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≪卒論報告≫筆者概念を活用した説明的な文章指導の提案―学習者の疑問や葛藤に注目して––

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Academic year: 2021

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32. 横浜国大国語教育研究 No.46 (2021). 《卒論報告》. 筆者概念を活用した説明的な文章指導の提案. ―学習者の疑問や葛藤に注目して––. 副島はるか. . 1. 問題の所在と本研究の目的. 平成 29 年告示の新学習指導要領では、国語科の. 学習において「考えの形成」が重視されている。ま. た特に説明的な文章の指導では、児童生徒が、文章. から読み取ったことをもとに考えたり、論の進め方. を考えたりする力をつけることが求められている。. 一方で、学習者の実態としては、平成 31(2019)年度. の全国学力・学習状況調査(小学校国語)の結果か. ら、文章の記述の工夫を捉えたり、文章から読み取. ったことをもとに自分の考えをまとめたりすること. に課題があると言える。このような状況の原因とし. て、学習者の読みの姿勢に注目し、学習者の主体的. な読みを促すために、筆者概念を用いた説明的な文. 章指導、特に学習者の疑問や葛藤の活用が有効なの. ではないかと考えた。すでに疑問や葛藤を出発点と. した学習指導に関する研究は行われているが、そも. そも学習者はどのようにしたら疑問や葛藤を抱ける. のか、疑問や葛藤の生じ方については管見の限り明. らかにされていない。そこで本研究では、初読の際. に生じる筆者と学習者の認識の差異を明らかにする. ための調査を行い、学習者が説明的な文章に対して. 疑問や葛藤を抱けるようにするための方策を提案す. ることを目的とする。. 2, 研究方法. 本研究の目的を達成するため、以下の 4 つの手順. で研究を進める。. (1)学習者が初読の際に説明的な文章に対して抱く. 疑問や葛藤を調査する。. (2)調査結果の分析によって、説明的な文章と学習者. の思考の間のどこに差異が生じているかを明らかに. する。. (3)教材文ごとに疑問や葛藤の起こり方を比較した. うえで、学習者が疑問や葛藤を抱けるようにするた. めの発問を提案する。. . 3. 論文の構成. 第 1 章 学習者の実態と筆者概念を活用した説明. 的な文章指導. 第 2 章 説明的な文章に対して学習者が抱く疑. 問や葛藤の調査. 第 3 章 考察. 第 4 章 本研究のまとめ及び今後の課題. 4. 研究の成果. 第 1 章では、説明的な文章の指導において育成す. べきだとされている資質能力と、それに対する学習. 者の実態を、文部科学省や国立教育政策研究所の資. 料をもとに確認した。そのうえで、読むことに関す. る課題を解決するために、筆者概念を活用した説明. 的な文章指導、とりわけ学習者が文章に対して抱く. 疑問や葛藤の活用が有効であることを主張した。. 第 2 章では、学習者が説明的な文章に出会う際に. 抱く疑問や葛藤の実態を明らかにするために、実験. 調査、分析を行った。実験調査においては、小学校. 国語教材を用い、思考発話を伴う音読と事後インタ. ビューを行った。分析においては、学習者が説明的. な文章のどの部分に疑問や葛藤を抱くのか、その疑. 問や葛藤は学習者のどのような思考によって生起す. るのかの 2 点に注目して疑問や葛藤の分類を行い、. 初読の際に生じる学習者の疑問や葛藤の実態を明ら. かにした。. 第 3 章では、第 2 章での分析をもとに、教材文ご. との疑問や葛藤の起こり方を比較し、共通点や相違. 点とそれらが見出された原因について考察した。そ. のうえで、疑問や葛藤が生じる際の学習者の思考に. 注目して、疑問や葛藤には、起こり方の強さの違い. があると考えた。学習者が強い葛藤を抱けるように. するために有効な方策として、学習者の「知識」や. 「感覚」を想起させる発問を提案した。

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