傳
心
法
要
の
研
究
光
地
英
學
傳 心 法 要 の 所 謂 研 究 的 な 取 扱 い に 就 い て は、 從 來、 忽 滑 谷 博 士 の ﹁ 灘 墨 思 想 史 ﹂ 上 巻、 字 井 博 士 の 岩 波 本 ﹁ 傳 心 法 要 ﹂ (註 記 並 に 後 記) が あ る 程 度 で、 比 較 的 勘 い と い つ て よ い。 元 來 こ の 傅 心 法 要 は、 斐 休 ( 七 九 七-八 七 〇) が 龍 興 寺 ( 洪 州、 南 昌 附 近) や 開 元 寺 ( 蕪 湖 東 南、 宣 州) に 於 て、 黄 葉 断 際 灘 師 ( 八 四 七-八 五 九) に 朝 夕 道 を 問 い、 教 を 受 け た そ の 記 録 に 他 な ら な い。 次 に 傅 心 法 要 の 刊 本 で あ る が、 大 休 正 念 ( 一 一 二 五-一 二 八 九) の 後 序 に よ れ ば、 唐 代 の 好 事 者 が こ れ を 刊 行 し、 何 時 し か 我 邦 に 傳 わ り、 北 條 時 宗 が 愛 護 し、 途 に 唐 本 を 模 し て 刊 行 し た の が、 五 山 版 ( 鎌 倉 版) で あ る。 爾 來、 我 邦 並 に シ ナ 朝 鮮 に 於 て 刊 行 せ ら れ て い る。 そ の 概 略 は、 五 山 版 ・ 活 字 本・ 景 徳 本 ・ 寛 永 本 ・ 慶 安 本 ・ 四 家 本 ・ 朝 鮮 雲 門 寺 本 ・ 朝 鮮 月 精 寺 本 ( 假 名、 岩 波 本 後 記 に な し)・ 佛 租 本 ( 假 名、 ﹁ 佛 祀 心 髄 ﹂ 第 八 巻 所 牧、 岩 波 本 後 記 に な し)・ 古 尊 本 ・ 寛 文 本 ・ 明 藏 本 ・ 明 治 本 等 で あ る。 こ れ 等 諸 本 の 様 式 に 就 い て は、 大 略 三 類 型 に 分 け て み ら れ 得 る。 す な わ ち、(一)傳 心 法 要 の 題 名 の う ち に、 鐘 陵 録 と 宛 陵 録 と を 分 け て い る。(二)傳 心 法 要 の 題 名 の も と に、 傳 心 法 要 ( 鐘 陵 録 と い わ な い で 傳 心 法 要 と い う) と 宛 陵 録 と に 分 け て い る。(三)鐘 陵 録 を 傳 心 法 要 と い う こ と は 前 の 場 合 と 同 様 で あ る が、 そ れ と 宛 陵 録 を 全 く 別 の も の と し て 切 り 離 し、 宛 陵 録 を 傳 心 法 要 の 後 に 置 い て い る の と、 前 に 置 い て い る の と あ る。 こ れ 等 の う ち 第 二 の 様 式 が 最 も 多 く、 又 普 通 の 態 で あ る。 私 は 鐘 陵 録 と 宛 陵 録 の う ち、 特 に 鐘 陵 録、 す な わ ち 狭 義 の 意 味 の 傳 心 法 要 に 限 定 し て 考 察 を 加 え て み た い と 思 う。 先 ず 引 用 依 擦 経 論 と し て 確 實 と み ら れ る も の に 馬 金 剛 経 ・ 饗 路 本 業 経 ・ 携 嚴 経 ・ 維 摩 経 ・ 大 般 浬 繋 経 ・ 永 嘉 集 ・、 謹 道 歌 ・ 法 華 経・ 般 若 心 経・ 樗 伽 経・ 浬 墾 経経 ・ 勝 髭 経・ 大 乗 讃 ・ 六 租 響 経 ( 轍 煙 本 三 傳 教 傳 以 外 の も の) と、 そ れ に 荘 子 則 陽 魯扁 が あ る。 そ の 示 唆 を 受 け た 程 度 の 経 論 と し て は、 圓 畳 経 ・ 心 地 観 経・ 四 十 二 章 経 ・ 十 四 科 頚 ・ 二 入 四 行 ・ 信 心 銘 ・ 最 上 乗 論・ 頓 悟 入 道 要 門 論 ・ 骸 燵 出 土 神 會 録 ・ 顯 宗 記 ・息 心 銘 ・ 馬 租 道 一 の 偶、 朱 烹 の 文 等 で あ る。 又 不 確 實 で は あ る が、 推 測 出 來 得 る 範 圃 傳 心 法 要 の 硫 究 ( 光 地) 二 〇三-531-傳 心 法 要 の 研 究 ( 光 地) 二 〇四 の も の と し て は 華 嚴 維 が あ る。 以 上 は 文 に 就 い て で あ る が、 ﹁語 ﹂ の 擦 つ て い る も の と し て は、 繹 尊 の 迦 葉 へ の 傳 法 偶、 西 天 第 廿 三 租 鶴 勒 那 の 傳 法 偏、 寳 誌 ・ 六 祀 慧 能 ・ 馬 租 道 一 等 の 語 等 が 指 摘 さ れ 得 る。 術 傳 心 法 要 に 關 読 さ れ て い る 人 物 と し て、 佛 と し て は 繹 尊 に 然 燈 佛、 菩 薩 と し て は 文 殊 ・ 音 賢 ・ 観 音 ・ 勢 至、 経 典 上 の 人 物 と し て は 維 摩、 史 上 の 人 物 と し て は 迦 葉 ・ 達 摩 ・ 六 祀 ・ 費 誌 ・ 明 上 座。 大 通 神 秀 等 で あ る。 次 に 思 想 を 究 明 し て み た い。 思 う に 暉 は 佛 教 の 本 質 を、 心 と い う 問 題 に 牧 約 し て、 最 も 端 的 に 直 接 的 に 開 示 し て い る と こ ろ に、 そ の 眞 面 目 を 獲 揮 し て い る。 當 ﹁ 傳 心 法 要 ﹂も 亦、 こ の 灘 の 中 心 問 題 を 提 起 し て い る 黙、 充 分 注 意 を 沸 わ る べ き で あ る。 ﹁ 法 要 ﹂ は ﹁ 此 法 即 心、 心 外 無 レ 法 ﹂ と い つ て、 華 嚴 の 三 界 唯 一 心 の 思 想 を 強 調 す る。 一 切 諸 法 を 以 て 総 該 の 一 心 と な し、 無 始 無 絡 た し て、 虚 室 と 同 一 の も の と な す、 か か る 一 心 も 自 己 と 別 な も の で は な く、 寧 ろ 自 心 の う ち に 親 し か ら し め な く て は な ら な い と 読 く。 さ れ ば ﹁ 諸 大 菩 薩 所 レ表 者、 人 皆 有 レ 之 不 レ 離 二 一 心、 悟 レ 之 即 是、 今 學 道 人 不 下 向 二 自 心 中 一悟、 乃 於 二 心 外 一著 レ 相 取 レ 境、 皆 與 レ 道 背 ﹂ と い つ て、 問 題 の 焦 黙 を 自 心 中 に 還 齢 す べ き こ と を 切 言 す る。 こ の 自 己 の 心 と い う も、 本 來 自 己 に 倶 有 の 清 澤 心 で あ り、 清 漂 佛 の こ と で あ つ て、 諸 佛 諸 有 情 に 廣 く ひ と し く 愛 當 す る。 さ れ ば 壁 頭 に も ﹁ 諸 佛 與 二 一 切 衆 生 一唯 是 一 心、 更 無 二 別 法﹂ と い う。 黄 桀 は 又 こ の 一 心 の こ と を 需 奮 覚 性 と も い い、 佛 性 ・ 本 性 と も い い、 眞 心 ・ 室 如 來 藏 ・ 息 心 ・ 心 地 の 法 門 と も い い、 又、 般 若 の 慧、 無 想 の 本 心 と も 表 現 し て い る。 傳 心 と い つ て も、 こ の 一 心 を 傳 え る こ と で あ る か ら、 ﹁ 唯 傳 二 一 心 一更 無 二 別 法 こ と い う。 達 摩 も、 唯 一 心 を 読 く と い う。 ﹁ 自 三 達 経摩 大 師 到 二 中 國、 唯 説 二一 心 納 唯 傳 二 一 心、 以 レ 佛 傳 レ佛、 不 レ 説 二 蝕 佛 こ と い つ て、 達 摩 灘 の 以 心 傳 心 の 本 領 を 間 明 し て い る。 の み な ら ず 黄 漿 は ﹁ 法 華 既経 ﹂ の 文 を 引 用 し て、 一 心 を 傳 う る も の を 達 摩 に も と め る こ と に 止 ま ら ず、 更 に 遡 つ て 繹 尊 に 求 め て ﹁ ( 繹 尊) 召 二 迦 葉 一同 二 法 座、 別 付 二 一 心 一離 三 言 読 法 一﹂ と な す こ と は 注 目 ざ れ て よ い。 黄 桀 の い う 心 は、 ﹁ 及 二 護 レ 道 時、 祇 誼 二 本 心 佛 こ と い つ て い る 如 く、 所 謂、 本 心 そ の も の で あ る が、 そ れ は 全 く 心 の 働 き を 拒 否 し た も の で は な い。 ﹁ 東 三 ハ 和 合 一爲 二 一 精 明、 一 精 明 即 心 也 ﹂と い う、 六 和 合 す な わ ち 六 根 も 亦 心 で な け れ ば な ら な い。 以 心 傳 心 の 心 は 勿 論 本 心 の こ と で あ る が、 そ れ は 心 所 の 作 用 を 豫 想 し た も の で な け れ ば な ら な い と な す。 こ の 一 心 の 思 想 は、 黄 壁 以 前、 各 組 師 に 殆 ん ど 一 貫 し て み ら れ る と こ ろ で あ り、 達 摩 以 來 の 中 心 問 題 で あ つ た。 す な わ ち 達 摩 以 外、 傅 大 士 に ﹁ 心 王 銘 ﹂、 僧 瑛 に ﹁ 信 心 銘 ﹂、 道 信 ・ 弘 忍 に 各 汝、 守 心 ・ 看 心 の 修 繹 法 が あ り、 半 頭 法 融 に ﹁ 心 銘 ﹂ が あ る 等 で あ る。 然 し 本 心 と い い 一 心 と い つ て も、 そ れ は 固 定 硯 實 膿 覗 さ る べ き も の で は な い。 こ の よ う に 實 在 論 的 に 考 え た 心
-532-を 究 甕 す る こ と は、 心 (有 心) を 以 て 更 に 心 を 求 め る よ う な も の で あ る。 か か る 態 度 を 破 斥 す べ く 黄 漿 は 無 心 を 強 調 し て、 ﹁ 不 レ 可 二 將 レ 心 更 求 二 於 心、 歴 二 千 萬 劫 一 終 無 二 得 日。 不 レ 如 當 二 無 心 便 是 本 法 一﹂ と い う。 い う 所 の 無 心 と は 一 切 の 心 を 放 下 す る こ と で あ る。 心 を 塞 ず る こ と で あ る。 無 心 の と こ ろ に 理 想 境 が 開 示 さ れ る。 ﹁ 但 能 無 心 便 是 究 寛 ﹂ ﹁ 但 直 下 無 心、 本 膿 自 現 如 下 大 日 輪 昇 二 於 虚 室、 偏 照 二 十 方、 更 無 申 障 碍 上 ﹂ と い う。 さ れ ば 修 道 の 要 諦 は ﹁ 學 道 人、 若 欲 レ 得 レ 知 二 要 訣、 但 莫 下 於 二 心 上 一 著 申 一 物 上 ﹂ と あ る 如 く、 執 著 心 を 捨 離 し た 無 心 に 佳 す る こ と に 護 揮 さ れ ね ば な ら な い。 こ こ に 注 意 さ れ ね ば な ら な い こ と は、 無 心 と い つ て も、 そ の 無 心 そ の も の を 概 念 化 し て は な ら な い こ と で あ る。 蓋 し そ れ は 無 心 の 趣 意 に 反 す る か ら で あ る。 こ れ が 黄 葉 の ﹁ 心 自 無 心、 亦 無 二 無 心 者。 無 レ 心、 心 却 成 レ 有 ﹂ と 注 意 を 喚 起 す る 貼 で あ る。 以 心 傳 心 と い つ て も、 特. に 心 と い う 特 定 の 一 法 の 傳 え る も の の あ る と い う 固 定 観 を 打 破 し て、 ﹁ 不 レ 得 二 一 法、 名 爲 二 傅 心﹂ と い い、 ﹁ 師 ( 黄 漿) 云、 汝 聞 レ 道 レ 傅 レ 心、 將 謂 レ 有 レ 可 レ 得 也、 所 以 祀 師 云、 認 二 得 心 性 一 時、 可 レ 読 二 不 思 議、 了 了 無 二 所 得﹂ と い う。 有 心 を 塞 じ 無 心 を 塞 ず る、 室 も 亦 室 ず る。 か か る 否 定 を 砂 く と も 言 詮 を 以 て そ の 徹 底 を 期 せ ん と す る な ら ば、 否 定 詞 を 無 限 に 蓮 綾 さ す べ き で あ ろ う。 こ こ に 黄 禦 の ﹁ 墨 道 人、 直 下 無 心、 獣 契 而 已 ﹂ と 膿 験 の 世 界 導 入 を 以 て、 敢 え て 絡 止 符 を 附 す る 所 以 が あ る。 黄 漿 は ﹁ 傳 心 法 要 ﹂ に て ﹁ 獣 契 ﹂ の 語 を 四 度、 ﹁ 契 悟 ﹂ ﹁ 會 契 ﹂ の 語 を 各 一 度 も ち い て い る。 い う 如 く 即 今 直 に 獣 契 す る と こ ろ、 ま こ と に 速 疾 頓 悟 そ の も の で あ る。 こ の 黙 ﹁ 唯 直 下 頓 了 二 自 心 本 來 是 佛 納 無 二 一 法 可 ラ 得、 無 二 一 行 可 ジ 修、 此 是 無 上 道 ﹂ と 断 言 す る。 然 し 求 道 者 悉 く 南 方 輝 の 本 領 で あ る 頓 悟 た り 得 な い の が、 冷 嚴 な 現 實 の 實 相 で あ る。 さ れ ば 黄 壁 は ﹁ 凡 夫 取 レ 境、 道 人 取 レ 心、 心 境 墜 忘、 乃 是 眞 法。 忘 レ 境 猫 易、 忘 レ 心 至 難 ﹂ と い つ て、 無 心 の 境 地 に 至 る こ と の 至 難 性 を 指 摘 す る。 残 さ れ 距 道 は 唯 一 の み、 そ れ は 他 な ら ぬ 北 方 灘 の 特 色 と も い う べ き 漸 悟 の 修 行 法 で あ る。 ﹁ 心 同 二 虚 室 鳳去、 如 二 枯 木 石 頭 一去、 如 二 寒 次 死 火 凶 去、 方 有 二 少 分 相 慮 一﹂ と 黄 壁 断 際 は い う。 こ こ に 不 惜 身 命 の 打 坐 修 行 が 要 請 せ ら れ る。 そ の 行 道 の 眼 目 は、 無 心 の 道 得 で あ る。 こ れ が ﹁ 爾 如 今 一 切 時 中、 行 住 坐 臥、 但 響 三 無 心、 久 久 須 二 實 得﹂ と 教 示 す る 所 以 で あ る。 而 も か か る 行 は 三 年 五 年 十 年 と 忽 辱 精 進 さ る べ き で あ る こ と を、 ﹁ 爲 二 爾 力 量 小 一 不 レ 能 二 頓 超、 但 得 二 三 年 五 年 或 十 年、 須 下 得 二 箇 入 虎 齢自 然 會 去 上 ﹂と 垂 訓 す る。 い う 如 く 黄 桀 は 思 想 の 面 に 於 て、 本 畳 門 に 立 脚 し て 頓 悟 を 主 張 す る の で あ る が、 行 の 面 に 於 て 始 畳 門 に 立 つ て 漸 悟 を 容 認 し て い る。 而 し て こ れ が 中 心 を な す と こ ろ の も の は、 他 な ら ぬ ﹁ 無 心 ﹂ と い う こ と で あ る。 無 心 の 思 想 は、 黄 壁 小 以 前、 寳 誌 の ﹁ 十 四 科 頚 ﹂、 牛 頭 法 融 の ﹁ 心 銘 ﹂、 大 讐 道 信 の 思 想 傳 心 法 要 の 研 究 ( 光 地) 二 〇 五
-533-傳 心 華 の 硯 究 ( 光 地) 二 〇 六 (﹁ 榜 伽 師 資 記 ﹂ 所 串)、 そ う し て 又、 慧 能 の ﹁ 六 祀 壇 経 ﹂、 荷 澤 瀞 魯 の ﹁ 顯 宗 記 ﹂ 等 に も み ら れ る が、 蓋 し 黄 壁 小は そ れ 等 に 負 う と こ ろ の あ つ た こ と は、 否 み 得 な い も の と 思 わ れ る。 ﹁ 傳 心 法 要 ﹂ に は そ の 他、 三 世 思 想 並 に 三 時 思 想 や 徹 底 し た 佛 身 観、 臨 絡 行 儀 ・ 多 聞 多 知 批 到 ・ 機 根 観 等、 留 意 さ る べ き 主 張 が あ る に し て も、 傳 心 法 要 の 思 想 の 中 核 を 一 貫 す る 竜 の は 一 心 で あ り 無 心 で あ る。 更 に は 無 心 に 参 徹 す る こ と に あ る と い わ ね ば な ら な い。 元 來、 灘 は 教 宗 に 於 け る﹁一 心 ﹂ の 固 定 化 概 念 化 を、 直 接 禮 験 に 基 き 直 に 即 今 自 己 自 身 の 問 題 と す る こ と に 依 つ て、 否 定 を 媒 介 と し、 そ れ に 依 つ て 教 家 の 意 の あ る と こ ろ を 最 も 力 強 く 肯 定 す る。 か か る 意 味 に て 一 心 何 れ よ り 生 じ、 何 れ に 齢 す る や と 更 に 究 蓋 す る こ と に 依 つ て、 や が て 無 に 結 蹄 せ し め な け れ ば 已 ま な い。 ま こ と に 無 心 こ そ は 輝 の 至 上 命 題 で あ る。 由 來、 無 心 は 原 始 佛 教 の 無 我、 大 乗 佛 教 の 室 性 に 淵 源 し て い る。 そ れ が 而 も 無 と 表 現 さ れ た の は、 シ ナ 佛 教 か ら で あ る。 就 中、 輝 宗 に 於 て で あ る。 そ れ は 無 を 読 く 老 荘 思 想 の 影 響 が 與 つ て 力 あ る も の と 思 わ れ る。 繹 は 老 荘 思 想 に て 親 し ま れ て い た 無 の 表 現 形 式 を そ の ま ま 依 用 し、 而 も そ こ に 盛 る 意 味 は、 軍 な る 虚 無 の 如 き も の で は な い o そ れ は 妙 有 を 中 に 豫 想 し た 般 若 塞 性 を、 主 騰 的 意 義 内 容 と な し て い る 無 で あ つ た。 そ れ は 根 本 無 分 別 智 の 開 顯 に 他 な ら な い。 從 つ て 當 然、 一 切 の 二 邊 相 醤 を 混 絶 し た 般 若 塞 観 を そ の 内 容 と す る。 而 も 老 荘 の 無 思 想 と 異 る 特 色 は、 無 を 打 坐 と い う 行 の 上 に 實 践 的 に 把 握 せ し め ん と す る、 そ こ に 行 を 基 本 的 生 命 と す る 輝 の 面 目 が 實 と な る の で あ る。 ﹁ 傳 心 法 要 ﹂ の 思 想 の 基 盤 も 亦、 こ こ に あ る こ と を 張 調 し た い。