≪N氏の肖像≫ 麻紙、墨、アクリル絵具 2273×1818(mm)
《N氏の肖像》
西洋絵画と日本画に見られる人物表現の融合に関する研究
―血の通った生きた人間を描くために―
《Portrait of Professor N》
A Study on Fusion of Human Expressions seen in Western and Japanese Paintings
― To draw a Lively Figure ―
水城 崇智 Takanori MIZUKI
崇城大学大学院芸術研究科美術専攻 Division of Fine Art, Graduate school of Art, Sojo University
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本稿は、稿者が現在まで制作に取り入れてきた日本画材とアクリル絵具の併用による独自 の表現方法や、稿者がこれまで人物を主題として描き続けてきた理由、また本修了研究作品 で新たに試みた描写対象(人物)が息づく周囲の空間の表現について述べた制作論である。
まず、「はじめに」では、稿者がファインアートの世界を志すきっかけとなった出来事 と、今日まで追求してきた自身の独自の表現方法について述べた。
次に第 1 章では、本研究テーマに至った経緯と主題の設定理由について明示した。具体的 には、稿者が影響を受けたヴィジェ・ルブランは西洋画家であるのに、稿者がなぜ日本画 コースを選んだのかということや、日本画材でヴィジェ・ルブランのような表現を試みる中 で必要であると感じた、①人物が湛える自然な表情、②ありのままの服装、③描いた当時の 描写対象(人物)がそこで息づいていた周囲の空間、の 3 つの要素について、また本修了研 究作品の主題として、学部から大学院までの計 6 年間、絵の指導だけでなく、様々な面でご 指導下さった中村先生に感謝の気持ちを表わすために、主題として中村先生を選んだことな どについて述べた。
続いて第 2 章では、アクリル絵具を用いて質感の異なるものを描き分ける稿者独自の表現 方法について具体的に述べた。そして本修了研究作品の主題に適した構図選びと構図の決定 理由に言及するとともに、本修了研究作品で使用した支持体と描画材について述べた。
第 3 章では、小下図の制作から室内写生、草稿の作成、さらに線画を用いた転写方法や墨 ぼかし、アクリル絵具による着彩に至るまでの本修了研究作品の制作プロセスについて概説 した。
最後の「おわりに」では、本修了研究作品制作を通して学んだ 3 つのこと、①描いた当時 の描写対象がそこで息づいていた周囲の空間の表現、②主題に適した構図選びが必要である こと、③今後の生き方などについて述べ、併せて本研究作品に対する反省や今後の展望につ いても述べ、総括とした。
160 崇城大学芸術学部研究紀要 第 13 号