利盆保瞼者の填補責任に關する諸問題
小林北一郎
一︑被保瞼危険としての火災の慧味
■
猫逸に於ける経螢中断保瞼団︒叶二①冨︒︒艶一︒︒富aく︒誘一9韓毒αq●oα・団9二Φσq︒二昌需きδ︒ずきαq︒・<臼し︒凶9①﹃巷噂
の被保瞼事故は︑火災︒頃舜口α・落雷︒嗣ぎN・︒︒三9αq爆磯︒国×℃一︒︒︒一〇昌の三者である︒之は︑此の保瞼
の完全なる名総⁝が︑U一〇<O邑Oゴ9自αqげq①αqΩρωO冨αO昌α母9鵠9ユOび鶏暮臼σお6ゴ毒σq貯♂一σqO寓茜昌辞
罰年N︒︒︒三9σq︒α興団×℃一︒︒・δ嵩と云はれてゐることからも明瞭である︒英國に於ける利盆保瞼甲○捧ω
目話謹碧8の憺保する危瞼も之と同一である︒即ち︑利盆保瞼謹雰中の火災の定義は︑次の如くで
ある︒
火災⁝:火災︒落雷︒燈火加熱動力二使用セルガスノ爆磯︒並ニボイラー︒牧熱器ノ爆登︒
以上私は︑利盆保陰に於ける被保険事故としての火災の意義を述べπのであるが︑.之は嚴格な意
利盆保瞼者の愼補貴任に.關する諸問題四四七
商學討究第四巻(下)四四八
味では︑不正確のそしりを受けなければなるまい︒利盆保瞼の所謂事故は︑正しくば︑事業中断て
ふ事實でなければならない︒πとい火災なる事實が存在しても︑その結果として何等の聞接損失を
引き起さない場合もあう得るのである︒私が蝕で火災を被保険危瞼と云つπのは︑事業中断の原因
としての意味に於てビある之とを承知して頂き度いのである︒火災があつカからと云つて︑直ちに
利盆保瞼者の責任が磯生する繹ではない︒事業(螢業)の中断︑從つて間接の損失が結果し禿場合
に︑初めて利盆保瞼謹雰は作用する︒然しその中断は︑利盆保瞼に於ては必らず火災に卒由するの
でなければならない︒斯の如き意昧に於て火災を被保瞼事故と云ふのである︒
序に注意して置き度いのは︑保瞼者が如何なる危瞼を憺保すべきかを決定するに當うては︑利盆
保瞼の甥象となる財産の上に存する普通の物的火災保瞼契約の澹保する危瞼を考慮しなければなら
ないことである︒それは何故であるかと云ふと︑若し假に︑火災保瞼契約が︑爆磯の危瞼を憺保し
てゐないに竜係らず︑利盆保瞼者が之を澹保することにすると︑それを原因として罹災せる際に於
て︑火災保瞼者よウの填補を受け得ず︑自然當該企業の作業なう螢業なりの複奮資金に不足を生ず
る之ともあう得べく︑斯くては︑間接損失も自然塘大し︑利盆保瞼者の責任額を大ならしむる結果
になるからである︒故に理想を云へば︑利盆保瞼者は︑物的火災保瞼契約に於てカバーされてゐる
国跨と同一種の空玲を引受くべきであらうと思ふ︒少くもその範園内に止めなければならない︒
ニ︑填補責任除外に關する謹券規定
之に關しては︑普通の火災保瞼と共通な規定が甚だ多い︒然し鼓では︑利盆保瞼に特有な場合丈
けを撰んで︑略述する︒
L利盆保瞼契約は︑物的火災保険契約の存在を前提して初めて有効なる之と︒
2︒火災保瞼者の墳補又は墳補の責の承認が前提であると云ふこと︒
此の黙に關する謹雰規定は次の如くになつてゐる︒
構内二於ケル被保瞼者ノ財産ハ︑本保瞼契約ノ有数期間中ハ︑火災保瞼契約ヲ有シ且右火災保
瞼者ニシテ︑火災ノ損失若クハ損害ヲ填補スルカ︑叉ハ︑境補ノ責ヲ承認スルニ非γバ︑本謹
雰ノ下二於ケル損害填補ヲ請求スルヲ得ザルモノナルコトヲ︑被保瞼者二於テ承認スルモノト
ス︒
右規定を見れば︑利盆保瞼者の責任磯生の前提條件として︑二個の要求がなされてゐる之とが明
瞭である︒即ち一は利盆保険契約の有致期間中は︑物的火災保瞼契約が存在しなければならないも
利盆保陰者の墳補貴任に關する諸問題四四九
商學討究第四巻(下)四五〇
のとするのであう︑他は︑火災保瞼者が自己の墳補額を支彿つ尤か︑若しくは︑之が支梯の責を承
認しなければならないとするのが夫である︒火災保瞼契約の存在が︑直ちに火災保瞼者の損失墳補
の完了も︑亦墳補の責の承認をも意味しはしない︒火災保険契約は存在し︑被保険事故竜登生し︑
而して火災保瞼者の責任なき幾つもの場合のあることは明瞭である︒從つて︑利盆保瞼謹雰も只輩
に火災保瞼契約の存在を前提するとは規定しなかつた繹である︒然し火災保瞼者に於て損失の填補
をなし︑若くは之が支彿をなすべき旨の承認をするのは何故かと云へば︑火災保瞼契約が存在する
からに外ならないのであるから︑利盆保瞼謹雰は︑結局此の一黙即ち第二項を要求すれば充分であ
つπのではあるまいかと私は考へるのである︒
然らば︑利盆保瞼者は何故に斯の如き條件を張請するのであらうか︒此の黙に就いては既に一言
して置いπのであるが︑私の考ふる庭によれば︑恐らくそれは︑利盆保険者が︑責任額の可及的減
少を謀らんとする目的に出つる竜のであらう︒如何にしてか︒利盆保瞼は︑火災に起因する間接の
損失を填補することを目的とするものである︒然るに︑此の間接の損失なる竜のは︑被保瞼者の努
力如何によつては相當の程度懐では減少することが可能なる竜のである︒而してその努力は︑先づ
第一に復奮資金を件ふのでなければ︑多くの場合現實の敷果を牧め難いのである︒火災保瞼者よめ
の填補金が此の目的のπめ如何に役立つ之とであらうかは︑容易に想像し得る庭である︒右規定を
詮雰がもつてゐる有力なる理由である乙とを信じてい\と考ふるのである︒
次に問題となるのは︑利盆保瞼の前提條件として要求されπ火災保瞼契約は︑その保瞼金額に何
等の制限がないものであるか如何と云ふ乙とである︒全額保瞼でなければならないのか︑それとも
一部保瞼で差支ない竜のか︒私が既に述べπ右理由の観黙からすれば︑全額保瞼が理想的(利盆保
瞼者にとめて)であることは勿論である︒然し既に引用して置い控謹雰規定に就いて明瞭である如
く︑金額の黙に就き何等規定する庭なき場合︑直ちに全額保瞼を要求してゐるものであると断定す
る之とは不可能である︒私の考ふる庭によれば︑一部保瞼と錐も︑右謹雰規定の要求に合適してゐ
るものとしなければなるまい︒從つて利盆保瞼者にして︑罹災の際の復奮資金の潤澤なるを欲する
ならば︑全額保瞼若くは保瞼領額の何割以上等と規定しなければならないであらう︒
3火災は螢業を解散麟絶せる揚合は︑保瞼者責に任ぜざる乙と︒
罹災後竜依然として螢業を繊績し︑復奮に努力するのが普通ではあるが︑時にはそれを機會に螢
業を解散して了ふ場合がある︒斯の如きときには︑資本家は何等復奮の駕めに努力する腱なきは極
めて當然である︒自然罹災後填補期間中の聞接損失は︑全損若くは甚だしき額に達するであらう乙
利盆保陰者の墳補費任に關すろ諸問題四五一
商學討究第四巻(下)四五二
とは極めて明瞭である︒故に保瞼者は自己の利害關係を擁護する爲め︑特に斯の如き揚合には︑填
補の責に任ぜざる旨を明かにしてゐるのである︒謹雰の條項第三條には﹁本謹雰ハ左記ノ揚合無敷
タルモノトス﹂と規定し︑その第二項に﹁火災後螢業ヲ解散シ若クハ康絶セ〃揚合﹂とあるは︑即
ち此の理由に基いた竜のである︒
尤も︑被保瞼者によつては︑罹災後直ちに螢業を贋止すべく決定せるに係らず︑填補期間満了ま
で︑然らぎるが如く装い︑墳補金を得んとする場合があるかも知れない︒而して之が眞情を知得す
ることが相當の困難を俘ふ揚合竜あるであらうが︑大膿に於ては︑罹災後の被保瞼者の復蕾に劃す
る努力の程度如何によって︑制別することが出來るのではないかと思ふ︒
小被保瞼者の損害防止義務の解怠は保瞼者の責任を解除す︒
利盆保瞼謹雰を見ると﹁損失螢生ノ場合ハ被保瞼者ハ渥滞ナク會就二其旨通知シ損失ヲ最小ナラ
シムベキ相當ナル努力ヲナスベキモノトス﹂と云ふ規定がある︒罹災の通知を要求するのは︑普通の
火災保瞼契約にも共通する虜であるから︑之が説明は差控へるが︑後宇規定の損害防止義務は︑通例
の物的火災保瞼の場合とその性質を異にするものがあるから一言して置之うと思ふ︒本邦商法第四
百+四條の規定する庭によれば︑被保瞼者は損害の防止に努めなければならない︒而して之が駕め
魅 に必要又は有盆なムし費用は︑それと填補額との合計が︑保瞼金額に超過する揚合でも︑保瞼者は
その費用を墳補しなければならないのである︒思ふに右四百十四條は︑﹁蕾二保瞼者ノ負澹ノ加重ヲ
避ケシムル爲メニ存スルノミナラズ實二天物ヲ暴珍セシメザル公盆上ノ理由二因リテ認メラレタ﹂
ものである駕めに︑墳補額との合計が︑保瞼金額を超過する如き費用まで竜︑保瞼者の負憺と定め
カのであらう︒庭が︑利盆保瞼の揚合の損害防止費用は︑そうは考へられない︒その理由は︑利盆
保瞼の揚合に於ける損害防止の費用とはどんなものかを考へてみると明かである︒濁逸の経螢中断
保瞼に於ける罎Φ葺磐︒︒σq筈①英國に於ける牢○捧︒︒冒ω・に所謂胃︒﹁Φ︒︒Φα∩霧叶o︑署o﹁匠一ゐと繕さる
\支出の一項目(主要なる)をなす竜のであつて︑假螢業所借入の費用︑再築工事速進に要する費
用等の如き︑間接損失輕減の鴬めに必要有盆なる費用を云ふのであつて︑﹁天物を暴珍セシメザル﹂
云々と云ふが如きものではない︒そこで利盆保瞼者も︑保瞼金額以上の責任までも負ふことをしな
い︒墳補期間中全作業又は全螢業を中止せる揚合に支彿ふべき責任額を超過せしむる如き費用は負
澹しない︒何となれば左様な費用は何等損害防止の實を畢げ得ないものだからである︒
≡︑境補期間
利盆保瞼者の填補資任に關する諸問題四五三