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女子青年の摂食障害傾向とストレス対処 -調査法及びロールシャッハ法からの検討- [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)女子青年の摂食障害傾向とストレス対処 −調査法及びロールシャッハ法からの検討− キーワード:女子青年,摂食障害傾向,ストレス対処,ロールシャッハ法. 人間共生システム専攻 鈴木 慶子 問題と目的. 摂食障害は女性性受容や母子関係の観点から考察されるこ. 青年期の発達課題の一つに、性同一性形成がある。仕事や. とが多く、ストレス対処との関連を検討したものは少ない。結果. 学業など男性性が求められる現代社会において、性同一性の. にも一貫性はなく、岡本ら(2005)は、EAT(Eating Attitudes. 獲得は、特に女子青年にとって葛藤が生じやすく(伊藤、. Test)と情緒優先対処の間に正の相関が、課題優先対処との. 1995) 、自尊感情の低下や不安定な自己像を抱きやすい傾向. 間に負の相関が見られたと報告し、菊池ら(2005)はコーピング. がある( 鈴木・ 高橋,2005) 。また、このような葛藤が関連した精. の高低によって摂食障害傾向に差はなかったと報告している。. 神疾患の一つとして、摂食障害があげられる。. また、量的な研究はなされてきているものの、質的な検討はほ. 摂食障害は近年、広範化していると言われる。重症化につ. とんどされていない。摂食障害とストレス対処との関連につい. いては、人格障害との合併が指摘され(久野、1998)、自己破. ては、さらに研究を重ねる必要性があると思われる。. 壊的行為や反社会的行為を繰り返す者、対人関係の不安定性. 本研究では、健常群の食行動の偏りを摂食障害傾向とし、. により、社会適応困難となっている者もしばしば認められる( 松. 女子青年のストレス対処法に注目し、どのような対処法が摂食. 永・ 切池、1997) 。一方、軽症化としては、病理と呼べないまで. 障害傾向と関連が強いのかを検討する。また、どのような状況. も、食行動の問題を抱える摂食障害予備軍は多いとされ、一般. で、なぜ「食べる」行動が選ばれるのかという点も合わせて面. 女性を対象とした研究も多い(大森、2005;岡本ら、2005)。三. 接法を用いて質的に検討する。さらに、無意識的な側面からも. 井( 2005) の調査では、対象の女子大学生の 3 分の1が中度・. 理解する試みとして、ロールシャッハ法を用い、探索的に検討. 重度の障害群に属し、摂食行動障害は多くの学生が抱いてい. する。特に、口唇期的特徴、衝動性、図版の刺激というストレス. る問題であることが示唆された。また、パーソナリティ特徴を検. 状況にどのように対処しているか、ブロットと記憶像とのくい違. 討したところ、臨床群に近い傾向を持ちながらも、外向性・ 調和. いに対し、どのように対処するかという点に注目する。. 性は臨床群程低くなく、適度に集団を好み、他者に協力的で ある傾向が示された。このような特徴を理解することで、ピアサ. 第一研究. ポートグループの利用などを介入として行うなどの有効な援助. 1.目的: 女子青年の摂食障害傾向とストレス対処の関連を質. 法の提案ができると思われる。このように、一般青年の理解を. 問紙を用いて検討すること。. 深めることも、治療・ 予防的観点から有益であると考えられる。. 《 仮説1》 摂食障害傾向が高い群は低い群より、回避的な対処. ところで、通常の食行動が乱れるのは、どういう時であろうか。. ( 「 放棄・諦め」 「責任転嫁」 「回避的思考」 「気晴らし」) をとりや. 林( 1989) は、摂食障害発症のきっかけとして、一人暮らしのス. すい。. トレス、大学不適応、進路問題、家族関係などをあげ、誰にで. 《 仮説2》 摂食障害傾向が低い群は高い群より問題焦点的で積. も起こりうる変化やストレスも発症につながりうると指摘した。ま. 極的な対処( 「 情報収集」 「 計画立案」 ) をとりやすい。. た、イライラや心配事などの否定的感情が過食傾向に結びつ. 2.方法. きやすく( 島井ら、2000) 、男性に比べ女性は悩みがあるときに、. 大学生・ 大学院生の女子青年 209 名。平均年齢 1) 調査対象:. 食べる行動で対処しやすいことも明らかにされている( 熊井ら、. 20.22 歳( SD=1.41). 2003)。しかし、これは逃避的対処でありストレス源となる問題. 2)調査内容:①摂食障害症状評価尺度(SRSED)(永田ら、. の解決に失敗しやすく、ストレスが慢性化しやすいと思われる。. 1990) 28 項目、4 件法。「 肥満恐怖」 「 過食と食事による生活支. ストレスへの対処として「 食べる」 行為が選ばれることは珍しい. 配」 「 食べることへの圧力」 「 嘔吐/下剤」 の 4 因子。スクリーニン. ことではなく、極端な食行動異常でなければ、ストレスを和らげ. グテストとしても有用とされる。②3 次元モデルにもとづく対処. る適応的な防衛であるとも言える。では、なぜそれが適応的で. 方略尺度( TAC- 24) ( 神村ら、1995) 24 項目5件法。分類の次. あるか不適応的かに分かれるのだろうか。. 元として「接近(E)−回避(A)軸」「問題焦点(P)−情動焦点. 1.

(2) ( A) 軸」 「 認知( C) −行動( B) 軸」 があり、「 情報収集( EPB) 」 「 放. があるといえる。 T ab le 3 SRSED の H − L群 に お け る対 処 方 略 尺 度 の t検 定 L群 H群 t値 群 間 比 較 情 報 収 集 ・計 画 立 案 19.9 19.9 .058 n. s (4.5) (5.2) 放 棄 ・諦 め ・責 任 転 嫁 12.6 14.1 2.612 L < H p < .01 (4.1) (3.7) 肯 定 的 解 釈 10.8 10.9 .379 n. s (2.6) (2.3) カ タル シ ス 11.5 11.2 .754 n. s (2.5) (3.0) 回 避 的 思 考 8.3 7.7 1.494 n. s (2.6) (2.8) 気 晴 らし 9.7 10.3 1.179 n. s (3.0) (2.8) 上 段 は 平 均 値 、下 段 ()は 標 準 偏 差. 棄・ 諦め( APC) 」 「 肯定的解釈( EEC) 」 「 計画立案( EPC) 」 「 回避 的思考( AEC) 」 「 気晴らし( AEB) 」 「 カタルシス( EEB) 」 「 責任転 嫁( APB) 」 の8因子。 3.結果と考察 1) SRSED の因子分析とスクリーニング SRSEDの因子分析をおこなった( 主因子法、バリマックス回 転) 。項目の因子構造は永田( 1990) とほぼ同じであったため、 因子名は同じものを採用し、24 項目とした。また、スクリーニン グのため「 過食と食事による生活支配」 「 食べることへの圧力」. また、ネガティブな情緒を回避する行動や認知である「 回避. の 12 項目の単純合計和を算出し、23 点以上の者を摂食障害. 的思考」 「 気晴らし」 にも両群間に差が見られず、仮説は支持さ. 傾向群として抽出したところ、209 名中 67 名( 32.1%) が該当し. れなかった。回避的な対処は問題解決につながらず、不適応. た。これは、女子大学生の約3分の1がEATによる摂食行動障. 的とされるが、ある意味では問題と距離をとり、冷静さを取り戻. 害の中度・重度障害群に属していたという三井(2003) の結果. すために適応的であるとも思われる。回避的であっても、問題. に類似するものであり、女子大学生の広範に渡って摂食行動. と距離をとり、気持ちを落ち着けるといった方向性であれば、摂. の乱れが生じていることが示唆された。. 食障害傾向とは関連がないと考えられる。 一方、問題に積極的に関わる「 情報収集・ 計画立案」 は両群. Table1 SRSEDの項目例. 間に有意差がなく、仮説2は支持されなかった。これは、本研. 「過食と食事による生活支配」いやなときやつらいとき、たくさん食べてしまいますか 「肥満恐怖」. 体重が増えすぎるのではないかと心配をしますか. 「嘔吐」. 食後、嘔吐したい衝動にかられますか. 「食への圧力」. みんなが少しでも多くあなたに食べさせようとしていますか. 究の被験者が日常の学生生活を送れている大学生であり、あ る程度自分の力でストレスに対処する力を備えていることが推. 2) TAC- 24 の因子分析. 測される。また、状況によって異なる対処を用いるとすれば、あ. TAC- 24の因子分析を行った( 主因子法、直接 Oblimin回転) 。. る状況では両群が同じように「 情報収集・ 計画立案」 を行い、他. その結果、「 情報収集( EPB) 」 と「 計画立案( EPC) 」 、「 放棄・ 諦. のある状況では、H 群が L 群より問題を「 放棄・ 諦め・ 責任転. め( APC) 」 と「 責任転嫁( APB) 」 がそれぞれ1つの因子にまとま. 嫁」 をしやすいと思われる。つまり、H群がL群より回避しやす. った。その他の因子は神村( 1990) と一致した。ストレス対処に. い状況があると考えられる。今後、H群がどのようなストレス状. おいて、問題に積極的に関わって対処する場合や、問題を回. 況を回避しやすいのか詳細に検討する必要があるだろう。. 避して対処する場合、その焦点が行動か認知かは明確に分け. また本研究では、「 カタルシス」 が他の項目に比べ相対的に. られず、連続的もしくは同時に行われている可能性が示唆され. 高い値を示し、女子青年がこのような対処をしばしば選択して. た。よって、本研究ではTAC- 24を6因子として以降検討する。. いると思われた。TAC- 24の「 カタルシス」 は、話をきいてもらう、 愚痴をこぼすなど他者が必要な対処である。本研究の女子青. Table2 TAC-24の項目例 「情報収集・計画立案」. 詳しい人から自分に必要な情報を収集する. 「放棄・諦め・責任転嫁」. 自分には手に負えないと考え放棄する. 「肯定的解釈」. 悪いことばかりではないだろうと楽観的に考える. 「カタルシス」. 誰かに話を聞いてもらい気を静めようとする. 「回避的思考」. そのことをあまり考えないようにする. 「気晴らし」. 友達とおしゃべりをしたり好物を食べたりする. 年は、精神的に辛い状況に遭遇した時に、他者を必要とし、言 語化によって対処することがうかがわれた。摂食障害患者はア レキシサイミア傾向が高く、感情の同定や言語による表出が困 難である( 山口ら、2004) と言われるが、本研究では H 群もある. 3) 摂食障害傾向とストレス対処の関連について. 程度言語化することによって、ストレス状況に対処していた。こ. SRSED のカットオフポイント23 点以上であった 67 名を摂食. のことは、臨床群と健常群との相違であると考えられ、摂食障. 障害傾向 High群( 以下 H 群) 、22点以下の 142人を摂食障害. 害に至ることを抑止する要因のひとつになっている可能性が推. 傾向 Low 群、( 以下 L 群) とした。また、TAC−24の下位尺度. 察される。. における項目の合計得点を下位尺度得点とした。摂食障害傾 向 2 群を独立変数、TAC−24の下位尺度得点を従属変数とし. 第二研究. て、t 検定を行った。その結果、「 放棄・ 諦め・ 責任転嫁」 因子に. 1.目的: 摂食障害傾向H群、L 群のストレス対処の特徴を半構. のみ有意差がみられ、仮説1の一部は支持された。H群はL 群. 造化面接によって調査し、検討すること。. に比べ、問題に対して回避的な行動や認知をとりやすい傾向. 2.

(3) 2.方法 1) 調査対象: 第一研究の被験者から協力が得られた18名。H 群6名、L 群12名。平均年齢 21.38 歳。 ①「 精神的につらい状況に遭遇したとき、その場 2) 調査内容: を乗り越え、落ち着くために、あなたは普段からどのように考え、 どのように行動にするようにしていますか。思いつくだけ挙げ てください」 と教示し、挙げられたそれぞれの項目に対し、②ど のような状況・場面でそうする(考える)のか、③そう行動する ( 考える) のはなぜか、④そうしたこと( 考えたこと) で、もとの気 持ちはどう変化するか、もしくは変化しないかを尋ねた。 3.結果と考察 1) 全体的傾向 多数の対象者が挙げたのは、「他者に話す」こと(12 名)、 「 食べる」 こと( 7名) 、「 寝る」 こと( 6 名) であった。 2) 「 食べる」 対処について 「 食べる」 という行動を挙げたのは、H群で 6 名中 3 名( 50.0%) 、 L群で 12 名中 4 名( 33.3%) であった。 Low群. 考 えたくない時 →回避的. 悩みを 消化したい 時→積極的. 人 に話せないこ との時→重 大な悩み. 深い悩 みではない 時→軽いスト レス. 気持ち 開き直る。 前向きに考えられるようにな る。. 嫌だった気持ちはそのままだ が、言ったことで辛い気持ちは 減る。 すっきりする。 すっきりする。気持ちが分かっ てもらえて安心する。 変化しないこともあるが、少し 前向きに。やるしかないと開き 直りの気持ちになる。 一番気持ちが変化する。そうい う意見もあるんだと思って解決 することも多い。 自分の気づかなかったこと、自 分だけじゃ狭かったことを気づ かされる、気分は楽になる。 話すだけで身が軽くなる。すっ きりはしなくても、前向きに考 えられるようになる。 なくなる。 された場合はすっきり、忘れ る。してしまった場合は前向き に、次どうすべきかの方向に変 すっきり。明日からどうすれば いいか、自分は何がきつかった か分かる。. 「 話す」 対処が選ばれやすい状況は、H群もL群も対人関係. Table4 食べる対処が 選ばれる状況 High群. Table5 話す対処の概要 状況 理由 H 友達のぐちなど話せる すっきりするから。 群 範囲 悩みを、自分で解決し 自分で思いつかない考え たいけど、一人は不安 を聞いたり、自分の考え なとき。 に同意や反論をもらい再 検討するため。 突発的に嫌なことが起 共感して、慰めて欲し こったとき い。人に言って発散した 方が早い。 具体的に話を聞いても ぐちを言ってすっきりし らいたいとき。 たい、人に肯定された L 人間関係でうまくいか 言えなかったことを言え 群 ないとき。 た感じになる。自分の気 持ちを分かってほしい。 学校、研究、バイトの 口に出すと整理できる ことでうまくいかない し、アドバイスがもらえ とき。 たり、慰めてもらった り、自分の状況を把握・ 自分の意見がまとまら 1人だと偏った考えになる ず、どうしたらいいか し、他者の意見を聞き、 違う考えが浮かぶかもし 分からなくなったと れない。 き。 自分で考えても答えが 自分を受け止めてくれる 姿を見て安心。自分の中 でらず、分からなく でも考えがまとまってい なったとき くから。 重大なことで自分でも 口に出すと考えがまとま 少しは考えをもってい る、自分が考え付かな ること。 かったことを教えてもら 家族といざこざがあっ 気持ちを落ち着け、整理 たとき。 をつけ元通りになる。 人に傷つけられたり、 自分の判断では不安。 自分がひどいことをし てしまったとき。 幼稚なことを大学にも 一人だと溜め込んで身体 なって、されたとき。 がおかしくなる。外にだ さないと分かってもらえ ないから。. のことが主であり、H群は「 話せる範囲」と、限られた状況で他 者を必要としていた。L群は、対人関係以外にも、学校や進路、. 嫌 なことから逃 れられない とき→先にい い思いをす嫌だけ ど取り組ん でいる時→ご 褒美. 自分では手に負えない問題についても他者を必要としていた。. H群が回避的であるのに対し、L群は食べながら考えるとい う積極的な行動も同時に行っていた。また、H群が人に話せな. 特徴的であったのは、この対処が選ばれる理由であった。H群. い悩みであるのに対し、L群では軽いストレス状況であった。H. は「 すっきりしたい」 、「 発散」 など感情を収める手段として用い. 群では先にいい思いをするという目的で食べているのに対し、. る人が多かった。L群ではH群同様、「 気持ちを落ち着ける」 、. L群では、ご褒美としておいしいものを食べていた。. 「 安心する」 と情緒的なサポートを求めているが、加えて、「 考え を整理」、「違う角度から見れる」とストレス状況を引き起こした. 食べる対処が選ばれる理由としては、全体的に「 好きなこと」 「幸せ」と、食べることに対するポジティブな感情から起こって. 問題に対しても主体的に関わっている者が多く見られた。最後. いた。H 群は「 忘れられる」 、「 気を紛らわす」 とストレス状況との. に、元々の気持ちの変化については、両群共に「 すっきり」 「 前. 直面化を避ける者が多く、質問紙で回避的な対処をとりやすい. 向き」 と肯定的な変化をしていた。つまり、「 人に話す」 という対. という結果と一致していた。L 群は「 落ち着く」 、「 発散方法」 とネ. 処行動は両群に多く用いられており、感情面では両群肯定的. ガティブな感情を緩和、解消するために行う者が多かった。. な変化の期待できる対処であるが、その対処を選択する目的. 気持ちの変化については、先述した、ストレス状況との直面. や理由として、L群の方がより建設的な問題解決を思考してい. 化を避けた場合は、「 結局変わらない」 、「 逃れられない」 と変化. ると言えるだろう。このように、行動のみではなく、なぜその行. しないことが多い傾向があった。一方、ネガティブな感情を緩. 動をとるのかという視点も重要であることが示唆された。. 和、解消するために行う場合は、「 すっきり」 、「 リフレッシュ」な どもともとのネガティブな感情は変化していた。特に、これらは. 第三研究. 食べながらも、ストレス状況に立ち向かっていたり、ストレスの. 1.目的: 摂食障害傾向とストレス対処の無意識的側面の理解、. 源が小さいなど、もともとの状況にも相違があったためではな. および対処行動としてのロールシャッハ法の特徴を探索的に. いかと考えられる。. 検討すること。 2.方法: 調査対象は第二研究と同じ。ロールシャッハ法( 名古. 3) 「 話をする」 対処について. 屋大学式技法) を筆者が個別に施行した。. 「 話す」 対処は、H群で6名中 4名( 66.6%) 、L群で12名中 8名. 3.結果と考察. ( 66.6%) と同じ割合であった。. 1) 量的分析: 主なロールシャッハスコアの各群における平均値. 3.

(4) について、マン・ ホイットニーの U 検定を行ったところ、量的変. るなど積極的に問題解決に向かっていることが示唆された。こ. 数において、両群間に有意差は見られなかった。. のように、同じ行動でもその意味や機能は異なるものであり、今. 2) 事例検討. 後はこれらの点を詳細に検討していく必要があると思われる。 また、ロールシャッハ法については、量的な差異は見出されな. 事例は個人情報であるため、割愛します。詳細は本文をご参. かったが、面接調査の内容と照らし合わせながら、何に刺激を. 照ください。. 受け、どのように対処するのか、その対処はうまく機能したかな どのプロセスを追うことができ、立体的な理解が得られた。今後. ・ L 群の事例 Mは SRSED 得点が非常に低い事例。. は、事例数を増やし、客観的な指標と合わせるなどして、さらに 検討していくことが望まれる。. 食べることへの圧力」 のみが非 ・ H群の事例 B は、SRSEDの「 常に高い事例。. ・ H 群の事例 C は、「食べることへの圧力」以外の3因子 は平均得点を上回っている事例。. まとめと今後の課題 本研究では、女子青年の摂食障害傾向とストレス対処の関連 を質問紙法、面接法、ロールシャッハ法を用いて様々な角度 から検討した。質問紙調査では、女性青年の多くに摂食行動 の障害や乱れが生じていること、H 群は L 群より問題に対し回 避的な認知や行動をとりやすいが、一方で適応的な対処を含 め、他の対処は同程度に行っていることが実証的に示された。 さらに、面接調査によって、同じ対処行動をとっていても、その 行動をとる状況や理由に質的な差が見られ、中でも H 群は食 べる行動をストレス状況を回避するために行い、L 群はネガテ ィブな感情を緩和させたり、落ち着かせたりするために行い、 食べながらもストレス状況に立ち向かう傾向があった。一方、話 す行動においては、H 群が情動の発散、解消のために行うの に対し、L 群は話すことによって考えをまとめ、新たな視点を得. 4.

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