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学位論文題名Cooperative IVIolecular Adsorption and Surface Characteristics of Cell

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 松 方 美 樹

    

学位論文題名

Cooperative IVIolecular Adsorption and Surface     Characteristics of Cell

(協同的分子吸着と細胞表面特性)

学位論文内容の要旨

  我々の 体の 構成 成分 であ る細胞は水やタンパク質など生きるために必要な物質を含み、

物 質の取 り込 みは 拡散 やエ ンドサイトーシスにより行われる。現在、特定の細胞に生理活 性 物質や 薬を 取り 込ま せる 手法や遺伝子治療が次世代の治療として期待されており、これ ら 物質と 細胞 との 相互 作用 を研究することは大変重要となっている。しかし、細胞膜は脂 質 やタン バク 質、 糖鎖 から なる複雑な系であり、様々な相互作用が混在するため統一的に 理 解する のは 困難 であ る。 従来より細胞と分子との相互作用の研究は赤血球ゴーストやり ポ ソーム を用 いて 行わ れて いるが、赤血球は核を持たない特殊な細胞であり、リポソーム は 脂質の みか らな る均 一な 表面 であ るた め、 必ず しも 細胞 のよい モデ ルと は言 えな い。

  そこで 本研 究で は酵 母の 細胞壁を酵素処理することによって得られる酵母プロトプラス ト を用い て、 様々 な物 質と の相互作用を系統的に解析することを目的とした。解析には高 分子ゲルと界面活性剤との相互作用で用いてきた手法を導入するという試みをおこなった。

高 分子ゲ ルは 内部 に溶 媒を 保持し、電気や温度などの物理信号に応答して膨潤、収縮、変 形 する。 また ゲル は物 質を 内部に取り込んだり、粘弾性を有するという点において細胞を 単 純化し た模 倣物 と考 えら れる。本研究ではゲルという単純な系での分子との相互作用の 解 析法を 細胞 に導 入す るこ とで、従来では系統的に理解できなかった細胞と界面活性剤、

ポリマー、およびタンバク質との相互作用をできるだけ定量的にに検討することを試みた。

  本 論 文 は 第1章 の 序 論 、 第2章か ら6章 ま で の 本 論 、 お よ び第7章の 結諭 から 構成 され ている。

  第2章 では2‐ア クリ ルア ミド2‐メ チル プロ バン スル ホン酸(AMPS)とN‑イソプロピルア ク リルア ミド の共 重合 ゲル を合成し、カチオン性界面活性剤との相互作用を検討した。こ の 共重合 ゲル は」¥MPSのス ルホン酸ユニットと界面活性剤がイオンコンプレックスを形成 す る こ と に よ り 吸 着 、 収 縮 する とい う従 来のPAMPSゲル に見 られ た現 象だ けで なく 、ゲ ル 内のス ルホ ン酸 基の 量に 対して過剰量の界面活性剤を吸着し、再膨潤するという特異的

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な現象を示し、分子配列が界面活性剤の協同的な吸着を制御することを明らかにした。

  第3章では酵母プ口トプラストとカチオン性界面活性剤との相互作用について検討した。

界面活性剤がプ口トプラストに定量的に吸着することを見いだし、界面活性剤のゲルへの 吸着の解析法を応用することにより、その吸着量と協同性が界面活性剤のアルキル鎖長に 依存することを明らかにした。ゲルと比較すると界面活性剤は協同的に細胞に吸着、浸透 しており、これは細胞膜を構成する脂質二重層および種々の小器官との疎水性相互作用に 起因すると考えられた。

  第4章では種々の高分子とプロトプラストの相互作用について検討した。カチオン性高 分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子、疎水性基を有する主鎖荷電型高分子、およ ぴタンバク質(アルブミン、BSA)をプ口トプラスト懸濁液(pH6)と混合し、細胞の生存率 を濁度変化により解析した。カチオン性高分子はあるカチオン濃度で細胞の破壊を生起さ せ、細胞生存率は濃度に依存して経時的に減少した。細胞表面が負に帯電していることか ら静電的相互作用によルカチオン性高分子が細胞に吸着していることが示唆された。また 主鎖荷電型で炭素数12を有するカチオン性高分子はその細胞生存率の経時変化より瞬時 に細胞を破壊していることがわかり、側鎖荷電型高分子とは異なるメカニズムで細胞と相 互作用していることが明らかにされた。細胞を破壊する濃度は界面活性剤が吸着し始める 濃度と一致し、カチオン性高分子は細胞表面に吸着すると協同的に細胞を破壊することが わかった。また細胞の破壊を速度論的に解析する試みを行い、速度定数は高分子が細胞に 吸着する濃度で急激に増加し、反応速度が吸着平衡により決定されることが明らかにされ た。以上のことから細胞と高分子との相互作用は、電荷だけでなく疎水性、特にアルキル 鎖長に依存することが速度論的、平衡論的解析により明確にされた。一方、正電荷、負電 荷、およぴ疎水性部を兼ね備えたBSAは細胞を破壊せず、細胞表面に吸着して細胞膜を不 安 定 化 し て い る こ と が 浸 透 圧 変 化 を 施 す こ と に よ り 明 ら か に さ れ た 。   そこで第5章ではBSAの細胞への吸着挙動を検討、解析した。BSAは浸透圧の維持、脂 溶性物質の運搬体として血液に含まれる最も多いタンバク質である。また薬物キャリアー としての利用も期待されており、細胞との相互作用を明確にする意義がある。BSAは細胞 に吸着し、ラングミューアー型の等温吸着線が得られた。塩添加により吸着が抑制された こと、エンタルビー変化が負であったこと、吸着のpH依存性がゼー夕電位のpH依存性に 対応したことから静電的相互作用が支配的であることがわかった。吸着挙動は膜の流動性 に依存せず、BSA吸着後の膜の流動性にも変化がなかったことから、BSAは膜夕ンノヾク質 に吸着していることが示唆された。しかし飽和吸着量はBSAが細胞表面を均一に覆った量 に相当し、膜夕ンバク質の細胞膜中での占有面積が小さいことから、膜夕ンバク質のみで な く 脂 質 の 極 性 基 と も 静 電 的 相 互 作 用 に よ り 吸 着 し て い る と 考 え ら れ た 。   第6章ではBSAに高分子を化学修飾した複合体の細胞への吸着挙動を検討した。近年夕

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ンバク質製剤の開発において、高分子修飾することにより免疫原性が低下することから 種々の高分子―夕ンバク質複合体の研究がされているが実際に分子レベルで細胞との相互 作用を検討した例はない。そこで本章ではポリエチレングリコールで修飾したBSAおよび、

温度応答性高分子ポリN‑イソプロビルアクリルアミドで修飾したBSAの細胞への吸着挙動 を未修飾のBSAの吸着挙動と比較検討した。

  第7章では以上の内容を総括して結諭とした。酵母プ口トプラストを材料とし、細胞を 単純化したゲルへの界面活性剤の吸着の解析法を用いることで、細胞と分子の相互作用は 静電的、および疎水性相互作用による分子の協同的吸着により説明できることが初めて明 らかにされた。

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学位論文審査の要旨

主査  教授  長田義仁

副査  教授  西  則雄(大学院地球環境科学研究科)

副査  教授  新田勝利 副査  助教授  嚢  剣萍

副査  教授  緒方直哉(上智大学理工学音l9fヒ学科)

    

学位論文題名

Cooperative Molecular Adsorption and Surf

,aCe

    CharaCteriStiCSOfCell

    

( 協 同 的 分 子 吸 着 と 細 胞 表 面 特 性 )

  生体の最小構成体である細胞は様々な物質が混在する複雑な表面を持っために、

今まで物質との相互作用は統一的に理解するのが困難であった。しかしながら近 年、バイオテクノ口ジーやバイオメディカルの分野において高分子と生体との相 互作用は材料として、また医薬そのものとして大変重要になっており、高分子が どのように細胞と作用し、どのような影響をもたらすかを研究することは意義の あることである。

  本論文はこのような現況にある細胞と分子の相互作用についてその吸着挙動を 定量的に評価し、結果として生じる細胞の表面の変化を調べたものである。一般 的にカチオン性高分子が細胞と強く相互作用することが知られているが、著者は 電荷での分類だけでなく、側鎖荷電型カチオン性高分子およぴ主鎖荷電型カチオ ン性高分子分子、両性電解質であるタンバク質血清アルブミンを用いてその協同 的 吸 着 が 細 胞 の 変 形 、 破 壊 な ど を 生 起 さ せ る こ と を 明 ら か に し た 。   これらの解析法に著者は高分子ゲルへの界面活性剤の吸着挙動の解析法を応用 した。これは今までにない試みである。高分子ゲルは内部に溶媒を包括し、物質

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の出入りが自由であり、その粘弾性的性質を有する点においても細胞に類似して いる。高分子ゲルへの界面活性剤の吸着と細胞への分子の吸着は両者の構造が異 なるにも関わらず協同的におきることは大変興味深く、吸着のメカニズムを解明 す る こ と は 今 後 さ ら に 新 し い 研 究 分 野 と し て の 発 展 が 望 ま れ る 。   これを要するに、著者は、細胞への分子吸着において分子の電荷や構造が吸着 挙動に大きく依存し、それを定量的に解析することによって多くの新知見を得、

新 た 顔 研 究へ の 動機 づ けに 対 して も 貢 献す る とこ ろ 大な る もの が ある 。   よって著者は北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格ある者と認める。

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