博 士 ( 医 学 ) 仲 昌 彦
学位論文題名
Functional characterization of
naturally occurrlngmutantS ( P405RandP425L )Of p73Qandp73 汐 f ・ oundinneuroblaStomaandlungCanCer (神経芽細胞腫と肺癌で見られた自然発生p73Q と p73 グ蛋白質の機能解析)
学位論文内容の要旨
新 規癌抑 制蛋白質p73は、 構造的 にも機能 的にもp53に類 似して おり、多 くのp53標的遺伝 子のプロモータを活性化し、アポトーシス誘導能を持っている。また、p73はp53と同様にN末端 よ り、転写 活´陸 化部位、DNA結 合部位、4量体 形成部位を持ち、さらにそのC末端側にはp73 に特異的な領域が存在している。最近、我々はp73のC末端に存在するグルタミン、プロリンに 富む領域を用いた実験で、この領域に転写活性化能が存在することを発見した。さらに、p73は ヒトの癌ではほとんど変異が発見されていないが、我々は神経芽細胞腫と肺癌でアミノ酸置換 (P405R:405のプロリンがアルギニンヘ置換、P425L:425のプロリンがロイシンに置換)を伴う2種 類 のp73自 然発生 点突然変 異を発 見した。 興味深 いことに、これら2種類の変異は、p73のC末 端の転写活性化能を低下させることが、これら2種類の断片を用いた実験から示唆された。本研 究 では、上 記2種類の変 異をそ れぞれ含 む、全長p73a、p73ロを構 築し、p73の細胞内局在、
転 写 活 性化 能 、DNA結合能 、細胞増 殖抑制 能に対す る、こ れら2種類の変 異の効 果につい て 検討した。
まず、ウサギの網状赤血球の系を用いた実験と、ヒ卜293細胞を用いた実験で、これら2種類の 変 異 を 含むp73aおよびp73ロは 、野生 株のp73Qおよ びp73ロと同様 に安定 に存在す ることが 確認された。p73変異体の細胞内局在について、ヒト293細胞を使い免疫染色を用いて調べた。
そ の結果は 、変異 体を含むp73Q、p73ロは、い ずれも野生株p73と同様に核に局在しているこ とが認められた。したがって、2種類の変異はp73の細胞内局在、および安定性には影響を及ぼ さないことが示唆された。次に、p53欠損細胞であるSAOS‑2細胞を用いて、ルシフェラーゼレポ ー ターアッ セイ法 で転写活 性化能 を調べた 。プロ モータはp53標的遺伝子であるBax、MDM2、 p21に由来 するも のを使用 した。 その結果 は、p73aのP425L変異 体のみ が3種 類のプロモータ の 転 写 活性 化 に 対し て 抑 制的 に 働 き 、p73aのP405R変異体 やp73ロ の2種 類の変 異体では 、 転 写活性化 能に対 して野生 株p73と有意な 差が見 られなか った。ま た、p73変異体のDNA結合 能を、p53標的配列を用いたゲルシフト法で検討したところ、2種類の変異は、p73の、p73ロの DNA結合能に対しては影響を及ばさないことが判明した(データーは示していない)。したがっ て 、3種類 の プロ モータ に対する 転写活 性化能の 変化はDNA結合 能の変化 を反映 したもの で
― 18−
。ヤミ柚 辱掣刈ウ,p9蜒対rl暈越冬隙嚠j較堕泄辜羈誤響塞異,トふゃ藩e澀ミ鎧、輿叶鑾eぷq,跫碧 帳UやS咏嬖堕ぷ4蟲釦瑚a曾ム,9R刈Ue心ミu,製榔。や宴的轡帳刈や囂p蝋巛bU刪塑小 心氷譲e澀蓬eぷA,跫蝋巛I曾山や囂p9T(DpC(D蝋rLd刊淑藤皿‑4婁柚斌飜iq嚠聖暴 玳蝋雲,ヤ囂p婁纂雌醤Q詆氷,gq昧蟶e凵冬。ゼ宴的轡帖為刈Uぐ迎や昧輟やb嘉暴瑚牲瓣 幡Kふーエ萇卜eぜCLd跫咏巛蠹Ctd,レャ為ゼj。ゼ9RやミふQ驩鴇樅冬艇忙跫p竣蝋巛G き,tl‑gcJ鵞驩鴇lna匸ニ鎧竃蓑獣Qv蛾Qqレj馨錻堕ぷA蜷刊齢,塑藩e(ヨ曾d冫竣蝋巛ぷA ‑ミ的讎騒疑覇囂e継ゼ鎧、煙叶響Q苅慰ポ,昧蟶eや。桜j紘蝉Qq堕蝋丶mふマペー太ヘJ n匸ユェニニ,柑澀辜暴誤響響暴やト鞍堕缶暴Z‑SOVS (妊蝋巛CLd,堕心的。ゼ宴把謬塞R刈リjや亜
学位論文審査の要旨 主 査 教授 守内哲也 副 査 教授 藤堂 省 副査 教授 菊池九二三 副 査 教授 浅香正博
学 位論 文 題 名
Functional characterization of naturally occurrngmutantS ( P405RandP425L ) Of p73aandp73 〆 f6undinneuroblaStomaandlungCanCer
( 神 経 芽 細 胞 腫 と 肺 癌 で 見 ら れ た 自 然 発 生p 73nと p730蛋 白 質 の 機 能 解 析 )
新規癌抑制蛋白質p73は、構造的にも機能的にもp53に類似しており、多くのp53標的遺伝子のプロ モータを活性化し、アポトーシス 誘導能を持っている。また、p73はp53と同様にN末端より、転写活 性化 部位 、DNA結合 部位 、4量 体形 成部 位を 持ち 、さ らに そのC末 端側にはp73に特異的な領域 が存 在している。最近、我々はp73のC末端に存在するグルタミン、プロリンに富む領域を用いた実験で、
この領域に転写活性化能が存在することを発見した。さらに、p73はヒトの癌ではほとんど変異が発見 されていないが、我々は神経芽細 胞腫と肺癌でアミノ酸置換(P405R:405のプロリンがアルギニンヘ 置換、P425L: 425のプ口リンがロイシンに置換)を伴う2種類のp73自然発生点突然変異を発見した。
本研究では、上記2種類の変異をそれぞれ含む、全長p73n、p73ロを構築し、p73の細胞内局在、転写 活性 化能 、DNA結合 能、 細胞 増殖 抑制 能 に対 する 、こ れら2種 類の変異の効果について検討し た。
まず、ウサギの網状赤血球の系 を用いた実験と、ヒト293細胞を用いた実験で、これら2種類の変異 を含 むp73Qおよびp73ロは、野生株のp73Qおよびp73ロと同様に安定に存在することが確認され た。
p73変 異体の細胞内局在について、ヒ卜293細胞を使い免疫染色を用いて調べた。その結果、変異を含 むp73Qヽp73ロは、いずれも野生株p73と同様に核に局在していることが認められた。したがって、2 種類の変異はp73の細胞内局在、および安定性には影響を及ぼさないことが示唆された。次に、p53欠 損細胞であるSAOS―2細胞を用いて、ルシフェラーゼレポーターアッセイ法で転写活性化能を調べた。
プロモータはp53標的遺伝子であるBax、MDM2、p21に由来する ものを使用した。その結果は、p73Qの P425L変異 体の みが3種類 のプ ロモ ータの転写活性化に対して抑制 的に働き、p73aのP405R変異 体や p73ロ の2種類の変異体(p405Rとp425L)では、転写活性化能に対して野生株p73と有意な差が見られな かっ た。 また、p73変異体のDNA結合能 を、p53標的配列を用いたゲ ルシフト法で検討したところ、2
20ー
種類の変異は、p73a、p73ロのDNA結 合能に対しては影響を及ばさないことが判明した(データーは示 していない)。したがって、3種類のプロモータに対する転写活 性化能の変化はDNA結合能の変化を反 映したものではないことが示唆された。さらに、p73変異体のSAOSー2細胞に対する細胞増殖抑制能を、
コロニーフオーメイション法により検討した。その結果、先ほどの転写活性化能の抑制が観察されたp73 変異 体(P425L)のみ に、 野生 株p73に比較してより多くの薬剤耐性コロニーが認 められ、他の変異体 では 有意な差が認められなかった。したがって、P425L変異はp73aのアポトーシ ス誘導能を抑制する 効果を持つことが示唆された。以上の結果より、実際の臨床材料である、神経芽細胞腫より発見された 自然 発生p73変 異の うち の1っ であるP425L変異は、p73の機能の喪失を引き起こ す変異であると示唆 され る。 また 、 これ らの こと から、P425Lを含むp73に特異的なC末端は、p73の 転写活性化能のみな らず、細胞増殖抑制能に対し重要な 役割を演じていると推測された。
審査にあたって菊池教授から、P425点突然変異によるp73の転 写活性化能の低下は4量体形成が関係 していないか、また、ドミナントネガテイブは関係していないのかという質問があり、申請者は各種文 献や自身のデーターから、4量体形成に関しては恐らくは関係していないことを説明、ドミナントネガ テイブに付いてもそのような効果は ないことを説明した。浅香教授からは2種類の突然変異発見時の解 析についてと、臨床応用にっいての質問があった。申請者は発見したのは自分自身ではなく、今回の実 験はその機能解析であることを説明した上で、発見時の文献から分かる範囲で説明した。臨床応用につ いては、p73より下流のタンパクについて明確に分かっていない など現時点においてはp53のように癌 治療に応用はできないが、最近の報告例より、今後中枢神経の発生に関する疾患の治療に応用される可 能性があることを説明した。藤堂教 授からは癌の悪性度と変異の発見される頻度についてと、P425L変 異が見っかった症例について何か特 徴はあったのかと質問があり、申請者はp73の突然変異は今回使用 した2種 類しか発見されておらず悪性度との関係は分からなかったこと、また変異の見っかった症例の 臨床的特徴については、吟味はした が症例数が2例しかなく、特別な特徴は分からなかったことを説明 した。守内教授からは今回の2つの変異周囲で人工的に変異を作りその機能を見る実験はしなかったの か、ウェスタンブロットの結果でバ ンドが2本にみえること、p73は今後oncology上価値があろのかに ついて質問があり、申請者は人工的 変異を使う実験についてはやっているが結果が出ていなぃこと、2 本鎖についてはりン酸化されているものも一緒に見ていること、oncology上の価値については今後下流 のタンパクが分かってくれば価値が あることを説明した。
この論文はp73の機能である転写活性化能と細胞増殖抑制能に 対する2っの点突然変異の影響を明ら かに し、p73のカルボキ シ末端がp73の生物学的機能 の制御において重要な役割を演じており、P425L 変異がp73aにおける機能低下の原因 となる変異の可能性を明らかにした点で高く評価され、今後さら なるp73の機能解析が期待される。
審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位など併せ申請者が博 士(医学)の学位を受けるのに充分 な資格を有するものと判定した。
‑ 21一