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会計保守主義の研究 — 会計史の経済分析と GAAP 再発見—

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会計保守主義の研究

— 会計史の経済分析と GAAP 再発見—

西谷にしたに

順 平じゅんぺい

本論文は、会計上の保守主義と呼ばれる概念について、その意義と必要性について再検 討したものである。その動機は、昨今、国際会計基準の策定を契機として、会計基準設定 における多くの基本的論点が改めて問われるようになってきたなかで、保守主義の議論が 錯綜しているように思われたことにある。そこで、本書では、保守主義とはそもそも何だ ったのかについて、あらためて素朴に問い直す作業をおこなった。

最初に問題提起がなされた後(序章)、第 1 部においては、保守主義を会計情報にかか る下方バイアスだとおおまかに捉え、現在の会計情報システムにおける位置づけを議論し た上で(第 1 章)、会計実務の発達してきた歴史のなかでどのように育まれてきたのかに ついて、その背景とロジックをあらためて分析した(第 2、3 章)。次に、第 2 部では、

ありうべき会計情報システムにおいて、下方バイアスがどのような影響をもたらすのかに ついて分析した上で、保守主義のタイプを四つに類型化し(第 4 章)、それらについて二 つずつ分析をおこなった(第 5、6 章)。そして、最後に本論文のまとめとそこからいい うることが示された(終章)。その議論の過程においては、第 1 部において「保守主義の パラドックス」、「フィレンツェの保守主義」、「保守主義の原則のパラドックス」、「保 守主義のジレンマ」といった新しい概念が提起された。また、第 2 部では、情報システム を組み込んだモラルハザード・モデルをおもに使って分析が行われた。

本論文での考察から、会計基準設定機関に対しては、保守主義をめぐって以下のように コメントができると考えられる。つまり、1)保守主義にタイプが四つあることを認識する べきである、また、2)キャッシュフロー計算書の保守主義補完機能を認識するべきである、

その上で、3)保守主義の原則は撤廃するべきである、しかし、4)現在の保守的会計基準を 即座に撤廃する必要はない、ただし、5)「保守主義のジレンマ」を自覚すべきであるとい うものである。なかでも、もっとも重要だと考えられるのが、会計基準設定機関自身が「保 守主義のジレンマ」を抱えていることを自覚すべきであるという最後の点である。この自 覚がないまま、保守主義をめぐる会計基準設定の議論をおこなっていることが、保守主義 の議論を錯綜させることに大きくつながっていたと思われるからである。

参照

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