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2つの手法による壁画剥がしの前と後の壁面状態の比較

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Academic year: 2021

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(1)

2つの手法による壁画剥がしの前と後の壁面状態の比較

TYleComparisonbetweenTwoTbchmquesofRipOutofMuralPaintings

安 藤 明 珠 *

MitSum,ANDO

要旨:

2014年11月にイタリア人修復士によるフレスコ壁画修復に関 する講義と実習が行われた。スタッコ法とストラッポ法の2つの 異なる技法で剥がした壁画について、剥がす前と後を比較した。

壁画面の凹凸、色などを調査機器で計則した結果、ストラッポ法 は壁画がフレスコ画で描かれ、かつ凹凸の少ない場合に適してお り、スタッコ法は画面に凹凸をつけた工芸的装飾やセッコ法で描 かれた部分がある壁画に適していることがわかった。

キーワード:壁画スタッコ法、ストラッポ法、保存

1.はじめに

2014年11月、国立フィレンツェ修復研究所のイタリア人修復 士を招へいし、フレスコ壁画の修復に関する講義と実習を行った。

今年度で4回目となる今回は、1回目と同様に壁画を支持体であ る壁から剥がす2種類のスタッコ法とストラッポ法についての実 習を行った。その際、壁画を剥がす前と後の状態を精確に比較す べ<、様々な調査機器を使って計則することにした。

「スタッコ法」の「スタッコ」はイタリア語で「分離」を意味 し、壁画の描かれているイントーナコ層をアリッチョ層(下塗り 漆喰)の境界面で分離する方法をいう。また、「ストラッポ法」

の「ストラッポ」は「剥がす」という意味で、イントーナコ層の 表面に定着している描画層のみを薄く引き剥がす方法をいう。

もともと建造物と一体化した壁画を剥がして別に保存すること は、やむを得ない場合を除いて容認されてはいないが、どちらか といえばストラッポ法力採用されることが多い。剥がされた壁画 が最も軽量で、作業や運搬など力溶易だからである。

本研究では、壁画を剥がす前と後の壁面状態を2つの手法別に 比較し、壁画の現状をどの程度まで精確に保存して剥がしている かを定量的に示した。これは、剥がそうとする壁画面の状態に応 じた最適手法を選択する際の指針として利用できるはずである。

2.方法 2.1.対象壁画

以下の3つの観点から、実験の対象モティーフをフィレンツェ のサンタ・クローチェ教会大ネl拝堂に描かれたアーニョロ・ガッ デイの「聖十字架物語」から選択した。右側壁4段目の「聖十字 架の発見と検証」の場面に描かれた2つの聖女へレナのうち「検 証」場面で脆拝する聖女へレナの頭部(42×60cm)(R9.1)である。

*フレスコ壁画研究センター研究員

Absnact:

AUainingandleCtureonfiscoesbyltalianlStOrwasconductedm November2014・WecompalEdtwotechniquesintheviewpointofthe diifelEncesofthesulface1ughnessandcolorbetweenbefbleandaiter thelippingoutofmulalpainmgs.AsalsulLSIJappomethodissuitable ibriescopainnngswithsmallmgularines,andStaccomethodisgood alcomplicatedpaindngssuchasthe1℃alEpaindngsbySeccoand ilTegulalitybydecomtions.

Keywords:mumlpainnng,Sta"0,Shappo,conservation

■選択の理由

①角間キャンパスでの復元経験、現地での原寸大模写の経験があ り、カルトーネも利用できる。

②漆喰盛り上げの円光装飾がある。

③王冠などに施されたミツロウの工芸的装飾がある。

Fig.1「聖十字架の発見と検証」の場面

(白枠線内が対象壁画の聖女へレナ)

2.2.比較項目 (1)壁画面の凹凸

KonicaMinOlta社のRange5を使用し、壁面の凹凸を計測した。

剥がす前と剥がした後の壁面状態を比較するため、壁画の4隅に 油性マジックと錐で基準となる位置をマーキングした(Fig.2)。

(2)壁画の色

日本電色の色差計NF333で1*a*b*表色系で色を測定した。計測 箇所は、Fig.3のような縦1つ、横2つの3ライン上を5mm間隔

(2)

で、それぞれ96点と黄色1点の合計289箇所で行った。

(3)壁画面の微細構造

3R社のデジタルマイクロスコープWM401を独自に開発した壁 画専用撮影機に取り付け、色差計と同じ縦1つ、横2つのライン とFig.3に点線で示したベールに沿った曲線1つの合計4ライン で動画による顕微鏡撮影を行った。なお、倍率は約20倍である。

(4陸画の撮影

PENTAXの中判デジタルカメラ645D(レンズ:55mmF2.8)を 使用。4000万画素の高解像度で、3段階に露出を変えて撮影した。

撮影状況やレンズによる色のずれを補正するためにカラーチャー ト(X‑Rite社)を入れての撮影も行った。

Fig.2基準のために作成した十字マーク

箪霧鯉で

Fig.3色差計とマイクロスコープでの測定位置

3.結果・考察

3.1.スタッコ法:剥がす前と剥がした後の比較 (1曄面および壁画面の凹凸

壁画を剥がした後には、アッリッチョ層の下にあるコンクリー ト面が現れていた(ColorFig.4の左下)。スタッコ法では、本来 イントーナコ層とアッリッチョ層の間で剥がすため、壁体である コンクリート面が見えることはないが、アッリッチョ層とイント ーナコ層の接着力よりもアッリッチョ層とコンクリート面の接着 力の方が弱かったため、今回はアッリッチョ層とコンクリート面 の間で剥離した。剥がす前と剥がした後の壁の3次元スキャニン グデータを比較すると、壁画は約8.0矼皿の厚さで剥がされたこと がわかった。

COlorFig.1は、剥がす前と剥がした後の壁画の凹凸を比較した ものである。4隅にある十字を重ねることで剥がす前と後の壁画 の位置を合わせた。剥がす前を基準とし、剥がした後の壁画との 高さ(z軸方向)の差をカラーバーで示している。黄色から赤に なるほど凹凸の差が大きいことを示している。壁画の下にとくに 赤い部分が見られるが、これはFig.4のように下から上に向かっ て壁画を剥がしたため、その始めの処理によって生じたものと考 えられる。また、円光右下、上部分も剥がす前と後に大きな違い が見られた。このことから、スタッコ法は極端な凹凸の変化のあ る壁画には弱いと考えられる。

ミツロウを盛り上げた工芸装飾の表面に卵テンペラで塗ったイ エローオーカーが剥がれてしまい、Range5で計測しても、反射率 が高く測定不能で、剥がす前と後の比較を数値化できなかった。

しかし、熱による処理や極端に圧力を加えることもなかったため、

表面の形状は剥がす前とほぼ同じであり、剥がした後の壁にもミ ツロウは残っていなかったので、ミツロウについては、剥がす前 と後で凹凸の違いはないと考えられる。全体としては、最大誤差 が円光上部の3.69mm、平均誤差が0.69mmであった(Tablel)。

Fig.4スタッコ法で下方から壁画を剥がす Tablelスタッコ法で剥がす前と後の凹凸の差

最 小 0 m m

最 大 3.69mm

平 均 0.69mm

R M S 0.90mm

標 準 偏 差 0.57mm

− 3 2 −

(3)

として表れている。一方、全体としては、黄方向に色が変化する という傾向がみられた。Table2にある平均色相差(AH*)をみる と、0.47と小さいことから、全体の色として黄色く変化したとは 考えにくい。剥がす前の平均a*は0.M、b*は9.28で、剥がした後 はa*が0.09、b*は1093となっている。このことから測定点の多 くが黄方向であり、それらの点がさらに黄方向に変化したため、

分布図が黄方向の傾向を示したものと考えられる。Fig.6はX方 向に明度差とY方向に彩度差をとり、各点の分布を示したもので ある。Fig.5と同様、点が中央に集中しており、彩度、明度ともに 剥がす前と後で大きな違いはみられなかった。このことはTable2 のAC*と△L*の値がそれぞれ1.83,‑1.75であることからも言え

(2)壁面の色

蕊蕊鐸謹蕊識

韓堂贈

金斡︾可︑

守畢茸

届尽脅畳室吾唱一一遅畠J酬い三鄙一・忍・︑

葬方1句

、途&謙、今 ..、.・斗上熱

… … ロ …

]通

Table2スタッコ法で剥がす前と後の色差(中央値)

朧 時

AL*

‑1.75

Aa*

‑0.09

AE*

3.18 A C *

1.83

鐸§鳶:

(3)壁画面の微細構造

マイクロスコープによる壁画面の微細構造観察では、とくに大 きな違いはみられなかった。剥がす前と後の3次元スキャニング データを合わせる際に用いた4隅の十字がぴったりと重なったこ とから、壁画を剥がすことによって上下、もしくは左右方向への 伸縮がなく、したがって微細構造に変化がなかったことが想像で

きる。

(4)壁画の撮影

CoIorFig.2に、壁画を剥がした後の写真を示す。剥がした後に できた亀裂を黒で、剥がすことのできなかった色を黄色で示して いる。円光の左右に水平方向に走る亀裂がいくつか見られる。下 方から上へ向かって剥がしたために水平方向に亀裂が入りやすく、

逆に垂直方向への亀裂はあまりなかったと考えられる。色につい ては全体的によく剥がし取られていると思われるが、王冠部分と ヘレナの衣服部分で明らかに色が抜けている部分が見られた。ヘ

レナの衣服については壁画を剥がす始まり部分とも重なっている ため、色の特│生として剥がしにくいというよりは剥がす作業でう まく剥がしきれなかった可能性が高い。そのほかにも目尻やあご 下あたりの背景部分に、何かで擦れたような彩色の欠損箇所が多 数あり、全体に色も薄くなったように感じられる。しかし、色差 計の値では色がむしろ濃くなる方向に点があることから、写真と

は逆の結果になった。色差計の測定箇所に色の欠損部分があまり なかったため、全体の印象とは異なる結果になったと考えられる。

今回の写真撮影は4㈹0万画素の高解像度カメラを使用している ので、RGBデータではあるが、ピクセルごとの色情報を使用して、

さらに詳細な分析を進めていきたい。

由 … 蝉 辱 忍 毛 、 等 q 一 睡

Fig.5スタッコ法で剥がす前と後を比較した色差図

蔓︑︽

薄 い 明るい

篭蕊蕊

議蕊

AC事今 60

亀 琴 悪 基 き 一 一 一 −一 七 、 角 E 亀

印 : 、 阜 替 竜 皇 。 ‐ 2 0

智謹寵斡

20

苓 晃

『 琴

暗 い 蕊、鷺濃い、

… 癖 脅 ミ 蟻 蕊

H9.6スタッコ法で剥がす前と後を比較した色調図 Fig.5は、壁画を剥がす前を基準とし、剥がした後との色の差を 示したものである。点が上にあるほど黄色く、下にあるほと青く 変化したことを示し、右に行くほど赤く、左に行くほと緑色に変 化したことを示している。ほとんどの点が中央に集中しており、

Table2に示されている△a*と△b*の中央値がそれぞれ0.09,l.89 であることをみても、剥がす前と後で色がほとんど変化していな いことがわかる。青方向にいくつか点が見られるが、それは壁画 の下方に描かれた服の円形の飾り部分で、黄色がうまく剥がれな かったために高b*値が低b*値になり、その結果青方向(‑Ab*値)

3.2.ストラッポ法による剥がす前と後の比較 (1)壁面および壁画面の凹凸

CoIorFig、4の右下にストラツポ法で剥がした後の壁の写真を示 す。テンペラ画法(=セッコ法)で描かれた王冠部分と円光の大 部分は壁から剥がされずに残っている。また、ストラッポ法はイ ントーナコ(上塗り漆喰)層の表面にある描画層のみを剥がす方 法であるが、壁画の約半分はイントーナコ層全部力剥がれ、アシ

(4)

リッチョ(下塗り漆喰)層が現れている。Range5でスキャニング し、剥がす前と剥がした後の壁を比較した結果、イントーナコ層 の厚みは2〜4nnnで、描画層として剥ぎ取られた壁画の厚みは平 均0.15mmであった。

ColorFiglの右は、ストラッポ法で剥がした壁画の前と後の凹 凸を比較したものである。スタッコ法の場合と異なり、壁画の左 右に大きな凹凸の差が見られる。これはFig.7のようにストラッ ポ法では壁画を水平方向に剥がしており、壁画を剥がす作業の始 まりと終わり部分にあたる。円光の大部分が壁に残っていたにも かかわらず、それほど大きな差はみられなかった。壁画を剥がす 際に、壁画を綿布で覆って牛膠(collaib'te)で壁画面に密着させる 作業過程で、綿布に壁画の凹凸が形状記憶され、剥がした後にう まく剥がせなかった箇所を裏側から埋める作業で、その凹凸はほ ぼ完全に再現されたと考えられる。逆にうまく剥がされたミツロ ウ装飾部分は、壁画面を覆った綿布の膠を溶かす際に用いた湯の 熱で溶けてしまったため、凹凸の大きな違いとなってデータ上に 現れた。全体の偏差として、最大値が4.97nm11(左端の位置)で、

平均は0.98mmであった(Table3)。

は、Fig.8と同様に王冠の青色部分である。

黄 方 向 犯 奮 ● *

審胸

20

武藍ふき

蕊慧篇

ー 窺 一 蕊

赤 方 向 ゆ←う

鍵瀧騒 § 認 蕊癖 30

蕊さ

︑︑心

÷Z。

I;青方向

‑ 靴,・ぬ率

患蓄 亀 需

發雫議率鐸鐸︾

Fig.8ストラッポ法での剥がす前と後を比較した色差図

酎痔奄轄 翠寺匙 q曼霊6七・謎

瑠醤

6。§令

明るい 薄い

錨 縁 40

Fig.7ストラッポ法で左から右に壁画を剥がす

殿

己b鼬団

Table3ストラッポ法で剥がす前と後の凹凸の差

茎悪罵̲l ・ブ

存 贈 串 贈、 ‑ 封

4 8 、 ; ‑ . . 6 0

謙署蕊 ZO

最 小 最 大 平 均 R M S 標 準 偏 差

m︑mm

mmmmm

04010TOA■oDDn9927

蕊蕊

(2)壁画の色 暗い

Fig.8は壁画を剥がす前を基準とし、剥がした後の色の変化を示 したものである。点は中央やや上(黄)方向に集中しており、黄 方向に広がる傾向がみられた。Table4でも表れているように、平 均のAa*が0.36,Ab*が3.99であることからもこの傾向をみるこ とができる。黄方向△b*が20 30あたりにある4点は王冠を計測 したデータであり、剥がす前にラヒ・スラズリの青色だった部分が 剥がされずに埋められた石灰の白色として計測されたため、△b*

の値が高くなっている。Fig.9は明度差(AL*)と彩度差(AC*) の関係を示した色調図である。点は中心よりやや右下に集中して おり、このことはTable4で平均AC*が3.95、△L*が‑2.78である ことからもわかる。左上(AC*が20、△L*が40あたり)の4点

鼬、

Fig.9ストラッポ法での剥がす前と後を比較した色調図 r a b l e 4 ス ト ラ ッ ポ 法 で 剥 が す 前 と 後 の 色 差 ( 中 央 値 )

朧 時 際

△2 畷一睡

Ab*

3.99

(3陸画面の微細構造

マイクロスコープによる壁画面の微細構造には、とくに大きな 違いはみられなかった。

− 3 4 −

(5)

タッコ法では、剥がした時の厚みは約8.0mmであったが、アッリ ッチョ面を削り取り、イントーナコにやすりをかけて薄くしてい く中で、最終的には支持体の色の影響を受けるようになったと考 えられる。ストラッポ法の場合には、剥がした段階での厚みが約 0.15mmなので背面から支持体パネルの色の影響を受けやすく、

それはスタッコ法より大きいことがわかった。この影響を考慮し ても、どちらの色彩図も黄方向に色が変化する傾向がある。その 原因は、測定点の多くが黄方向の点であったからだと推測される が、今後もさらに実験を重ねて検証するつもりである。

(3)壁画面の微細構造

どちらの手法でも、とくに大きな違いはみられなかった。しか し壁画面の撮影では、色の欠損箇所や、円光のひび割れ部分など、

明らかに微細構造にも変化をもたらしている箇所がみられる。さ まざまな計測機器を利用した今回の実験結果を踏まえて、今後は マイクロスコープによる撮影箇所を慎重に選び、壁画を剥がす前 後で、2手法による比較ができるように工夫したい。

(4)壁画の撮影

撮影した高解像度の写真を比較すると、ストラッポ法ではテン ペラ画法で描かれた王冠部分の色力剥がれなかったのに対し、ス タッコ法ではきれいに剥がすことができたことがわかる。また、

漆喰を盛り上げた円光部分については、ストラッポ法ではひびが 多く、スタッコ法では少なかった。フレスコ画で描かれた部分に ついては、ストラッポ法は剥がす前とあまり状態が変わっていな いようにみえるが、スタッコ法では擦れて剥がれた部分があちこ ちにあり、剥がし始めの部分でもうまく色を剥がせていない。

(4)壁画面の撮影

CoIorFig.3はストラッポ法で剥がした後の壁画を示している。

赤は剥がされなかった凹凸部分、黄は色が取れなかった部分を示 す。黒い線は剥がす際に生じたひびである。ほとんどのひびが円 光の中心から放射線状の方向にあるか、壁を剥がした方向と逆の 垂直方向にある。円光の盛り上げについては、ストラッポ法の場 合、剥がれないか剥がれても多くのひびが生じてしまうことがわ かる。テンペラ画で描かれた王冠部分はほとんと剥がれなかった のに対し、フレスコ画の部分はきれいに剥がれている印象がある。

33.2種の技法による違い (1)壁画面の凹凸

スタッコ法、ストラッポ法ともに剥がす始まりと終わり部分に 剥がす前と後の違いが明らかで、円光などの盛り上げについても 一部で差の大きいところがあった。薄く剥ぎ取るストラッポ法で は複雑な凹凸を完全に剥がすこと力灘しいために、凹凸の保存に はスタッコ法の方力遁していると思っていたが、裏側からの補填 によって凹凸の再現力可能であることがわかった。スキャニング データの分析結果からはスタッコ法の方がいい数値を示している が、その差は大きなものではない。

(2)壁画の色

スタッコ法では壁画を剥がす始まり部分で色が取れにくく、ス トラッポ法ではテンペラ部分で色が取れにくい傾向がある。それ ぞれの方法での色差は小さいが、明度差(AL*)、彩度差(Ac*)、

色相差(AH*)、△a*、△b*のどの成分についてもスタッコ法で 値がンl、さかつた。壁画を剥がす過程において、どちらも(裏打ち としての)支持体パネルに貼り付ける作業がある。ストラッポ法 の場合には、剥がした壁画自体力簿いため、貼り付けた支持体の 色が透けて影響し、結果として壁画の色が変化した可能性がある。

そこで、支持体に使用した麻布、壁画のイントーナコの色を測定 し、どの程度影響しているかを言博してみることにした。描画層 がイントーナコから麻布に変わった場合の色差は、△L*がl]、25, Aa*が0.27,△b*が2.57であった。描画層の厚み、色、状態によ ってこの色差の何%か力垂画の色に影響し、剥がす前と後の色差 になっていると仮定して計算すると、ストラッポ法では最大で 25.0%、スタッコ法では15.5%の影響が出ている可能性がある。ス

4.結論

スタッコ法、ストラッポ法について壁画を剥がす前と後の凹凸、

色などを比較した結果をTable5に整理した。ストラッポ法でもか なりの精度で壁画を剥がせることがわかった。しかし、複雑な凹 凸や(フレスコ画ではなく)テンペラ画法で描かれた部分につい ては完全に剥がすの力難し<、スタッコ法の方が適していると言 える。一方、フレスコ画で描かれた部分については、ストラッポ 法で剥がした方がよい状態で壁画を剥がすことができた。このよ うに、2種の剥がす技法にはそれぞれ適した壁画があり、壁画に よってその手法を使い分ける必要がある。

Table5スタッコ法とストラッポ法で剥がした壁画の前と後の比較

3零ツコ法

、§、慰篭蕊

...r:

・蕊逢慰琴。

… 毎 、 …

凹凸をそのまま剥がすことができる ひびが生じにくい

スト義ツボ法、蕊ミー

円光などの凹凸を完全に剥がすのは難しい

(裏側からの補填により凹凸の再現が可能)

フェイシングの除去作業の湯で蜜蝋が溶ける 円 光 に ひ び が 生 じ や す い

剥 が す 前 後 の 色 の 変 化 は 小 さ い テンペラで描かれた部分は剥がれにくい 支 持 体 の 色 の 影 響 を 受 け る

○○

××一○×☆ 凹 凸

○剥がす前後の色の変化は小さい

×剥がす始まり部分が取れにくい

i×こすれて色が剥がれた部分が全体にある

☆ 支 持 体 の 色 の 影 響 を 受 け る

… … … ‑ . 面 一 一

適した壁画凹凸、テンペラで描かれた部分があるなど複雑な場合!

壁画がフレスコ画で凹凸の少ない場合

(6)

蕊導く償.五 議 鐸 * 恥

譲襲

唾 季 添 0

戴 窪 ‑ ¥ 樺 . 字 … 雛 ミ

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窪1霧

華.『:手

壁画を剥がす前の状態 デジタルマイクロスコープでの撮影

蕊蕊

剥がした後の壁画画の3Dスキャン 剥がした後の色差計測定

乳霧

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,桑,量,魁

謹蕊

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剥がした後の壁面の3Dスキャン 剥がした後の壁面の3Dスキャン

− 3 6 −

(7)

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(8)

ColorFig.2スタツコ法で剥がした後の壁画

(黄は色が取れなかった部分)

− 3 8 −

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(9)

ColorFig.3ストラッポ法で剥がした後の壁画

&5,tl qrT‑恥〆

(10)

ColorFig・4剥がす前と後の壁

ス タ ッ コ 法 で 剥 が す 前 の 壁 画 ス ト ラ ッ ポ 法 で 剥 が す 前 の 壁 画

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ス タ ッ コ 法 で 剥 が し た 後 の 壁

ス ト ラ ッ ポ 法 で 剥 が し た 後 の 壁

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