5 希少野生植物の現状と課題
(1) 希少野生植物の現状と課題
レッドデータブックを作成するにあたり、県内全域で希少野生植物の現存する集団数や株数、および以前から
の増減や危険性の要因について現地調査を行った。ここではその調査結果の中から、希少植物の集団(個体群)
が消滅(絶滅)した事例、および以前からの増減が10分の1を下回った事例について、その要因を分析する。レ
ッドデータブック作成のための調査は、今回の改訂版を作成するにあたっての調査のほかにも、1998年発行の初
版を作成するにあたっても行っている。調査の手法は「希少野生植物調査の実施」の項でも述べたとおり、環境
省の種の多様性調査の調査法に準じて行っており、前回調査と同様である。
調査の結果は以下の一覧表のとおりで、今回報告のあった3,800あまりの調査データの中から抽出したものであ
る。報告の中には危険性の要因を特定することが困難なため要因の分析を留保してあるものや、あるいは現状不
明として報告されているものもあるため、消滅の実数はこれを上回るのは確実である。また、複数の要因を指摘
する報告も若干あり、重複して集計されていることを予めご承知いただきたい。
一覧表及び、以下に示すグラフで「新RDB」としているのは今回の改訂版での調査結果、「旧RDB」として
いるのは初版のRDBでの調査結果で、およそ7年の間を開けた調査の比較である。
危険性の要因別の報告件数
危険性の要因
新RDB消滅要因
旧RDB消滅要因
新RDB減少要因
旧RDB減少要因
森林伐採
3
10
1
池沼開発
3
7
3
河川開発
8
3
7
4
湿地開発
5
3
21
8
草地開発
1
5
1
石灰採掘
4
3
ゴルフ場
2
3
土地造成
12
8
7
10
道路工事
11
4
4
13
埋め立て
16
1
4
9
水質汚濁
4
4
9
農薬汚染
2
1
8
19
園芸採取
5
3
15
33
薬用採取
1
踏みつけ
6
5
4
動物食害
1
20
管理放棄
3
5
4
8
自然遷移
9
4
24
31
帰化競合
2
2
産地極限
1
1
その他
4
7
9
12
不 明
3
2
1
1
合 計
100
50
151
176
新旧調査の消滅要因の変化を、以下に示す。
今回の調査で消滅要因として最も多かったのは埋め立て(16件・%)で、以下土地造成(12件・%)、道路工事
(11件・%)、自然遷移(9件・%)、河川開発(8件・%)と続く、植物の生育地をまさに根底から奪ってしま
う土木工事の率が高い。「自然遷移」が指摘されているのは河川敷や雑木林の植物で、洪水頻度の低下による遷移
の進行や、雑木林の放置による常緑樹の侵入などによるものである。
旧版調査時点と比較して大幅に増加したのは「埋め立て」と「踏みつけ」で、ほかに「石灰採掘」や「池沼開
発」・「森林伐採」も新たに加わっている。一方、旧版時点より減少したのは「管理放棄」・「水質汚濁」・「帰化競
合」・「ゴルフ場」で、下水道の普及や新たなゴルフ場開発の凍結など、世相を反映したものになっている。
次に、新旧調査の減少要因の変化を、以下に示す。
今回の調査で減少要因として最も多かったのは自然遷移(24件・16%)で、以下湿地開発(21件・14%)、動物
食害(20件・13%)、園芸採取(15件・10%)、森林伐採(10件・7%)と続く、消滅の要因と比較して小規模な
変化の積み重ねが、減少の要因となっていることを示している。
旧版調査時点と比較して大幅に増加したのは「動物食害」と「湿地開発」・「森林伐採」・「草地開発」などであ
る。特に「動物食害」は山地で大幅に増えているニホンジカによるもので、野生植物に深刻な影響を及ぼしてい
る。一方、旧版時点より減少したのは「園芸採取」・「農薬汚染」・「道路工事」・「水質汚濁」などで、消滅の要因
と同様、世相を反映したものになっている。特に「水質汚濁」は旧版調査時点で9件・5%あったものが、今回
の調査では皆無となっている。
0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 森林伐採 池沼開発 河川開発 湿地開発 草地開発 石灰採掘 ゴルフ場 土地造成 道路工事 埋め立て 水質汚濁 農薬汚染 園芸採取 薬用採取 踏みつけ 動物食害 管理放棄 自然遷移 帰化競合 産地極限 その他 不 明 旧RDB消滅要因 新RDB消滅要因消滅要因の変化
0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 20% 森林伐採 池沼開発 河川開発 湿地開発 草地開発 石灰採掘 ゴルフ場 土地造成 道路工事 埋め立て 水質汚濁 農薬汚染 園芸採取 薬用採取 踏みつけ 動物食害 管理放棄 自然遷移 帰化競合 産地極限 その他 不 明 旧RDB消滅要因 新RDB消滅要因減少要因の変化
次に、今回の調査で明らかになった、消滅の要因と減少の要因の違いについて述べる。
先に述べたとおり、消滅の要因は多い順に埋め立て(16件・%)、土地造成(12件・%)、道路工事(11件・%)、
自然遷移(9件・%)、河川開発(8件・%)と続く。一方、減少の要因は多い順に、自然遷移(24件・16%)、
湿地開発(21件・14%)、動物食害(20件・13%)、園芸採取(15件・10%)、森林伐採(10件・7%)である。消
滅の要因では生育地を根底から破壊する土木工事が大きな割合を示すが、減少の要因では小規模な変化の積み重
ねが希少野生植物の後退を促す要因となっていることは明らかである。
大規模な土木工事の抑制は行政に任されなくてはならないところが大きいが、小規模な変化の回避は里山管理
の励行や循環型農業の振興、希少植物の生育地での保護など県民の日常努力によって達成される可能性の高い内
容である。自然との共生を柱にした普及啓発活動の成果が期待される。
なお、ニホンジカによる食害は緊急を要する課題である。既に秩父山地でもシカによる樹木の枯死が顕在化し
ており、丹沢山地や日光で深刻な事態となっている森林の後退が、既に秩父山地でも始まっていると見なさなく
てはならない。希少野生植物の保護の視点をも含めて、広域的な自然環境の保全の視点からも、緊急に対策が必
要である。
(2) 埼玉県内において在来の植生に悪影響を及ぼすおそれのある侵入的外来植物について
近年、ブラックバスやマングース・アライグマなど、侵入的外来生物による在来生物への脅威が伝えられ、環
境省や国土交通省など国の機関をはじめ、地方においても水産被害の顕著なブラックバスの駆除に乗り出す自治
体が多い。
そして、昨平成16年6月「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が国会で議決され、
一年以内に施行される運びとなっていて、現在施行に向けて、特定外来生物種の選定が行われているところであ
る。
一方外来の植物については、「帰化率」が地域の自然破壊のバロメーターとして調査の対象となっていたことに
象徴されるように、帰化植物は都市や造成地・路傍に生育するのが当たり前のように捉えられてきた。幸手市史
調査の一環として始まった市民参加のタンポポ調査は、在来タンポポと外来タンポポの分布から人間活動の影響
を評価しようとしたものであったが、結果は在来タンポポと外来タンポポの大量の交雑種が発見されて、外来種
の脅威を目の当たりにすることになったのである。
ペットとして導入される哺乳類や鳥類、爬虫・両生類をはじめ、大型甲虫などの昆虫類や、園芸あるいは緑化
の目的で導入される植物など、本来、生物界ではあり得なかった大規模かつ長距離の移動が人間によってなされ、
生物区界を超えた分布の拡大や交雑が現実のものとなって迫ってきている。
0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 森林伐採 池沼開発 河川開発 湿地開発 草地開発 石灰採掘 ゴルフ場 土地造成 道路工事 埋め立て 水質汚濁 農薬汚染 園芸採取 薬用採取 踏みつけ 動物食害 管理放棄 自然遷移 帰化競合 産地極限 その他 不 明 新RDB減少要因 新RDB消滅要因消滅要因と減少要因の比較
移入種が野外に拡大する可能性のあるとき、その移入種が園芸雑種であるか、独立した種であるかを問わず、
地域の生物多様性に影響を及ぼすと見なさなければならない。実害が証明されなくても、無害が証明されない以
上「有害」と見なして対策を立てる必要がある。遺伝子組み替え植物や園芸品種のように、仮に結実する能力を
持たない種類のものであっても、花粉を付ける場合は在来の近縁種との間に雑種をつくる可能性があり、遺伝的
な汚染を引き起こす可能性がある。
埼玉県内でも幸手市のタンポポに限らず、外来の植物が在来の植物に影響を与えている例はほかにも見られる。
そこで、侵入的外来植物の危険度評価について、以下の基準で選定し評価した。なおここで述べる「在来植生」
とは、自然草原や自然林の原生自然のほかに、二次林や二次草原・植林地など農耕地に比較して人為的な管理が
やや疎な二次的自然を含める。また、果樹園や水田・畑の農耕地、ならびに路傍等にあっても史前帰化植物を含
む在来植物との交代が著しいものについては評価の対象とした。
また、侵入的外来植物の「外来」とは、本来埼玉県には分布していない種が他地域から持ち込まれる行為の全
体を指し、国内外を問わない。
記
危険度5
5
5
5 極めて危険・すでに在来植生に侵入し、在来種と競合して在来種を駆逐しているもの。コカナダモ、
オオフサモなど
・すでに在来の種と交雑し、雑種に繁殖力があるもの。セイヨウタンポポなど
危険度4
4
4
4 非常に危険・すでに在来植生に侵入し、近い将来、在来種を駆逐する危険の高いもの。オニマタタビ
など
・すでに在来種との交雑が確認されているが、現時点では雑種に繁殖力のないもの
危険度3
3
3
3 危険 ・一部の在来植生に侵入しているが、在来種との競合は少ないと思われるもの。メマツヨ
イグサ、オオキンケイギクなど
・在来種との交雑は確認されていないが、近い将来、近縁の在来種との交雑の可能性が高
いもの
危険度2
2
2
2 やや危険 ・現時点で在来植生への侵入は確認されていないが、将来、侵入する可能性のあるもの。
シンテッポウユリ、セダムsp.など
危険度1
1
1
1 影響不明 ・現時点で在来植生への侵入はなく、在来種への影響は不明なもの
評価の結果は以下のとおりである。それぞれの種は、複数の生育立地に生育するものが多いが、データの集計
上より影響の重大な生育立地を、その種の生育立地として集計した。
河川敷に侵入した種の中で危険度が[5]の種は、イタチハギ(マメ科)以下8種、[4]の種はコバナキジム
シロ(バラ科)以下8種、[3]の種はエゾノギシギシ(タデ科)以下6種、[2]の種はムシトリナデシコ(ナ
デシコ科)およびオオアワダチソウ(キク科)の2種である。他の生育立地に比較して危険度の高い種が多いが、
河川敷という流水を介して植物が分布を拡大する立地の特殊性であろう。なおこの河川敷の範囲には、中流域の
れき質の河川敷のほかに、下流域の泥質の河川敷や用水堰の上流に冬季に出現する広い面積の水底も含まれる。
池沼・湿原に侵入した種の中で危険度が[5]の種は、オオフサモ(アリノトウグサ科)以下3種、[4]の種
はミズヒマワリ(キク科)以下3種、[3]の種はホソバヒメミソハギ(ミソハギ科)以下3種、[2]の種はス
イレン科のハゴロモモ(フサジュンサイ)1種である。ミズヒマワリやオオカワヂシャ(ゴマノハグサ科)、ボタ
ンウキクサ(サトイモ科)など、具体的な影響が未知で低く評価されている種がある。
落葉樹林に侵入した種の中で危険度が[5]の種はモウソウチク(イネ科)とシュロ(ヤシ科)の2種、[4]
の種はマタタビ科のオニマタタビ(キウイ)以下5種、[3]の種はツルドクダミ(タデ科)以下9種、[2]の
種はセンダン科のセンダン1種である。常緑の栽培植物が周囲の落葉樹林に侵入しているケースや、園芸植物か
ら種子が運ばれて野外で芽生え、生長するものが多い。
林縁に侵入した種はいずれも危険度が[3]で、ヤマゴボウ科のヨウシュヤマゴボウ以下3種である。厳密な
意味での帯状の林縁部に限らず、林近くの草原や林内の明るい場所も含めて生育立地としている。
路傍等に侵入した種の中で危険度が[5]の種はワルナスビ(ナス科)以下5種、[4]の種はゴウシュウアリ
タソウ(アカザ科)以下9種、[3]の種はオランダミミナグサ(ナデシコ科)以下25種、[2]の種はヨーロッ
パタイトゴメ(ベンケイソウ科)以下5種である。本県在来の植物を駆逐する場合のほかに、有史以前の史前帰
化植物や先に定着した外来植物を駆逐し交代する場合も見られる。また屋上緑化などに伴って近年導入され、未
だ都市の空間に留まっている種や、繁殖力が極めて強いものの自然植生地への侵入が確認されていない種も含ま
れている。
危険度
河川敷
池沼・湿地
落葉樹林
林縁
路傍等
合 計
5
55
5
8
3
2
5
18
4
44
4
8
3
5
9
25
3
33
3
6
3
9
3
25
46
2
22
2
2
1
1
5
9
合 計
24
10
17
3
44
98
以下に、在来の植生に悪影響を及ぼすおそれのある侵入的外来植物の一覧と、それぞれの種の侵入状況につい
て示す。
一覧表中「日本のワースト100」の欄は、日本生態学会が選定した日本の侵略的外来種ワースト100に選定され
ている種を「■」で示したものである。表右端の「新版分布」と「旧版分布」の欄の数字は、それぞれ「1998年
版埼玉県植物誌」および昭和37年発行の「埼玉県植物誌」で示された秩父以下、県内9郡市における分布状況を
郡市数で示したもので、35年あまりの間にそれぞれの種がどれだか分布を拡大したかの証拠となるものである。
新版分布が[0]となっているものは、新版植物誌編集時点では未だ確実に野外での定着を確認できていなか
ったか、もしくは新版植物誌発行以降に侵入が確認された種である。
侵入した植 生のタイプ 科 名 和 名 危険度 侵 入 の 状 況 日本の ワース ト100 新 版 分 布 旧 版 分 布 マ メ 科 イタチハギ 5 北アメリカ原産。草地や崩壊地によく生える落葉小低木。 砂防工事、道路法面の崩落防止に植栽。種子を多量につ け、河川沿いに分布を拡大。砂礫地に侵入して、川原の 在来植生を駆逐する。 ■ 7 0 マ メ 科 ハリエンジュ(ニセア カシア) 5 各地の山野や山の崩壊跡地に生える落葉高木。斜面の崩 壊防止や法面の緑化のほか、街路樹にも使われる。種子 を多量につけ、河川沿いに分布を拡大。砂礫地に侵入し て、川原の在来植生を駆逐する。 ■ 9 9 ウ リ 科 アレチウリ 5 北米原産。1952年静岡県で記載。荒れ地に生える1年生 のつる草。河川敷や土手に侵入し、つるを伸ばして草本 群落を覆い尽くす。槻川の上流部では比較的早くから見 られた。 ■ 9 0 キ ク 科 オオオナモミ 5 メキシコ原産。河原、路傍、空き地やごみ捨ての場所付 近などのやや富栄養地によく生える。元荒川や古利根川 の堰では、水を落とした後の水底面に大群落が現れ、キ タミソウの生育地を狭めている。 ■ 9 1 キ ク 科 オオブタクサ 5 北米原産。河川敷や路傍、荒れ地などの肥沃なやや湿っ た土地に生える。休耕畑や路傍・川原に大群落をつくり、 ヨシやスゲ類をはじめとする湿性草原の植物全般を駆逐 する勢いである。 ■ 9 0 河 川 敷 キ ク 科 セイタカアワダチソウ 5 北米原産。土手、荒れ地、やや湿り気のある草地や河原 などに群落をつくる。地下茎で繁殖し、高茎の密生した 群落により在来種を駆逐する。県内各地の川沿いで群落 が観察される。 ■ 9 1 イ ネ 科 オニウシノケグサ 5 ユーラシア原産で1987年頃全国に帰化。県内全域の路傍 ・河川敷にごく普通。斜面の法面緑化や砂防にも利用さ れる。路傍や川原・土手に侵入し、在来の植物を駆逐す る。別名:クリーピングレッドフェスク。 ■ 9 0 イ ネ 科 シナダレスズメガヤ 5 道路の法面や崩壊地などに砂防用として植えられる。川 原に侵入して安定した大株をつくり、砂州の植生遷移を 促す。遷移の結果、川原の在来植生は大幅に後退を余儀 なくされる。安定した川原に侵入してくるのは、イタチ ハギやハリエンジュ・アレチウリなどの外来植物である。 別名:ウィーピングラブグラス。 ■ 9 0 バ ラ 科 コバナキジムシロ 4 中国、北朝鮮原産の荒地に生える1~2年草。河川沿い に分布範囲を広げ、用水堰の水底に春先に出現する季節 草原で、キタミソウと競合し駆逐する。 8 0 キ ク 科 アメリカセンダングサ 4 北米原産。湿り気のある荒れ地、溝や川岸などに生える。 休耕畑など富栄養な土地では、しばしば大群落をつくる。 9 9 キ ク 科 オオアレチノギク 4 道端や荒れ地、都市近郊の造成地、放棄畑などにヒメム カシヨモギなどと混じり生える。県内各地の荒れ地に普 通で、川原ではカワラヨモギやカワラハハコなどの多年 草と競合する。 ■ 9 9侵入した植 生のタイプ 科 名 和 名 危険度 侵 入 の 状 況 日本の ワース ト100 新 版 分 布 旧 版 分 布 キ ク 科 キクイモ 4 北米原産。空き地や道に生える。飼料やアルコールの原 料植物として導入され、栽培された。各地に帰化して、 路傍や川原に群落をつくり、在来の植物を駆逐する。 9 9 キ ク 科 ハルシャギク 4 北米西部原産の園芸植物で1年草~越年草。荒川や入間 川など県内河川の川原に、オオキンケイギクと共に逸出 する。オオキンケイギクの花が全体黄色に対し、本種は 花の中心部が紫褐色。川原の在来植物と競合する。 8 0 キ ク 科 ヒメムカシヨモギ 4 北米原産。荒れ地、道端、放棄畑、造成地などに生える。 特定な除草剤への抵抗性を獲得して、各地で増えている。 川原に侵入し、在来種と競合している。 9 9 キ ク 科 ヒロハホウキギク 4 アメリカ原産の帰化植物。ホウキギクと同様な所に生え、 両者が混生することが多い。川原や造成地・休耕畑に侵 入し、在来の植物と競合する。 8 0 イ ネ 科 カモガヤ 4 ユーラシア原産の牧草、斜面の法面緑化や砂防にも利用 される。全国的に帰化が進み、県内全域に普通。路傍や 川原・土手に侵入し、在来の植物と競合する。別名:オ ーチャードグラス。 ■ 9 0 タ デ 科 エゾノギシギシ 3 ユーラシア原産の多年草で、1900年頃から全国に広まっ たという。県内各地の荒れ地に普通で、川原ではカワラ ヨモギやカワラハハコなどの多年草と競合する。 9 3 河 川 敷 ア オ イ 科 イチビ 3 インド原産の1年草で、古く中国から伝来し、929~930 年の記録に名前がある。暖地では畑の強力な雑草で、県 内でも川原などに突然群落が発生することがあり、注意 を要する。 ■ 8 0 ア カ バ ナ 科 メマツヨイグサ 3 北米原産の越年草。本県では道端・荒地などに生える。 河川敷の1年生草本群落に侵入し、川原の1年生草本を 駆逐する。 9 3 ゴ マ ノ ハ グ サ 科 ビロードモウズイカ 3 ヨーロッパ原産の帰化植物で、渡来したのは明治初年と いわれている。観賞用に栽培されていたが各地で野生化 している。川原や路傍に侵入し大型のロゼットをつくる。 開花まで何年もロゼットで過ごすが、開花すると大量の 種子を散布し、枯れる。川原の在来植物と競合する。 8 0 キ ク 科 アメリカオニアザミ 3 欧州原産。都市近郊の路傍や歩道背後の草地などに生え る。侵入の初期は点在程度でも、急速に拡大するおそれ がある。 4 0 キ ク 科 オオキンケイギク 3 北米原産の園芸植物。河原や、やや乾きぎみのバイパス 中間帯などに生える。荒川や入間川の河川敷では、野生 化した個体があちこちで花を咲かせている。川原の在来 植生と競合する。 ■ 4 0 ナ デ シ コ 科 ムシトリナデシコ 2 ヨーロッパ原産の1年草、または2年草で、江戸時代の 末に伝来している。本県では観賞用に栽培され、道端、 河原、切り通しの斜面に逸出しているものを見る。 9 0 キ ク 科 オオアワダチソウ 2 北米原産の園芸植物で、逸出するがまだ少ない。セイタ カアワダチソウと同様な場所に、小群落をつくる。 ■ 9 1 アリノトウグサ科 オオフサモ 5 南ブラジル原産の池沼中に生える多年生水草。水槽で栽 培された個体が流出し、河川に沿ってワンドや池沼に分 布を拡大。密生した茎葉で水面を覆うだけでなく、茎を 水中に堆積して池沼を埋め尽くす。キタミソウやキクモ など岸辺に生育する小形植物と競合し、駆逐する。水質 浄化を目的に大規模に栽培される可能性があり、注意を 要する。商品名:バロットフェザー。 ■ 2 0 セ リ 科 オランダガラシ(クレ ソン) 5 水辺または水中に群生する多年草。ユーラシア原産で食 用に栽培されるが、逸出して各地に野生化している。水 辺に密な群落をつくり、在来の小形水辺植物を駆逐する。 8 0 ト チ カ ガ ミ 科 コカナダモ 5 アメリカ北東部原産。昭和初期に実験材料として渡来。 湖沼や河川・水路に大群落をつくり、在来の水草を駆逐 する。県内各地の湖沼や水路に普通。 ■ 9 0 池沼・湿 地 キ ク 科 ミズヒマワリ 4 水槽で栽培される水草。水質浄化を目的に野外で栽培さ れることもあり、逸出個体が河川沿いに分布を拡大、こ こ数年で急速に拡大する。湿地やワンドの在来植物を駆 逐するおそれがある。 0 0 ト チ カ ガ ミ 科 オオカナダモ 4 原産地は北米ともアルゼンチンともいわれる。大正中期 に実験材料として渡来。湖沼や河川・水路に大群落をつ くり、在来の水草を駆逐する。商品名:アナカリス。 ■ 6 0 ア ヤ メ 科 キショウブ 4 鑑賞目的で栽培される種であるが、根茎や種子により分 布を広げ、水辺でかなり一般的。場所によっては大群落 となり、在来の水辺の植生を圧迫する。 ■ 9 0 ミ ソ ハ ギ 科 ホソバヒメミソハギ 3 アメリカ大陸原産の毛のない1年草で、渡来の確認が 1952年に報告された。本県では低地の休耕田などの湿地 に見られる。ヒメミソハギの生育地に侵入し、競合して 駆逐するおそれがある。 9 0
侵入した植 生のタイプ 科 名 和 名 危険度 侵 入 の 状 況 日本の ワース ト100 新 版 分 布 旧 版 分 布 ゴ マ ノ ハ ク サ 科 オオカワヂシャ 3 ヨーロッパ~アジア原産の帰化植物。カワヂシャより大 型で、花の色も鮮やかな青紫、葉の色も濃いので一目で わかる。ほんの数cmの小さな個体でも花を着け、急速に 川沿いに分布を拡大している。カワヂシャと競合し、混 在する場所では雑種のできるかおそれがある。 4 0 池沼・湿 地 サ ト イ モ 科 ボタンウキクサ 3 熱帯原産の大形の浮草。水盆や水槽で栽培される。すで に県内でも越冬していると思われ、毎年同じ場所に群落 が見られるとの報告がある。重なり合って水面を覆い、 水中の水草を被陰する。商品名:ウォーターレタス。 ■ 2 0 ス イ レ ン 科 ハゴロモモ(フサジュ ンサイ) 2 水槽で栽培される水草。池に投げ込まれたものが増殖し、 在来の水草を圧迫している。別名:フサジュンサイ。商 品名:グリーンカボンバ。 2 1 イ ネ 科 モウソウチク 5 竹林が放置されて、栽培個体が周囲の植生に侵入。雑木 林や植林地で、被陰されて枯死する樹木が多くなる。 9 0 ヤ シ 科 シュロ 5 九州南部原産で、植栽されたものが県内全域の林中に逸 出している。根茎の土壌緊縛緑が強く、急傾斜地では意 識的に植えられたものもあると見られるが、多くは逸出 個体である。密生することはほとんど無いが、林床の草 本を被陰し生長を阻害する。 9 0 マ タ タ ビ 科 オニマタタビ(キウ イ) 4 果樹として植えられる落葉籐本。栽培個体から鳥によっ て種子が運ばれ、各地の雑木林で見かける。野外の個体 が種子をつけ始めると、急速に分布を拡大する危険があ る。 6 0 ニ ガ キ 科 ニワウルシ(シンジュ) 4 第二次世界大戦中に天蚕の飼料として栽培されていた。 種子が風に運ばれて、急速に分布を拡大。刈り取りに強 く、密生した群落で他の植物を被陰する。 9 0 モ ク セ イ 科 ウスギモクセイ 4 庭木として栽培される常緑低木。中国・インド原産で、 熊本以南に自生があるとされる。キンモクセイと異なり 種子をつけるため、鳥によって運ばれた種子が野外で発 芽し、近年雑木林などで頻繁に見られる。 0 0 キ ク 科 ベニバナボロギク 4 アフリカ原産の帰化植物。伐採跡地や路傍、崩壊地など に生える。都市近郊の雑木林が断片的になるにしたがい、 林縁から林内に徐々に侵入して、林床植物の生育立地を 奪う。 9 0 イ ネ 科 ヤダケ 4 武具の材料として昔から栽培されてきた。現在は利用せ ずに放置され、周囲の植生に侵入している。密生した群 落で在来の植生を駆逐する。 9 0 タ デ 科 ツルドクダミ 3 薬草として栽培されるつる植物。逸出したものが雑木林 や植林地で見られ、時に樹冠にまで達して樹木の生育を 阻害する。 6 0 落 葉 樹 林 バ ラ 科 シャリンバイ 3 道路沿いの植え込みに使われる常緑低木。房総半島など には自生するが、本県は分布範囲外。栽培個体から鳥に よって種子が運ばれ、道路沿いの雑木林で見かける。今 後急速に分布を拡大する危険がある。 0 0 バ ラ 科 トキワサンザシ(ピラ カンサ) 3 庭木や垣根に使われる常緑低木。野鳥の餌木として植え ることもある。栽培個体から鳥によって種子が運ばれ、 各地の雑木林で見かける。今後急速に分布を拡大する危 険がある。 0 0 ウ コ ギ 科 カクレミノ 3 観葉植物として栽培される。種子が鳥によって運ばれ、 暖地の落葉樹林で散見する。野外の個体が種子をつける ようになると分布を拡大し、被陰により林床の在来植物 を駆逐する。 5 0 ウ コ ギ 科 ヤツデ 3 庭木として栽培される。種子が鳥によって運ばれ、暖地 の落葉樹林でふつう。被陰により林床の在来植物を圧迫 する。 9 2 キ ク 科 ノボロギク 3 欧州原産の帰化植物。道端や畑に普通に見られる。都市 近郊の雑木林が断片的になるにしたがい、林縁から林内 に徐々に侵入して、林床植物の生育立地を奪う。 9 9 ツ ユ ク サ 科 ノハカタカラクサ 3 南米原産で昭和初年に渡来した斑入りの cv. Variegata シロフハカタカラクサが野生化し、その後斑が消失した もの。茎を連続的に伸ばし、分岐して周囲の在来種を覆 う。暗い場所でも生長し、茎から根を出して生育範囲を 拡大する。 4 0 イ ネ 科 オカメザサ 3 砂防や園芸目的で栽培される。徐々に周囲の植生に侵入 し、密生した群落で在来の植生を駆逐する。 8 0 イ ネ 科 クマザサ 3 砂防や園芸目的で栽培される。徐々に周囲の植生に侵入し、密生した群落で在来の植生を駆逐する。 9 0 セ ン ダ ン 科 センダン 2 四国・九州の海岸や山地に自生し、県内では植栽される 落葉高木。親木より散布された種子が周囲で芽生え、人 家近くの林縁で若木を見かける。生長が早いため、今後 急速に分布を拡大するものと思われる。注意が必要であ る。 9 0
侵入した植 生のタイプ 科 名 和 名 危険度 侵 入 の 状 況 日本の ワース ト100 新 版 分 布 旧 版 分 布 ヤ マ ゴ ボ ウ 科 ヨウシュヤマゴボウ 3 北アメリカ原産の大形の多年草で、明治の初めに渡来し た。休耕畑や林縁に普通で、山地の伐採跡地にも侵入す る。子供が色水遊びに使うが有毒植物。枝葉を広げて他 の植物を被陰する。 9 9 林 縁 ア ブ ラ ナ 科 ハルザキヤマガラシ 3 ヨーロッパ原産の帰化植物で多年草。1998年時点での県 内分布は県東部の利根川・江戸川流域と神泉村である。 神奈川県植物誌によれば、林道に沿ってかなり奥地でも 生育が確認されているとのことであり、本県でも今後急 速に分布を拡大するものと思われる。 ■ 4 0 ユ リ 科 オオアマナ 3 ヨーロッパ原産。鑑賞目的で栽培される。球根による繁 殖力が極めて強く、遺棄された個体に起源すると思われ る個体群が、林縁などで発見される。在来のカタクリや アマナの生育に影響する。園芸名:オーニソガラム 0 0 ナ ス 科 ワルナスビ 5 北アメリカ原産の帰化植物。明治の末に三里塚の牧場で 発見された。地下茎による繁殖が旺盛で、機械耕作によ り爆発的に増えた。路傍や休耕畑に群落をつくり、ムラ サキサギゴケなど在来の畑地雑草を駆逐する。 9 1 キ ク 科 セイヨウタンポポ 5 欧州原産。市街地周辺の路傍、空き地、土手などに普通 に生える。在来種のカントウタンポポとの交雑が起きて いて、雑種がカントウタンポポの生育地に侵入し、カン トウタンポポの生育を脅かしている。 ■ 9 2 イ ネ 科 イヌムギ 5 南米原産で明治初年に渡来。県内丘陵~低地の空き地・ 路傍にごく普通。土手に大群落をつくり、カモジグサや メヒシバが後退している。 9 0 イ ネ 科 セイバンモロコシ 5 アフリカ原産の帰化植物。1943年に千葉県で発見されて 以来、各地に広まる。県内の低地・台地の路傍・土手で 普通に見られる。大型の草で密生し、在来の植物を駆逐 する。 9 0 イ ネ 科 ネズミムギ 5 欧州原産の牧草で、県内全域の路傍・土手にごく普通。 斜面の法面緑化や砂防にも利用される。土手を一面に覆 い、在来の植物を駆逐する。別名:イタリアンライグラ ス。 9 0 ア カ ザ 科 ゴウシュウアリタソウ 4 オーストラリア原産の小形の1年草で、1933年と1938年 の標本があり、渡来はその頃とされている。本県では各 地の鉄道、道路、駐車場の周辺に生える。 8 5 ア ブ ラ ナ 科 カキネガラシ 4 荒地や路傍に生える1年草または越年草。ヨーロッパ~ 西アジア原産の帰化植物。土手に非常な勢いで侵入し、 在来の植生を駆逐している。 7 1 ア ブ ラ ナ 科 ショカツサイ(ハナダ イコン) 4 鑑賞目的で導入された種であるが、近年は土手や林縁で 大群落をつくっているのが見られる。スミレ類やアマナ などの在来植生を駆逐する。 9 0 路 傍 等 ア ブ ラ ナ 科 セイヨウカラシナ 4 クロガラシとアブラナ類の雑種起源と推定され、日本で も栽培されていたカラシナが逸出したものである。越年 草で、河川敷や堤防に大群落をつくり、在来の植物を駆 逐する。 9 0 カ タ バ ミ 科 ムラサキカタバミ 4 南米原産で文久年間(1816~63年)渡来。本県では秩父 以外の地域に広く分布する。耕地、路傍、民家の庭など 乾性で日当りの良い所に生える。 9 9 キ ク 科 ウラジロチチコグサ 4 南米原産。公園や庭、路傍などのやや乾いた所に生える。 ハハコグサの生育地に侵入し、競合して駆逐するおそれ がある。 9 0 キ ク 科 ハルジオン 4 北米原産。路傍、荒れ地、土手、畑など普通に生える。 特定な除草剤への抵抗性を獲得して、各地で増えている。 ■ 9 9 キ ク 科 ヒメジョオン 4 北米原産。路傍、荒れ地、土手、畑など普通に生える。 ■ 9 9 イ ネ 科 メリケンカルカヤ 4 県内の低地の草地・空き地などに帰化。北米南部~中米 原産。1940年頃から帰化が知られるようになった。路傍 雑草群落に侵入し、シバやエノコログサと競合している。 また雑木林にも侵入し、センブリの群落を駆逐している。 9 0 ナ デ シ コ 科 オランダミミナグサ 3 ヨーロッパ原産の2年草で、明治の末に渡来しているこ とが知られた。本県では低地から低山の田畑や道端のや や乾いた日当りに普通に見られる。在来のミミナグサと 競合し駆逐する。 9 9 ヒ ユ 科 ホソアオゲイトウ 3 南アメリカ原産の1年草で、昭和の初めには渡来して広 がっていたという。本県では低地から低山の畑、道端、 裸地に群生し、普通に見られる。 9 2 ケ シ 科 ナガミヒナゲシ 3 ヨーロッパ原産の帰化植物で1年草。路傍の景観植物(見 た目をきれいにするために植えられる草花のこと)とし て導入されたものが定着し、道路の分離帯や植え込みに 群落をつくる。 8 0
侵入した植 生のタイプ 科 名 和 名 危険度 侵 入 の 状 況 日本の ワース ト100 新 版 分 布 旧 版 分 布 ア ブ ラ ナ 科 セイヨウアブラナ 3 アブラナとキャベツの雑種起源で、世界で最も重要な油 料作物の一つ。遺伝子組み換え品種の導入で野外の逸出 個体と交雑が起き、除草剤耐性を持つ個体が野外に増え つつある。路傍や土手に群落をつくり、在来種を駆逐す る。 8 0 ベ ン ケ イ ソ ウ 科 ツルマンネングサ 3 屋上緑化などで栽培される多肉植物。アスファルトやセ メントの上でも密生した群落をつくる。現時点で自然植 生地からの発見の事例はないが、岩場などに侵入した場 合、在来植生を圧迫するおそれが大きい。 9 0 ミ カ ン 科 オオニシキソウ 3 北米原産の1年草。都会の近郊から農村に至るまで県内 一円に帰化している。路傍や荒れ地に普通で、在来の植 物と競合する。 9 9 ミ カ ン 科 コニシキソウ 3 北米原産の1年草。明治20年頃帰化し、全国至る所で見 られる。路傍や荒れ地に普通で、在来の植物と競合する。 9 9 ヒ ル ガ オ 科 マルバルコウソウ 3 中央アメリカ原産で、江戸時代の嘉永年間に伝来した。 本県では栽培して観賞するが、逸出したものを見る。路 傍や川原で繁茂し、在来の植物を覆う。 8 3 ク マ ツ ヅ ラ 科 アレチハナガサ 3 南アメリカ原産の多年草で、1957年頃には渡来したもの が採集されている。本県では河原や埋立て地に見られる が少ない。 4 0 ク マ ツ ヅ ラ 科 ヤナギハナガサ 3 南アメリカ原産の多年草で、渡来したことが1950年には 知られている。本県ではまれに栽培され、埋立て地など に逸出している。 5 0 シ ソ 科 ヒメオドリコソウ 3 ヨーロッパ、小アジア原産で、明治26年にはすでに報告 があり、現在は各地に広く帰化している越年草。路傍や 休耕畑に侵入し、在来のハナイバナやハハコグサを駆逐 する。 9 4 ゴ マ ノ ハ ク サ 科 アメリカアゼナ 3 北アメリカ原産の帰化植物。アゼナに似る。在来のアゼ ナと競合し、駆逐するおそれがある。 9 0 ゴ マ ノ ハ グ サ 科 オオイヌノフグリ 3 ヨーロッパ原産の帰化植物。明治20年に東京に帰化して いるのを発見された。道端や畑などにごく普通に見られ る。在来種のイヌノフグリと競合し駆逐する 。 9 9 ゴ マ ノ ハ グ サ 科 タチイヌノフグリ 3 ヨーロッパ原産で明治の初年に帰化した植物。路傍にご く普通に見られる1年草。 9 9 路 傍 等 オ オ バ コ 科 ヘラオオバコ 3 欧州原産の多年草で帰化植物。幕末に渡来し、全国的に 分布を拡大。在来のオオバコが踏跡植物なのに対し、本 種は路傍や土手の草原に生育する。 9 4 キ ク 科 アカミタンポポ 3 欧州原産。市街地の道路ぎわや空き地に多く生え、特に 県下では駅付近に最も多く見られる。日本在来のタンポ ポとの交雑が懸念される。 ■ 9 2 キ ク 科 アメリカタカサブロウ 3 在来種のタカサブロウによく似ているが、葉が細く、草 丈が高く、路傍など乾燥した環境でも生育するのが特徴。 水田に侵入すると、タカサブロウより厄介な雑草になる おそれがある。 0 0 キ ク 科 オニノゲシ 3 欧州原産。道端や荒れ地、土手などに普通に生える。在来のハルノノゲシと競合する。 9 9 キ ク 科 セイタカハハコグサ 3 北米・欧州・豪州・アジア中西部原産の帰化植物。最初 沖縄で発見されたという。ハハコグサより乾燥した場所 にも生育し、ハハコグサの生育地では雑種アイセイタカ ハハコグサをつくる。 0 0 キ ク 科 チチコグサモドキ 3 北米原産の帰化植物。畑、道端、空き地に普通に生える。 全株白い綿毛に被われる。ハハコグサの生育立地に侵入 して競合する。 9 0 キ ク 科 ハキダメギク 3 熱帯原産。道端や畑、ごみ捨て場など肥沃な所に生え、 群生することがある。小形の草なので、在来種への直接 的な影響は無いと思われるが、注意を要する。 9 7 キ ク 科 ブタナ 3 欧州原産。路傍草地に多く生える。河川敷のグランドな ど各地の草地で見られる。根元で分岐して茎が地面を這 う。生育形の似通ったナズナやジシバリと競合する。 9 0 キ ク 科 ホウキギク 3 北米原産。やや湿った路傍、荒れ地、休耕田などに生え る。丈の高い草で、イヌホタルイやコナギなどの丈の低 い草を被陰して、後退させる。 9 9 ユ リ 科 ハタケニラ 3 北米南部~中米原産の帰化植物。畑で栽培されるニラと 異なり “ニラ臭”はしない。ニラモドキ属Nothoscordum の植物で、誤解を招く名称である。現時点の記録は少な いが、今後急速に増えるものと思われる。 0 0 イ ネ 科 カラスムギ 3 県内丘陵・低地の土手や路傍に生える帰化種。路傍や土 手の草原に侵入し、在来のイチゴツナギと競合して駆逐 する。 9 0
侵入した植 生のタイプ 科 名 和 名 危険度 侵 入 の 状 況 日本の ワース ト100 新 版 分 布 旧 版 分 布 ベ ン ケ イ ソ ウ 科 ヨーロッパタイトゴメ 2 欧州原産の栽培植物。屋上緑化で導入された種で、道路 のアスファルトやコンクリートの上でも、わずかな水分 があれば群落をつくる。ベンケイソウ属の属名セダム (Sedam)の名で多くの種が導入され、近縁種との見分け が難しくなっている。多肉植物のセダムは呼吸による水 分蒸散が少なく、ヒートアイランド現象の改善にはあま り役立たないと思われる。 0 0 ベ ン ケ イ ソ ウ 科 ヨーロッパタイトゴメ 2 屋上緑化などで栽培される多肉植物。アスファルトやセ メントの上でも密生した群落をつくる。現時点で自然植 生地からの発見の事例はないが、岩場などに侵入した場 合、在来植生を圧迫するおそれが大きい。 0 0 路 傍 等 フ ウ ロ ソ ウ 科 アメリカフウロ 2 北米原産で昭和の初めに京都で見つかった。県内に広く 分布。路傍や河川敷・休耕畑に群落をつくり、ゲンノシ ョウコやツルヨシの生育地に侵入して、在来種を駆逐す る。 9 2 フ ウ ロ ソ ウ 科 オランダフウロ 2 ヨーロッパ・北アメリカ・シベリア地方原産。江戸末期 に渡来。暖温帯の落葉樹林、草地や畜産農家の周辺に見 られる。路傍雑草群落に侵入し、ナズナ・ジシバリ・キ ュウリグサを駆逐する。 2 1 ユ リ 科 シンテッポウユリ 2 鑑賞目的に栽培される多年草。屋根の上や歩道のブロッ クの間でも生育する強靱な植物。街中では見かけるが、 現時点で自然植生地からの発見の事例はない。岩場や砂 礫地に侵入した場合、在来植生を圧迫するおそれが大き い。 0 0