル残差の解析方法
λn,j : n番目のオーダーでのj番目のビンに対応する波長 違う時刻での2つのデータ、 S1(λn,j) とS2(λn,j)は、HDSの応 答特性の時間変化の影響を受ける この応答特性の変化を補正する (以下はS2をS1に合わせる例) n
n
依存性
依存性
R(λn,j)= S1(λn,j)/S2(λn,j)を jのまわりの100ピクセルで平均し たもの ⇒ R(n,j) 注目する吸収線の存在するオーダーnのデータを、その前後、n-1とn+1 のRを用いて補正する: ∑j [S[ 1(λn,j) - S2b(λn,j)]2が最小となるよう にS2b(λn,j)=[cn+1R(n+1,j)+cn-1R(n-1,j)] S2(λn,j)の係数cn+1 とcn-1を決める(実際にはほぼ1/2) j
j
依存性
依存性
さらに波長方向にずらしてS1との一致を向上させる(c0と∆λがパラメータ) S2m(λn,j) = c0 S2b(λn,j) + ∆λ dS2b(λ)/dλHD209458b
惑星大気によ
る吸収の探査
4861.34 4861.34ÅÅ H Hββ 6562.81 6562.81ÅÅ H Hαα 4340.48 4340.48ÅÅ H Hγγ 5895.94 5895.94ÅÅ Na Na I (D1)I (D1) 5889.97 5889.97ÅÅ Na Na I (D2)I (D2) Hα 相 対 的 残 差 の 時 系 列 Transit Transit中中 H Hαα Hα付近の 地球大気スペクトル 時 刻 Transit でない時期の Hα付近のスペクトル (Winn et al. 2004)HD209458bb 19
系統誤差のチェック
H Hααの波長の波長 を含まない を含まない 赤側と青側 赤側と青側 での同様の での同様の 解析 解析 人工的に 人工的に 0.1 0.1パーセパーセ ントの吸収 ントの吸収 を追加した を追加した 場合の検 場合の検 出度 出度 (Winn et al. 2004)HD209458b惑星大気中の
中性水素吸収量と励起温度
Hα相対的吸収量
HHαα吸収吸収 <0.1% (Winn et al. 2004)<0.1% (Winn et al. 2004)
LLyyαα 吸収吸収15% (Vidal15% (Vidal--Madjar et al. 2003)Madjar et al. 2003)
b b
ヨードセルを用いた
radial velocity測定
密集したヨウ素分子の吸収線を天密集したヨウ素分子の吸収線を天 体スペクトル中に焼きこんで、(相対 体スペクトル中に焼きこんで、(相対 的な)目盛りとして用いる 的な)目盛りとして用いる 現在、現在、3m/s 3m/s 程度の精度が達成され程度の精度が達成され ている。 ている。 ヨードセル HD209458 HD209458+IRossiter-McLaughlin 効果
食連星において、一方の星が他方の星の一部を掩蔽 することで、星の自転速度の一部が見かけ上、その星 と観測者の相対速度のように見えてしまう現象
b
b
Spectroscopic transit signature
(Rossiter-McLaughlin 効果)
in transit out of transit
HD209458 radial velocity data http://exoplanets.org/
主星の自転と惑星の公転が同方向
Queloz et al. (2000) A&A 359, L13 ELODIE on 193cm telescope
HD209458はRossiter効果の研究に理想的
惑星は掩蔽するのみ 掩蔽する星自身 雑音 惑星系の起源と進化 (特に、主星の自転軸と惑星 の公転軸の一致の度合い) 連星系の性質 科学的興味 実質的にHD209458のみ 無数 候補天体 浅い (1953年生まれの親 の息子でも論文が書ける!) Ohta et al. (2004) 深すぎる (Kopal 1990; Hosokawa 1953) 歴史 容易、解析的 (摂動論が良い近似) 困難、数値的 (極度に非線形) モデル 惑星 星 掩蔽天体 系外惑星系 連星系b b
radial velocity の予想曲線
ε
=0.64 Subaru/HDS error-barε
=0 Subaru/HDS error-barLimb darkening: B= 1- ε (1-cos θ)
食惑星からの反射光の検出原理
食惑星からの反射光の検出原理
惑星の反射光スペクト ルは主星のコピー ただし、公転速度のた めに、吸収線の位置が 50km/s程度だけずれ たところにでる この反射吸収線の強度 はわずか0.01% 数百本の吸収線を同時 に使って反射光の存在 を検出したい すばるの高分散分光器 HDSの波長分解能 50000を最大限活用b b
系外惑星観測のロードマップ
系外惑星観測のロードマップ
巨大ガス惑星発見の時代
巨大ガス惑星発見の時代
惑星大気の発見
惑星大気の発見
惑星大気の精密分光観測による組成決定
惑星大気の精密分光観測による組成決定
惑星反射光の検出
惑星反射光の検出
地球型惑星の発見
地球型惑星の発見
Biomarker
Biomarker
の同定
の同定
(e.g.,
(e.g.,
extrasolar plant
extrasolar plant
)
)
Habitable planet
Habitable planet
の発見
の発見
Biomarker
Biomarker
と地球照:
と地球照:
我が地球を用いて
我が地球を用いて
「
「
第
第
2
2
の地球」がどのように見えるかを予測
の地球」がどのように見えるかを予測
惑星を発見するだけでは、そこに生命があるか
惑星を発見するだけでは、そこに生命があるか
どうかはわからない
どうかはわからない
Biomarker
Biomarker
の探求
の探求
植物の反射スペクトルに見られる植物の反射スペクトルに見られるred edgered edge
遠くに我々の地球をおいたとき、分光観測から
遠くに我々の地球をおいたとき、分光観測から
その特徴を同定できるか?
その特徴を同定できるか?
地球照地球照 衛星による分光測光観測の可能性を探る
衛星による分光測光観測の可能性を探る
b
b
Red edge
Red edge
of
(
(
extrasolar
extrasolar
) plants
) plants
as
a biomarker in
extrasolar
extrasolar
planets
planets
落葉樹の葉の 反射スペクトル 葉緑素A 葉緑素B 植物は植物は70007000ÅÅよりも長波長側よりも長波長側 で反射率が急激に増す で反射率が急激に増す 50005000ÅÅ前後の葉緑素による前後の葉緑素による 吸収よりもずっと顕著な特徴 吸収よりもずっと顕著な特徴
これをこれをextrasolar planetextrasolar planetにおにお
ける
けるbiomarkerbiomarkerとして使えないとして使えない か?
か? ((extrasolar plantextrasolar plant as as
a biomarker in
a biomarker in extrasolar extrasolar planets
planets))
Seager, Ford & Turner astro-ph/0210277
Vesto Melvin Slipher (1875-1969)
(太陽系惑星)分光観測の専門家@Lowell 天文台 当時の“spiral nebulae”を観測しそれらがほとんど赤方偏移している
ことを発見 ⇒ 島宇宙説の支持 ⇒ ハッブルの法則の重要な基礎
“Observations of Mars in 1924 made at the Lowell Observatory:
II spectrum observations of Mars’’ PASP 36(1924)261
b
b
地球反射光度の日周変化を検出できるか?
季節ごとの平均的な雲 の状態による違い
Ford, Seager & Turner
Nature 412 (2001) 885
10パーセント程度の変
動は期待できる
ただし、雲の存在が全
地球照観測
地球照観測
月の暗い部分の分光観測をして、地球から月の暗い部分の分光観測をして、地球から
の反射光中の
の反射光中のred edgered edgeが検出できるか?が検出できるか?
遠方の、第遠方の、第2の地球の分光観測の模擬実験2の地球の分光観測の模擬実験
b b
地球照スペクトル例
地球照スペクトル例
反 射 率 波長 [Å] red edgeが見え ている???Woolf & Smith
ApJ 574(2002)430 “The spectrum of earthshine: A Pale Blue Dot Observed from the Ground”
太陽系外惑星探査
研究の展望
木星型惑星の発見の時代 (1995)から、惑星系 “characterization”へ 地球型惑星の発見へ habitable planets ? search for life