博 士 ( 理 学 ) 山 中 厚
学位論文題名
Hyperfine Field and Electric Field Gradient at Various Cation Sites in RBa2Cu2Nb08 and RSr2Cu2Ga07 (RBa2Cu2Nb08 とRSr2Cu2Ga07 における
カ チ オ ン サ イ ト の 超 微 細 場 と 電 場 勾 配 ) 学位論文内容の要旨
銅酸 化物高温 超伝導体の 発見が契機となり「強電子相関系」が新たな観点から見直され精 力 的 な研 究 が行 わ れ てい る。銅酸 化物高温 超伝導物 質は 2 次元 Cu02 而が積層 する構造 をと る 。 超伝 導 体 YBa2CU307 では 伝 導を 担 う Cu(2)02 面 に 加え 1 次 元 鎖 構造 を とる Cu(l)0 面 が Ba0 眉 間に あ り、 超 伝 導発 現機構に対 する各原 子層の役 割に興味 が持たれ てきた‥ 従来の 研究 では酸素 欠損制御や Cu(l )サイ卜 の部分置 換などに よる物性 パラメ― 夕制御により超 伝導 特性や磁 気状態が議 論されて きた。し かし、こ れらの方 法による 電子状態の 研究では 系の disorderness の影響が 大きい。本論文では、Cu(l )サイトを他の遷移金属元素で全量置 換 し た試 料 が作 製 可 能で あ るこ と に 着目 し RBa2NbCu208 、 RSr2GaCu20, 等の均 質な試料 を 作 製 した 。 それ ら の 試料 に おい て 様 々な 原 子サ イ ト での 核 磁 気共 鳴 (NMR) 、 核四 重 極共 鳴 ( NQR ) 測 定を お こ ない 、 各サ イ ト の電 子 状態 の 系 統的 な 知 見を 得 るこ と が 出来 た。
核四重極共鳴(NQR) により種々のカチオン(Y3 十,La3 ゛、 Cu(l)l 十、Nb54 、Ga3 ゛)サイトに関する 電気 四重極共 鳴周波数 v NQR を 求め、原 子位置で の電場勾配 (eq )を算出した。 Sternheimer 反遮 蔽因子 y 。 ,を考慮し た各カチオンサイトの電場勾配eq/(l‑y 一の値は対応する原子サイ ト間では良い一致を示した。この結果は、 Cu(l ) 1 十、 Nb5 十、 Ga3 ゛と価数やイオン半径大き さが 異なるに もかかわら ず、各サ イトの局 所的電場 勾配がほ ば同じ値 であること を示して おり 、このこ とは、各カ チオンの 最隣の配 位酸素に より電荷 分布が補 償されるこ とで説明 でき 、銅酸化 物超伝導体 のブロッ ク層によ る電荷遮 蔽効果が 大きいこ とを明らか にした。
さ ら に 、 反 強 磁 性 秩 序 状 態に あ る NdSr2GaCu207 にお い て、 ゼ 口 磁場 Ga‑NMR の 分 裂 ス ペ ク トル を 観測 し 、 磁気 構造が母 物質の YBa2CU307 の それと興 なること を結論し た。これ は YBa2CU306 に 少量 の Fe 、 Co 、 Ni を置換 した時のCu(l ) のスベク トル分裂 幅から求 められ る Cu(l )サ イ ト の超 微 細磁 場 Hint の値とほ ぼ同じで あり、 Ga02 而 を介在し た Cu(2) 面の Cu モ ー メン ト 配列 が 積 層面 方向に対 して YBa2CU306 の( 十―十― )から( 十十―− )構造へ と変化していると結諭した。
以上 、酸化物 高温超伝導 体 YBa2CU30‑, の Cu(l )鎖 層のCu を種 々の遷移 金属元素 で全量釐
換した試料を作製し、各原子サイトでのNMR/NQR 測定により電荷遮蔽効果と磁気秩序構
造を明らかにした意義は大きい。
学 位 論 文 審 査の 要 旨 主査 教授 熊谷健一 副査 教授 野村一成 副査 助教授 河本充司
副査 教授 村山茂幸(室蘭工業大学)
学位論文題名
Hyperfine Field and Electric Field Gradient at Various Cation Sites in RBa2Cu2Nb08 and RSr2Cu2Ga07 (RBa2Cu2Nb08 とRSr2Cu2Ga07 における
カ チ オ ン サ イ ト の 超 微 細 場 と 電 場 勾 配 )
銅 酸 化 物 高 温 超 伝 導 体の 発見 が契 機 とな り「 強電 子 相関 系」 が新 たな 視 点か ら見 直さ れ精 力 的な 研究 が 行わ れて いる 。銅 酸 化物 高温 超伝 導 物質 は2次 元Cu02面が 積層 す る構 造を とる,..超伝導体YBa2CU307 で は 伝 導 を 担 うCu(2)02面 に 加 え1次 元 鎖 構 造 を と るCu(l)0面 がBa0層 間 に あ り 、 超 伝 導 発 現 機 構 に 対 して その 原子 層の 役 割に 興味 が持 た れて きた 。従 来の 研 究で は、 酸素 欠損 制 御やC,u(I) サイ トの部 分 置 換 な ど に よ る 物 性 パ ラメ ―夕 制御 に より 超伝 導特 性 や磁 気状 態が 議論 さ れて きた 、し かし 、 これ らの 方 法に よる 電子 状態 の 研究 では 系のdisordemessの 影響 が大 きい 。 申請 者はCLi(l)サイトを他の遷移金 属 元 素 で 全 量 置 換 し た 試 料の 作製 が可 能 であ るこ とに 着 .目 して 、RBa:NbCu208: RSr2GaCu20,等 の均 質な 試 料 を 作 製 し 、 様 々 な サ イ 卜 で のNMRを 測 定 を お こ な ぃ 各 サ イ ト の 電 子 状 態 の 系 統 的 な 知 見 を 得 るこ とが出来た。
申請者は、まず核四重極共鳴をおこない、種々のカチオン(Y3十、 La3十,Cu(l)l+,Nb5十,Ga3←)サイ卜に関す る 電 気 四 重 極 共 鳴 周 波 数v NQRを 求 め 原 子 位 置 での 電 場勾 配(eq) を算 出 した 。Stemheimer反 遮蔽 因子 ッooを 考慮 した 各カ チ オン サイ卜の電場勾配eq/(1−ッー)の値は対応する原 子サイト間では良い一致を 示 し た。 この 結果 は、Cu(l)1十 、Nb5十 、Ga3゛と 価 数やイオン半径大きさ、お よびカチオンに対する酸素 原 子 の配 位数 が異 なる に もか かわ らず 、 各サ イト の局 所的 電 場勾 配が ほぼ 同じ 値であることを示している 。 こ の こ と は 、 各 カ チ オ ンの 最隣 の配 位 酸素 によ り電 荷 分布 が補 償さ れる こ とで 説明 でき 、銅 酸 化物 超伝 導 体 、YBa2CU30,系 で は ブ ロ ッ ク 層 に よ る 電 荷 遮 蔽 効 果 が 大 き い こ と を 実 験 的 に 示 し た 。 さ ら に 申 請 者 は 、 反 強 磁 性 秩 序 状 態 に あ るNdSr2GaCu207に お い て 、 ゼ ロ 磁 場Ga‑NMRの 分 裂 ス ペ ク 卜 ル を 観 測 し 、 磁 気 構 造 が 母 物 質 のYBa2CU307の そ れ と 異 な る こ と を 結諭 した 。 これ はYBa2CU306に少 量 のFe、Co、Niを置 換 した 時のCu(l) のス ペク 卜ル 分裂幅から求められるCLI(1)サイトの超微細磁場Hint の 値 と ほ ぼ 同 じ で あ り 、Ga02面 を 介 在 し たCu(2)面 のCuモ ― メ ン 卜 配 列 が 積 層 面 方 向 対 し て 、 YBa2CU306に 見 ら れ る 磁 気 配 列 ( 十 ― 十 一 ) か ら ( 十 十 ― ― ) 構 造 へ 変 化 し て い る と 結 諭 し た ゛ . こ れ を 要 す る に 、 申 請者 は酸 化物 高 温超 伝導 体YBa2CU307のCu(l)鎖 層のCLIを穐 々の 遷移 金 属元 素で 全 置 換 し た 試 料 を 作 製 し 各 原 子 サ イ ト のNMR測 定 に よ り 電 荷 遮 蔽 効 果 と 磁 気 秩 序 構 造 を 明 ら か に した 功 績 は 大 で あ る 。 最 近 、Cu(l) の 全 置 換 試 料RBa2RuCu208にお いて 強磁 性 秩序 と超 伝導 の共 存 が発 見さ ー59−
れるなど、申請者の研究成果は酸化物超伝導体における磁性と超伝導の共存機構の解明に寄与する微視 的観点からの先駆的な研究であるといえる。その学術的評価は高く、強相関電子系としての酸化物超伝 導体の研究に貢献することが極めて大である。
よって審査員一同は本論文の申請者山中厚君は北海道大学博士(理学)の学位を受けるに十分な資格が あるものと認定した,、
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