香川生物(KagaWa Seibutsu)(15・16):139−141,1989・
大 麻 山 の 水 生 昆 虫
大 平 幸 男
〒768 観音寺市観音寺町甲966 香川県教育委員会事務局三豊出張所
AquaticInsect Fauna of Mt.Oasa,KagaWa PrefecturIe
Yukio OHJRA,〟如γ0 βrα花Cゐ扉h右ゐe肋亡わ乃dβ0αrd ‖/八一′Jと恒〃、′†ノケー小・−、りJr√.人■−川・・/リI乃Jヾ、■左l押JJ St…1は約4m,St小2からSt.6は1∼2mであ る。他の7地点はいずれも1m以下の細流であ る。河床の状態はSt.4∼St.10では岩盤が所 々で露出して階段状となっている。これらの地 点付近では調査時,渇水状態の所も見られた。 他の地点では河床は砂礫底で傾斜はゆるやかで ある。 調 査 方 法 調査は1986年12月21日と26日に行った。採集 は流水量が少ないので定性採集によった。まず, 川底の石を取り上げ,表面に付着している水生 昆虫を採集した。その後,金ザル(網目約2mm) を川底に固定して,その上流の川底の砂や礫を かきまぜ,流下した昆虫を集めた。また,近く によどみがある場合にはそこでの採集も行った。 採集物は約5%のホルマリン溶液で固定後,種 を同定するとともに,種の個体数を数えた。 は じ め に 香川県内には,讃岐山脈とは別に,五色台な どの山地が点在する。これらの山地の河川は, 標高が低く降水量が少ないことなどにより流水 量は少なく,時には渇水状態となっている。こ のような山地における河川の水生昆虫について は,五色台(大平,1979),満濃町丘陵地(渡 辺い大平,1985)が報告されて−いる。 今回,上記のような河川の水生昆虫相を調査 する−・環として,比較的樹木が多く茂り,山道 が多ぐて調査しやすい大麻山の調査を行ったの で報告する。 調 査 地 点 大麻山(標高616.3m)は善通寺市南部から 三豊郡高瀬町北東部に位置しており,東南の部 分は琴平山(標高524m)と呼ばれている。山 容はメサ型の溶岩台地を呈しており,山の上部 斜面は急峻である。 調査は開墾などによる人手の影響が少なく, この山地では深い谷を有する北東斜面を中心に 行った。調査地点はできるだけ上流域からとる 討画であったが,その付近は調査時ほと.んど渇 水状態となっており,調査地点の大部分は300 m以下となった。なお,下部の地点は平地に流 れ出す直前の地点である。 調査した地点は図1に示す13地点である。こ れらの内,St.1からSt.11までと,St”12” Sし13は別の流れである。これらの河川は流下 して金合川に合流している。調査地点の川幅は 図1 大麻山における調査地点.. ー139一
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
表1大麻山における水生昆虫種名および採集個体数(一印 各地点の優占種). 調 査 地 点 (St.) ユ 2 3 4 5 6 7 8 910111213
TRICHOPTERA
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エαCわgα CJ・αCよαとα 宅 建 目 イワトピケラ属 コガタシ寺トビケラ ギフシマトビケラ ミヤマシマトビケラ属 ミヤマシマトビケラ属 コバントピケラ マルバネトビケラ コエグリトビケラ属 ニンギョウトビケラ属 コカクツツトビケラ グマガトピケラ カタツムリトビケラ 蝉 勝 目 フタスジモンカゲロウ クロマダラカゲロウ アカマダラカゲロウ ユミモンヒラタカゲロウ オビカゲロウ クロタニガワカゲロウ 晴 輪 目 カワトンボ コオニヤンマ オジロサナエ ミルンヤンマ オニヤンマ 2 2 1 2 5 1 1 1 5 6 4 3 8 9 4 2 5一 6一1 17一 2 1 1 1 2 1131 6一 l l 1 1 1 1 1 1 3 2 1 1 2 3 1 1 1 1 1 3 荷 題 目 オナシカワゲラ科の1種 ヤマトフクツメカワゲラ 3 カワゲラ 双 題 目 ガガンボ科の1種 ガガンボ科の1種 ユスリカ科 広 超 目 ヤマトクロスジへどトンボ 鞘 廼 目 ゲンジボタル 2 1 1 1 1 3一 2 2 1 2 4 4一 4 2 1 2 1 1 1 1 2 1 1 2 1 1 種 数4 7105 6157123 4149 5
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結果及び考察 13地点で得られた水生昆虫の種名と採集個体 数を表1に示した。今回の調査で得られた種数 は7目31種である。(ただし,種までの同定が できずに,属あるいは科の段階でとどまったも のも1種として数えている。)主なものは,毛廼 目12種,貯蝉目6種,輯輪目5種である。 地点ごとの種数をみると,St.6が15種と最 も多く,その他の地点で10種以上得られたのは St.3,St.8,St‖11の3地点だけである。 最も少ない地点はSし9の3種である。1地点 での水生昆虫の種数は20種以上が−・般的である ことから考えると,この区域の水生昆虫相は貧 弱であるといえる。 各地点の優占種をみると,ブタスジモンカゲ ロウ助heTneralaPOnicaがSt・1,St・2, St.4,St.7,St.8,St,10,Stlrll, St.12の8地点で優占している。その他,クロ タニガワカゲロウ励¢γの花以r以S £のわ£よrの花£ぶがSt・ 6とSt.13,カワゲラPergα とiわiαgisがSt.5 とSt.9の各2地点で,ギフシマトビケラ 助か叩寧γCゐeg≠/血花αがSt・3の1地点で優占 している。これらの種のうち,ギフシマトビケ ラはβ一一中腐水性水域(β−mS;やや汚染)に生 息する種であるが,それ以外のフタスジモンカ ゲロウ,クロタニガワカゲロウ,カワゲラはい ずれも貧腐水性水域(os;清劉)に限って出現 する種とされている(渡辺小小田,1980)。こ の点から考えると,この区域の水生昆虫相の貧 弱な原因が,水質汚染によるという可能性は少 ない。先に述べたように,Sト.1からSt.6ま では川幅が1m以上あるが,他の7地点はいず れも川幅1m以内の細流であること,St..4か らSt.10の7地点は岩盤が露出し河床が不安定 なこと,流水量が少ないことなどによるものと 考えられる。 採集地点の最も多い種はフタスジモンカゲロ ウであり,11地点で採集されている。8地点で 優占種となっていることから考えても,今回の 調査区域内で最も普通の種といえる。劫ゐe7花e用 属の県内の分布について,渡辺(1985)はフタ スジモンカゲロウの分布は山地部あるいはその 周辺に限られ,モンカゲ自り勘ゐe〝lerα声亡rなαとα は山地・平野部の両方(標高450m以下に限ら れ,標高50m以下では出現地点が少ない)に広 く分布する。トウヨウモンカゲロウ即ゐemer・α or・よe花とαgisは標高100m以下の低い場所に多い としている。今回の調査では,モンカケロウ属 はフタスジモンカゲロウ1種のみ採集されてい る。五色台(大平,1979)でも同じ傾向を示して いるが,満濃地区丘陵地(渡辺1・大平,1985) ではフタスジモンカゲロウとモンカゲロウが採 集されている。今後,今回の地点のような調査 を積み重ねれば,讃岐山脈から離れた山地での モンカゲロウ属3種の分布傾向が明らかになる ことが期待できる。 フタスジモンカゲロウ以外に採集地点の多い 種として,楕麺目のヤマトフタツメカワゲラが 9地点で,カワゲラが6地点で採集されている。 前者は後者よりやや下流域で出現する傾向を示 している。また,クロタニガワカゲロウが7地 点で,オジロサナエS亡ッgo即mpゐαS SαZαゐi£ が6地点で採集されている。 摘 要 1..大麻山の河川における水生昆虫の調査(13 地点)を行い,7日31種を確認した。 2り 多い目は,毛題目12種,蝉蛎目6種,購蛤 目5種である。 3.フタスジモンカゲロウは8地点で優占種と なっており,しかも,採集された種の中で最 も幅広い11地点で出現している。 文 献 大平幸男..1979.五色台における河川の水生昆 虫‖ 香川県自然科学館研究報菖」:15−−21・・ 渡辺 直い1985..香川県内河川におけるモンカ ゲロウ属3種の分布.香川生物(13):二1−7. ∵ …小田泰史り1980い 水生生物相調査解 析結果報告書(日本の水をきれいにする会)一. 一間一Ⅶ ・大平幸男..1985.満濃地区における 底生動物の分布.国営讃岐丘陵公園(仮称). 地域の動植物現況調査報告書:1−8. −141−