(1)1
PPST 研究会は、統合失調症などの精神障害者の社会復帰・社会参加の促進を図ることを目的とし、
その達成のために新しい抗精神病薬療法が開く可能性を軸としつつ、 心理社会的治療法として
認知行動療法(SST)、心理教育、ケースマネジメント、患者さんや家族のニーズ研究等を取り上げ、
それらの統合的な実践方法についてのセミナーや研究会を開催する活動をしています。
■PPST 研究会 セミナー開催報告
1. 北陸ブロック(金沢)
平成 27 年 9 月 4 日(金)
2. 全国セミナー(福岡)
平成 27 年 9 月 13 日(日)
3. 東海ブロック(名古屋)
平成 27 年 9 月 17 日(木)
4. 九州ブロック(福岡)
平成 27 年 9 月 17 日(木)
5. 関東ブロック(群馬)
平成 27 年 10 月 16 日(金)
6. 甲信越ブロック(新潟)
平成 27 年 10 月 23 日(金)
7. 東北ブロック(山形)
平成 27 年 10 月 31 日(土)
8. 九州ブロック(佐賀)
平成 27 年 11 月 18 日(水)
9. 北海道ブロック(札幌)
平成 27 年 12 月 10 日(木)
10.四国ブロック(徳島)
平成 28 年 1 月 16 日(土)
11.中国ブロック(岡山)
平成 28 年 2 月 19 日(金)
12.近畿ブロック(和歌山)
平成 28 年 3 月 5 日(土)
13.サテライトシンポジウム(群馬)
平成 28 年 3 月 25 日(金)
14.九州ブロック(福岡)
平成 28 年 6 月 17 日(金)
一般社団法人
社会復帰・社会参加のための薬物
・ 心理社会的治療(PPST)研究会
ニューズレター第 19 号
発行:平成 28 年 9 月 30 日
編集主幹:加瀬 昭彦(横浜舞岡病院 院長)
PPST 研究会事務局:福岡市博多区博多駅前 3-16-13-1 由布ビル
同 事務局代行:東京都千代田区三番町 2 三番町 KS ビル
(株)コンベンションリンケージ内
Tel:03-3263-8697 Fax:03-3263-8687
E-mail:
[email protected]
URL:http://www.secretariat.ne.jp/PPST/
SOCIETY FOR STUDY OF
PHARMACO-PSYCHOSOCIAL
TREATMENT
Sep. 2016 Vol.19
CONTENTS
(2)2
名称:第 15 回北陸 PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 9 月 4 日(金)
会場:金沢都ホテル
コーディネーター:山口 成良先生(松原病院 名誉院
長・金沢大学 名誉教授)
■開会挨拶:山口 成良先生
■講演 1
『内因性精神疾患の病態および薬物治療の
作用機序に関する一作業仮説の提案』
座長:川﨑 康弘先生(金沢医科大学 精神神
経科学講座 主任教授)
講師:小俣 直人先生(福井大学医学部 病態
制御医学講座 精神医学領域 講師)
■講演 2
『統合失調症の認知行動療法』
座長:和田 有司先生(福井大学医学部 病態
制御医学講座 精神医学領域 教授)
講師:原田 誠一先生(原田メンタルクリニッ
ク 院長)
■閉会挨拶:鈴木 道雄先生(富山大学大学
院医学薬学研究部 神経精神医学講座 教授)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
後援:富山県精神科医会/石川県神経科精
神科医会/福井県神経科精神科医会
講演会開催の意図、取り組み
北陸 PPST 研究会は、北陸 3 県の 4 大学の
精神科の教授と名誉教授とが幹事となって
幹事会を開き、毎年の PPST 研究会の企画を
ねり、それに富山県精神科医会、石川県神
経科精神科医会、福井県神経科精神科医会
が後援しているものである。
PPST 研究会として講演会を開催し、講演
会の演者は北陸から 1 名、全国から 1 名と
している。北陸からの 1 名は、毎年北陸 3
県(富山県、石川県、福井県)の各県持ち
回りとしている。
講演会開催の意図は、統合失調症・気分
障害などの精神障害者の社会復帰の促進を
図ることを目的として、向精神薬療法を軸
としつつ、心理社会的治療との統合を考え
る研究会の趣旨の普及を意図している。
今回の講演会開催の工夫
今回の研究会セミナー担当の福井県の幹
事である和田有司先生が企画して、内因性
精神疾患の薬物治療の作用機序に関する研
究と統合失調症の認知行動療法の理解に焦
点をあてた。北陸の講師として福井大学医
学部病態制御医学講座精神医学領域講師の
小俣直人先生が、「内因性精神疾患の病態
および薬物治療の作用機序に関する一作業
仮説の提案」と題して、これまでに提唱さ
れてきた内因性精神疾患の病態仮説と、新
しく動物実験の結果から気分障害の病態に
関する仮説を提唱された。全国からの講師
として、原田メンタルクリニック院長の原
田誠一先生が、「統合失調症の心理教育と
認知行動療法」と題して、幻覚妄想症状に
対する心理教育・認知行動療法について講
演された。いずれの講演も PPST 研究会の趣
旨を本格的に実践する新企画であった。
終了後の感想と次回へのアイデア
参加者は 76 名と多数の参加者があった。
講演 1 の小俣先生は、これまでに提唱され
た内因性精神疾患の病態仮説を総覧したあ
と、亜鉛欠乏や社会的孤立の動物実験の結
果を述べ、神経可塑性の障害という観点か
ら、躁はうつの延長線上に位置するという
仮説を提案し、参加者から多くの質問を喚
起した。講演 2 の原田先生は、統合失調症
の心理教育・認知行動療法を紹介し、具体
的に幻覚・妄想症状に対する治療方法を概
説した。この療法に対しても、実際の実施
方法について多数の質問があった。いずれ
の講演も、PPST に新生面を開き、有益な講
演会であった。
講演会の前に、北陸 PPST 研究会の幹事会
を開き、平成 28 年度(第 16 回)は北陸か
らの演者として石川県が担当し、全国から
の演者の候補者も考えることとなった。担
当幹事は金沢医科大学精神科神経科講座の
川崎康弘教授である。開催日は平成 28 年 9
月 2 日(金)と第一候補として、金沢で開
1.北陸ブロック(金沢)
(3)3
催することを予定している。
今後の PPST 研究会の活動への期待
今後、統合失調症や気分障害などに罹患
している精神障害者の社会復帰の促進をは
かるために、精神障害者に対する偏見がま
だみられる北陸では、PPST 研究会の地道な
実践・普及活動が是非必要であると痛感す
る。
報告:山口 成良
名称:全国 PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 9 月 13 日(日)
会場:TKP ガーデンシティ博多
コーディネーター:堀井 茂男先生(公益財団法人慈
圭会 慈圭病院)
座長:堀井 茂男先生
福田 正人先生
(群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学)
■演題1
『統合失調症治療ゴールとしてのリカバリ
ー』
講師:岩田 仲生先生(藤田保健衛生大学医学
部精神神経学講座 教授)
■演題2
『統合失調症患者に対する包括的な心理社
会的療法 ~ 北海道大学病院における実践
~』
講師:賀古 勇輝先生(北海道大学大学院医学
研究科精神医学分野 講師)
■演題3
『我が国の統合失調症治療の課題と治療の
質の向上を目指した取り組み;持続性注射
剤の適正使用を軸として』
講師:丹羽 真一先生(福島県立医科大学会津
医療センター精神医学講座 特任教授)
■閉会挨拶:西園 昌久先生(心理社会的精
神医学研究所 所長)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
名称:東海 PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 9 月 17 日(木)
会場:名古屋ルーセントタワー
コーディネーター:粉川 進先生(愛知県立城山病院
院長)
■開会挨拶:粉川 進先生
■演題Ⅰ
2.全国セミナー(福岡)
「高名な原田先生のお話をきけて、とても感激し
ました。「じっくりつきあう」そこからタイミングみ
てすすめていく→大切なことです。症例が多くと
てもわかりやすかったです。」
「原田先生のお話をお聴きして、CBT について
勉強してみたいと思いました。」
「とても勉強になりました。内科的な疾患や高齢
の方の患者が増えているので、薬の勉強会、と
くにのみ合わせの勉強会をして下さい。」
「大変勉強になりました。日々の臨床に取り入れ
ていきたいと思います。次の機会も楽しみにして
おります。」
「CBT-思考記録を書いてもらって別のものを考
える(考えていく)ことの重要さがわかりました。」
「べてるの家の当事者研究についてもう少し知り
たかった。」
参加者の声
3.東海ブロック(名古屋)
(4)4
『ACT・あいちの現状と課題』
座長:塩入 俊樹先生(岐阜大学医学部附属病
院 精神神経科 教授)
講師:武富 賀代先生(愛知県立城山病院 地
域支援科 主任看護師)
■演題Ⅱ
『多剤併用の問題』
座長:尾崎 紀夫先生(名古屋大学大学院医学
系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野 教
授)
講師:岩田 仲生先生(藤田保健衛生大学医学
部 精神神経科学講座 教授)
■閉会挨拶:森 隆夫先生(あいせい紀年病院
理事長)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
名称:福岡 PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 9 月 17 日(木)
会場:グランドハイアット福岡
コーディネーター:神庭 重信先生(九州大学大学院
医学研究院 精神病態医学分野 教授)
■開会挨拶:神庭 重信先生
■会長講演
『治療抵抗性病態からの回復の支援』
講師:西園 昌久先生(PPST 研究会会長 心理
社会的精神医学研究所 所長)
■特別講演
『統合失調症は進行性の脳疾患か?』
座長:神庭 重信先生
講師:鈴木 道雄先生(富山大学大学院 医学
薬学研究部 神経精神医学講座 教授)
■ケーススタディ
症例呈示『デイケアからの社会復帰―慢性
うつ病の症例を通じて』
座長:内村 直尚先生(久留米大学医学部 神
経精神医学講座 教授)
講師:本村 啓介先生(九州大学病院 精神科
神経科 診療講師)
■総括及び閉会挨拶:新開 隆弘先生(産業
医科大学 精神医学教室 准教授)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
4.九州ブロック(福岡)
「ACT について。個別性の強い援助内容の一覧
を示して頂きましたが、これらの支援に至るまで
のプロセスに強い関心を持ちました。又、 利用
者に対して何ができて、何ができないのかをどう
説明するのか知りたいと思いました。とても先進
的な取り組みを教えて頂き、大変刺激を受けま
した。ありがとうございました。」
「PPST は障害者側だけの心理社会的治療研究
会ですか? 社会復帰社会参加に向け、障害
者枠での就職では企業の障害への理解がまだ
まだ足りないと感じますが、そのあたりはどのよ
うにお考えでしょうか? 障害をもった人と働い
ていますか?」
「多剤併用しているからなんとか落ち着いてい
る、という Pt も多いのでは…と後半の内容では
思ってきいていた。ACT についてはとりくみの内
容について知れたので良かった。24hour365
dayを目指し、5 名でまわすのはなかなか難しい
ことだと思う。宅直もして、平日も、連休もとなる
と勤務形態見直しも必要なのでは無いか…と感
じた。」
参加者の声
「充分に理解でき、共感できました。」
「 大変参考になりました。ありがとうございまし
た。」
「具体的でわかりやすい講演で頭の整理になりま
した。」
参加者の声
(5)5
名称:群馬 PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 10 月 16 日(金)
会場:アニバーサリーコート ラシーネ新
前橋
コーディネーター:福田 正人先生(群馬大学大学院
医学系研究科神経精神医学 教授)
座長:福田 正人先生
■Session 1:ケース発表
『多くの困難を抱えた統合失調症への心理
社会的治療』
講師:群馬県立精神医療センター 多職種
チーム
原田明子(精神科医)、都丸真由美(看護師)、
瀧澤綾子(臨床心理士)、山田竜一(精神保健
福祉士)、春山寿子(作業療法士)、川島篤視(薬
剤師)
■Session 2:講演
『病識について考える - ケースにもとづ
いて』
講師:池淵 恵美先生(帝京大学医学部 精神
神経科学教室 教授)
■Session 3:ワークライフバランスを考える
『育児をしながら精神科医として成長する
-私の当事者研究』
講師:原田 明子先生(群馬県立精神医療セン
ター)
『働く女性への支援-ワークライフバラン
スの工夫』
講師:池淵 恵美先生
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
群馬セミナーで目指したこと
「PPST 研究会の理念を、群馬県の多くの
専門職で共有できる機会に」、これが今回の
セミナーで目指したことです。
関東ブロックのセミナーは東京や横浜で
開催されますので、PPST 研究会は群馬県で
はほとんど知られていません。そこで、群
馬県内の皆さんに関心をもっていただける
内容を工夫し、PPST 研究会の理念を広げる
ことができる機会としたいと考えました。
遠方から高名な先生をお招きして、薬物治
療と心理社会的治療について 2 本立ての講
演をお願いするという構成ですと、その理
念が伝わりにくいかもしれませんので、通
常とは異なる構成に挑戦しました。
3 つの工夫
工夫の第一は、地元から多職種による発
表を行ったことです。医療観察法病棟にお
いて多職種チームで治療に取り組んでいる
皆さんに、多職種共同での発表をお願いし
ました。薬物治療と心理社会的治療を統合
することで社会復帰を目指す取り組みを、
具体的な形としてお示しできるのではない
かと考えての企画でした。演者席には、そ
れぞれの職種の 6 名の方が並びました。
工夫の第二は、その発表に関連するご講
演を池淵先生にお願いしたことです。多職
種による発表のスライドを事前にお目にか
け、その取り組みについてのコメントをい
たただけるよう願いしました。多職種によ
る発表が、病識が乏しいことで社会復帰に
苦労している症例の経験でしたので、池淵
先生は「病識」を講演のテーマに選んでく
ださいました。そのご講演のなかでは、多
職種で発表した症例と似ているものの社会
復帰が進んでいる症例をご紹介いただきま
した。聴き手は 2 つの症例を対比させ、共
通点と相違点を考えることで、お話の内容
をより深めることができました。
工夫の第三は、「ワークライフバランス」
をテーマとしたスペシャル・セッションを
設けたことです。多職種発表の中心を務め
た原田先生を始めとして、群馬県内には池
淵先生の「ファン」が数多くいます。それ
は、personal support specialist としての
お立場から当事者の就労や恋愛や結婚に取
り組んでいらっしゃる先生のお仕事につい
ての尊敬とともに、育児や家事というプラ
イベート・ライフと臨床医や研究者という
ワークとを上手に両立させている「可愛ら
5.関東ブロック(群馬)
(6)6
しい、人間らしい」人柄への憧れでもあり
ます。そこで、ワークライフのバランスに
苦闘している原田先生の「当事者体験」と、
その苦労について経験者としての池淵先生
からのアドバイスをご発表いただきました。
困難な人生に寄り添う姿勢と雰囲気
当日の会場の様子をお伝えするには、池
淵先生のご講演についての原田先生の感想
をご紹介するのが一番だろうと思います。
「何十年の妄想が改善したという先生の
ケースは、患者さん・家族の体験・気持ち・
人生に寄り添う先生の姿勢と優しい雰囲気
があってこそ成しえた治療で、なかなかす
ぐに見習えるものではありませんが、そう
言ってあきらめるのではなく、せっかくい
いお話が聞けたのだから、今日から見習わ
なければいけないと思いました。
一方で、一見すばらしい回復を見せてい
る患者さんが、お子さんと会うことすらで
きていないというケースは、精神疾患が人
生に与える困難を象徴しているようで、治
療者、当事者、夫、夫の母、子どもといっ
たいろいろな立場で考えてしまい、どの立
場に立っても、切ない、苦しいお話でした。」
子どもの声が響く会場で感じた生活と人生
会場には予想を上回る 54 名の方がご参加
くださり、部屋の後方に席を追加しなけれ
ばならないという、嬉しい誤算となりまし
た。小さなお子さん 2 人も時々声を挙げな
がら話に聞き入ってくれました。男性 24
名・女性 30 名、医師 28 名・コメディカル
20 名・その他 6 名という参加者内訳には、
多職種の取組みとともにスペシャル・セッ
ションへの関心が反映されていると思いま
す。
勇気をもってご自身の当事者発表を担当
してくださった原田先生の感想をご紹介し
ます。「ワークライフバランスのお話は、私
の人生の糧となるような貴重なお話でした。
池淵先生がいろんな困難を乗り越えて、そ
れもお一人の力ではなく、周囲のサポート
を得て乗り越えて来たんだと教えていただ
き、勇気がわきました。フロアにも大勢の
女性専門職が来てくれて、終了後に話した
何人かから、同じような感動の声をもらい
ました。」
寄せられた感動の声のいくつかをご紹介
します。「女性として働くことの勇気をも
らえました」、「私の当事者研究は、いまま
でのさまざまな研究のなかで一番面白かっ
たです」、「池淵先生、原田先生のお話を伺
えて本当によかったです、エネルギーをも
らえました」。
こうした自分自身の生活と人生について
の体験は、専門職として当事者の支援に携
わる際の糧になっていくもので、それが
PPST 研究会の理念へと結びついていくこと
を実感できた素晴らしいセミナーでした。
報告:福田 正人
「大変興味深く聞かせて頂きました」
「また参加したいです。呼んで下さい。」
「明日からの診療・生活に色々役立つお話が聞け
て、とてもよかったです。ありがとうございました。」
参加者の声
(7)7
名称:PPST 研究会 セミナーin 新潟
日時:平成 27 年 10 月 23 日 (金)
会場:ANA クラウンプラザホテル新潟
コーディネーター:後藤 雅博 先生(医療法人恵生
会 南浜病院 院長)
■開会挨拶: 田宮 崇先生(医療法人崇徳会
田宮病院 理事長)
『PPST 研究会について』
座長:後藤 雅博先生
■講演Ⅰ
『これからの統合失調症薬物治療 -健康な
社会生活を目指して-』
座長:松田 ひろし先生(医療法人立川メディ
カルセンター 柏崎厚生病院 院長)
講師:染矢 俊幸先生(新潟大学大学院医歯学
総合研究科 精神医学分野 教授)
■講演Ⅱ
『統合失調症の治療とリカバリー ~神経
画像研究と心理教育~』
座長:渡部 和成先生(医療法人崇徳会 田宮
病院 院長)
講師:平安 良雄先生(横浜市立大学大学院医
学研究科 精神医学部門 主任教授
■ディスカッション
テーマ:『統合失調症の包括的治療の推進に
ついて』
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
開催前の意図
PPST 研究会のコンセプトに沿って、生物
学的治療と心理社会的治療の統合を意識し
たプログラムをという観点から、生物学的
側面については染矢先生に、リカバリーと
心理社会的側面についてはリカバリーをベ
ースにしたアプローチの IMR を実践し効果
研究もされている平安先生にというかたち
で、ふたつの講演を軸にしました。準備期
間が短かかったことと会の時間の関係上、
症例検討は次回以降への検討課題としまし
た。県内への浸透を意図して日精協県支部
長の松田先生と心理教育を長年実践されて
いる渡部先生に座長を依頼しました。
内容紹介と感想
多数の参加者の元、最初に PPST 研究会の
意義と歴史を後藤が簡単に紹介し、そのま
ま総合司会として会を進めました。まず染
矢先生は統合失調症治療の概観について、
以前先生が推計されたよりも早く統合失調
症の入院患者の減少が進んでいることを述
べられ、これは 1940 年代に後半に生まれた
統合失調症の最多世代が亡くなってきてお
り、また当時は 35%入院していたが世代が
10 年下るごとに入院者が半減して、40 年の
間に大きな変化があったことを理由として
上げました。また FGA の登場により 1950 年
代と 80 年代には発症時にきちんとした治療
を受けているかの差が出ていることを入院
減少の理由の一つとしています。ただこの
ように FGA の登場で統合失調症治療は飛躍
的に進歩し SGA でさらに進歩してはいるも
のの、統合失調症患者の平均寿命は 15 年も
短くなり、心疾患による死亡率が一般の 2
倍高く、しかもこれは SGA 群の方が FGA よ
り高いというショックな事実を述べ、精神
症状の改善が主要な目的だが、生命と健康
を脅かすこのようなリスクから患者をどう
守っていくかが臨床精神医学的に大きなテ
ーマであることを強調されました。
続いて平安先生は二つの関連病院で進め
てきた IMR の研究を中心に、統合失調症の
治療で再発防止のために、社会参加に向け
たリハビリテーションプログラムを行うこ
とは重要であることを述べられました。IMR
(Illness Management and Recovery)はパ
ッケージ化された心理教育であり、その特
長はゴールを決めるのは本人で、1 か月ぐら
いかけてゴール設定を行い、その後に SST
や認知行動療法、心理教育を組み合わせた
プログラムを週、1,2 回、5 ヶ月から 10 ヶ
月行うもので、結果として長期入院者 54 名
のうち 10 名が退院に結びつき、しかも再入
院がなく効果が維持されるという結果を紹
介されました。しかも IMR により海馬や帯
6.甲信越ブロック(新潟)
(8)8
状回が活動していくことで大きくなり、灰
白質体積が増える可能性が示唆されている
ことも紹介さえ、今後 IMR のような心理社
会的治療が社会機能だけでなく脳に与える
影響を調べる方向性を示されました。二つ
の講演とも包括的治療を目指す PPST 研究会
にふさわしい、脳や身体的側面と社会的側
面を総合する有意義な講演でした。総合討
論でも、統合失調症の脳の変化についてや、
メタボリック症状群の患者さんへの健康プ
ログラムへの導入の仕方、チーム医療のあ
り方など会場からの質問を中心に座長も含
めて活発な質疑応答が行われ、講演内容を
いっそう深めることができたと思います。
今後の課題
今回の PPST 研究会のほぼ半年前に NHK 主
催の「統合失調症フォーラム」が新潟で開
催され、当事者二人と、染矢教授と私の 4
人で統合失調症にフリートークを壇上でし
ました。大変有意義かつ好評で、またこう
いうのをやりましょうと染矢先生と話しを
していたところでした。今回の PPST 研究会
でも企画案として当事者の発表も入れた形
式を考えましたが、諸般の事情により上記
のような形式になり、それはそれですばら
しかったのですが、今後は症例検討や当事
者の声を聞く機会を盛り込んでいきたいと
考えています。
報告:後藤 雅博
名称:東北ブロック PPST 研究会
日時:平成 27 年 10 月 31 日 (土)
会場:キャッスルホテル山形
コーディネーター:丹羽 真一先生(福島県立医科大
学会津医療センター 精神医学講座 特任教授)
テーマ:リカバリーを目指す PPST
総合司会:丹羽 真一先生
■講演Ⅰ
『PPST の目指すもの』
講師:西園 昌久先生(心理社会的精神医学研
究所 所長 / PPST 研究会 会長)
■講演Ⅱ
『リカバリーと PPST』
講師:丹羽 真一先生
■ケースカンファランス
7.東北ブロック(山形)
「身体的な側面をきちんと観ていくことへの意識
づけになりました。またIMRは興味深かったで
す。再発を予防することで、脳の機能(容積)の
低下も予防できるということを伝えていけるとい
いと感じた。」
「慢性期病棟で本日の講演をもとに、どう活かし
ていけたら良いかと考えながら聞かせ頂きまし
た。リカバリーのゴールをご本人に決めて頂い
た後、その後の支援概要についてもっと理解を
深めたいと思いました。」
「IMR を学んでみたい。メタボ対策における心理
教育の導入を考えていきたいと思いました。有
意義な会を提供して頂き、ありがとうございまし
た。」
「心理教育でコーチングを取り入れています。入
院時より取り入れ参加してもらったりしています
が、心理教育がしっかりと身につく時期があるの
かなとつくづく感じながら行っています。(病気と
教育の境というか)実際やっていて、1入院期間
に1回というのは身につくのに厳しい印象を受け
ましたが現実困難で、退院していかれます。身
についた印象がかなり薄らいでやりがいも薄ら
ぐ中、今回の講演で心理教育など教育が脳の
回復までさせる可能性があることを知り、やりが
いが出てきました。ありがとうございました。
参加者の声
(9)9
『対人不安が強く引きこもりがちな、32
歳・男性、統合失調症のケース』
ケース紹介:佐野 琢也先生(二本松会 上山
病院)
ディスカッサント:
上田 均先生(もりおか心のクリニック 院長)
西尾 雅明先(東北福祉大学総合福祉学部 教授)
圓口 博史先生(コスモス通り心身医療クリニ
ック 院長)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
名称:九州ブロック PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 11 月 18 日 (水)
会場:ホテルニューオータニ佐賀
コーディネーター:門司 晃先生(佐賀大学医学部精
神医学講座 教授)
■開会挨拶・座長:門司 晃 先生
■会長講演
『統合失調症治療における回復モデルを可
能にするものー薬と心理社会的アプロー
チ』
講師:西園 昌久先生(PPST 研究会会長 福岡
大学名誉教授 心理社会的精神医学研究所所長)
■特別講演
『精神病の親を持つ子どもの心理的支援』
講師:黒木 俊秀先生(九州大学大学院人間環
境学研究院実践臨床心理学専攻 教授)
■閉会挨拶:西園 昌久先生
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
講演開催の意図とプログラムの工夫
九州・沖縄地方各県の持ち回りで行われ
ている九州ブロックの PPST 研究会は、今回、
佐賀県佐賀市のホテルニューオータニ佐賀
にて、平成 27 年 11 月 18 日に開催された。
当日は生憎の雨天ではあったが、40 名を優
に超える多数のかたに集まって頂いたこと
をこの場を借りてまずは感謝申し上げたい。
本研究会の目的に鑑みて、これまで同様に
薬物療法関連、心理社会的療法関連と一題
ずつの講演としたが、講師の先生方には、
精神科医療に携わる多職種のかたにできる
だけわかりやすい内容でお話しいただける
ことをお願いした。
講演会の内容と感想
はじめに PPST 研究会会長であり、心理社
会的精神医学研究所所長の西園昌久先生に
「統合失調症における回復モデルを可能に
するものー薬と心理社会的アプローチ」と
のタイトルでご講演をいただいた。神経科
学の発達・抗精神病薬の開発がもたらした
もの、「こころの病を患うこと」とそれから
の回復モデル、心理社会的アプローチへの
期待と実施の現状の順に講演内容は進み、
最後の結びで、「統合失調症治療の課題」と
して、適切な薬物療法としての持効性抗精
神病薬への期待、本邦では未だ十分に成さ
れていない患者ならびに家族への心理教育
の問題、再発予防の先にあるリカバリーへ
の希望とそれを実現するための治療同盟と
8.九州ブロック(佐賀)
「貴重な、とても興味深い講演ありがとうございま
した。患者様 1 人 1 人をしっかり理解をし、1 人 1
人のニーズに合った社会復帰、社会参加のため
患者様の治療に関わるチームの 1 人として今後
に役立てていきたいと思います。」
「とても充実した時間でした。」
「大変参考になり勉強になりました。」
参加者の声
(10)10
チーム医療の大切さなどを、豊富な臨床経
験と言うような陳腐な表現では表わせない、
西園先生の長く、深い臨床経験から、丁寧
に語っていただいた。聴衆の多くが西園先
生の一言一句を聞き漏らすまいとメモを取
りながら熱心に聴き入っている姿が印象的
であった。次に、九州大学大学院人間環境
学研究院実践臨床心理学教授の黒木俊秀先
生から、「精神病の親を持つ子どもに対す
る心理的支援」とのタイトルでご講演をい
ただいた。いつもユニークな視点から、多
彩な内容の講演をされる黒木先生ではある
が、今回の内容も期待にたがわぬものであ
った。黒木先生も関与されている、様々な
理由で親と暮らすことの出来ない子どもに
対する支援の場である「子どもの村福岡」
の紹介から始まって、諸外国とは異なり施
設養護が大半を占めるという本邦における
代替養育の問題点が示され、児童の養護問
題の発生理由として、父母の精神疾患が約
10%に及ぶこと、精神病の親を持つ子ども
の心のありようや、その支援のポイントお
よびそれらを平易かつ明解な内容で描いた
絵本の紹介、危機介入のための里親制度普
及の重要性など、不勉強な著者が初めて知
ることのできた事柄が多数含まれた講演で
あった。聴衆の方々にとっても関心を呼ぶ
ところが多かったようであり、フロアと黒
木先生の間で熱心かつ具体的な質疑がかわ
された。
終了後の感想と今後の PPST 研究会の活動へ
の期待
今回の PPST 研究会では、狭義の薬物療
法・心理社会的療法に留まらない、もっと
幅広い視野からの精神科治療の重要性につ
いて、改めてお教えいただいたように思う。
長時間にわたり熱弁を振るわれた両先生、
熱心に聴き、活発な討議をいただいた聴衆
の皆様に感謝を申し上げたい。今後はもう
少し時間的余裕をもたせて、具体的な治療
手技の提示や事例検討、当事者の声を聴く
ような設定などの工夫もこの研究会に期待
したいと考える。
報告:門司 晃
「黒木先生のお話、とても勉強になりました。訪
問看護師として、同様の症例をかかえており、
今日の講演が明日からの支援の手引きとなっ
たように感じています。又、このような機会があ
れば参加させて頂きたいと思います。」
「統合失調症をもつ親の子供の支援、という視
点自体が無かったのでとても新鮮でした。」
「コメディカル(心理士)だが、とても参考になる
講演でした。」
「2 つの講演ともとても興味をもちました。国の退
院支援も慎重に考えていきたいです。心に響く
ものでした。心を病んだ患者さんだけでなく家族
背景も頭において関わっていきたいです。」
「子どもの心理的支援について、乳児、児童、青
年期と分類して、理解と対応を詳しく学びたいと
思いました。また、SC 以外の疾病での子どもの
心理状態などあれば。
どちらの講演も臨床に非常に役立つ内容でし
た。ありがとうございました。お疲れ様でした。」
「私は心理士なので、個別の心理療法を担当し
ています。治療の中で、様々なアプローチがあ
り、それをそれぞれの職種で連携をとりながら
やっていくことの大切さを感じました。」
「黒木先生の話で、統合失調症の親を持つ子供
は、今後の SC 発症の risk も持っていると思うの
ですが、遺伝負因を持つ子供の幼少期や学童
期の特徴など、先生の感じられるところあれば
教えていただきたいと思いました。(SC 研究の
目線で見るような好奇の対象にしてはいけませ
んが)」
参加者の声
(11)11
名称:北海道ブロック PPST 研究会セミナー
日時:平成 27 年 12 月 10 日 (木)
会場:大塚製薬株式会社 札幌支店 大会
議室
コーディネーター:久住 一郎先生(北海道大学大学
院医学研究科 精神医学分野 教授)
■特別講演
『「陰性症状」再考 ~統合失調症のリカバ
リーに向けて~』
座長:久住 一郎先生
講師:池淵 恵美先生(帝京大学医学部 精神神
経科学講座 主任教授)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
講演会開催の意図と工夫
平成 27 年 12 月 10 日に、札幌にて 36 名
(医師 9 名、メディカルスタッフ 27 名)の
参加者をもって北海道ブロックのセミナー
が開催された。北海道では、昨年久しぶり
に地区ブロックセミナーが再開され、本会
会長である西園昌久先生に特別講演をお願
いして、本会の紹介をいただくとともに、
統合失調症治療における薬物と心理社会的
アプローチの必要性、多職種協働によるチ
ーム医療の重要性についてお話しいただい
た。今回は、統合失調症のリハビリテーシ
ョンに造詣の深い帝京大学医学部精神神経
科学講座教授の池淵恵美先生を特別講演に
お招きして、この領域の理解を深め、北海
道内の各医療機関にさらなる普及・啓発を
図りたいと考えた。
終了後の感想
池淵先生には、『「陰性症状」再考〜統合
失調症のリカバリーに向けて』という魅力
的なタイトルでご講演いただいた。「なぜ
陰性症状を取り上げるのか」という問題意
識に始まり、陰性症状の歴史的経緯、評価
方法、症状群としての妥当性、認知機能や
社会的機能との関連、治療法などについて
大変わかりやすく、かみくだいて解説して
いただいた。その後、話は認知リハビリテ
ーション、希望学、そしてリカバリーへと
つながり、その中で精神科リハビリテーシ
ョンに対する池淵先生の考え方が随所にち
りばめられていた。最後に、「精神障害は自
由を失う病であり、(自由を可能にする)脳
機能の基盤の解明とともに、生活の中で自
由を取り戻していく訓練を考えるべきであ
る」という臺弘先生の言葉を引用されて、
講演を締めくくられた。
統合失調症の治療論は、近年、主に認知
機能障害に着目して展開されることが多い
が、本講演ではその標的症状群として陰性
症状が真正面から取り上げられたことは、
最近の脳科学の進展に照らして時宜にかな
ったものであり、豊富な臨床経験に裏打ち
された池淵先生の精神科リハビリテーショ
ンに対する姿勢も窺い知ることができた。
参加者の様々な質問に対しても、池淵先生
は熟考しながらひとつずつ丁寧にお答えに
なっていたのが印象的であった。終了後の
参加者アンケートでは、9 割以上が非常に興
味深く、8 割が臨床に非常に役立つ話であっ
たと高く評価していた。
次回へのアイディアと今後の PPST 研究会の
活動への期待
今回の北海道ブロックセミナーでは、平
日開催ということもあり、医師の参加数が
あまり多くはなかった。次回からは、セミ
ナーの案内方法や開催日時・会場などを工
夫して、より多くの医師に参加いただき、
9.北海道ブロック(札幌)
(12)12
医師からメディカルスタッフに波及させる
形で参加者の輪をさらに広げていきたいと
考えている。また、セミナーの内容につい
ても統合失調症に限らず、気分障害も含め
た広い領域に拡げることで、さらに参加者
の興味・関心を高めていけるように、世話
人会で再検討したい。
報告:久住 一郎
名称:第 10 回 PPST 研究会・四国ブロック
講演会
日時:平成 28 年 1 月 16 日 (土)
会場:徳島大学医学部 青藍会館
コーディネーター:大森 哲郎先生(徳島大学大学院
医歯薬学研究部 精神医学分野 教授)
■開会挨拶:渡邊 朋之先生(医療法人社団 以
和貴会 いわき病院 院長)
『PPST 研究会の趣旨・経緯について』
■講演
第1部- 心理社会的療法
『当事者研究を活用した統合失調症を持つ
人への心理社会的アプローチ』
座長:大森 哲郎先生
講師:向谷地 生良先生(北海道医療大学看護
福祉学部臨床福祉学科 教授)
第2部- 薬物療法
『患者自身の LAI 受け入れをもう一度考え
る』
座長:中村 祐先生(香川大学医学部 精神神
経医学講座 教授)
講師:藤井 康男先生(山梨県立北病院 院長)
■総括:大森 哲郎先生
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
講演会の意図
PPST 研究会・四国ブロックは、四国四大
学精神科の教授 4 名(香川大学:中村 祐、
愛媛大学:上野修一、高知大学:森信 繁、
徳島大学:大森哲郎)と渡邊朋之院長(い
わき病院)が幹事を務めております。講演
会は四国四県を持ち回りとし、地元の大学
の幹事が企画しています。第 10 回の四国ブ
ロック講演会は平成 28 年 1 月 16 日(土)
に徳島で開催されました。これまでの各回
と同様に、社会復帰・社会参加のための薬
物・心理社会的治療の促進という本研究会
の趣旨を尊重して、薬物療法を軸とした講
演と心理社会的治療法を軸とした講演の組
み合わせを基本構成とし、コメディカルの
方々にも興味を持ってもらえる内容を意図
しました。薬物療法の講演は山梨県立北病
10.四国ブロック(徳島)
「質疑での直接的な先生の返答が印象にのこ
り、今後に生かせると感じました。」
「日常臨床を振り返るよい機会となりました。
希望、内発的な意欲、念頭におきたいと思いま
す。また次の機会があれば、お知らせいただけ
れば助かります。」
「陰性症状にもっと着目しようと思えました。あり
がとうございました。」
「ある患者さんを頭に浮かべながら聞かせてい
ただきました。デイケアでもつな渡り状態の患者
さんに、「希望」を持ってもらいながらコーピング
を高めていく事ができる様な支援の大切さを、
改めて考える事が出来ました。少しでも本人が
生活に価値を見出せていけて、その目標に向け
て行動出来る事も、重要な事な気もします。あり
がとうございます。」
「ご本人が自身に価値を見出せるような関わり
をしていきたいと思いました。ご講演、ありがとう
ございました。」
参加者の声
(13)13
院の藤井康男先生に、心理社会的治療法の
講演は北海道医療大学の向谷地生良先生に
ご依頼しました。
講演会の工夫
日時の設定に関してはこれまでもブロッ
ク幹事会で話し合ってきました。四国四県
は隣接していても時間的距離は遠いため、
他県からの参加の道を開いておくことを考
えると土曜日の夜になりますが、地元関係
者が仕事帰りに気楽に足が向くのは平日の
夜です。長短考えて、今回は土曜日 19:0 0
から 21:00 の時間に徳島大学構内のホール
を使用して開催しました。しかし、遠方か
らの参加者はたぶんいませんでした。日程
がこの年の大学入試センター試験と重なっ
てしまったのは企画者のうっかりミスでし
た。受験生をお持ちの関係者は、たとえ講
演会に関心があっても、この晩はご家庭で
過ごしたことと存じます。
終了後の感想と次回へのアイデア
心理社会的治療法としては、向谷地生良
先生に「当事者研究を活用した統合失調症
を持つ人への心理社会的アプローチ」とい
うタイトルでお話ししていただきました。
向谷地先生は、北海道の浦河べてるの家を
拠点として、地域に根差した当事者活動を
立ち上げた人物です。大学卒業後に浦河日
赤病院にケースワーカーとして就職し、若
くて情熱的なアプローチが当初は周囲の理
解を得られず、一時は病棟出入り禁止にも
なりながら、SST との出会いをひとつの転機
として、独自の支援方法を編み出してゆか
れたとのお話しでした。それが今では、世
界が注目する地域活動となっています。ベ
てるの家では誰かが困っている問題を仲間
同士で「研究」します。「研究」という固い
言葉を逆手にとって、自助的に解決法を見
つけてゆくところには、鮮やかな発想の転
換があります。お話しにすっかり引き込ま
れました。
つづいて薬物療法をテーマに、藤井康男
先生に「患者自身の LAI 受け入れを、もう
一度考える」というタイトルでお話しいた
だきました。冒頭で「統合失調症の再発減
少、寛解期間延長、社会機能改善、自殺の
改善のために、新たな発見は必要ない、ア
ドヒアランス向上だけでこれらが可能にな
る」という英国の研究者の言葉を紹介され
ました。確かに真実を突いています。にも
かかわらずそれが簡単ではない理由を整理
して考察したあとで、アドヒアランスの向
上のための LEAP(Listen, Empathize, Agree,
Partner)という技法を紹介されました。こ
れを提唱する著書を現在翻訳中ということ
でした。お話しの後半では抗精神病薬の持
効性製剤の臨床的意義をご経験とデータに
基づいて解説されました。
向谷地先生と藤井先生とは、それぞれ最
良の心理社会的治療と最良の薬物療法を 30
数年にわたり現場で模索し実践してきた臨
床家です。集まった地元の臨床家たちは職
種もさまざまでしたし、大ベテランから若
手まで年齢層もさまざまでした。臨床現場
に密着した明快なお話しに、深い共感が会
場に広がっていました。両先生と同世代の
私は、前進を続ける両先生の意欲と姿勢に
とりわけ深い敬意を覚えました。
次回 2017 年の四国ブロック講演会は、高
知大学の森信繁教授のコーディネートで高
知市において開催される予定です。
今後の PPST 研究会の活動への期待
最近、統合失調症のリカバリーという概
念が注目されています。たとえ症状が残存
していても、生活が充実し、前向きに人生
を送る、それがリカバリーです。そのため
(14)14
には PPST 研究会が目指している社会復帰・
社会参加のための薬物・心理社会的治療が、
ますます重要となっています。
報告:大森 哲郎
名称:第 2 回 岡山 PPST 研究会セミナー
日時:平成 28 年 2 月 19 日 (金)
会場:ピュアリティーまきび
コーディネーター:堀井 茂男先生(公益財団法人 慈
圭会 慈圭病院 院長)
■開会挨拶:堀井 茂男先生
■会長講演
『PPST からみた統合失調症治療の課題』
座長:堀井 茂男先生
講師:西園 昌久先生(PPST 研究会 会長 心
理社会的精神医学研究所 所長)
■特別講演
『持続性注射剤投与における医療チームの
かかわり ~リカバリーを目指したチーム
医療~』
講師:内野 俊郎先生(久留米大学 医学部 神
経精神医学講座 講師)
■ケーススタディ
『初発統合失調症治療における医療チーム
のかかわり』
大林 芳明先生(地方独立行政法人 岡山県精神
科医療センター)
ファシリテーター:内野 俊郎先生
コメンテーター:西園 昌久先生
■閉会挨拶:堀井 茂男先生
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
名称:第 2 回 近畿 PPST 研究会セミナー in
和歌山
日時:平成 28 年 3 月 5 日 (土)
会場:和歌山県立医科大学 生涯研修セン
ター
コーディネーター:篠崎 和弘先生(和歌山県立医科
大学 神経精神医学教室 教授)
■開会挨拶:岸本 年史先生(奈良県立医科
大学 精神医学講座 教授)
■特別講演
11.中国ブロック(岡山)
「病識とは人から受入れられたと思うことから得
られるということ。今後、支援していく中で、大切
にしていきたいと思いました。」
「向谷地先生の話がききたかったが、遠方のた
め機会に恵まれなかったが、今日は参加できて
よかったです。ありがとうございました。当事者
主体をもっと支援者は考えていくべきだと思うの
で、この会がもっと活発になれば良いと思いまし
た。」
「勉強になりました。結局、医師は薬物療法に比
重をおかざるをえないように思われます。他の
職種の方々がもう少し臨床現場に入ってくれる
と良いのですが、大学病院のようなところではな
かなか難しいですね。あと、開始時間をもう少し
早めていただけたら幸いです。」
「べてるの家の話、おもしろかったです!」
参加者の声
12.近畿ブロック(和歌山)
(15)15
『我が国の統合失調症治療の課題と治療の
質の向上を目指した取り組み』
座長:篠崎 和弘先生
講師:丹羽 真一先生(福島県立医科大学
会津医療センター 精神医学講座)
■一般講演
座長:鵜飼 聡先生(和歌山県立医科大学 神
経精神医学教室 准教授)
『当院デイケアにおける NEAR の実践』
講師:西田 貴年先生(医療法人豊済会 小曽
根病院 リハビリテーション科)
『統合失調症の認知機能リハビリテーショ
ン研究の動向』
講師:池澤 聰先生(国立研究開発法人 国立
精神・神経医療研究センター 精神科)
■指定発言
丹羽 真一先生
岸本 年史先生
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
名称:第 11 回日本統合失調症学会 サテラ
イトシンポジウム
日時:平成 28 年 3 月 25 日 (金)
会場:ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
コーディネーター:丹羽 真一先生(福島県立医科大
学 会津医療センター 精神医学講座 特任教授)
■テーマ:当事者の生活を支える
包括的医療サービス
座長:堀井 茂男先生(公益財団法人 慈圭会 慈
圭病院 院長)
池淵 恵美先生(帝京大学 医学部 精神 神経
科学講座 主任 教授)
■講演①
『多職種チームによる包括的治療』
講師:後藤 雅博 先生(医療法人恵生会 南浜
病院 病院長)
■講演②
『ピアサポート』
講師:村本 好孝 先生(札幌なかまの杜クリニ
ック 精神科認定看護師)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
「患者さんの社会参加について多角的に検討で
きる有意義な発表であったと思います。各先生
方の豊富な臨床体験やデータに基づく話が多
く、わかりやすかったと思います。本日は貴重な
ご講演どうもありがとうございました。」
「質の高い内容の講演でありましたが、非常に
興味深く聞かせて頂きました。」
「頭の中を整理できました。」
「とても勉強になりました。チーム医療の重要性
をおはなしいただき NS としてとても意義深かっ
た。」
「とても勉強になりました。臨床に活かします。
参加者の声
13.サテライトシンポジウム(群馬)
「とても参考になりました。私もいろいろやってみ
たくなりました。」
「 内容 は 大変 よか っ た。 自 分の 実 践 と 聴衆 の
方々が結びつけるためには、もう少し時間が欲し
かったが。」
「病院、クリニック両方の立場での当事者中心の
医療の話が聞けてとても勉強になりました。」
「村本先生、後藤先生のご苦労のお話もありなが
ら、がんばっていることに感謝します。励みになり
ます。」
参加者の声
(16)16
名称:福岡 PPST 研究会セミナー
日時:平成 28 年 6 月 17 日 (金)
会場:JR 博多シティ
コーディネーター:吉村 玲児先生(産業医科大学医
学部 精神医学教室 教授)
■開会挨拶:内野 俊郎先生(久留米大学医
学部 神経精神医学講座 講師)
■会長講演
『精神科チーム医療 -始まった改革の成
功の條件』
講師:西園 昌久先生(PPST 研究会 会長/心理
社会的精神医学研究所 所長)
■特別講演
『統合失調症薬物療法の動向~持続性抗精
神病薬の有用性について~』
座長:吉村 玲児先生
講師:木下 利彦 先生(関西医科大学 精神
神経科 教授)
■ケーススタディ
座長:黒木 俊秀先生(九州大学大学院 人間
環境学研究院実践臨床心理学専攻 教授)
症例呈示『エビリファイ LAI の使用経験か
らの考察~アドヒアランスと LAI 導入タイ
ミングの観点から~ 』
講師:富永 裕祟先生(産業医科大学医学部 精
神医学教室)
■総括及び閉会挨拶:西村 良二先生(福岡
大学医学部 総合医学研究センター)
共催:PPST 研究会/大塚製薬株式会社
14.九州ブロック(福岡)
「コミュニティミーティングになかなか取り組め
ず、問題だとずっと思っていました。改めて今後
の治療技能向上に必要な点だと記憶できまし
た。」
「非常に参考になった」
「若い先生の丁寧さ、自分自身が学びながら一
緒にやっていこうとする姿勢に、自己を省みまし
た。LAI に関しては社会機能改善をみこむ方を
対象とする。初期から使うという考えをもつ先生
もいらっしゃいます。」
「大変勉強になりました」
「又、参加したいのですが、次回の研究会参加
するにはどうしたらよいでしょう」
参加者の声