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Microsoft Word - 分析精度と測定限界の関係 docx

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Academic year: 2021

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(1)

分析機器・試薬アナリストのための Web 勉強会資料

比色分析における分析精度と測定限界の関係

-分析装置の性能から考えた精度と限界-

生物試料分析科学会

(2)

1 測定上限はどうして決まる

比色分析の場合、測定限界(測定下限、測 定上限)は使用する比色計の限界に左右され ることは言うまでもありません。どこまで高 い吸光度の測定が可能か、どこまで小さな吸 光度の測定が可能かで、測定下限と上限が決 定します。この吸光度によって、検出物質の モル吸光係数とサンプル量、試薬量で、測定 上限と測定下限が決定します。 では、具体的に測定上限を求めてみます。 サンプル20μl、試薬A250μl、試薬B50μlで、 分子量200の物質を測定したとします。この 時 の 検 出 物 質 の モ ル 吸 光 係 数 が 8×103l/mol/cmで、使用する吸光度測定装置 の測定上限の吸光度が1.5であったとすると、 式(1)は以下のように計算できます。 測定上限= 2 Absから試料のmol濃度を求めるには、 この式で、分子量は変えることができませ ん。変えることができるのは、①測定物質の モル吸光係数(発色させる物質を変えれば変 更できる)、②サンプル量、③試薬量の3つ です。測定上限を高くしたければ、①モル吸 光係数の小さな発色物に変更する(発色感度 の悪い試薬に変える)、②サンプル量を減ら す、③試薬量を増やす、の3点です。 なお、測定上限吸光度は迷光によって決ま ります(比色計に関する項を参照)。

2 測定下限と分析分解能とは

測定下限も測定できる最小の吸光度で決定 され、式(2)で計算できます。分析できる 最小の吸光度が0.01で、測定条件が同じであ れば、測定下限は0.4mg/dlとなります。 測定下限= =0.4 mg/dl 式(2) 測定下限と有意な差で測定仕分けることの 出来る吸光度差とは相違します。後者は吸光 度測定の分析分解能と称します。もし、吸光 度0.250と0.251の差を正確で、有意な差とし て測定できるとすると、吸光度測定の分析分 解能は0.001となります。測定に使用する装置 の分析分解能が0.001であった場合、分析分解 能を濃度で計算すると式(3)のようになり ます。 分析分解能= =0.04 mg/dl 式(3) すなわち、この濃度以下を正しく測定仕分け ることはできないことになります。もし、こ の濃度を高くしたければ先ほどの逆で、①モ ル吸光係数の大きな発色物に変更する(発色 感度の高い試薬に変える)、②サンプル量を 増やす、③試薬量を減らす、ようにすればよ いわけです。 この分析分解能は測定精度そのものを表し ており、分析分解能を小さくすれば精度の高 い分析ができ、大きくすると精度が悪くなり ます。 バーネットは医学的意志決定濃度における 測定精度を具体的に記述しています。例えば 血糖値120mg/dlを4.2%以下の再現性で測定 すべきことを提言しています。そこで、この 要望を満たす測定方法を組んでいるのかを考 1.5 8 × 10ଷ× 20 + 250 + 50 20 × 200 × 1000 × 1 10 =60 mg/dl 式(1) ① 吸光度(Abs) モル吸光係数(ε)の単位はmol/l Abs ε × TV SV × MW × 1000 × 1 10・・・・・(1) ちょっと

Break

② 終濃度or分析時の試料濃度(mol/l) は①に試料希釈倍数(総反応液量(TV) /サンプル量(SV))を乗じたもの。 ③ モル濃度からmg/dlへの変換は分子 量(MW)を乗じてg/lとし、これに 1000を乗じてmg/lとし、さらに10で 除してmg/dlとします。 ④ Absから試料濃度(mg/dl)を求める 一連の式は下記のとおりです。 0.01 8 × 10ଷ× 20 + 250 + 50 20 × 200 × 1000 × 1 10 0.001 8 × 10ଷ× 20 + 250 + 50 20 × 200 × 1000 × 1 10

(3)

察してみましょう。測定方法はヘキソキナー ゼ-グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ法 (HK法)で、吸光度の分析分解能は0.001、 NADHのモル吸光係数は6.3×103l/mol/cm、試 薬A250μl、試薬B50μl、サンプル量1.0μlとし、 グルコースの分子量は180として計算しま す。 まず、120mg/dlの試料を4.2%以下の再現性 で測定するために、分析分解能をどの様に設 定すべきかを計算します。120mg/dlの4.2% は次の濃度です。 120mg/dl×0.042=5.04mg/dl このことから、分析分解能が5.04mg/dlより小 さくする必要があります。 これを式(3)にあてはめると =0.86mg/dl(≦5.04mg/dl) となり、この条件においては分析分解能が 0.86 mg/dlで、バーネットの要望より、5.8倍 も精度良く測定できることになります。

3 測定精度と測定上限の関係

測定上限を求める式と、分析分解能を求め る式は同じでした。ということは測定上限を 2倍に上昇させることは測定精度を半分に落 とすことになります。つまり、両者は切って も切れない関係にあるのです。よって、分析 システムを構築する時は先ず測定の精度を決 定します(バーネットの考え方だけでなく、 自施設の診療医の要望する精度で、組み立て ること。測定精度は分析分解能だけでなく、 吸光度によって測定精度が変化する。後述す る項目参照)。次いで、測定上限から再検査 率を求め、検査に携わる方々の納得できる測 定上限(試薬の限界によって測定上限が決ま ることもあるため、試薬の限界の項を参照下 さい)となるように設定すべきです。

4 分析段数とは何?

吸光度を測定する装置には測定下限、上限、 分析分解能(一定の精度で測定できる最小の 吸光度差)のあることを前術しました。この 3者が決まれば、分析段数が決定します。測 定できる最大の吸光度を1.5とし、測定下限の 吸光度を0.01、分析分解能を0.001とすると測 定できる段階は次のように計算できます。 要するに比色分析法では測定装置の問題か ら分析できる段数が決定されています。一つ の階段の高さが分析分解能、階段の数が分析 段数、一番最初の階段の高さが測定下限、階 段の一番上の高さが測定上限となります。こ れをある程度自由に動かすことで、測定精度 とダイナミックレインジ(測定可能範囲)を 決定します。

5 レートアッセイでも同じか?

レートアッセイもほぼ同様な計算が成り立 ちます。測定できる最大の吸光度変化量、最 小の変化量があり、分析分解能としての検出 限界もあります。1分間に0.3/minの吸光度変 化を測定できる装置があったとします。また、 分析分解能としての検出限界は0.0001/min とします。すると、分析段数としては30,000 段となります。 エンドポイント法でも同様ですが、試薬の 限界も存在します。試薬の限界についてはそ の内容を試薬の項で詳細に解説します。

6 再現性と分析分解能の関係

分析分解能は吸光度測定の立場で、これ以 上小さな吸光度差を測定できないことから生 0.001 6.3 × 10ଷ× 1 + 300 1 × 180 × 1000 × 1 10 分析段数=1.5 − 0.01 0.001 = 1490段 測定上限 測定下限 (吸光度測定下限) (吸光度測定上限) 分析分解能(吸光度分析の最小値) ダイナミックレンジ (測定可能範囲) 図1 分析段数と分析分解能の関係

(4)

まれた数値です。たとえば、分析分解能が 1.0mg/dlの分析システムを用い、50mg/dlの 管理試料により同時再現性を測定した場合に CVがほぼ2%になることを意味しています。 もう少し具体的に記述してみましょう。次 のような測定系でAST活性をJSCC勧告案に準 じて測定したとします。血清2.0μl、試薬A 100μl、試薬B20μl、分析分解能としての最小 速度が0.0001/minであるとすると、分析分解 能は次のように計算できます。 分析分解能(U/l)= この様な測定システムで40U/lの管理血清 の測定を実施した場合、同時再現性のCVは、 2.5%(1.0/40×100=2.5%)以下を期待しては ならないことを意味しています。

7 グルコース測定法の組み立て

血糖値を測定する方法において具体的な測 定法を組み立ててみましょう。医師の要望、 分析装置の性能、試薬の能力、および検査技 師の要望の全てを満たすことができる測定法 が構築できるかを考えたいと思います。ただ し次に示す性能と要望があるものとします。 1.吸光度の測定できる範囲は0.01から1.0 の範囲であること。 2.正確に測定仕分けることの出来る吸光 度差は0.001であること。 3.最も正確に測定できる吸光度は0.34で あること。 4.サンプルの採取量は1.0μl刻みで、50μl 以下であること。 5.試薬は1種類であること。 6.吸光度測定には最低でも反応液量が 2.5ml必要で、3.5mlを超えないこと。 7.800mg/dlを超える濃度を測定すること は1.0%以下、600mg/dlを超える測定は 2.0%以下、500mg/dlは4.0%以下とする こと。 8.医師から要望されている再現性は50 mg/dl付近で10%、100mg/dl付近で 5.0%、120mg/dl付近で4.2%以下である こと(Barmett)。 9.再検査率は検査技師の中で、5.0%以 下となるように要望されていること。 10.総反応液量は3.0mlとすること。 以上の条件をなるべく満足できる試薬調整法 を、次に示す条件から順次考えることにしま しょう。 1)800mg/dlまで希釈することなく測定 できる。 2)医師が要求する精度を満足させる測 定方法を構築する。 3)測定下限を30mg/dlとする。 4)反応を5分以内に終了させる。 ① GODの添加量を考える。 ② 測定原理に出てこなかった試薬で、 添加すべき試薬はあるのか考える。 5)PODは300U/l添加するものとして考 える。 6)4-アミノアンチピリン(4-AA)は1.0 mmol/l、フェノールは10.0mmol/l(終濃 度)とする。 7)試薬は1試薬系とする。

1)

800mg/dlまで、希釈することなく測

定する方法を考える

この目的を達成するためのサンプル量(SV) と総反応液量(TV)を考えます。ただし、SVを 3.0ml、MW180とします。 ε:1.26×104l/mol/cm(キノン体のモル吸光 係数) すなわちサンプル量を10.7μl以下とすれば良 いことになります。 (注)GOD/POD法の場合は、下記の反応式の よ う に グ ル コ ー ス1molから過酸化水素が 1molできますが、キノン色素1molは過酸化水 素2molから生じます。したがって、キノン色 素濃度からグルコースの濃度を求める際に は、キノン色素濃度を2倍する必要がありま 0.0001/min 6.3 × 10ଷ × 122 2 × 10଺= 1.0U/l 800mg/dl =ΔAbs ε × TV SV × MW × 1000 × 1 10 × 2 =1.26 × 101.0 ×3.0SV × 180 × 100 × 2 SV=0.0107ml=10.7μl

(5)

す。 α-D-Glucose β-D-Glucose β-D-Glucose+O2+H2O H2O2+Gluconic acid 2H2O2+4-Aminoantipyrine+Phenol [Red pigment]+4H2O 図2 GOD/POD法によるグルコース測定原理

2)医師に要求される精密度を満足させ

る測定方法を構築する

医師が最も精度良く測定して欲しいと要望 する濃度は120mg/dlであり、この濃度におけ る再現性が4.2%以下であることであり、言い か え れ ば 標 準 偏 差 ( SD ) を 5.0mg/dl120mg/dl×0.042)以下にして欲しいという ことです。 測定者の立場からすると、整数値で測定値 を 報 告 す る の で す か ら 、 分 析 分 解 能 が 5.0mg/dlで良いと言われても納得できませ ん 。 も っ と 精 度 を 上 げ て 、 分 析 分 解 能 を 1.0mg/dlとし、10%以下の精密度で測定する ためする方策を立案するための具体策とし て、サンプル量(SV)と総反応液量(TV)の 比を計算します。 このことより、サンプル量が8.57μl以上であ れば良いことが分かります。 前述の条件1)の要望とこの精度の両方から、 サンプル量は9μlか10μlを選択するしかあり ません。そこでサンプル量を10μlとした時の 測定下限を計算すると(吸光度変化量0.01の 時)測定下限は8.57mg/dlとなり、要望の測定 下限30mg/dlも測定できることとなります。 以上の結果より、条件1)~3)を満足させ る測定操作はサンプル量を9もしくは10μlと し、総反応液量を3.0mlとすることが適切とい うことになります(以下は10μl(0.01ml)と して記述します)。 この条件で、臨床上精度良く測定したい濃度 がどの程度の再現性となるか考えます。要す るに、50、120mg/dl付近の吸光度を計算しま す。 50mg/dlを発色させた吸光度が0.058Abs、 120mg/dlを発色させた時で0.140Absとなり、 最も再現性良く測定できる濃度は290mg/dl 付近の濃度であることになります。なお、 30mg/dlの試料を測定した時のΔAbsは同様な 計算から0.0348と演算でき、測定下限の吸光 度0.01を上回っているため、十分測定できる と判断されます。

3)5分以内に反応を終了させるための

GOD活性添加量の決定

反応を所定の時間までに終了させるために 考慮しなければならない点は次の事項です。 ① ムタロターゼの添加 ② GODの添加活性 ③ PODの添加活性 GODはβ-D-グルコースにのみ反応し、α-D-グルコースには反応しないため、化学平衡反 応が終了するまで、反応は終了しません。こ のため、図2に示すムタロターゼを添加する必 要があります。この反応とGODの2段階の反 応解析を演算することは難しいのですが、ム タロターゼ反応は素早く終了するため、演算 からは除外して考えることができます。 そこで、5分以内に反応を終了させるため に必要なGOD活性添加量を演算します。なお、 酵素反応は一次速度定数にしたがって進行す 1.0mg/dl =ΔAbs ε × TV SV × MW × 1000 × 1 10 × 2 =1.26 × 100.001 ×3.0SV × 180 × 100 × 2 SV = 0.00857ml = 8.57μl Mutarotase GOD POD 0.01 1.26 × 10ସ× 3.0 0.01 × 180 × 100 × 2 = 8.57mg/dl 50mg/dl = ΔAbs 1.26 × 10ସ× 3.0 0.01 × 18000 × 2 ΔAbs = 0.058 120mg/dl =1.26 × 10ΔAbs ×0.01 × 18000 × 23.0 ΔAbs = 0.140

(6)

ると考えます。初期基質濃度をC、t時間後の 基質濃度をCとし、この反応が99%進行したと すれば、次のように一次反応式を記すことが できます。 5分間で反応を終了させたいので、t=5を代入 し、また、݇ = ܸ/ܭmなので、これに今回使用 したGODのܭm値、3.3×10-2mol/lを代入しま す。 V が30.393U/mlとシミュレートされたので、 GODは、終濃度で30.393U/ml以上の活性が添 加されていれば、5分間で反応が終了できると 予測されます。なお、PODの反応はとても早 いため、計算は割愛できます。

4)一剤化試薬としての操作法

以上のことより具体的な操作法と一剤化試 薬調整法を記述します。 試薬 容量 組 成 試薬 試料 2.99ml 0.01ml 100mmol/l リン酸緩衝液 (pH7.0) 31U/ml GOD 1.0U/ml POD 1.0U/ml ムタロターゼ 1.0mmol/l フェノール 1.0mmol/l 4-AA 37℃にて5分間加温後、505nmにて吸光度を 測定する。 ブランクとして精製水、各種濃度の標準液 を試料とし、吸光度を測定して検量線を作 成する。 ※ フェノールと4-AAの終濃度に関しては干 渉反応の項で記述します。 ※ 本資料は分析機器・試薬アナリストのた めのWeb 勉強会用テキストです。無断転 載を禁じます。 制作・著作 生物試料分析科学会 分析機器・試薬アナリスト 認定委員会 発 行 日 平成 23 年 7 月 25 日 発行責任者 小川善資 ݇ = −ln 0.01 5 ݇ =ܭm =ܸ 3.3 × 10ܸ ିଶ=4.6055 ܸ =4.605 × 3.3 × 105 ିଶ× 10ଷ = 30.393 mmol/min/l (U/ml)

参照

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